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特許7093157不粘着性のコーティングを有するHMAを作製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】不粘着性のコーティングを有するHMAを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 7/00 20060101AFI20220622BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20220622BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20220622BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20220622BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20220622BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220622BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
B05D7/00 K
C09D7/40
C09D201/00
C09J5/06
C09J11/04
C09J11/06
C09J201/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2016572295
(86)(22)【出願日】2015-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2015001193
(87)【国際公開番号】W WO2015188947
(87)【国際公開日】2015-12-17
【審査請求日】2017-11-15
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-14
(31)【優先権主張番号】EP14002028
(32)【優先日】2014-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513222810
【氏名又は名称】オーガニック キミヤ サナイ ヴェ ティジャレット アー.シェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オズチュルク フィリス
(72)【発明者】
【氏名】ベンバナステ ビクトル
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツォ ギジェルモ ペレス
(72)【発明者】
【氏名】アルティノク シベル
【合議体】
【審判長】細井 龍史
【審判官】植前 充司
【審判官】大島 祥吾
(56)【参考文献】
【文献】特表平9-501735(JP,A)
【文献】特開昭63-39977(JP,A)
【文献】米国特許第6716527(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D7/00
C09D7/40
C09D201/00
C09J5/06
C09J11/04-06
C09J201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングを有するホットメルト粘着剤(HMPSA)を作製する方法であって、該コーティングは50℃まで不粘着特性を有し、前記方法は、HMPSAをペレット化し、型穴中の得られたHMPSA粒を、圧力を印加して又は印加することなく成形することによりHMPSA粒のブロックを得る工程と、液体形態又は溶融形態で存在するコーティング材料を固体形態で存在するHMPSA粒のブロックの表面に少なくとも部分的に塗布する工程とを含み、塗布する該コーティング材料は該HMPSA粒のブロックの表面上にて60秒以内に固化及び固定してコーティングを形成する、方法であって、
前記コーティング材料を塗布する工程において、前記HMPSA粒のブロックの表面温度が-20℃~40℃の範囲である、方法。
【請求項2】
前記コーティング材料のDSC融点又は軟化点(ASTM E 28)が50℃を超える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記HMPSAが、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリウレタン、エチレン系(コ)ポリマー、ポリ酢酸ビニル及びそのコポリマー、ビニルモノマーとポリアルキレンオキシドとのコポリマー、スチレンブロックコポリマー、並びにそれらのブレンド又は混合物からなる群から選択される1つ又は複数の構成要素と、任意に粘着付与樹脂、可塑剤、ワックス、抗酸化剤、安定剤、接着促進剤、充填剤、顔料、染料、油及び香料からなる群から選択される1つ又は複数の構成要素とを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティングが、ワックス又はその派生物、エチレン系(コ)ポリマー、ポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル及びそのコポリマー、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ビニルモノマーとポリアルキレンオキシドとのコポリマー、及びエラストマーブロックコポリマー、並びにそれらのブレンド又は混合物からなる群から選択される1つ又は複数の構成要素と、任意に可塑剤、安定剤及び抗酸化剤からなる群から選択される1つ又は複数の構成要素とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記コーティングは該コーティングを有する該HMPSAが溶融しても該HMPSAの特性に悪影響を及ぼさない、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コーティング材料はスプレーコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、又はそれらの組合せによって塗布される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記浸漬コーティングは0.1秒~30秒の期間内に行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティング材料を塗布する工程の前の、HMPSA粒のブロックを得る前記工程において、さらに下記の工程:
ペレット化形態及び/又は成形された形態で存在する前記HMPSAを蒸発及び/又は加熱により乾燥する工程と、
任意に、ペレット化形態及び/又は成形された形態及び/又は乾燥形態で存在する前記HMPSAの形状を、圧力を印加することにより固定する工程と、
を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
コーティングを有するHMPSAであって、該コーティングは50℃まで不粘着特性を有し、該HMPSAはHMPSA粒のブロックであるHMPSA。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に不粘着性のコーティングを有する、ホットメルト接着剤(HMA)、好ましくはホットメルト粘着剤(pressure sensitive adhesive)(HMPSA)を作製する方法であって、上記HMA、好ましくはHMPSAを更なる使用のために容易に取り扱い、包装して、運搬することができる、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤(HMA)は室温にて熱可塑性の固体材料であり、一般的に溶融又は液体状態で塗布される。ホットメルト粘着剤(HMPSA)は固化後も粘着状態のままであり、圧力を印加することで表面上に接着することができるHMAの一種である。
【0003】
HMAは製品の特徴及びエンドユーザー要件に応じて様々な形態で包装されている。HMA、特にHMPSAには不粘着(すなわち「非粘着(non-tacky:粘着性のない)」)膜又はコーティングで保護されていない場合に製品の粘着性による多様な取扱いの難しさ及び汚染の危険性がある。さらに、或る特定の用途において要求される高粘着HMPSA配合物は、発送(shipment)中に又は高温で長時間保存する場合にサポートがなければ、容易に変形及びコールドフローを起こす。その結果を受けて、不粘着HMPSAの包装技法が開発され、様々な方法での改善が試みられている。
【0004】
現行の技術水準における例の多くは、溶融形態のHMA、特にHMPSAを、様々な大きさの、段ボール箱、ドラム、プラスチック容器、紙又は使い捨て皿等のシリコーンをコーティング処理した容器の中に注型することに言及している。続いてこの材料を好適な期間、周囲条件下にて又は大型冷蔵庫において冷却し、積み重ねて、包装し、発送のために調製する。しかしながら、製品は、配送前に長期間、冷却及び固化され、冷却過程に更に棚が必要であり、高温液体を取り扱うことによる潜在的危険性が高く、製造業者にとって使い捨て容器の費用がかかり、ユーザーが大きい物理的な力により包装を剥がした後、材料を溶融ポットに加える必要があり、またその包装は処理の最後に廃棄されるという大きな欠点がある。
【0005】
特許文献1では、溶融HMPSAを、ヒートシンクに接する円柱状プラスチックチューブに直接注ぐか、又はそこにポンプ送達させ、膜から余分な熱を逃がす方法が記載されている。溶融接着剤は周囲の膜と融合し、接着剤と同時に溶融するとともに、溶融ポット内では包装の大きな構築(build up)が起こらない非ブロッキング接着剤パッケージがもたらされる。特許文献2では、表面が不粘着のHMPSAが記載されており、ここでは接着剤がダイオリフィスを通って押し出され、接着剤の表面に溶融膜を形成するポリマー材料が噴霧されるが、接着剤は溶融状態のままである。続いてコーティング処理された接着剤の表面を熱処理することで、連続膜を得て、接着剤塊を取扱いに適した温度まで冷却する。
【0006】
注型し、すなわち溶融HMAを型穴又はプラスチックチューブに注ぎ入れ、非粘着コーティング剤とともに接着剤を共押出しすることに加えて、HMPSAのペレット化又は圧迫切断(squeeze-cutting)(枕形(pillows))、及び有機(ポリマー)材料(例えばフェノール樹脂)含有粉末等の非粘着成分を用いた粉化、非粘着材料を用いてペレット化した材料の個々のコーティング、又は接着剤のプラスチック包装膜への充填といった従来技術で利用可能な例もある。特許文献3には、溶融プラスチック材料を、プラスチック材料に適合した非付着材料の入った冷却液浴へと押出し、プラスチック材料を幾つかの部分に切り出し、それらの部分を冷却液から分離した後、個々の粒子と第2の非付着材料、好ましくは粉化ポリオレフィンワックスとを接触させることにより、非粘着性の自由流動ポリマー粒子を作製する方法が開示されている。特許文献4には、材料の外層が45℃まで感圧性ではない粒状形態の自由流動HMPSAが開示されている。溶融形態のHMPSAを水中で造粒し、乾燥し、ポリエチレンワックス、消泡剤、成膜剤及び水で構成される微細液滴コーティング成分を個々に噴霧し、個々のペレットをコーティング成分で少なくとも90%覆う。HMPSA粒又はHMPSA片の粉化又は個々のコーティングには、コーティングの表面対体積比が顕著に高いことから、製品が希釈され、コーティング材料の混入が高くなる危険性が高いという大きな欠点がある。
【0007】
特許文献5には、初めにHMAを均一な分離部分として形成し、固化させ、最後に大部分をプラスチック包装膜に包む方法が開示されている。プラスチック包装材料は接着剤の成分であるか、又は接着剤と化学的に適合するため、包装はポット内で接着剤とともに溶融することができる。しかしながら、接着剤及び膜の両方は冷却状態で接し、膜と接着剤との間で融合又は実質的な相互作用はない。したがって、溶融期間中、接着剤と膜とが別々に溶融し、膜とHMA部分との間のエアポケット(air pockets)により、膜が押され、溶融ポットの上部に集まる。結果として、膜は適切に溶融することができず、タンクの表面上に浮かび(いわゆる従来技術における「ジェリーフィッシュ効果」)、続いて膜が炭化し、溶融ポットにおけるフィルターを塞ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第5,373,682号
【文献】米国特許第5,865,927号
【文献】欧州特許第0410914号
【文献】米国特許第6,716,527号
【文献】欧州特許第0469564号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の根底にある技術的課題は、粘着性材料の取扱いを改善させるとともに、HMA溶融ポットにおける炭化及び閉塞の問題を引き起こすHMA用包装膜を不要にするような実質的に不粘着性のコーティングを有する、HMA塊、好ましくはHMPSA塊を得るための新しい方法を提供することである。さらに、本方法によってHMAとの適合性及び溶融挙動に応じてコーティング材料の種類を選ぶための柔軟性が与えられ、このことはHMA、好ましくはHMPSAの製品性能及び最終使用特性に直接影響する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の技術的課題の解決は、特許請求の範囲にて特徴付けられる実施の形態を提供することにより達成される。特に本発明は、コーティングを有するHMA塊を作製する方法であって、該コーティングは50℃まで不粘着特性を有し、上記方法は液体形態又は溶融形態で存在するコーティング材料を固体形態で存在するHMA塊の表面に少なくとも部分的に塗布する工程を含み、塗布する該コーティング材料は該HMA塊の表面上にて60秒以内、好ましくは30秒以内であるが、少なくとも0.1秒以上、例えば0.1秒~30秒で固化及び固定してコーティングを形成する、方法を提供する。本発明によると、「HMA塊」、「HMA材料」及び「HMA配合物」という用語はそれぞれ、好ましくはHMPSA群を含み、すなわち好ましい実施の形態では、本明細書で使用される「HMA塊」又は「HMA材料」又は「HMA配合物」という用語は「HMPSA塊」又は「HMPSA材料」又は「HMPSA配合物」という用語に置き換えることができる。その上、或る特定温度(T)までの「不粘着」及び「不粘着特性」という用語は、材料が言及される温度(T)未満にて通例(包装、操作者の手等が)接する表面に付着しないことを意味する。一般に、上記特性はコーティングを有するHMAのブロック同士が互いに触れている段ボール箱内に材料を入れることにより評価することができる。箱を閉じ、1週間、言及される温度にてオーブンに入れる。次いで、箱をオーブンから取り出し、室温にて平衡化させる。その後、コーティング処理されたHMAの各ブロックを、隣接するブロック、保護紙又は操作者の手に付着することなく、手で個々に容易に取り出すことができる場合、コーティングを不粘着であると評価する。
【0011】
本発明の一実施の形態では、コーティング材料を塗布する工程の前のHMA塊の表面温度は-20℃~40℃の範囲、例えば室温(約25℃)であることが好ましい。溶融ポット内のコーティング材料の温度は、HMA塊の表面に塗布した際、80℃~250℃、より好ましくは120℃~210℃、最も好ましくは150℃~200℃である。コーティング材料のDSC融点、又は融点が適用されない場合には軟化点(ASTM E 28)は50℃を超えることが好ましい。
【0012】
本発明の一実施の形態では、HMA塊はペレット化形態で存在し得る。さらに、HMA塊は、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリウレタン、エチレン系コポリマー、ポリ酢酸ビニル及びそのコポリマー、ビニルモノマーとポリアルキレンオキシドとのコポリマー、スチレンブロックコポリマー、並びにそれらのブレンド又は混合物からなる群から選択される1つ又は複数の構成要素を含み得る。さらにHMA塊は、任意の構成要素/成分として粘着付与樹脂、可塑剤、ワックス、抗酸化剤、安定剤、接着促進剤、充填剤、顔料、染料、油及び香料からなる群から選択される1つ又は複数の構成要素/成分を含有し得る。
【0013】
コーティング材料は、50℃まで不粘着特性を有するとともに、ワックス又はその派生物、エチレン系(コ)ポリマー、ポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル及びそのコポリマー、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ビニルモノマーとポリアルキレンオキシドとのコポリマー、エラストマーブロックコポリマー、及びそれらのブレンド又は混合物からなる群から選択される複数の構成要素の内の1つを含み得る。さらにコーティング材料は、任意の構成要素/成分として可塑剤、安定剤及び抗酸化剤からなる群から選択される1つ又は複数の構成要素/成分を含有し得る。コーティング材料は原則としてコーティングとして存在する場合の50℃まで上記不粘着特性を除けば何ら制限はないが、エンドユーザー/顧客が更に塗布するためにコーティングを有するHMA塊を溶融させる場合にHMAの(予測される)特性に悪影響(すなわち大きな有害作用)をもたらさないように選択することが好まれ得る。コーティング材料は、例えばスプレーコーティング、カーテンコーティング又は浸漬コーティング等の当該技術分野に既知の任意の方法により塗布することができ、スプレーコーティングが好ましい。浸漬コーティングでは、HMA塊を浸漬する期間は0.1秒~30秒の期間内であることが好ましい。コーティング材料をHMA塊の表面に塗布した後、任意に例えば0.1秒~10秒間に、好ましくは150℃~250℃の温度にて急速加熱することによりコーティングの形成を促すことができる。さらに塗布されたコーティングを室温(約25℃)に冷却し、例えばすぐ使用することができる状態でコーティングを有するHMA塊を得ることができる。
【0014】
好ましい実施の形態では、本発明による方法はコーティング材料をHMA塊の表面に少なくとも部分的に塗布する工程の前に、好ましくは与えられた順にて下記の工程の1つ又は複数:
HMA塊をペレット化する工程と、
そのまま又はペレット化形態にて存在するHMA塊を、圧力を用いて又は用いることなく成形する工程と、
そのまま若しくはペレット化形態及び/又は成形された形態で存在するHMA塊を蒸発及び/又は加熱により乾燥する工程と、
そのまま若しくはペレット化形態及び/又は成形された形態及び/又は乾燥形態で存在するHMA塊の形状を、圧力を印加することにより、好ましくはピストン又は不粘着コーティングを有する二次鋳型を介して固定する工程と、
を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による方法の好ましい実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の方法を好ましい実施形態及び具体例を用いて本明細書の下記で更に説明する。
【0017】
HMPSAは、従来技術で既知のように、好ましくはHMPSA塊を円柱、矩形又は球形等の様々な形状及びサイズ、好ましくは1mm~30mmの幾つかの部分へとペレット化することが可能な従来の水中ペレット化又は押出しシステムを用いてペレット化し、冷却液、好ましくは水中で固化させ、プロセスの終了時に実質的に乾燥させる。冷却液は、冷却プロセス中に個々の粒が互いに付着しないように、例えば米国特許第4,645,537号、同第4,576,835号及び同第4,774,138号に記載のように粘着防止(anti-blocking)表面仕上げ材料、離型剤又はペレット化助剤からなることが好まれ得る。
【0018】
一部が冷却状態で、好ましくは0℃~20℃であり、低温であるために一時的に不粘着形態で存在するHMPSA塊を異なるサイズで構成され得る型穴に充填し、250g~4000gのHMPSA塊を得ることが好ましい。型穴は付着防止コーティングを備えるか、又はシリコーン、テフロン(登録商標)、セラミック及び従来技術で既知の他の付着防止コーティングのような任意の付着防止エラストマー成分、並びにそれらの組合せから作製することができる。別の実施形態では、型穴はプラスチック、紙、段ボール箱及びそれらの組合せのような使い捨て要素から作製することができる。型穴は個々の細粒を一時的に結合させ、型穴の形状を保持するために、加熱素子を備えていてもよい。本発明の別の実施形態では、充填操作を真空下で行うことで、充填プロセスの規則性を改善することができるように、型穴は穿孔されていてもよい。別の実施形態では、型穴は、鋳型の付着防止特性を高めるために冷水、鉱油等のような様々な液体を型穴の壁に噴霧する更なるユニットを備えていてもよい。更なる実施形態では、型穴は圧力の印加及びHMPSA部分のより良好な包装のための更なるユニットを備えていてもよい。別の実施形態では、2つ以上の型穴が存在していてもよく、型穴同士は交換可能であり、充填プロセスの速度を向上させるために同時に作動させる、例えば一方の鋳型に充填させ、二次鋳型において圧力を印加することが可能である。
【0019】
型穴を分割し(separated into pieces)、開くか、又は使い捨て可能な場合に完全に分解して変形させ、細粒のブロックをコンベアベルト上のコーティングゾーンへと移動させる。コーティングゾーンへと入る前に、ブロックを加熱した低湿ゾーンへと運ぶことで、残存する冷却液又は凝縮空気を分離することができることが好ましい。材料が軟化せず、エアポケットが開いたまま実質的に乾燥するように、加熱ゾーンはHMPSAの軟化点未満、好ましくは80℃未満であることが好ましい。加えて、HMPSAを第2の加熱ゾーンに通すことで、軟化点近くまでブロックを急速加熱することができ、HMPSA部分のより良好な包装のために短期間、付着防止コーティング処理された塊とともに圧力を印加することが好ましい。結果としてブロックはコーティング後も元の形状を保つことができ、高い熱及び圧力の条件下で保管又は輸送中に自然に起こり得る、コールドフロー、フレーキング及びブリーディング現象が実質的に抑えられる。コーティングゾーンに入る前に、表面温度が-20℃~40℃の範囲内、例えば室温(約25℃)となるようにHMPSA塊を任意に冷却する。
【0020】
取扱いを容易にするために、最終段階にてHMPSA粒のブロックに非粘着コーティング材料をコーティングする。コーティングは好適なホットメルト噴霧ノズルシステムを用いた噴霧若しくは繊維化(fiberization)、カーテンコーティング、又は接着剤と同様の特徴を有するコーティング材料の溶融液で満たされたシンクにHMPSAブロックを浸漬することにより行うことができるが、原則としてコーティングはコーティング処理されたHMPSA塊の後の溶融プロセス中に何ら悪影響を与えない。塗布中、コーティング材料はHMPSA粒と或る特定レベルまで相互作用し、まとまった(united)材料を形成すると同時に溶融して、HMPSA材料とブレンドを形成することができる。
【0021】
HMPSA塊はコーティング工程の前では冷却状態にあるため、HMPSAブロック上にある溶融状態のコーティング材料は数秒、すなわち60秒以内、好ましくは30秒以内であるが、少なくとも0.1秒以上、例えば0.1秒~30秒で固まり、製品は更に続いて冷却することなくすぐに発送することができる状態となる。
【0022】
HMA(好ましくはHMPSA)は多様な利用可能な/既知の熱可塑性材料を含むことができる。熱可塑性材料は熱を加えると、軟化し、鋳造可能となる又はその状態を保ち、剛性及び硬度は広範囲になり得るが、冷却すると再び硬くなり、相対的により剛性となる任意の材料である。熱可塑性材料は弾性及び接着剤基剤を得るために配合物に使用される。熱可塑性材料は、(コ)ポリマー、例えばポリエステル、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、並びにエチレンメタクリレート、エチレンn-ブチルアクリレート及びエチレンアクリル酸ポリマーのような他のエチレンコポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン及びそのコポリマー、無水ポリ-α-オレフィン(APAO)等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル及びそのコポリマー;様々なアクリル系モノマー由来のポリ(メタ)アクリレート、例えばアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アクリルアミド;ポリエステル;ポリビニルアルコール;ポリウレタン;ビニルモノマーとポリアルキレンオキシドとのコポリマーから選択することができる。熱可塑性ポリマーの他の例は、弾性ポリマー、例えばスチレン-ブタジエン(SB)、スチレン-イソプレン(SI)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SB)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-ブチレン(SEB)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)及びスチレン-エチレン-プロピレン(SEP)のようなスチレンブロックコポリマーである。
【0023】
好適な熱可塑性材料は、HMA、好ましくはHMPSAの最終使用要件に従って、組成、分子量、融点、粘性又は接着特性に応じて容易に選択することができる。
【0024】
HMA材料(好ましくはHMPSA材料)は、最終接着剤、並びに任意に可塑剤、ワックス、抗酸化剤及び他の成分に接着特性及び粘着特性を与えるために、熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマーの組合せと併せて更に粘着付与樹脂を含有していてもよい。
【0025】
本発明のHMA配合物における粘着付与樹脂は、天然樹脂及び変性樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂及び芳香族炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、水素化樹脂及び水素化樹脂エステル、並びにロジンを含む。ロジン及びその派生物の例としては、ウッドロジン、トール油、松脂、ガムロジン、ウッドロジン、ロジンエステル樹脂が挙げられ、それらのエステル及び水素化又は脱水素化形態が含まれる。テルペン樹脂としては例えば、天然及び合成のテルペン、ポリテルペン及びテルペンエステルが挙げられる。更なる例としては、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン由来のポリマーのような芳香族又は脂肪族-芳香族混合の粘着付与樹脂;スチレン、αメチルスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、第三級ブチルスチレン、クロロスチレン由来のコポリマーのようなスチレン樹脂;1,3-ブタジエン、シス-1,3-ペンタジエン、トランス-1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-2-ブテン及び他の共重合性モノマー等のモノマー由来の脂肪族樹脂、又は脂肪族石油炭化水素樹脂が挙げられる。粘着付与樹脂の軟化点は約70℃~150℃(環球法、ASTM E28により測定)であることが好ましい。接着剤組成物は、好ましくはHMA塊の総重量に対して5重量%~60重量%の範囲内の量の粘着付与樹脂を含む。
【0026】
任意に、好ましくは粘性の調整のため及び流動特徴を与えるために、可塑剤をHMA配合物に使用することができる。ホットメルト接着剤における可塑剤含量は0重量%~35重量%、好ましくは5重量%~25重量%の量である。好適な可塑剤は医療用及び工業用のホワイト油、ナフテン系鉱油、フタレート、アジペート、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレン及び/又はポリブタジエンオリゴマー、安息香酸エステル、植物油又は動物油、並びにそれらの派生物である。
【0027】
可塑剤の例にはポリブテンの油又はオリゴマーのような水素化可塑剤も挙げられ得る。一価アルコール又は多価アルコール及びポリアルキレングリコールを使用することもできる。好適な別の可塑剤群はエステルであり、これには例えば液体ポリエステル及びグリセロールエステル、例えば二酢酸グリセロール及び三酢酸グリセロール、並びにネオペンチルグリコールジベンゾエート、グリセリルトリベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラベンゾエート及び1,4-シクロヘキサンジメタノールジベンゾエートが含まれる。さらに、芳香族ジカルボン酸エステル、例えばフタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸のエステル系の可塑剤も使用することができる。スルホン酸のエステルも可塑剤として使用することができる。脂肪酸も好適な可塑剤である。このような成分は市販されている。
【0028】
任意に、HMA塊の総量に対して0重量%~30重量%の量のワックスをHMA配合物に添加することができる。この量は接着に悪影響を及ぼすことなく、粘性の調整及び凝固特性に有用な量の中から選択されるものとする。ワックスは天然起源又は合成起源のものであってもよい。好適な天然ワックスは植物ワックス、動物ワックス、鉱物ワックス又は石油化学ワックスである。好適な化学修飾ワックスは硬蝋、例えばモンタンエステルワックス、サルソール(sarsol)ワックス等である。好適な合成ワックスはポリアルキレンワックス及びポリエチレングリコールワックスである。好ましいワックスは石油化学ワックス、例えばワセリン、マイクロワックス及び合成ワックス、特にポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、任意にPE又はPPコポリマー、フィッシャー-トロプシュ樹脂、パラフィンワックス又は微結晶ワックスである。
【0029】
加えて、他の典型的な補助剤及び添加剤を選択されたHMA配合物に組み込むことができる。例には、安定剤、抗酸化剤、光安定剤及び/又は接着促進剤がある。それらの機能は、処理、保存又は使用中にポリマーを分解から守ることである。使用に適した安定剤、特にUV安定剤又は抗酸化剤としては、亜リン酸塩、フェノール、高分子量の立体障害フェノール、多官能性フェノール、硫黄及びリン含有フェノールが挙げられる。これらは通例、最大4重量%、好ましくは約0.1重量%~約2重量%の量にてHMA配合物に添加される。立体障害フェノールは当該技術分野において知られており、フェノールのヒドロキシル基に近接した立体的に嵩高いラジカルも含有するフェノール化合物と特徴づけることができる。立体障害フェノールの例としては、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン;ペンタエリスリトールテトラキス-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;4,4’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-o-クレゾール);2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;6-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-ビス(n-オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン;2,4,6-トリス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチル-フェノキシ)-1,3,5-トリアジン;ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-ホスホネート;2-(n-オクチルチオ)エチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート;及びソルビトールヘキサ-(3,3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられる。これらの安定剤の効果は、安定剤に併せて、例えばチオジプロピオン酸エステル及び亜リン酸塩等の共力剤;エチレンジアミン四酢酸及びその塩、並びにジサリチラルプロピレンジイミン等のキレート剤及び金属不活性化剤を用いることにより更に高めることができる。
【0030】
HMA配合物は、必要に応じて他の適合性のあるポリマー、充填剤、顔料、染料、油、香料及び他の従来の添加剤を更に含有していてもよい。
【0031】
コーティングは当該技術分野で既知の及び/又は市販されている熱水コーティング能のある任意の従来装置を用いて行うことができる。本発明の一態様では、個々のブロックを溶融液体形態の非粘着コーティング剤で満たされた溶融ポットに浸漬することができる。本発明の別の態様では、カーテンコーティングをブロック表面に施すことができる。本発明の好ましい実施形態では、ブロック表面に非粘着コーティングの薄層を、好ましくは最大10μm~100μmの厚さにて噴霧することができ、ブロック表面が覆われる。これらの方法は組み合わせてもよい。均一なコーティングパターンをもたらすために、一段階で接着剤表面全体をコーティングすることができる装置を使用することが好ましい。
【0032】
コーティング材料の温度が比較的高いために又はHMPSAの粘着性のために、本発明の方法に使用されるコーティング材料はHMPSA塊上に融合し、数秒、すなわち60秒以内、好ましくは30秒以内であるが、少なくとも0.1秒以上、例えば0.1秒~30秒で低温表面上に固定される。結果として、製品は溶融タンク内において接着剤と同時に溶融することができる。また任意に急速加熱を施し、非粘着コーティングの連続する膜形成を更に改善させることもできる。HMAがコーティング工程の開始時に固体形態であることから、続いて冷却操作に時間を費やす必要がない。
【0033】
本発明の方法に使用されるコーティング材料は任意の熱可塑性材料とすることができるが、50℃まで不粘着特性を有するものとする。コーティング材料はホットメルト材料であることが好ましい。コーティング材料は、融点が約54℃~85℃のパラフィンワックス及び融点が約54℃~95℃の微結晶ワックス(後者の融点はDSC法によって求められる)等の石油ワックス、ASTM E-28によって求められる環球式軟化点が約120℃~160℃のアタクチックポリプロピレン、メタロセン触媒のプロピレン系ワックス、メタロセン触媒のワックス又はシングルサイト触媒のワックス、フィッシャー-トロプシュワックス等の一酸化炭素と水素とを重合させることにより作製される合成ワックス、並びにポリオレフィンワックスを含む、ワックス及びその派生物から選択することができる。これらのワックスはそれぞれ室温で固体である。他の有用な物質/成分としては、接着剤業界にて「動物ワックス又は植物ワックス」と呼ばれるものが挙げられ、その例には、限定されるものではないが、水素化された動物性、魚性及び植物性の油脂、例えば水素化された獣脂、ラード、ダイズ油、綿実油、ヒマシ油、メンハーデン油、タラ肝油等があり、これらは水素化しているために周囲温度で固体である。これらはワックス材料と同等に機能することからも有用であることが分かっている。有用な部分的に結晶性のエチレン系ポリマーの中でも、チーグラー・ナッタ触媒重合により得られるLDPE、VLDPE、LLDPE、MDPE、又は気相ランダム重合により得られるLDPE、EVA、EAA、EMA、EBA、EE2HA、又はチーグラー・ナッタ触媒重合若しくはシングルサイト触媒重合若しくはメタロセン触媒重合により得られるEO、EP、EB、EH、ESIコポリマーに言及することができる。加えて、エチレンメタクリレート、エチレンn-ブチルアクリレート及びエチレンアクリル酸ポリマーのような他のエチレンコポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン及びコポリマー、非晶質ポリ-α-オレフィン(APAO)等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル及びコポリマー;様々なアクリル系モノマー由来のポリ(メタ)アクリレート、例えばアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アクリルアミド;ポリエステル;ポリビニルアルコール;ポリウレタン;ビニルモノマーとポリアルキレンオキシドとのコポリマーに言及することができる。他の有用な物質としては、SB、SI、SBS、SIS、SEBS、SEPS及びSEPを含むエラストマーブロックコポリマーが挙げられる。有用なエラストマーはエチレンとプロピレンとのエラストマーコポリマー、又は官能性モノマーで修飾されたこのようなコポリマーである。例には、EPRゴム、EPDMゴム及び/又はEPRとEPDMとのブレンドがある。官能性モノマーとしては、カルボン酸基、無水物基、ヒドロキシル基、エーテル基、第一級、第二級及び第三級アミン基、並びにエステル基を含む1つ又は複数の官能基を含有する不飽和有機化合物群が挙げられる。
【0034】
任意に、可塑剤をコーティング組成物(「コーティング材料」)に使用することができる。好適な可塑剤は、医療用及び工業用のホワイト油、ナフテン系鉱油、フタレート、アジペート、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレン及び/又はポリブタジエンオリゴマー、安息香酸エステル、植物油又は動物油、並びにそれらの派生物である。本発明におけるコーティング組成物は、上述のポリマー、ひいては接着剤系全体を、コーティング組成物の製造及び塗布中に、並びに最終製品が周囲環境に日常的に曝されることで通常起こる熱及び酸化による分解の影響から守るのを助けるために、任意に安定剤又は抗酸化剤を含んでいてもよい。
【0035】
図1を参照すると、好ましい実施形態では、HMPSAを造粒することが可能な任意の従来の水中ペレタイザー又は押出しラインによって、溶融状態のHMPSAを造粒するか、又は小さく切断した後、冷却媒体、好ましくは水中で固化する。冷却状態、0℃~20℃、好ましくは5℃~15℃にあり、低温であるために一時的に不粘着形態であるHMPSA部分を、ゾーンIにおいて様々なサイズ及び形状に構築することができる型穴へと充填する。型穴は好ましくは付着防止コーティングを備えてもよく、又はシリコーンのような自然に付着防止特性を呈する材料から作製することができる。型穴の付着防止特性は、充填プロセスの開始時に冷水、鉱油等のような様々な液体を型穴の壁に噴霧することで更に増大させることができる。別の実施形態では、型穴はプラスチック、紙、段ボール箱及びそれらの組合せのような使い捨て要素から作製することができる。型穴は矩形、球形又は円柱等のような様々な形状、及び好ましくは250g~4000gといった様々なサイズとすることができる。本発明の別の態様では、型穴はHMPSAブロックがコンベア上を輸送中に鋳型の形状を保つのを助けるのに使用することができる抵抗のような更なる加熱素子又は空気式ピストンのような圧力素子を備えていてもよい。別の実施形態では、充填プロセスを真空下で進めることができるように型穴は穿孔されていても又は孔を備えていてもよい。本発明の別の態様では、熱風噴射を適用し、HMPSAと周囲空気との温度差による凝縮を防ぐことができる。加えて、HMPSAと同様の特性を有する溶融状態の液体を充填プロセス中に同時に噴霧し、個々の細粒同士を付着させ、ブロックが型穴の形状を保持するのを助けることができる。
【0036】
図1を参照すると、型穴を分割して開くか、又は使い捨て可能な場合に完全に分解して変形させ、HMPSA部分のブロックは次のゾーンへと運ばれる。ゾーンIIでは、製品は低湿度レベル、好ましくは5%未満の相対湿度(RH)にて温風に曝すことで、造粒プロセスから持ち越された湿気又はプロセス中に生じる可能性のある凝縮を消散させる(evaporate)。空気の湿度を任意の従来の空気処理装置により調節することができる。ゾーンIIを対流、赤外線加熱、マイクロ波加熱及びそれらの組合せ等の従来技術で既知の様々な制御された加熱素子によって加熱することができる。ゾーンIIの温度はHMPSA材料を固体形態に保ち、効果的な乾燥のために空隙が可能な限り開くよう80℃未満であることが好ましい。
【0037】
図1を参照すると、固体ブロック形態のHMPSAは更なる加熱のためにゾーンIIIへと運ばれ、そこでHMPSAを軟化点近くの、好ましくは60℃を超える温度へと加熱し、ゾーンIIIにおいて圧力によって成形することができる。ゾーンIIと同様に、ゾーンIIIも様々な制御された加熱素子により加熱することができ、湿度を外部の空気処理装置により調節することができる。
【0038】
図1を参照すると、固体ブロック形態のHMPSAはゾーンIVへと運ばれ、ピストン又は二次鋳型を用いて圧力を印加し、好ましくは付着防止コーティングで処理することで、コーティングゾーンに入るHMPSAブロックの形状を固定し、滑らかにする。ゾーンIII及びゾーンIVでは、同様の熱及び圧力を印加することにより輸送及び保存条件を同じようにした後、HMPSAブロックをコーティングゾーンに入れる。結果として、ブロックの変形及び包装への接着剤の不要な付着を起こし得るコールドフロー及びブリーディング挙動が良好な程度まで抑えられる。その上、HMPSA塊の表面対体積比はHMPSA塊の表面を滑らかにすることで低くなり、ひいてはHMPSA塊上に塗布するコーティング剤の量が削減される。
【0039】
図1を参照すると、固体ブロック形態のHMPSAはゾーンVに運ばれ、そこで溶融液体形態の非粘着コーティング材料が塗布される。コーティング材料のDSC融点又は融点が適用されない場合には軟化点(ASTM E 28)は50℃を超える。非粘着コーティングは再溶融した際に接着剤組成物の特性が損なわれないように選択される。
【実施例
【0040】
実施例I:
使い捨て用の従来のHMPSA組成物を、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーを用いて作製した。粘着付与剤は接着のために添加し、可塑剤は製品の流動特性を調整するために添加する。
【0041】
HMPSAを造粒することが可能な従来の水中ペレタイザー又は押出しラインによって、溶融形態のHMPSAを3mmのペレットへと造粒した後、4℃付近の温度の冷水中で固化する。
【0042】
8℃付近の温度にて冷却状態にあり、一時的に不粘着形態のHMPSA粒を1リットル容量の円柱状の型穴に充填する。鋳型の内面には付着防止材料がコーティングされている。
【0043】
型穴を2つに分離し、型穴の形状をした重量が約1kgのHMPSA粒を付着防止材料がコーティングされたコンベヤ上に放出する。
【0044】
HMPSA塊は強制対流式コンベヤオーブンへと運ばれ、そこで温度40℃及び5%相対湿度(RH)の高温及び低湿の空気が供給される。空気の湿度レベルは従来の空気処理装置により制御される。このゾーンでは、造粒プロセスから持ち越された残存する湿気又はプロセス中にHMPSA塊上にて生じる可能性のある凝縮が消散される。
【0045】
この処理後、コンベヤに残るHMPSA塊の表面温度は8℃から室温(約25℃)へと上昇し、HMPSAの温度を周囲温度と同じにすることにより、粒上での任意の更なる凝縮が抑えられる。
【0046】
HMPSA塊はコーティングゾーンへと運ばれ、そこでコーティング材料として180℃の非粘着性の高温溶融ホットメルト接着剤(HMA)で満たされた溶融ポットにHMPSA塊を2秒未満、浸漬する。コーティング材料はブタジエン-スチレンブロックコポリマー、粘着付与剤、可塑剤及びワックスを用いて配合され、コーティング材料の粘度は約500cps(180℃)である。HMPSA塊は全体がコーティング材料で覆われ、熱水形態のコーティング材料がHMPSA塊の表面上に融合する。コーティングを10秒で冷却させる。
【0047】
最終製品は実質的に不粘着形態で存在し、コーティングは更なる塗布に際して溶融タンク内にてHMPSA塊と同時に溶融することができる。
【0048】
実施例II:
使い捨て用の従来のHMPSA組成物を、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーを用いて作製した。粘着付与剤は接着のために添加し、可塑剤は製品の流動特性を調整するために添加し、抗酸化剤は熱安定性のために添加する。
【0049】
HMPSAを造粒することが可能な従来の水中ペレタイザー又は押出しラインによって、溶融形態のHMPSAを4mmのペレットへと造粒した後、10℃付近の温度の冷水中で固化する。
【0050】
15℃付近の温度にて冷却状態にあり、一時的に不粘着形態のHMPSA粒を1リットル容量の円柱状の型穴に充填する。鋳型の内面には付着防止材料がコーティングされている。
【0051】
型穴を開き、型穴の形状をした重量が約1kgのHMPSA粒を付着防止材料がコーティングされたコンベヤ上に放出する。
【0052】
HMPSA塊は強制対流式コンベヤオーブンへと運ばれ、そこで周囲温度(約25℃)及び5%相対湿度(RH)の空気が供給される。このゾーンでは、造粒プロセスから持ち越された残存する湿気又はプロセス中にHMPSA塊上にて生じる可能性のある凝縮が消散される。
【0053】
この処理後、コンベヤに残るHMPSA塊の表面温度は15℃から室温(約25℃)へと上昇し、HMPSAの温度を周囲温度と同じにすることにより、粒上での任意の更なる凝縮が抑えられる。
【0054】
HMPSA塊はコーティングゾーンへと運ばれ、そこでコーティング材料として190℃の非粘着性の高温溶融ホットメルト接着剤(HMA)で満たされた溶融ポットにHMPSA塊を2秒未満、浸漬する。コーティング材料はブタジエン-スチレンブロックコポリマー、粘着付与剤、可塑剤、ワックス及び抗酸化剤を用いて配合され、コーティング材料の粘度は約400cps(190℃)である。HMPSA塊は全体がコーティング材料で覆われ、熱水形態のコーティング材料がHMPSA塊の表面上に融合する。
【0055】
コーティングを12秒で冷却させる。最終製品は実質的に不粘着形態で存在し、コーティングは更なる塗布に際して溶融タンク内にてHMPSA塊と同時に溶融することができる。
【0056】
実施例III:
使い捨て用の従来のHMPSA組成物を、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーを用いて作製した。粘着付与剤は接着のために添加し、可塑剤は製品の流動特性を調整するために添加し、抗酸化剤は熱安定性のために添加する。
【0057】
HMPSAを造粒することが可能な従来の水中ペレタイザー又は押出しラインによって、溶融形態のHMPSAを4mmのペレットへと造粒した後、10℃付近の温度の冷水中で固化する。
【0058】
15℃付近の温度にて冷却状態にあり、一時的に不粘着形態のHMPSA粒を1リットル容量の円柱状の型穴に充填する。鋳型の内面には付着防止材料がコーティングされている。
【0059】
型穴を開き、型穴の形状をした重量が約1kgのHMPSA粒を付着防止材料がコーティングされたコンベヤ上に放出する。
【0060】
HMPSA塊は強制対流式コンベヤオーブンへと運ばれ、そこで周囲温度(約25℃)及び5%相対湿度(RH)の空気が供給される。このゾーンでは、造粒プロセスから持ち越された残存する湿気又はプロセス中にHMPSA塊上にて生じる可能性のある凝縮が消散される。
【0061】
この処理後、コンベヤに残るHMPSA塊の表面温度は15℃から室温(約25℃)へと上昇し、HMPSAの温度を周囲温度と同じにすることにより、粒上での任意の更なる凝縮が抑えられる。
【0062】
HMPSA塊はコーティングゾーンへと運ばれ、そこでコーティング材料として190℃の非粘着性の高温溶融液で満たされた溶融ポットにHMPSA塊を2秒未満、浸漬する。コーティング材料は粘度が約50cps(190℃)及びDSC融点が64℃のパラフィンワックスである。HMPSA塊は全体が熱水形態のコーティング材料で覆われ、HMPSA塊の表面上に融合する。コーティングを3秒で冷却させる。
【0063】
最終製品は実質的に不粘着形態で存在し、コーティングは塗布中に溶融タンク内にて接着剤と同時に溶融することができる。
【0064】
実施例IV:
使い捨て用の従来のHMPSA組成物を、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーを用いて作製した。粘着付与剤は接着のために添加し、可塑剤は製品の流動特性を調整するために添加し、抗酸化剤は熱安定性のために添加する。
【0065】
HMPSAを造粒することが可能な従来の水中ペレタイザー又は押出しラインによって、溶融形態のHMPSAを4mmのペレットへと造粒した後、6℃付近の温度の冷水中で固化する。
【0066】
10℃付近の温度にて冷却状態にあり、一時的に不粘着形態のHMPSA粒を1リットル容量の円柱状の型穴に充填する。鋳型の内面には付着防止材料がコーティングされている。充填操作後、HMPSA材料のより良好な包装のために、型穴内のHMPSAを付着防止コーティング処理されたピストンにて加圧する。
【0067】
型穴を開き、型穴の形状をした重量が約1kgのHMPSA粒を付着防止材料がコーティングされたコンベヤ上に放出する。
【0068】
HMPSA塊は強制対流式コンベヤオーブンへと運ばれ、そこで周囲温度(約25℃)及び5%相対湿度(RH)の空気が供給される。このゾーンでは、造粒プロセスから持ち越された残存する湿気又はプロセス中にHMPSA塊上にて生じる可能性のある凝縮が消散される。
【0069】
この処理後、コンベヤに残るHMPSA塊の表面温度は15℃から室温(約25℃)へと上昇し、HMPSAの温度を周囲温度と同じにすることにより、粒上での任意の更なる凝縮が抑えられる。
【0070】
HMPSA塊はコーティングゾーンへと運ばれ、そこでHMPSA塊の表面全体にコーティング材料として180℃の非粘着性の高温溶融液を噴霧する。コーティング材料はブタジエン-スチレンブロックコポリマー、粘着付与剤、可塑剤及びワックスを用いて配合され、コーティング材料の粘度は約500cps(180℃)である。HMPSA塊は熱水形態のコーティング材料で覆われ、HMPSA塊の表面上に融合する。コーティングを9秒で冷却させる。
【0071】
最終製品は実質的に不粘着形態で存在し、コーティングは塗布中に溶融タンク内にて接着剤と同時に溶融することができる。
【0072】
実施例V:
使い捨て用の従来のHMPSA組成物を、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーを用いて作製した。粘着付与剤は接着のために添加し、可塑剤は製品の流動特性を調整するために添加し、抗酸化剤は熱安定性のために添加する。
【0073】
HMPSAを造粒することが可能な従来の水中ペレタイザー又は押出しラインによって、溶融形態のHMPSAを4mmのペレットへと造粒した後、6℃付近の温度の冷水中で固化する。
【0074】
10℃付近の温度にて冷却状態にあり、一時的に不粘着形態のHMPSA粒を1リットル容量の円柱状の型穴に充填する。鋳型の内面には付着防止材料がコーティングされている。充填操作後、HMPSA材料のより良好な包装のために、型穴内のHMPSAを付着防止コーティング処理されたピストンにて加圧する。
【0075】
型穴を開き、型穴の形状をした重量が約1kgのHMPSA粒を付着防止材料がコーティングされたコンベヤ上に放出する。
【0076】
HMPSA塊は強制対流式コンベヤオーブンへと運ばれ、そこで周囲温度(約25℃)及び5%相対湿度(RH)の空気が供給される。このゾーンでは、造粒プロセスから持ち越された残存する湿気又はプロセス中にHMPSA塊上にて生じる可能性のある凝縮が消散される。
【0077】
この処理後、コンベヤに残るHMPSA塊の表面温度は15℃から室温(約25℃)へと上昇し、HMPSAの温度を周囲温度と同じにすることにより、粒上での任意の更なる凝縮が抑えられる。
【0078】
HMPSA塊はコーティングゾーンへと運ばれ、そこでHMPSA塊の表面全体にコーティング材料として170℃の非粘着性の高温溶融液を噴霧する。コーティング材料はASTM D 1238に準拠したメルトインデックスが500g/10分であり、酢酸ビニル含量が18質量%であり、DSC融点が86℃のEVAコポリマーである。HMPSA塊はコーティング材料で覆われ、コーティング材料はHMPSA塊の表面と十分に相互作用している。コーティングを1秒で冷却させる。
【0079】
最終製品は実質的に不粘着形態で存在し、コーティングは塗布中に溶融タンク内にて接着剤と同時に溶融することができる。
図1