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特許7093306PDE1阻害剤としての1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン及び1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】PDE1阻害剤としての1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン及び1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20220622BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220622BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220622BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220622BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20220622BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20220622BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220622BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20220622BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20220622BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220622BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220622BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
C07D471/04 106H
A61K31/437
A61K31/444
A61K31/519
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/08
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P43/00 111
C07D487/04 143
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018550733
(86)(22)【出願日】2017-04-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2017058332
(87)【国際公開番号】W WO2017178350
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-03-27
(31)【優先権主張番号】PA201600221
(32)【優先日】2016-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】591143065
【氏名又は名称】ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141195
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 恵美子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ジュール,カールステン
(72)【発明者】
【氏名】ジェッシング,ミッケル
(72)【発明者】
【氏名】ランゴー,モルテン
(72)【発明者】
【氏名】バイタル,パウロ,ジョルジ,ヴィエラ
(72)【発明者】
【氏名】マリゴ,マウロ
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ラスムッセン,ラース,キューン
【審査官】西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/026876(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/018474(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/099211(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02305262(EP,A1)
【文献】国際公開第2008/139293(WO,A1)
【文献】英国特許第00973361(GB,B)
【文献】国際公開第2016/055618(WO,A1)
【文献】FINLANDER, P et al.,Phosphorus Pentoxide in Organic Synthesis,Chemica Scripta,1983年,Vol. 22,pp. 171-176
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

(式中、
YはN又はCHであり;
は、直鎖又は分岐鎖のC~Cアルキル、飽和単環式C~Cシクロアルキル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなる群から選択され;それらの全ては、メチル、フッ素、ヒドロキシ、シアノ、及びメトキシからなる群から選択される1つ以上の置換基により1回以上置換されていてよく;
は、直鎖又は分岐鎖のC~Cアルキル、フェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、及び飽和単環式C~Cシクロアルキルからなる群から選択されるか;或いは
は、ハロゲン、C~Cアルキル、及びメトキシからなる群から選択される1つ以上の置換基により1回以上置換されたフェニルであるか;或いは
は、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cフルオロアルコキシ、C~Cシクロアルコキシ、及びC~Cメチルシクロアルコキシからなる群から選択される置換基により置換されたピリジルであるか;或いは
は、C~Cアルキルにより置換された5員ヘテロアリールからなる群から選択され;
は、直鎖又は分岐鎖のC~Cアルキル及び飽和単環式C~Cシクロアルキルからなる群から選択され;それらは、ハロゲン、C~Cアルコキシ、フェニル、ジアルキルアミノ、及びオキセタニルから選択される置換基によりそれぞれ任意選択で置換されていてよい);
又はその互変異性体若しくは薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
YがNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
YがCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、直鎖若しくは分岐鎖のC~Cアルキル、又は飽和単環式C~Cシクロアルキルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、メチル、メトキシ、フッ素、又は塩素から選択される1つ以上の置換基により任意選択で置換されたフェニルであるか;或いは、Rが、メチル、メトキシ、フッ素、及び塩素からなる群から選択される置換基により置換されたピリジルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が飽和単環式C~Cシクロアルキルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
がC1~3アルキルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
が、フェニルにより置換されたメチルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
が、メトキシ又はオキセタニルにより置換されたメチルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
YがN又はCHであり;
が、直鎖又は分岐鎖のC~Cアルキル、飽和単環式C~Cシクロアルキル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなる群から選択され;それらの全てが、メチル、フッ素、ヒドロキシ、シアノ、及びメトキシからなる群から選択される1つ以上の置換基により1回以上置換されていてよく;
が、フェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、及び飽和単環式C~Cシクロアルキルからなる群から選択されるか;或いは
が、ハロゲン、C~Cアルキル、及びメトキシからなる群から選択される1つ以上の置換基により1回以上置換されたフェニルであるか;或いは
が、ハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cアルコキシ、C~Cフルオロアルコキシ、C~Cシクロアルコキシ、及びC~Cメチルシクロアルコキシからなる群から選択される置換基により置換されたピリジルであり;
がC~Cアルキルであり;それが、ハロゲン、C~Cアルコキシ、フェニル、及びオキセタニルから選択される置換基によりそれぞれ任意選択で置換されていてよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
6-ベンジル-5-(シクロヘキシルメチル)-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オン;
5-(シクロヘキシルメチル)-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-プロピル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-(シクロヘキシルメチル)-6-メチル-1-プロピル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
6-エチル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
6-(メトキシメチル)-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
6-イソプロピル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-(オキセタン-3-イルメチル)-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-[(3-フルオロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(2-フルオロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-クロロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-ベンジル-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(3-クロロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-フルオロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
6-メチル-5-(p-トリルメチル)-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルメチル)-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(6-メトキシ-3-ピリジル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-プロピル-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
1-イソプロピル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロフラン-3-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
1-シクロプロピル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
1-エチル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-3-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-[(2S,3R)-2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル]ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-[(2R,3R)-2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル]ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-(オキセタン-3-イル)ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物又はこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
治療で使用するための請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
治療上有効な量の請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、及び1種以上の薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病からなる群から選択される神経変性疾患の治療用、又は注意欠陥多動性障害(ADHD)、うつ病、不安、ナルコレプシー、認知機能障害、及び統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)を含む精神疾患、若しくはレストレスレッグ症候群を含む別の脳疾患の治療用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PDE1酵素阻害剤である化合物並びに特に神経変性疾患及び精神疾患の治療のための医薬品としてのその用途を提供する。
【0002】
本発明は、本発明の化合物を含む医薬組成物及び本発明の化合物を使用して疾患を治療する方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
本出願を通して、種々の刊行物が全体として参照されている。これらの刊行物の開示は、参照により本出願に組み込まれて、本発明が属する分野の技術水準をより完全に説明する。
【0004】
二次メッセンジャー環状ヌクレオチド(cN)である環状アデノシン一リン酸(cAMP)及び環状グアノシン一リン酸(cGMP)は、cN依存性プロテインキナーゼ(PKA及びPKG)、EPAC(cAMPにより活性化される交換タンパク質)、リンタンパク質ホスファターゼ、及び/又はcN感受性カチオンチャネルを制御することにより、細胞内シグナル伝達カスケードにおいて主要な役割を果たしている。ニューロンにおいて、これは、cAMP依存性及びcGMP依存性キナーゼの活性化と、それに続く、シナプス伝達の急性調節並びに神経細胞の分化及び生存に関与するタンパク質のリン酸化を含む。cAMP及びcGMPの細胞内濃度は、シクラーゼによる生合成の速度及びホスホジエステラーゼ(PDE、EC3.1.4.17)による分解の速度により、厳密に調節されている。PDEは、3’-エステル結合を触媒的に加水分解し、不活性な5’一リン酸を形成することにより、cAMP/cGMPを不活性化させる二元金属ヒドロラーゼである。PDEは、細胞中で環状ヌクレオチドcAMP及びcGMPを分解する唯一の手段を与えるので、PDEは、環状ヌクレオチドシグナル伝達において重要な役割を果たす。PDEの触媒活性により、全細胞で様々なcN濃度にわたってcNが分解され、その様々な調節機構により、無数のシグナル伝達経路との統合及びクロストークが生じる。特定のPDEは、それがcN濃度を制御し、種々のcNシグナロソームのための微小環境を形づくる、細胞内の個別の区画を標的にする(Sharron H.Francis,Mitsi A.Blount,and Jackie D.Corbin.Physiol Rev 2011,91:651 690)。
【0005】
基質特異性に基づくと、PDEファミリーは、3つの群:1)PDE4、PDE7、及びPDE8を含む、cAMPに特異的なPDE、2)cGMP選択的酵素であるPDE5及びPDE9、並びに3)二重基質PDEであるPDE1、PDE2、PDE3、並びにPDE10及びPDE11に分類できる。
【0006】
以前に命名されたカルモジュリン刺激PDE(CaM-PDE)であるPDE1は、4つのCa2+と複合体化するカルモジュリン(CaM、16kDaのCa2+結合タンパク質)によりCa2+依存的に調節される点で独特である(概説には、Sharron H.Francis,Mitsi A.Blount,and Jackie D.Corbin.Physiol Rev 2011,91:651 690)。そのため、PDE1は、環状ヌクレオチドと細胞内Ca2+との間の興味深い制御的なリンクである。PDE1ファミリーは、3つの遺伝子:PDE1A(ヒト染色体2q32にマッピングされる)、PDE1B(ヒト染色体位置、hcl:12q13)、及びPDE1C(hcl:7p14.3)によりコードされている。それらは、選択的プロモーターを有し、調節特性、基質親和性、比活性、CaMの活性化定数、組織分布、及び分子量が異なる多数のタンパク質を選択的スプライシングにより生じさせる。10を超えるヒトアイソフォームが同定されている。それらの分子量は、モノマーあたり58~86kDaである。2つのCa2+/CaM結合ドメイン及び2つのリン酸化部位を含むN末端調節ドメインは、それらの対応するタンパク質を識別し、それらの生化学的機能を調節する。PDE1は二重基質PDEであり、PDE1CサブタイプはcAMPとcGMPに対して等しい活性を有するが(Km 1~3μM)、サブタイプPDE1A及びPDE1Bでは、cGMPに対する活性が高い(cGMPに対するKm 1~3μM及びcAMPに対するKm 10~30μM)。
【0007】
PDE1サブタイプは、脳に高濃度で存在し、特に、線条体(PDE1B)、海馬(PDE1A)、及び皮質(PDE1A)に局在化しており、この局在化は種を超えて保存されている(Amy Bernard et al.Neuron 2012,73,1083 1099)。皮質において、PDE1Aは、主に皮質深層5及び6(出力層)に存在し、皮質深層に対する特異的マーカーとして使用される。PDE1阻害剤は、二次メッセンジャーcNの濃度を上昇させ、神経細胞の興奮性の増大をもたらす。
【0008】
したがって、PDE1は、好ましくは神経系における細胞内シグナル伝達経路の制御のための治療標的であり、PDE1阻害剤は、二次メッセンジャーcAMP/cGMPのレベルを上昇させて、神経突起の調節並びに神経可塑性関連遺伝子、神経栄養因子、及び神経保護分子の発現をもたらし得る。これらの神経可塑性増大特性とシナプス伝達の調節により、PDE1阻害剤は、多くの神経病態及び精神病態における治療剤の優れた候補となる。動物モデルにおけるPDE1阻害剤の評価(概説には、例えば、Blokland et al.Expert Opinion on Therapeutic Patents(2012),22(4),349-354;及びMedina,A.E.Frontiers in Neuropharmacology(2011),5(Feb),21を参照されたい)は、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病のような神経疾患並びに、例えば、注意欠陥多動性障害(ADHD)、レストレスレッグ症候群、うつ病、ナルコレプシー、認知機能障害、及び統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)のような精神疾患におけるPDE1阻害剤の治療用途の可能性を示唆した。PDE1阻害剤が、女性性機能不全などの、プロゲステロンによるシグナル伝達の増強により軽減され得る疾患に有用であると主張する特許出願もあった(例えば、国際公開第2008/070095号パンフレット)。
【0009】
国際公開第2008/139293号パンフレット及び国際公開第2010/084438号パンフレット(Pfizer Inc.)並びに国際公開第2004/099211号パンフレット(Bayer AG)は、PDE9阻害剤としての1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンを開示している。
【0010】
本発明の化合物は、全患者に効能があるわけでない、神経変性疾患及び/又は精神疾患の現在市販されている治療の代替物を提供できる。したがって、治療の代替方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
PDE1酵素は中枢神経系(CNS)に発現されており、そのため、この遺伝子ファミリーは、精神疾患及び神経変性疾患の治療の新たな標的の魅力的な源となる。
【0012】
本発明の目的は、PDE1阻害剤であり、したがって神経変性疾患及び精神疾患を治療するのに有用な化合物を提供することである。好ましくは、前記化合物は、PDE9阻害に関連する潜在的に望まれない作用を防ぐために、PDE9阻害剤としてよりもPDE1阻害剤として少なくとも10倍強力である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、式(I)の化合物
【化1】
(式中、
YはN又はCHであり;
R1は、直鎖又は分岐鎖のC~Cアルキル、飽和単環式C~Cシクロアルキル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニル(tetrathydropyranyl)からなる群から選択され;それらの全ては、メチル、フッ素、ヒドロキシ、シアノ、及びメトキシからなる群から選択される1つ以上の置換基により1回以上置換されていてよく;
R2は、直鎖又は分岐鎖のC~Cアルキル、フェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、及び飽和単環式C~Cシクロアルキルからなる群から選択されるか;或いは
R2は、ハロゲン、C~Cアルキル、及びメトキシからなる群から選択される1つ以上の置換基により1回以上置換されたフェニルであるか;或いは
R2は、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cフルオロアルコキシ、C~Cシクロアルコキシ、及びC~Cメチルシクロアルコキシからなる群から選択される置換基により置換されたピリジニルであるか;或いは
R2は、C~Cアルキルにより置換された5員ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3は、直鎖又は分岐鎖のC~Cアルキル及び飽和単環式C~Cシクロアルキルからなる群から選択され;それらは、ハロゲン、C~Cアルコキシ、フェニル、ジアルキルアミン、及びオキセタンから選択される置換基によりそれぞれ任意選択で置換されていてよい);
並びにその互変異性体及び薬学的に許容可能な塩に関する。
【0014】
化合物(I)への言及は、化合物(I)の遊離塩基、化合物(I)の酸付加塩などの化合物Iの薬学的に許容可能な塩、化合物(I)のラセミ混合物、又は化合物Iの対応するエナンチオマー及び/若しくは光学異性体、並びに化合物(I)の多形体形態及び非晶質形態、並びに化合物(I)の互変異性形態を含む。さらに、本発明の化合物は、溶媒和されていない形態でも、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒により溶媒和された形態でも存在し得る。一般に、本発明の目的には、溶媒和された形態は、溶媒和されていない形態と等しいと考えられる。
【0015】
一実施形態において、本発明は、療法に使用するための式(I)による化合物に関する。
【0016】
一実施形態において、本発明は、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病からなる群から選択される神経変性疾患の治療に使用するための、又は注意欠陥多動性障害(ADHD)、うつ病、不安、ナルコレプシー、認知機能障害、及び統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)などの精神疾患、若しくはレストレスレッグ症候群のような別な脳疾患の治療のための式(I)による化合物に関する。
【0017】
一実施形態において、本発明は、式(I)による化合物及び1種以上の薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0018】
一実施形態において、本発明は、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病からなる群から選択される神経変性疾患の治療、又は注意欠陥多動性障害(ADHD)、うつ病、不安、ナルコレプシー、認知機能障害、及び統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)などの精神疾患、若しくはレストレスレッグ症候群のような別の脳疾患の治療の方法であって、治療上有効な量の式(I)による化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む方法に関する。
【0019】
一実施形態において、本発明は、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病からなる群から選択される神経変性疾患の治療のための、又は注意欠陥多動性障害(ADHD)、うつ病、不安、ナルコレプシー、認知機能障害、及び統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)などの精神疾患、若しくはレストレスレッグ症候群のような別の脳疾患の治療のための医薬品の製造のための式(I)による化合物の使用に関する。
【0020】
定義
PDE1酵素:
PDE1アイソザイムファミリーは、多くのスプライスバリアントPDE1アイソフォームを含む。それは、3つのサブタイプ、PDE1A、PDE1B、及びPDE1Cを有し、それらはさらに種々のアイソフォームに分かれる。本発明の文脈では、PDE1とPDE1酵素は同義であり、特記されない限り、PDE1A、PDE1B、及びPDE1C酵素、並びにそれらのアイソフォームを指す。
【0021】
PDE1阻害剤及びPDE9阻害剤:
本発明の文脈では、化合物は、3種のPDE1アイソフォームの任意のIC50レベルに達するのに要する量が、10マイクロモーラー以下、好ましくは、8マイクロモーラー以下など、7マイクロモーラー以下など、6マイクロモーラー以下など、5マイクロモーラー以下など、4マイクロモーラー以下など、3マイクロモーラー以下など9マイクロモーラー未満、より好ましくは、1マイクロモーラー以下など2マイクロモーラー以下、特に500nM以下である場合、PDE1阻害剤であると考えられる。好ましい実施形態において、PDE1BのIC50レベルに達するのに要するPDE1阻害剤の要求される量は、300nM以下、200nM以下、100nM以下など400nM以下、又はさらには50nM以下などの80nM以下、例えば25nM以下である。
【0022】
好ましい実施形態において、本発明の化合物は、PDE9阻害剤としてよりもPDE1阻害剤として少なくとも10倍強力であり、すなわち、3種のPDE1アイソフォームの1種以上のIC50レベルに達するのに要する量は、PDE9酵素のIC50レベルに達するのに要する同じ化合物の量の少なくとも10分の1である。
【0023】
置換基:
本文脈では、「任意選択で置換されている」は、示されている部分が置換されていることも又は置換されていないこともあり、置換されている場合、一置換、二置換、又は三置換であることを意味する。「任意選択で置換されている」部分に置換基が全く示されていない場合、その位置が水素原子により占められていることが理解される。
【0024】
本発明の文脈で使用される場合、用語「ハロ」及び「ハロゲン」は互換的に使用され、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を指す。
【0025】
所与の範囲は、互換的に「-」(ダッシュ)又は「から」により示されることがあり、例えば、用語「C~Cアルキル」は「CからCアルキル」に等しい。
【0026】
用語「C~Cアルキル」、「C~Cアルキル」、「C~Cアルキル」、「C~Cアルキル」、「C~Cアルキル」、及び「C~Cアルキル」は、直鎖(すなわち非分岐)又は分岐鎖の、両端を含む1~8つまでの炭素原子を有する飽和炭化水素を指す。そのような基の例には、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、及びn-オクチルがあるが、これらに限定されない。
【0027】
用語「飽和単環式C~Cシクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルを指す。
【0028】
用語「ヘテロアリール」は、1~5つの炭素原子並びに酸素、窒素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む5又は6員の芳香族単環式環を指す。
【0029】
用語「ジアルキルアミン」は、2つのC~Cアルキル基により置換されたアミノ基を指す。
【0030】
用語「C~Cアルコキシ」は、R’が上記で定義されたC~Cアルキルを示す式-OR’の部分を指す。C~Cフルオロアルコキシは、1つ以上のフッ素により置換されたC~Cアルコキシを指す。
【0031】
用語「C~Cシクロアルコキシ」は、R’が飽和単環式C~Cシクロアルキル基である式-OR’の部分を指す。用語「C~Cメチルシクロアルコキシ」は、C~Cシクロアルコキシ基により置換されたメチル基を指す。
【0032】
異性体及び互変異性形態
本発明の化合物が1つ以上のキラル中心を含む場合、化合物のいずれかへの言及は、特記されない限り、エナンチオマー的又はジアステレオマー的に純粋な化合物並びにあらゆる比率のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物を網羅する。
【0033】
さらに、本発明の化合物のいくつかは異なる互変異性形態で存在することがあり、化合物が形成することが可能なあらゆる互変異性形態が本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0034】
薬学的に許容可能な塩:
本発明の化合物は、一般に、遊離の物質として、又はその薬学的に許容可能な塩として使用される。式(I)の化合物が遊離塩基を含む場合、そのような塩は、式(I)の遊離塩基の溶液又は懸濁液をモル当量の薬学的に許容可能な酸で処理することにより、従来の方法で調製される。好適な有機酸及び無機酸の代表例は以下に記載される。
【0035】
本文脈における薬学的に許容可能な塩は、非毒性の、すなわち生理的に許容可能な塩を示すものとする。薬学的に許容可能な塩という用語は、塩酸塩酸(hydrochloride acid)、臭化水素酸塩酸(hydrobromide acid)、リン酸、亜硝酸、硫酸、安息香酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、グルタミン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、サリチル酸、サッカリン、並びにメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などの無機酸及び/又は有機酸により形成される塩を含む。先に列記された酸のいくつかは、リン酸、硫酸、フマル酸、及びマレイン酸などの二酸又は三酸、すなわち2又は3つの酸性水素を含む酸である。
【0036】
薬学的に許容可能な塩を形成するのに有用な酸及び塩基の追加の例は、例えば、Stahl and Wermuth(Eds)“Handbook of Pharmaceutical salts.Properties,selection,and use”,Wiley-VCH,2008に見いだすことができる。
【0037】
治療上有効な量:
本文脈において、用語化合物の治療上有効な量は、前記化合物の投与を含む治療介入において所与の疾病の臨床症状及びその合併症を治癒する、緩和する、又は部分的に抑えるのに充分な量を意味する。これを達成するのに充分な量が、「治療上有効な量」と定義される。各目的に対する有効量は、疾病又は創傷の重症度、並びに対象の体重及び全般的な状態によるだろう。適切な用量の決定は、値のマトリックスを構築し、マトリックス中の異なる点を試験することにより、定型的な実験を利用して達成可能であるが、それは全て熟練した医師の通常の技量内であることが理解されるだろう。
【0038】
治療及び治療すること:
本文脈では、「治療」又は「治療すること」は、疾患の臨床徴候の進行を緩和し、停止させ、部分的に停止させ、若しくは遅らせるための、又は疾患を治癒するための患者の管理及び看護を示すものとする。治療すべき患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒトである。
【0039】
投与経路
医薬組成物は、経口、直腸、鼻腔内、頬側、舌下、経皮、及び非経口(例えば、皮下、筋肉内、及び静脈内)経路などのあらゆる好適な経路による投与のために具体的に製剤できる;経口経路が好ましい。
【0040】
経路が、治療すべき対象の全身状態及び年齢、治療すべき病態の性質、並びに有効成分に依存することが認識されるだろう。
【0041】
医薬製剤及び賦形剤
下記において、用語、「賦形剤」又は「薬学的に許容可能な賦形剤」は、充填剤、粘着防止剤(antiadherents)、結合剤、コーティング、色素、崩壊剤、香料、滑剤、滑沢剤、保存剤、吸収剤、甘味剤、溶媒、ビヒクル、及び補助剤を含むがこれらに限定されない医薬賦形剤を指す。
【0042】
本発明は、式(I)の化合物を含む医薬組成物を製造する方法も提供する。本発明による医薬組成物は、Allen,Loyd V.,Jr編、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,22th edition(2012)に開示されるものなどの従来の技法に従って薬学的に許容可能な賦形剤と共に製剤できる。
【0043】
一実施形態において、本発明は、本明細書の実験セクションに開示される化合物の1つなどの式(I)の化合物を含む医薬組成物に関する。
【0044】
経口投与用の医薬組成物には、錠剤、カプセル剤、散剤、及び顆粒剤などの固体経口剤形;並びに液剤、乳剤、懸濁剤、及びシロップ剤などの液体経口剤形、並びに適切な液体に溶解又は懸濁させるための散剤及び顆粒剤がある。
【0045】
固体経口剤形は、所定量の有効成分及び、好ましくは、1種以上の好適な賦形剤をそれぞれ含む別個の単位(例えば、錠剤又はハード若しくはソフトカプセル)として呈されることがある。適切な場合、固体剤形は、腸溶性コーティングなどのコーティングと共に調製されることがあり、或いは、それらは、当技術分野に周知である方法に従って遅延又は延長放出などの有効成分の調節された放出を与えるように製剤されることもある。適切な場合、固体剤形は、例えば口腔内崩壊錠(orodispersible tablet)など、唾液中で崩壊する剤形であり得る。
【0046】
固体経口製剤に好適な賦形剤の例には、微結晶性セルロース、コーンスターチ、ラクトース、マンニトール、ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、スクロース、シクロデキストリン、滑石、ゼラチン、ペクチン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及びセルロースの低級アルキルエーテルがあるが、これらに限定されない。同様に、固体製剤は、グリセリルモノステアラート又はヒプロメロースなど、当技術分野に公知である遅延又は延長放出製剤のための賦形剤を含み得る。
【0047】
経口投与のために固体物質が使用される場合、製剤は、例えば、有効成分を固体賦形剤と混合し、その後に混合物を従来の打錠機中で圧縮することにより調製され得る;或いは、製剤は、例えば、ハードカプセル中に、例えば、粉末、ペレット、又はミニタブレット形態で配置され得る。固体賦形剤の量は広く変わるだろうが、典型的には、用量単位あたり約25mg~約1gの範囲だろう。
【0048】
液体経口剤形は、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、オーラルドロップ、又は液体充填カプセルとして呈されることがある。液体経口剤形は、水性又は非水性の液体中の液剤又は懸濁剤のための粉末としても呈されることがある。液体経口製剤に好適な賦形剤の例には、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ソルビトール、ポリソルベート、モノ及びジグリセリド、シクロデキストリン、ヤシ油、パーム油、並びに水があるが、これらに限定されない。液体経口剤形は、例えば、有効成分を水性若しくは非水性の液体に溶解若しくは懸濁させることにより、又は有効成分を水中油型若しくは油中水型液体エマルションに組み込むことにより調製され得る。
【0049】
着色剤、香料、及び保存剤などのさらなる賦形剤を固体及び液体経口製剤に使用できる。
【0050】
非経口投与用の医薬組成物には、注射又は注入用の滅菌された水性及び非水性の液剤、分散剤、懸濁剤、又は乳液、注射又は注入用の濃縮物、並びに使用前に注射又は注入用の滅菌された溶液又は分散液中に再構成される滅菌された散剤がある。非経口製剤に好適な賦形剤の例には、水、ヤシ油、パーム油、及びシクロデキストリンの溶液があるが、これらに限定されない。水性製剤は、必要な場合好適に緩衝化されて、十分な塩類又はグルコースにより等張にされなくてはならない。
【0051】
他の種類の医薬組成物には、坐剤、吸入剤、クリーム剤、ゲル剤、皮膚パッチ、インプラント、及び頬側又は舌下投与用の製剤がある。
【0052】
あらゆる医薬製剤に使用される賦形剤が意図される投与経路に適合し、有効成分と適合性があることが必要である。
【0053】
投与量:
一実施形態において、本発明の化合物は、1日あたり約0.001mg/kg体重~約100mg/kg体重の量で投与される。とりわけ、1日用量は、1日あたり0.01mg/kg体重~約50mg/kg体重の範囲であり得る。正確な用量は、投与の頻度及び様式、治療すべき対象の性別、年齢、体重、及び全身状態、治療すべき病態の性質及び重症度、あらゆる治療すべき併存疾患、治療の所望の効果、並びに当業者に公知である他の因子に依存する。
【0054】
成人の典型的な経口用量は、1~100mg/日又は1~50mg/日などの1~500mg/日などの0.1~1000mg/日の範囲の本発明の化合物だろう。簡便には、本発明の化合物は、10mg、50mg、100mg、150mg、200mg又は250mgの本発明の化合物など、約0.1~500mgの量の前記化合物を含む単位剤形で投与される。
【発明を実施するための形態】
【0055】
発明の詳細な説明
発明者らは、PDE1阻害剤であり、したがって神経変性疾患及び精神疾患を治療するのに有用である化合物を特定した。驚くべきことに、本発明の化合物は、PDE9阻害剤であるよりもPDE1阻害剤として著しく強力である。
【0056】
そのため、本発明は、神経変性疾患又は精神疾患であり得る別の脳疾患の治療に使用するための式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、並びにそのような化合物を含む医薬組成物を提供する。好ましい実施形態において、神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病からなる群から選択される。別の好ましい実施形態において、精神疾患は、注意欠陥多動性障害(ADHD)、うつ病、不安、ナルコレプシー、認知機能障害、及び統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)からなる群から選択される。他の脳疾患は、例えば、レストレスレッグ症候群であり得る。
【0057】
本発明は、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病からなる群から選択される神経変性疾患を患っているヒトを含む哺乳動物を治療する方法であって、対象に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0058】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における神経変性疾患を治療する方法であって、前記哺乳動物にPDE1を阻害するのに有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む方法をさらに提供する。
【0059】
本発明は、精神疾患を患っている対象を治療する方法であって、対象に治療上有効な量の式(I)の化合物を投与することを含む方法も提供する。本発明に従って治療可能な精神疾患の例には、注意欠陥多動性障害(ADHD)、うつ病、ナルコレプシー、認知機能障害、及び統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)がある。
【0060】
本発明は、レストレスレッグ症候群などの脳疾患を患っている対象を治療する方法も提供する。
【0061】
発明の実施形態
下記において、本発明の実施形態が開示される。第1の実施形態はE1と表示され、第2の実施形態はE2と表示され、他も同様である。
【0062】
第1の実施形態E1において、本発明は、式(I)の化合物
式(I)の化合物
【化2】
(式中、
YはN又はCHであり;
R1は、直鎖又は分岐鎖のC~Cアルキル、飽和単環式C~Cシクロアルキル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなる群から選択され;それらの全ては、メチル、フッ素、ヒドロキシ、シアノ、及びメトキシからなる群から選択される1つ以上の置換基により1回以上置換されていてよく;
R2は、直鎖又は分岐鎖のC~Cアルキル、フェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、及び飽和単環式C~Cシクロアルキルからなる群から選択されるか;或いは
R2は、ハロゲン、C~Cアルキル、及びメトキシからなる群から選択される1つ以上の置換基により1回以上置換されたフェニルであるか;或いは
R2は、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cフルオロアルコキシ、C~Cシクロアルコキシ、及びC~Cメチルシクロアルコキシからなる群から選択される置換基により置換されたピリジルであるか;或いは
R2は、C~Cアルキルにより置換された5員ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3は、直鎖又は分岐鎖のC~Cアルキル及び飽和単環式C~Cシクロアルキルからなる群から選択され;それは、ハロゲン、C~Cアルコキシ、フェニル、ジアルキルアミン、及びオキセタンから選択される置換基によりそれぞれ任意選択で置換されていてよい);
並びにその互変異性体及び薬学的に許容可能な塩に関する。
【0063】
E2.YがNである、実施形態1の化合物。
【0064】
E3.YがCHである、実施形態1の化合物。
【0065】
E4.R1が、直鎖若しくは分岐鎖のC~Cアルキル又はシクロプロピルなどの飽和単環式C~Cシクロアルキルである、実施形態1~3のいずれか1つの化合物。
【0066】
E5.前記直鎖若しくは分岐鎖のC~Cアルキル又は飽和単環式C~Cシクロアルキルが、メチル、フッ素、ヒドロキシ、シアノ、及びメトキシからなる群から選択される1つ以上の置換基により1回以上置換されている、実施形態4の化合物。
【0067】
E6.R1が、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルから選択される、実施形態1~3のいずれか1つの化合物。
【0068】
E7.R2がフェニルである、実施形態1~6のいずれか1つの化合物。
【0069】
E8.前記フェニルが、メチル、メトキシ、フッ素、及び塩素からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換されている、実施形態7の化合物。
【0070】
E9.R2が、メチル、メトキシ、フッ素、及び塩素からなる群から選択される置換基により置換されたピリジルである、実施形態1~6のいずれか1つの化合物。
【0071】
E10.R2が、シクロヘキシルなどの飽和単環式C~Cシクロアルキルである、実施形態1~6のいずれか1つの化合物。
【0072】
E11.R3がメチルなどのC1~3アルキルである、実施形態1~10のいずれか1つの化合物。
【0073】
E12.R3が、フェニルにより置換されたメチルである、実施形態1~10のいずれか1つの化合物。
【0074】
E13.R3が、メトキシ又はオキセタンにより置換されたメチルである、実施形態1~10のいずれか1つの化合物。
【0075】
E14.YがN又はCHであり;
R1が、直鎖又は分岐鎖のC~Cアルキル、飽和単環式C~Cシクロアルキル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなる群から選択され;それらの全てが、メチル、フッ素、ヒドロキシ、シアノ、及びメトキシからなる群から選択される1つ以上の置換基により1回以上置換されていてよく;
R2が、フェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、及び飽和単環式C~Cシクロアルキルからなる群から選択されるか;或いは
R2が、ハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基により1回以上置換されたフェニルであるか;或いは
R2が、ハロゲン、C~Cアルキル、及びC~Cアルコキシ、C~Cフルオロアルコキシ、C~Cシクロアルコキシ、及びC~Cメチルシクロアルコキシからなる群から選択される置換基により置換されたピリジルであり;
R3が、メチルなどのC~Cアルキルであり;それが、ハロゲン、C~Cアルコキシ、フェニル、及びオキセタンから選択される置換基によりそれぞれ任意選択で置換されていてよい、実施形態1の化合物。
【0076】
E15.前記オキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はテトラヒドロピラニルが、メチルにより任意選択で置換されている、実施形態6の化合物。
【0077】
E16.実施形態1の化合物であって、
6-ベンジル-5-(シクロヘキシルメチル)-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オン;
5-(シクロヘキシルメチル)-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-プロピル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-(シクロヘキシルメチル)-6-メチル-1-プロピル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
6-エチル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
6-(メトキシメチル)-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
6-イソプロピル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-(オキセタン-3-イルメチル)-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-[(3-フルオロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(2-フルオロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-クロロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-ベンジル-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(3-クロロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-フルオロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
6-メチル-5-(p-トリルメチル)-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルメチル)-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(6-メトキシ-3-ピリジル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-プロピル-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
1-イソプロピル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロフラン-3-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
1-シクロプロピル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン:
1-エチル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-3-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-[(2S,3R)-2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル]ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-[(2R,3R)-2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル]ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-(オキセタン-3-イル)ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
からなる群から選択される化合物及びこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩。
【0078】
E17.前記化合物が、5マイクロモーラー以下など、4マイクロモーラー以下など、3マイクロモーラー以下など、2マイクロモーラー以下など、1マイクロモーラー以下など、500nM以下など、400nM以下など、300nM以下など、200nM以下など、100nM以下など、10マイクロモーラー以下の、「PDE1阻害アッセイ」のセクションに記載される通り測定されたPDE1A、PDE1B、又はPDE1C IC50値を有する、実施形態1~16のいずれか1つの化合物。
【0079】
E17.療法に使用するための、実施形態1~17のいずれか1つの化合物。
【0080】
E17.医薬品として使用するための、実施形態1~17のいずれかに記載の化合物。
【0081】
E20.治療上有効な量の実施形態1~17のいずれか1つの化合物並びに1種以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、及び賦形剤を含む医薬組成物。
【0082】
E21.アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病からなる群から選択される神経変性疾患の治療に使用するための、又は注意欠陥多動性障害(ADHD)、うつ病、不安、ナルコレプシー、認知機能障害、及び統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)などの精神疾患、若しくはレストレスレッグ症候群のような別の脳疾患の治療のための、実施形態1~17のいずれかに記載の化合物。
【0083】
E22.アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病からなる群から選択される神経変性疾患の治療、又は注意欠陥多動性障害(ADHD)、うつ病、不安、ナルコレプシー、認知機能障害、及び統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)などの精神疾患、若しくはレストレスレッグ症候群のような別の脳疾患の治療の方法であって、治療上有効な量の実施形態1~17のいずれかの化合物の、それを必要とする患者への投与を含む方法。
【0084】
E23.アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病からなる群から選択される神経変性疾患の治療、又は注意欠陥多動性障害(ADHD)、うつ病、不安、ナルコレプシー、認知機能障害、及び統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)などの精神疾患、若しくはレストレスレッグ症候群のような別の脳疾患の治療のための医薬品の製造のための、実施形態1~17のいずれかに記載の化合物の使用。
【0085】
本明細書に引用される刊行物、特許出願、及び特許を含む全参照文献は、参照によりそれらの全体として、且つ各参照文献が、参照により組み込まれると個別且つ具体的に示され、その全体として述べられるかのような同じ程度に(法により許される最大程度に)組み込まれる。
【0086】
見出し及び小見出しは本明細書において簡便のためにのみ使用され、本発明をなんら限定すると解釈されるべきでない。
【0087】
本明細書におけるありとあらゆる例又は典型的な言葉(「例えば(for instance)」、「例えば(for example)」、「例えば(e.g.)」、及び「したがって」を含む)の使用は、単に本発明をよりよく説明することが意図され、特記されない限り本発明の範囲に限界を与えない。
【0088】
本明細書での特許文書の引用及び組込みは、簡便のためのみに実施され、そのような特許文書の妥当性、特許性、及び/又は実行可能性の見方を反映しない。
【0089】
本発明は、該当する法により認められる通り、本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙される内容の変形形態及び等価物を全て含む。
【0090】
本発明の化合物
【0091】
【表1-1】
【0092】
【表1-2】
【0093】
【表1-3】
【0094】
表1は、本発明の化合物によるPDE1の阻害のIC50値を列記している。IC50値は、明示された基質濃度でのPDE1酵素の50%阻害に達するのに要する化合物の濃度(nM)を指す。
【0095】
比較のために、表は10μMでのPDE9の阻害%も列記しているが、それは、化合物の10マイクロモーラーの濃度で得られるPDE9酵素の阻害%を指す。
【0096】
PDE1及びPDE9アッセイを実験セクションに記載する。
【実施例
【0097】
実験セクション
本発明の化合物の調製-一般的方法
【化3】
式(I)の化合物は、有機化学の分野に公知である合成方法又は当業者によく知られている改変と共に、以下に記載される方法により調製できる。本明細書で使用される出発物質は、市販されているか、或いは、Compendium of Organic Synthetic Methods,Vol.I-XIII(Wiley-Interscienceにより出版、ISSN:1934-4783)などの標準的な参考図書に記載されている方法など当技術分野に公知である定形的な方法により調製できる。好ましい方法には、以下に記載されるものがあるが、これらに限定されない。
【0098】
スキームは、本発明の化合物を合成するのに有用な方法を表す。それらは、決して本発明の範囲を制限するものではない。
【0099】
方法1:
【化4】
式中、R及びRは式Iに記載の通りであり、Rはメチル又はエチルなどのアルキル基である。
【0100】
一般式IIの化合物(スキーム1)は、文献(J.Med.Chem.2009,52,7949)に記載の通り調製できる。一般式IVaの化合物は、文献(J.Med.Chem.2009,52,7949)に記載の通り、一般式II及びIIIの化合物から調製できる。
【0101】
方法2:
【化5】
式中、R及びRは式Iに記載の通りである。
【0102】
一般式VIIの化合物(スキーム2)は、一般式Vの化合物とVIの化合物の混合物を水などの溶媒中で加熱することにより調製できる。一般式VIIIの化合物は、一般式VIIの化合物を塩化ホスホリル及びジメチルホルムアミドにより処理することにより調製できる。
【0103】
方法3:
【化6】
式中、R及びRは式Iに記載の通りである。
【0104】
一般式IVの化合物(スキーム3)は、トリフルオロ酢酸などの酸による一般式IXの化合物の処理により調製できる。
【0105】
方法4:
【化7】
式中、R、R、及びRは式Iに記載の通りであり、Xは、クロリド、ブロミド、ヨージド、又はメシラートなどがあるがこれらに限定されない脱離基である。
【0106】
一般式Iの化合物(スキーム4)は、炭酸カリウム又は炭酸セシウムなどがあるがこれらに限定されない塩基の存在下での、一般式XIの化合物による一般式Xの化合物の処理により調製できる。
【0107】
方法5:
【化8】
式中、R、R、及びRは式Iに記載の通りであり、YはCHである。
【0108】
一般式Iの化合物(スキーム5)は、一般式XIIのヒドラジンによる一般式VIIIの化合物の処理により調製できる。
【0109】
方法6:
【化9】
式中、R、R、及びRは式Iに記載の通りであり、Xは、クロリド、ブロミド、ヨージド、又はメシラートなどがあるがこれらに限定されない脱離基であり、YはCHである。
【0110】
一般式Iの化合物(スキーム6)は、ヒドラジンによる一般式VIIIの化合物の処理と、それに続く一般式XIVの化合物によるアルキル化により調製できる。
【0111】
一般的方法LC-MS法
方法A:ELS検出器を有するAgilent 1200 LCMSシステムを使用した。カラム:XBridge ShieldRP18、5 m、50×2.1mm;カラム温度:40℃;溶媒系:A=水/NH O(99.95:0.05)及びB=アセトニトリル;方法:3.4分でA:B=99:1~0:100及び流量0.8mL/分の直線勾配溶離。
【0112】
方法B:ELS検出器を有するAgilent 1200 LCMSシステムを使用した。カラム:Waters XBridge ShieldRP18、2.1×50mm、5μm;カラム温度:40℃;溶媒系:A=水/アンモニア(99.95:0.05)及びB=アセトニトリル;方法:4.0分でA:B=95:5~0:100及び流量0.8mL/分の直線勾配溶離。
【0113】
方法C:ELS検出器を有するAgilent 1200 LCMSシステムを使用した。Phenomenex Luna-C18、5μm;2.0×50mm;カラム温度:50℃;溶媒系:A=水/トリフルオロ酢酸(99.9:0.1)及びB=アセトニトリル/トリフルオロ酢酸(99.95:0.05);方法:4.0分でA:B=99:1~0:100及び流量0.8mL/分の直線勾配溶離。
【0114】
方法D:Waters Acquity UPLC-MSを使用した。カラム:Acquity UPLC BEH C18 1.7μm;2.1×50mm;カラム温度:60℃;溶媒系:A=水/トリフルオロ酢酸(99.965:0.035)及びB=アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸(94.965:5:0.035);方法:1.0分でA:B=90:10から0:100及び流量1.2mL/分の直線勾配溶離。
【0115】
方法E:Waters Acquity UPLC-MSを使用した。カラム:Acquity UPLC BEH C18 1.7μm;2.1×50mm;カラム温度:60℃;溶媒系:A=水/ギ酸(99.9:0.1)及びB=アセトニトリル/水/ギ酸(94.9:5:0.1);方法:1.0分でA:B=90:10から0:100及び流量1.2mL/分の直線勾配溶離。
【0116】
中間体:
中間体:5-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル
【化10】
EtOH(100mL)中の(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ヒドラジン二塩酸塩(5.0g、26mmol)とEtN(5.62g、55.5mmol)の混合物に、2-(エトキシメチレン)マロノニトリル(3.23g、26.4mmol)を加えた。混合物を60℃で1時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残渣を、水(40mL)で、次いでDCM(40mL)で洗浄した。フィルターケーキを真空下で乾燥させると、5-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリルを与えた(2.3g、収率45%)。
【0117】
以下の中間体を同様に調製した:
5-アミノ-1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル及び5-アミノ-1-プロピル-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル
【0118】
中間体:5-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化11】
EtOH(40mL)中の5-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(2.3g、12mmol)の混合物に、H(10mL)及び水中のNH.HO(10mL)を加えた。混合物を20℃で12時間撹拌した。混合物を2N NaSO(40mL)でクエンチし、真空下で蒸発させた。残渣を水(20mL×2)で洗浄した。フィルターケーキを真空下で乾燥させると、5-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを与えた(1.3g、収率51%)。
【0119】
以下の中間体を同様に調製した:
5-アミノ-1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;及び
5-アミノ-1-プロピル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【0120】
中間体:6-ベンジル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化12】
5-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(100mg、0.47mmol)及びエチル2-フェニルアセタート(234mg、1.43mmol)のEtOH(4mL)溶液にNaOEt(97mg、1.43mmol)を加えた。混合物を140℃で1時間マイクロ波条件下で撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残渣を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)により精製すると、6-ベンジル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンを与えた(120mg,収率:77%)。
【0121】
以下の中間体を同様に調製した:
6-メチル-1-プロピル-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【0122】
中間体:6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化13】
5-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(1.0g、4.76mmol)及びオルトギ酸トリエチル(7.72g、47.6mmol)のDMSO(20mL)溶液に、CsCO(3.1g 9.5mmol)を加えた。混合物を130℃で36時間撹拌した。混合物を水(100mL)で希釈し、DCM(30mL×3)で抽出した。有機層を水(30mL×2)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。有機層を真空下で蒸発させた。混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(20:1~5:1のDCM:MeOH)により精製すると、6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンを与えた(560mg、収率50%)。
【0123】
以下の中間体を同様に調製した:
6-メチル-1-プロピル-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンを、5-アミノ-1-プロピル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド及びオルトギ酸トリエチルから調製;
6-エチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンを、5-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドメチルプロピオナートから調製;
6-(メトキシメチル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンを、5-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドメチル2-メトキシアセタートから調製;
6-イソプロピル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンを、5-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドメチルイソブチラートから調製;及び
6-(オキセタン-3-イルメチル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンを、5-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドメチル2-(オキセタン-3-イル)アセタートから調製。
【0124】
中間体:4-ヒドロキシ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチルピリジン-2(1H)-オン
【化14】
4-ヒドロキシ-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(12g、95mmol)のHO(200mL)溶液に、(4-メトキシフェニル)メタンアミン(13.05g、95.16mmol)を加えた。混合物を100℃で16時間撹拌した。固体を得た。混合物をろ過した。フィルターケーキを真空下で乾燥させると、4-ヒドロキシ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチルピリジン-2(1H)-オンを与え(22.0g、63.7mmol、収率67%)、それを次の工程に直接使用した。H NMR(DMSO-d400MHz):δ10.49(br.s,1H),7.02(d,J=8.4Hz2H),6.85(d,J=8.4Hz,2H),5.74(s,1H),5.55(s,1H),5.07(s,2H),3.68(s,3H),2.14(s,3H).
【0125】
中間体:4-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド
【化15】
4-ヒドロキシ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチルピリジン-2(1H)-オン(10g、29mmol)のDMF(100mL)溶液に、POCl(11.1g、72.4mmol)を滴加した。生じた混合物を60℃で3時間撹拌した。混合物を氷水(700g)に注ぎ、酢酸エチル(500ml×2)で抽出した。有機層を水(500mL×2)及びブライン(500mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中40%酢酸エチル)により精製すると、4-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒドを与えた(4.0g、8.2mmol、収率28%)。
【0126】
中間体:6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化16】
5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン(1.30g、3.68mmol)のTFA(40mL)溶液を80~90℃で72時間撹拌した。混合物を濃縮した。粗製物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(石油エーテルと酢酸エチルの勾配を利用)により精製すると、6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オンを与えた(500mg、1.8mmol、収率48%)。
【0127】
中間体:tert-ブチル2-(プロパン-2-イリデン)ヒドラジン-1-カルボキシラート
【化17】
tert-ブチルヒドラジンカルボキシラート(3.0g、23mmol)のアセトン(20mL)溶液を、20℃で16時間撹拌した。混合物を濃縮すると、tert-ブチル2-(プロパン-2-イリデン)ヒドラジン-1-カルボキシラートを与えた(3.9g、23mmol、収率99%)。
H NMR(CDCl400MHz):δ7.33(br.s,1H),2.02(s,3H),1.80(s,3H),1.50(s,9H).
【0128】
中間体:tert-ブチル2-イソプロピルヒドラジン-1-カルボキシラート
【化18】
tert-ブチル2-(プロパン-2-イリデン)ヒドラジン-1-カルボキシラート(3.90g、22.7mmol)のTHF(22mL)及びMeOH(22mL)溶液に、NaBH(OAc)(4.80g、22.7mmol)を少量ずつ加えた。生じた混合物を、Nバルーン下で2時間還流し、次いで25℃に16時間冷却した。混合物を濃縮した。粗製物をシリカゲルのカラムクロマトグラフ(石油エーテル:酢酸エチル=4:1)により精製した。生成物を酢酸エチル及び石油エーテルにより再結晶させると、tert-ブチル2-イソプロピルヒドラジン-1-カルボキシラートを与えた(400mg、2.30mmol、収率10%)。
H NMR(CDCl400MHz):δ6.67(br.s,1H),5.99-5.98(m,1H),3.54-3.48(m,1H),1.51(s,9H),1.26(d,J=6.8Hz,6H).
【0129】
中間体:イソプロピルヒドラジン塩酸塩
【化19】
tert-ブチル2-イソプロピルヒドラジン-1-カルボキシラート(400mg、2.30mmol)の酢酸エチル(5mL)溶液に、HCl/ジオキサン(5mL)を加えた。生じた混合物を20℃で16時間撹拌した。混合物を濃縮すると、イソプロピルヒドラジン塩酸塩(300mg)を与え、それを次の工程に直接使用した。
【0130】
中間体:tert-ブチル2-(ジヒドロフラン-3(2H)-イリデン)ヒドラジン-1-カルボキシラート
【化20】
ジヒドロフラン-3(2H)-オン(5.0g、58mmol)及びtert-ブチルヒドラジンカルボキシラート(7.68g、58.08mmol)のMeOH(50mL)溶液を、15℃で2時間撹拌した。混合物を濃縮してMeOHを除くと、tert-ブチル2-(ジヒドロフラン-3(2H)-イリデン)ヒドラジン-1-カルボキシラートを与えた(11g、55mmol、収率95%)。
H NMR(MeOD400MHz):δ4.19(s,2H),4.03(t,J=6.8Hz,2H),2.53(t,J=7.2Hz,2H),1.50(s,9H).
【0131】
中間体:tert-ブチル2-(テトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラート
【化21】
tert-ブチル2-(ジヒドロフラン-3(2H)-イリデン)ヒドラジン-1-カルボキシラート(11g、55mmol)のAcOH(30mL)及びHO(60mL)中の溶液を15℃で0.5時間撹拌した。次いで、NaBHCN(3.80g、60.4mmol)を溶液に少量ずつ加えた。生じた混合物を15℃で2時間撹拌した。混合物を2M NaOH(500mL)で中和し、DCM(100mL×3)で抽出し、有機層をブライン(300mL×3)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮した。粗製物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製すると、tert-ブチル2-(テトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラートを与えた(11g、粗製)。
【0132】
中間体:(テトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン塩酸塩
【化22】
tert-ブチル2-(テトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラート(2.0g、9.9mmol)のMeOH(50mL)溶液に、HCl/ジオキサン(4M、9.1mL)を滴加した。溶液を0℃で2時間撹拌した。混合物をろ過して溶媒を除くと、(テトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン塩酸塩を与えた(1g)。
【0133】
中間体:ジ-tert-ブチル1-シクロプロピルヒドラジン-1,2-ジカルボキシラート
【化23】
シクロプロピルマグネシウムブロミド(0.5M、11.02mL)のTHF(10mL)溶液に、ジ-tert-ブチルアザジカルボキシラート(azadicarboxylate)(1.27g、5.51mmol)を-78℃でアルゴン下で加えた。混合物を-78℃で0.5時間撹拌した。反応混合物を0℃のNHCl(飽和水溶液、10mL)の添加によりクエンチし、次いで、HO(60mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮すると、残渣を与えた。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチルと石油エーテルの勾配を利用)により精製すると、ジ-tert-ブチル1-シクロプロピルヒドラジン-1,2-ジカルボキシラートを与えた(1.20g、4.41mmol、収率80%。H NMR(MeOD400MHz):δ2.84-2.92(m,1H),1.46(s,18H),0.67(s,4H).
【0134】
中間体:シクロプロピルヒドラジン塩酸塩
【化24】
ジ-tert-ブチル1-シクロプロピルヒドラジン-1,2-ジカルボキシラート(1.20g、4.41mmol)をHCl/ジオキサン(10mL)に溶解させた。混合物を15℃で12時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮すると、シクロプロピルヒドラジン塩酸塩を与えた(0.45g、4.14mmol、収率94%)。H NMR(MeOD400MHz):δ2.58-2.63(m,1H),0.60-0.70(m,4H).
【0135】
中間体:5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化25】
EtOH(3mL)中のNHNH.HO(35mg、0.69mmol)と、4-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド(200mg、0.69mmol)と、トリエチルアミン(208mg、2.06mmol)の混合物を、130℃で、マイクロ波照射下で1時間撹拌した。混合物を濃縮し、粗製物を分取TLC(酢酸エチル)により精製すると、5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オンを与えた(130mg、0.472mmol、収率69%)。
【0136】
中間体:ベンジル2-(2-メチルジヒドロフラン-3(2H)-イリデン)ヒドラジン-1-カルボキシラート
【化26】
2-メチルジヒドロフラン-3(2H)-オン(5.0g、50mmol)及びベンジルN-アミノカルバマート(8.3g、50mmol)の乾燥MeOH(150mL)溶液を15℃で16時間撹拌した。混合物を濃縮すると、ベンジル2-(2-メチルジヒドロフラン-3(2H)-イリデン)ヒドラジン-1-カルボキシラートを与えた(12g、収率97%)。
【0137】
中間体:ベンジル2-(シス-2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラート及びベンジル2-(トランス-2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラート
【化27】
ベンジル2-(2-メチルジヒドロフラン-3(2H)-イリデン)ヒドラジン-1-カルボキシラート(12g、48mmol)のHO(96mL)溶液に、AcOH(40mL)を加えた。混合物を15℃で1時間撹拌した。次いで、NaBHCN(3.34g、53.2mmol)を少量ずつ加えた。混合物を15℃で2時間撹拌した。混合物を5N NaOH(水溶液)によりpH=8に調整した。混合物を酢酸エチル(200mL×2)で抽出した。合わせた有機層を、HO(200mL)、ブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチルと石油エーテルの勾配を利用)により精製すると、ベンジル2-(シス-2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラートとベンジル2-(トランス-2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラートの混合物を与えた(6.0g、収率50%)。混合物の2gをSFCにより2回精製すると
ベンジル2-(トランス-2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラート(700mg、収率32.5%)(Rt=5.671分(第1のラン)、5.754分(第2のラン))H NMR(CDCl400MHz):δ7.35(s,5H),6.23(s,1H),5.13(s,2H),3.99-3.97(m,2H),3.85-3.84(m,1H),3.74-3.68(m,1H),3.59(bs,1H),2.10-2.08(m,1H),1.88-1.87(m,1H),1.28(d,J=6.0Hz,3H).
及びベンジル2-(シス-2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラート(450mg、収率20.7%)(Rt=8.354分)を与えた。H NMR(CDCl400MHz):δ7.35(s,5H),6.22(s,1H),5.13(s,2H),3.99-3.97(m,2H),3.87-3.86(m,1H),3.74-3.68(m,1H),3.59(bs,1H),2.10-2.07(m,1H),1.88-1.87(m,1H),1.28(d,J=6.0Hz,3H).
【0138】
SFC条件1:機器:SFC-80-(8);カラム:AD 250mm×30mm、5μm;移動相:A:超臨界CO、B:EtOH(0.1%NHO)、60mL/分でA:B=70:30;カラム温度:38℃;ノズル圧力:100バール;ノズル温度:60℃;エバポレーター温度:20℃;トリマー温度:25℃;波長:220nm。
【0139】
SFC条件2:機器:MG-II;カラム:AY250mm×30mm、10μm;移動相:A:超臨界CO、B:EtOH(0.1%NHO)、60ml/分でA:B=75:25;カラム温度:38℃;ノズル圧力:100バール;ノズル温度:60℃;エバポレーター温度:20℃;トリマー温度:25℃;波長:220nm。
【0140】
中間体:シス-(2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン塩酸塩
【化28】
ベンジル2-(シス-2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラート(800mg、3.20mmol)のMeOH(20mL)溶液に、1M HCl(1M、9.6mL)及びPd/C(500mg)(湿潤、50%の水を含む10%Pd)をN下で加えた。懸濁液を、数回、真空下で脱気してHでパージした。混合物を25℃でH下で(40psi)16時間撹拌した。混合物をセライトに通してろ過し、ろ液を濃縮すると、シス-(2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン塩酸塩を与えた(450mg、収率92%)。H NMR(DMSOd400MHz):δ8.55(bs,1H),8.18(bs,1H),7.43-7.18(m,1H),3.88-3.79(m,2H),3.57-3.51(m,2H),2.06-2.02(m,2H),1.10(d,J=6.4Hz,3H).
【0141】
中間体:tert-ブチル2-(ジヒドロ-2H-ピラン-3(4H)-イリデン)ヒドラジン-1-カルボキシラート
【化29】
tert-ブチルヒドラジンカルボキシラート(6.6g、50mmol)及びジヒドロ-2H-ピラン-3(4H)-オン(5g、50mmol)のMeOH(50mL)溶液を15℃で2時間撹拌した。混合物を濃縮してMeOHを除き、粗製物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)により精製すると、tert-ブチル2-(ジヒドロ-2H-ピラン-3(4H)-イリデン)ヒドラジン-1-カルボキシラートを与えた(10g、47mmol、収率93%)。
【0142】
中間体:tert-ブチル2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラート
【化30】
AcOH(50mL)及びHO(100mL)中のtert-ブチル2-(ジヒドロ-2H-ピラン-3(4H)-イリデン)ヒドラジン-1-カルボキシラート(10g、47mmol)の混合物を15℃で0.5時間撹拌した。次いで、NaBHCN(3.23g、51mmol)を溶液に加えた。生じた混合物を15℃で2時間撹拌した。混合物を2M NaOH(水溶液)(200mL)で塩基性化し、DCM(100mL×3)で抽出し、有機層をブライン(200mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮すると、粗生成物を与えた。粗製物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製すると、tert-ブチル2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラートを与えた(9g)。
【0143】
中間体:(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)ヒドラジン塩酸塩
【化31】
tert-ブチル2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラート(550mg、2.54mmol)のMeOH(10mL)及び酢酸エチル(10mL)中の溶液に、HCl/MeOH(20mL)を加えた。生じた混合物を10℃で3時間撹拌した。混合物を濃縮すると、(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)ヒドラジン塩酸塩(500mg)を与え、それを次の工程に直接使用した。
【0144】
中間体:4-イソシアナト-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン
【化32】
化合物4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボン酸(4.00g、27.8mmol)及びトリエチルアミン(4.21g、41.6mmol、5.77mL)のトルエン(100mL)溶液に、DPPA(8.40g、30.53mmol、6.61mL)を加えた。混合物を85℃で2時間撹拌した。反応混合物を1M NaOH(水溶液)(50mL)により処理し、EtOAc(100mL×2)で抽出した。有機層をブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮すると、4-イソシアナト-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピランを与えた(2g)。
【0145】
中間体:4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン
【化33】
化合物4-イソシアナト-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン(3.00g、21mmol、1当量)のTHF(20mL)溶液に、5M HCl(水溶液)(20mL)を加えた。混合物を10~15℃で16時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、ジクロロメタン(30mL)に溶解させ、ろ過した。フィルターケーキを乾燥させると、4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン塩酸塩を与えた。ジクロロメタン(5mL)中の4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン塩酸塩(200mg、1.32mmol、1当量)の懸濁液にイオン交換樹脂(100mg)を加えた。混合物を15~20℃で5分間撹拌した。混合物をろ過し、ろ液を次の工程に直接使用した。4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミンのジクロロメタン(5mL)溶液を得た。
【0146】
中間体:tert-ブチル2-(4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラート
【化34】
tert-ブチル3-(4-シアノフェニル)-1,2-オキサジリジン-2-カルボキシラート(Journal of Organic Chemistry,58(18),4791,1993)(1当量)のジクロロメタン(5mL)溶液に、4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン(200mg、0.81mmol)を加えた。混合物を15~20℃で16時間撹拌し、還流状態で(50℃)4時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(20mL)で希釈し、水(20mL)及びブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)により精製すると、tert-ブチル2-(4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラートを与えた(100mg)。
【0147】
中間体:(4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ヒドラジン塩酸塩
【化35】
tert-ブチル2-(4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ヒドラジン-1-カルボキシラート(100mg、0.30mmol、1当量)の、酢酸エチル中のHCl(5mL)中の溶液を15~20℃で1時間撹拌した。混合物をろ過し、フィルターケーキを酢酸エチル(2×10mL)で洗浄し、乾燥させると、(4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ヒドラジン塩酸塩を与えた(30mg)。
【0148】
本発明の化合物
実施例1:6-ベンジル-5-(シクロヘキシルメチル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化36】
6-ベンジル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(200mg、0.64mmol)及び(ブロモメチル)シクロヘキサン(137mg、0.77mmol)のDMF(2mL)溶液に、KCO(178mg、1.29mmol)を加えた。混合物を100℃で8時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(10mL)で希釈し、水(3mL×2)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、蒸発させた。残渣を分取TLC(DCM:酢酸エチル)により精製すると、6-ベンジル-5-(シクロヘキシルメチル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンを与えた(20mg、収率:7%)。
H NMR(CDCl3,400MHz):δ8.05(m,2H),7.53-7.28(m,3H),7.18(d,J=6.8Hz,2H),4.87-4.79(m,1H),4.24(s,1H),4.16-4.12(m,2H),3.91-3.83(bs,2H),3.60(t,J=7.6Hz,2H),2.45-2.36(m,2H),1.97-1.94(m,2H),1.74-1.63(m,7H),1.17-1.09(m,4H).LC-MS:t=3.24min(方法A),m/z=407.2(MH).
【0149】
以下の化合物を同様に調製した:
実施例2:5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オン
【化37】
6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン及び1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼンから調製。
H NMR(CDCl,400MHz):δ8.10(s,1H),7.14(d,J=8.4,2H),6.86(d,J=8.4,2H),5.30(s,2H),4.86-4.79(m,1H),4.17-4.13(m,2H),3.79(s,3H),3.63-3.58(m,2H),2.55(s,3H),2.45-2.36(m,2H),1.94-1.90(m,2H).LC-MS(m/z)355.1(MH);t=0.61(方法D)
【0150】
実施例3:5-(シクロヘキシルメチル)-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化38】
6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン及び(ブロモメチル)シクロヘキサンから調製。
H NMR(CDCl,400MHz):δ8.03(s,1H),4.85-4.77(m,1H),4.16-4.13(m,2H),3.93(bs,2H),3.64-3.58(m,2H),2.63(s,3H),2.44-2.35(m,2H),1.93-1.65(m,8H),1.20-1.09(m,5H).LC-MS(m/z)331.2(MH);t=2.63(方法C)
【0151】
実施例4:5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-プロピル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化39】
6-メチル-1-プロピル-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン及び1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼンから調製。
H NMR(CDCl,400MHz):δ8.08(s,1H),7.14(d,J=8.4Hz2H),6.86(d,J=8.4Hz2H),5.30(bs,2H),4.27(t,J=7.2Hz,2H),3.79(s,3H),2.55(s,3H),1.97-1.92(m,2H),0.94(t,J=7.2Hz,3H).LC-MS(m/z)313.1(MH);t=2.54(方法C)
【0152】
実施例5:5-(シクロヘキシルメチル)-6-メチル-1-プロピル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化40】
6-メチル-1-プロピル-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン及び(ブロモメチル)シクロヘキサンから調製。
HNMR(CDCl,400MHz):δ8.02(s,1H),4.25(t,J=7.2Hz,2H),3.93(bs,2H),2.63(s,3H),1.96-1.91(m,2H),1.74-1.65(m,6H),1.20-1.09(m,5H),0.94(t,J=7.2Hz,3H).LC-MS(m/z)289.2(MH);t=2.84(方法C)
【0153】
実施例6:6-エチル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化41】
6-エチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン及び1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼンから調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.07(s,1H),7.10(d,J=8.4Hz,2H),6.83(d,J=8.4Hz,2H),5.30(bs,2H),4.84-4.78(m,1H),4.15-4.13(m,2H),3.76(s,3H),3.60(t,J=12.0Hz,2H),2.77(q,J=7.6Hz, 2H),2.46-2.36(m,2H),1.95-1.92(m,2H),1.28(t,J=6.8Hz,3H).LC-MS(m/z)369.2(MH);t=2.34(方法B).
【0154】
実施例7:6-(メトキシメチル)-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化42】
6-(メトキシメチル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン及び1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼンから調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.11(s,1H),7.14(d,J=8.4Hz,2H),6.84(d,J=7.6Hz,2H),5.46(s,2H),4.88-4.83(m,1H),4.43(s,2H),4.15-4.12(m,2H),3.77(s,3H),3.60(t,J=12.0Hz,2H),3.46(s,3H),2.45-2.34(m,2H),1.92(d,J=12.0Hz,2H).LC-MS(m/z)385.2(MH);t=2.42(方法C).
【0155】
実施例8:6-イソプロピル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化43】
6-イソプロピル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン及び1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼンから調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.07(s,1H),7.08(d,J=8.8Hz,2H),6.85(d,J=8.4Hz,2H),5.36(bs,2H),4.84-4.78(m,1H),4.17-4.13(m,2H),3.78(s,3H),3.64-3.58(m,2H),3.18-3.13(m,1H),2.47-2.38(m,2H),1.98-1.94(m,2H),1.24-1.22(d,J=6.4Hz,6H).LC-MS(m/z)383.2(MH);t=2.76(方法C).
【0156】
実施例9:5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-(オキセタン-3-イルメチル)-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化44】
6-(オキセタン-3-イルメチル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン及び1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼンから調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.07(s,1H),7.08(d,J=8.8Hz,2H),6.85(d,J=8.4Hz,2H),5.36(bs,2H),4.84-4.78(m,1H),4.17-4.13(m,2H),3.78(s,3H),3.64-3.58(m,2H),3.18-3.13(m,1H),2.47-2.38(m,2H),1.98-1.94(m,2H),1.24-1.22(d,J=6.4Hz,6H).LC-MS(m/z)411.2(MH);t=2.07(方法B).
【0157】
実施例10:5-[(3-フルオロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化45】
6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン及び1-(ブロモメチル)-3-フルオロベンゼンから調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.16(s,1H),7.25(m,1H),6.93(d,J=7.6Hz,2H),6.81(d,J=9.6Hz,1H),6.27(s,1H),5.36(br.s,2H),4.44-4.38(m,1H),4.16(d,J=9.2Hz,2H),3.57(t,J=11.6Hz,2H),2.41-2.37(m,5H),1.94(d,J=12.8Hz,2H).LC-MS(m/z)342.2(MH);t=2.35(方法C).
【0158】
実施例11:5-[(2-フルオロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化46】
6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン及び1-(ブロモメチル)-2-フルオロベンゼンから調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.16(s,1H),7.23-7.21(m,1H),7.08-6.94(m,3H),6.27(s,1H),5.42(s,2H),4.41(t,J=11.6Hz,1H),4.16(d,J=9.6Hz,2H),3.57(t,J=12.0Hz,2H),2.41-2.34(m,5H),1.94(d,J=12.0Hz,2H).LC-MS(m/z)342.2(MH);t=2.36(方法C).
【0159】
実施例12:5-[(4-クロロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化47】
6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン及び1-(ブロモメチル)-4-クロロベンゼンから調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.16(s,1H),7.27(d,J=7.2Hz,2H),7.09(d,J=8.4Hz,2H),6.26(s,1H),5.33(br.s,2H),4.44-4.37(m,1H),4.16(dd,J=11.6Hz,J=3.6Hz,2H),3.57(t,J=12.0Hz,2H),2.42-2.34(m,5H),1.94(dd,J=12.8Hz,J=2.4Hz,2H).LC-MS(m/z)358.1(MH);t=2.52(方法C).
【0160】
実施例13:5-ベンジル-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化48】
6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン及び(ブロモメチル)ベンゼンから調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.18(s,1H),7.30-7.26(m,3H),7.16(m,2H),6.26(s,1H),5.40(br.s,2H),4.42(m,1H),4.17(d,J=10.8Hz,2H),3.58(t,J=10.8Hz,2H),2.36(m,5H),1.96(d,J=13.2Hz,2H).LC-MS(m/z)324.2(MH);t=2.11(方法C).
【0161】
実施例14:5-[(3-クロロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化49】
6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン及び1-(ブロモメチル)-3-クロロベンゼンから調製。
H NMR(CDCl3400MHz):δ8.20-8.18(m,1H),7.29-7.24(m,2H),7.15-7.13(m,1H),7.05(s,1H),6.31-6.28(m,1H),5.36(br.s,2H),4.45-4.40(m,1H),4.18(d,J=8.0Hz,2H),3.61-3.56(m,2H),2.40-2.35(m,5H),1.97(m,2H).LC-MS(m/z)358.2(MH);t=2.29(方法C).
【0162】
実施例15:5-[(4-フルオロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化50】
6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン及び1-(ブロモメチル)-4-フルオロベンゼンから調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.17(s,1H),7.16-7.13(m,2H),6.99(t,J=8.4Hz,2H),6.27(s,1H),5.35(br.s,2H),4.44-4.39(m,1H),4.17(d,J=9.2Hz,2H),3.58(t,J=12.0Hz,2H),2.42-2.36(m,5H),1.95(d,J=12.4Hz,2H).LC-MS(m/z)342.2(MH);t=2.16(方法C).
【0163】
実施例16:6-メチル-5-(p-トリルメチル)-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化51】
6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン及び1-(ブロモメチル)-4-メチルベンゼンから調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.18(s,1H),7.12-7.04(m,4H),6.24(s,1H),5.35(br.s,2H),4.41(m,1H),4.17(d,J=9.6Hz,2H),3.58(t,J=12.0Hz,2H),2.42-2.31(m,8H),1.95(d,J=12.8Hz,2H).LC-MS(m/z)338.2(MH);t=2.04(方法B).
【0164】
実施例17:5-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルメチル)-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化52】
6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン及び5-(ブロモメチル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソールから調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.16(s,1H),6.73(d,J=8.0Hz,1H),6.66-6.62(m,2H),6.25(s,1H),5.92(s,2H),5.28(s,2H),4.44-4.38(m,1H),4.18-4.15(m,2H),3.60-3.55(m,2H),2.43-2.32(m,5H),1.96-1.93(m,2H).LC-MS(m/z)368.2(MH);t=2.26(方法C).
【0165】
実施例18:5-[(6-メトキシ-3-ピリジル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化53】
6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン及び5-(クロロメチル)-2-メトキシピリジンから調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.15(s,1H),8.01(s,1H),7.51-7.49(m,1H),6.68(d,J=8.8Hz,1H),6.25(s,1H),5.29(s,2H),4.42-4.36(m,1H),4.17-4.14(m,2H),3.89(s,3H),3.59-3.53(m,2H),2.40-2.30(m,5H),1.94-1.91(m,2H).LC-MS(m/z)355.2(MH);t=1.84(方法B).
【0166】
実施例19:5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化54】
トリエチルアミン(198mg、0.27mL、2.0mmol)を、エタノール(2.5mL)中の4-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド(100mg、0.34mmol)及び(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ヒドラジン二塩酸塩(65mg、0.34mmol)に加えた。反応混合物をマイクロ波照射(130℃30分間、次いで150℃20分間)により加熱した。反応混合物を真空中で濃縮した。粗製物質をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタンと酢酸エチルの勾配を利用)により精製すると、5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オンを与えた(9mg、収率7%)。
H NMR(DMSOd600MHz)δ8.07(s,1H),7.05(d,J=8.6Hz,2H),6.88(d,J=8.7Hz,2H),6.73(s,1H),5.25(bs,2H),4.71-4.64(m,1H),3.99(dd,J=11.3,4.1Hz,2H),3.71(s,3H),3.50(dd,J=11.8,10.7Hz,2H),2.33(s,3H),2.08(qd,J=12.6,4.8Hz,2H),1.85(dd,J=12.5,2.4Hz,2H).LC-MS(m/z)354.1(MH);t=0.59(方法D).
【0167】
以下の化合物を同様に調製した:
実施例20:5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-プロピル-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化55】
4-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド及びプロピルヒドラジンから調製。
H NMR(DMSOd600MHz)δ8.04(s,1H),7.05(d,J=8.7Hz,2H),6.88(d,J=8.7Hz,2H),6.65(s,1H),5.24(bs,2H),4.19(t,J=6.9Hz,2H),3.71(s,3H),2.32(s,3H),1.80(h,J=7.2Hz,2H),0.82(t,J=7.4Hz,3H).LC-MS(m/z)312(MH);t=0.65(方法E).
【0168】
実施例21:1-イソプロピル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化56】
4-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド及びイソプロピルヒドラジン塩酸塩から調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.16(s,1H),7.10(d,J=8.4Hz,2H),6.82(d,J=8.4Hz,2H),6.20(s,1H),5.30(br.s,2H),4.61-4.54(m,1H),3.76(s,3H),2.35(s,3H),1.54(d,J=6.8Hz,6H).LC-MS(m/z)312.1(MH);t=2.52(方法C).
【0169】
実施例22:5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロフラン-3-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化57】
4-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド及び(テトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン塩酸塩から調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.23-8.15(m,1H),7.09-7.06(m,2H),6.81(d,J=8.4Hz,2H),6.37-6.26(m,1H),5.29-5.26(m,2H),5.09-5.02(m,1H),4.25-4.12(m,3H),3.97-3.95(m,1H),3.75(s,3H),2.56-2.30(m,5H).LC-MS(m/z)340.2(MH);t=2.24(方法C).
【0170】
実施例23:1-シクロプロピル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化58】
4-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド及びシクロプロピルヒドラジン塩酸塩から調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.09(s,1H),7.09(d,J=8.4Hz,2H),6.82(d,J=8.4Hz,2H),6.36(s,1H),5.31(s,2H),3.77(s,3H),3.44-3.49(m,1H),2.37(s,3H),1.09-1.20(m,4H).LC-MS(m/z)310.2(MH);t=2.16(方法B).
【0171】
実施例24:1-エチル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化59】
4-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド及びエチルヒドラジンシュウ酸塩から調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.15(s,1H),7.10(d,J=8.4Hz,2H),6.83(d,J=8.4Hz,2H),6.19(s,1H),5.32(br.s,2H),4.24(q,J=7.6Hz,2H),3.77(s,3H),2.37(s,3H),1.49(t,J=7.6Hz,3H).LC-MS(m/z)298.2(MH);t=2.33(方法C).
【0172】
実施例25:5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-3-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化60】
4-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド及び(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)ヒドラジン塩酸塩から調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.15(s,1H),7.09(d,J=8.4Hz,2H),6.81(d,J=8.4Hz,2H),6.22(s,1H),5.30(br.s,2H),4.31-4.29(m,1H),4.03-3.98(m,2H),3.76(s,4H),3.52-3.46(m,1H),2.36-2.28(m,4H),2.19-2.16(m,1H),1.86(m,2H).LC-MS(m/z)354.2(MH);t=2.18(方法B).
【0173】
実施例26:5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-[(トランス)-2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル]ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン.
【化61】
4-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド及びトランス-(2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン塩酸塩から調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.20(s,1H),7.11(d,J=8.4Hz,2H),6.84(d,J=8.4Hz,2H),6.21(s,1H),5.33(br.s,2H),4.44-4.40(m,1H),4.24-4.14(m,3H),3.78(s,3H),2.57-2.47(m,2H),2.38(s,3H),1.32(d,J=5.6Hz,3H).LC-MS(m/z)354.2(MH);t=2.37(方法C).
【0174】
実施例27:5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-[(シス)-2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル]ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン.
【化62】
4-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド及びシス-(2-メチルテトラヒドロフラン-3-イル)ヒドラジン塩酸塩から調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.18(s,1H),7.10(d,J=8.4Hz,2H),6.82(d,J=8.4Hz,2H),6.21(s,1H),5.37-5.23(m,2H),4.90(bs,1H),4.41-4.39(m,1H),4.09-4.06(m,1H),3.88-3.82(m,1H),3.76(s,3H),2.64-2.56(m,2H),2.36(s,3H),0.84(d,J=6.0Hz,3H).LC-MS(m/z)354.2(MH);t=2.28(方法C).
【0175】
実施例28:5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(オキセタン-3-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化63】
DMF(3mL)中の5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン(30mg、0.111mmol)と、3-ヨードオキセタン(41mg、0.223μmol)と、CsCO(109mg、334mmol)の混合物を、100℃で1時間マイクロ波照射下で撹拌した。混合物をろ過し、塩基性分取HPLCにより精製し、それに続いてSFCにより精製すると、5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(オキセタン-3-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オンを与えた(35mg、収率36%)。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.23(s,1H),7.08(d,J=8.4Hz,2H),6.81(d,J=8.4Hz,2H),6.31(s,1H),5.59-5.52(m,1H),5.31(br.s,2H),5.21(t,J=6.4Hz,2H),5.08(t,J=7.6Hz,2H),3.76(s,3H),2.37(s,3H).LC-MS:t=2.080min(方法C),m/z=326.1[M+H]
【0176】
SFC方法:機器:SFC-13;カラム:Chiralpak AS(250mm×30mm、5um);移動相:40mL/分で塩基(Base)-ETOH=40/60;カラム温度:38℃;ノズル圧力:100バール;ノズル温度:60℃;エバポレーター温度:20℃;トリマー温度:25℃。
【0177】
実施例29:5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン
【化64】
4-クロロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボアルデヒド及び(4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ヒドラジン塩酸塩から実施例19と同様に調製。
H NMR(CDCl400MHz):δ8.16(s,1H),7.14(d,J=8.4Hz,2H),6.84(d,J=8.8Hz,2H),6.35(s,1H),5.32(s,2H),3.78-3.71(m,7H),2.67-2.63(m,2H),2.37(s,3H),2.05-2.03(m,2H),1.62(s,3H).LC-MS(m/z)368.2(MH);t=2.23(方法C).
【0178】
インビトロ試験
PDE1阻害アッセイ
PDE1A、PDE1B、及びPDE1Cアッセイを以下の通り実施した。アッセイを、一定量のPDE1酵素(環状ヌクレオチド基質の20 25%を転化するのに充分)、緩衝液(50mM HEPES pH7.6;10mM MgCl;0.02%Tween20)、0.1mg/ml BSA、15nMトリチウム標識cAMP、及び様々な量の阻害剤を含む60 L試料で実施した。環状ヌクレオチド基質の添加により反応を開始し、反応を1時間室温で進行させ、20 L(0.2mg)のケイ酸イットリウムSPAビーズ(PerkinElmer)との混合により停止した。ビーズを1時間暗所で沈殿させてから、プレートをWallac 1450 Microbetaカウンターで計測した。測定されたシグナルを、阻害されていない対照(100%)に対する活性に変換し、XlFit(モデル205、IDBS)を利用してIC50値を計算した。
【0179】
PDE9阻害アッセイ
PDE9アッセイは、例えば以下の通り実施できる:アッセイは、一定量の関連するPDE酵素(環状ヌクレオチド基質の20~25%を転化するのに充分)、緩衝液(50mM HEPES pH7.6;10mM MgCl;0.02%Tween20)、0.1mg/ml BSA、225pCiのH標識環状ヌクレオチド基質、最終濃度5nMまでのトリチウム標識cAMP、及び様々な量の阻害剤を含む60μL試料で実施する。環状ヌクレオチド基質の添加により反応を開始し、反応を1時間室温で進行させ、15μLの8mg/mLケイ酸イットリウムSPAビーズ(Amersham)との混合により停止する。ビーズを1時間暗所で沈殿させてから、プレートをWallac 1450 Microbetaカウンターで計測する。測定されたシグナルを、阻害されていない対照(100%)に対する活性に変換でき、EXCELへのXlfit機能拡張を利用してIC50値を計算できる。
【0180】
本発明の文脈では、アッセイは、10nMのH-cAMPの20~25%を転化するのに充分なPDE9及び様々な量の阻害剤を含む60uLアッセイ緩衝液(50mM HEPES pH7.6;10mM MgCl;0.02%Tween20)で実施した。1時間のインキュベーションの後、反応を、15uLの8mg/mLケイ酸イットリウムSPAビーズ(Amersham)の添加により停止した。ビーズを1時間暗所で沈殿させてから、プレートをWallac 1450 Microbetaカウンターで計測した。

本発明は以下の態様を含み得る。
[請求項1]
式(I)の化合物
【化1】

(式中、
YはN又はCHであり;
R1は、直鎖又は分岐鎖のC ~C アルキル、飽和単環式C ~C シクロアルキル、
オキセタニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなる群から選択さ
れ;それらの全ては、メチル、フッ素、ヒドロキシ、シアノ、及びメトキシからなる群か
ら選択される1つ以上の置換基により1回以上置換されていてよく;
R2は、直鎖又は分岐鎖のC ~C アルキル、フェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソー
ル、及び飽和単環式C ~C シクロアルキルからなる群から選択されるか;或いは
R2は、ハロゲン、C ~C アルキル、及びメトキシからなる群から選択される1つ以
上の置換基により1回以上置換されたフェニルであるか;或いは
R2は、ハロゲン、C ~C アルキル、C ~C アルコキシ、C ~C フルオロア
ルコキシ、C ~C シクロアルコキシ、及びC ~C メチルシクロアルコキシからな
る群から選択される置換基により置換されたピリジンであるか;或いは
R2は、C ~C アルキルにより置換された5員ヘテロアリールからなる群から選択さ
れ;
R3は、直鎖又は分岐鎖のC ~C アルキル及び飽和単環式C ~C シクロアルキル
からなる群から選択され;それは、ハロゲン、C ~C アルコキシ、フェニル、ジアル
キルアミン、及びオキセタンから選択される置換基によりそれぞれ任意選択で置換されて
いてよい);
並びにその互変異性体及び薬学的に許容可能な塩。
[2]
YがNである、請求項1に記載の化合物。
[3]
YがCHである、請求項1に記載の化合物。
[4]
R1が、直鎖若しくは分岐鎖のC ~C アルキル、又はシクロプロピルなどの飽和単
環式C ~C シクロアルキルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
[5]
R1が、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルから選択さ
れる、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
[6]
R2が、メチル、メトキシ、フッ素、又は塩素から選択される1つ以上の置換基により
任意選択で置換されたフェニルであるか;或いは、R2が、メチル、メトキシ、フッ素、
及び塩素からなる群から選択される置換基により置換されたピリジンである、請求項1~
5のいずれか一項に記載の化合物。
[7]
R2が飽和単環式C ~C シクロアルキルである、請求項1~5のいずれか一項に記
載の化合物。
[8]
R3がメチルなどのC 1~3 アルキルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化
合物。
[9]
R3が、フェニルにより置換されたメチルである、請求項1~7のいずれか一項に記載
の化合物。
[10]
R3が、メトキシ又はオキセタンにより置換されたメチルである、請求項1~7のいず
れか一項に記載の化合物。
[11]
YがN又はCHであり;
R1が、直鎖又は分岐鎖のC ~C アルキル、飽和単環式C ~C シクロアルキル、
オキセタニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルからなる群から選択さ
れ;それらの全てが、メチル、フッ素、ヒドロキシ、シアノ、及びメトキシからなる群か
ら選択される1つ以上の置換基により1回以上置換されていてよく;
R2が、フェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、及び飽和単環式C ~C シクロア
ルキルからなる群から選択されるか;或いは
R2が、ハロゲン、C ~C アルキル、及びC ~C アルコキシからなる群から選択
される1つ以上の置換基により1回以上置換されたフェニルであるか;或いは
R2が、ハロゲン、C ~C アルキル、及びC ~C アルコキシ、C ~C フルオ
ロアルコキシ、C ~C シクロアルコキシ、及びC ~C メチルシクロアルコキシか
らなる群から選択される置換基により置換されたピリジルであり;
R3がメチルなどのC ~C アルキルであり;それが、ハロゲン、C ~C アルコキ
シ、フェニル、及びオキセタンから選択される置換基によりそれぞれ任意選択で置換され
ていてよい、請求項1に記載の化合物。
[12]
6-ベンジル-5-(シクロヘキシルメチル)-1-テトラヒドロピラン-4-イル-
ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-
イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オン;
5-(シクロヘキシルメチル)-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラ
ゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-プロピル-ピラゾロ[3,
4-d]ピリミジン-4-オン;
5-(シクロヘキシルメチル)-6-メチル-1-プロピル-ピラゾロ[3,4-d]ピ
リミジン-4-オン;
6-エチル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1-テトラヒドロピラン-4-
イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
6-(メトキシメチル)-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1-テトラヒドロ
ピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
6-イソプロピル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1-テトラヒドロピラン
-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-(オキセタン-3-イルメチル)-1-
テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;
5-[(3-フルオロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-
イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(2-フルオロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-
イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-クロロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イ
ル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-ベンジル-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c
]ピリジン-4-オン;
5-[(3-クロロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-イ
ル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-フルオロフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-4-
イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
6-メチル-5-(p-トリルメチル)-1-テトラヒドロピラン-4-イル-ピラゾロ
[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルメチル)-6-メチル-1-テトラヒドロ
ピラン-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(6-メトキシ-3-ピリジル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン
-4-イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-
イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-プロピル-1,5-ジヒドロ-4H-
ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
1-イソプロピル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-ピラゾロ[
4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロフラン-3-
イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
1-シクロプロピル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-ピラゾロ
[4,3-c]ピリジン-4-オン:
1-エチル-5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-ピラゾロ[4,3
-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-テトラヒドロピラン-3-
イル-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-[(2S,3R)-2-メ
チルテトラヒドロフラン-3-イル]ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-[(2R,3R)-2-メ
チルテトラヒドロフラン-3-イル]ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-メチル-1-(オキセタン-3-イル)
ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オン;
5-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(4-メチルテトラヒドロ-2H-ピ
ラン-4-イル)-1,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-オ
ン;
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物及びこれらの化合物のいずれかの薬学
的に許容可能な塩。
[13]
治療で使用するための請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
[14]
治療上有効な量の請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物及び1種以上の薬学的
に許容可能な担体、希釈剤、及び賦形剤を含む医薬組成物。
[15]
アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病からなる群から選択される神
経変性疾患の治療に使用するための、又は注意欠陥多動性障害(ADHD)、うつ病、不
安、ナルコレプシー、認知機能障害、及び統合失調症に伴う認知機能障害(CIAS)な
どの精神疾患、若しくはレストレスレッグ症候群のような別の脳疾患の治療のための、請
求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。