IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インダクトサーム・コーポレイションの特許一覧

特許7093359ストリップ又はスラブの誘導的加熱用の調節可能な横方向インダクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】ストリップ又はスラブの誘導的加熱用の調節可能な横方向インダクタ
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/10 20060101AFI20220622BHJP
   H05B 6/44 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
H05B6/10 381
H05B6/44
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019540609
(86)(22)【出願日】2018-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 US2018017165
(87)【国際公開番号】W WO2018148242
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】62/456,344
(32)【優先日】2017-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591029943
【氏名又は名称】インダクトサーム・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INDUCTOTHERM CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・フォンテーヌ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ウェーバー
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ロヴェンス
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0121512(US,A1)
【文献】米国特許第04258241(US,A)
【文献】国際公開第2016/035867(WO,A1)
【文献】米国特許第06107613(US,A)
【文献】特開平02-297892(JP,A)
【文献】特表2011-517054(JP,A)
【文献】特開昭64-012490(JP,A)
【文献】特公昭49-003885(JP,B1)
【文献】特表2016-524327(JP,A)
【文献】特開平08-153577(JP,A)
【文献】特開平07-201461(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0074135(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/00 - 6/10
H05B 6/14 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の横方向磁束インダクタアセンブリ間に配置された、ワークピースを誘導加熱するための横方向磁束誘導加熱装置であって、前記一対の横方向磁束インダクタアセンブリのそれぞれは、
導電体の横方向対を構成する一対の可撓性電気ケーブルであって、前記一対の可撓性電気ケーブルのそれぞれが前記ワークピースの対向する横方向縁部を越えて延在する対向する横方向端部を有するものと、
前記一対の可撓性電気ケーブルの前記対向する横方向端部のそれぞれの近くに配置された一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリであって、前記一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリは、それぞれ、前記一対の可撓性電気ケーブルが前記一対の可撓性電気ケーブルの隣接する対向横方向端部を共に接合するように配置されるジョイナロールチャネルを有するものと、
前記一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリの横方向内側にある前記一対の可撓性電気ケーブルそれぞれの前記対向する横方向端部のそれぞれの近くに配置された一対の別個の可動ケーブルセパレータアセンブリであって、前記一対の別個の可動ケーブルセパレータアセンブリのそれぞれは、前記一対の可撓性電気ケーブルが前記一対の可撓性電気ケーブル間の分離間隔を変更するように配置されるセパレータロールチャネルを有するものと
を備える横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項2】
ワークピースの横方向及びワークピースの長手方向における前記一対の可撓性電気ケーブル間の分離間隔を変更するように構成された1以上の誘導加熱アクチュエータをさらに備え、前記1以上の誘導加熱アクチュエータは、前記一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリのそれぞれの横方向移動のためのセパレータアセンブリ横方向アクチュエータ、前記一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリのそれぞれの長手方向移動のためのセパレータアセンブリ長手方向アクチュエータ、及び前記一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリの横方向移動のためのジョイナアセンブリアクチュエータよりなる群の一つ以上から選択される、請求項1に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項3】
ワークピース横方向における前記一対の可撓性電気ケーブル間の分離間隔を変更するように構成された1以上の誘導加熱アクチュエータをさらに備え、前記1以上の誘導加熱アクチュエータは、前記一対の個別の可動ケーブルジョイナアセンブリのそれぞれの横方向移動のためのセパレータアセンブリ横方向アクチュエータ、及び前記一対の個別の可動ケーブルジョイナアセンブリのそれぞれの横方向移動のためのジョイナアセンブリアクチュエータよりなる群の一つ以上から選択される、請求項1に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項4】
前記一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリのそれぞれは、ジョイナロールチャネルを形成するように配置されたジョイナロールのアレイを含み、前記ジョイナロールのアレイは、前記一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリから前記一対の可撓性電気ケーブルの前記対向する横方向端部の一方の近くにまで前記一対の可撓性電気ケーブルを横方向内側に進入させるための口部領域を備え、前記口部領域の後に、前記一対の可撓性電気ケーブルの前記隣接する対向横方向端部の横方向外側出口のためのスロート領域が続く、請求項1に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項5】
前記ジョイナロールのアレイは、前記一対の可撓性電気ケーブルが前記ジョイナロールのアレイを通して移動するときに1以上のフランジ付きスプールを回転させるためのジョイナ基部に回転可能に取り付けられた1以上のフランジ付きスプールから少なくとも部分的に構成されている、請求項4に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項6】
前記セパレータロールチャネルは、前記セパレータロールチャネルを構成するように配置されたセパレータロールのアレイを備え、前記セパレータロールのアレイは、前記セパレータロールチャネルに配置された一対の可撓性電気ケーブルの一方を、前記一対の可撓性電気ケーブルの他方からワークピースの長手方向に広げて離すように配置される、請求項1に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項7】
前記セパレータロールのアレイは、前記セパレータロールチャネルに配置された前記一対の可撓性電気ケーブルの一方が前記セパレータロールのアレイを通して通過するときに、1以上のフランジ付きスプールの回転のためのセパレータ基部に回転可能に取り付けられた1以上のフランジ付きスプールから少なくとも部分的に構成される、請求項6に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項8】
一対の可撓性電気ケーブルのそれぞれは、複数の相互接続された可撓性電気ケーブルを備え、少なくとも前記一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリのそれぞれは、複数の相互接続された可撓性電気ケーブルが配置されるマルチレベルケーブルジョイナアセンブリを備える、請求項1に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項9】
前記ワークピースを誘導加熱する方向に磁束強度を増加させるために、前記一対の可撓性ケーブルに対して配置された少なくとも1つの磁気シャントをさらに備える、請求項1に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項10】
前記一対の別個の可動ケーブルセパレータアセンブリ及び/又は前記一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリの少なくとも一方を移動させて、誘導加熱される前記ワークピースの横方向の端部から端部までの動きを追跡する1以上の誘導加熱アクチュエータをさらに備える、請求項1に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項11】
直列、並列又は直列及び並列に電気的に相互接続され、かつ、誘導加熱される前記ワークピースの長手ワークピース方向に沿って連続的に配置された請求項1に記載の横方向磁束誘導加熱装置を2つ以上備える電気誘導加熱システム。
【請求項12】
前記ワークピースが通過するトンネルをさらに備え、前記トンネルは、前記一対の横方向磁束インダクタアセンブリ間に配置される、請求項1に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項13】
前記一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリの一方と、前記一対の可撓性電気ケーブルの対向する横方向端部のそれぞれに配置された前記一対の別個の可動ケーブルセパレータアセンブリの一方とが、それぞれ、前記一対の可撓性電気ケーブルの対向する横方向端部のそれぞれに別個の組み合わせ可動ケーブルセパレータ及びジョイナアセンブリを構成し、前記横方向磁束誘導加熱装置は、
前記個別の組み合わせ可動ケーブルセパレータ及びジョイナアセンブリのそれぞれのための取付板であって、前記ワークピースの横方向縁部に面する垂直フラップを有するものと、
前記垂直フラップにある一対の穴を垂直に貫通して、前記ワークピースの横方向中心に向かって横方向内側に延在する一対の導電性平行管であって、前記一対の導電性平行管は、前記一対の導電性平行管間の垂直性を維持するように長手方向の分離管によって長手方向に共に接続され、前記ワークピースにわたって横方向に延在する前記一対の可撓性電気ケーブルのそれぞれが前記一対の導電性平行管の他方に配置される一対の導電性平行管と
をさらに備える、請求項1に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項14】
前記ワークピースの対向する横方向縁部から延在する前記一対の導電性平行管のそれぞれの周りに配置された少なくとも1つのトロイダル磁気コアをさらに備える、請求項13に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項15】
前記ワークピースを誘導加熱する方向に磁束強度を増加させるために、前記一対の可撓性ケーブルに対して配置された少なくとも1つの磁気シャントをさらに備える、請求項13に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項16】
前記一対の可撓性電気ケーブルのそれぞれは、複数の相互接続された可撓性電気ケーブルを含み、少なくとも前記一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリのそれぞれは、複数の相互接続された可撓性電気ケーブルが配置されるマルチレベルケーブルジョイナアセンブリを備える、請求項13に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項17】
前記ワークピースが通過するトンネルをさらに備え、前記トンネルは、前記一対の横方向磁束インダクタアセンブリ間に配置される、請求項13に記載の横方向磁束誘導加熱装置。
【請求項18】
直列、並列、又は直列及び並列に電気的に相互接続され、かつ、前記ワークピースの長手ワークピース方向に沿って連続的に配置された、請求項13に記載の横方向磁束誘導加熱装置を2つ以上備える電気誘導加熱システム。
【請求項19】
ワークピースの電気誘導加熱方法であって、次の工程:
前記ワークピースを一対の横方向磁束インダクタアセンブリ間に通過させ、ここで、前記一対の横方向磁束インダクタアセンブリのそれぞれは、横方向の一対の連続可撓性ケーブルから構成された横方向インダクタを有し;及び
前記横方向の一対の連続可撓性ケーブルの対向する各横方向端部の近くに配置された一対の別個の可撓性ケーブルセパレータアセンブリと、前記一対の可撓性ケーブルが配置されている前記一対の別個の可撓性ケーブルセパレータアセンブリの横方向外側に配置された一対の別個の可撓性ケーブルジョイナアセンブリとを横方向に選択的に移動させることによって、前記一対の横方向磁束インダクタアセンブリのそれぞれにおける前記横方向インダクタの横方向長さを選択的に変更すること
を含む電気誘導加熱方法。
【請求項20】
前記横方向の一対の連続可撓性ケーブルの各対向横方向端部の近くかつ前記一対の別個の可撓性ケーブルジョイナアセンブリの横方向内側に配置された一対の可撓性ケーブル長手方向セパレータアセンブリを長手ワークピース方向に選択的に移動させることによって、前記一対の横方向磁束インダクタアセンブリのそれぞれにおける前記横方向インダクタの極ピッチを選択的に変更することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456,344号の優先権を主張し、当該仮出願はその全体が参照により本明細書において援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、一対の横方向磁束インダクタ間を移動する導電性ストリップ又はスラブ材料の電気誘導加熱に関し、特に、一対の横方向磁束インダクタを調節可能な加熱方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
図1は、導電性ストリップ又はスラブ材料90(部分的なストリップとして示されている)が工業的プロセスの際、例えば材料の焼鈍又は材料の電気誘導加熱により材料上に堆積した皮膜中の溶媒の蒸発の際に移動する、一定の横方向長さを有する典型的な一対の横方向磁束インダクタ102a及び102bを示す。バスバー102a’及び102a”(図では102a”は電気絶縁体104aの背後に隠れている)などの電気コネクタがインダクタ102aの対向する隣接端部に接続され、バスバー102b’及び102b”(102b”は電気絶縁体104bの背後に隠れている)がインダクタ102bの対向する隣接端部に接続されている。この例でのバスバーは、横方向磁束インダクタ102a及び102bを、インダクタに交流(AC)電力を供給する1以上のAC電源106に電気的に相互接続する手段を与え、AC電力は、インダクタ102a及び102bが電源106と直列電気回路で接続されたときに生成される磁束ベクトルの瞬間方向を示す円錐形の矢印108aによって典型的な磁束線108で表されるように、インダクタ周囲に磁束場を生成し、矢印109はインダクタ102aを流れるAC電流の対応する瞬間方向を示す。矢印91は、材料90の典型的な誘導加熱電流ループ91a’及び91a”の対応する瞬間方向を示す。ここで、方向の目的のために、図中において3次元空間として示されているデカルト座標系(Xは横方向磁束対間における材料の長手方向の移動方向であり、Yは材料及び横方向磁束インダクタ対の横方向又は横幅の方向であり、Zは横方向磁束インダクタ対間における垂直分離の方向である)を参照すると、X方向(及び矢印)を、材料がインダクタ間を通過するときに当該材料の縦方向又は長手方向といい、材料の端部から端部(93aから93b)までの距離を、材料及び横方向磁束インダクタ対の横方向又は横幅という。
【0004】
固定幅の横方向インダクタを使用する場合には、異なる固定幅の横方向インダクタを使用して横幅の異なる材料を誘導加熱しなければならない。例えば、図2(a)の材料幅MW1で材料92にわたって横方向に示される固定幅横方向磁束インダクタ202aは、材料92の下でインダクタ202aが別の横方向磁束インダクタ(図示せず)と対になった場合にインダクタ202aの下を通過するときに材料92を横方向材料端部92’及び92”間で加熱するのに好適な横方向長さIW1を有し、図2(b)においてさらに狭い材料幅MW2で材料94にわたって示される固定幅横方向磁束インダクタ302aは、インダクタ302aが別の横方向磁束インダクタ(図示せず)と材料94の下で対になってインダクタ302aの下を通過するときに横方向材料縁部94’及び94”間において材料94を加熱するのに好適なさらに短い横方向長さIW2を有する。産業用途では、好ましい横方向磁束誘導加熱ラインは、様々な幅のストリップ又はスラブ材料に対応するために、長さ調節可能な単一対の横方向インダクタを有する。典型的には、これは、物理的な非可撓性インダクタの少なくとも一部の長さを可変にすることによって実現され、例えば、1つのインダクタ物理セグメントが別のインダクタセグメントに出入りする。例えば、米国特許第4751360号では、一対の横方向磁束インダクタのそれぞれが、それらの間を通過する材料に対して横方向に延在する部分と、可変横幅の材料を誘導加熱するように材料の縁部に隣接する位置で調節できる湾曲部分とを有する一対の直線セクションを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第4751360号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一つは、インダクタ部の可変物理的長さを区分化することなく、異なる幅の材料を誘導加熱するために調節できる、調節可能な横方向磁束インダクタ対を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、横方向磁束インダクタが一対の可撓性ケーブルから形成され、一対の可撓性ケーブルの少なくとも一方がインダクタの横幅及び任意にインダクタの極ピッチを変更するように所定位置で調節できる、調節可能な横方向磁束インダクタ対を提供することである。
【0008】
本発明の別の例は、一対の可撓性ケーブルの少なくとも一方が所定位置で調節できる、調節可能な横方向磁束インダクタ対間を通過する材料の対向する縁部の一方又は両方を独立して追跡するための横方向磁束インダクタ対を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の簡単な概要
一態様では、本発明は、調節可能な横方向磁束インダクタ対を備える横方向磁束電気誘導加熱装置を形成するための装置及び方法であって、前記対における前記インダクタのいずれか一方は、ロールアセンブリの可動ロールチャネル内に配置された可撓性ケーブルから形成され、前記ロールアセンブリは、前記インダクタ対間を移動するストリップ又はスラブの端部から端部までの横方向にわたって前記インダクタ対の横方向長さ及び/又は前記対におけるそれぞれのインダクタのインダクタ横方向長さ間の極ピッチを調節できる装置及び方法である。
【0010】
別の態様では、本発明は、材料の電気誘導加熱プロセスにおいて、本発明の調節可能な横方向磁束インダクタ対間を通過する材料の対向する縁部の一方又は両方を独立して追跡する装置及び方法である。
【0011】
本発明の上記及び他の態様は、本明細書及び特許請求の範囲に記載されている。
【0012】
上記の簡単な概要並びに本発明の以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読むとよく理解できる。本発明を説明する目的で、現時点で好ましい本発明の例示的な形態が図に示されている。しかしながら、本発明は、以下の添付図面に開示される特定の配置及び手段には限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、導電性ストリップ又はプレートの部分によって例示される、インダクタ間を移動する導電性材料を誘導加熱することのできる磁束場を生成するための交流電源に接続された一対の固定横方向磁束インダクタを示す。
図2(a)】図2(a)は、図に示される材料の対向縁部間の第1横方向距離で第1材料の横方向幅全体を誘導加熱するのに好適な第1横方向長さを有する固定横方向磁束インダクタの第1対を示す。
図2(b)】図2(b)は、図に示される材料の対向縁部間の第2横方向距離で第2材料の横方向幅全体を誘導加熱するのに好適な横方向長さを有する固定横方向磁束インダクタの第2対を示し、ここで、第2横方向距離は、図2(a)に示される材料の対向縁部間の第1横方向距離よりも短い。
図3(a)】図3(a)は、調節可能な横方向磁束インダクタ対が、インダクタ対間を通過する図2(a)に示す第1材料の横幅全体を誘導加熱するように延長された横方向長さ位置にある本発明の一実施形態を示す。
図3(b)】図3(b)は、調節可能な横方向磁束インダクタ対が、インダクタ対間を通過する図2(a)に示す第1材料の横幅全体を誘導加熱するように延長された横方向長さ位置にある本発明の一実施形態を示す。
図4(a)】図4(a)は、インダクタ対間を通過する図2(b)に示される第2材料の横幅全体を誘導加熱するために後退した横方向長さ位置にある図3(a)に示される調節可能な横方向磁束インダクタ対を示し、ここで、第2材料は、第1材料の端部から端部までの横方向長さよりも短い端部から端部までの横方向長さを有する。
図4(b)】図4(b)は、インダクタ対間を通過する図2(b)に示される第2材料の横幅全体を誘導加熱するために後退した横方向長さ位置にある図3(b)に示される調節可能な横方向磁束インダクタ対を示し、ここで、第2材料は、第1材料の端部から端部までの横方向長さよりも短い端部から端部までの横方向長さを有する。
図5(a)】図5(a)は、調節可能な横方向磁束インダクタ対が横方向磁束インダクタ対のそれぞれにおいて隣接する横方向ケーブル部間の横方向長さ及び極ピッチが調節可能である本発明の別の実施形態を示す。
図5(b)】図5(b)は、調節可能な横方向磁束インダクタ対が横方向磁束インダクタ対のいずれか一方において隣接する横方向ケーブル部間の横方向長さ及び極ピッチが調節可能である本発明の別の実施形態を示す。
図5(c)】図5(c)は、調節可能な横方向磁束インダクタ対が横方向磁束インダクタ対のいずれか一方において隣接する横方向ケーブル部間の横方向長さ及び極ピッチが調節可能である本発明の別の実施形態を示す。
図5(d)】図5(d)は、調節可能な横方向磁束インダクタ対が横方向磁束インダクタ対のいずれか一方において隣接する横方向ケーブル部間の横方向長さ及び極ピッチが調節可能である本発明の別の実施形態を示す。
図6(a)】図6(a)は、本発明の他の実施形態よりも堅牢であることができる可撓性ケーブルジョイナ及びセパレータアセンブリを備える本発明の別の実施形態を示す。
図6(b)】図6(b)は、本発明の他の実施形態よりも堅牢であることができる可撓性ケーブルジョイナ及びセパレータアセンブリを備える本発明の別の実施形態を示す。
図7(a)】図7(a)は、複数のケーブルが本発明の横方向磁束インダクタアセンブリの一対の可撓性ケーブルのそれぞれを構成する、本発明のいくつかの実施形態で使用される2層組合せ可撓性ケーブルジョイナ及びスプレッダアセンブリの詳細図である。
図7(b)】図7(b)は、図7(a)の複数のケーブル群においてロールが複数のケーブルを備える、図7(a)に示される2層の組合せ可撓性ケーブルジョイナ及びスプレッダアセンブリの変形例の部分詳細図である。
図8(a)】図8(a)は、可撓性ケーブルジョイナアセンブリと導電管との組み合わせが本発明の横方向磁束インダクタアセンブリを構成する本発明の別の実施形態を示す。
図8(b)】図8(b)は、可撓性ケーブルジョイナアセンブリと導電管との組み合わせが本発明の横方向磁束インダクタアセンブリを構成する本発明の別の実施形態を示す。
図9(a)】図9(a)は、本発明の横方向磁束誘導加熱装置によって誘導加熱される材料の周り及び本発明の一対の横方向磁束誘導子アセンブリ間にトンネル構造が設けられる本発明の別の実施形態を示す。
図9(b)】図9(b)は、本発明の横方向磁束誘導加熱装置によって誘導加熱される材料の周り及び本発明の一対の横方向磁束誘導子アセンブリ間にトンネル構造が設けられる本発明の別の実施形態を示す。
図10図10は、複数の横方向磁束誘導加熱装置が誘導加熱ラインの長手方向長さに沿って連続的に配置される本発明の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
図3(a)~図4(b)は、一対の横方向磁束インダクタアセンブリ12a及び12b間を移動する幅広材料92又は幅狭材料94として示されるストリップ又はスラブ材料(ワークピースともいう)を誘導加熱するための本発明の横方向磁束誘導加熱装置10の一実施形態を示す。この実施形態では、一対の同一のインダクタアセンブリのそれぞれが材料の対向する側に配置され、互いに鏡像で配置されている。
【0015】
この本発明の実施形態では、当該対の各ケーブルアセンブリ12a又は12bは、一対の連続した可撓性ケーブル、例えばケーブルアセンブリ12a用のケーブル12a1及び12a2を備える。各ケーブルは、可撓性ケーブル12a1については対向する端部12a1’及び12a1”間、可撓性ケーブル12aについては12a2’及び12a2”間に連続する可撓性ケーブルである。この実施形態の各ケーブルアセンブリは、誘導加熱される材料に関して図面に示すように、可撓性ケーブルの各対向端部の近くにある別個の可動可撓性ケーブルジョイナアセンブリ14と、ジョイナアセンブリの横方向内側に位置する別個の可動可撓性ケーブルセパレータアセンブリ24とを備える。
【0016】
本発明で使用するのに好適な可撓性ケーブルの選択は、次の特性に依存する。内側導体絶縁材料及び外側ジャケット材料は、応力を受けたときに設定された変形を維持しにくい程度に十分な柔軟性を備える必要がある。全体的なケーブル構造は緩くかつ内部で滑りやすくなければならず、それにより、導体は、故障を引き起こすのに十分な熱及び摩耗を発生させることなく、バンドル内を自由に移動できる。内側導体、例えば銅組成物は、冷間硬化することなく屈曲に耐えることができる合金でなければならない。可撓性ケーブルは、銅組成物又は超伝導体などの典型的な導電性材料から構成されていてもよい。可撓性ケーブルは、例えば、特定の用途における可撓性ケーブルジョイナ及びセパレータアセンブリの曲率半径を満たすリッツ線ケーブル配置を含めた配置の固体又は撚線導体を含むことができる。本発明の一実施形態では、可撓性ケーブルは、例えば、当技術分野で知られているリッツ線の形態の、互いに電気的に絶縁された銅ロープのいくつかの可撓性ストランドからなる銅ワイヤロープを含む。得られる可撓性ワイヤロープを非導電性ケーブル支持管、弾性スプリングコア組成物その他の支持構造に交互に巻き付けて、ジュール加熱及び機械的摩耗による冷却要件を最小限に抑えることができる。
【0017】
可撓性ケーブル内のジュール加熱の大きさのため強制流冷却が必要な場合には、可撓性ケーブルは、好ましくは、可撓性ケーブルの内部冷却通路を通した、例えば可撓性ケーブルの対向端部での適切な流体カップリングFCを介した液体又は気体冷却媒体の流れによって内部で流れが強制的に冷却される。
【0018】
可撓性ケーブルジョイナアセンブリ14は、ロールアレイチャネルを形成するように配置されたロール13のアレイ(ローラともいう)から形成され、ここで、ロールアレイチャネルは、可撓性ケーブルの各端部(図3(a)の12a1’、12a1”、12a2’又は12a2”)に最も近いロールアレイチャネルの端部でロールアレイスロート領域14’に対して狭くなっている。この本発明の実施形態では、ロールアレイチャネルは、ロール13の少なくともいくつかをフランジスプールの形状にすることにより形成される。可撓性ケーブルジョイナアセンブリのロール13のそれぞれは、この実施形態では、ジョイナ基部16に固定して取り付けられたロール垂直シャフト17によってジョイナ基部16その他の構造取付部に回転可能に取り付けることができる。各ジョイナロール13の中央開口部はジョイナロール垂直シャフト17に挿入され、可撓性ケーブルがジョイナアセンブリを通って移動するときにロールはロール垂直シャフトの周りを回転する。本発明の他の実施形態では、少なくともいくつかのロールは、ジョイナ基部その他のジョイナ取付構造に固定して取り付けられてもよい。
【0019】
図3(a)~図4(b)に示される実施形態では、ロールアレイスロート領域14’は、ロールアレイチャネルに装着された2本の可撓性ケーブル(この例ではケーブル12a1及び12a2)の直径の合計に等しい開口幅を、必要に応じて、ケーブルの引っ張り、ジョイナアセンブリの移動及び/又は電動ローラの移動中に、回転しているロールに対して適切な摩擦力で2本の可撓性ケーブルがロールアレイのスロート幅を通過できるような幅許容誤差で有する。
【0020】
ロールアレイスロート領域14’の反対側にある可撓性ケーブルジョイナアセンブリの端部には、図3(a)に示すようにロールアレイ口部領域14”があり、これは、2本の可撓性ケーブルの直径の合計よりも広い幅を有し、可撓性ケーブルジョイナアセンブリの横方向内側にある可撓性ケーブルスプレッダアセンブリによって2本の可撓性ケーブルが広がって離れるのを規制する。
【0021】
可撓性ケーブルスプレッダアセンブリ24は、可撓性ケーブルジョイナアセンブリ14のそれぞれの横方向内側に配置される。各可撓性ケーブルスプレッダアセンブリはスプレッダロールの第1及び第2ロールアレイから形成され、スプレッダロールは、2本の可撓性ケーブルのそれぞれがロールアレイを通過する材料の長手方向(X方向)に一対の可撓性ケーブルを分離して広げるための別個の第1及び第2ロールアレイスプレッダチャネルを形成するように配置される。この本発明の実施形態では、各ロールアレイスプレッダチャネルは、ロール15の少なくともいくつかをフランジ付きスプールの形状にすることによって形成される。この実施形態では、第1及び第2アレイスプレッダチャネルのそれぞれは、必要に応じて単一の可撓性ケーブルが回転するロールに対して適切な摩擦力でロールアレイスプレッダチャネルを通過できるような幅許容誤差で、アレイスプレッダチャネルに装着された一対の可撓性ケーブルの一つの直径に等しい幅を有する。
【0022】
可撓性ケーブルスプレッダアセンブリ24のスプレッダロール15のそれぞれは、この実施形態ではスプレッダ基部26に固定して取り付けられたロール垂直シャフト17に回転可能に取り付けられている。スプレッダロール垂直シャフト19には各スプレッダロール15の中央開口部が挿入され、可撓性ケーブルがスプレッダアセンブリを通って移動するにつれてロールはロール垂直シャフトの周りを回転する。本発明の他の実施形態では、ロールの少なくともいくつかは、スプレッダ基部その他のスプレッダアセンブリ取付構造に固定して取り付けられてもよい。
【0023】
当該技術分野で知られている可撓性ケーブル、ジョイナアセンブリ、セパレータアセンブリ及びローラのための誘導システムアクチュエータ又はドライバは、組み合わせて又は個別に特定の用途で使用され、かつ、手動、機械若しくは電気機械又はそれらの組み合わせとすることができる。別個又は組み合わせの誘導加熱システムのアクチュエータ又はドライバを、このシステムのアクチュエータ又はドライバとインターフェイス接続するコンピュータプロセッサによって実行される動きの協調制御と共に使用することができる。
【0024】
図3(a)及び図3(b)において、ジョイナアセンブリ14及びスプレッダアセンブリ24を、ケーブル引張アクチュエータ又はドライバ、ジョイナ及びスプレッダアセンブリ移動アクチュエータ又はドライバ及び/又は電動ローラ移動アクチュエータ又はドライバによって配置し、横方向幅がIW1の横方向コイル対を確立して横方向幅がMW1の幅広材料92を誘導加熱する。図4(a)及び図4(b)において、ジョイナアセンブリ14及びスプレッダアセンブリ24を、ケーブル引張アクチュエータ又はドライバ、ジョイナ及びスプレッダアセンブリ移動アクチュエータ又はドライバ及び/又は電動ローラ移動アクチュエータ又はドライバによって配置し、横方向幅がIW2の横方向コイル対を確立して横幅がMW2の幅狭材料94を誘導加熱する。この本発明の特定の例では、横方向誘導コイル対に対する部品の相対的な配置は次のとおりである。図3(a)及び図3(b)における材料92の加熱について、Y1’は隣接するジョイナ及びセパレータアセンブリの横方向の間隔であり、Y2’は、対向するセパレータアセンブリ間の横方向の間隔であり、Y3’は、隣接するケーブル端部とジョイナアセンブリと間の横方向間隔である。図4(a)及び図4(b)における材料94の加熱について、Y1は、隣接するジョイナ及びセパレータアセンブリの横方向間隔であり、Y2は、対向するセパレータアセンブリ間の横方向間隔であり、Y3は、隣接するケーブル端部とジョイナアセンブリとの間の横方向間隔である。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、1以上の誘導加熱アクチュエータは、ワークピースの横方向とワークピースの縦方向に一対の可撓性電気ケーブル間の分離距離を変更するように構成される。本発明の一実施形態では、1以上の誘導加熱アクチュエータは、次の群の1以上から選択できる:一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリの横方向移動のためのセパレータアセンブリアクチュエータ、一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリの長手方向移動のためのセパレータアセンブリアクチュエータ、及び一対の別個の可動ケーブルジョイナアセンブリの横方向移動のためのジョイナアセンブリアクチュエータ。
【0026】
可撓性ケーブルの特定の構成の曲率制限は、隣接するジョイナとスプレッダアセンブリと間の間隔を制限する及び/又は隣接するジョイナ及びスプレッダアセンブリに対するロールの相対的な配置を制限することによって対応できる。本発明のいくつかの実施形態では、ジョイナ及び/又はスプレッダロールに動的に調節可能な張力機構を取り付けて、調節可能な張力ロール上の可撓性ケーブルに加えられる力に応じた湾曲範囲を可能にすることができる。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、ジョイナ及びスプレッダロール、並びに基部及び垂直ロールシャフトを含めたロールの取付構造は、銅又はアルミニウムなどの導電性材料から形成できる。本発明の他の実施形態では、ジョイナ及びスプレッダロール並びにロール取付構造は、ガラス繊維強化プラスチックなどの電磁的に透明な材料から形成できる。本発明の他の実施形態では、ジョイナ基部又はスプレッダ基部の少なくとも一部を磁束コンセントレータ材料又は磁束補償器材料から形成して、可撓性ケーブルを流れる電流によって生成される磁束場を変更することができる。
【0028】
図5(a)~図5(d)は、各横方向磁束インダクタを形成する各可撓性ケーブルが、スプレッダアセンブリの(長手)X方向への移動によるインダクタ横方向長さ制御及インダクタ極ピッチ制御を可能にする個々のX(長手)及びY(横)方向誘導加熱システムアクチュエータ又はドライバを備えた独自の可撓性ケーブルスプレッダケーブルアセンブリを有するという追加の技術的特徴を有する、図3(a)~図4(b)に示される実施形態に類似する本発明の横方向磁束誘導加熱装置11の別の実施形態を示す。
【0029】
図5(a)及び図5(b)では、ケーブル12a1用のジョイナアセンブリ14及びスプレッダアセンブリ24b及び24dと、ケーブル12a2用のスプレッダアセンブリ24a及び24cとを、ケーブル引張アクチュエータ又はドライバ、ジョイナ及びスプレッダアセンブリ移動アクチュエータ及び/又は電動ローラ移動アクチュエータ又はドライバによって配置して、IW2の横方向幅及びτ1の極ピッチを有する横方向コイル対を確立し、横方向幅がMW2の幅狭材料94を誘導加熱する。図5(c)及び図5(d)では、ケーブル12a1用のジョイナアセンブリ14とスプレッダアセンブリ24b及び24d並びにスプレッダアセンブリ24a及び24cを、ケーブル引張アクチュエータ又はドライバ、ジョイナ及びスプレッダアセンブリ移動アクチュエータ又はドライバ及び/又は電動ローラ移動アクチュエータ又はドライバによって配置して、横方向幅がIW1で、極ピッチがτ1よりも大きいτ2である横方向コイル対を確立し、横方向幅がMW2の幅広材料92を誘導加熱する。この本発明の特定の例では、横方向誘導コイル対に対する部品の相対的な配置は次のとおりである。平面図の図5(b)に示される材料94の加熱について、Y1は、隣接するジョイナ及びセパレータアセンブリ対の横方向距離であり、Y2は、セパレータアセンブリの対向対間の横方向間隔であり、Y3は、隣接するケーブル端部とジョイナアセンブリとの間の横方向間隔であり、X1は、隣接するセパレータアセンブリ間の長手方向間隔である。平面図の図5(c)に示される材料92の加熱について、Y1’は、隣接するジョイナ及びセパレータアセンブリ対の横方向距離であり、Y2’は、セパレータアセンブリの対向対間の横方向間隔であり、Y3’は、隣接するケーブル端部とジョイナアセンブリと間の横方向間隔であり、X1’は、隣接するセパレータアセンブリ間の長手方向の間隔である。
【0030】
図6(a)及び図6(b)は、可撓性ケーブルジョイナアセンブリ34のそれぞれがジョイナロール13とジョイナアセンブリを通過する可撓性ケーブルとをさらに収容し保持するようにジョイナ基部16に対向するジョイナ閉鎖板35をさらに備えるという追加の技術的特徴を有する、図3(a)~図4(b)に示される実施形態に類似する本発明の横方向磁束誘導加熱装置10’の別の実施形態を示す。ジョイナ基部16に固定された端部の反対側のジョイナロール垂直シャフト17の端部は、ジョイナ閉鎖板35に固定して取り付けることができる。同様に、図6(a)及び図6(b)では、可撓性ケーブルセパレータアセンブリ36のそれぞれは、セパレータロール15とセパレータアセンブリを通過する可撓性ケーブルとを所定位置でさらに収容し保持するようにセパレータ基部26に対向するセパレータ閉鎖プレート37をさらに備える。セパレータ基部26に固定された端部の反対側のセパレータロール垂直シャフト19の端部は、セパレータ閉鎖プレート37に固定して取り付けることができる。
【0031】
可撓性ケーブルジョイナアセンブリ及びセパレータアセンブリ用の閉鎖プレートの追加は、図5(a)~図5(d)及び本発明の他の例の横方向磁束誘導加熱装置11にも適用される。
【0032】
本発明の横方向誘導加熱装置から大きな誘導電力入力が必要な場合には、例えば図3(a)~図4(b)の横方向磁束誘導加熱装置については、一対の大径の単一可撓性ケーブル12a1及び12a2が必要になることがある。あるいは、本発明の他の例では、複数の小径可撓性ケーブルを使用して、各横方向磁束誘導加熱装置用の一対の横方向可撓性ケーブルを含む一対の可撓性ケーブルのそれぞれについての多重ケーブル群を形成する。一例が図7(a)に詳細に示されており、2レベル(Z方向)のジョイナ及びスプレッダアセンブリ114の組み合わせは、上部ジョイナロール113aと下部ジョイナロール113bと図には示されていないジョイナ及びスプレッダ基部に接続されたジョイナロール垂直シャフトとの組み合わせを含む。第1多重ケーブル群42は、それぞれT1a、T1b及びT1cで終端する小径ケーブル42a1、42a2、及び42a3によって形成され、上部ジョイナロール113a、次いでスプレッダロール116及び第1スプレッダロール垂直シャフト119から形成される第1可撓性ケーブル群スプレッダアセンブリ116aを通って移動する。第2多重ケーブル群52は、それぞれT3a、T3b及びT3cで終端する小径ケーブル52a1、52a2及び52a3によって形成され(図7(a)では見えない)、下部ジョイナロール113b、続いてスプレッダロール116a’及び第1スプレッダロール垂直シャフト119から形成された第2可撓性ケーブル群スプレッダアセンブリ116bを通って移動する。本発明の他の実施形態では、特定の用途において複数のケーブル群に対応するために、必要に応じて他の数のマルチレベルジョイナ又はジョイナとスプレッダアセンブリとの組み合わせが使用される。
【0033】
図7(b)は、図7(a)に示されたケーブル群で使用される複数のケーブル間にローラを設けることができる、図7(a)に示された別の2層組み合わせ可撓性ケーブルジョイナ及びスプレッダアセンブリの部分詳細図である。図7(b)に示される実施形態では、ロール214は、例えば横方向インダクタ対を変更したときに、一対の可撓性ケーブルの湾曲領域内の隣接ケーブル間の摩擦を防ぐように可撓性ケーブル群42’のケーブル42a1及び42a2間に設けられる。図7(b)のロール116’は、図7(a)のロール113a及び116と同様の機能を果たす。
【0034】
本発明の他の実施形態では、可撓性ケーブル群のうちの1つの可撓性ケーブルは、マルチターン可撓性ケーブル配置のために直列又は混合直列及び並列の組み合わせで接続できる。
【0035】
本発明の横方向磁束誘導加熱装置10”の別の実施形態が図8(a)及び8(b)に示されており、ここでは、誘導加熱される材料92又は94の対向する端部の磁束歪みは、可撓性ケーブルスプレッダ及びジョイナアセンブリ54を材料の端部からさらに後方に移動させ、可撓性ケーブル52a及び52bの通過のために垂直フラップに穴を有するアセンブリの取付構造54’上に材料に面する垂直フラップ54a’を設けることにより低減される。銅管などの導電管50をフラップ54a’にはんだ付けして、可撓性ケーブルスプレッダアセンブリの機能を果たし、規定の距離「d」でケーブル52a及び52bを平行構成に維持する。導電管50は、一方の側の可撓性ケーブル52a及び52bと、他方の側の可撓性ケーブルスプレッダ/ジョイナアセンブリ54との磁気結合を増大させる。図に示すように、任意にトロイダル型磁気コア56を横方向管50の周りに設けて、導電管50が可撓性ケーブルスプレッダ/ジョイナアセンブリ54共に形成するループにおいて、主可撓性ケーブル52a及び52bと同じ大きさの電流を加える。本明細書に開示される他の横方向磁束誘導加熱装置の任意の特徴は、図8(a)及び図8(b)に示される実施形態にも適用される。
【0036】
本発明の他の実施形態では、図9(a)及び図9(b)に示されるように、誘導加熱される材料92又は94の周囲と、本発明の調節可能な横方向磁束インダクタ対のいずれか、例えば図3(a)~図4(b)の横方向磁束誘導加熱装置10間とには、トンネル構造60が設けられる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態では、トンネル構造を周囲条件から気密的に密閉し、トンネル構造内に含まれる保護雰囲気下で材料を加熱するために断熱して鋼の酸化などの材料特性に悪影響を与えることを回避し、それにより鋼の脱炭などの材料特性を改善し、又は周囲条件からの隔離を必要とする他のプロセスを実行する。
【0038】
本発明の他の実施形態では、トンネル構造は、トンネル外部の周囲圧力に対して真空又は陽圧又は陰圧で動作してトンネル環境を密閉するように強化されていてもよい。
【0039】
本明細書に開示される横方向磁束誘導加熱装置のいくつかの実施形態では、移動中のワークピースが一対の横方向インダクタ間を移動するときに対向する縁部の瞬時位置が公称位置から揺らぐ可能性があるため、一対の可撓性ケーブルから形成された横方向インダクタの横幅が誘導加熱されるワークピースの対向する縁部の瞬時位置を検知するように、セパレータアセンブリ及び/又はジョイナアセンブリの1つ以上を横方向であるY方向に選択的に移動させるために1以上の誘導加熱アクチュエータが設けられる。例えば、ワークピースの横方向の縁部の瞬間位置を検知するレーザービームセンサなどの縁部検知センサが1以上のアクチュエータに信号を送って、選択されたセパレータアセンブリ及び/又はジョイナアセンブリを移動させるコンピューター処理回路に信号を出力できる。
【0040】
本発明の横方向磁束誘導加熱装置の各実施形態は、可撓性ケーブルその他の関連部品を所定位置に保持して、これらのものに作用する電気的及び/又は機械的な力、例えば隣接する可撓性導体からの電流によって生じる電磁力に対抗するための支持構造を任意に備えることができる。支持構造は、支持構造内の誘導加熱を避けるために、必要に応じて非導電性とすべきである。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、特定の用途においてジュール加熱性及び反応性インピーダンス平衡が懸念される場合には特に、導電体の転位配置を有する可撓性ケーブルを、本明細書に記載の調節可能な横方向磁束インダクタのいずれかと共に使用できる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態では、任意に、長手方向(X方向)又は横方向(Y方向)に配向された1以上の磁気シャントを、本明細書に記載の調節可能な横方向磁束インダクタのいずれかと組み合わせて使用して、ストリップ又はスラブ材料の誘導加熱の増大のために磁束強度を増加させることができる。任意に、これらの磁気シャントを一対の横方向磁束インダクタ及びワークピースに対してX方向、Y方向又はZ方向に独立して調節して、誘導加熱されるワークピースの横方向(縁部から縁部まで)材料の温度プロファイルにおいて望ましい効果を達成することができる。
【0043】
本発明の横方向磁束誘導加熱装置の他の実施形態では、本明細書に記載の横方向磁束誘導加熱装置の任意の組み合わせの2つ以上を、電気誘導加熱ラインにおいて互いに隣接して長手方向に配置し、かつ、直列、並列又は直列と並列の組み合わせで電気的に相互接続して、ストリップ又はスラブ材料において特定の大きさの誘導電力を達成することができる。限定ではなく例示として、図10は、2つの横方向磁束誘導加熱装置10が1つ以上の交流電源に接続され、各可撓性ケーブルの瞬間電流が矢印で示される方向に流れる、互いに隣接して長手方向に配置される図3(a)~図4(b)に示される2つの横方向磁束誘導加熱装置10の簡略図である。
【0044】
用語「横方向内側」とは、横方向Yで誘導加熱されるワークピースの内部(中央)横方向領域に面することをいい、用語「横方向外側」とは、誘導加熱されるワークピースの横方向縁部に面することをいう。
【0045】
本発明の上記の実施形態は、一対の横方向磁束インダクタ間を通過するワークピース材料の上下に配置された一対の横方向磁束インダクタを開示するが、他の実施形態では、本明細書に記載の単一の横方向磁束インダクタを使用して、ワークピース材料の上面又は下面の一方のみを誘導加熱してもよい。
【0046】
上記説明では、説明の目的で、実施例及び実施形態の完全な理解のために、多数の特定の要件及びいくつかの特定の詳細を示してきた。しかし、当業者であれば、これらの特定の詳細のいくつかがなくても、1以上の他の実施例又は実施形態を実施できることが明らかであろう。説明した特定の実施形態は、本発明を限定するためではなく、例示するために提供されるものである。
【0047】
本明細書を通して、例えば、「1つの実施例又は実施形態」、「実施例又は実施形態」、「1以上の実施例又は実施形態」、又は「異なる実施例又は実施形態」は、特定の特徴が本発明の実施に包含され得ることを意味する。上記説明では、開示内容を簡素化し、様々な発明の態様の理解を助ける目的で、様々な特徴が単一の例、実施形態、図、又はその説明に分類されていることがある。
【0048】
本発明を、好ましい実施例及び実施形態に関して説明してきた。明示される場合を除き、本発明の範囲内で均等、代替及び修正が可能である。
【符号の説明】
【0049】
12a ケーブルアセンブリ
12b ケーブルアセンブリ
12a1 ケーブル
12a2 ケーブル
12a1’ 端部
12a1” 端部
13 ロール
14 可動可撓性ケーブルジョイナアセンブリ
16 ジョイナ基部
17 ジョイナロール垂直シャフト
24 可動可撓性ケーブルセパレータアセンブリ
90 導電性ストリップ材料
91a’ 誘導加熱電流ループ
91a” 誘導加熱電流ループ
92 材料
94 材料
102a インダクタ
102a 横方向磁束インダクタ
102b 横方向磁束インダクタ
102a’ バスバー
102a” バスバー
104a 電気絶縁体
104b 電気絶縁体
202a インダクタ
202a 固定幅横方向磁束インダクタ
302a 固定幅横方向磁束インダクタ
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図6(a)】
図6(b)】
図7(a)】
図7(b)】
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図10