(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】コンテナ
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
B65D88/12 D
(21)【出願番号】P 2018062283
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 哲
(72)【発明者】
【氏名】岡 成豊
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-161318(JP,A)
【文献】特開平05-202650(JP,A)
【文献】特開2004-276678(JP,A)
【文献】米国特許第04627549(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
妻面及び側面の各壁面のうち少なくとも一面に扉を設けたコンテナであって、
前記扉は、外板と、該外板の室内側の端縁部に沿って設けられた枠部と、該枠部に囲まれた領域を少なくとも覆う内張部と、前記外板の外面に沿って鉛直方向に延びる開閉軸及び前記扉を開閉操作するための操作ハンドルを含む開閉手段とを備え、
前記外板の、前記開閉軸が配置される位置に、前記開閉軸に沿って鉛直方向へと延びる凹条部が形成され、
前記枠部には、前記枠部の内法に沿って、前記外板へ向けて窪む段部が設けられ、前記内張部が前記段部の室内側面に支持され、前記内張部の室内側面が前記枠部の室内側面に対して、同一面上ないし前記枠部に対して窪むように設けられ
、
前記開閉軸は、取付座を介して前記扉を構成する前記外板に固定され、
前記外板の、前記取付座を固定する位置に、前記取付座を前記外板に対する固定を保持するネジ座を収容する開口が形成され、
前記ネジ座は、該ネジ座の外面が前記外板の外面に対して、同一面上ないし前記外板に対して窪むように、前記開口の外縁に固定されていることを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
妻面及び側面の各壁面のうち少なくとも一面に扉を設けたコンテナであって、
前記扉は、外板と、該外板の室内側の端縁部に沿って設けられた枠部と、該枠部に囲まれた領域を少なくとも覆う内張部と、前記外板の外面に沿って鉛直方向に延びる開閉軸及び前記扉を開閉操作するための操作ハンドルを含む開閉手段とを備え、
前記外板の、前記開閉軸が配置される位置に、前記開閉軸に沿って鉛直方向へと延びる凹条部が形成され、
前記枠部には、前記枠部の内法に沿って、前記外板へ向けて窪む段部が設けられ、前記内張部が前記段部の室内側面に支持され、前記内張部の室内側面が前記枠部の室内側面に対して、同一面上ないし前記枠部に対して窪むように設けられ、
前記外板の、前記開閉手段の前記操作ハンドルと対向する位置に、前記扉の開閉操作を行う操作者が、前記操作ハンドルを把持する部分の可動軌跡に少なくとも沿った、凹部が形成され、
前記外板は、前記凹条部及び前記凹部の一方又は双方を一体に含むプレス成型品であることを特徴とするコンテナ。
【請求項3】
妻面及び側面の各壁面のうち少なくとも一面に扉を設けたコンテナであって、
前記扉は、外板と、該外板の室内側の端縁部に沿って設けられた枠部と、該枠部に囲まれた領域を少なくとも覆う内張部と、前記外板の外面に沿って鉛直方向に延びる開閉軸及び前記扉を開閉操作するための操作ハンドルを含む開閉手段とを備え、
前記外板の、前記開閉軸が配置される位置に、前記開閉軸に沿って鉛直方向へと延びる凹条部が形成され、
前記枠部には、前記枠部の内法に沿って、前記外板へ向けて窪む段部が設けられ、前記内張部が前記段部の室内側面に支持され、前記内張部の室内側面が前記枠部の室内側面に対して、同一面上ないし前記枠部に対して窪むように設けられ、
前記開閉軸の少なくとも一部は、二重管構造からなることを特徴とするコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を収納するコンテナに関し、特に、鉄道コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンテナは、荷物の積み下ろしのために、妻面及び側面の各壁面のうち少なくとも一面に観音開きの扉を備えている。例えば、特許文献1には、妻面の両面及び側面の一方の面を壁面とし、側面の他方の面を観音開きの扉としたコンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンテナの室内に荷物を積み下ろし、荷物を搬送するコンテナでは、荷物の大きさに若干の違いがあると、コンテナの室内に所望数だけ荷物を載置することができなかった。このため、荷物の大きさに若干の違いがあっても、支障なくそれらをコンテナの室内に所望数載置することができるように、所望のコンテナの室内容積を確保することが望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的にするところは、コンテナに必要な室内容積を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の態様を例示するものであり、本発明の多様な構成要素の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。以下の各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明を実施する最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、または、さらに他の構成要素を付加した態様についても、本発明の一態様になり得るものである。
【0007】
(1)妻面及び側面の各壁面のうち少なくとも一面に扉を設けたコンテナであって、前記扉は、外板と、該外板の室内側の端縁部に沿って設けられた枠部と、該枠部に囲まれた領域を少なくとも覆う内張部と、前記外板の外面に沿って鉛直方向に延びる開閉軸及び前記扉を開閉操作するための操作ハンドルを含む開閉手段とを備え、前記外板の、前記開閉軸が配置される位置に、前記開閉軸に沿って鉛直方向へと延びる凹条部が形成され、前記枠部には、前記枠部の内法に沿って、前記外板へ向けて窪む段部が設けられ、前記内張部が前記段部の室内側面に支持され、前記内張部の室内側面が前記枠部の室内側面に対して、同一面上ないし前記枠部に対して窪むように設けられ、前記開閉軸は、取付座を介して前記扉を構成する前記外板に固定され、前記外板の、前記取付座を固定する位置に、前記取付座を前記外板に対する固定を保持するネジ座を収容する開口が形成され、前記ネジ座は、該ネジ座の外面が前記外板の外面に対して、同一面上ないし前記外板に対して窪むように、前記開口の外縁に固定されているコンテナ(請求項1)。
【0008】
本項に係るコンテナにおいて、扉の枠部を、外板の室内側の端縁部に沿って設けることで、外板が枠部によって支持されるため、扉の撓みを防ぎ、かつ、扉の強度を高めるものとなる。また、外板は、開閉手段の開閉軸に沿って鉛直方向へと延びるように凹条部が形成されることで、開閉軸を可能な限り、コンテナの最外縁部に近い位置に配置し、なおかつ、凹条部によって開閉軸との間に必要な隙間を確保しつつ、外板についても凹条部の窪みの分、コンテナの最外縁部に近い位置に配置し得るものとなる。そして、外板がコンテナの最外縁部に近づく分だけ、コンテナの室内側寸法の増加に寄与するものとなる。なお、コンテナの最外縁部は、トレーラ、鉄道等、各搬送手段に定められた積載限界を満たす寸法の範囲で定められるものである。
【0009】
また、枠部の内法に沿って、外板へ向けて窪む段部を設け、この段部の室内側面に内張部を載置することで、内張部の端縁部が段部の室内側面に密着し、ぐらつき、撓み等を防ぎ、内張部が段部の室内側面に確実に支持されるものとなる。さらに、内張部の室内側面が枠部の室内側面に対して、同一面上ないし枠部に対して窪むように設けられることで、内張部の室内側面が枠部の室内側面より外板寄りに位置するものとなり、扉の厚みの減少に寄与するものとなる。なお、本説明において「略同一面上」とは、完全同一のみならず、構造上や寸法精度上、上記作用を発揮する上で許容可能な範囲での位置の誤差を含む意味である。
【0010】
本項に係るコンテナにおいて、開閉軸は、取付座を介して扉を構成する外板に固定されることで、開閉軸の撓みを防ぎ、かつ、外板の凹条部に対する開閉軸の設置位置が維持されるものとなる。また、外板は、取付座を固定する位置に、取付座を外板に対する固定を保持するネジ座を収容する開口が形成され、ネジ座の外面が外板の外面に対して、同一面上ないし外板に対して窪むように、ネジ座が開口の外縁に固定される。この構成により、外板に対する取付座の突出量が、ネジ座の厚さ分だけ減少する。この取付座の突出量の減少分だけ、外板がコンテナの最外縁部に近い位置に配置し得るものとなる。そして、外板がコンテナの最外縁部に近づく分だけ、コンテナの室内側寸法の増加に寄与するものとなる。
【0014】
(2)妻面及び側面の各壁面のうち少なくとも一面に扉を設けたコンテナであって、前記扉は、外板と、該外板の室内側の端縁部に沿って設けられた枠部と、該枠部に囲まれた領域を少なくとも覆う内張部と、前記外板の外面に沿って鉛直方向に延びる開閉軸及び前記扉を開閉操作するための操作ハンドルを含む開閉手段とを備え、前記外板の、前記開閉軸が配置される位置に、前記開閉軸に沿って鉛直方向へと延びる凹条部が形成され、前記枠部には、前記枠部の内法に沿って、前記外板へ向けて窪む段部が設けられ、前記内張部が前記段部の室内側面に支持され、前記内張部の室内側面が前記枠部の室内側面に対して、同一面上ないし前記枠部に対して窪むように設けられ、前記外板の、前記開閉手段の前記操作ハンドルと対向する位置に、前記扉の開閉操作を行う操作者が、前記操作ハンドルを把持する部分の可動軌跡に少なくとも沿った、凹部が形成され、前記外板は、前記凹条部及び前記凹部の一方又は双方を一体に含むプレス成型品であるコンテナ(請求項2)。
【0015】
本項に係るコンテナにおいて、外板の、開閉手段の前記操作ハンドルと対向する位置に、操作ハンドルを把持する部分の可動軌跡に少なくとも沿った、凹部を形成することで、外板と操作ハンドルとの間に空隙が形成される。この空隙が開閉操作を行う操作者の手を挿入するためのスペースとなり、操作者が扉の開閉を操作する際、操作ハンドルを把持し易いものとなる。また、外板は、凹条部及び凹部の一方又は双方を一体に含むプレス成型品であることで、一度の加工で凹条部及び凹部を成形することができるため、外板の製造時間が短縮され、ひいては、生産効率の高い扉となる。
【0016】
(3)妻面及び側面の各壁面のうち少なくとも一面に扉を設けたコンテナであって、前記扉は、外板と、該外板の室内側の端縁部に沿って設けられた枠部と、該枠部に囲まれた領域を少なくとも覆う内張部と、前記外板の外面に沿って鉛直方向に延びる開閉軸及び前記扉を開閉操作するための操作ハンドルを含む開閉手段とを備え、前記外板の、前記開閉軸が配置される位置に、前記開閉軸に沿って鉛直方向へと延びる凹条部が形成され、前記枠部には、前記枠部の内法に沿って、前記外板へ向けて窪む段部が設けられ、前記内張部が前記段部の室内側面に支持され、前記内張部の室内側面が前記枠部の室内側面に対して、同一面上ないし前記枠部に対して窪むように設けられ、前記開閉軸の少なくとも一部は、二重管構造からなるコンテナ(請求項3)。
【0017】
本項に係るコンテナにおいて、開閉軸の必要な部分に二重構造を採用して必要な強度を確保しつつ、二重構造以外の部分については小径化を図るものである。小径化を図る部分を、取付座によって軸支される部分とした場合には、取付座の寸法についても開閉軸の小径化に伴い減少し、外板に対する取付座の突出量が減少することとなる。この取付座の突出量の減少分だけ、外板がコンテナの最外縁部に近い位置に配置し得るものとなる。このため、開閉軸の小径化によって、外板がコンテナの最外縁部に近づき、その分だけコンテナの室内側寸法の増加に寄与するものとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上のように構成したことにより、コンテナに必要な室内容積を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンテナを示す図であり、(a)は、コンテナの上面図であり、(b)は、コンテナの正面図であり、(c)は、コンテナの右側面図である。
【
図2】
図1に示すコンテナであり、(a)は、コンテナの背面図であり、(b)は、コンテナの左側面図である。
【
図3】
図1(c)に示すコンテナの第1妻面の概略図である。
【
図7】
図3に示す扉の開閉手段付近の拡大図である。
【
図11】扉を外側から見て、外板の凹条部及び凹部を示す部分拡大図である。
【
図12】扉を室内側から見て、枠部を示す部分拡大図である。
【
図13】
図11に示す扉の断面図であり、(a)は、G-G線に沿う断面図であり、(b)は、H-H線に沿う断面図である。
【
図14】
図3に示す扉の開閉手段を示す概略図であり、(a)は、開閉手段の正面図であり、(b)は、(a)のI-I線に沿う断面図であり、(c)は、(a)のJ-J線に沿う断面図である。
【
図15】プレス加工で成形された外板の凹部付近の拡大図であり、(a)は、外板の凹部付近の正面図であり、(b)は、(a)のK-K線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係るコンテナの構成を
図1~
図14に基づいて詳細に説明する。ここで、以下の説明では、コンテナの一例として、鉄道車両に用いられる鉄道コンテナについて説明する。
【0021】
本発明の一実施形態に係る鉄道コンテナ(コンテナ)は、その室内に対して、荷物を積み下ろし、荷物を搬送するものである。
図1及び
図2に示すように、鉄道コンテナ1は、箱状の本体部の一方の妻面5(第1妻面)の壁面及び両側面3,3の壁面の三面に観音開きの扉9a,9bを備えた三方開きのコンテナである。扉9a,9bを構成するパネル11は、外板13と、枠部15と、梁17と、内張部19とから構成されている(
図3~
図5参照、図示例では、第1妻面5のパネル11である)。鉄道コンテナ1の各扉9a,9bには、扉9a,9bを開閉するための開閉手段21が設けられている(
図1及び
図2参照)。
なお、第1妻面5と、両側面3,3の扉9a,9bとは、基本構造が略同一である。また、第2妻面7の壁面についても、第1妻面5の扉9aと、基本的には構造が略同一である。ここでは、説明の便宜上、第1妻面5の扉9aの構造のみを説明し、両側面3,3の扉9b、9bのパネル、及び、第2妻面7の壁面のパネルの構造について説明を省略する。
【0022】
扉9aを構成するパネル11の外板13は、平板の周端部を曲げ加工等した断面視略凹状をなし、側壁部23が鉄道コンテナ1の室内側に向いて配置されている(
図4及び
図5参照)。また、外板13は、その外面の、後述する開閉手段21の開閉軸47が配置される位置に、鉛直方向に延びる凹条部25が形成されている(
図3及び
図7等参照)。また、外板13は、その外面の、後述する取付座53(
図3参照)が配置される位置に、開口27(
図11及び
図13(a)参照)が形成されている。この開口27は、プレスによる抜き加工によって成形されている。また、外板13は、凹条部25がプレス加工によって成形された、プレス成型品である。さらに、外板13には、その外面の、後述する開閉手段21の操作ハンドル49に対向する位置に、操作者が操作ハンドル49を把持する部分の可動軌跡に少なくとも沿った開口31(
図10参照)が形成され、この開口31を塞ぐように、外板13の室内側面(内面)から凹部29を構成する別体のパネルが取付けられている(
図4,
図8及び
図10参照)。この凹部29は、その外縁部から外側に広がるフランジ33(
図10参照)が形成され、このフランジ33を外板13の室内側面に対して溶接加工して、凹部29を外板13の内面に固定している。これにより、開閉手段21の操作ハンドル49と凹部29との間に、空隙35が形成される(
図8及び
図10参照)。
【0023】
枠部15は、外板13の室内側の端縁部に沿って設けられ、具体的には、外板13の側壁部23の内面に沿って設けられた、縦枠15a,15a及び横枠15b,15bから構成されている(
図3,
図11及び
図12等参照)。縦枠15a,15aと横枠15b,15bとは、周状に連続するように配置されている。縦枠15a,15a及び横枠15b,15bは、段部37a,37bが設けられている(
図4及び
図5等参照)。この段部37a,37bは、後述する内張部19を段部37a,37bの室内側面39a,39b(
図5,
図8及び
図9参照)に載置した際、内張部19の内張板43の室内側面43aが、縦枠15a,15a及び横枠15b,15bの室内側面38a,38bに対して、略同一面上になるように、縦枠15a,15a及び横枠15b,15bの内法に沿って、外板13へ向けて窪むように形成されている。
【0024】
梁17,17は、枠部15の辺間をつなぐように、本実施形態では、横枠15b,15bの辺間をつなぐように、外板13の室内側(内面)に所定の間隔を置いて複数配置されている(
図3,
図11及び
図12等では、2本設けられている)。梁17,17は、その室内側面41,41(
図4及び
図8参照)と、段部37a,37bの室内側面39a,39bとが略同一面上になるように形成されている(
図4参照)。
【0025】
内張部19は、内張板43と補強板45とから構成されている。内張板43は、平面視矩形の木製合板であり、枠部15の少なくとも一部及び枠部15に囲まれた領域を覆うように設けられている。補強板45は、平面視で内張板43と略同一形状をなし、外板13及び枠部15と同一材料からなる鋼板である。この補強板45は、その室内側面45a(
図4及び
図10参照)に内張板43が積層され、内張板43と、縦枠15a,15a及び横枠15b,15bないし梁17,17と、の間に配置されている。補強板45は、縦枠15a,15a及び横枠15b,15bの段部37a,37bの室内側面39a,39bと梁17,17の室内側面41,41とによって支持されている。ここで、「略同一形状」とは、完全同一のみならず、構造上や寸法精度上、上記作用を発揮する上で許容可能な範囲の形状差を含む意味である。
【0026】
図14及び
図15に示すように、開閉手段21は、開閉軸47と、操作ハンドル49と、カム51とを備えている。開閉軸47は、機械構造用炭素鋼からなる鋼管(例えば、STKM13C)であり、外板13の外面に沿って鉛直方向に延び、後述する取付座53,53及び中間取付座54(
図3参照)を介して外板13に固定されている。この開閉軸47は、開閉軸47の少なくとも一部が二重管構造からなり、具体的には、横枠15b,15bの間に延びる第1軸47a(本実施形態では、外径が21.7mm、肉厚が3.7mmの鋼管である)と、この第1軸47aの一部外周面を覆う第2軸47b(本実施形態では、外径が27.2mm、肉厚が2.3mmの鋼管である)とから構成されている。第1軸47aは、その端部の外周面と、中間部の一部の外周面とが取付座53,53及び中間取付座54によって覆われ、軸支されている。第2軸47bは、取付座53,53及び中間取付座54によって覆われた部分以外の第1軸47aの外周面を覆っている(
図7及び
図14参照)。ここで、取付座53は、開閉軸47(第1軸47a)の外周面に倣った凹部55と、この凹部55の外縁部から外側に広がるフランジ57とからなり(
図6参照)、ネジ座56(
図6参照)を介して外板13に固定される(
図6では、取付座53の構成が記載されているが、中間取付座54についても同様である)。ネジ座56は、外板13の開口27を塞ぐように、ネジ座56の外周縁と開口27の開口外縁とを溶接して、外板13に固定されている。このネジ座56は、外板13に固定した際、ネジ座56の外面が外板13の外面に対して同一面上になるように設けられている(
図6参照)。
操作ハンドル49は、扉9aを開閉するためのものであり、開閉軸47に設けられた取付部59を介して軸着可能に取付けられている(
図7参照)。カム51は、扉9aを閉状態にロックするためのものであり、開閉軸47の両端部に取付けられている。
【0027】
以上、上記構成を有する一実施形態に係る鉄道コンテナ1によれば、次のような作用効果を得ることができる。第1妻面5及び両側面3,3の扉9a,9bの枠部15を、外板13の室内側の端縁部に沿って設けることで、外板13が枠部15によって支持されるため、扉9a,9bの撓みを防ぎ、かつ、扉9a,9bの強度を高めることが可能となる。
【0028】
また、鉄道コンテナ1によると、扉9aを構成するパネル11の外板13は、開閉手段21の開閉軸47に沿って鉛直方向へと延びるように凹条部25が形成されることで、開閉軸47を可能な限り、鉄道コンテナ1の最外縁部に近い位置に配置し、なおかつ、凹条部25によって開閉軸47との間に必要な隙間を確保しつつ、外板13についても凹条部25の窪みの分、鉄道コンテナ1の最外縁部に近い位置に配置し得ることが可能となる。そして、外板13が鉄道コンテナ1の最外縁部に近づく分だけ、鉄道コンテナ1の室内側寸法の増加に寄与することが可能となる。
【0029】
さらに、鉄道コンテナ1によると、枠部15(縦枠15a,15a及び横枠15b,15b)の内法に沿って、外板13へ向けて窪む段部37a,37bを設け、この段部37a,37bの室内側面39a,39bに内張部19(内張板43及び補強板45)を載置することで、内張部19の端縁部が段部37a,37bの室内側面39a,39bに密着し、ぐらつき、撓み等を防ぎ、内張部19が段部37a,37bの室内側面39a,39bに確実に支持されることが可能となる。
【0030】
鉄道コンテナ1によると、内張板43の室内側面43aが枠部15の室内側面38a,38bに対して、同一面上に設けられることで、内張板43の室内側面43aが枠部15の室内側面38a,38bより外板寄りに位置するものとなり、扉9aの厚みの減少に寄与することが可能となる。
【0031】
鉄道コンテナ1によると、外板13の、開閉手段21の操作ハンドル49と対向する位置に、操作ハンドル49を把持する部分の可動軌跡に少なくとも沿った、凹部29を形成することで、外板13と操作ハンドル49との間に空隙35が形成される。この空隙35が開閉操作を行う操作者の手を挿入するためのスペースとなり、操作者が扉9aの開閉を操作する際、操作ハンドル49を把持し易くなる。なお、図示の例では、凹部29は、正面視で四角形をなしているが、円形、扇形等の他の形状としてもよい。
【0032】
鉄道コンテナ1によると、開閉軸47は、取付座53を介して外板13に固定されることで、開閉軸47の撓みを防ぎ、かつ、外板13の凹条部25に対する開閉軸47の設置位置が維持されることが可能となる。
【0033】
鉄道コンテナ1によると、外板13は、取付座53を固定する位置に、取付座53を外板13に対する固定を保持するネジ座56を取付ける開口27が形成されている。ネジ座56は、その外面が外板13の外面に対して、同一面上になるように、開口の外縁に固定される。これにより、外板13に対する取付座53の突出量(外板13の外面から取付座53の凹部55の上面までの寸法)が、ネジ座56の厚さ分減少する。この取付座53の突出量の減少分だけ、外板13が鉄道コンテナ1の最外縁部に近い位置に配置し得るものとなる。そして、外板13が鉄道コンテナ1の最外縁部に近づく分だけ、鉄道コンテナ1の室内側寸法の増加に寄与することが可能となる。
【0034】
鉄道コンテナ1によると、開閉軸47は、機械構造用炭素鋼からなる鋼管であり、必要な部分に第1軸47aと第2軸47bとの二重構造を採用して必要な強度を確保しつつ、二重構造以外の部分(第1軸47a)については小径化を図ることが可能となる。小径化を図る部分を、取付座53によって軸支される部分とした場合には、取付座53の寸法についても開閉軸47の第1軸47aの小径化に伴い減少し、外板13に対する取付座53の突出量が減少することとなる。この取付座53の突出量の減少分だけ、外板13が鉄道コンテナ1の最外縁部に近い位置に配置し得るものとなるため、開閉軸47の小径化によって、外板13が鉄道コンテナ1の最外縁部に近づき、その分だけ鉄道コンテナ1の室内側寸法の増加に寄与することが可能となる。例えば、従来の一重構造からなる開閉軸では、その外径が27.2mmであり、この開閉軸を取付座53を介して外板13に固定した際、外板13に対する取付座53の突出量(外板13の外面から取付座53の凹部55の上面までの寸法)が42mmとなる。これに対して、本実施形態の二重構造からなる開閉軸47では、二重構造以外の部分(第1軸47a)の外径が21.7mmであり、この第1軸47aの部分を取付座53を介して外板13に固定した際、外板13に対する取付座53の突出量が28.5mmとなり、従来に比べ、開閉軸47の外径を小径化し、かつ、それに伴って、取付座53の突出量も減少する。
【0035】
なお、一実施形態に係る鉄道コンテナ1は、第1妻面5及び両側面3,3の壁面に観音開きの扉9a,9bを有した鉄道コンテナ1であるが、第1妻面5及び側面3の二面に観音開きの扉を有した鉄道コンテナや、両側面3,3に観音開きの扉を有した鉄道コンテナ等の、扉の配置が異なるコンテナにも本実施の形態を適用することが可能である。さらに、扉9aを構成するパネル11は、第1妻面5及び一方の側面3の扉9a,9bに、または、両側面3,3の扉9b,9bに、若しくは、第1妻面5の扉9aのみに用いてもよい。また、一実施形態に係る鉄道コンテナ1において、第1妻面5が扉9aの構造を備えていながらも、例えば、従来のコンテナで採用されているような、ルーバー付きの扉を側面に備えることにより、鉄道コンテナ1の通風化に容易に対応することができる。
【0036】
また、一実施形態に係る鉄道コンテナ1において、内張部19を段部37a,37bの室内側面39a,39bに載置した際、内張板43の室内側面43aが、縦枠15a,15a及び横枠15b,15bの室内側面38a,38bに対して、略同一面上に配置されるているが、内張板43の室内側面43aが、縦枠15a,15a及び横枠15b,15bの室内側面38a,38bに対して、窪むように配置してもよい。また、この構造は、上述の扉の配置が異なるコンテナにも適用することが可能である。この場合、上述の扉9aの構成と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0037】
さらに、一実施形態に係る鉄道コンテナ1において、ネジ座56は、外板13に固定した際、ネジ座56の外面が外板13の外面に対して同一面上になるように設けられているが、ネジ座56の外面が外板13の外面に対して窪むように設けてもよい。
【0038】
また、一実施形態に係る鉄道コンテナ1において、内張部19は、内張板43及び補強板45とからなるが、扉9aの必要な強度が確保することができる場合、内張板43のみであってもよい。この場合、鉄道コンテナ1の軽量化に寄与することが可能となる。
【0039】
一実施形態に係る鉄道コンテナ1において、梁17,17は、横枠15b,15bの辺間をつなぐように、外板13の室内側に配置されているが、縦枠15a,15aの辺間をつなぐように配置されてもよく、または、縦枠15aと横枠15bの辺間をつなぐように、斜めに配置されてもよい。また、一実施形態では、梁17,17は、2本設けているが、パネル11の撓みを防ぎ、かつ、強度を維持することができれば、1本でもよく、または、3本以上設けてもよい。
【0040】
また、一実施形態に係る鉄道コンテナ1において、凹部29のフランジ33を外板13の室内側面(内面)に溶接して、凹部29を外板13に固定しているが、
図15に示すように、凹部61が凹条部25と同様に、プレス成形によるものであってもよい。この場合、一度の加工で凹条部25と凹部61とを成形することができるため、外板13の製造時間が短縮され、生産効率の高い扉となる。また、外板13の凹条部25がプレス成型品であるが、必要に応じ、この部分を外板13と別体とし、溶接によって、外板13に固定するようにしてもよい。
【0041】
一実施形態に係る鉄道コンテナ1において、開閉手段21の操作ハンドル49の先端部を外板13側に屈曲させてもよい。この場合、操作者が操作ハンドル49を操作しているときに手が滑った際、屈曲させた部分がストッパーとして機能するものとなる。
【符号の説明】
【0042】
1…鉄道コンテナ(コンテナ)、3…側面、5…第1妻面(妻面)、9a,9b…観音開きの扉(扉)、13…外板、15…枠部、19…内張部、21…開閉手段、25…凹条部、37…段部、49…開閉軸、49…操作ハンドル