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▶ 石田 寛敏の特許一覧

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  • 特許-PTP包装体構造 図1
  • 特許-PTP包装体構造 図2
  • 特許-PTP包装体構造 図3
  • 特許-PTP包装体構造 図4
  • 特許-PTP包装体構造 図5
  • 特許-PTP包装体構造 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】PTP包装体構造
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/02 20060101AFI20220622BHJP
   A61J 1/03 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
A61J7/02
A61J1/03 370
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017198301
(22)【出願日】2017-10-12
(65)【公開番号】P2019071950
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】517357697
【氏名又は名称】石田 寛敏
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
(72)【発明者】
【氏名】石田 寛敏
(72)【発明者】
【氏名】本多 隆史
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-185267(JP,A)
【文献】特開2013-031638(JP,A)
【文献】特許第2796387(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2017/0194961(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/02
A61J 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTP包装体の薬取り出し口に対向させて、可撓性を有し他端部が固定された絶縁体の一端部を介在させた可撓性を有する導電体が設けられ、薬の取り出し時に該薬に押圧されて前記絶縁体の一端部が前記導電体間から除去されて、該導電体間に通電回路を形成することを特徴とするPTP包装体構造。
【請求項2】
前記通電回路がRFIDであることを特徴とする請求項1に記載のPTP包装体構造。
【請求項3】
前記通電回路がアンテナであることを特徴とする請求項1に記載のPTP包装体構造。
【請求項4】
電池を有することを特徴とする請求項1、2または3に記載のPTP包装体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTP包装体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療現場において多くのPTP錠剤が患者に処方及び提供されている。しかし、医師が処方及び提供した薬を患者が医師の指示通りに服用したか、否か、は患者に確認することで行われている。
【0003】
しかしながら、患者が薬の服用を忘れていたり、服用していないにも関わらず服用していると報告する場合もある。このような場合に、医師は処方した薬が適切でなかったと判断して新たな薬を処方することが考えられる。このような事態は患者の病気治療に悪影響を与える可能性があるとともに医療費の高騰を招く怖れがある。
【0004】
前記事情に鑑み、従来、RFIDとRFIDタグから情報を読み取るリーダライタとを備えた薬剤管理システムが提案されている。該薬剤管理システムにおいて、RFIDタグは、格子状に配置された複数のセルを有する薬剤用パッケージに実装されていた。各セルは、破断可能壁およびこの破断可能壁に設けられた切断可能導線によって密閉されている。RFIDタグは、切断可能導線の断線を検知してセルに穴か開いたことを検知し、このことから各セルに入っている薬がどのくらい使用されたかを監視していた。このように薬剤管理システムにおいては、RFIDが監視して得た監視情報をリーダライタで読み取り、薬の服用管理することが提案されている(特許文献1)。
【0005】
前記提案では、セルの数に応じて切断可能導線が多くなり、この配線の数の増加に伴って切断可能導線の幅を細くする必要があるため、RFIDタグとの接続部分に応力が加わると切断可能導線が断線しやすくなり、この結果、薬の服用数を検知するときの信頼性が低くなるという課題に鑑み、第1の切断可能導線と第2の切断可能導線のいずれか1つの結線が切断されるごとにサブキャリアの周波数を変化させる薬剤包装材が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2005-539300号公報
【文献】特開2010-75227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来の薬剤管理システムおよび薬剤包装材は、いずれも薬の取出し(服用)時に切断可能導線が切断され、該切断可能導線の切断を検知して薬の取出し(服用)を確認する構成である。すなわち、前記切断可能導線に常に電流を供給して、断線に伴う供給電流の遮断を検知して薬の取出し(服用)の情報を得るものである。したがって、電流の供給管理に十分に留意する必要があった。
【0008】
本発明は前述のような従来の問題点を解消するものであり、常に電流を供給する必要がなく、薬の取出し(服用)時に自動的に電流が供給されてリアルタイムに薬の取出し(服用)検知でき、したがって、電流の供給管理に留意する必要がないPTP包装体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るPTP包装体構造は、PTPの薬取り出し口に対向させて、可撓性を有し他端部が固定された絶縁体の一端部を介在させた可撓性を有する導電体が設けられ、薬の取り出し時に該薬に押圧されて前記絶縁体の一端部が前記導電体間から除去されて、該導電体間に通電回路を形成することを特徴とする(請求項1)。
【0010】
前記PTP包装体構造による薬の取出し(服用)情報は、該PTP包装体構造に近接して配置したリーダライタからの電波により前記PTP包装体構造の通電回路が反応し、該通電回路の情報をリーダライタが読み取って薬の服用管理及び指導等が行われる。ここでは前記PTP包装体構造とリーダライタとが無接触の状態で情報の交換が行われPTP包装構造は電池を必要としない。
【0011】
本発明の実施の一形態は、前記通電回路がRFIDであることを特徴とする(請求項2)。この実施の一形態によれば、薬およびその服用に関する情報、患者およびその他の情報をRFIDに記録しておくことにより、リーダライタにより前記の情報を読み取って服用管理及び指導等が行われる。
【0012】
本発明の実施の一形態は、前記通電回路がアンテナであることを特徴とする(請求項3)。この実施の一形態によれば、薬の取出し(服用)情報をアンテナを介して電波により隣室、薬局、病院、その他情報を必要とする各所に送ることができる。
【0013】
本発明の実施の一形態は、前記PTP包装体構造が電池を有することを特徴とする(請求項4)。この実施の一形態によれば、薬の取出し(服用)情報を各種の通信手段を用いて直接、隣室、薬局、病院、その他の各所に送ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、常に電流を供給する必要がなく、薬の取出し(服用)を検知でき、したがって、電流の供給管理に留意をする必要がない効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の一形態を示すPTP包装体構造の説明図である。
図2図1のPTP包装体構造から薬を取り出した状態を示す説明図である。
図3】通電回路の一実施例を示す説明図である。
図4】PTP包装体の断面図である。
図5】PTPシートの斜視図である。
図6】通電回路の一実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の一形態について説明する。 図5はPTPシート5であり、その表面には複数のPTP包装体21が並列配置されている。
【0017】
PTP包装体21は、図4に示すように、錠剤22が置かれる底部シート23と該底部シート23上に置かれた前記錠剤22を上方から包み込む半円状部を有する上部シート24とで構成されている。
【0018】
前記底部シート23はアルミ箔などの容易に破ることができる素材であり、前記上部シート24を指で押圧すると錠剤22の下降によって破れて該錠剤22を取り出すことができる。したがって、前記錠剤22の取出し口25は底部シート23部である。
【0019】
本発明のPTP包装構造体Aは、図1に示すように、前記PTP包装体21の錠剤22の取り出し口25に対向させて、絶縁体1の一端部1aを介在させた可撓性を有する導電体2、2が設けられる。前記絶縁体1は可撓性のシート等からなり、その一端部1a が前記導電体2、2の間から抜き取りできるように挟持されている。一方、絶縁体1の他端部1bは固定されている。なお、導電体2、2は線体であってもよい。図中、3、3は配線である。
【0020】
図2に前記PTP包装体21から錠剤22を取り出す状態を示す。該錠剤22の取り出しは、前記PTP包装体21を形成する上部シート24を指で押圧することによって行われる。
【0021】
本発明では、前記PTP包装体21の上部シート24を指で押圧すると、内部の錠剤22がPTP包装体21の底部シート23を破り、同時に取出し口25が形成される。続いて錠剤22が前記絶縁体1と導電体2、2との重合部を押圧する。
【0022】
その結果、前記絶縁体1と前記導電体2、2との重合部が下方に撓み前記導電体2、2間に挟持されていた絶縁体1の一端部1aが前記導電体2、2間から抜き取られ導電体2、2が接続して図3に示す通電回路4が形成される。
【0023】
同時に前記錠剤22が前記絶縁体1と前記導電体2、2間に形成された隙間から錠剤22が外へ取り出されて服用が行われる。すなわち、前記導電体2、2の接続によって薬の取出し(服用)が確認される。
【0024】
つぎに、前記PTP包装体構造が電池を有する実施の一形態を説明する。この実施例では、図6に示すように、前記図3に示した通電回路中に電池6が介在させられる。同図中の他の符号は図3と同様である。
【0025】
なお、前記通電回路4は、薬の取出し(服用)の検知に限らず、RFID、アンテナ、その他目的に応じて機能を発揮するものでもよい。図3及び図6において、1が絶縁体、2、2が導電体、3、3が配線である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
常に電流を供給する必要がなく、薬の取出し(服用)をリアルタイムに検知することが可能でありPTP包装体構造として有用である。なお、本発明のPTP包装体構造は再利用も可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 絶縁体2、2 導電体3、3 配線4 通電回路5 PTPシート6 電池21 PTP包装体25 薬の取出し口A PTP包装体構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6