(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】汽力プラントの復水給水系統及び汽力プラント復水給水系統の運転方法
(51)【国際特許分類】
F22D 11/00 20060101AFI20220622BHJP
F22D 1/28 20060101ALI20220622BHJP
F01K 9/00 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
F22D11/00 C
F22D1/28 Z
F01K9/00 F
(21)【出願番号】P 2019029753
(22)【出願日】2019-02-21
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福永 浩
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ スプリヨ
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-053531(JP,A)
【文献】特開平07-286703(JP,A)
【文献】特開平08-327010(JP,A)
【文献】特開昭60-219404(JP,A)
【文献】特開平11-159305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 1/00 - 11/06
F01K 1/00 - 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
復水器で生じた復水を蒸気タービンの抽気蒸気により加熱及び脱気して一時的に貯留する脱気器と、
前記復水器と前記脱気器の間の復水ライン上に設けられ、前記復水器で生じた復水を前記蒸気タービンの抽気蒸気により加熱する加熱器と、
前記復水ラインにおける前記加熱器よりも上流側に設けられ、前記脱気器内の復水の水位を調整可能な脱気器水位制御弁と、
前記脱気器から流出する復水を前記復水ラインにおける前記加熱器と前記脱気器との間の部分へ戻す脱気器循環ポンプと、
前記加熱器から前記脱気器へ向かう復水の一部が前記復水ラインから分岐した供給ラインを介して供給される機器と、
前記供給ライン上に設けられ、前記供給ラインの連通と遮断を切り換える供給ライン止め弁と、
前記供給ライン止め弁の開閉を制御すると共に、前記脱気器循環ポンプの駆動及び停止を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
通常運転において、前記供給ライン止め弁を開状態にすると共に、前記脱気器循環ポンプを停止状態にする一方、
前記加熱器及び前記脱気器への抽気蒸気の供給を通常運転時よりも低減させると共に前記脱気器水位制御弁を閉止する復水絞り運転において、前記供給ライン止め弁を通常運転時の開状態から閉止させると共に、前記脱気器循環ポンプを通常運転時の停止状態から少なくとも一時的に駆動させる
ことを特徴とする汽力プラントの復水給水系統。
【請求項2】
請求項1に記載の汽力プラントの復水給水系統において、
前記制御装置は、前記復水絞り運転において、前記供給ライン止め弁の開状態から閉止状態への完了を検知したことを示す閉止検知信号が前記供給ライン止め弁から入力された場合に、前記脱気器循環ポンプに対する駆動指令信号の出力を開始する
ことを特徴とする汽力プラントの復水給水系統。
【請求項3】
請求項1に記載の汽力プラントの復水給水系統において、
前記制御装置は、前記復水絞り運転において、前記供給ライン止め弁に対する閉止指令信号の出力開始からの経過時間を計測し、計測する経過時間が予め設定された設定時間よりも経過した場合に、前記脱気器循環ポンプに対する駆動指令信号の出力を開始する
ことを特徴とする汽力プラントの復水給水系統。
【請求項4】
請求項1に記載の汽力プラントの復水給水系統において、
前記制御装置は、前記復水絞り運転において、前記供給ライン止め弁に対する閉止指令信号の出力開始と同時期に、前記脱気器循環ポンプに対する駆動指令信号の出力を開始する
ことを特徴とする汽力プラントの復水給水系統。
【請求項5】
請求項1に記載の汽力プラントの復水給水系統において、
前記制御装置は、前記復水絞り運転の間、前記脱気器循環ポンプの駆動を継続させる
ことを特徴とする汽力プラントの復水給水系統。
【請求項6】
請求項1に記載の汽力プラントの復水給水系統において、
前記制御装置は、前記復水絞り運転において、前記脱気器循環ポンプに対する駆動指令信号の出力開始からの経過時間を計測し、計測する経過時間が予め設定された設定時間よりも経過した場合に、前記脱気器循環ポンプに対する停止指令信号の出力の開始又は駆動指令信号の出力の停止を行う
ことを特徴とする汽力プラントの復水給水系統。
【請求項7】
復水器で生じた復水を蒸気タービンの抽気蒸気により加熱及び脱気して一時的に貯留する脱気器と、
前記復水器と前記脱気器の間の復水ライン上に設けられ前記復水器で生じた復水を前記蒸気タービンの抽気蒸気により加熱する加熱器と、
前記復水ラインにおける前記加熱器よりも上流側に設けられ前記脱気器内の復水の水位を調整可能な脱気器水位制御弁と、
前記脱気器から流出する復水を前記復水ラインにおける前記加熱器と前記脱気器との間の部分へ戻す脱気器循環ポンプと、
前記加熱器から前記脱気器へ向かう復水の一部が前記復水ラインから分岐した供給ラインを介して供給される機器と、
前記供給ラインの連通と遮断を切り換える供給ライン止め弁とを備える汽力プラント復水給水系統の運転方法であって、
前記加熱器及び前記脱気器への抽気蒸気の供給を通常運転時よりも低減させると共に前記脱気器水位制御弁を閉止する復水絞り運転へ通常運転から切り換えられた場合、前記供給ライン止め弁を通常運転時の開状態から閉止させると共に、前記脱気器循環ポンプを通常運転時の停止状態から少なくとも一時的に駆動させる
ことを特徴とする汽力プラント復水給水系統の運転方法。
【請求項8】
請求項7に記載の汽力プラント復水給水系統の運転方法において、
前記復水絞り運転において、前記供給ライン止め弁の開状態から閉止状態への移行の完了後に前記脱気器循環ポンプを始動させる
ことを特徴とする汽力プラント復水給水系統の運転方法。
【請求項9】
請求項7に記載の汽力プラント復水給水系統の運転方法において、
前記復水絞り運転において、前記供給ライン止め弁の閉動作の開始から予め設定した設定時間の経過後に前記脱気器循環ポンプを始動させる
ことを特徴とする汽力プラント復水給水系統の運転方法。
【請求項10】
請求項7に記載の汽力プラント復水給水系統の運転方法において、
前記復水絞り運転において、前記供給ライン止め弁の閉動作の開始と同時期に前記脱気器循環ポンプを始動させる
ことを特徴とする汽力プラント復水給水系統の運転方法。
【請求項11】
請求項7に記載の汽力プラント復水給水系統の運転方法において、
前記復水絞り運転の間、前記脱気器循環ポンプの駆動を継続させる
ことを特徴とする汽力プラント復水給水系統の運転方法。
【請求項12】
請求項7に記載の汽力プラント復水給水系統の運転方法において、
前記復水絞り運転において、前記脱気器循環ポンプを予め設定した設定時間の経過後に停止させる
ことを特徴とする汽力プラント復水給水系統の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汽力プラントの復水給水系統及びその運転方法に係り、更に詳しくは、脱気器循環ポンプを備える復水給水系統及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汽力プラントは、ボイラや原子炉等の蒸気発生源で発生した高温高圧の蒸気で蒸気タービンを駆動して発電を行うものである。蒸気タービンを駆動した蒸気は、復水器で凝縮されて復水(凝縮水)となり、蒸気発生源へ供給されて再び蒸気となり、蒸気タービンに供給される。汽力プラントの復水給水系統では、一般に、復水器で生じた復水を復水ポンプによって送出して低圧給水加熱器で加熱した後に脱気器で加熱して脱気する。その後、脱気器で脱気された復水(給水)を給水ポンプで昇圧して高圧給水加熱器で更に加熱した後に再び蒸気発生源へ供給する。脱気器内には脱気された給水が貯留されており、脱気器内の給水が脱気器水位制御弁によって所定の水位に維持されている。低圧給水加熱器や高圧給水加熱器、脱気器での加熱には、蒸気タービンからの抽気蒸気が用いられている。
【0003】
汽力プラントには、一般に、脱気器の下流側から上流側へ脱気器循環ラインを介して給水を循環させる脱気器循環ポンプを備えている(例えば、特許文献1の
図1を参照)。汽力プラントでは、プラント起動時に、脱気器内の給水を脱気器循環ポンプによって脱気器循環ラインを介して循環させることで給水を速やかに脱気している。また、プラントの負荷遮断や負荷急減時において、脱気器内の給水を脱気器循環ポンプによって脱気器循環ラインを介して循環させることで、脱気器内及び給水ポンプ上流の給水の温度と圧力の平衡を維持してフラッシュ現象を緩和している。脱気器循環ポンプは、通常、上述した状況以外、例えば通常運転時に稼動させることはない。
【0004】
汽力プラントの中には、脱気器へ向かう復水の一部を分流させて機器に供給するものがある。当該機器を備える汽力プラントの復水給水系統として、例えば
図10に示すように、復水ラインCLにおける低圧給水加熱器LHと脱気器Dの間の部分から分岐した第1供給ラインSL1が機器Hの入口側に接続されている。第1供給ラインSL1は、低圧給水加熱器LHから脱気器Dへ向かう復水の一部を機器Hへ導くものである。第1供給ラインSL1には、上流側から順に、第1供給ライン止め弁VS1及び送出ポンプPSが設けられている。当該機器Hの入口側には、第1供給ラインSL1とは異なる別の第2供給ラインSL2が接続されている。第2供給ラインSL2は、復水ラインCL上を流れる復水とは異なる別の供給源からの水を機器Hへ供給するものである。第2供給ラインSL2上には、第2供給ライン止め弁VS2が設けられている。
【0005】
図10に示す汽力プラントでは、通常運転において、低圧給水加熱器LHから脱気器Dへ向かって復水ラインCL上を流れる復水のうちの一部分が送出ポンプPSによって第1供給ラインSL1に分流して第1供給ライン止め弁VS1を介して機器Hを通過した後に脱気器Dへ導入される。一方、残りの復水は、復水ラインCL上を流れて脱気器Dへ直接導入される。通常運転では、第2供給ライン止め弁VS2が閉止されているので、第2供給ラインSL2を介した機器Hへの水の供給は遮断されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、汽力プラントでは、通常運転の他に、負荷の急速な増大に対応するための復水絞り運転と称する運転方法がある。復水絞り運転は、低圧給水加熱器及び脱気器へ供給する復水の流量を急減させることで、低圧給水加熱器及び脱気器での加熱に用いられる蒸気タービンからの抽気蒸気を減らし、その分、蒸気タービンの出力を増大させるものである。復水絞り運転では、脱気器水位制御弁を急に閉止することで、復水の流量を急減させている。
【0008】
前述した復水ラインCL上の復水を第1供給ラインSL1を介して機器に供給する汽力プラントでは、復水絞り運転時、
図11に示すように、第1供給ライン止め弁VS1を閉止することで機器Hに対する復水ラインCLからの復水の供給を遮断する一方、第2供給ライン止め弁VS2を開放することで機器Hに対する別の供給源からの水の供給を行っている。一般に、脱気器水位制御弁VDは空気作動弁で構成されている一方、第1供給ライン止め弁VS1及び第2供給ライン止め弁VS2は電動弁で構成されている。空気作動弁は開状態から閉止状態への急速な移行が可能である一方、電動弁は空気作動弁と比べて閉止状態になるまでに時間が掛かる。したがって、通常運転から復水絞り運転へ切り換えるとき、空気作動弁である脱気器水位制御弁VDが急閉された後も、電動弁である第1供給ライン止め弁VS1が完全に閉止するまでの間、例えば数分間、第1供給ラインSL1は遮断されずに復水ラインCLに連通している。その結果、脱気器水位制御弁VDの急閉により復水ラインCLが遮断された後も、脱気器水位制御弁VDよりも下流側の復水が第1供給ラインSL1を介して機器Hへ供給される期間が生じる。このため、脱気器水位制御弁VDよりも下流側の復水ラインCLの一部分(
図11に示す二点鎖線の部分)が満水の状態ではなくなり空洞が生じることが懸念される。
【0009】
脱気器水位制御弁VDよりも下流側の復水ラインCL(配管)に空洞が生じている場合、復水絞り運転から通常運転への復帰のために閉止状態の脱気器水位制御弁VDを開放すると、復水ラインCLの当該空洞部分に復水が急速に流れ込む。これにより、配管に衝撃が生じて激しく振動するウォータハンマと称する現象が発生することが懸念される。
【0010】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、汽力プラントの機器構成を変えることなく復水絞り運転から通常運転への復帰時のウォータハンマの発生を防止することができる汽力プラントの復水給水系統及びその運転方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、蒸気タービンからの蒸気を凝縮して復水を生成する復水器と、前記復水器で生じた復水を前記蒸気タービンの抽気蒸気により加熱及び脱気して一時的に貯留する脱気器と、前記復水器と前記脱気器の間の復水ライン上に設けられ、前記復水器で生じた復水を前記蒸気タービンの抽気蒸気により加熱する加熱器と、前記加熱器から前記脱気器へ向かう復水の一部が前記復水ラインから分岐した供給ラインを介して供給される機器と、前記加熱器よりも上流側の復水ライン上に設けられ、前記脱気器内の復水の水位を調整可能な脱気器水位制御弁と、前記脱気器から流出する復水を前記脱気器の入口側へ戻す脱気器循環ポンプと、前記供給ライン上に設けられ、前記供給ラインの連通と遮断を切り換える供給ライン止め弁と、前記供給ライン上に設けられ、前記機器へ復水を送出する送出ポンプと、前記供給ライン止め弁の開閉を制御すると共に、前記脱気器循環ポンプ及び前記送出ポンプの駆動と停止を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、通常運転において、前記供給ライン止め弁を開放させ、前記送出ポンプを駆動させ、前記脱気器循環ポンプを停止させる一方、前記蒸気タービンの抽気蒸気の前記加熱器及び前記脱気器への供給を通常運転時よりも低減させると共に前記脱気器水位制御弁を閉止する復水絞り運転において、前記供給ライン止め弁を閉止させ、前記送出ポンプを停止させ、前記脱気器循環ポンプを少なくとも一時的に駆動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来構成の脱気器循環ポンプを復水絞り運転時に少なくとも一時的に駆動させるので、通常運転から復水絞り運転への切換えにより脱気器水位制御弁よりも下流側の復水ラインが満水状態でなくなってしまった場合でも、脱気器から流出する復水を脱気器上流側の復水ラインに戻すことで復水ラインを復水絞り運転中に満水状態に戻すことができる。したがって、プラント構成を変えることなく、復水絞り運転から通常運転への復帰時のウォータハンマの発生を防止することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態を含む汽力プラントの構成を示す系統図である。
【
図2】本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態の一部を構成する制御装置のハードウェアを示す構成図である。
【
図3】本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態におけるプラント起動時の運転方法を示す説明図である。
【
図4】本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態におけるプラントの通常運転(定格負荷運転)時の運転方法を示す説明図である。
【
図5】本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態におけるプラントの復水絞り運転時の運転方法を示す説明図である。
【
図6】本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態の一部を構成する制御装置の復水絞り運転への切換えから通常運転の復帰までの制御手順の一例を示すフローチャート図である。
【
図7】本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態の一部を構成する制御装置の復水絞り運転への切換えから通常運転の復帰までの制御手順の別の一例を示すフローチャート図である。
【
図8】本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態の変形例の一部を構成する制御装置のハードウェアを示す構成図である。
【
図9】本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態の変形例の一部を構成する制御装置の復水絞り運転への切換えから通常運転の復帰までの制御手順の一例を示すフローチャート図である。
【
図10】従来の汽力プラントの復水給水系統の構成の一部を示す概略系統図である。
【
図11】
図10に示す復水給水系統における通常運転から復水絞り運転への切換時の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の汽力プラントの復水給水系統及びその運転方法の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
[一実施の形態]
本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態を含む汽力プラントの構成を
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態を含む汽力プラントの構成を示す系統図である。
図2は本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態の一部を構成する制御装置のハードウェアを示す構成図である。
【0016】
図1において、汽力プラントは、蒸気を発生させる蒸気発生源としてのボイラ1と、ボイラ1で発生した蒸気によって駆動される蒸気タービン2と、蒸気タービン2に連結されて発電する発電機3とを備えている。ボイラ1は、燃料を燃焼させる火炉11と、火炉11で生じる燃焼エネルギにより蒸気を発生させる蒸気発生器12と、後述の高圧タービン21を駆動した後の蒸気を火炉11で生じる燃焼エネルギにより加熱する再熱器13とを備えている。蒸気タービン2は、例えば、高圧タービン21と、中圧タービン22と、低圧タービン23とで構成されている。
【0017】
ボイラ1の蒸気発生器12と高圧タービン21の入口側は主蒸気管25を介して接続されている。高圧タービン21の出口側とボイラ1の再熱器13は、低温再熱蒸気管26を介して接続されている。ボイラ1の再熱器13と中圧タービン22の入口側は、高温再熱蒸気管27を介して接続されている。中圧タービン22の出口側と低圧タービン23の入口側は、連絡蒸気管28を介して接続されている。
【0018】
汽力プラントは、更に、蒸気タービン2(低圧タービン23)から排出された蒸気を凝縮して生じた復水を給水としてボイラ1に供給する復水給水系統4を備えている。復水給水系統4は、蒸気タービン2(低圧タービン23)から排出された蒸気を冷却して復水(凝縮水)を生成する復水器41と、復水を加熱して脱気する脱気器42とを備えている。脱気器42は、脱気された復水を内部に一時的に貯留する機能も有している。脱気器42には、復水の加熱媒体として中圧タービン22から抽気された蒸気が脱気用抽気管60を介して供給される。
【0019】
復水器41と脱気器42の間の復水ライン43上には、上流側から順に、復水ポンプ45、脱気器水位制御弁46、低圧ヒータ47が設置されている。復水ポンプ45は、復水器41からの復水を昇圧して低圧ヒータ47へ送出するものである。脱気器水位制御弁46は、脱気器42内に貯留される復水の水位を調整するものである。脱気器水位制御弁46として、例えば、空気作動弁が用いられている。低圧ヒータ47は、プラントの熱効率を向上させるために、蒸気タービン2から抽気される蒸気を加熱媒体として復水を加熱する加熱器である。低圧ヒータ47は、例えば、上流側から順に、第1低圧ヒータ47a、第2低圧ヒータ47b、第3低圧ヒータ47c、第4低圧ヒータ47dで構成されている。第1低圧ヒータ47a、第2低圧ヒータ47b、第3低圧ヒータ47c、第4低圧ヒータ47dにはそれぞれ、第1抽気管61、第2抽気管62、第3抽気管63、第4抽気管64を介して低圧タービン23から抽気された蒸気が供給される。
【0020】
脱気器42とボイラ1の間の給水ライン51上には、上流側から順に、給水ポンプ52、高圧ヒータ53が設置されている。給水ポンプ52は、脱気器42からの給水を昇圧して高圧ヒータ53を介してボイラ1へ送出するものである。高圧ヒータ53は、プラントの熱効率を向上させるために、蒸気タービン2から抽気される蒸気を加熱媒体として復水を加熱するものである。高圧ヒータ53は、例えば、上流側から順に、第1高圧ヒータ53a、第2高圧ヒータ53b、第3高圧ヒータ53cで構成されている。第1高圧ヒータ53aには、第5抽気管65を介して中圧タービン22から抽気された蒸気が供給される。第2高圧ヒータ53b及び第3高圧ヒータ53cにはそれぞれ、第6抽気管66及び第7抽気管67を介して高圧タービン21から抽気された蒸気が供給される。
【0021】
給水ライン51における脱気器42と給水ポンプ52の間の部分51aには、脱気器循環ライン71の一端側が接続されており、脱気器循環ライン71の他端側は復水ライン43における低圧ヒータ47(最下流側の第4低圧ヒータ47d)と脱気器42との間の部分43aに接続されている。脱気器循環ライン71上には、脱気器循環ポンプ72が設置されている。脱気器循環ポンプ72は、脱気器42から流出する復水を脱気器循環ライン71を介して脱気器42の入口側(上流側)へ戻すものである。
【0022】
復水給水系統4は、更に、低圧ヒータ47から脱気器42へ向かう復水の一部が供給される機器である復水用熱交換器81を備えている。復水用熱交換器81は、低圧ヒータ47から脱気器42へ向かう復水の一部をボイラ1からの排ガスで加熱するものである。復水用熱交換器81は、ボイラ1の排ガスが流れる排ガス系統15上に設置されている。
【0023】
復水用熱交換器81の入口側には、復水ライン43における第4低圧ヒータ47dと脱気器42の間の部分43aから分岐した第1供給ライン82が接続されている。復水用熱交換器81の出口側は、出口ライン83を介して脱気器42に接続されている。第1供給ライン82上には、上流側から順に、第1供給ライン止め弁84及び送出ポンプ85が設置されている。第1供給ライン止め弁84は、第1供給ライン82の連通と遮断を切り換えるものである。第1供給ライン止め弁84として、例えば、電動弁が用いられている。送出ポンプ85は、復水ライン43を流れる復水の一部を復水用熱交換器81へ送出するものである。
【0024】
第1供給ライン82における送出ポンプ85よりも下流側の部分には、第1供給ライン82とは異なる第2供給ライン86が接続されている。第2供給ライン86は、復水ライン43aを流れる復水とは異なる供給源からの水を復水用熱交換器81に供給するものである。第2供給ライン86上には、第2供給ライン止め弁87が設置されている。第2供給ライン止め弁87は、第2供給ライン86の連通と遮断を切り換えるものである。第2供給ライン止め弁87として、例えば、電動弁が用いられている。
【0025】
第1供給ライン止め弁84と第2供給ライン止め弁87の開閉の切換えにより、復水ライン43aを流れる復水の一部又は復水ライン43aを流れる復水とは異なる供給源からの水のいずれか一方が復水用熱交換器81へ供給される。
【0026】
また、復水給水系統4は、高圧ヒータ53と並列に接続された給水用熱交換器89を更に備えている。給水用熱交換器89は、給水ポンプ52から圧送されて高圧ヒータ53に向かう給水の一部をボイラ1からの排ガスで加熱するものである。給水用熱交換器89は、排ガス系統15上において復水用熱交換器81よりも上流側に設置されている。
【0027】
復水給水系統4の脱気器水位制御弁46、第1供給ライン止め弁84、第2供給ライン止め弁87はそれぞれ、制御装置100に電気的に接続されている。第1供給ライン止め弁84は、制御装置100の制御により開状態から閉止状態への移行を完了すると、閉止状態を検知して閉止検知信号を制御装置100へ出力する。復水給水系統4の脱気器循環ポンプ72及び送出ポンプ85はそれぞれ、制御装置100に電気的に接続されている。
【0028】
制御装置100は、少なくとも、脱気器水位制御弁46、第1供給ライン止め弁84、第2供給ライン止め弁87の開閉を制御すると共に、脱気器循環ポンプ72及び送出ポンプ85の駆動及び停止を制御するものである。なお、制御装置100は、復水ポンプ45及び給水ポンプ52の駆動及び停止を制御するように構成することも可能であるが、本実施の形態では制御装置100による復水ポンプ45及び給水ポンプ52の制御に関する説明を省略する。制御装置100は、例えば
図2に示すように、入出力インターフェース101と、中央処理装置(CPU)102と、リードオンリーメモリ(ROM)やランダムアクセスメモリ(RAM)等の記憶装置103とを備えている。
【0029】
入出力インターフェース101には、汽力プラントの起動運転、通常運転((定格負荷運転)、復水絞り運転等の運転モードの指令が入力される。また、入出力インターフェース101には、第1供給ライン止め弁84からの閉止検知信号が入力される。記憶装置103には、後述のフローチャートに係る処理を含む制御プログラム及びその制御プログラムの実行に必要な各種情報が記憶されている。中央処理装置102は、入出力インターフェース101及び記憶装置103から取り込んだ情報に対して記憶装置103に格納された制御プログラム従って所定の演算処理を行うものである。入出力インターフェース101は、中央処理装置102の演算結果に応じた指令信号を作成して各種機器へ出力する。例えば、脱気器水位制御弁46、第1供給ライン止め弁84、第2供給ライン止め弁87に対して、弁の開放を指令する開指令信号及び弁の閉止を指令する閉止指令信号をそれぞれ出力することが可能である。また、脱気器循環ポンプ72及び送出ポンプ85に対して、ポンプの駆動を指令する駆動指令信号及びポンプの停止を指令する停止指令信号をそれぞれ出力することが可能である。
【0030】
次に、本発明の汽力プラントの復水給水系統の運転方法の一実施の形態を説明する。まず、復水給水系統における汽力プラントの起動時の運転方法を
図1及び
図3を用いて説明する。
図3は本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態におけるプラント起動時の運転方法を示す説明図である。
【0031】
プラント起動時には、先ず、
図1に示すボイラ1への給水の水質(水中の溶存酸素量)を基準値以下に低下させる工程が必要である。そこで、復水を脱気器42に循環させて迅速な脱気を行うことで、プラント起動時間の短縮を図っている。
【0032】
具体的には、
図3に示す制御装置100は、脱気器水位制御弁46に対して開指令信号を出力する一方、第1供給ライン止め弁84及び第2供給ライン止め弁87に対して閉止指令信号を出力する。脱気器水位制御弁46は制御装置100の開指令信号により開状態となり、復水ライン43は連通状態となる。一方、第1供給ライン止め弁84及び第2供給ライン止め弁87は制御装置100の閉止指令信号により閉止状態となり、第1供給ライン82及び第2供給ライン86は遮断された状態となる。
【0033】
また、制御装置100は、脱気器循環ポンプ72に対して駆動指令信号を出力する一方、送出ポンプ85に対して停止指令信号を出力する。脱気器循環ポンプ72は制御装置100の駆動指令信号により駆動状態となり、送出ポンプ85は制御装置100の停止指令信号により停止状態である。なお、復水ポンプ45及び給水ポンプ52は駆動状態である。
【0034】
これにより、復水給水系統4では、復水器41(
図1を参照)内の復水が復水ポンプ45により復水ライン43上を流れ低圧ヒータ47を経てから脱気器42へ流入する。脱気器42に流入した復水は、蒸気タービン2やボイラ1とは別の蒸気発生源からの補助蒸気により脱気された後に脱気器42から流出する。脱気器42から流出した復水は、その一部が脱気器循環ポンプ72の駆動により脱気器循環ライン71を介して復水ライン43aを流れる復水と共に再び脱気器42に流入する。残りの復水は、給水ポンプ52により高圧ヒータ53を経てから図示しないラインを介して復水器41に戻る。なお、第1供給ライン82及び第2供給ライン86が遮断されているので、復水用熱交換器81に対して水が供給されることはない。
【0035】
このように、プラントの起動時の復水(給水)の清浄工程では、脱気器循環ポンプ72の駆動によって脱気器循環ライン71を介して復水が脱気器42を循環する。このため、脱気器42を循環する復水の流量が増加するので、復水の脱気時間を短縮することができ、プラントの起動時間が短縮される。
【0036】
次に、汽力プラントの通常運転(定格負荷運転)時の運転方法及び復水給水系統における通常運転時の運転方法を
図1及び
図4を用いて説明する。
図4は本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態におけるプラントの通常運転(定格負荷運転)時の運転方法を示す説明図である。
【0037】
図1に示すボイラ1の蒸気発生器12により高温高圧の蒸気を発生させる。ボイラ1で発生した蒸気は、主蒸気管25を介して高圧タービン21に供給されて高圧タービン21を回転駆動する。高圧タービン21から排出された低温の蒸気は、低温再熱蒸気管26を介して再びボイラ1に導入されて再熱器13で再熱される。再熱器13で再熱された蒸気は、高温再熱蒸気管27を介して中圧タービン22に供給されて中圧タービン22を回転駆動する。中圧タービン22から排出された蒸気は、連絡蒸気管28を介して低圧タービン23に供給されて低圧タービン23を回転駆動した後、復水器41へ導入される。高圧タービン21、中圧タービン22、及び低圧タービン23(蒸気タービン2)が回転駆動されることで、蒸気タービン2に連結された発電機3が発電する。発電機3の負荷に応じて、ボイラ1での蒸気発生量が調整される。
【0038】
復水給水系統4では、低圧タービン23からの蒸気が復水器41で凝縮されて復水になる。復水器41内の復水は、復水ポンプ45によって、第1低圧ヒータ47a、第2低圧ヒータ47b、第3低圧ヒータ47c、第4低圧ヒータ47dへ順に送出される。第1~第4低圧ヒータ47a、47b、47c、47dでは、低圧タービン23から第1~第4抽気管61、62、63、64を介して供給される抽気蒸気によって復水が加熱される。低圧ヒータ47で加熱された復水は、脱気器42に導入されて中圧タービン22から脱気用抽気管60を介して供給される抽気蒸気によって加熱及び脱気される。脱気された復水は、脱気器42内に一時的に貯留される。脱気器42内に貯留されている復水の水位は、脱気器水位制御弁46の開度を調整することで、所定のレベルとなるように制御される。
【0039】
脱気器42内に貯留された復水は、給水ポンプ52によって昇圧されて第1高圧ヒータ53a、第2高圧ヒータ53b、第3高圧ヒータ53cへ順に送出される。第1高圧ヒータ53aでは、中圧タービン22から第5抽気管65を介して供給される抽気蒸気によって復水(給水)が加熱される。第2及び第3高圧ヒータ53b、53cではそれぞれ、高圧タービン21から第6及び第7抽気管66、67を介して供給される抽気蒸気によって復水(給水)が加熱される。高圧ヒータ53で加熱された給水は、ボイラ1に供給されて再び蒸気となる。汽力プラントは、このような一連の循環サイクルで通常運転が行われる。
【0040】
このプラントの通常運転において、
図4に示す制御装置100は、第1供給ライン止め弁84に対して開指令信号を出力する一方、第2供給ライン止め弁87に対して閉止指令信号を出力する。第1供給ライン止め弁84は制御装置100の開指令信号により開状態であり、第1供給ライン82は連通状態である。一方、第2供給ライン止め弁87は制御装置100の閉止指令信号により閉止状態であり、第2供給ライン86は遮断された状態である。
【0041】
また、制御装置100は、送出ポンプ85に対して駆動指令信号を出力する一方、脱気器循環ポンプ72に対して停止指令信号を出力する。送出ポンプ85は制御装置100の駆動指令信号により駆動状態であり、脱気器循環ポンプ72は制御装置100の停止指令信号により停止状態である。
【0042】
これにより、復水給水系統4では、低圧ヒータ47から脱気器42へ向かって復水ライン43上を流れる復水の一部が送出ポンプ85によって第1供給ライン82に分流して第1供給ライン止め弁84を介して復水用熱交換器81に供給される。復水用熱交換器81では、ボイラ1から排ガス系統15(
図1参照)を介して供給される排ガスによって復水が加熱される。これにより、ボイラ1の排ガスの熱エネルギが復水に回収されるので、プラント全体の熱効率が向上する。復水用熱交換器81で加熱された復水は、出口ライン83を介して脱気器42へ導入され、復水ライン43を流れて脱気器42に導入された復水と合流する。なお、第2供給ライン86が遮断されているので、第2供給ライン86を介した復水用熱交換器81への水の供給はない。
【0043】
次に、復水給水系統における汽力プラントの復水絞り運転への切換えから通常運転の復帰までの一連の運転方法の一例について
図1及び
図4~
図6を用いて説明する。
図5は本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態におけるプラントの復水絞り運転時の運転方法を示す説明図である。
図6は本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態の一部を構成する制御装置の復水絞り運転への切換えから通常運転の復帰までの制御手順の一例を示すフローチャート図である。
【0044】
図1に示す汽力プラントでは、通常運転の他に、発電機3の負荷の急速な増大に対応するための復水絞り運転と称する運転方法がある。発電機3の負荷の急速な増加に対して、ボイラ1での蒸気発生量をそれに追従して増大させることできないことがある。そこで、復水絞り運転は、低圧ヒータ47及び脱気器42へ供給する復水の流量を急減させることで、低圧ヒータ47及び脱気器42での加熱に用いられる蒸気タービン2の抽気蒸気を低減し、その分、蒸気タービン2の出力を増大させるものである。
【0045】
汽力プラントの通常運転から復水絞り運転へ運転モードの切換えが行われると、制御装置100に対して復水絞り運転の運転モードが入力される。これにより、制御装置100は、復水給水系統4の各種機器に対してそれぞれ復水絞り運転に応じた制御を開始する。
【0046】
具体的には、
図5に示す制御装置100は、脱気器水位制御弁46へ閉止指令信号を出力する(
図6のステップS10)。また、制御装置100は、第1供給ライン止め弁84へ閉止指令信号を出力すると共に(
図6のステップS20)、第2供給ライン止め弁87へ開指令信号を出力する(
図6のステップS30)。加えて、制御装置100は、送出ポンプ85へ停止指令信号を出力する(
図6のステップS40)。これら4つのステップS10~S40は同時期に実行すればよく、ステップS10~S40の順序は任意に入れ替えが可能である。
【0047】
通常運転時に開状態(
図4を参照)の脱気器水位制御弁46及び第1供給ライン止め弁84は、制御装置100からの閉止指令信号の入力により閉動作を開始する。一方、通常運転時に閉止状態(
図4を参照)の第2供給ライン止め弁87は、制御装置100からの開指令信号の入力により開動作を開始する。また、送出ポンプ85は、制御装置100からの停止指令信号の入力により、ポンプ出力を徐々に低下させた後に停止する。
【0048】
脱気器水位制御弁46の急閉より復水ライン43が遮断されることで、
図1に示す第1~第4低圧ヒータ47a、47b、47c、47dを含む復水ライン43を流れる復水の流量が急減する。この復水の流量の急減に応じて、低圧タービン23から第1~第4抽気管61、62、63、64を介して第1~第4低圧ヒータ47a、47b、47c、47dへ供給される抽気蒸気が絞られる。低圧タービン23の抽気蒸気が減少する分、低圧タービン23を駆動する蒸気流量が増加するので、蒸気タービン2の出力が上昇して発電機3の負荷の一時的な急速増加に対応することができる。
【0049】
また、
図5に示す第1供給ライン止め弁84の閉止により第1供給ライン82が遮断されると共に、送出ポンプ85が停止することで、第1供給ライン82を介した復水用熱交換器81への復水の供給が遮断される。一方、第2供給ライン止め弁87の開放により第2供給ライン86が連通することで、第2供給ライン86を介した復水用熱交換器81への水の供給が行われる。第2供給ライン86を介して復水用熱交換器81へ供給された水は、出口ライン83を介して脱気器42に導入される。
【0050】
このように、復水絞り運転への切換えによる復水の流量減少に応じて第1供給ライン82を介した復水用熱交換器81への復水の供給を遮断しても、第2供給ライン86を介して別の供給源からの水を復水用熱交換器81に供給する。したがって、復水用熱交換器81がボイラ1(
図1を参照)の排ガスの熱により損傷することを防止することができる。
【0051】
ところで、脱気器水位制御弁46は空気作動弁で構成されている一方、第1供給ライン止め弁84及び第2供給ライン止め弁87は電動弁で構成されている。空気作動弁の脱気器水位制御弁46は開状態から閉止状態への移行を短時間で完了する(急閉する)一方、電動弁の第1供給ライン止め弁84は脱気器水位制御弁46と比べて閉止状態への移行完了までに時間が掛かる。したがって、通常運転から復水絞り運転への切換えの際に、脱気器水位制御弁46の閉止状態への移行が完了して復水ライン43が遮断された後も、第1供給ライン止め弁84の閉止状態への移行が完了するのまでの間、例えば数分間、第1供給ライン82は一時的に連通している。
【0052】
それ故、通常運転から復水絞り運転への切換え時における従来の運転方法には次のような問題点がある。第1供給ライン止め弁VS1が閉動作の開始から閉動作の完了(開状態から閉止状態になる)までの間、
図11に示すように、脱気器水位制御弁VDよりも下流側の復水ラインCL上の復水が送出ポンプPSによって第1供給ラインSL1を介して復水用熱交換器Hへ供給される。このため、脱気器水位制御弁VDよりも下流側の復水ラインCLの一部分(
図11に示す二点鎖線の部分)が満水の状態でなくなり空洞が生じることが懸念される。このような状態で復水絞り運転から通常運転へ復帰すると、脱気器水位制御弁VDの開動作により、脱気器水位制御弁VDよりも下流側の復水ラインCLの空洞部分に復水が急速に流れ込む。これにより、配管に衝撃が生じて激しく振動するウォータハンマと称する現象が発生することが懸念される。
【0053】
そこで、本実施の形態においては、従来技術において復水絞り運転中に駆動しない脱気器循環ポンプ72を駆動させることで、通常運転から復水絞り運転への切換え時に生じる復水ライン43の空洞部分(満水でない状態)を解消する。
【0054】
具体的には、
図5に示す制御装置100は、ステップS10~S40の後、脱気器循環ポンプ72の始動時期を判定する。本実施の形態では、第1供給ライン止め弁84が閉止状態となり第1供給ライン82が遮断された後に、脱気器循環ポンプ72を始動させる。制御装置100は、例えば、第1供給ライン止め弁84からの閉止検知信号の入力の有無を判定する(ステップS50)。第1供給ライン止め弁84は、制御装置100の閉止指令信号(ステップS20)に従って閉止状態に到達すると、スイッチ等により閉止状態を検知して閉止検知信号を制御装置100へ出力する。
【0055】
ステップS50において、第1供給ライン止め弁84からの閉止検知信号の入力が無い(NO)と判定した場合、制御装置100は、再びステップS50に戻り、第1供給ライン止め弁84からの閉止検知信号の入力の有無を判定する。第1供給ライン止め弁84からの閉止検知信号の入力が有り(YES)と判定するまで、この工程(ステップS50)を繰り返す。ステップS50においてYESと判定した場合、制御装置100は、ステップS60に進み、脱気器循環ポンプ72へ駆動指令信号を出力する。
【0056】
脱気器循環ポンプ72は、制御装置100の駆動指令信号により駆動する。この脱気器循環ポンプ72の駆動によって、脱気器42から高圧ヒータ53(
図1参照)へ送出される復水の一部が脱気器循環ライン71を介して低圧ヒータ47と脱気器42との間の復水ライン43a上に流入する。当該復水ライン43a上に流入した復水は、第1供給ライン止め弁84の閉止により第1供給ライン82が遮断されているので、脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43に生じている空洞部分に流入して満水状態となる。復水ライン43が満水状態になると、脱気器循環ポンプ72によって脱気器循環ライン71を介して脱気器42の上流側の復水ライン43aに流入した復水は再び脱気器42に導入されて循環する。なお、本実施の形態においては、復水絞り運転が終了するまでの間、脱気器循環ポンプ72の駆動を継続させる。
【0057】
その後、復水絞り運転から通常運転へ復帰する切換えが行われると、制御装置100に対して通常運転の運転モードが入力される。これにより、制御装置100は、復水給水系統4の各種機器に対してそれぞれ通常運転に応じた制御を実行する。
【0058】
具体的には、
図4に示す制御装置100は、脱気器水位制御弁46へ開指令信号を出力する(
図6のステップS110)。また、制御装置100は、第1供給ライン止め弁84へ開指令信号を出力すると共に(
図6のステップS120)、第2供給ライン止め弁87へ閉止指令信号を出力する(
図6のステップS130)。加えて、制御装置100は、送出ポンプ85へ駆動指令信号を出力すると共に(
図6のステップS140)、脱気器循環ポンプ72へ停止指令信号を出力する(
図6のステップS150)。なお、これら5つのステップS110~S150は同時期に実行すればよく、ステップS110~S150の順序は任意に入れ替えが可能である。
【0059】
復水絞り運転時に閉止状態(
図5を参照)の脱気器水位制御弁46は、制御装置100の開指令信号により開放される。これにより、脱気器水位制御弁46よりも上流側の復水が下流側の復水ライン43内に流入する。本実施の形態においては、復水絞り運転時の脱気器循環ポンプ72の駆動によって脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43内は満水状態なので、脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43内に復水が流入してもウォータハンマ現象が発生することはない。
【0060】
また、脱気器循環ポンプ72は、制御装置100の停止指令信号により駆動を停止する。これにより、脱気器42から流出する復水は、脱気器循環ライン71を介して脱気器42に循環することなく、給水ポンプ52により高圧ヒータ53を介してボイラ1へ供給される。
【0061】
また、復水絞り運転時に閉止状態(
図5参照)の第1供給ライン止め弁84は制御装置100の開指令信号により開放される一方、復水絞り運転時に開状態(
図5参照)の第2供給ライン止め弁87は制御装置100の閉止指令信号により閉止する。また、送出ポンプ85は、制御装置100の駆動指令信号により駆動する。これにより、低圧ヒータ47から脱気器42へ向かって復水ライン43a上を流れる復水の一部が送出ポンプ85によって第1供給ライン82介して復水用熱交換器81に供給される。一方、第2供給ライン止め弁87の閉止により、第2供給ライン86を介した復水用熱交換器81への水の供給が遮断される。
【0062】
このように、本運転方法においては、通常運転から復水絞り運転への切換えにより脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43が満水状態でなくなってしまった場合でも、復水絞り運転中に脱気器循環ポンプ72を継続して駆動させて脱気器42から流出する復水を脱気器42の上流側の復水ライン43aに戻すことで、復水絞り運転中に復水ライン43を満水状態に戻すことができる。
【0063】
また、本運転方法においては、第1供給ライン止め弁84からの閉止検知信号が入力された後、すなわち、第1供給ライン止め弁84の開状態から閉止状態への移行の完了後に、脱気器循環ポンプ72を始動させている。このため、脱気器循環ポンプ72によって脱気器循環ライン71を介して復水ライン43a上に流入した復水は、第1供給ライン止め弁84を介して第1供給ライン82側へ分流することなく、復水ライン43の空洞部分に流入させることができる。
【0064】
次に、復水給水系統における汽力プラントの復水絞り運転への切換えから通常運転の復帰までの一連の運転方法の別の一例を
図5及び
図7を用いて説明する。
図7は本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態の一部を構成する制御装置の復水絞り運転への切換えから通常運転の復帰までの制御手順の別の一例を示すフローチャート図である。
【0065】
図7に示す運転方法の別の一例が前述した
図6に示す運転方法の一例と異なる主な点は、通常運転から復水絞り運転への切換えの際の脱気器循環ポンプ72の始動時期が異なることである。前述の
図6に示す運転方法の一例は、第1供給ライン止め弁84の閉止状態への移行完了後に脱気器循環ポンプ72を始動させるものである。それに対して、本運転方法は、第1供給ライン止め弁84の閉止動作の開始と同時期に脱気器循環ポンプ72を始動させるものである。本運転方法のそれ以外の手順(ステップ)は、前述の
図6の運転方法の手順と同様である。
【0066】
具体的には、制御装置100は、第1供給ライン止め弁84からの閉止検知信号の入力の有無を判定する
図6のステップS50を省略し、
図7のステップS10~S40(
図6のステップS10~S40と共通のステップ)の実行後に、脱気器循環ポンプ72への駆動指令信号の出力を開始する(
図7のステップS60A)。このステップS60Aは、4つのステップS10~S40と同時期に実行するものである。すなわち、ステップS10~S40及びステップS60Aの順序は任意に入れ替えが可能である。
【0067】
本運転方法においては、脱気器循環ポンプ72の駆動によって、脱気器42から高圧ヒータ53へ送出される復水の一部が脱気器循環ライン71を介して低圧ヒータ47と脱気器42との間の復水ライン43a上に流入する。この復水の一部は、第1供給ライン止め弁84が閉止動作の途中で第1供給ライン82が連通している状況において、脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43上の復水と共に、第1供給ライン82を介して復水用熱交換器81側に流れ込む。このため、脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43から第1供給ライン82へ流れ込む復水の流量が低減し、脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43上の満水でない部分が前述の
図6に示す運転方法よりも縮小する。また、本運転方法においては、脱気器循環ポンプ72の始動時期が前述の
図6に示す運転方法よりも早いので、前述の
図6に示す運転方法よりも復水ライン43を早く満水状態にすることができる。
【0068】
上述したように、本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態及びその運転方法の一実施の形態によれば、従来構成の脱気器循環ポンプ72を復水絞り運転時に駆動させるので、通常運転から復水絞り運転への切換えにより脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43が満水状態でなくなってしまった場合でも、脱気器42から流出する復水を脱気器42の上流側の復水ライン43aに戻すことで復水ライン43を復水絞り運転中に満水状態に戻すことができる。したがって、プラント構成を変えることなく、復水絞り運転から通常運転への復帰時のウォータハンマの発生を防止することができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、復水絞り運転中、脱気器循環ポンプ72を継続して駆動させるので、脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43に生じる空洞部分を確実に満水状態にすることができる。
【0070】
[一実施の形態の変形例]
次に、本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態の変形例の構成について
図8を用いて説明する。
図8は本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態の変形例の一部を構成する制御装置のハードウェアを示す構成図である。
【0071】
図8に示す本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態の変形例が本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態と相違する点は、制御装置100Aが、ハードウェアの構成として、入出力インターフェース101、CPU102、記憶装置103に加えて、タイマ105を更に備えていることである。タイマ105は、第1供給ライン止め弁84への閉止指令信号の出力開始からの経過時間T1を計測すると共に、脱気器循環ポンプ72への駆動指令信号の出力開始からの経過時間T2を計測するものである。また、記憶装置103には、経過時間T1、T2との比較対象として、予め設定された設定時間t1、t2が予め記憶されている。設定時間t1は、脱気器循環ポンプ72の始動時期を判定するためのものである。設定時間t1は、例えば、第1供給ライン止め弁84が全開状態から閉止状態への移行時間を予め計測した実測値であり、制御装置100Aの開閉制御により第1供給ライン止め弁84の閉止状態への移行が完了したと見なすことができる時間である。設定時間t2は、脱気器循環ポンプ72の駆動の停止時期を判定するためのものである。設定時間t2は、例えば、脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43に生じる空洞部分を脱気器循環ポンプ72により満水状態にすることが可能な所要時間を規定するものである。脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43の容積及び脱気器循環ポンプ72の吐出流量を考慮することで、設定時間t2を設定することが可能である。
【0072】
次に、本発明の汽力プラントの復水給水系統の制御システムの一実施の形態の変形例における汽力プラントの復水絞り運転への切換えから通常運転の復帰までの一連の運転方法の一例を
図5及び
図9を用いて説明する。
図9は本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態の変形例の一部を構成する制御装置の復水絞り運転への切換えから通常運転の復帰までの制御手順の一例を示すフローチャート図である。
【0073】
本発明の一実施の形態の変形例における
図9に示す運転方法が本発明の一実施の形態における
図6に示す運転方法と相違する主な点は、復水絞り運転時における脱気器循環ポンプ72の駆動開始時期の判定方法が異なること及び復水絞り運転時における脱気器循環ポンプ72の駆動継続時間が異なることである。前述の
図6に示す運転方法は、第1供給ライン止め弁84からの閉止検知信号の入力の有無により、脱気器循環ポンプ72の始動時期を判定するものである(
図6のステップS50)。それに対して、本運転方法は、第1供給ライン止め弁84への閉止指令信号の出力開始からの経過時間T1に基づき、脱気器循環ポンプ72の始動時期を判定するものである(
図9のステップS50A)。また、前述の
図6に示す運転方法は、復水絞り運転中、脱気器循環ポンプ72を継続して駆動させるものである。それに対して、本運転方法は、復水絞り運転時において、脱気器循環ポンプ72を所定期間のみ駆動させるものである。これに伴い、本運転方法では、復水絞り運転から通常運転への復帰時における脱気器循環ポンプ72の駆動停止の手順(
図6のステップS150)を省略する。本運転方法のそれ以外の手順(ステップ)は、前述の
図6の運転方法の手順と同様である。
【0074】
具体的には、制御装置100Aは、第1供給ライン止め弁84への閉止指令信号の出力(
図6と
図9の共通のステップS20)の後に、第1供給ライン止め弁84への閉止指令信号の出力開始からの経過時間T1の計測を開始する(
図9のステップS21)。その後、
図6と
図9の共通のステップS30~S40を経た後、制御装置100Aは、計測中の経過時間T1が記憶装置103に予め記憶された設定時間t1よりも経過したか否かを判定する(
図9のステップS50A)。この工程(ステップS50A)は、第1供給ライン止め弁84の閉動作の開始からの経過時間T1に基づき第1供給ライン止め弁84が開状態から閉止状態への移行が完了したと見なすことで、脱気器循環ポンプ72の始動時期を判定するものである。
【0075】
ステップS50Aにおいて、経過時間T1が設定時間t1よりも小さい場合(NOの場合)には、制御装置100Aは、再びステップS50Aに戻り、経過時間T1が設定時間t1よりも経過したか否かを判定する。経過時間T1が設定時間t1よりも大きい(YES)と判定するまで、この工程(ステップS50A)を繰り返す。ステップS50AにおいてYESと判定した場合、すなわち、第1供給ライン止め弁84が開状態から閉止状態への移行を完了したと見なした場合、制御装置100Aは、
図6と共通のステップS60に進み、脱気器循環ポンプ72へ駆動指令信号の出力を開始する。
【0076】
次に、制御装置100Aは、脱気器循環ポンプ72への駆動指令信号の出力開始からの経過時間T2の計測を開始する(
図9のステップS70)。次いで、計測中の経過時間T2が記憶装置103に予め記憶された設定時間t2よりも経過したか否かを判定する(
図9のステップS80)。この工程(ステップS80)は、脱気器循環ポンプ72の始動からの経過時間T2に基づき脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43の空洞部分が満水状態に変化したと見なすことで、脱気器循環ポンプ72の駆動の停止時期を判定するものである。
【0077】
ステップS80において、経過時間T2が設定時間t2よりも小さい場合(NOの場合)には、制御装置100Aは、再びステップS80に戻り、経過時間T2が設定時間t2よりも経過したか否かを判定する。経過時間T2が設定時間t2よりも大きい(YES)と判定するまで、この工程(ステップS80)を繰り返す。ステップS80においてYESと判定した場合、すなわち、脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43の空洞部分が満水状態に変化したと見なした場合、制御装置100Aは、ステップS90に進み、脱気器循環ポンプ72へ停止指令信号を出力する。これにより、脱気器循環ポンプ72は復水絞り運転中に停止状態になる。
【0078】
本運転方法においては、第1供給ライン止め弁84への閉止指令信号の出力開始からの経過時間T1に基づき、脱気器循環ポンプ72の始動時期を判定している。したがって、制御装置100Aは、前述の
図6の運転方法のような第1供給ライン止め弁84からの閉止検知信号の入力が不要なので、第1供給ライン止め弁84からの入力信号ラインが不要となる。
【0079】
また、本運転方法においては、復水絞り運転時において脱気器循環ポンプ72を所定期間のみ駆動させるので、復水絞り運転中に脱気器循環ポンプ72を継続駆動させる前述の
図6の運転方法と比べて、補機の消費電量を低減することができる。特に、復水絞り運転は、発電機負荷の増大に対応させて蒸気タービン2(
図1参照)の出力を増加させるものであり、補機による蒸気タービン2の出力の消費を可能な限り低減したいという要求がある。
【0080】
上述したように、本発明の汽力プラントの復水給水系統の一実施の形態の変形例及びその運転方法よれば、従来構成の脱気器循環ポンプ72を復水絞り運転時に一時的に駆動させるので、通常運転から復水絞り運転への切換えにより脱気器水位制御弁46よりも下流側の復水ライン43が満水状態でなくなってしまった場合でも、脱気器42から流出する復水を脱気器42の上流側の復水ライン43aに戻すことで復水ライン43を復水絞り運転中に満水状態に戻すことができる。したがって、プラント構成を変えることなく、復水絞り運転から通常運転への復帰時のウォータハンマの発生を防止することができる。
【0081】
[その他の実施形態]
なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上述した実施の形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。なお、制御線等は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0082】
また、上述した一実施の形態及びその変形例においては、低圧ヒータ47から脱気器42へ向かう復水の一部が第1供給ライン82を介して供給される機器として復水用熱交換器81を用いた構成の例を示した。しかし、当該機器は、低圧ヒータ47から脱気器42へ向かう復水の一部が復水ライン43aから分岐した第1供給ライン82を介して供給されるものであれば、復水用熱交換器81以外の任意の機器を用いることが可能である。
【0083】
また、上述した一実施の形態及びその変形例においては、脱気器循環ポンプ72及び送出ポンプ85に対して駆動の停止を指令するために、停止指令信号を出力する制御装置100、100Aの構成の例を示した。しかし、駆動指令信号の出力を停止することで脱気器循環ポンプ72及び送出ポンプ85の駆動を停止させるように制御装置を構成することも可能である。
【0084】
また、上述した一実施の形態の変形例においては、第1供給ライン止め弁84への閉止指令信号の出力開始からの経過時間T1に基づき脱気器循環ポンプ72の始動時期を判定する制御装置100Aの構成の例を示した。しかし、第1供給ライン止め弁84の閉止動作の開始と同時に脱気器循環ポンプ72を始動させるように制御装置100Aを構成することも可能である。すなわち、
図9に示す運転方法において、ステップS21の経過時間T1の計測及びステップS50Aの経過時間T1の判定を省略することが可能である。
【0085】
また、上述した一実施の形態の変形例においては、脱気器循環ポンプ72への駆動指令信号の出力開始からの経過時間T2に基づき脱気器循環ポンプ72の駆動の停止時期を判定する制御装置100Aの構成の例を示した。しかし、復水絞り運転中、脱気器循環ポンプ72を継続して駆動させるように制御装置100Aを構成することも可能である。すなわち、
図9に示す運転方法において、ステップS70の経過時間T2の計測、ステップS80の経過時間T2の判定、及び、ステップS90の脱気器循環ポンプ72への停止指令信号の出力を省略することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
2…蒸気タービン、 4…復水給水系統、 41…復水器、 42…脱気器、 46…脱気器水位制御弁、 47…低圧ヒータ(加熱器)、 72…脱気器循環ポンプ、 81…復水用熱交換器(機器)、 82…第1供給ライン(供給ライン)、 84…第1供給ライン止め弁(供給ライン止め弁)、 85…送出ポンプ、 100、100A…制御装置