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  • 特許-水処理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】水処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20220622BHJP
   B01D 61/04 20060101ALI20220622BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20220622BHJP
   C02F 1/42 20060101ALI20220622BHJP
   B01D 24/00 20060101ALI20220622BHJP
   B01D 24/46 20060101ALI20220622BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20220622BHJP
   C02F 9/02 20060101ALI20220622BHJP
   C02F 9/04 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
C02F1/44 A
B01D61/04
C02F1/28 D
C02F1/42 A
B01D29/08 520A
B01D29/08 540A
B01D29/38 510B
B01D29/38 520A
C02F9/02
C02F9/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018039328
(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公開番号】P2018144032
(43)【公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-02-17
(31)【優先権主張番号】17159395.7
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517289480
【氏名又は名称】ベー・ブラウン・アヴィトゥム・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】B. BRAUN AVITUM AG
【住所又は居所原語表記】SCHWARZENBERGER WEG 73‐79, 34212 MELSUNGEN, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】クリス・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス・ステプトー
(72)【発明者】
【氏名】ビヨルン・ブレーカー
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-212504(JP,A)
【文献】特開2012-217975(JP,A)
【文献】特開2016-022447(JP,A)
【文献】特開2013-085983(JP,A)
【文献】特開平11-244852(JP,A)
【文献】中国実用新案第201873580(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/22、61/00-71/82
C02F1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給源に接続された原水タンクと
原水供給ラインを介して前記原水タンクから導入される水から精製水を作り出すように構成された逆浸透ユニットと
前記原水タンクの下流側、かつ、前記逆浸透ユニットの上流側で、前記原水供給ラインに沿って配設された少なくとも1つの水処理設備であって、軟水化プラント、逆洗可能を有する活性カーボンフィルタ、および/または、サンドフィルタ、の少なくとも1つまたはそれ以上を含む少なくとも1つの水処理設備と、そして
利用の必要性に応じて、
a)前記逆浸透ユニットからの排水の濃度が設定レベル未満であることが検出された場合に、前記逆浸透ユニットからの逆浸透排水として収集される中水、および、
b)前記活性カーボンフィルタの逆洗サイクルから収集される水、
を、前記軟水化プラントにおける軟水化剤の再生、前記活性カーボンフィルタの逆洗、または、前記サンドフィルタの洗い流し、における再利用のために供給する再利用水フィードバックラインと、を備える水処理システム。
【請求項2】
軟水化プラント、逆洗可能を有する活性カーボンフィルタ、および/または、サンドフィルタ、の少なくとも1つまたはそれ以上を含む前記少なくとも1つの水処理設備は、当該水処理設備に原水が流入すること、および、当該水処理設備から前記水が流出すること、を許容する隔離バルブセットを介して前記原水供給ラインに接続可能に構成されている請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記軟水化プラントは、食塩水ブラインで作動するように構成されている請求項2に記載の水処理システム。
【請求項4】
複数の水処理設備のうち、逆洗機能を備える前記活性カーボンフィルタのみが前記再利用水フィードバックラインに接続される請求項2に記載の水処理システム。
【請求項5】
前記再利用水フィードバックラインに、節水貯蔵タンクが排水および中水バッファとして設けられ、前記再利用水フィードバックラインは、前記逆浸透ユニットおよび/または前記少なくとも1つの水処理施設から収集した排水および/または中水を、再利用のために前記原水タンクに戻す前に、前記節水貯蔵タンクに供給するように構成されている請求項1~4のいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項6】
前記再利用水フィードバックラインの、前記節水貯蔵タンクの下流側に、粒径5μm以上の粒子を濾過除去する再利用水フィルタが配設されている請求項5に記載の水処理システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの水処理設備の1つとして、粒径5μm以上の粒子を濾過除去する少なくとも1つのサンドフィルタが、前記少なくとも1つの水処理設備の下流側でかつ前記逆浸透ユニットの上流側に逆洗可能に配設されている請求項1~6のいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項8】
粒径20μm以上の粒子を濾過除去する少なくとも1つの原水フィルタが、前記原水タンクの上流側に逆洗可能に配設されている請求項1~7のいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項9】
前記原水供給ラインの前記原水タンクの下流側、かつ、前記少なくとも1つの水処理設備の上流側に、少なくとも1つの原水ポンプおよび圧力容器が配設され、
前記再利用水フィードバックラインに少なくとも1つの再利用水ポンプおよびストレーナが配設され、そして、
前記原水タンクは、
記原水タンク内に再利用水を供給する前記再利用水フィードバックラインに電気的に接続配置され、少なくとも再利用水ポンプ制御に使用される検出信号を出力するように構成されている第一の高水位検出器および第一の低水位検出器と
記原水タンク内に原水を供給する前記原水供給ラインに電気的に接続配置され、少なくとも原水ポンプ制御に使用される検出信号を出力するように構成されている第二の高水位検出器および第二の低水位検出器と、
を有する請求項1~8のいずれか1項に記載の水処理システム。
【請求項10】
前記第一の高水位検出器および前記第一の低水位検出器、ならびに、前記第二の高水位検出器および第二の低水位検出器は、二つの別々の検出器回路中のセンサおよび/またはスイッチとして構成され、前記二つの別々の検出器回路の検出信号を出力するように構成され、そして、前記水処理システムは、前記検出信号に基づいて、独立した原水ポンプおよび/または再利用水ポンプ制御を実行するように構成されている請求項9に記載の水処理システム。
【請求項11】
水供給源に接続された原水タンクと、原水供給ラインを介して前記原水タンクから供給される水から精製水を作り出すように構成された逆浸透ユニットと、前記原水タンクの下流側、かつ、前記逆浸透ユニットの上流側で、前記原水供給ラインに沿って配設された少なくとも1つの水処理設備と、を有し、前記少なくとも1つの水処理設備が、軟水化プラント、逆洗可能を有する活性カーボンフィルタ、および/または、サンドフィルタ、の少なくとも1つまたはそれ以上を含む水処理システムにおける水処理方法であって、
再利用の必要性に応じて、
a)前記逆浸透ユニットからの排水の濃度が設定レベル未満であることが検出された場合に、前記逆浸透ユニットからの逆浸透排水として収集される中水、および
b)前記活性カーボンフィルタの逆洗サイクルから収集される水、
を、前記軟水化プラントにおける軟水化剤の再生、前記活性カーボンフィルタの逆洗、または、前記サンドフィルタの洗い流し、における再利用のために供給する工程を有する水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムパーツまたは装置を含む水処理システムと、逆浸透ユニットを有する浄水システムでの水再利用のための方法と、に関し、特に、そのような装置および方法におけるカーボン逆洗および/または逆浸透排出からの水の再利用に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透(RO)は、たとえば水道水から、イオン、分子、および、大きな粒子、を除去するために半透膜を利用する浄水技術である。逆浸透では、加圧を使用して浸透圧、束一的性質(それは、溶媒の化学的ポテンシャルの差異によって生じる。)、熱力学的パラメータ、を克服する。逆浸透は、前記膜の加圧側に溶質を保持し、かつ、膜の反対側への純粋な溶媒の通過を許すことによって、溶解物質および浮遊物質を水から除去することができる。前記膜は、大きな分子またはイオンはその孔(穴)を通ることができない一方で、溶液の比較的小さな成分(溶媒分子など)はそれを自由に通過することができることによって、一種の選択性を有する。
【0003】
逆浸透のプロセスは、脱イオン水の製造に使用することができる。脱イオン水とは、ナトリウム、カルシウム、鉄、銅、などの陽イオンや、塩素、硫酸イオン、などの陰イオンといった、ミネラルイオンのほとんど全部が除去された水である。脱イオン化は、水素イオンおよび水酸化物イオンを溶解ミネラルと交換し、その後、再結合させて水を形成する特殊製造されたイオン交換樹脂を使用する化学処理である。水に含まれる非粒状不純物の大半は溶解塩であるので、脱イオン化によって、蒸留水に概して類似する高純度水が作り出され、そして、この処理は迅速であり、スケールが沈積することが無い。
【0004】
たとえば、透析処理においては、透析装置は透析流体の正しい組成を確保するために脱イオン水を必要とする。したがって、透析センタでは、通常、軟水化剤、カーボンフィルタ、および、逆浸透処理ユニット、によって水道水を処理する。
【0005】
このようなシステムは、通常、その収率がわずか30%である。そして、残りの水は、それは、処理のためのシステムにおいて使用済みであること、もしくは、イオン(大半はナトリウム)の濃度が増加していること、から、排水(中水)と見なされる。この流体の再利用は、溶解しているナトリウムの量が増大していること、および/または、システムにおいて使用済みであるために排水と見なされること、のために、一般的ではない。
【0006】
透析液の処理は多量の水の消費を伴うので、本発明者は、浄水システムの水消費を分析し、その結果、投入された水の一部しか浄化水へと処理されず、水の大きな割合の多量の残余部分は最終的に排出されていることを見出した。
【0007】
欧州特許出願公開第676372号明細書(特許文献1)は、逆浸透を利用した水道水製造のための装置および方法を開示し、軟水化剤の再生のために濃縮液を利用することを、その技術的な制約と共に記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許出願公開第676372号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記に鑑みて、本発明の課題は、現在においては最終的に排水されている水の再利用、すなわち、これまではドレンに送られてきた水の再利用、を提供する装置と方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この課題は、請求項1に定義される水処理システム、および、請求項10に定義される水処理方法、によって達成される。本発明の有利なさらなる発展構成は付随する従属請求項の発明である。
【0011】
本発明の基礎となる一般的概念は、様々な水処理処置の単一または組み合わせ利用にある。
【0012】
第1処置において、カーボンフィルタの逆洗サイクルからの水、すなわち、カーボン逆洗に使用された水、を保持タンクに収集する。この収集した水を濾過し、再利用の必要性に応じて、原水タンクに戻す。濃度をチェックするために逆浸透排水をモニタリングし、その濃度が設定レベル未満であれば、それを前記カーボン逆洗水と共に再利用のために前記保持タンクに送る。
【0013】
第2処置においては、濃縮液および/または中水を使用してチャコールフィルタを再生する。前記逆洗(RO)のドレンからのある量の中水を使用して軟水化剤を再生する。この軟水化剤(たとえば、イオン交換物質)は、食塩水ブラインを使用して水道水からカルシウムとマグネシウムを除去する。その軟化水には、すでに高い率のナトリウムが含まれており、これは逆浸透によってさらに高い濃度へと濃縮される。この濃縮水は、再生用の食塩水ブラインを作り出すために利用することができ、これによって、潜在的に、ある程度の量の食塩ペレットを削減することができる。したがって、上記第2処置を使用することによって、水だけでなく食塩も節約することができる。
【0014】
第3処置において、濃縮水および/または中水を使用してサンドフィルタを洗浄する。サンドフィルタは、水道水の物理的汚染物を濾過除去するように構成されている。汚染物を洗い出しサンドベッドをほぐすために、それらは定期的に逆洗する必要がある。洗浄液の質に関する要件は無い。
【0015】
好適には、上述した諸処置のいずれか1つまたは複数の組み合わせを使用するように構成されたシステムまたは装置および方法は、通常であればドレンに送られる多量の水を再利用することを可能するものであり、この水の再利用を通じて環境上およびコスト上の利益を提供する。また、大きな割合の食塩が再利用されるので食塩の消費も低減することができる。
【0016】
より具体的には、本発明の一態様によれば、水供給源に接続された原水タンクと、原水供給ラインを介した前記原水タンクからの供給水から精製水を作り出すように構成された逆浸透ユニットと、前記原水タンクの下流側、かつ、前記逆浸透ユニットの上流側で、前記原水供給ラインに沿って配設された少なくとも1つの水処理設備と、前記逆浸透ユニットおよび/または前記少なくとも1つの水処理設備から収集された排水および/または中水を再利用のために前記原水タンクに戻し供給するように構成された再利用水フィードバックライン、とを有する、水処理システムが提供される。
【0017】
前記少なくとも1つの水処理設備は、軟水化プラント、逆洗機能を備えた活性炭フィルタ、および/または、サンドフィルタ、のうちの単数または複数を備えることができ、原水が前記水処理施設に流入し、かつ、当該水処理施設から流出する、ことを可能にする隔離バルブセットを介して前記原水供給ラインに接続可能に構成することができる。
【0018】
前記軟水化プラントは、食塩水ブラインで作動するように構成することができる。
【0019】
複数の水処理設備の内、逆洗機能を備える活性カーボンフィルタのみを前記再利用水フィードバックラインに接続することができる。
【0020】
前記再利用水フィードバックラインに、排水および中水バッファとして、節水貯蔵タンクを設けることができ、そして、前記再利用水フィードバックラインを、前記逆浸透ユニットおよび/または前記少なくとも1つの水処理施設から収集した排水および/または中水を、再利用のために前記原水タンクに戻す前に、前記節水貯蔵タンクに供給するように構成することができる。
【0021】
前記再利用水フィードバックラインの前記節水貯蔵タンクの下流側に、粒径5μm以上の粒子を濾過除去する再利用水フィルタを配設することができる。
【0022】
前記少なくとも1つの水処理設備の1つとして、粒径5μm以上の粒子を濾過除去する少なくとも1つの最終水フィルタを、前記少なくとも1つの水処理設備の下流側でかつ前記逆浸透ユニットの上流側に逆洗可能に配設することができる。
【0023】
20μm以上の粒径を濾過除去する少なくとも1つの原水フィルタを、前記原水タンクの上流側に逆洗可能に配設することができる。
【0024】
前記原水供給ラインの前記原水タンクの下流側、かつ、前記少なくとも1つの水処理設備の上流側に、少なくとも1つの原水ポンプと圧力容器を配設することができ、前記再利用水フィードバックラインに少なくとも1つの再利用水ポンプと、ストレーナと、を配設することができ、そして、高水位検出器および低水位検出器を、前記原水タンク内に原水を供給する前記原水供給ラインに、かつ、それに接続して配設し、かつ、少なくとも原水ポンプと再利用水ポンプ制御とに使用される検出信号を出力するように構成することができる。
【0025】
本発明の別の態様によれば、水供給源に接続された原水タンクと、原水供給ラインを介した前記原水タンクからの供給水から精製水を作り出すように構成された逆浸透ユニットと、前記原水タンクの下流側、かつ、前記逆浸透ユニットの上流側で、前記原水供給ラインに沿って配設された少なくとも1つの水処理設備と、とを有する、水処理システムにおける水処理方法であって、前記逆浸透ユニットおよび/または前記少なくとも1つの水処理設備から収集された排水および/または中水を、再利用のために前記原水タンクに戻す工程を有する方法が提供される。
【0026】
ここでの使用において、ここに記載され言及される前記水処理システムを構成する前記装置、構造、形状、および/または、構成要素は、使用および/または作動時に、適切配置され接続される多かれ少なかれ事前に設定される形状および/または使用および/または作動時に適切に配置され接続される別々のパーツ、を提供するように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下、本発明を、その好適な実施形態により、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1】実施形態における水再利用を対象とする水処理システムスキームの概略図。
【0029】
なお、図面を通して図示される類似または同様のパーツは、類似の参照番号が付され、その詳細については繰り返し記載、説明されない。また、図面全体を通じて、本発明の説明に対して直接的な重要性を持たない部分および/または構成要素は、前記スキームのより重要なパーツをより良く示すために省略または隠されることもあることが銘記される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に図示されているように、本実施形態における水処理システムは、当該システムに対して水道水または原水を供給する水供給源15に接続された原水タンク10と、原水供給ライン25を介して前記原水タンク10から供給された水から精製水を作るように構成された逆浸透プラントまたはユニット20と、前記原水タンク10の下流側かつ前記逆浸透プラント20の上流側で前記原水供給ライン25に沿って配設された少なくとも1つの水処理設備60と、前記逆浸透プラント20および/または前記少なくとも1つの水処理設備60から収集した排水および/または中水を再利用のために前記原水タンク10に戻し供給するように構成された再利用水フィードバックライン35と、を有する。このような水処理システムにおける水処理方法において、前記逆浸透プラント20および/または前記少なくとも1つの水処理設備60から収集した排水および/または中水は、再利用のために前記原水タンク10に戻し供給される。
【0031】
本実施形態において、前記原水供給ライン25の前記原水タンク10の下流側には、少なくとも1つの第1ポンプ26が設けられ、これは、前記原水供給ライン25を通じて前記原水タンク10から必要量の原水を前記逆浸透プラント20に向けて搬送するように構成されている。前記原水供給ライン25の並列ポンプ取り付け支流部に二つのポンプ26を設け、前記並列ポンプ取り付け支流部の少なくとも一方に圧力容器27を設置することが好ましい。
【0032】
同様に、前記再利用水フィードバックライン35の節水貯蔵タンク40の下流側に第2ポンプ36が設けられ、これは、前記節水貯蔵タンク40からこの節水貯蔵タンク40内に貯蔵された必要量の排水および/または中水を前記原水タンク10に向けて搬送するように構成されている。
【0033】
必要な箇所において流体圧を検出するために、それぞれ、図1に示した流路に沿って白丸によって示されている所定数の圧力計28を、前記水処理システム内の各所定位置に分布配置することができる。
【0034】
また、所定数の手動および/または自動制御隔離バルブ29(図1において、それぞれ互いに対向する単条実線の三角形によって示される。)を、必要な箇所において流路を開閉することを可能にするため、あるいは、流体が所定位置(チェックバルブ24の位置)の後方から逆流することを防止し、それによって流体(水)を、必要に応じて、制御および案内するため、ならびに、流すようにまたは流さないようにするために、前記水処理システムの前記流路内の各所定位置に配設することができる。
【0035】
図1に図示されているように、所定の形状の隔離バルブ29が、前記原水供給ライン25に沿って前記少なくとも1つの水処理設備60の接続ポイントに、前記原水供給ライン25が、前記逆浸透プラント20に向かって流れる原水の全部または一部を前記水処理設備に強制的に流入させるように、当該水処理設備60への入口とその出口との間で、閉止する、あるいは少なくとも部分的に閉止することを可能とするように、設けられている。もちろん、前記隔離バルブ29の形状は、たとえば、その機能が不要であるとき、または、なんらかのメンテナンスが必要なときのように、前記水処理設備を完全に迂回するべく、流体が当該水処理設備に流入しないように構成することも可能である。
【0036】
換言すると、装置入口または流体通路分岐ポイントにおける前記隔離バルブ29の形状は、複数の流体通路を選択的に接続または接続解除するように構成された制御可能な多方向バルブとして作動するように構成することができる。
【0037】
さらに、本実施形態による前記水処理システムは、
それぞれが主として余剰またはオーバーフローする流体と水を最終排出するべく、たとえば排水をドレンに送る所定数の流体ドレン(図1において矢印とシンクシンボルで示される。)と、定数のサンプルポイント21(図1において互いに対向する小さな二つの三角形によって示される)と、必要な場合に処理流体の検出または採取を可能にするために設けられる導電性プローブポイント22と、流体制御の向上のために配設される所定数のソレノイドバルブ23と、を備えている。
【0038】
本実施形態による前記水処理システムは、仮想的に二つの部分に分割することができる。第1部分(図1において実線によって示されている。)は、前記原水タンク10と前記原水供給ライン25と、さらに場合によっては、前記少なくとも1つの水処理設備(またはユニット、装置、あるいは、ステーション)60を介して、前記逆浸透プラント20へ原水または水道水を供給することができる。第2部分(図1において破線で示されている。)は、前記逆浸透プラント20から出発し、前記再利用水フィードバックライン35に沿って、前記逆浸透プラント20および前記少なくとも1つの水処理設備60から排水および/または中水を収集し、この収集した再利用流体または水をバッファとして機能する前記節水貯蔵タンク40を介して前記原水タンク10に戻し供給する排水および/または中水再利用フィードバック経路とすることができる。前記節水貯蔵タンク40の上流側で前記再利用水フィードバックライン35にストレーナ37を挿入することができる。
【0039】
本実施形態において、少なくとも1つの水処理設備60は、たとえば、二連軟水化プラント62、逆洗機能を備える二つの活性炭フィルタ64、および、二つのサンドフィルタ66、を含む。これらの設備または装置のそれぞれは、上述したような隔離バルブ29の各セットを介して前記原水供給ライン25に接続可能であり、原水が各水処理設備に流入し、かつ、そこでの処理後、当該水処理設備から流出することを可能にする。
【0040】
本実施形態において、前記二連軟水化プラント62は、溶質リザーバ63から供給される食塩水ブラインで作動するように構成されている。この食塩水ブラインは、その場で食塩ペレットを使用して準備することができるが、あるいは、その他の方法で前記溶質リザーバ63に満たすことも可能である。
【0041】
前記二連軟水化プラント62において、本実施形態は、軟水化剤を再生するために、中水、あるいは、前記逆浸透ドレンから戻し供給された中水のいくらかの量を使用することを特徴とする。これによって達成される効果は非常に大きい。なぜならば、前記軟水化剤(イオン交換物質)は、水道水からカルシウムおよびマグネシウムを除去するために食塩水ブラインを利用するからである。軟化された水には、すでに高い率のナトリウムが含まれているが、これは逆浸透によってさらに高い濃度へと濃縮される。この濃縮水は、再生用の食塩水ブラインを作り出すために利用することができ、これによって、潜在的に、ある程度の量の食塩ペレットを削減することができる。したがって、上記第2処置を使用することによって、水だけでなく食塩も節約することができる。
【0042】
さらに、前記活性炭フィルタ64において、本実施形態は、当該炭素フィルタの逆洗サイクルから水を収集することを特徴とする。炭素フィルタは、塩素およびその他のイオンを吸着するために使用されるものであり、その粒子構造をほぐすために、逆洗を必要する。炭素フィルタの逆洗に使用された水には、追加物質が過剰に含有されておらず、したがって、再利用可能であり、それゆえ、この水を濾過して前記原水タンク10に戻す。図1に図示されているように、逆洗水を収集するために、逆洗機能を有する活性炭フィルタのみが前記再利用水フィードバックライン35に接続されている。
【0043】
本実施形態の別の水処理設備60として、単数または複数のサンドフィルタ66が設けられ、これは、絶対値5μm以上の粒径を濾過除去する少なくとも1つの最終水フィルタとして、前記逆浸透プラント20の上流側に逆洗可能に配設される。サンドフィルタは、水道水から汚染物を濾過除去するように構成され、汚染物を洗い出しサンドベッドをほぐすために定期的に逆洗する必要がある。洗浄液の質に対する要件は特に無いので、前記再利用水をフィルタ洗浄処理のために使用することができる。
【0044】
前記節水貯蔵タンク40は、前記再利用水フィードバックライン35中の排水(たとえば、前記逆浸透プラント20からの排水)および中水(たとえば、前記逆浸透プラントおよび/または前記炭素フィルタ64からの中水)バッファとして構成され、前記再利用水フィードバックラインは、前記逆浸透プラントプラント20および/または前記少なくとも1つの水処理設備60から収集した排水および/または中水を前記節水貯蔵タンク40内に戻し供給するように構成されている。
【0045】
前記節水貯蔵タンクに収集された水を再利用のために前記原水タンク10に戻し供給する前に、たとえば粒径5μm以上の粒子を濾過除去するように構成された再利用水フィルタ44が、前記再利用水フィードバックライン35の前記節水貯蔵タンク40の下流側に配設されている。
【0046】
本実施形態による前記水処理システムは、粒径20μm以上の粒子を濾過除去するように構成された少なくとも1つの逆洗可能原水フィルタ12を備えることができる。この原水フィルタ12は、前記原水タンク10の上流側に配置することができる。
【0047】
前記原水タンク10にはかなりの流入がありうるので、当該原水タンク10に、再利用水をこの原水タンク10に供給する前記再利用水フィードバックライン35に接続された高流体水位検出器および低流体水位検出器、さらに、当該原水タンク10に原水を供給する原水供給ラインに接続された高流体水位検出器および低流体水位検出器、を備えることができる。センサ、スイッチ、などとすることができるこれらの検出器は、たとえば、原水ポンプ26、および/または、再利用水ポンプ36の制御、および/または、取り入れバルブ制御、に使用される検出信号を出力するように構成することができる。二つの別々の検出器回路を設けることは、それぞれの制御を独立に実行することができる点において有利である。
【0048】
上述したように、本発明による前記システムおよび方法は、これまでドレンに送られていた多量の水の再利用を可能にし、したがって、この水の再利用を通じて環境的および経済的な利益を達成する。また、驚異的な比率の食塩が再利用されるので食塩の消費の大幅な削減が達成される。
【0049】
重量、絶対長、幅および厚み、着色、形状および細かい詳細、は図示されていないが、これらの仕様は、当業者に理解されるであろうことから、上述した本発明の範囲に含まれる。また、図面に図示されここに記載された具体的なテキスト、順序および内容は図示と例示のためのもの過ぎず、前記装置、システムおよびその作動はそれらによって限定されるものではない。
【0050】
したがって、そのようなものであるから、本発明は、記載された好適な実施形態およびその変更構成に限定されるものではなく、当業者は、添付の請求項に定義された範囲に含まれるすべての実施形態、変更構成および均等物を想起するであろう。
図1