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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】熱中症指標測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/17 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
G01W1/17 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018185393
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020056598
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093388
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 喜三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206302
【弁理士】
【氏名又は名称】落志 雅美
(72)【発明者】
【氏名】飯田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】内山 聖士
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-018357(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101793978(CN,A)
【文献】特開2015-212636(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19822102(DE,A1)
【文献】米国特許第04592661(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00 - 1/18
G01J 5/00 - 5/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒球温度センサ19を内部に備えた黒球温度計測器10と、温湿度センサ42と当該温湿度センサ42と前記黒球温度センサ19の測定値に基づいて温熱指標を演算する演算回路部とを備えた回路基板40を内部に備えたラジエーションシールド30とを連接固定した熱中症指標測定装置であって、
前記黒球温度計測器が、2分割に構成された半球11a、断面半円形状の支柱12aと半円フランジ13aとからなる半球部材11Aと、半球11b、断面半円形状の支柱12b、半円フランジ13bと、前記半円フランジ13bから延設垂下される回路基板取付部14とからなる半球部材11Bと、を合わせて留めて球状に形成され、
前記ラジエーションシールド30が、傘状プレート31の中央の平板部32から垂下される傘状プレート連結部材挿入筒体35を連接し傘状プレート連結部材51を各傘状プレート連結部材挿入筒体35に挿入貫通することで、複数個の傘状プレート31を上下に一定の間隔で連結固定し搭状に形成されてなることを特徴とする熱中症指標測定装置。
【請求項2】
前記黒球温度計測器10の半球部材11Aの半球11aの底面に半円孔16a、フランジ13aに貫通孔17a、半球部材11Bの半球11bの底面に半円孔16b、フランジ13bに貫通孔17bが孔設され、
半円孔16aと半円孔16bとで前記黒球温度センサ19と前期回路基板40とを接続する電線を貫通する円孔を形成し、前記傘状プレート連結部材51を貫通孔17a、17bに貫通させた
ことを特徴とする請求項1に記載の熱中症指標測定装置。
【請求項3】
前記黒球温度計測器10の半球部材11Aのフランジ13a、半球部材11Bのフランジ13bの少なくとも一つにLEDライトを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱中症指標測定装置。
【請求項4】
前記ラジエーションシールド30を構成する傘状プレート31が、上面が平坦な平板部32で外周縁部が下方に向けて外側に傾斜し外周傾斜面33からなり、前記前記傘状プレート31の平板部32の中央部に開口部34、平板部32の下方に垂下される傘状プレート連結部材挿入筒体35、前記傘状プレート連結部材挿入筒体35に並行に平板部32に垂下され先端部に突起36a及び後端部に凹部36bが設けられた連結部材36、回路基板挿入溝37a、37bが設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載の熱中症指標測定装置。
【請求項5】
前記回路取付基板40に 小電力無線モジュール41、温湿度センサ42、 制御部44、内部アンテナ45、電源47が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載に熱中症指標測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱中症予防に用いられる熱中症指標測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化が進み、また、日射が強くなるにつれて、熱中症発生の問題が大きくなってきている。そこで、熱中症対策として環境省による熱中症予防情報サイトや日本気象協会による熱中症情報で熱中症発生の報知を行っている。
例えば、日本気象協会による熱中症情報では、黒球温度(輻射熱)と湿度と温度に基づいて得られる温熱指標WBGT(Wet Bulb Globe Temperature/熱ストレスを評価する指標)を利用して全国の熱中症危険度や、3時間毎の詳しい情報と1週間先までの予測が市区町村別に確認できる。
しかし、これらの百葉箱などに設置した気温基準の熱中症情報では、例えば実際に作業者等がいる、入り組んで通風がほとんどなく熱がこもる半室内あるいは照り返しや日射の輻射熱がこもる躯体区画の、建設工事現場や製造工場等の室内環境における熱中症発生の可能性を確認するのは困難である。
そこで、最近では、乾湿温度計と、黒球温度計と、それらの測定値に基づいて得られる熱中症指標を表示する表示器とが一体に備えられた熱中症指標測定表示装置が提供され、そこにいる者がその表示を認識して熱中症の発生の防止が図られるようになっている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-181973号公報
【文献】特開2016-132835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2の湿球黒球温度測定装置(熱中症指標測定表示装置)は、黒球温度を検出する黒球温度センサと、気温を検出する気温センサと、湿度を検出する湿度センサと、これらの測定値に基づいて熱中症の発生しやすさを示す暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)を演算する演算部、当該演算部で算出された暑さ指数を表示する表示部が一体となった可搬可能な熱中症指標測定表示装置である。
また、特許文献2の湿球黒球温度測定装置は、例えば屋外等の工事現場の作業者が特許文献1に記載の測定装置をベルトに装着したり紐等で首から吊り下げたりすると他の工具と接触して測定装置が破損するおそれや工具の持ち運びや作業に支障をきたすのを防止するため作業者のヘルメット等に着脱可能に構成されている。
しかし、いずれの熱中症指標測定表示装置も、作業中に作業者が暑さ指数を確認するためには、作業を中止し表示部を目視する必要があり作業効率が低下する。また、熱中症指標測定表示装置を身体に着けてしまうと身体の温度に影響されやすい。
さらに、作業者個人は、熱中症指標測定表示装置の測定結果を見ることはできるが、作業者を監督する管理者はその情報にアクセスすることができず、現場での作業環境を整える管理者にタイムリーに情報を与え、対応することができない。
そのために、通信機能を持たせるとともに、通信のためには中継器を設置する必要があった。
【0005】
本発明は、かかる観点に鑑みてなされたもので、特に監督する管理者への正確な湿球黒球温度を計測して通信するため、広い現場各所の熱中症指標を測定し通信するための有効な構造を有する熱中症指標測定装置(湿球黒球温度測定装置)を提供することを目的とするものである。
また建設施工現場や製造工場等で実際に作業をしている現場の作業者にも、目視で熱中症の警戒情報を知らせることができる熱中症指標測定装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を下記の手段により解決した。
(1)黒球温度センサ19を内部に備えた黒球温度測定器10と、温湿度センサ42と当該温湿度センサ42と前記黒球温度センサ19の測定値に基づいて温熱指標を演算する演算回路部とを備えた回路基板40を内部に備えたラジエーションシールド30とを連接固定した熱中症指標測定装置であって、
前記黒球温度計測器が、2分割に構成された半球11a、断面半円形状の支柱12aと半円フランジ13aとからなる半球部材11Aと、半球11b、断面半円形状の支柱12b、半円フランジ13bと、前記半円フランジ13bから延設垂下される回路基板取付部14とからなる半球部材11Bと、を合わせて留めて球状に形成され、
前記ラジエーションシールド30が、傘状プレート31の中央の平板部32から垂下される傘状プレート連結部材挿入筒体35を連接し傘状プレート連結部材51を各傘状プレート連結部材挿入筒体35に挿入貫通することで、複数個の傘状プレート31を上下に一定の間隔で連結固定し搭状に形成されてなることを特徴とする熱中症指標測定装置。
(2)前記黒球温度計測器10の半球部材11Aの半球11aの底面に半円孔16a、フランジ13aに貫通孔17a、半球部材11Bの半球11bの底面に半円孔16b、フランジ13bに貫通孔17bが孔設され、半円孔16aと半円孔16bとで前記黒球温度センサ19と前期回路基板40とを接続する電線を貫通する円孔を形成し、前記傘状プレート連結部材51を貫通孔17a、17bに貫通させたことを特徴とする(1)に記載の熱中症指標測定装置。
(3)前記黒球温度計測器10の半球部材11Aのフランジ13a又は半球部材11Bのフランジ13bの少なくとも一つにLEDライトを設けたことを特徴とする(1)又は(2)に記載の熱中症指標測定装置。
(4)前記ラジエーションシールド30を構成する傘状プレート31が、上面が平坦な平板部32で外周縁部が下方に向けて外側に傾斜し外周傾斜面33からなり、前記前記傘状プレート31の平板部32の中央部に開口部34、平板部32の下方に垂下される傘状プレート連結部材挿入筒体35、前記傘状プレート連結部材挿入筒体35に並行に平板部32に垂下され先端部に突起36a及び後端部に凹部36bが設けられた連結部材36、回路基板挿入溝37a、37bが設けられていることを特徴とする(1)~(3)のいずれか1に記載の熱中症指標測定装置。
(5)前記回路取付基板40に、小電力無線モジュール41、温湿度センサ42、 制御部44、内部アンテナ45、電源47が設けられていることを特徴とする(1)~(4)のいずれか1に記載の熱中症指標測定装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の熱中症指標測定装置によれば、下記の効果が発揮される。
〈1〉黒球温度センサ19を内部に備えた黒球温度計測器10と、温湿度センサ42と当該温湿度センサ42と前記黒球温度センサ19の測定値に基づいて温熱指標を演算する演算回路部とを備えた回路基板40を内部に備えたラジエーションシールド30とを連接固定した熱中症指標測定装置であって、
前記黒球温度計測器が、2分割に構成された半球11a、断面半円形状の支柱12aと半円フランジ13aとからなる半球部材11Aと、半球11b、断面半円形状の支柱12b、半円フランジ13bと、前記半円フランジ13bから延設垂下される回路基板取付部14とからなる半球部材11Bと、を合わせて留めて球状に形成され、前記ラジエーションシールド30が、傘状プレート31の中央の平板部32から垂下される傘状プレート連結部材挿入筒体35を連接し傘状プレート連結部材51を各傘状プレート連結部材挿入筒体35に挿入貫通することで複数個の傘状プレート31を上下に一定の間隔で連結固定し搭状に形成されているので、現場各所に放置設置される熱中症指標測定装置として、理想的な黒球湿球温度が測定でき、かつ通信回路を内蔵しつつ頑丈である装置が提供できる。
〈2〉前記黒球温度計測器10の半球部材11Aのフランジ13a又は半球部材11Bのフランジ13bの少なくとも一つにLEDライトを設けているので、熱中症指標測定装置による測定結果に基づいてLEDライトを点滅、色の変化等させることで熱中症指標測定装置の設置箇所における熱中症の発生しやすさを示す暑さ指数の状況を現場の作業者に目視により警戒情報を知らせることができる。
〈3〉前記ラジエーションシールド30を構成する傘状プレート31が、上面が平坦な平板部32で外周縁部が下方に向けて外側に傾斜し外周傾斜面33からなり、前記前記傘状プレート31の平板部32の中央部に開口部34、平板部32の下方に垂下される傘状プレート連結部材挿入筒体35、前記傘状プレート連結部材挿入筒体35に並行に平板部32に垂下され先端部に突起36a及び後端部に凹部36bが設けられた連結部材36、回路基板挿入溝37a、37bが設けられ傘状プレート31を必要な個数所定間隔をおいて重ね傘状プレート連結部材51を用いて一体に固定して搭状に構成しているので、ラジエーションシールド30内に設けられた温湿度センサ42を直射日光や地面等からの輻射熱から保護しつつラジエーションシールド30内の換気を行うことで正確なその場所の空気温度が計測できる。また、連結部材36によりラジエーションシールド30部分の組み立てが、回路基板40を挿入しながら所定の間隔を確保して容易に可能になっている。
また、ラジエーションシールド30を傘状プレート31を必要な個数所定間隔をおいて重ね傘状プレート連結部材51を用いて一体に固定して搭状に構成しているので、ラジエーションシールド全体の複雑な形状の金型を必要とせずに単純な形の傘状プレートの金型を製作するだけで良く、規模に応じて大きさが異なるラジエーションシールド30を安価に製造することができる。
〈4〉前記ラジエーションシールド30内に設けた回路基板40に 小電力無線モジュール41、内部アンテナ45、電源47が設けられているので、建設現場などで毎日作業者の作業域が移動する場合でも移動や通信が簡単である。また、多数の熱中症指標測定装置を使用した多数のポイントの測定結果を作業管理者がいる事務所内に設置したパソコンに無線通信することで、作業現場にいない作業管理者が、広い現場において散って作業している各作業者の熱中症の管理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の熱中症指標測定装置の概略斜視図である。
図2】本発明の熱中症指標測定装置の正面図である。
図3】内部機構を省略した図2のA-A線断面図である。
図4】本発明の熱中症指標測定装置を構成する黒球温度計測器の概略分解図である。
図5】本発明の熱中症指標測定装置を構成するラジエーションシールドの部品とその組み立て概略図である。
図6】本発明の熱中症指標測定装置の回路基板の概略図である。
図7】本発明の熱中症指標測定装置の底板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の熱中症指標測定装置を実施するための形態を、実施例の図に基づいて説明する。
図1は、本発明の熱中症指標測定装置の概略斜視図、図2は、本発明の熱中症指標測定装置の正面図、図3は、内部機構を省略した図2のA-A線断面図、図4は、本発明の熱中症指標測定装置を構成する黒球温度計測器の概略分解図、図5は、本発明の熱中症指標測定装置を構成するラジエーションシールドの部品とその組み立て概略図、図6は、本発明の熱中症指標測定装置の回路基板の概略図、図7は、本発明の熱中症指標測定装置の底板の概略図である。
図1~7において、1は黒球温度測定器10とラジエーションシールド30とからなる熱中症指標測定装置である。
【0010】
10は、2分割に構成された半球11a、断面半円形状の支柱12aと半円フランジ13aとからなる半球部材11Aと、半球11b、断面半円形状の支柱12b、半円フランジ13bと、半円フランジ13bから延設垂下される回路基板取付部14とからなる半球部材11Bと、を合わせて留めて球状に形成された黒球温度測定器である。なお、12は、半球部材11Aの支柱12bと半球部材11Bの支柱12bとを合わせて形成される円筒状の支柱である。
また、前記半球部材11Bのフランジ13bの下面には、後述するラジエーションシールド30を構成する傘状プレート31の平板部32設けられた凹部36bに嵌め込む突起13cが設けられている。
半球部材の材質としては、銅板、アルミニウム板又は合成樹脂板等で構成することができるが、本実施の形態においては、プラスチックを使用している。
なお、JIS規格でこの黒球の大きさに関しては、25mm~150mmと規定されているが、本実施の形態においては、黒球温度計測の正確性と装置の大きさを考慮し75mmとしている。
15は前記回路基板取付部14に孔設された回路基板取付孔、16aは前記半球部材11Aの半球11aの底面に孔設された半円孔、16bは前記半球部材11Bの底面に孔設された半円孔、17aは前記半球部材11aAのフランジ13aに孔設された貫通孔、17bは前記半球部材11Bのフランジ13bに孔設された貫通孔、18は基板、19は前記黒球温度測定器10の中心部に配置された黒球温度を測る温度センサ、20は基板取付部材、21はLEDライトである。貫通孔17aと貫通孔17bは、後述する傘状プレート連結部材51を貫通させるために設けられている。
【0011】
前記温度センサ19は、接続コード(図示せず)を前記半球部材11Aの半球11aの底面に孔設された半円孔16aと前記半球部材11Bの半球11bの底面に孔設された半円孔16bとにより形成される円孔16を通して、回路基板40(図6参照)に設けられた制御部44に接続される。
前記のように半球部材11Aの半球11aの底面に孔設された半円孔16aと前記半球部材11Bの半球11bの底面に孔設された半円孔16bとにより形成される円孔16を通して、接続コードを回路基板に設けられた制御部44に接続することで、黒球内の空気とラジエーションシールド内の空気が混じるのを防いでいる。これは、黒球内の温度は太陽光等により上がっていてラジエーションシールド内の温湿度を測る場所の温度とは異なるので双方の空気が交わらないようにするためである。
なお、本発明の実施形態においては、半球11b内に基板18を設け当該基板18に温度センサ19を取付けているが、温度センサ19を黒球温度測定器10の内部中心に配置できればこれに限定されるものではない。
前記LEDライト21は、接続コード(図示せず)により回路基板40に設けられた制御部44に接続されていて、測定結果に基づいて点滅、色の変化等により、熱中症指標測定装置の稼働状況や熱中症指標測定装置の設置箇所における熱中症の発生しやすさを示す暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)の状況を知らせるものである。
例えば、緑色で10秒間隔点滅することで各温度・温湿度センサが稼働していることを知らせたり、5秒毎に赤色の点滅で最初の警戒警報を知らせ、更に危険度が高くなると2秒毎の点滅、1秒毎の点滅で警戒警報を知らせる等、現場の作業者にLEDライトの点滅や色の変化による目視できる警戒情報を知らせることができる。
【0012】
30は直射日光や地面等からの照り返しの影響を排除し、温湿度センサを太陽光(紫外線)から保護するためのラジエーションシールドで、本実施の形態においては、通気性を考慮し傘状プレート31を所定の間隔をおいて必要な数重ね傘状プレート連結部材51を用いて一体に固定して傘を重ねた形状に構成されている。
図5(a)は、傘状プレート31の平面図、図5(b)は傘状プレート31の正面図、図 5(c)は図5(a)のB―B断面図、図5(d)は、2個の傘状プレート31を連結固定した状態の断面図である。
傘状プレート31は、上面が平坦な平板部32で外周縁部が下方に向けて外側に傾斜し外周傾斜面33となっている。
34は前記傘状プレート31の平板部32の中央部を貫通穿孔した開口部、35は傘状プレート連結部材挿入筒体で傘状プレート31を連結固定するための傘状プレート連結部材51が貫通するための貫通孔となっている。36は、先端部に突起36a、後端部に凹部36bが設けられた連結部材、37a、37bは回路基板挿入溝である。
本実施の形態において傘状プレート31は、耐紫外線性、低熱伝導性、高反射性、コスト面を考慮しプラスチックで構成され、白い色で反射を良くしているがこれに限定されるものではない。
【0013】
なお、本実施形態においては、8個の傘状プレート31を所定の間隔をおいて重ね傘状プレート連結部材51を用いて一体に固定して8層の搭状に構成されているが、傘状プレート31の個数は、前記ラジエーションシールド30内に設けられる回路基板40の長さを考慮して選択される。
前記傘状プレート連結部材51は、ボルト51aとナット51bから構成されているが、前記所定の間隔をおいて重ねた複数の傘状プレート31を一体に固定できるものであればこれに限定されるものではない。
また、傘状プレート31の高さは、図5(d)に示すように、対象空間の空気温度又は湿度を正確に測定する場合前記ラジエーションシールド30内の換気が重要であることから、各傘状プレート31が積層されて連結されたときに各傘状プレート31の各平板部32から外周傾斜面33に向けて通風が可能で、外周傾斜面33の下端が下方の傘状プレート31の平板部32より低い位置となるように所定の長さに形成されている。
これにより前記ラジエーションシールド30内の温湿度センサ42を直射日光や地面等からの輻射熱から保護しつつ上下2個の各傘状プレート31との間の周側面開口部38を介してラジエーションシールド30内の換気が周囲の気流によって行われる。
さらに、傘状プレート31を必要な個数所定間隔をおいて重ね傘状プレート連結部材51を用いて一体に固定してラジエーションシールド30としているので、熱中症指標測定装置に内蔵される回路基板40の規模に応じて大きさを変化させることができ、単純な形状の金型で製作できるのでラジエーションシールド30を安価に製造することができる。
【0014】
図6は、平板状の回路基板であり、図6(a)は、回路基板の表面図、図6(b)は回路基板の裏面図である。
40は前記ラジエーションシールド30内に設けられる平板状の回路基板であり、回路基板40の表面には、小電力無線モジュール41、ラジエーションシールド内の空気の温度と空気の相対湿度を測る温湿度センサ42、信号ケーブル接続コネクタ43、演算回路部を含む制御部(半導体)44、内部アンテナ45等が設けられている。46は前記温湿度センサ42の周りに設けた溝でありこの溝を空気が通るようにして通風性を高めている。なお、前記演算回路部は、ラジエーションシールド内の空気の温度と空気の相対湿度を測る温湿度センサ42と、黒球温度測定器10の内部に設けられた温度センサ19の測定値に基づいて温熱指標を演算する。
また、回路基板40の裏面には電源を構成する乾電池47が設けられている。48は前記回路基板40を前記黒球温度測定器10の半球部材11Bの半円フランジ13bから延設垂下される回路基板取付部14に取り付けるための取付孔である。
なお、本実施の形態においては、小電力無線モジュール41として920MHz帯の 特定小電力無線モジュールを用いている。このように通信モジュール41は920MHZ帯の周波数で小電力で稼働できるため、単3の乾電池数本からなる電源で1年間以上稼働することができる。
また、回路基板40に多くの機能を搭載できるので、測定器である熱中症指標測定装置1が通信子機になり、現場に親機を設置し、そこから管理者のいる現場事務所へ中央監視コンピュータ等を置き運用することを実現する通信機能を備えているので、測定情報を現場の親機から直接クラウドに伝送し、該クラウド上のソフトウエアを用いて簡易な中央監視装置で熱中症の管理を行うことができる。
【0015】
「底板60」
60は、前記ラジエーションシールド30の底を塞ぐ円形状の底板であり、61は熱中症指標測定装置1を三脚(図示しない)等に固定するための固定部、62は前記回路基板40に設けた外部USBケーブル接続部にUSBケーブル(設定・調整時通信や給電用途、図示せず)を接続するときのUSBコネクタ挿入穴、63は前記回路基板40に設けた熱中症指標測定装の再起動用のスイッチ等(図示せず)の逃げ穴、64は、通信強度を高めるために外部アンテナを取付ける外部アンテナ取付部、65は、傘状プレート連結部材挿入孔、66は、前記傘状プレート31の連結部材36の突起36aを嵌め込む凹部である。
【0016】
上記の各構成部材を用いて本発明の熱中症指標測定表示装置を組み立てる工程の一例を説明する。
〔工程1〕
「ラジエーションシールド30の組み立て」
(a)底板60に設けた各傘状プレート連結部材挿入孔65のそれぞれに傘状プレート連結部材51のボルト51aを挿入しナット51bで固定し、前記底板60に傘状プレート連結部材51を立設する。
(b)当該傘状プレート連結部材51のボルト51a上から傘状プレート31を当該傘状プレート31に設けられた傘状プレート連結部材挿入筒体35を挿入し、傘状プレート31に設けられた連結部材36の先端部の突起36aを底板60に設けられた凹部66に嵌め込み固定する。
(c)その後同じように残りの傘状プレート31を前記傘状プレート連結部材51のボルト51aの上からに当該傘状プレート31に設けられた傘状プレート連結部材挿入筒体35を挿入し、傘状プレート31に設けられた連結部材36の突起36aをその下に位置する傘状プレート31の平板部32に設けられた凹部36bに嵌込み固定しラジエーションシールド30が完成する。
〔工程2〕
「黒球温度測定器10の組み立て」
(a)2分割に構成された半球11a、断面半円形状の支柱12aとフランジ13aとからなる半球部材11Aと、半球11b断面半円形状の支柱12b、フランジ13bと回路基板取付部14とからなる半球部材11Bとを、それぞれ半球11aと半球11b、支柱12aと支柱12b及びフランジ13aとフランジ13cをと合わせて留めて球状の黒球温度測定器10を組み立てる。
(b)前記黒球温度計測器10の半球部材11Aのフランジ13a又は半球部材11Bのフランジ13bの少なくとも一つにLEDライトと取り付ける。
(c)黒球温度測定器10の半球部材11Bの回路基板取付部14に回路基板40をボルト・ナット等で固定する。
〔工程3〕
「熱中症指標測定表示装置を組み立て」
次の工程で、前記のように組み立てた黒球温度測定器10を前記ラジエーションシールド30の最上部に取付けて熱中症指標測定表示装置を組み立てる。
(a)前記黒球温度測定器10の半球部材11Bの回路基板取付部14に固定された平板状の回路基板40を、当該回路基板40の左右側部を前記ラジエーションシールド30の傘状プレート31の平板部32に設けられた回路基板挿入溝37a、37bに挿入し下方にスライドしながら傘状プレート31の平板部32の中央部に貫通穿孔された開口部34から挿入する。
(b)更に回路基板40を下方にスライドさせ、前記黒球温度測定器10の半球部材11Aのフランジ13aに孔設された貫通孔17a、半球部材11Bのフランジ13bに孔設された貫通孔17bを、前記ラジエーションシールド30の最上部の傘状プレート31の平板部32の傘状プレート連結部材挿入筒35を貫通し飛び出している傘状プレート連結部材51のボルト51a上に合わせてから前記黒球温度測定器10を落とし込み、前記半球部11bのフランジ13bに設けられた突起部13cを最上部の傘状プレート31の平板部32の上面に孔設された凹部36bに嵌め込む。
(c)最後に、前記黒球温度測定器10の半球部材11Aのフランジ13aに孔設された貫通孔17a及び半球部材11Bのフランジ13bに孔設された貫通孔17bから飛び出している傘状プレート連結部材51のボルト51aの上からナットを締めて、黒球温度測定器10をラジエーションシールド30の上部に固定する。
以上により本実施の形態の熱中症指標測定装置1が完成する。
【0017】
本発明の熱中症指標測定装置によるWBGT値の測定については、前記黒球温度測定器10で黒球温度を測り、ラジエーションシールド30内の温湿度センサ42でラジエーションシールド30の周囲空気の乾球温度と当該空気の相対湿度としてラジエーションシールド30内の空気の乾球温度と当該空気の相対湿度を測り、この3つの測定値の入力信号に基づいてWBGT値演算部で、WBGT値を演算算出する。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の熱中症指標測定装置は、実際に作業者等がいる建設工事現場や製造工場の外、集会場や学校における体育館等多くの人が集まる施設においても使用することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 熱中症指標測定装置
10 黒球温度測定器
12 支柱
13A、13B 半球部材
16 円孔
17a、17b 貫通孔
18 基板
19 温度センサ
21 LEDライト
30 ラジエーションシールド
31 傘状プレート
34 開口部
35 傘状プレート連結部材挿入筒体
36 連結部材
37a、37b 回路基板挿入溝
40 回路基板
41 小電力無線モジュール
42 温湿度センサ
44 制御部
45 内部アンテナ
46 溝
47 乾電池
51 傘状プレート連結部材
60 底板
61 固定部
64 外部アンテナ取付部
65 傘状プレート連結部材挿入孔
66 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7