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特許7093320電子体温計用収納ケース及び電子体温計セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】電子体温計用収納ケース及び電子体温計セット
(51)【国際特許分類】
   G01K 13/20 20210101AFI20220622BHJP
   G01K 1/08 20210101ALI20220622BHJP
【FI】
G01K13/20 341Z
G01K1/08 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019044964
(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公開番号】P2020148546
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】栗尾 勝
(72)【発明者】
【氏名】大橋 広孝
(72)【発明者】
【氏名】築田 克美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恵幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 保弘
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特許第6013591(JP,B2)
【文献】実開昭64-15128(JP,U)
【文献】実開昭63-20034(JP,U)
【文献】国際公開第2014/162329(WO,A1)
【文献】実開昭61-104341(JP,U)
【文献】実開昭61-152938(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 13/20
G01K 1/08
A61B 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子体温計を収納可能な内部空間を形成するように長手方向、幅方向及び厚み方向に延在する電子体温計用収納ケースであって、
前記内部空間に収納された収納状態の前記電子体温計の少なくとも先端を露出させるように、前記内部空間に対して前記厚み方向の第一端側に配置された天壁と、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも前記先端を露出させるように、前記内部空間に対して前記厚み方向の第二端側に配置された底壁と、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも前記先端を覆うように、前記内部空間に対して前記幅方向の第一端側に配置され、前記天壁と前記底壁とを連ねる右側壁と、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも前記先端を覆うように、前記内部空間に対して前記幅方向の第二端側に配置され、前記天壁と前記底壁とを連ねる左側壁と、を有する、電子体温計用収納ケース。
【請求項2】
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも先端を覆うように、前記内部空間に対して前記長手方向の第一端側に配置され、前記右側壁と前記左側壁とを連ねる先端壁を有する、請求項1に記載の電子体温計用収納ケース。
【請求項3】
前記天壁の前記長手方向の第二端と、前記底壁と、前記右側壁及び前記左側壁とが、前記電子体温計の前記先端を前記長手方向の前記第一端側に向かって挿入可能な挿入部を形成している、請求項2に記載の電子体温計用収納ケース。
【請求項4】
前記右側壁及び前記底壁から前記内部空間に向けて膨出する右側膨出部と、
前記左側壁及び前記底壁から前記内部空間に向けて膨出する左側膨出部と、を有し、
前記右側膨出部及び前記左側膨出部が、前記収納状態の前記電子体温計を前記幅方向の両側から挟持する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子体温計用収納ケース。
【請求項5】
前記天壁が、前記右側膨出部及び前記左側膨出部を露出させるように配置されている、請求項4に記載の電子体温計用収納ケース。
【請求項6】
前記天壁及び前記底壁が、前記収納状態の前記電子体温計を前記厚み方向の両側から挟持する、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子体温計用収納ケース。
【請求項7】
前記底壁の上面に位置するとともに、前記電子体温計が前記長手方向の第二端側に移動することを規制するように前記収納状態の前記電子体温計を係止する係止構造を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の電子体温計用収納ケース。
【請求項8】
前記内部空間に対して前記厚み方向の第一端側に配置された上側開口と、
前記内部空間に対して前記厚み方向の第二端側に配置された下側開口と、を有し、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも先端が、前記上側開口と前記下側開口との間に位置する、請求項1~7のいずれか一項に記載の電子体温計用収納ケース。
【請求項9】
電子体温計と、前記電子体温計を収納可能な内部空間を形成するように長手方向、幅方向及び厚み方向に延在する電子体温計用収納ケースと、を有する電子体温計セットであって、
前記電子体温計用収納ケースが、
前記内部空間に収納された収納状態の前記電子体温計の少なくとも先端を露出させるように、前記内部空間に対して前記厚み方向の第一端側に配置された天壁と、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも前記先端を露出させるように、前記内部空間に対して前記厚み方向の第二端側に配置された底壁と、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも前記先端を覆うように、前記内部空間に対して前記幅方向の第一端側に配置され、前記天壁と前記底壁とを連ねる右側壁と、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも前記先端を覆うように、前記内部空間に対して前記幅方向の第二端側に配置され、前記天壁と前記底壁とを連ねる左側壁と、を有する、電子体温計セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子体温計用収納ケース及び電子体温計セットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子体温計を収納可能な電子体温計用収納ケース(以下、収納ケースともいう)が知られている(例えば、特許文献1参照)。電子体温計を収納ケースに収納することで、電子体温計の特に先端を外部から保護し、破損や故障の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6013591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような収納ケースは、衛生状態を確保するために、外部だけでなく内部も、清拭又は浸漬等による消毒又は洗浄等の清浄化作業が容易であることが要求される。
【0005】
本開示は、このような点に鑑み、清浄化作業が容易な電子体温計用収納ケース及び電子体温計セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様としての電子体温計用収納ケースは、
電子体温計を収納可能な内部空間を形成するように長手方向、幅方向及び厚み方向に延在する電子体温計用収納ケースであって、
前記内部空間に収納された収納状態の前記電子体温計の少なくとも先端を露出させるように、前記内部空間に対して前記厚み方向の第一端側に配置された天壁と、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも前記先端を露出させるように、前記内部空間に対して前記厚み方向の第二端側に配置された底壁と、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも前記先端を覆うように、前記内部空間に対して前記幅方向の第一端側に配置され、前記天壁と前記底壁とを連ねる右側壁と、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも前記先端を覆うように、前記内部空間に対して前記幅方向の第二端側に配置され、前記天壁と前記底壁とを連ねる左側壁と、を有する。
【0007】
本発明の1つの実施形態として、前記電子体温計用収納ケースは、前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも先端を覆うように、前記内部空間に対して前記長手方向の第一端側に配置され、前記右側壁と前記左側壁とを連ねる先端壁を有する。
【0008】
本発明の1つの実施形態として、前記電子体温計用収納ケースは、前記天壁の前記長手方向の第二端と、前記底壁と、前記右側壁及び前記左側壁とが、前記電子体温計の前記先端を前記長手方向の前記第一端側に向かって挿入可能な挿入部を形成している。
【0009】
本発明の1つの実施形態として、前記電子体温計用収納ケースは、
前記右側壁及び前記底壁から前記内部空間に向けて膨出する右側膨出部と、
前記左側壁及び前記底壁から前記内部空間に向けて膨出する左側膨出部と、を有し、
前記右側膨出部及び前記左側膨出部が、前記収納状態の前記電子体温計を前記幅方向の両側から挟持する。
【0010】
本発明の1つの実施形態として、前記電子体温計用収納ケースは、前記天壁が、前記右側膨出部及び前記左側膨出部を露出させるように配置されている。
【0011】
本発明の1つの実施形態として、前記電子体温計用収納ケースは、前記天壁及び前記底壁が、前記収納状態の前記電子体温計を前記厚み方向の両側から挟持する。
【0012】
本発明の1つの実施形態として、前記電子体温計用収納ケースは、前記底壁の上面に位置するとともに、前記電子体温計が前記長手方向の第二端側に移動することを規制するように、前記収納状態の前記電子体温計を係止する係止構造を有する。
【0013】
本発明の1つの実施形態として、前記電子体温計用収納ケースは、
前記内部空間に対して前記厚み方向の第一端側に配置された上側開口と、
前記内部空間に対して前記厚み方向の第二端側に配置された下側開口と、を有し、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも先端が、前記上側開口と前記下側開口との間に位置する。
【0014】
本発明の第2の態様としての電子体温計セットは、
電子体温計と、前記電子体温計を収納可能な内部空間を形成するように長手方向、幅方向及び厚み方向に延在する電子体温計用収納ケースと、を有する電子体温計セットであって、
前記電子体温計用収納ケースが、
前記内部空間に収納された収納状態の前記電子体温計の少なくとも先端を露出させるように、前記内部空間に対して前記厚み方向の第一端側に配置された天壁と、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも前記先端を露出させるように、前記内部空間に対して前記厚み方向の第二端側に配置された底壁と、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも前記先端を覆うように、前記内部空間に対して前記幅方向の第一端側に配置され、前記天壁と前記底壁とを連ねる右側壁と、
前記収納状態の前記電子体温計の少なくとも前記先端を覆うように、前記内部空間に対して前記幅方向の第二端側に配置され、前記天壁と前記底壁とを連ねる左側壁と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、清浄化作業が容易な電子体温計用収納ケース及び電子体温計セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る電子体温計セットを電子体温計の収納状態で示す上面図である。
図2図1に示す状態の電子体温計セットの右側面図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4図1に示す状態の電子体温計セットの底面図である。
図5図1に示す状態の電子体温計セットの背面図である。
図6図1に示す状態の電子体温計セットの斜視図である。
図7図1に示す電子体温計用収納ケースの上面図である。
図8図1に示す電子体温計用収納ケースの斜視図である。
図9図1に示す電子体温計用収納ケースの他の角度での斜視図である。
図10図1に示す電子体温計用収納ケースの背面図である。
図11図1に示す電子体温計用収納ケースの分解図である。
図12図1に示す電子体温計セットに適用可能な係止構造の第1形態を示す斜視図である。
図13図12に示す係止構造の他の角度での斜視図である。
図14図12に示す係止構造を図1のA-A断面図に準じて示す断面図である。
図15図1に示す電子体温計セットに適用可能な係止構造の第2形態を示す斜視図である。
図16図15に示す係止構造の他の角度での斜視図である。
図17図15に示す係止構造を図1のA-A断面図に準じて示す断面図である。
図18図1に示す電子体温計セットに適用可能な係止構造の第3形態を図1のA-A断面図に準じて示す断面図である。
図19図18に示す係止構造を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る電子体温計用収納ケース及び電子体温計セットについて、詳細に例示説明する。
【0018】
図1図6に示すように、本実施形態に係る電子体温計用収納ケース1(以下、収納ケース1ともいう)は、電子体温計2を収納可能に構成されている。収納ケース1と電子体温計2とで本実施形態に係る電子体温計セット3が構成されている。電子体温計セット3は、収納ケース1と電子体温計2とが一緒に流通等してもよいし、別々に流通等してもよい。
【0019】
収納ケース1は、電子体温計2を収納可能な内部空間Sを形成するように長手方向L、幅方向W及び厚み方向Tに延在する筐体(収納ケース本体1a及び蓋1d)を有する。収納ケース1は、内部空間Sに対して厚み方向Tの第一端側T1に配置された天壁4と、内部空間Sに対して厚み方向Tの第二端側T2に配置された底壁5と、内部空間Sに対して幅方向Wの第一端側W1に配置され、天壁4と底壁5とを連ねる右側壁6と、内部空間Sに対して幅方向Wの第二端側W2に配置され、天壁4と底壁5とを連ねる左側壁7と、内部空間Sに対して長手方向Lの第一端側L1に配置され、右側壁6と左側壁7とを連ねる先端壁8と、を有している。収納ケース1は、左右対称な形状となっている。収納ケース1は、全体的に、細かい凹凸部が少なく清拭又は浸漬等による消毒又は洗浄等の清浄化作業が容易な滑らかな表面形状を有している。しかし、必要に応じて必要な部分等に適切な形状、大きさ、パターン等の凹凸表面形状(しぼ等)を設けてもよい。
【0020】
本明細書において、前後方向とは長手方向Lを意味し、前側とは長手方向Lの第一端側L1を意味し、後側とは長手方向Lの第二端側L2を意味する。左右方向とは幅方向Wを意味し、右側とは幅方向Wの第一端側W1を意味し、左側とは幅方向Wの第二端側W2を意味する。上下方向とは厚み方向Tを意味し、上側とは厚み方向Tの第一端側T1を意味し、下側とは厚み方向Tの第二端側T2を意味する。
【0021】
電子体温計2は、電子体温計2が内部空間Sに収納された収納状態において、長手方向L、幅方向W及び厚み方向Tに延在している。電子体温計2は、収納状態において、電子体温計2の長手方向Lの第一端側L1に、先端部2bを有している。先端部2bは、センサを内蔵したキャップで構成されている。センサは、例えばサーミスタであってよい。キャップは、例えばステンレス鋼などの金属製であってよい。先端部2bの外面は、半球状の先端面と、先端面に連なる円筒状の周面と、からなっている。先端部2bの先端面の頂点が、電子体温計2の先端2aを構成している。先端部2bの外面の形状は適宜変更が可能である。
【0022】
電子体温計2は、先端部2bの後端に接続するとともに、電子体温計2の後端まで延在するハウジング2cを有している。ハウジング2cは、ディスプレイ2dが配置される開口を有している。電子体温計2の収納状態において、ディスプレイ2dは、ハウジング2cの上側に配置されている。しかし、電子体温計2の収納状態において、ディスプレイ2dが下側に配置されてもよい。ディスプレイ2dには、測定された体温や電池残量等が表示される。ハウジング2cは、ハウジング2cの先端から後方に向けて幅(幅方向Wの長さ)が徐々に拡大する拡大部2eと、拡大部2eの後端から後方に向けて幅が略一定の一定部2fと、一定部2fの後端からハウジング2cの後端まで幅が徐々に縮小する縮小部2gと、を有している。一定部2fは、ディスプレイ2dの後端より後方に配置されている。一定部2fは、ディスプレイ2dの後端より前方に配置してもよい。ハウジング2cは、左右対称な形状となっている。
【0023】
拡大部2eは、ハウジング2cの先端から後方に向けて厚み(厚み方向Tの長さ)が徐々に拡大している。一定部2fは、拡大部2eの後端から後方に向けて厚みが略一定となっている。縮小部2gは、一定部2fの後端からハウジング2cの後端まで厚みが徐々に縮小している。ハウジング2cの形状は、適宜変更が可能である。
【0024】
天壁4は、収納状態の電子体温計2の少なくとも先端2aを露出させるように配置されている。すなわち、収納ケース1の上面は、天壁4と、天壁4の前側に位置する上側開口12と、を有する。天壁4は、上側開口12に隣接している。したがって、収納状態の電子体温計2の先端2aは、上側開口12を通じて上側から視認可能である。より具体的には、天壁4は、収納状態の電子体温計2における先端2aからディスプレイ2dの後端部までに亘る部分を露出させるように配置されている。より好ましくは、収納状態の電子体温計2の先端2aに加えてディスプレイ2dの全体が上側から視認可能である。天壁4は、収納状態の電子体温計2におけるディスプレイ2dの後端部から一定部2fの後端までに亘る部分を覆うように配置されている。天壁4の上面は、平面状をなしている。天壁4の下面は、電子体温計2のハウジング2cを接触により保持する形状をなしている。天壁4は、例えば、収納状態の電子体温計2におけるディスプレイ2d及び縮小部2gの少なくとも一方を部分的又は全体的に覆うように配置されてもよい。
【0025】
底壁5は、収納状態の電子体温計2の少なくとも先端2aを露出させるように配置されている。すなわち、収納ケース1の下面は、底壁5と、底壁5の前側に位置する下側開口13と、を有する。底壁5は、下側開口13に隣接している。したがって、収納状態の電子体温計2の先端2aは、下側開口13を通じて下側から視認可能である。より具体的には、底壁5は、収納状態の電子体温計2における、先端2aから拡大部2eの前後方向中間部よりやや前側の部分までに亘る部分を露出させるように配置されている。底壁5は、収納状態の電子体温計2における、拡大部2eの前後方向中間部よりやや前側の部分から縮小部2gの後端付近までに亘る部分を覆うように配置されている。底壁5は、収納状態の電子体温計2における縮小部2gの後端付近に配置された開口5aを形成している。開口5aには、例えば、病院のベッドなどに取り付け可能なストラップなどを取り付け可能である。底壁5は、開口5aを形成していなくてもよい。底壁5の底面(下面)は、略平面状をなしている。底壁5の配置及び形状は、電子体温計2のハウジング2cの形状等に応じて適宜変更が可能である。
【0026】
右側壁6は、収納状態の電子体温計2において、少なくとも先端2aを一方向から覆うように配置されている。したがって、収納状態の電子体温計2の先端2aは、右側壁6によって右側から保護される。より具体的には、右側壁6は、収納状態の電子体温計2の先端2aから拡大部2eの後端までに亘る部分を覆うように配置されている。したがって、収納状態の電子体温計2における先端2aを含む当該部分が、右側壁6によって右側から保護される。右側壁6は、上側に向けて僅かに右側に傾く板状をなしている。右側壁6の右側面は、平面状をなしている。右側壁6の上面は、天壁4の上面と面一な平面状をなしている。右側壁6の下面は、底壁5の下面と面一な平面状をなしている。右側壁6の配置及び形状は、電子体温計2のハウジング2cの形状等に応じて適宜変更が可能である。右側壁6は、例えば、左右方向と垂直に延在していてもよい。また、右側壁6に開口を設けてもよい。この場合、右側壁6に設けた開口を通じて、電子体温計2の先端2aが視認可能となっていてもよい。
【0027】
左側壁7は、収納状態の電子体温計2において、少なくとも先端2aを一方向から覆うように配置されている。したがって、収納状態の電子体温計2の先端2aは、左側壁7によって左側から保護される。より具体的には、左側壁7は、収納状態の電子体温計2の先端2aから拡大部2eの後端までに亘る部分を覆うように配置されている。したがって、収納状態の電子体温計2における先端2aを含む当該部分が、左側壁7によって左側から保護される。先端2aは、右側壁6及び左側壁7によって、幅方向Wにおいて覆われている。左側壁7は、上側に向けて僅かに左側に傾く板状をなしている。左側壁7の左側面は、平面状をなしている。左側壁7の上面は、天壁4の上面と面一な平面状をなしている。左側壁7の下面は、底壁5の下面と面一な平面状をなしている。左側壁7の配置及び形状は、電子体温計2のハウジング2cの形状等に応じて適宜変更が可能である。左側壁7は、例えば、左右方向と垂直に延在していてもよい。また、左側壁7に開口を設けてもよい。この場合、左側壁7に設けた開口を通じて、電子体温計2の先端2aが視認可能となっていてもよい。
【0028】
先端壁8は、収納状態の電子体温計2の少なくとも先端2aを前側から覆うように配置されている。したがって、収納状態の電子体温計2の先端2aは、先端壁8によって前側から保護されている。より具体的には、先端壁8は、収納状態の電子体温計2の全体を覆うように配置されている。したがって、収納状態の電子体温計2の全体が、先端壁8によって前側から保護されている。先端壁8の後面は、収納状態の電子体温計2の先端2aよりも先端側(前側)に位置している。先端壁8の右側端部には、右側壁6が接続している。先端壁8の左側端部には、左側壁7が接続している。右側壁6及び左側壁7は、それぞれ、幅方向Wと略垂直な平面状をなしている。収納状態の電子体温計2の先端2aは、前側、右側及び左側から収納ケース1の筐体に覆われている。先端壁8は、上側に向けて僅かに前側に傾く板状をなしている。先端壁8の前面は、平面状をなしている。先端壁8の上面は、右側壁6及び左側壁7の上面と面一な平面状をなしている。先端壁8の下面は、右側壁6及び左側壁7の下面と面一な平面状をなしている。先端壁8の配置及び形状は、電子体温計2のハウジング2cの形状等に応じて適宜変更が可能である。先端壁8は、例えば、前後方向と垂直に延在していてもよい。
【0029】
先端壁8と右側壁6との接続部、及び先端壁8と左側壁7との接続部は、それぞれ、上面視円弧状に形成されている。しかし、先端壁8と右側壁6との接続部、及び先端壁8と左側壁7との接続部は、それぞれ、上面視円弧状以外の形状に形成されていてもよい。先端壁8は、先端壁8の後面が収納状態の電子体温計2の先端2aと離間するように配置されてもよいが、先端壁8の後面が収納状態の電子体温計2の先端2aと当接するように配置されてもよい。
【0030】
天壁4、底壁5、右側壁6及び左側壁7は、電子体温計2を先端2aから長手方向Lに挿入可能な挿入部9を形成している。したがって、電子体温計2を先端2aから挿入部9に、後側から前側に向けて挿入することにより、電子体温計2を内部空間Sに収納することができる。また、電子体温計2を挿入部9から後側に抜脱することにより、電子体温計2を内部空間Sから抜去することができる。右側壁6の後端縁及び左側壁7の後端縁は、それぞれ、側面視で前側に凸となる円弧状をなしている。また、右側壁6の後端縁及び左側壁7の後端縁は、天壁4及び底壁5の後端縁より前側に配置されている。したがって、電子体温計2を内部空間Sから抜去するために、電子体温計2の両側面を容易に摘むことができる。挿入部9は、天壁4、底壁5、右側壁6及び左側壁7の内面で形成された開口である。
【0031】
天壁4及び底壁5は、収納状態の電子体温計2を厚み方向Tの両側から挟持している。天壁4の下面には、上面視円弧状に湾曲する天壁4の前端4aに沿う位置に、天壁4の下面から滑らかに突出する凸部4bを有している。凸部4bは、前側(長手方向の第一端側L1)に向けて厚みが漸増する傾斜面を有している。また、凸部4bは、幅方向Wの両端部に、天壁4の前端4a付近において幅方向Wの端部に向けて厚みが漸増する角部4cを有している。凸部4bは左右対称な形状となっている。一対の角部4cは、電子体温計2のディスプレイ2dに対する幅方向Wの両側で電子体温計2に接触する。天壁4の凸部4bは、拡大部2eの上面の少なくとも一部に対して面で接触することで電子体温計2を保持する。
【0032】
底壁5の上面における天壁4と対向する部分には、保持傾斜面5bが設けられている。保持傾斜面5bは、電子体温計2の形状に沿うように、全面に亘って滑らかな表面形状を有するとともに、挿入部9から、前側に向けて上方に傾斜している。すなわち、保持傾斜面5bは、拡大部2eから一定部2fにかけて電子体温計2の下面形状に沿う形状となっている。天壁4の凸部4bと、底壁5の上面における保持傾斜面5bとが、収納状態の電子体温計2における拡大部2eの後端部に挟み込むように接触することで、摩擦力によって電子体温計2を保持している。凸部4bの配置及び形状は、電子体温計2のハウジング2cの形状等に応じて適宜変更が可能である。
【0033】
なお、天壁4の下面は、長手方向Lに沿って延在するリブ(梁)を有していない。また、収納ケース1の底壁5の上面は、長手方向Lに沿って延在するリブを有していない。内部空間Sにおける電子体温計2の位置を長手方向Lに延在するリブで規制する場合、長手方向Lに沿ってリブの長さを長くする必要がある。このため、リブとリブとの間や、リブが立ち上がる部分に汚れが溜まりやすくなる。さらには、それらの箇所に汚れが溜まったときに、通常医療現場で使用される綿棒やアルコール綿が入りにくい。したがって、その分だけ清浄化作業が難しくなる。このため、天壁4の下面及び底壁5の上面には、長手方向Lに沿って延在するリブを設けないことが好ましい。
【0034】
図7図10に、収納ケース1が電子体温計2を収納していない非収納状態の収納ケース1を示す。図7図8及び図10に示すように、収納ケース1は、右側壁6及び底壁5から内部空間Sに向けて膨出する右側膨出部10と、左側壁7及び底壁5から内部空間Sに向けて膨出する左側膨出部11と、を有している。右側膨出部10及び左側膨出部11は、それぞれ、底壁5の上面に設けられ、底壁5の上面に連続している。図1に示すように、右側膨出部10及び左側膨出部11は、収納状態の電子体温計2における拡大部2eを幅方向Wの両側から挟持するように構成されている。右側膨出部10及び左側膨出部11は、収納状態の電子体温計2における拡大部2eの前後方向中間部に挟み込むように接することにより、摩擦力によって電子体温計2を保持することができる。右側膨出部10は、前側に向けて左側に傾斜する傾斜面10aを有している。左側膨出部11は、前側に向けて右側に傾斜する傾斜面11aを有している。傾斜面10a及び傾斜面11aにより、電子体温計2を内部空間Sに収納する際に、収納状態で電子体温計2が配置される収納位置まで、電子体温計2をスムーズに案内することができる。また、収納状態の電子体温計2が幅方向Wにガタつかないように、保持位置を規制している。図7に示すように、天壁4は、右側膨出部10及び左側膨出部11を露出させるように配置されている。すなわち。右側膨出部10及び左側膨出部11は、上側開口12を通じて上側から視認可能である。
【0035】
収納ケース1は、天壁4の前端縁、右側壁6の上端縁、左側壁7の上端縁及び先端壁8の上端縁により、上側開口12を形成している。収納ケース1は、底壁5の前端縁、右側壁6の下端縁、左側壁7の下端縁及び先端壁8の下端縁により、下側開口13を形成している。収納状態の電子体温計2において、厚み方向Tにおいて、上側開口12と下側開口13との間に先端2aが位置する。上側開口12と下側開口13とは幅方向Wにおいて略同一の幅となっている。上側開口12は、下側開口13に対して、長手方向Lの第二端側L2に向かって長くなっている。すなわち、上側開口12は、下側開口13よりも面積が大きい。
【0036】
図3に示すように、底壁5における凸部4aと対向する部分から底壁5の前端部までに亘る部分の上面は、右側膨出部10と左側膨出部11とを除く部分において、前側に向けて上側に傾斜している。底壁5の前端部の上面は、右側膨出部10と左側膨出部11とを除く部分において、前側に向けて下側に傾斜している。
【0037】
図11に示すように、収納ケース1は、収納ケース本体1a、磁性体(例えば磁石)1b、シールド(例えば鋼板)1c及び蓋1dで構成されている。天壁4、右側壁6、左側壁7、先端壁8、及び底壁5の一部は、収納ケース本体1aの1部材で構成されている。底壁5の残りの一部は、磁性体1b、シールド1c及び蓋1dで構成されている。底壁5の下面には、第1凹部14が形成されている。第1凹部14の内部には、磁性体1b及びシールド1cが配置される第2凹部15が形成されている。磁性体1bは、電子体温計2に内蔵されたリードスイッチを介して電子体温計2の電源をON/OFFする。磁性体1bは、電子体温計2を収納位置に配置する際に電子体温計2の電源をOFFし、電子体温計2を収納位置から除去する際に電子体温計2の電源をONする。天壁4は収納状態の電子体温計2のディスプレイ2dを露出させるように配置されているので、患者又は医療従事者等の使用者等は、電子体温計2を収納した際に電子体温計2の電源がOFFされたことを視認することができる。シールド1cは、第2凹部15の内部で磁性体1bの下側に配置され、磁性体1bからの磁気の少なくとも一部を下側に対してシールドする。第1凹部14は、その内部に磁性体1bと、シールド1cとを配置させた後、蓋1dで封止される。浸漬時に液体が第1凹部14内に侵入することを防ぐために、エポキシ樹脂等による接着剤による接合、ポリウレタンやポリプロピレン、PVAを用いたホットメルト接着剤による接合、高周波溶着、レーザー溶着、超音波溶着等の任意の封止方法を採用できる。
【0038】
収納ケース本体1a及び蓋1dは、それぞれ、硬質又は軟質の合成樹脂又はゴムを主材とする射出成形によって形成することができる。しかし、収納ケース本体1a及び蓋1dの材質及び製法は、これに限定されない。収納ケース本体1a及び蓋1dは、それぞれ、全体的又は部分的に透明であってもよく、全体的又は部分的に不透明であってもよく、全体的又は部分的に半透明であってもよい。収納ケース1の部材構成(部品点数)は、適宜変更が可能である。
【0039】
収納ケース1が平面状の上面、下面及び両側面を有している。また、収納ケース1は長手方向Lと垂直な断面における輪郭形状が略直角4辺形状である。このため、使用者等は、多数個の電子体温計セット3を容易にまとめて持ち運ぶことができる。さらに、収納ケース1の周面の上下方向及び/又は左右方向に溝を設けることで、ヒモやゴムバンドで束ねやすくしてもよい。例えば、使用者等は、多数個の電子体温計セット3を上下方向及び左右方向に重ねて載置した状態で、カートで運搬することができる。その際、磁性体1bにシールド1cが設けられていることにより、隣接する電子体温計セット3同士の磁気の干渉による電源の誤作動の発生を抑制することができる。
【0040】
電子体温計セット3は、浸漬による清浄化作業が可能である。例えば、使用者等は、有底筒状の容器の内部に、1つ又は複数の収納状態の電子体温計セット3を配置し、消毒液又は洗浄液等の液体を注ぎ、所定時間放置し、乾燥させることで、1組又は複数組の電子体温計2及び収納ケース1を一度に清浄化することができる。この際には、先端壁8の前面を容器の内部底面への接地面とすることができる。浸漬の際に先端壁8の前面を接地面とする場合には、医療従事者等は、液体を、例えばディスプレイ2dより鉛直下側となる部分まで注ぐ。しかし、浸漬の際には、先端壁8の前面、底壁5の下面、天壁4の上面、右側壁6の右側面、及び左側壁7の左側面のいずれを接地面としてもよい。
【0041】
液体を注いだ際には、上側開口12及び下側開口13を通じて、液体をスムーズに内部空間Sに導入することができる。排液時には、液体をスムーズに内部空間Sから排出することができる。乾燥時には、上側開口12及び下側開口13を通じて、液体を速やかに蒸発させることができる。特に、上側開口12及び下側開口13は、電子体温計2の少なくとも先端2aを露出しているので、使用時に測温部となる先端2aを速やかに乾燥させることができる。洗浄後には、医療従事者等は、上側開口12及び下側開口13を通じて、電子体温計2の先端2aが乾燥していることを視認することができる。その際には、先端2aに損傷がないことも併せて視認することができる。しかし、収納ケース1と電子体温計2とを別々に清浄化することも、勿論可能である。
【0042】
右側膨出部10は、右側壁6及び底壁5から膨出しており、滑らかな表面形状を有している。また、左側膨出部11は、左側壁7及び底壁5から膨出しており、滑らかな表面形状を有している。したがって、液体を注いだ際には、液体がこれらの滑らかな表面全体にスムーズに行き渡ることができ、また、乾燥時には、これらの滑らかな表面全体における速やかな乾燥が可能となる。清拭時にも、これらの滑らかな表面全体を容易に清拭することができる。
【0043】
天壁4の凸部4bは、天壁4の前端4aに沿う方向に滑らかな表面形状を有している。底壁5の上面における天壁4と対向する部分は、全面に亘って滑らかな表面形状を有している。したがって、液体を注いだ際には、液体がこれらの滑らかな表面全体にスムーズに行き渡ることができ、また、乾燥時には、これらの滑らかな表面全体における速やかな乾燥が可能となる。清拭時にも、これらの滑らかな表面全体を容易に清拭することができる。
【0044】
収納ケース1内に電子体温計2をさらに確実に保持するために、底壁5の上面に、電子体温計2が長手方向Lの第二端側L2、つまり後側に移動することを規制するように収納状態の電子体温計2を係止する係止構造を設けることが好ましい。
【0045】
係止構造の第1形態として、図12図14に示すように、凸状の係止部5dを、底壁5の底壁後部5cに設けることができる。底壁後部5cは、底壁5における、上面視で天壁4と底壁5とが重なる位置から後側に延在する部分である。底壁後部5cの上面における少なくとも1箇所に、電子体温計2の縮小部2gの下面と係合する係止部5dが設けられる。係止部5dは、底壁5のうち、上面視で天壁4と重なる位置よりも後側に位置する。すなわち、係止部5dは、電子体温計2の収納状態で、ディスプレイ2dよりも後側に位置する。係止部5dは、電子体温計2の形状に沿って、天壁4と重なる位置から後側に向かってなだらかに傾斜し、係止部5dにおける長手方向Lの第二端側L2の端部は、開口5aになだらかに接続する。係止部5dは、長手方向Lと垂直な断面において凸状であり、その突出部分が縮小部2gの下面と面で接触する。係止部5dは、幅方向Wの中心を含むように配置される。係止部5dは、底壁5の幅方向Wの中心に対して左右対称な形状を有する。上面視で天壁4と底壁5とが重なる位置から後側に延在するように、電子体温計2と面で接触する凸状の係止部5dを設けることで、電子体温計2を、収納ケース1内に、安定して保持することができる。電子体温計2と面で接触する凸状の係止部5dによれば、電子体温計2の下面が平らである場合にも、収納ケース1内に電子体温計2を安定して保持できる。また、底壁後部5cに係止構造を設けることで、天壁4よりも前側の内部空間Sに面する部分には、内部空間Sに向かって局所的に突出するリブや突起部を設ける必要がなくなる。これにより、容易に内部の清拭又は浸漬等による消毒又は洗浄等の清浄化作業を行うことができるため好ましい。また、収納状態の電子体温計2及び収納ケース1の上面視において、係止部5dは電子体温計2と重なる大きさ、配置とするのが好ましい。より好ましくは、係止部5dの幅方向Wの長さは、電子体温計2の幅方向Wの長さより短い。なお、係止部5dは、底壁5の一部の厚みを増すことで形成してもよいし、底壁5の厚みを略一定のまま突出させることで形成してもよい。成型のしやすさを考慮すれば、図示のように底壁5の厚みを略一定のまま突出させることで形成するほうが好ましい。
【0046】
係止構造の第2形態として、凸状の係止部5dを底壁後部5cに設ける代わりに、図15図17に示すように、底壁後部5cそのものを後側に向かって上側へ折り曲げた形状としてもよい。すなわち、底壁後部5cの後側に向かって上側へ傾斜する平らな上面を係止構造として用いてもよい。底壁後部5cの傾斜する平らな上面により、電子体温計2の下面が平らである場合にも、収納ケース1内に電子体温計2を安定して保持できる。図示するように、底壁後部5cの下面における開口5aの周辺部分を底壁5における底壁後部5cより前側の部分の下面と同じ高さまで下方に突出させて接地部とした場合には、底壁5を接地部として載置したときに安定し易く、複数の収納ケース1を束ねたときにも、収まりよく扱いやすい。
【0047】
係止構造の第2形態の変形例として、底壁後部5cの厚みを変えることで、底壁後部5cの上面そのものを後側に向かって上側へ傾斜する平らな上面とし、この上面を係止構造として用いてもよい。底壁後部5cの下面を、底壁後部5cより前側の部分の下面と面一にした場合には、底壁5を接地部として載置したときに安定し易く、複数の収納ケース1を束ねたときにも、収まりよく扱いやすい。
【0048】
係止構造の第3形態として、底壁後部5cに係止構造を設ける代わりに、図18及び図19に示すように、幅方向Wと垂直な断面において凸状である係止部5dを、収納ケース1の上側から上側開口12を通じて視認可能な位置に設けてもよい。この場合、係止部5dの位置は、上面視で天壁4と底壁5が重なる位置に近いほうが好ましい。係止部5dは、上側開口12から視認可能なため、係止部5dの周囲が清潔か否かを確認しやすい。係止部5dを複数箇所に設ける場合には、全ての係止部5dを収納ケース1の上側から上側開口12を通じて視認可能な位置に設ければよい。電子体温計2が収納ケース1に挿入されると、電子体温計2の下面に設けられた窪み2hが係止部5dに係合する。電子体温計2の窪み2hは、幅方向Wの中心に配置されるとともに左右対称の形状を有している。電子体温計2の窪み2hは、幅方向Wに長い略長方形状をなしている。窪み2hと係止部5dとの係合によって生じるクリック感により、使用者等は、電子体温計2が収納ケース1に正しく収納されたことを確認することもできる。
【0049】
前述した実施形態は、本発明の実施形態の一例にすぎず、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0050】
前述した実施形態では、収納ケース1及び電子体温計2は左右対称な形状となっている。しかし、収納ケース1及び電子体温計2は左右非対称な形状となっていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 電子体温計用収納ケース
1a 収納ケース本体
1b 磁性体
1c シールド
1d 蓋
2 電子体温計
2a 先端
2b 先端部
2c ハウジング
2d ディスプレイ
2e 拡大部
2f 一定部
2g 縮小部
2h 窪み
3 電子体温計セット
4 天壁
4a 前端
4b 凸部
4c 角部
5 底壁
5a 開口
5b 保持傾斜面
5c 底壁後部
5d 係止部
6 右側壁
7 左側壁
8 先端壁
9 挿入部
10 右側膨出部
10a 傾斜面
11 左側膨出部
11a 傾斜面
12 上側開口
13 下側開口
14 第1凹部
15 第2凹部
S 内部空間
L 長手方向
L1 長手方向の第一端側
L2 長手方向の第二端側
W 幅方向
W1 幅方向の第一端側
W2 幅方向の第二端側
T 厚み方向
T1 厚み方向の第一端側
T2 厚み方向の第二端側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19