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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】資産情報収集装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20220622BHJP
   G06F 21/62 20130101ALI20220622BHJP
【FI】
G06Q40/06
G06F21/62 354
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017216925
(22)【出願日】2017-11-10
(65)【公開番号】P2019087173
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100080953
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 克郎
(72)【発明者】
【氏名】赤金 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】藪 智貴
(72)【発明者】
【氏名】横田 真之介
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-133879(JP,A)
【文献】特開2014-192707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 21/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のユーザ端末によって、複数の第1サーバに記憶された複数の資産情報が閲覧される場合に、前記複数の資産情報から特定の個人が識別できないように前記複数の第1サーバにより前記複数の資産情報を匿名加工させて複数の匿名資産情報を生成させ、前記複数の第1サーバから前記複数の匿名資産情報を受信する第1受信部と、
前記1又は複数のユーザ端末を用いる1又は複数のユーザと対応し、特定の個人が識別できない1又は複数の識別子を、前記複数の第1サーバから受信する第2受信部であって、前記1又は複数のユーザ端末が、第2サーバにアクセスする場合に、前記1又は複数のユーザ端末から送信された前記1又は複数の識別子を、前記第2サーバを介して受信する第2受信部と、
前記複数の匿名資産情報と、前記1又は複数の識別子とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記1又は複数の識別子に関連付けられた前記複数の匿名資産情報を、前記第2サーバに送信する送信部と、
を備える資産情報収集装置。
【請求項2】
前記複数の匿名資産情報は、資産の種類毎に算出されたスコアをそれぞれ含む、
請求項1に記載の資産情報収集装置。
【請求項3】
前記複数の匿名資産情報は、資産の種類毎に算出されたスコアを総合した総合スコアをそれぞれ含む、
請求項1又は2に記載の資産情報収集装置。
【請求項4】
前記複数の匿名資産情報は、前記総合スコアの算出に用いられた前記スコアの数に応じて、前記総合スコアの信頼性を評価した信頼度をそれぞれ含む、
請求項3に記載の資産情報収集装置。
【請求項5】
前記第2サーバは、前記送信部から送信される前記1又は複数の識別子に関連付けられた前記複数の匿名資産情報に応じてサービスを提供するサーバである、
請求項1から4のいずれか一項に記載の資産情報収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資産情報収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、個人が所有する資産に関する情報は、当該個人の許可無く第三者が閲覧できないように、資産情報を保有する金融機関によって厳重に管理されている。
【0003】
資産情報を所定の場合に開示することについて、下記特許文献1には、顧客の資産情報の入力を受け付け、資産情報および取得された金融口座の残高に基づいて資産リストを作成し、登録された資産リストを顧客からの要求によりまたは所定のタイミングで、当該顧客の端末装置へ送信する資産管理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-156976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、個人情報の保護に関する法律が改正されたことに伴い、資産情報を含む様々な個人情報に匿名加工処理を施すことで、当該個人の同意無く、匿名加工した個人情報を第三者に提供することが可能となった。これにより、複数の金融機関は、顧客の資産情報に匿名加工を施すことで、匿名加工した資産情報を第三者に提供することができる。
【0006】
ここで、資産情報は、個人が所有する資産のほとんど全部に関して得られることが望ましい。例えば、ある個人は資産のほとんどを預金として保有し、他の個人は資産のほとんどを有価証券として保有する場合、預金に関する情報だけを比較可能としても、資産状況を適切に比較することができず、有用性が乏しいからである。
【0007】
しかしながら、金融機関は、他の金融機関が保有する資産情報を閲覧することはできないし、匿名加工した資産情報であっても入手することが容易でない。そのため、匿名加工した資産情報を同意無く第三者に提供できるようになった現在でも、資産情報の活用は難しい。
【0008】
そこで、本発明は、資産情報の活用を円滑化する資産情報収集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る資産情報収集装置は、1又は複数のユーザ端末によって、複数の第1サーバに記憶された複数の資産情報が閲覧される場合に、複数の資産情報から特定の個人が識別できないように複数の第1サーバにより複数の資産情報を匿名加工させて複数の匿名資産情報を生成させ、複数の第1サーバから複数の匿名資産情報を受信する第1受信部と、1又は複数のユーザ端末を用いる1又は複数のユーザと対応し、特定の個人が識別できない1又は複数の識別子を、複数の第1サーバから受信する第2受信部と、複数の匿名資産情報と、1又は複数の識別子とを関連付けて記憶する記憶部と、を備える。
【0010】
この態様によれば、複数の資産情報が記憶された複数の第1サーバにわたって複数の匿名資産情報を受信し、それらを1又は複数の識別子と関連付けて記憶することで、様々な資産情報を、第三者に提供可能な匿名加工した状態で記憶することができ、資産情報の活用を円滑化することができる。
【0011】
また、上記態様において、複数の匿名資産情報は、資産の種類毎に算出されたスコアをそれぞれ含んでもよい。
【0012】
この態様によれば、1又は複数のユーザが、どのような種類の資産をどの程度保有しているかを把握することができ、資産の種類毎に資産状況を比較することができる。
【0013】
また、上記態様において、複数の匿名資産情報は、資産の種類毎に算出されたスコアを総合した総合スコアをそれぞれ含んでもよい。
【0014】
この態様によれば、1又は複数のユーザが、どの程度の総資産を保有しているかを把握することができ、総資産状況を比較することができる。
【0015】
また、上記態様において、複数の匿名資産情報は、総合スコアの算出に用いられたスコアの数に応じて、総合スコアの信頼性を評価した信頼度をそれぞれ含んでもよい。
【0016】
この態様によれば、総資産に関する匿名資産情報がそのユーザの総資産状況を正しく反映したものであるか否かを併せて確認することができ、総資産状況の比較をより正確に行うことができる。
【0017】
また、上記態様において、第2受信部は、1又は複数のユーザ端末が、第2サーバにアクセスする場合に、1又は複数のユーザ端末から送信された1又は複数の識別子を、第2サーバを介して受信し、1又は複数の識別子に関連付けられた複数の匿名資産情報を、第2サーバに送信する送信部をさらに備えてもよい。
【0018】
この態様によれば、ユーザ端末によって第2サーバにアクセスがあった場合に、匿名資産情報を第2サーバに提供することができ、第2サーバによってユーザの資産状況に応じたサービスが提供されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、資産情報の活用を円滑化する資産情報収集装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る資産情報収集装置のネットワーク構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る資産情報収集装置の機能ブロックを示す図である。
図3】本実施形態に係る資産情報収集装置の物理的構成を示す図である。
図4】本実施形態に係る資産情報収集装置に収集される匿名資産情報及び識別子の概要を示す図である。
図5】本実施形態に係る資産情報収集装置により実行される第1処理のフローチャートである。
図6】本実施形態に係る資産情報収集装置により実行される第2処理のフローチャートである。
図7】本実施形態に係る資産情報収集装置により実行される第3処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る資産情報収集装置10のネットワーク構成を示す図である。資産情報収集装置10は、通信ネットワークNを介して、第1サーバ20及び第2サーバ30と接続される。第1サーバ20は、金融機関等のサーバであり、個人の資産情報を記憶するサーバである。本例では、第1サーバ20として、A証券会社サーバ20aと、B銀行サーバ20bと、を例示している。第1サーバ20は、これらの他に、例えば個人が保有する不動産に関する情報を記憶したサーバや、個人が加入している保険に関する情報を記憶したサーバが含まれてよい。すなわち、資産情報は、預金や有価証券等の金融資産に関する情報の他、保険に関する情報や、土地及び家屋等の不動産に関する情報を含んでよい。また、資産情報は、個人の負債に関する情報を含んでもよい。
【0023】
第2サーバ30は、個人に対して様々なサービスを提供するサーバであり、本例では、C証券会社サーバ30aと、D社EC(Electronic Commerce)サーバ30bと、が含まれる。ここで、C証券会社サーバ30aは、個人の資産情報を記憶するサーバでもあり、第1サーバ20にも含まれる。D社ECサーバ30bは、様々な電子商取引サービスを提供するサーバである。
【0024】
ユーザ端末40は、個人が使用するPC(Personal Computer)、スマートフォン及びタブレット端末等を含み、本例では、第1ユーザ端末40aと、第2ユーザ端末40bと、を含む。
【0025】
個人は、ユーザ端末40を用いて、第1サーバ20に記憶された自身の資産情報を閲覧することができる。この際、資産情報収集装置10は、匿名加工された資産情報を第1サーバ20から収集する。また、個人は、ユーザ端末40を用いて、第2サーバ30にアクセスして様々なサービスの提供を受けることができる。この際、資産情報収集装置10は、匿名加工された資産情報を第2サーバ30に送信することができる。これにより、第2サーバ30は、アクセスしているユーザの資産状況に応じた広告の表示、商品の推薦等を行うことができる。
【0026】
図2は、本発明の実施形態に係る資産情報収集装置10の機能ブロックを示す図である。資産情報収集装置10は、第1受信部11、第2受信部12、記憶部13及び送信部14を備える。
【0027】
第1受信部11は、複数の第1サーバ20から複数の匿名資産情報を受信する。ここで、複数の匿名資産情報は、1又は複数のユーザ端末40によって、複数の第1サーバ20に記憶された複数の資産情報が閲覧される場合に、複数の資産情報から特定の個人が識別できないように複数の第1サーバ20により複数の資産情報を匿名加工させて生成されるものである。本例の場合、第1受信部11は、A証券会社サーバ20aから有価証券の保有数や時価に関する匿名資産情報を受信し、B銀行サーバ20bから預金残高に関する匿名資産情報を受信する。
【0028】
資産情報の匿名加工は、記憶部13に記憶された収集プログラムD3(例えばJavaScript(登録商標))を第1サーバ20に配布し、第1サーバ20によって行われてよい。収集プログラムD3は、例えば、第1サーバ20のウェブページを記述したHTMLファイルの中に収集プログラムD3を起動するためのタグが埋め込まれて、ユーザ端末40によって第1サーバ20のウェブページが閲覧される場合に収集プログラムD3が呼び出されることで実行されてよい。収集プログラムD3は、ウェブページの閲覧をきっかけに実行されて、資産情報に関連する数値を抽出して、特定の個人が識別できないように匿名加工する。なお、収集プログラムD3は、必ずしも記憶部13に記憶されていなくてもよく、第1サーバ20のみに記憶されていてもよいし、その他の装置に記憶されていてもよい。
【0029】
ここで、資産情報に関連する数値は、預金残高、有価証券の保有数や時価、保険の掛け金や積立金額、不動産の評価額及び負債額等の数値を含んでよい。収集プログラムD3は、資産情報に関連する数値を抽出し、数値の多寡に応じて資産情報を10段階のスコアに変換してよい。収集プログラムD3は、例えば、資産情報に関連する数値が10の区間のうちいずれに属するか判定して、資産情報に関連する数値を10段階のスコアに変換してよい。また、収集プログラムD3は、平均資産総額やインフレ率等の統計情報に応じてスコア化に用いる区間を設定して、経済状況の変化に応じてスコアが適切に変化するようにしてもよい。なお、スコア化に用いる区間は、手動で設定されてもよい。収集プログラムD3は、資産情報に関連する数値をスコアに変換する場合に、資産の種類に応じて異なるアルゴリズムを用いてよい。収集プログラムD3は、プラスの値とマイナスの値でスコアを算出することとしてもよく、預金残高、有価証券の保有数や時価、保険の掛け金や積立金額及び不動産の評価額等の数値をプラスのスコアに変換し、負債額等の数値をマイナスのスコアに変換することとしてもよい。
【0030】
第2受信部12は、1又は複数のユーザ端末40を用いる1又は複数のユーザと対応し、特定の個人が識別できない1又は複数の識別子を、複数の第1サーバ20から受信する。本例の場合、第2受信部12は、A証券会社サーバ20aから第1ユーザ端末40aのユーザと対応した識別子を受信し、B銀行サーバ20bからも第1ユーザ端末40aのユーザと対応した識別子を受信する。
【0031】
識別子は、第1サーバ20のウェブページに埋め込まれた収集プログラムD3によって生成されてよい。収集プログラムD3は、第1サーバ20にアクセスしている第1ユーザ端末40aのIPアドレス等に基づいて、第1ユーザ端末40aのユーザと対応した識別子を生成してよい。この場合、第1サーバ20は、生成した識別子を、資産情報収集装置10に送信するとともに、第1ユーザ端末40aにも送信する。識別子は、例えば、第1ユーザ端末40aにおいてウェブブラウザで管理されるHTTPクッキーとすることができる。
【0032】
また、識別子は、ユーザ端末40から第1サーバ20に送信されるものであってもよい。この場合、ユーザ端末40のユーザは、予め識別子を生成して複数の端末について同一の識別子を使用することができる。これにより、ユーザが使用する端末を変更した場合にも、同一の識別子を使用することができ、端末の変更により資産情報収集装置10によって異なるユーザと認識される不都合が無くなる。
【0033】
記憶部13は、複数の匿名資産情報D1と、1又は複数の識別子D2とを関連付けて記憶する。本例の場合、記憶部13は、第1ユーザ端末40aについて生成された識別子と、A証券会社サーバ20aから受信した匿名資産情報及びB銀行サーバ20bから受信した匿名資産情報と、を関連付けて記憶する。
【0034】
このように、複数の資産情報が記憶された複数の第1サーバ20にわたって複数の匿名資産情報を受信し、それらを1又は複数の識別子と関連付けて記憶することで、様々な資産情報を、第三者に提供可能な匿名加工した状態で記憶することができ、資産情報の活用を円滑化することができる。
【0035】
第2受信部12は、1又は複数のユーザ端末40が、第2サーバ30にアクセスする場合に、1又は複数のユーザ端末40から送信された1又は複数の識別子を、第2サーバ30を介して受信してよい。この場合、送信部14は、1又は複数の識別子に関連付けられた複数の匿名資産情報を、第2サーバ30に送信する。本例の場合、第1ユーザ端末40aによってD社ECサーバ30bにアクセスする際に、第1ユーザ端末40aからD社ECサーバ30bに識別子が送信され、当該識別子がD社ECサーバ30bから情報収集装置10に送信される。識別子を受信した情報収集装置10は、記憶部13を検索し、受信した識別子に関連付けられた匿名資産情報を抽出し、D社ECサーバ30bに返送する。D社ECサーバ30bは、受信した匿名資産情報を利用して、広告や推薦する商品の選択を行うことができる。なお、ユーザ端末40のウェブブラウザから第2サーバ30への識別子の送信は、HTTPクッキー等を用いて行われてよい。
【0036】
本実施形態に係る資産情報収集装置10によれば、ユーザ端末40によって第2サーバ30にアクセスがあった場合に、匿名資産情報を第2サーバ30に提供することができ、第2サーバ30によってユーザの資産状況に応じたサービスが提供されるようにすることができる。
【0037】
図3は、本実施形態に係る資産情報収集装置10の物理的な構成を示す図である。資産情報収集装置10は、ハードウェアプロセッサに相当するCPU(Central Processing Unit)10aと、メモリに相当するRAM(Random Access Memory)10bと、メモリに相当するROM(Read only Memory)10cと、通信部10dと、入力部10eと、表示部10fとを有する。これら各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例では資産情報収集装置10が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、資産情報収集装置10は、複数のコンピュータを用いて実現されてもよい。
【0038】
CPU10aは、RAM10b又はROM10cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。CPU10aは、匿名加工された資産情報を収集するプログラム(資産情報収集プログラム)を実行する演算装置である。CPU10aは、入力部10eや通信部10dから種々の入力データを受け取り、入力データの演算結果を表示部10fに表示したり、RAM10bやROM10cに格納したりする。
【0039】
RAM10bは、データの書き換えが可能な記憶部であり、例えば半導体記憶素子で構成される。RAM10bは、CPU10aが実行するアプリケーション等のプログラムやデータを記憶する。
【0040】
ROM10cは、データの読み出しのみが可能な記憶部であり、例えば半導体記憶素子で構成される。ROM10cは、例えばファームウェア等のプログラムやデータを記憶する。
【0041】
通信部10dは、資産情報収集装置10を通信ネットワークに接続するインターフェースであり、例えば、有線又は無線回線のデータ伝送路により構成されたLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信ネットワークNに接続される。
【0042】
入力部10eは、ユーザからデータの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルを含む。
【0043】
表示部10fは、CPU10aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成される。
【0044】
資産情報収集プログラムは、RAM10bやROM10c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部10dにより接続される通信ネットワークNを介して提供されてもよい。資産情報収集装置10では、CPU10aが資産情報収集プログラムを実行することにより、図2を用いて説明した様々な機能が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、資産情報収集装置10は、CPU10aとRAM10bやROM10cが一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
【0045】
図4は、本実施形態に係る資産情報収集装置10に収集される匿名資産情報D1及び識別子D2の概要を示す図である。本例では、2名のユーザに対応する識別子D2と、それぞれの識別子D2に関連付けられた複数の匿名資産情報D1とを例示している。
【0046】
本例の識別子D2は、「abcd」という第1ユーザに対応する識別子と、「wxyz」という第2ユーザに対応する識別子と、を含む。なお、識別子は、必ずしも英字で構成されたものでなくてもよく、数字や任意の文字を含むものであってよい。
【0047】
本例の匿名資産情報D1は、業種D1a、資産情報の収集がされた金融機関名D1b、資産の種類毎に算出された個別スコアD1c、資産の種類毎に算出されたスコアを総合した総合スコアD1d及び信頼度D1eを含む。業種D1aは、資産情報の収集がされた金融機関の業種であり、本例の場合、「abcd」という識別子に対応する第1ユーザについて、「銀行」1行と「証券」2社について資産情報が収集されていることが確認できる。また、「wxyz」という識別子に対応する第2ユーザについて、「証券」1社について資産情報が収集されていることが確認できる。
【0048】
金融機関名D1bは、資産情報の収集がされた金融機関の名称である。本例では、B銀行サーバ20bから収集された資産情報について「B銀行」と示され、A証券会社サーバ20aから収集された資産情報について「A証券会社」と示され、C証券会社サーバ30aから収集された資産情報について「C証券会社」と示されている。なお、金融機関名D1bは、必ずしも匿名資産情報D1に含まれなくてもよいが、金融機関名D1bが匿名資産情報D1に含まれていることで、どのような金融機関によってどの程度の資産が管理されているのかを比較することができるようになる。
【0049】
個別スコアD1cは、資産の種類毎に算出されたスコアである。本例では、異なる金融機関から収集された資産情報毎に個別スコアD1cが算出されており、第1ユーザについて、業種「銀行」、金融機関名「B銀行」に関する個別スコアが「10」であり、業種「証券」、金融機関名「A証券会社」に関する個別スコアが「5」であり、業種「証券」、金融機関名「C証券会社」に関する個別スコアが「1」である。また、第2ユーザについて、業種「証券」、金融機関名「C証券会社」に関する個別スコアが「6」である。なお、個別スコアD1cは、保険、不動産及び負債等について算出されたスコアを含んでもよい。
【0050】
このように、個別スコアD1cを収集することで、1又は複数のユーザが、どのような種類の資産をどの程度保有しているかを把握することができ、資産の種類毎に資産状況を比較することができる。
【0051】
総合スコアD1dは、個別スコアD1cを総合したスコアであり、例えば個別スコアD1cの平均値により算出したり、個別スコアD1cの重み付け平均値により算出したりしてよい。本例の場合、第1ユーザについて、総合スコアは「5」であり、第2ユーザについて、総合スコアは「7」である。
【0052】
このように、総合スコアD1dを算出することで、1又は複数のユーザが、どの程度の総資産を保有しているかを把握することができ、総資産状況を比較することができる。また、匿名資産情報D1を第三者に提供する場合に、個別スコアD1cを提供せず、総合スコアD1dを提供することで、個人の識別がより困難となるようにして、提供にあたっての個人の抵抗感を軽減することができる。
【0053】
信頼度D1eは、総合スコアD1dの算出に用いられた個別スコアの数に応じて、総合スコアの信頼性を評価した値である。信頼度D1eは、総合スコアD1dの算出に用いられた個別スコアの数が多いほど高い値となるように算出されてよい。ここで、個別スコアの数とは、個別スコアの値自体ではなく、区別可能に記憶された個別スコアのデータ数を意味する。本例の場合、第1ユーザの総合スコアは、3つの個別スコアを用いて算出されており、第1ユーザの保有する総資産の状況を適切に反映していると評価されたため、信頼度は、「A」という高い信頼性を表す評価となっている。一方、第2ユーザの総合スコアは、単一の個別スコアを用いて算出されており、第2ユーザの保有する総資産の状況を適切に反映できていないと評価されたため、信頼度は、「C」という低い信頼性を表す評価となっている。なお、信頼度は、3段階等の段階的評価値であってもよいし、連続的な評価値であってもよい。なお、信頼度D1eは、資産情報が取得されたタイミングに基づいて、総合スコアの信頼性を評価した値を含んでもよい。例えば、資産情報の取得時期が現在に近いほど総合スコアの信頼性が高いと評価してもよい。
【0054】
信頼度D1eを示すことで、総資産に関する匿名資産情報がそのユーザの総資産状況を正しく反映したものであるか否かを併せて確認することができ、総資産状況の比較をより正確に行うことができる。
【0055】
図5は、本実施形態に係る資産情報収集装置10により実行される第1処理のフローチャートである。第1処理は、第1サーバ20によって識別子を生成し、第1サーバ20から匿名資産情報及び識別子を収集する処理である。
【0056】
ユーザ端末40によって第1サーバ20に記憶された資産情報が閲覧されると(S10)、第1サーバ20のウェブページに埋め込まれた収集プログラムD3のタグによって収集プログラムD3が呼び出されて、ユーザ端末40に対して識別子が付与済みであるか否かが判定される(S11)。ユーザ端末40に対して識別子が付与されていない場合(S11:NO)、第1サーバ20のウェブページに埋め込まれたタグによって呼び出された収集プログラムD3によって、ユーザ端末40のユーザに対応する識別子が生成される(S12)。一方、ユーザ端末40に対して識別子が付与済みである場合、既に付与した識別子を特定する。
【0057】
その後、資産情報収集装置10は、第1サーバ20により生成又は特定された識別子を、第1サーバ20から受信する(S13)。第1サーバ20のウェブページに埋め込まれたタグによって呼び出された収集プログラムD3は、ユーザ端末40によって閲覧されている資産情報を匿名加工して、匿名資産情報を生成する(S14)。そして、資産情報収集装置10は、第1サーバ20により生成された匿名資産情報を、第1サーバ20から受信する(S15)。
【0058】
最後に、資産情報収集装置10は、第1サーバ20から受信した匿名資産情報と識別子を関連付けて、記憶部13に記憶する(S16)。以上により第1処理が終了する。
【0059】
図6は、本実施形態に係る資産情報収集装置10により実行される第2処理のフローチャートである。第2処理は、ユーザ端末40側で用意された識別子と、第1サーバ20により生成された匿名資産情報とを、第1サーバ20から収集する処理である。
【0060】
ユーザ端末40によって第1サーバ20に記憶された資産情報が閲覧されると(S20)、情報収集装置10は、ユーザ端末40から第1サーバ20に送信された識別子を、第1サーバ20から受信する(S21)。
【0061】
第1サーバ20のウェブページに埋め込まれたタグによって呼び出された収集プログラムD3は、ユーザ端末40によって閲覧されている資産情報を匿名加工して、匿名資産情報を生成する(S22)。そして、資産情報収集装置10は、第1サーバ20により生成された匿名資産情報を、第1サーバ20から受信する(S23)。
【0062】
最後に、資産情報収集装置10は、第1サーバ20から受信した匿名資産情報と識別子を関連付けて、記憶部13に記憶する(S24)。以上により第2処理が終了する。
【0063】
図7は、本実施形態に係る資産情報収集装置10により実行される第3処理のフローチャートである。第3処理は、ユーザに様々なサービスを提供する第2サーバ30に対して、匿名資産情報を提供する処理である。
【0064】
ユーザ端末40によって第2サーバ30へのアクセスがされ(S30)、ユーザ端末40から第2サーバ30に対して識別子が送信されると(S31)、情報収集装置10は、ユーザ端末40から第2サーバ30に送信された識別子を、第2サーバ30から受信する(S32)。
【0065】
情報収集装置10は、受信した識別子に関連付けられた匿名資産情報を抽出する(S33)。本例では、匿名資産情報に資産の種類毎に算出された個別スコアが含まれているものとする。情報収集装置10は、資産の種類毎に算出された個別スコアを総合した総合スコアを算出する(S34)。なお、総合スコアは、予め算出されて記憶部13に記憶されていてもよい。
【0066】
情報収集装置10は、第2サーバ30に対して個別スコアを送信しないか否かを判定する(S35)。個別スコアを送信しないか否かは、第2サーバ30の提供するサービスの態様に応じて判定されてもよいし、所定の規則に従って判定されてもよいし、第2サーバ30からのリクエスト内容に基づいて判定されてもよい。個別スコアを送信しないと判定されない場合(S35:NO)、すなわち個別スコアを送信する場合、情報収集装置10は、個別スコア、総合スコア及び信頼度を第2サーバ30に送信する(S36)。一方、個別スコアを送信しない場合(S35:YES)、情報収集装置10は、総合スコア及び信頼度を第2サーバ30に送信する(S37)。以上により第3処理が終了する。
【0067】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
10…資産情報収集装置、10a…CPU、10b…RAM、10c…ROM、10d…通信部、10e…入力部、10f…表示部、11…第1受信部、12…第2受信部、13…記憶部、14…送信部、20…第1サーバ、20a…A証券会社サーバ、20b…B銀行サーバ、30…第2サーバ、30a…C証券会社サーバ、30b…D社ECサーバ、40…ユーザ端末、40a…第1ユーザ端末、40b…第2ユーザ端末、D1…匿名資産情報、D1a…業種、D1b…金融機関名、D1c…個別スコア、D1d…総合スコア、D1e…信頼度、D2…識別子、D3…収集プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7