IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 合同会社TUBAKIの特許一覧

<>
  • 特許-特定犬種用衣服ハンガー 図1
  • 特許-特定犬種用衣服ハンガー 図2
  • 特許-特定犬種用衣服ハンガー 図3
  • 特許-特定犬種用衣服ハンガー 図4
  • 特許-特定犬種用衣服ハンガー 図5
  • 特許-特定犬種用衣服ハンガー 図6
  • 特許-特定犬種用衣服ハンガー 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】特定犬種用衣服ハンガー
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/28 20060101AFI20220622BHJP
   A01K 13/00 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
A47G25/28 Z
A01K13/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022030794
(22)【出願日】2022-03-01
【審査請求日】2022-03-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日 令和4年1月31日 ウェブサイトのURL(1)https://twitter.com/TUBAKIandGRACE/status/1488126739926728709?t=5a91liJHQObXGlSfwZ_08g&s=09(情報交換サイト、ツイッター)(2)https://www.instagram.com/p/CZZPrYVB6Uw/?utm_source=ig_web_copy_link(情報交換サイト、インスタグラム)(3)https://linevoom.line.me/post/_dTVKDtrCA5Nz411qRf38dhnhJNrrFH59FrBNS_8/1164363197706082049(情報交換サイト、ラインブーム)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522080236
【氏名又は名称】合同会社TUBAKI
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉原 亮
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】意匠登録第1610931(JP,S)
【文献】意匠登録第1228312(JP,S)
【文献】意匠登録第1509641(JP,S)
【文献】意匠登録第1610932(JP,S)
【文献】特開2005-245729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/28
A01K 13/00
D06F 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イタリアングレーハウンド種、ウィペット種、ピンシャー種を含む特定犬種の犬が着用する衣服を被吊下げ部に対し吊り下げるために前記衣服が掛けられる、特定犬種用衣服ハンガーであって、
頂部領域に設けられたフック部と、
前記頂部領域の下方のうち左右方向の一方側に設けられ、前記特定犬種の犬の前側外観イメージを模した前側外観領域と、
前記頂部領域の下方のうち左右方向の他方側に設けられ、前記特定犬種の犬の後側外観イメージを模しつつ、前記衣服を係止する係止機能を備えた後側係止領域と、
を有し、
前記前側外観領域は、
前記一方側を向いた前記特定犬種の犬の横顔の形状を模し、当該一方側に突出した鼻先部を備えた横顔部と、
前記横顔部の下方に連設され、前記一方側を向いた前記特定犬種の犬の所定長さの首丈に対応した首の形状を模した首丈部と、
前記首丈部の下方に連設されるとともに、鉛直方向に対し第1傾斜角をなしつつ下方に向かうに従って前記一方側へと寄る第1傾斜形状を有し、前記一方側を向いた前記特定犬種の犬の胸元の形状を模した胸元部と、
前記胸元部の下方に連設されるとともに、鉛直方向に対し前記第1傾斜角よりも大きな第2傾斜角をなしつつ下方に向かうに従って前記一方側へと寄る第2傾斜形状を有し、前記一方側を向いた前記特定犬種の犬の前脚の形状を模した前脚部と、
を有し、
前記後側係止領域は、
前記一方側に突出した前記鼻先部に対応した高さ方向位置において前記他方側に突出し、前記一方側を向いた前記特定犬種の犬の通常時の耳形状を模した第1耳部と、
前記第1耳部の下方に連設されるとともに、鉛直方向に対し第3傾斜角をなしつつ下方に向かうに従って前記他方側へと寄る第3傾斜形状を有し、前記一方側を向いた前記特定犬種の犬の背中形状を模した背中部と、
前記背中部のうち高さ方向中央部から前記一方側への凹み形状で切り欠くように設けられた凹み部と、
前記凹み部の入口部分に設けられ、前記衣服の所定部位が係止される係止部と、
を有し、
前記衣服が掛けられた時、当該衣服によって、
前記前側外観領域の、前記横顔部のうち前記鼻先部より下側部分、前記首丈部、前記胸元部、及び前記前脚部と、
前記後側係止領域の、前記第1耳部、前記背中部、前記凹み部、及び前記係止部と、
が覆われることで、前記特定犬種の犬が前記衣服を着用したときの姿を模擬再現するようにした
ことを特徴とする特定犬種用衣服ハンガー。
【請求項2】
請求項1記載の特定犬種用衣服ハンガーにおいて、
前記後側係止領域の係止部は、前記所定部位として、
前記衣服のうち、前記特定犬種の犬の首回りを覆う襟部と前記襟部の下方にそれぞれ連続する前身頃及び後身頃との間の、連結部を係止する
ことを特徴とする特定犬種用衣服ハンガー。
【請求項3】
請求項2記載の特定犬種用衣服ハンガーにおいて、
前記係止部は、
前記凹み部の入口通路に臨みつつ略上下方向に向かい合うように設けられた、上突起部及び下突起部を備える
ことを特徴とする特定犬種用衣服ハンガー。
【請求項4】
請求項3記載の特定犬種用衣服ハンガーにおいて、
前記凹み部は、
前記上突起部及び前記下突起部が設けられる前記入口通路を開口側とする略Ω形状を有する
ことを特徴とする特定犬種用衣服ハンガー。
【請求項5】
請求項4記載の特定犬種用衣服ハンガーにおいて、
前記フック部は、
前記横顔部のうち前記他方側の端部に接続される基端部と、
前記基端部から上方かつ前記一方側へ向かって略円弧形状にて湾曲して延びる湾曲部と、
前記湾曲部の前記略円弧形状のうち前記一方側の端部に位置する終端部と、
を備え、
前記前記一方側を向いた前記特定犬種の犬の耳直立時の耳形状を模した第2耳部である
ことを特徴とする特定犬種用衣服ハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定犬種用衣服ハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペット用の衣服を保管するためのペット用衣服カバーが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の図1図2及び要約等には、ペット用衣服を吊り下げる、フック部21を備えたハンガー20を、ペット用衣服カバー10で覆う構成について記載されている。また、段落[0013][0024]等には、ペット用衣服カバー10について、「ペット用衣服を吊り下げて保管するためのもの」であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-312684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のペット用衣服カバーのハンガー20の形状は、人間が使用するハンガーと同じであり、ペット用としての特徴は特に有さない。このような背景において、数多い犬の犬種の中でも、イタリアングレーハウンドが着用する衣服の保管について、犬種の特性により以下のような固有の課題が存在していた。イタリアングレーハウンドは、短毛で小型であり、寒さに弱いため、日本での飼育においては日常的にペット用衣服を着せることが前提となるが、課題の一つは、イタリアングレーハウンド独特の体型に沿って幅狭で前後方向に長い形状となる衣服を、通常のように正面向きでハンガーに掛けるようにすると、衣服の型崩れやシルエットの崩れを招く点である。また別の課題としては、長い首の首回りを覆うことのできる襟部を備えたタートルネック・ハイネックの衣服を着用させることが多いが、このような襟部が含まれる衣服は、ハンガーに対して掛けたり取り外したりがやや難しくなる点である。上記従来技術には、イタリアングレーハウンドの犬種固有の特性に基づく上記課題については何ら配慮されておらず、イタリアングレーハウンド種の犬が着用する衣服を掛けるのに最適なハンガーが望まれていた。
また、上記イタリアングレーハウンド種以外にも、例えばウィペット種、ピンシャー種等においても上記同様の独自の犬種の特徴があり、同様に最適なハンガーが望まれていた。
【0005】
本発明の目的は、イタリアングレーハウンド種、ウィペット種、ピンシャー種等の特定犬種の犬が着用する衣服を掛けるのに最適なハンガーを実現する特定犬種用衣服ハンガーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、イタリアングレーハウンド種、ウィペット種、ピンシャー種を含む特定犬種の犬が着用する衣服を被吊下げ部に対し吊り下げるために前記衣服が掛けられる特定犬種用衣服ハンガーであって、頂部領域に設けられたフック部と、前記頂部領域の下方のうち左右方向の一方側に設けられ、前記特定犬種の犬の前側外観イメージを模した前側外観領域と、前記頂部領域の下方のうち左右方向の他方側に設けられ、前記特定犬種の犬の後側外観イメージを模しつつ、前記衣服を係止する係止機能を備えた後側係止領域と、を有し、前記前側外観領域は、前記一方側を向いた前記特定犬種の犬の横顔の形状を模し、当該一方側に突出した鼻先部を備えた横顔部と、前記横顔部の下方に連設され、前記一方側を向いた前記特定犬種の犬の所定長さの首丈に対応した首の形状を模した首丈部と、前記首丈部の下方に連設されるとともに、鉛直方向に対し第1傾斜角をなしつつ下方に向かうに従って前記一方側へと寄る第1傾斜形状を有し、前記一方側を向いた前記特定犬種の犬の胸元の形状を模した胸元部と、前記胸元部の下方に連設されるとともに、鉛直方向に対し前記第1傾斜角よりも大きな第2傾斜角をなしつつ下方に向かうに従って前記一方側へと寄る第2傾斜形状を有し、前記一方側を向いた前記特定犬種の犬の前脚の形状を模した前脚部と、を有し、前記後側係止領域は、前記一方側に突出した前記鼻先部に対応した高さ方向位置において前記他方側に突出し、前記一方側を向いた前記特定犬種の犬の通常時の耳形状を模した第1耳部と、前記第1耳部の下方に連設されるとともに、鉛直方向に対し第3傾斜角をなしつつ下方に向かうに従って前記他方側へと寄る第3傾斜形状を有し、前記一方側を向いた前記特定犬種の犬の背中形状を模した背中部と、前記背中部のうち高さ方向中央部から前記一方側への凹み形状で切り欠くように設けられた凹み部と、前記凹み部の入口部分に設けられ、前記衣服の所定部位が係止される係止部と、を有し、前記衣服が掛けられた時、当該衣服によって、前記前側外観領域の、前記横顔部のうち前記鼻先部より下側部分、前記首丈部、前記胸元部、及び前記前脚部と、前記後側係止領域の、前記第1耳部、前記背中部、前記凹み部、及び前記係止部と、が覆われることで、前記特定犬種の犬が前記衣服を着用したときの姿を模擬再現するようにした特定犬種用衣服ハンガーであることを特徴としている。
【0007】
本願発明においては、左右方向の一方側において犬の前側外観イメージを模擬し、左右方向の他方側において犬の後側外観イメージを模擬することで、全体として、概略、一方側を向いた特定犬種(イタリアングレーハウンド種、ウィペット種、ピンシャー種等)の犬の側面視のイメージを模擬している。
【0008】
すなわち、本願発明においては、特定犬種の犬の独特の体型に沿って幅狭で前後方向に長い形状となる衣服を、正面向きではなく敢えて横向き状態で掛けるようにすることで、衣服の型崩れやシルエットの崩れを招くのを防止できる。また上記構成により、例えば左右方向に水平に延設された被吊下げ部に対してユーザ(犬の飼い主)がフック部を吊り下げた時、衣服のメインデザインである背面の生地がユーザの正面目の前に位置するようにすることもできる。この場合、ユーザは、複数ある衣服それぞれを一目瞭然に見分けることができる。
【0009】
また、例えばイタリアングレーハウンドの犬種の特性として、短毛で小型であるため寒さに弱いため日常的に衣服が必要であり、また長い首の首回りを覆うことのできる襟部を備えたタートルネック・ハイネックの衣服を着用することが多い。本願発明においては、これに対応して、横顔部の下方に首丈部を設けることにより、タートルネック・ハイネックの衣服の襟部を確実に掛けることができる。
【0010】
また、本願発明においては、上記のように襟部が含まれるためそのままではハンガーに対して掛けたり取り外したりがやや難しくなるタートルネック・ハイネックの衣服に対応し、凹み部が設けられる。これにより、衣服をハンガーへ掛けるとき及びハンガーから取り外すときに衣服の一部を貫入させることで、容易に掛け外しを行うことができる。さらにその際、凹み部への入口部分に係止部を設けて衣服の所定部位を係止することで、上記のようにして凹み部を用いて衣服をハンガーへ掛けた後の係止状態を堅固に保持することができる。
【0011】
そして、衣服を掛けない状態の特定犬種用衣服ハンガー単体においても、上述のように、全体が特定犬種の犬の側面視のイメージを模擬していることから、ユーザ(犬の飼い主)による愛着がわきやすい。
【0012】
以上のように、本願発明によれば、特定犬種の犬固有の特性に鑑み、特定犬種の犬が着用する衣服を掛けるのに最適なハンガーを実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、イタリアングレーハウンド種、ウィペット種、ピンシャー種等の特定犬種の犬が着用する衣服を掛けるのに最適なハンガーを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】イタリアングレーハウンドの斜視図である。
図2】イタリアングレーハウンドが衣服を着用した状態の斜視図である。
図3】耳形状が直立時の状態にあるイタリアングレーハウンドの斜視図である。
図4】イタリアングレーハウンド用の衣服の平面図である。
図5】イタリアングレーハウンド用衣服ハンガーの平面図である。
図6】イタリアングレーハウンド用衣服ハンガーに衣服をかけた状態の斜視図である。
図7】イタリアングレーハウンド用衣服ハンガーに衣服をかけた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1及び図3にイタリアングレーハウンドGの斜視図を示す。図1(a)のイタリアングレーハウンドGは四本足で立った状態であり図1(b)は2本の後ろ足で座った状態である。図1のイタリアングレーハウンドGの耳形状は通常時(非直立時)の状態である。図3のイタリアングレーハウンドGの耳形状は立った状態(直立時の状態)である。
【0017】
図2にイタリアングレーハウンドGが衣服2を着用した状態の斜視図を示す。また、図4に衣服2の平面図を示す。図2に示す上下方向及び図4に示す前後方向は、衣服2を着用した際に犬から見た上下方向及び前後方向である。衣服2は、犬の上半身前面を覆う前身頃3、犬の上半身背面を覆う後身頃4、アームホール5、ネックホール6、二つの袖部7、襟部8を備える。前身頃3、後身頃4、袖部7、襟部8は互いに縫製されている。衣服2はイタリアングレーハウンドGの体形に合わせ、幅狭で前後方向に長く、襟部8が上下方向に高くなるように作られている。衣服2の素材は特に限定されず、公知の製法に基づき作ることができる。
【0018】
図5にイタリアングレーハウンド用衣服ハンガー1を平面(図示なし)に平置きした際の平面図を示す。図5に示す方角は、イタリアングレーハウンド用衣服ハンガー1を被吊下げ部に吊り下げた時にユーザから見た上下方向及び左右方向である。上下方向及び左右方向は互いに直交する。同様の方角が図6図7にも適宜適用される。
【0019】
イタリアングレーハウンド用衣服ハンガー1は、犬の頭頂部を模した頂部領域9に設けられたフック部10と、前側外観領域11と、後側係止領域12と、横顔部13と、首丈部14と、胸元部15と、前脚部16とを備える。
【0020】
前側外観領域11は、頂部領域9の下方のうち左右方向の一方側(この図の左方側)に設けられ、イタリアングレーハウンド種の犬の前側外観イメージを模している。
【0021】
後側係止領域12は、頂部領域9の下方のうち左右方向の他方側(この図の右方側)に設けられ、イタリアングレーハウンド種の犬の後側外観イメージを模しつつ、衣服2を係止する係止機能を備える。
【0022】
前側外観領域11は、左方側を向いたイタリアングレーハウンド種の犬の横顔の形状を模し、左方側に突出した鼻先部17を備えた横顔部13と、横顔部13の下方に連設され、左方側を向いたイタリアングレーハウンド種の犬の所定長さの首丈に対応した首の形状を模した首丈部14とを備える。
【0023】
前側外観領域11は、首丈部14の下方に連設されるとともに、鉛直方向に対し第1傾斜角θ1をなしつつ下方に向かうに従って左方側へと寄る第1傾斜形状を有し、左方側を向いたイタリアングレーハウンド種の犬の胸元の形状を模した胸元部15を備える。この図では、第1傾斜形状は後述する第2傾斜形状、第3傾斜形状と比較すると急傾斜となっている。
【0024】
前側外観領域11は、胸元部15の下方に連設されるとともに、鉛直方向に対し前記第1傾斜角θ1よりも大きな第2傾斜角θ2をなしつつ、下方に向かうに従って左方側へと寄る第2傾斜形状を有し、左方側を向いたイタリアングレーハウンド種の犬の前脚の形状を模した前脚部16を備える。この図では、第2傾斜形状は、中傾斜である(第1傾斜形状よりも、緩やかな傾斜となっている)。この図よりさらに、緩やかな傾斜であってもかまわない。
【0025】
後側係止領域12は、左方側に突出した鼻先部17に対応した高さ方向位置において右方側に突出し、左方側を向いたイタリアングレーハウンド種の犬の通常時(非直立時)の耳形状を模した第1耳部18と、第1耳部18の下方に連設されるとともに、鉛直方向に対し第3傾斜角θ3をなしつつ下方に向かうに従って右方側へと寄る第3傾斜形状を有し、左方側を向いたイタリアングレーハウンド種の犬の背中形状を模した背中部19を備える。この図では、第3傾斜形状は緩やかな傾斜であるが、中傾斜であってもかまわない。
【0026】
後側係止領域12は、背中部19のうち高さ方向中央部から左方側への凹み形状で切り欠くように設けられた凹み部20と、凹み部20の入口部分に設けられ、衣服2の所定部位が係止される係止部21とを備える。凹み部20は切り欠かれた空洞部分となっている。
【0027】
前記所定部位は、例えば、イタリアングレーハウンド種の犬の首回りを覆う襟部8と襟部8の下方にそれぞれ連続する前身頃3及び後身頃4との間の、連結部(縫製部)もしくはその近傍である。
【0028】
係止部21は、凹み部20の入口通路24に臨みつつ略上下方向に向かい合うように設けられた、上突起部22及び下突起部23を備える。
【0029】
凹み部20は、上突起部22及び下突起部23が設けられる入口通路24を開口側とする略Ω形状を有する。
【0030】
フック部10は、横顔部13のうち右方側の端部に接続される基端部25と、基端部25から上方かつ左方側へ向かって略円弧形状にて湾曲して延びる湾曲部26と、湾曲部26の略円弧形状のうち左方側の端部に位置する終端部27と、
を備える。フック部10は、左方側を向いたイタリアングレーハウンド種の犬の耳直立時(耳を立てた状態)の耳形状を模した第2耳部28である。
【0031】
イタリアングレーハウンド用衣服ハンガー1は、胸元部15の上端部に隆起部30を備える。隆起部30は、犬の首の下部に相当する箇所を隆起させた形状とすることで、衣服2のずり落ちを防止する。
【0032】
イタリアングレーハウンド用衣服ハンガー1は、衣服2が掛けられた(被せられた)時、衣服2によって、前側外観領域11の、横顔部13のうち鼻先部17より下側部分、首丈部14、胸元部15、及び前脚部16と、後側係止領域12の、第1耳部18、背中部19、凹み部20、及び係止部21とが覆われることで、イタリアングレーハウンド種の犬が衣服2を着用したときの姿を模擬再現するようになっている。
【0033】
イタリアングレーハウンド用衣服ハンガー1の素材は特に限定されるものではないが、この例では、持続可能な社会を目指すSDGsの観点から、再生可能な資源である厚紙を用いて作成されている。なお、材質は厚紙に限られるものではなく、木材、プラスチック当、衣服2を支えられる程度の強度を備えるその他の適宜の材料により構成してもよい。
【0034】
図6及び図7に、イタリアングレーハウンド用衣服ハンガー1に衣服2を掛けて(被せて)吊り下げた状態を表す斜視図を示す。イタリアングレーハウンド用衣服ハンガー1は、衣服2を被吊下げ部に対し吊り下げるために使用される。図6及び図7に示される前後方向は、被吊り下げ部の延在方向(吊り下げフック29の場合は壁面に垂直な方向、水平バー29′の場合は水平バー29′の延在方向に平行な方向)に平行な方向であり、ユーザから見た手前側が前方、奥側を後方とする。
【0035】
図6の被吊り下げ部は図示されない壁に固定された吊り下げフック29であり、これは被吊り下げ部の第2の別例である。図7の被吊り下げ部は図示されない壁やハンガーラックに備えられる水平バー29′であり、これは被吊り下げ部の一例である。
【0036】
図6及び図7に示されるように、衣服2は、正面向きではなく横向き状態で掛けられている。すなわち、イタリアングレーハウンド用衣服ハンガー1に衣服2をかけて吊り下げた時に、前身頃3が一方側で後身頃4が他方側にくるように、掛けられるようになっている。例えば、図6では前身頃3が左方側で後身頃4が右方側となっているが、図7(b)のように前身頃3が右方側で後身頃4が左方側でもかまわない。この例では前身頃3と後身頃4を別々の布地として縫製しているが、前身頃3と後身頃4は一体となった布地でもかまわない。その場合は犬の上半身前面(胸部側)を覆う部分が前身頃3に相当し犬の上半身背面を覆う部分が後身頃4に相当する。
【0037】
<実施形態の効果>
本実施形態においては、左右方向の一方側において犬の前側外観イメージを模擬し、左右方向の他方側において犬の後側外観イメージを模擬することで、全体として、概略、一方側を向いたイタリアングレーハウンド種の犬の側面視のイメージを模擬している。
【0038】
すなわち、本実施形態においては、イタリアングレーハウンド種の犬の独特の体型に沿って幅狭で前後方向に長い形状となる衣服2を、正面向きではなく敢えて横向き状態で掛けるようにすることで、衣服の型崩れやシルエットの崩れを招くのを防止できる。また上記構成により、例えば左右方向に水平に延設された被吊下げ部(水平バー29′)に対してユーザ(犬の飼い主)がフック部10を吊り下げた時、衣服のメインデザインである背面の生地がユーザの正面目の前に位置するようにすることもできる。この場合、ユーザは、複数ある衣服2それぞれを一目瞭然に見分けることができる。
【0039】
また、イタリアングレーハウンドの犬種の特性として、短毛で小型であるため寒さに弱いため日常的に衣服2が必要であり、また長い首の首回りを覆うことのできる襟部を備えたタートルネック・ハイネックの衣服を着用することが多い。本実施形態においては、これに対応して、横顔部13の下方に首丈部14を設けることにより、タートルネック・ハイネックの衣服の襟部8を確実に掛けることができる。
【0040】
また、本実施形態においては、上記のように襟部8が含まれるためそのままではハンガーに対して掛けたり取り外したりがやや難しくなるタートルネック・ハイネックの衣服2に対応し、凹み部20が設けられる。これにより、衣服2をハンガーへ掛けるとき及びハンガーから取り外すときに衣服2の一部を貫入させることで、容易に掛け外しを行うことができる。さらにその際、凹み部20への入口部分に係止部21を設けて衣服2の所定部位を係止することで、上記のようにして凹み部20を用いて衣服2をハンガーへ掛けた後の係止状態を堅固に保持することができる。
【0041】
そして、衣服2を掛けない状態のイタリアングレーハウンド用衣服ハンガー1単体においても、上述のように、全体がイタリアングレーハウンド種の犬の側面視のイメージを模擬していることから、ユーザ(犬の飼い主)による愛着がわきやすい。
【0042】
また、犬の外観を模す上で、外観上比較的影響の小さな背中側に凹み部20を設けて、衣服2の掛けやすさや外しやすさ等の実用性を確保する一方で、外観上の影響の大きな顔側(左側)には凹み部20を設けず外観形状を極力残すことで、全体として外観のかわいらしさや愛着の持ちやすさと、実用性の両立を図ることができる。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、イタリアングレーハウンド種の犬固有の特性に鑑み、イタリアングレーハウンド種の犬が着用する衣服2を掛けるのに最適なハンガーを実現することができる。
【0044】
また、本実施形態では特に、襟部8と前身頃3・後身頃4との間の連結部は、例えば縫製部や接着部や溶着部として構成することで、通常の布地部分よりも当接による摩擦を生じやすい。係止部21が当該連結部を係止する構成とすることで、再離脱の可能性の少ない良好な係止状態を実現することができる。
【0045】
また、本実施形態では特に、犬の衣服2の連結部を、背中部の中間部を切り欠くように設けられる凹み部20の入口通路24へと入り込ませると、犬の衣服2のうち当該入り込んだ連結部の近傍が、入口通路24に臨んで設けられた上・下突起部22、23の少なくとも一方に当接する。これにより、当該当接した突起部22、23との摩擦力によって、衣服2のうち上記入り込んだ部分が入口通路24から抜け出さないようになるため、確実に衣服2を係止することができる。
【0046】
また本実施形態では特に、凹み部20を、奥側が広く入口通路24が狭い略Ω形状とすることにより、確実な係止効果を得ることができる。
【0047】
また、本実施形態では特に、犬の横顔形状の上部で前向きに湾曲している第2耳部(フック部)28が、ユーザにとっては、まるで直立した状態の犬の耳のように見える。これにより、フック部10を上記とは逆の後ろ向きに湾曲した形状とする場合に比べ、犬の横顔を容易にイメージしやすくなり、さらに愛着が増す。
【0048】
また、本実施形態では特に、犬の首下に相当する場所に隆起部30を設けることで、衣服2のずり落ちを防止する。
【0049】
本実施形態に係るイタリアングレーハウンド用衣服ハンガー1は、特定犬種の一例として、イタリアングレーハウンド用の衣服2を掛けるために特に開発したものであるが、イタリアングレーハウンドと体形が似ている犬種の衣服を掛けることに使用したとしても、かまわない。特定犬種の他の例としては、例えば、ウィペット種、ピンシャー種、等が挙げられる。これらの犬種の衣服を掛けるためのハンガーに上記の本発明の形状・構成を適用した場合も、上記同様の効果が得られるものである。
【0050】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0051】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0052】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0053】
1 イタリアングレーハウンド用衣服ハンガー(特定犬種用衣服ハンガーの一例)
2 衣服
3 前身頃
4 後身頃
5 アームホール
6 ネックホール
7 袖部
8 襟部
9 頂部領域
10 フック部
11 前側外観領域
12 後側係止領域
13 横顔部
14 首丈部
15 胸元部
16 前脚部
17 鼻先部
18 第1耳部
19 背中部
20 凹み部
21 係止部
22 上突起部
23 下突起部
24 入口通路
25 基端部
26 湾曲部
27 終端部
28 第2耳部
29 吊り下げフック
29′ 水平バー
30 隆起部
【要約】
【課題】イタリアングレーハウンド種、ウィペット種、ピンシャー種等の特定犬種の犬が着用する衣服を掛けるのに最適なハンガーを実現する。
【解決手段】
フック部10と、前側外観領域11と、後側係止領域12とを有し、前側外観領域11は、横顔部と、首丈部と、胸元部と、前脚部とを有し、後側係止領域12は、第1耳部と、背中部19と、凹み部20と、係止部21とを有し、衣服2が掛けられた時、衣服2によって、前側外観領域11の、横顔部のうち鼻先部より下側部分、首丈部、胸元部、及び前脚部と、後側係止領域12の、第1耳部、背中部19、凹み部20、及び係止部21とが覆われることで、イタリアングレーハウンド種の犬が衣服2を着用したときの姿を模擬再現するようにした、特定犬種用衣服ハンガー。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7