IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 楽天株式会社の特許一覧

特許7093374取引処理装置、取引処理方法、及び取引処理プログラム
<>
  • 特許-取引処理装置、取引処理方法、及び取引処理プログラム 図1
  • 特許-取引処理装置、取引処理方法、及び取引処理プログラム 図2
  • 特許-取引処理装置、取引処理方法、及び取引処理プログラム 図3
  • 特許-取引処理装置、取引処理方法、及び取引処理プログラム 図4
  • 特許-取引処理装置、取引処理方法、及び取引処理プログラム 図5
  • 特許-取引処理装置、取引処理方法、及び取引処理プログラム 図6
  • 特許-取引処理装置、取引処理方法、及び取引処理プログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】取引処理装置、取引処理方法、及び取引処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20220622BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20220622BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20220622BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
G06Q30/02 338
G06Q30/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020012925
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021117931
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135518
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 隆
(72)【発明者】
【氏名】塩見 真由子
(72)【発明者】
【氏名】徳冨 洋
(72)【発明者】
【氏名】土家 恒生
(72)【発明者】
【氏名】浜田 進
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-147410(JP,A)
【文献】特開2004-326662(JP,A)
【文献】特開2019-021260(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0026769(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対応付く特典を管理し、前記ユーザが取引を行う際に取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当するための充当処理を実行する特典処理サーバに通信手段を介してアクセス可能な取引処理装置であって、
前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当させる充当要求を前記通信手段を介して前記特典処理サーバへ送信する充当要求送信手段と、
前記充当要求に応じて前記特典処理サーバにより実行された前記充当処理の結果情報を前記特典処理サーバから前記充当要求に対する応答として前記通信手段を介して受信する充当結果受信手段と、
前記結果情報が充当成功を示す場合に、前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当する取引を成立させる取引処理を実行する取引処理手段と、
前記充当要求送信手段により充当要求が送信された後にエラーが検知された場合、当該検知されたエラーが、充当成功の可能性がある場合に該当する特定エラーであるか否かを判定するエラー判定手段と、
を備え、
前記取引処理手段は、充当成功を示す前記結果情報が受信されない場合であっても前記エラー判定手段により前記特定エラーであると判定された場合には充当成功とみなして前記取引処理を実行する取引処理装置。
【請求項2】
前記特定エラーは、前記通信手段の不具合に起因するエラーである請求項に記載の取引処理装置。
【請求項3】
前記ユーザが取引を行う際に当該ユーザに対応付く特典の照会要求を前記通信手段を介して前記特典処理サーバへ送信する照会要求送信手段と、
前記照会要求に応じて前記特典処理サーバにより照会された前記特典に関する照会結果情報を前記特典処理サーバから前記通信手段を介して受信する照会結果受信手段と、
前記照会結果情報に基づいて、前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当可能であるか否かを判定する充当可否判定手段と、
を更に備え、
前記充当要求送信手段は、前記充当可否判定手段により前記特典を充当可能であると判定された場合に、当該特典を充当させる充当要求を前記通信手段を介して前記特典処理サーバへ送信する請求項1または2に記載の取引処理装置。
【請求項4】
前記特典処理サーバは、前記特典を、ユーザを特定可能なユーザ特定情報に対応付けて管理し、
前記取引処理装置は、店舗に設置され、前記ユーザが所持する情報表示媒体から識別情報を読み取る読取手段を備える店舗端末であり、
前記照会要求送信手段は、前記読取手段により前記情報表示媒体から読み取られた識別情報を含む前記照会要求を前記通信手段を介して前記特典処理サーバへ送信し、
前記照会結果受信手段は、前記識別情報に対応する前記ユーザ特定情報に対応付けられた特典に関する照会結果情報を前記特典処理サーバから前記通信手段を介して受信する請求項に記載の取引処理装置。
【請求項5】
ユーザに対応付く特典を管理し、前記ユーザが取引を行う際に取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当するための充当処理を実行する特典処理サーバに通信手段を介してアクセス可能なコンピュータにより行われる取引処理方法であって、
前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当させる充当要求を前記通信手段を介して前記特典処理サーバへ送信する充当要求送信ステップと、
前記充当要求に応じて前記特典処理サーバにより実行された前記充当処理の結果情報を前記特典処理サーバから前記充当要求に対する応答として前記通信手段を介して受信するステップと、
前記結果情報が充当成功を示す場合に、前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当する取引を成立させる取引処理を実行する取引処理ステップと、
前記充当要求送信ステップにより充当要求が送信された後にエラーが検知された場合、当該検知されたエラーが、充当成功の可能性がある場合に該当する特定エラーであるか否かを判定するエラー判定ステップと、
を含み、
前記取引処理ステップにおいては、充当成功を示す前記結果情報が受信されない場合であっても前記エラー判定ステップにより前記特定エラーであると判定された場合には充当成功とみなして前記取引処理を実行する取引処理方法。
【請求項6】
ユーザに対応付く特典を管理し、前記ユーザが取引を行う際に取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当するための充当処理を実行する特典処理サーバに通信手段を介してアクセス可能な取引処理装置に含まれるコンピュータを、
前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当させる充当要求を前記通信手段を介して前記特典処理サーバへ送信する充当要求送信手段と、
前記充当要求に応じて前記特典処理サーバにより実行された前記充当処理の結果情報を前記特典処理サーバから前記充当要求に対する応答として前記通信手段を介して受信する充当結果受信手段と、
前記結果情報が充当成功を示す場合に、前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当する取引を成立させる取引処理を実行する取引処理手段と
前記充当要求送信手段により充当要求が送信された後にエラーが検知された場合、当該検知されたエラーが、充当成功の可能性がある場合に該当する特定エラーであるか否かを判定するエラー判定手段として機能させ、
前記取引処理手段は、充当成功を示す前記結果情報が受信されない場合であっても前記エラー判定手段により前記特定エラーであると判定された場合には充当成功とみなして前記取引処理を実行する取引処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに対応付くポイント等の特典を利用することが可能なシステム等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザ(顧客)が店舗等と取引を行う(例えば、商品を購入またはサービスを利用する)際に決済額に応じたポイントが当該ユーザに付与されるポイントシステムが知られている。ユーザはポイントシステムにより付与されたポイントを店舗(ポイント加盟店)における取引で利用(つまり、取引対象の代金にポイントを充当)することができる。特許文献1には、自動取引装置に付設されたターミナル処理手段と、当該ターミナル処理手段に通信手段を介して接続されるホスト処理手段とを備えるポイントシステムが開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたポイントシステムにおいては、通信手段が正常な場合、ホスト処理手段がターミナル処理手段から通信手段を介して受け取ったポイント情報(現在ポイント)及び金額情報に基づいて新たなポイント情報(現在ポイント及び付加すべき今回ポイント)を演算してターミナル処理手段に送信することによりユーザのポイントカードに書き込まれる(つまり、ユーザにポイントが付与される)。一方、通信手段に異常が発生した場合、ターミナル処理手段がポイント情報及び金額情報に基づいて新たなポイント情報を演算してユーザのポイントカードに書き込むようになっている。これにより、自動取引装置側のターミナル処理手段とホスト処理手段との間の通信に異常が発生した場合であっても、自動取引装置でユーザが使用した金額情報に応じたポイントをユーザに付与することができる。
【0004】
ところで、店舗においてユーザが取引を行う際に、当該店舗の店舗端末が通信手段を介して接続された特典処理サーバ(例えば、特典サービスを展開する事業者のポイント処理サーバ)に対して取引対象の代金にユーザのポイント(つまり、ユーザに対応付くポイント)を充当させる充当要求を行う場合がある。この場合、特典処理サーバは充当要求に応じて取引対象の代金にユーザのポイントを充当するための充当処理を実行しその充当結果を、通信手段を介して店舗端末に送信する。そして、店舗端末は、特典処理サーバからの充当結果が成功であった場合に、当該ポイントを取引対象の代金に充当する取引を成立させる処理を行うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-20721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、店舗の店舗端末と特典処理サーバとの通信に何かしらの異常が発生することで、店舗端末が特典処理サーバからの正常な応答を得られない場合に、ポイントの充当を不可とすると、ポイントを利用しようと来店したユーザのポイントサービスへの信頼が失われてしまう。かかる問題は、複数の店舗により出品された各商品をオンラインで販売する商取引処理サーバと、特典処理サーバとの通信に何かしらの異常が発生することで、商取引処理サーバが特典処理サーバからの正常な応答を得られない場合にも同様に生じうる。また、ポイントを充当するための充当処理を実行する演算機能を店舗端末側に再構築すると、店舗端末の大がかりな改修が必要となり、手間もコストもかかってしまう。
【0007】
そこで、本発明では、上記問題等に鑑みてなされたものであり、特典処理サーバとの通信に何かしらの異常が発生している際にもユーザの信頼を失うことなく、ポイントサービス等の特典サービスを効率良く運用させることが可能な取引処理装置、取引処理方法、及び取引処理プログラムを提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ユーザに対応付く特典を管理し、前記ユーザが取引を行う際に取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当するための充当処理を実行する特典処理サーバに通信手段を介してアクセス可能な取引処理装置であって、前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当させる充当要求を前記通信手段を介して前記特典処理サーバへ送信する充当要求送信手段と、前記充当要求に応じて前記特典処理サーバにより実行された前記充当処理の結果情報を前記特典処理サーバから前記充当要求に対する応答として前記通信手段を介して受信する充当結果受信手段と、前記結果情報が充当成功を示す場合に、前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当する取引を成立させる取引処理を実行する取引処理手段と、前記充当要求送信手段により充当要求が送信された後にエラーが検知された場合、当該検知されたエラーが、充当成功の可能性がある場合に該当する特定エラーであるか否かを判定するエラー判定手段と、を備え、前記取引処理手段は、充当成功を示す前記結果情報が受信されない場合であっても前記エラー判定手段により前記特定エラーであると判定された場合には充当成功とみなして前記取引処理を実行する。これにより、検知される可能性のある複数種類のエラーのうち上記特定エラーある場合に限り充当成功とみなすことで、取引対象の代金の少なくとも一部に特典を充当する取引を成立させる機能の信頼性を高めることができる。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の取引処理装置において、前記特定エラーは、前記通信手段の不具合に起因するエラーである。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の取引処理装置において、前記ユーザが取引を行う際に当該ユーザに対応付く特典の照会要求を前記通信手段を介して前記特典処理サーバへ送信する照会要求送信手段と、前記照会要求に応じて前記特典処理サーバにより照会された前記特典に関する照会結果情報を前記特典処理サーバから前記通信手段を介して受信する照会結果受信手段と、前記照会結果情報に基づいて、前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当可能であるか否かを判定する充当可否判定手段と、を更に備え、前記充当要求送信手段は、前記充当可否判定手段により前記特典を充当可能であると判定された場合に、当該特典を充当させる充当要求を前記通信手段を介して前記特典処理サーバへ送信する。これにより、充当成功の可能性がある場合には充当成功とみなして取引対象の代金の少なくとも一部に特典を充当する取引を成立させる機能の信頼性を高めることができる。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の取引処理装置において、前記特典処理サーバは、前記特典を、ユーザを特定可能なユーザ特定情報に対応付けて管理し、前記取引処理装置は、店舗に設置され、前記ユーザが所持する情報表示媒体から識別情報を読み取る読取手段を備える店舗端末であり、前記照会要求送信手段は、前記読取手段により前記情報表示媒体から読み取られた識別情報を含む前記照会要求を前記通信手段を介して前記特典処理サーバへ送信し、前記照会結果受信手段は、前記識別情報に対応する前記ユーザ特定情報に対応付けられた特典に関する照会結果情報を前記特典処理サーバから前記通信手段を介して受信する。これにより、特に実店舗における忙しい最中に、取引処理装置と特典処理サーバとの通信に何かしらの異常が発生している際にもユーザの信頼を失うことなく、特典サービスを、より効率良く運用させることができる。
【0013】
請求項に記載の発明は、ユーザに対応付く特典を管理し、前記ユーザが取引を行う際に取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当するための充当処理を実行する特典処理サーバに通信手段を介してアクセス可能なコンピュータにより行われる取引処理方法であって、前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当させる充当要求を前記通信手段を介して前記特典処理サーバへ送信する充当要求送信ステップと、前記充当要求に応じて前記特典処理サーバにより実行された前記充当処理の結果情報を前記特典処理サーバから前記充当要求に対する応答として前記通信手段を介して受信するステップと、前記結果情報が充当成功を示す場合に、前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当する取引を成立させる取引処理を実行する取引処理ステップと、前記充当要求送信ステップにより充当要求が送信された後にエラーが検知された場合、当該検知されたエラーが、充当成功の可能性がある場合に該当する特定エラーであるか否かを判定するエラー判定ステップと、を含み、前記取引処理ステップにおいては、充当成功を示す前記結果情報が受信されない場合であっても前記エラー判定ステップにより前記特定エラーであると判定された場合には充当成功とみなして前記取引処理を実行する。
【0014】
請求項に記載の発明は、ユーザに対応付く特典を管理し、前記ユーザが取引を行う際に取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当するための充当処理を実行する特典処理サーバに通信手段を介してアクセス可能な取引処理装置に含まれるコンピュータを、前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当させる充当要求を前記通信手段を介して前記特典処理サーバへ送信する充当要求送信手段と、前記充当要求に応じて前記特典処理サーバにより実行された前記充当処理の結果情報を前記特典処理サーバから前記充当要求に対する応答として前記通信手段を介して受信する充当結果受信手段と、前記結果情報が充当成功を示す場合に、前記取引対象の代金の少なくとも一部に前記特典を充当する取引を成立させる取引処理を実行する取引処理手段と、前記充当要求送信手段により充当要求が送信された後にエラーが検知された場合、当該検知されたエラーが、充当成功の可能性がある場合に該当する特定エラーであるか否かを判定するエラー判定手段として機能させ、前記取引処理手段は、充当成功を示す前記結果情報が受信されない場合であっても前記エラー判定手段により前記特定エラーであると判定された場合には充当成功とみなして前記取引処理を実行する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、取引処理装置と特典処理サーバとの通信に何かしらの異常が発生している際にもユーザの信頼を失うことなく、特典サービスを効率良く運用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】取引システムSの概要構成例を示す図である。
図2】(A)は、店舗端末1の機能構成例を示すブロック図であり、(B)は、制御部17における機能ブロックの一例を示す図である。
図3】検知される可能性のあるエラーのリストの一例を示す図である。
図4】(A)は、売上管理サーバ2の機能構成例を示すブロック図であり、制御部23における機能ブロックの一例を示す図である。
図5】(A)は、ポイント処理サーバ3の機能構成例を示すブロック図であり、(B)は、制御部33における機能ブロックの一例を示す図である。
図6】(A)は、ユーザと店舗との間で取引が行われる際における店舗端末1の制御部17の処理の一例を示すフローチャートであり、(B)は、ユーザと店舗との間で取引が行われる際におけるポイント処理サーバ3の制御部33の処理の一例を示すフローチャートである。
図7】(A)は、充当突合が行われる際における売上管理サーバ2の制御部23の処理の一例を示すフローチャートであり、(B)は、充当突合が行われる際におけるポイント処理サーバ3の制御部33の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施の形態は、店舗とユーザとの間の取引(商取引)を処理する取引システムSに対して本発明を適用した場合の一実施形態である。なお、本実施形態に係る取引システムSにおいては、ユーザは取引を行う際に取引対象の代金の少なくとも一部に特典を充当することが可能になっている。ここで、取引対象には、例えば、ユーザが店舗で購入可能な商品、及びユーザが店舗(例えば、レストランやホテル等の施設)で利用可能なサービス等が該当する。また、特典とは、金銭(貨幣)や電子マネーと同等の金銭的価値を有するものである。代金の少なくとも一部に特典を充当するとは、当該代金の少なくとも一部に、金銭や電子マネーの代わりに特典を充てることで取引を成立させる(つまり、決済させる)ことを意味する。特典の例としては、ポイント、クーポン、割引券等が挙げられるが、本実施形態では、ポイントを例にとって説明するものとする。かかるポイントは、例えば、取引時に決済された決済額(取引対象の代金に相当)の所定割合(例えば、1,000円の1%)としてユーザに付与される(ユーザに与えられる)ほか、キャンペーン等のイベントにおいて無料でユーザに付与される場合もある。かかるポイントは、数値(ポイント数)で表され、ユーザ特定情報(ユーザ識別情報)に対応付けて記憶される。
【0018】
[1.取引システムSの構成及び機能概要]
先ず、図1を参照して、本実施形態に係る取引システムSの構成及び機能概要について説明する。図1は、取引システムSの概要構成例を示す図である。図1に示すように、取引システムSは、店舗端末1(取引処理装置の一例)、売上管理サーバ2、及びポイント処理サーバ3(特典処理サーバの一例)等を含んで構成される。店舗端末1、売上管理サーバ2、及びポイント処理サーバ3は、それぞれ、ネットワークNW(通信手段の一例)に接続される。ネットワークNWは、例えば、インターネット、専用回線、または移動体通信ネットワーク(無線基地局を含む)等から構成される(或いは、これらの組合せから構成される)。なお、図1の例では、店舗端末1は、1つ示されているが実際には店舗毎に1または複数台存在する。
【0019】
店舗端末1は、例えば、ポイントを利用可能な店舗(実店舗)に設置され、取引対象についての取引を成立させる取引処理(売上処理ともいう)を実行するPOS(Point Of Sales)端末である。なお、店舗端末1は、取引処理を実行するためのアプリケーションがインストールされたタブレット端末等により構成されてもよい。店舗端末1は、ネットワークNWを介して売上管理サーバ2及びポイント処理サーバ3にアクセス可能になっている。売上管理サーバ2は、店舗において成立(つまり、決済が完了)した取引についての売上情報を店舗端末1から受信して管理するサーバである。店舗がいわゆるチェーン店である場合、売上管理サーバ2は、各店舗に設置された店舗端末1のそれぞれから売上情報を受信して店舗毎に管理する。
【0020】
ポイント処理サーバ3は、ユーザに対応付くポイントの残高(以下、「ユーザのポイント残高」または「ポイント残高」という)を管理(例えば、ポイントをユーザIDに対応付けてユーザ毎に管理)し、ユーザが店舗と取引を行う際に取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当するための充当処理を実行するサーバである。代金の少なくとも一部に充当されるポイントは、ユーザのポイント残高のうちユーザにより指定されたポイント(全ポイントであってもよいし、或いは一部のポイントであってもよい)である。なお、ユーザID(例えば、会員ID)は、ユーザを特定可能(識別可能)なユーザ特定情報の一例である。
【0021】
店舗端末1は、店舗と取引を行うユーザの指示の下で取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当させる充当要求を、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へ送信する。そして、店舗端末1は、充当要求に応じてポイント処理サーバ3により実行された上記充当処理の結果情報(以下、「充当結果情報」という)をポイント処理サーバ3からネットワークNWを介して受信し、当該充当結果情報が充当成功を示す場合に、取引対象の代金の少なくとも一部にポイント(ユーザのポイント残高以下のポイント)を充当する取引を成立させる取引処理を実行する。
【0022】
本実施形態では、店舗端末1は、充当成功を示す充当結果情報が受信されない場合であっても当該充当成功の可能性がある場合には充当成功とみなして上記取引処理を実行することでポイントの充当(これを、「みなし充当」という)を可能としている。これにより、特に実店舗における忙しい最中に、店舗端末1とポイント処理サーバ3との通信に何かしらの異常が発生している際にもユーザの信頼を失うことなく、ポイントサービスを効率良く運用させることができる。なお、充当失敗を示す充当結果情報が受信された場合、みなし充当は行われない。
【0023】
[1-1.店舗端末1の構成及び機能]
次に、図2を参照して、店舗端末1の構成及び機能について説明する。図2(A)は、店舗端末1の機能構成例を示すブロック図である。図2(A)に示すように、店舗端末1は、通信部11、操作部12、コード読取部13(読取手段の一例)、表示部14、レシート出力部15、記憶部16、及び制御部17等を備える。
【0024】
通信部11は、ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。操作部12は、店員が操作入力を行うための各種の操作キーを備える。操作キーには、例えば、数値を入力するためのキー、所定の項目を選択するためのキー、及び一取引の取引処理を実行させ当該取引を完了させるキーが含まれる。
【0025】
コード読取部13は、バーコードや二次元コード等の識別コード(識別情報の一例)を光学的、磁気的、または電気的に読み取るリーダである。コード読取部13は、店舗と取引を行うユーザが所持する情報表示媒体から識別コードを読み取る。読み取られた識別コードは、制御部17へ出力される。ここで、識別コードは、ユーザIDであってもよいし、或いはポイント処理サーバ3内でユーザIDと一意に対応付けられた固有番号であってもよい。
【0026】
なお、ユーザが所持する情報表示媒体は、ユーザが所持する携帯端末(例えば、スマートフォン)であってよいし、或いはユーザが所持するカード(例えば、紙やプラスチック等からなるカード)であってもよい。情報表示媒体が携帯端末である場合、ユーザの操作にしたがって携帯端末のディスプレイに表示された識別コードがコード読取部13により読み取られる。このとき、表示される識別コードは、ユーザID及びワンタイムコードにより構成されてもよい。ワンタイムコードは、携帯端末にインストールされたトークン(ユーザ毎に固有のトークン)により現在時刻に基づいて生成される。
【0027】
一方、情報表示媒体がカードである場合、カードに印字された識別コードがコード読取部13により読み取られる。かかる識別コードは、例えば、ポイント処理サーバ3により提供される登録サイトでユーザIDと対応付け可能な固有番号である。この場合、ユーザが携帯端末(PCでもよい)から当該登録サイトにログインして当該固有番号を入力することでユーザIDと対応付けられることになる。なお、当該カードは、ユーザに発行された会員カードであってもよいし、或いはユーザに有償または無償で配布された割引用カードであってもよい。
【0028】
表示部14は、例えばディスプレイ等を備え、当該ディスプレイには、取引対象の名称(例えば、商品名)、及び取引対象の代金(例えば、商品の販売価格)等の情報が表示される。なお、表示部14をタッチパネルとしてもよく、この場合、タッチパネルは操作部12として機能する。レシート出力部15は、決済情報が印字されたレシートを出力する。決済情報には、取引が成立した取引対象の名称、決済日時、決済方法(例えば、現金決済、電子マネー決済、クレジット決済、ポイント決済)、及び決済額等が含まれる。
【0029】
記憶部16は、例えば不揮発性メモリ等により構成され、オペレーティングシステム、取引処理を実行するためのアプリケーション(本発明の取引処理プログラムを含む)、及び各種データを記憶する。なお、取引処理プログラムは、所定のサーバから店舗端末1にダウンロードされてもよいし、CDやDVD等の記録媒体から読み込まれて記憶部16に記憶されるようにしてもよい。
【0030】
制御部17は、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),及びRAM(Random Access Memory)等を備え、オペレーティングシステム上でアプリケーションを実行する。図2(B)は、制御部17における機能ブロックの一例を示す図である。制御部17は、アプリケーションの実行により、図2(B)に示すように、照会要求送信部171、照会結果受信部172、充当可否判定部173、充当要求送信部174、充当結果受信部175、エラー検知部176、エラー判定部177、及び取引処理部178等として機能する。
【0031】
なお、照会要求送信部171は、本発明における照会要求送信手段の一例である。照会結果受信部172は、本発明における照会結果受信手段の一例である。充当可否判定部173は、本発明における充当可否判定手段の一例である。充当要求送信部174は、本発明における充当要求送信手段の一例である。充当結果受信部175は、本発明における充当結果受信手段の一例である。エラー判定部177は、本発明におけるエラー判定手段の一例である。取引処理部178は、本発明における取引処理手段の一例である。
【0032】
照会要求送信部171は、ユーザが取引を行う際にユーザのポイント残高等の照会要求を、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へ送信する。照会要求には、例えば、ユーザが所持する情報表示媒体からコード読取部13により読み取られた識別コードが含まれる。照会結果受信部172は、照会要求送信部171により送信された照会要求に応じてポイント処理サーバ3により照会されたポイントに関する照会結果情報を、照会要求に対する応答として、ポイント処理サーバ3からネットワークNWを介して受信する。照会結果情報には、ユーザのポイント残高、及びコードが含まれる。ここで、コードは、ユーザIDであってもよいし、ユーザIDに一意に対応するコードであってもよい。さらに、照会結果情報には、充当可否フラグが含まれてもよい。充当可否フラグは、取引対象の代金に特典を充当可能であるか否かを示す。例えばユーザからユーザIDの盗用(不正使用)が報告された場合、充当可否フラグは充当不可を示すように設定される。
【0033】
充当可否判定部173は、照会結果受信部172により受信された照会結果情報に基づいて、取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当可能であるか否かを判定する。例えば、受信された照会結果情報に含まれるポイント残高に対応する金額(つまり、ポイント残高を所定の換算率で換算された金額)が所定額未満である場合、充当可能でないと判定される。例えば、取引対象の代金の全部へのポイントの充当がユーザにより指示された場合、所定額は、取引対象の代金(例えば、1,000円)と等しい金額である。一方、取引対象の代金の一部へのポイントの充当がユーザにより指示された場合、所定額は、取引対象の代金(例えば、1,000円)から、ポイント決済以外の決済方法(例えば、ユーザにより指示された現金決済、電子マネー決済、またはクレジット決済等)により支払われる金額(例えば、ユーザにより指示された600円)が減算された金額(例えば、400円)である。なお、照会結果情報に含まれる充当可否フラグが充当不可を示す場合、ポイント残高に対応する金額が所定額以上であっても、充当可能でないと判定される。
【0034】
充当要求送信部174は、充当可否判定部173によりポイントを充当可能であると判定された場合に、当該ポイントを充当させる充当要求を、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へ送信する。充当要求には、例えば、上記コード、及び取引対象の代金の少なくとも一部に充当させるポイントを示す情報等が含まれる。充当要求に応じてポイント処理サーバ3により充当処理が実行され、当該充当要求に対する応答として充当結果情報が店舗端末1へ送信される。ここで、充当結果情報は、充当成功または充当失敗を示す電文である。
【0035】
充当結果受信部175は、充当要求に対する応答として、充当結果情報をポイント処理サーバ3からネットワークNWを介して受信する。ただし、店舗端末1とポイント処理サーバ3とのネットワークNWを介する通信に何かしらの異常(例えば、ネットワークNWの不具合)が発生することで、ポイント処理サーバ3からの正常な応答が得られない場合がある。
【0036】
ここで、正常な応答が得られない場合とは、ポイント処理サーバ3から充当結果情報が受信されない場合、または、ポイント処理サーバ3から充当結果情報が受信されたがその電文を解析できない(つまり、解析により充当成功と充当失敗とのいずれも特定できない)場合である。ポイント処理サーバ3から充当結果情報が受信されない場合には、充当要求がポイント処理サーバ3により受信され充当処理が実行されて充当結果情報が送信されたが店舗端末1により受信されなかった場合のほか、充当要求がポイント処理サーバ3により受信されなかった(正常に届かなかった)ことによりポイント処理サーバ3から充当結果情報が送信されなかった場合が該当する。また、電文を解析できない場合には、店舗端末1により受信された充当結果情報に係る電文のフォーマットは正しいがその内容(データ)が壊れている(例えば、文字化けに相当)場合が該当する。
【0037】
エラー検知部176は、所定のエラー診断アルゴリズムにしたがってエラーを検知する。エラー診断アルゴリズムには、公知の種々のプログラムを適用することができる。例えば、エラー検知部176は、通信電文のHTTP(Hypertext Transfer Protocol)ステータスコードや、ネットワークコネクションを作成するプログラムのエラーコードなどを参照することでエラーを検知する。エラー検知部176によりエラーが検知されると、検知されたエラーに対応するエラー結果コードが特定される。図3は、検知される可能性のあるエラーのリストの一例を示す図である。図3に示すように、検知される可能性のあるエラーは複数種類あり、それぞれのエラーには固有のエラー結果コードが対応付けられている。
【0038】
エラー判定部177は、充当要求送信部174により充当要求が送信された後に、エラー検知部176によりエラーが検知された場合、当該検知されたエラーが充当成功の可能性がある場合に該当する特定エラーであるか否かを判定する。ここで、充当成功の可能性がある場合に該当する特定エラーとは、例えばネットワークNWの不具合に起因するエラーである。図3の例では、通信タイムアウト、通信回線の切断による通信エラー、及び応答電文解析失敗が、それぞれ、充当成功の可能性がある場合に該当する特定エラーとなる。ここで、通信タイムアウト、及び通信回線の切断による通信エラーは、それぞれ、ポイント処理サーバ3から充当結果情報が受信されない場合に該当する。一方、応答電文解析失敗は、ポイント処理サーバ3から受信された充当結果情報に係る電文を解析できない場合(つまり、異常な応答が得られた場合)に該当する。
【0039】
取引処理部178は、充当結果受信部175により受信された充当結果情報が充当成功を示す場合(つまり、充当結果情報に係る電文を解析した結果、充当成功を特定できた場合)に、取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当する取引を成立させる取引処理を実行する。ここで、取引処理では、取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当する決済処理(つまり、ユーザに対して当該代金の支払いを課す処理)が実行されるとともに、取引対象の名称及び決済額等を含む決済情報を印字するレシートをレシート出力部15に出力させる処理等が行われる。
【0040】
また、取引処理部178は、充当成功を示す充当結果情報が受信されない場合であっても当該充当成功の可能性がある場合には充当成功とみなして上記取引処理を実行する。例えば、取引処理部178は、エラー判定部177により上記特定エラーであると判定された場合に充当成功とみなして、みなし充当を含む取引処理を実行する。これにより、取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当する取引を成立させる機能の信頼性を高めることができる。こうして取引が完了した後、取引処理部178は、上記決済情報を含む売上情報を売上管理サーバ2へ送信する。なお、充当結果受信部175により受信された充当結果情報が充当失敗を示す場合(つまり、充当結果情報に係る電文を解析した結果、充当失敗を特定できた場合)、みなし充当を含む取引処理は行われない。
【0041】
[1-2.売上管理サーバ2の構成及び機能]
次に、図4を参照して、売上管理サーバ2の構成及び機能について説明する。図4(A)は、売上管理サーバ2の機能構成例を示すブロック図である。図4(A)に示すように、売上管理サーバ2は、通信部21、記憶部22、及び制御部23等を備える。
【0042】
通信部21は、ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブ等からなり、オペレーティングシステム、サーバプログラム、及び各種データ等を記憶する。また、記憶部22には、売上情報データベース221等が構築される。
【0043】
売上情報データベース221には、店舗の売上情報が格納される。売上情報には、成立した取引の取引ID、店舗の店舗ID、取引対象の取引対象ID、決済情報、充当されたポイント(充当無しの場合は0ポイント)、及びポイントが充当(みなし充当を含む)されたときのコード等が対応付けられて含まれる。ここで、コードは、売上情報に含まれない場合(例えば、現金決済のみで取引が成立した場合)もある。決済情報には、上述したように、取引対象の名称、決済日時、決済方法、及び決済額等が含まれる。なお、売上情報には、ポイントが充当された後のポイント残高が含まれてもよい。
【0044】
制御部23は、CPU,ROM,及びRAM等を備え、オペレーティングシステム上でサーバプログラム等を実行する。図4(B)は、制御部23における機能ブロックの一例を示す図である。制御部23は、サーバプログラム等の実行により、図4(B)に示すように、売上情報保管部231、充当突合処理部232、及び充当補正要求部233等として機能する。売上情報保管部231は、店舗端末1から受信した売上情報を売上情報データベース221に保管する。
【0045】
充当突合処理部232は、ポイント充当情報を取得するためのファイル連携要求を、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へ送信する。ここで、ポイント充当情報には、例えば、取引毎に区別されたファイルに格納される。ポイント充当情報には、ポイント充当日時、充当されたポイント(つまり、ポイント残高から減算されたポイント)、及びコード等が含まれる。なお、ポイント充当情報には、ポイント残高が含まれてもよい。
【0046】
そして、充当突合処理部232は、ポイント処理サーバ3から取得したポイント充当情報と、売上情報データベース221に格納された売上情報と突合(例えば、日時、充当されたポイント、及びコードで突合)することによりポイント充当の整合性有無を判定する。これにより、例えば、店舗端末1において行われた「みなし充当」に対応する充当処理がポイント処理サーバ3で行われていない場合、当該みなし充当されたポイントがポイント残高から減算されていないので、ポイント充当の整合性無と判定される。または、売上情報とポイント充当情報とのポイント残高が一致しないので整合性無と判定される。ここで、店舗端末1において行われた「みなし充当」に対応する充当処理がポイント処理サーバ3で行われていない場合の原因として、例えば、充当要求がポイント処理サーバ3に届かなかったことや、充当失敗を示す充当結果情報が店舗端末1により受信されたがその電文を解析できなかったことなどが挙げられる。
【0047】
充当補正要求部233は、ポイント充当を補正させる充当補正要求を、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へ送信する。充当補正要求には、例えば、コード及びみなし充当されたポイントを示す情報等が含まれる。
【0048】
[1-3.ポイント処理サーバ3の構成及び機能]
次に、図5を参照して、ポイント処理サーバ3の構成及び機能について説明する。図5(A)は、ポイント処理サーバ3の機能構成例を示すブロック図である。図5(A)に示すように、ポイント処理サーバ3は、通信部31、記憶部32、及び制御部33等を備える。
【0049】
通信部31は、ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。記憶部32は、例えば、ハードディスクドライブ等からなり、オペレーティングシステム、サーバプログラム、及び各種データ等を記憶する。ここで、各種データには、ユーザIDと固有番号(識別コード)とを対応付ける対応付けテーブルが含まれる。また、記憶部32には、ポイント実績データベース321等が構築される。
【0050】
ポイント実績データベース321には、ポイント利用についての会員登録がなされたユーザのポイント実績情報が格納される。ポイント実績情報には、ユーザのユーザID、ポイント残高、充当可否フラグ、ポイント付与情報、及びポイント充当情報が対応付けられて含まれる。ここで、ポイント付与情報には、ポイント付与日時、及びユーザに対応付くポイント(つまり、ポイント残高に加算されたポイント)等が含まれる。なお、記憶部32には、ユーザ毎に固有のトークンがそれぞれのユーザIDに対応付けられて記憶されてもよい。
【0051】
制御部33は、CPU,ROM,及びRAM等を備え、オペレーティングシステム上でサーバプログラム等を実行する。図5(B)は、制御部33における機能ブロックの一例を示す図である。制御部33は、サーバプログラム等の実行により、図5(B)に示すように、照会処理部331、充当処理部332、充当突合連携部333、及び充当補正処理部334等として機能する。
【0052】
照会処理部331は、店舗端末1から照会要求が受信された場合に、当該照会要求に含まれる識別コードに基づいて、ポイント残高(または、ポイント残高と充当可否フラグ)をポイント実績データベース321から取得する。そして、照会処理部331は、ポイント実績データベース321から取得されたポイント残高(または、ポイント残高と充当可否フラグ)、及びコードを含む照会結果情報(ユーザのポイントに関する照会結果情報)を、照会要求に対する応答として、ネットワークNWを介して店舗端末1へ送信する。
【0053】
充当処理部332は、店舗端末1から充当要求が受信された場合に、当該充当要求に含まれるコードに基づいて、ユーザのポイント残高をポイント実績データベース321から取得する。そして、充当処理部332は、ポイント実績データベース321から取得されたポイント残高と、充当要求に示されるポイント(つまり、取引対象の代金の少なくとも一部に充当させるポイント)とに基づいて、当該ポイントを充当するための充当処理を実行する。ここで、充当処理では、ポイント残高から充当要求されたポイント(充当要求に示されるポイント)を減算し、減算後のポイント残高によりポイント実績データベース321に格納されているポイント残高を更新(上書き)する処理等が行われる。
【0054】
そして、充当処理が正常に完了した場合(つまり、ポイント残高から充当要求されたポイントが正常に減算された(当該ポイントが充当された)場合)、充当処理部332は、充当成功を示す充当結果情報を、充当要求に対する応答として、ネットワークNWを介して店舗端末1へ送信する。また、充当処理が正常に完了した場合、充当処理部332は、ポイント充当日時、ポイント残高から減算されたポイント、及びコード等を含むポイント充当情報をポイント実績データベース321に格納する。一方、充当処理が正常に完了しなかった場合(例えば、ポイント処理サーバ3内の一過性の不具合のため)、充当処理部332は、充当失敗を示す充当結果情報を、充当要求に対する応答として、ネットワークNWを介して店舗端末1へ送信する。
【0055】
充当突合連携部333は、売上管理サーバ2からファイル連携要求が受信された場合に、ポイント実績データベース321からポイント充当情報を取得し、当該ポイント充当情報を、ファイル連携要求に対する応答として、ネットワークNWを介して店舗端末1へ送信する。
【0056】
充当補正処理部334は、売上管理サーバ2から充当補正要求が受信された場合に、当該充当補正要求に含まれるコードに基づいて、ユーザのポイント残高をポイント実績データベース321から取得する。そして、充当補正処理部334は、ポイント実績データベース321から取得されたポイント残高と、充当補正要求に示されるポイント(つまり、みなし充当されたポイント)とに基づいて、ポイント充当を補正するための充当補正処理を実行する。ここで、充当補正処理では、ポイント残高から充当補正要求されたポイントを減算し、減算後のポイント残高によりポイント実績データベース321に格納されているポイント残高を更新する処理等が行われる。
【0057】
そして、充当補正処理が正常に完了した場合、充当補正処理部334は、ポイント充当日時(みなし充当があった日時でもよい)、ポイント残高から減算されたポイント、及びコード等を含むポイント充当情報をポイント実績データベース321に格納する。一方、充当補正処理が正常に完了しなかった場合、充当補正エラーが記録される。ここで、充当補正処理が正常に完了しなかった場合の原因として、みなし充当後にユーザが他の取引を行ったことでポイント残高不足になったことが挙げられる。
【0058】
なお、充当失敗の場合であっても時間が経過すれば不具合が解消して充当処理が正常に完了できる可能性もある。この場合において、充当失敗を示す充当結果情報が店舗端末1により受信されたがその電文を解析できなかったことで店舗端末1によりみなし充当が行われた場合、充当処理によりポイント残高から減算されていなかったポイントは、充当補正処理部334の充当補正処理により当該ポイント残高から減算されることができる。
【0059】
[2.取引システムSの動作]
次に、本実施形態に係る取引システムSの動作について説明する。
【0060】
[2-1.ユーザと店舗との間で取引が行われる際における動作]
先ず、図6を参照して、ユーザと店舗との間で取引が行われる際における動作の一例について説明する。図6(A)は、ユーザと店舗との間で取引が行われる際における店舗端末1の制御部17の処理の一例を示すフローチャートであり、図6(B)は、ユーザと店舗との間で取引が行われる際におけるポイント処理サーバ3の制御部33の処理の一例を示すフローチャートである。
【0061】
例えば、店舗においてユーザが取引対象の代金を支払う際にポイント利用の意思表示をして、携帯端末を操作して識別コードをディスプレイに表示させる。そして、店員が携帯端末のディスプレイに店舗端末1のコード読取部13を翳すことで識別コードが読み取られると、図6(A)に示す処理が開始される。
【0062】
図6(A)に示す処理が開始されると、制御部17(照会要求送信部171)は、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へアクセスし、コード読取部13により読み取られた識別コードを含む照会要求を、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へ送信する(ステップS1)。こうして、照会要求が送信されると、ポイント処理サーバ3からの照会結果情報の受信が待機される(ステップS2)。
【0063】
一方、ポイント処理サーバ3において、店舗端末1から送信された照会要求が通信部31を介して受信されると、図6(B)に示す処理が開始される。図6(B)に示す処理が開始されると、制御部33(照会処理部331)は、受信された照会要求に含まれる識別コードに対応するユーザIDを特定する(ステップS21)。ここで、識別コードが固有番号である場合、上記対応付けテーブルが参照されることにより、固有番号に対応付けられたユーザIDが特定される。
【0064】
なお、照会要求に含まれる識別コードがユーザID及びワンタイムコードにより構成される場合、制御部33は、ステップS21で特定されたユーザIDに対応付けられて記憶されたトークンを選択する。そして、制御部33は、選択されたトークンにより現在時刻に基づいてワンタイムコードを生成し、当該生成したワンタイムコードと、当該識別コードに含まれるワンタイムコードとが一致する場合(つまり、ユーザが認証された場合)に、ステップS22に進むように構成してもよい。これにより、セキュリティを向上することができる。
【0065】
次いで、制御部33(照会処理部331)は、ステップS21で特定されたユーザIDに対応付けられたポイント残高及び充当可否フラグをポイント実績データベース321から取得する(ステップS22)。次いで、制御部33(照会処理部331)は、ステップS21で特定されたユーザIDに基づいてコードを生成する(ステップS23)。
【0066】
次いで、制御部33(照会処理部331)は、ステップS22で取得されたポイント残高及び充当可否フラグと、ステップS23で生成されたコードとを含む照会結果情報(ユーザIDに対応付けられたポイントに関する照会結果情報)を、照会要求に対する応答として、ネットワークNWを介して店舗端末1へ送信する(ステップS24)。こうして、照会結果情報が送信されると、店舗端末1からの充当要求の受信が待機される(ステップS25)。
【0067】
一方、店舗端末1において、ポイント処理サーバ3から送信された照会結果情報が通信部11を介して照会結果受信部172により受信されると(ステップS2:YES)、処理はステップS3へ進む。なお、図6(A)の例では図示を省略するが、照会要求の送信から所定時間以上照会結果情報が受信されない場合、通信タイムアウトとなり、図6(A)に示す処理が終了する。
【0068】
ステップS3では、制御部17(充当可否判定部173)は、ステップS2で受信された照会結果情報に基づいて、取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当可能であるか否かを判定する。例えば、上述したように、ポイント残高に対応する金額が所定額未満である場合、充当可能でないと判定される。取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当可能でないと判定された場合(ステップS3:NO)、ポイント利用不可を示すメッセージが表示部14のディスプレイに表示され、図6(A)に示す処理が終了する。この場合、ポイントを利用しない決済方法で取引対象の代金を支払う処理へ移行する。
【0069】
一方、取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当可能であると判定された場合(ステップS3:YES)、制御部17(充当要求送信部174)は、コード及び充当させるポイントを示す情報を含む充当要求を、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へ送信する(ステップS4)。なお、上述したように、送信された充当要求は、例えばネットワークNWの不具合が原因でポイント処理サーバ3に届かない場合もある。こうして、充当要求が送信されると、ポイント処理サーバ3からの充当結果情報の受信が待機される(ステップS5)。
【0070】
次いで、制御部17は、エラー検知部176によりエラーが検知されたか否かを判定する(ステップS6)。エラーが検知されたと判定された場合(ステップS6:YES)、処理はステップS7へ進む。一方、エラーが検知されていないと判定された場合(ステップS6:NO)、処理はステップS5に戻る。なお、ステップS6の処理はステップS5の前に行われてもよい。
【0071】
ステップS7では、制御部17(エラー判定部177)は、ステップS6で検知されたエラーが充当成功の可能性がある場合に該当する特定エラーであるか否かを判定する。当該特定エラーでないと判定された場合(ステップS7:NO)、ポイント利用不可を示すメッセージが表示部14のディスプレイに表示され、図6(A)に示す処理が終了する。この場合、ポイントを利用しない決済方法で取引対象の代金を支払う処理へ移行する。一方、充当成功の可能性がある場合に該当する特定エラー(例えば、通信タイムアウト)であると判定された場合(ステップS7:YES)、処理はステップS10へ進み、みなし充当を含む取引処理が実行される。
【0072】
一方、ポイント処理サーバ3において、店舗端末1から送信された充当要求が通信部31を介して受信されると(ステップS25:YES)、処理はステップS26へ進む。なお、図6(B)の例では図示を省略するが、照会結果情報の送信から所定時間以上充当要求が受信されない場合、通信タイムアウトとなり、図6(B)に示す処理が終了する。
【0073】
ステップS26では、制御部33(充当処理部332)は、ステップS25で受信された充当要求に含まれるコードに対応するユーザIDを特定する。次いで、制御部33(充当処理部332)は、ステップS26で特定されたユーザIDに対応付けられたポイント残高をポイント実績データベース321から取得する(ステップS27)。次いで、制御部33(充当処理部332)は、ステップS27で取得されたポイント残高と充当要求に示されるポイントとに基づいて、当該ポイントを充当するための充当処理を実行する(ステップS28)。
【0074】
次いで、制御部33(充当処理部332)は、充当処理が正常に完了したか否かを判定する(ステップS29)。例えば、上述したように、ポイント残高から充当要求に示されるポイントが正常に減算されてポイント実績データベース321に上書きされた場合、充当処理が正常に完了したと判定される。制御部33(充当処理部332)は、充当処理が正常に完了したと判定した場合(ステップS29:YES)、充当成功を示す充当結果情報を、充当要求に対する応答として、ネットワークNWを介して店舗端末1へ送信し(ステップS30)、図6(B)に示す処理を終了する。
【0075】
一方、制御部33(充当処理部332)は、充当処理が正常に完了しなかったと判定した場合(ステップS29:NO)、充当失敗を示す充当結果情報を、充当要求に対する応答として、ネットワークNWを介して店舗端末1へ送信し(ステップS31)、図6(B)に示す処理を終了する。なお、上述したように、ステップS30またはステップS31で送信された充当結果情報は、例えばネットワークNWの不具合が原因で店舗端末1に届かない場合もある。
【0076】
一方、店舗端末1において、ポイント処理サーバ3から送信された充当結果情報が通信部11を介して充当結果受信部175により受信されると(ステップS5:YES)、処理はステップS8へ進む。ステップS8では、制御部17は、エラー検知部176により特定エラーとして応答電文解析失敗が検知されたか否かを判定する。応答電文解析失敗が検知されていないと判定された場合(ステップS8:NO)、処理はステップS9へ進む。一方、応答電文解析失敗が検知されたと判定された場合(ステップS8:YES)、処理はステップS10へ進み、みなし充当を含む取引処理が実行される。
【0077】
ステップS9では、制御部17は、ステップS5で受信された充当結果情報が充当成功を示すか否かを判定する。充当結果情報が充当成功を示されない(つまり、充当失敗を示す)と判定された場合(ステップS9:NO)、ポイント利用不可を示すメッセージが表示部14のディスプレイに表示され、図6(A)に示す処理が終了する。この場合、ポイントを利用しない決済方法で取引対象の代金を支払う処理へ移行する。一方、充当結果情報が充当成功を示すと判定された場合(ステップS9:YES)、制御部17(取引処理部178)は、取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当する取引を成立させる取引処理を実行する(ステップS10)。
【0078】
次いで、制御部17(取引処理部178)は、ネットワークNWを介して売上管理サーバ2にアクセスし、成立した取引に係る決済情報を含む売上情報を、ネットワークNWを介して売上管理サーバ2へ送信し(ステップS11)、図6(A)に示す処理を終了する。なお、当該売上情報は、例えば24時間に1回実行されるバッチ処理で後から纏めて売上管理サーバ2へ送信されてもよい。
【0079】
[2-2.充当突合が行われる際における動作]
次に、図7を参照して、充当突合が行われる際における動作の一例について説明する。図7(A)は、充当突合が行われる際における売上管理サーバ2の制御部23の処理の一例を示すフローチャートであり、図7(B)は、充当突合が行われる際におけるポイント処理サーバ3の制御部33の処理の一例を示すフローチャートである。
【0080】
図7(A)に示す処理は、例えば所定時間(例えば24時間)毎に実行される。図7(A)に示す処理が開始されると、売上管理サーバ2の制御部23(充当突合処理部232)は、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へアクセスし、ポイント充当情報を取得するためのファイル連携要求を、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へ送信する(ステップS41)。こうして、ファイル連携要求が送信されると、ポイント処理サーバ3からのポイント充当情報の受信が待機される(ステップS42)。なお、ポイント充当情報は、ポイント処理サーバ3から売上管理サーバ2へ定期的または不定期にプッシュ送信されてもよい。この場合、ファイル連携要求は、売上管理サーバ2からポイント処理サーバ3へ送信されなくてよい。
【0081】
一方、ポイント処理サーバ3において、売上管理サーバ2から送信されたファイル連携要求が通信部31を介して受信されると、図7(B)に示す処理が開始される。或いは、ポイント処理サーバ3において、ポイント充当情報のプッシュ送信契機になると、図7(B)に示す処理が開始される。図7(B)に示す処理が開始されると、ポイント処理サーバ3の制御部33(充当突合連携部333)は、ポイント実績データベース321からポイント充当情報(例えば、過去に売上管理サーバ2へ送信されていないポイント充当情報)を取得する(ステップS51)。
【0082】
次いで、制御部33(充当突合連携部333)は、ステップS51で取得されたポイント充当情報を、ファイル連携要求に対する応答として、ネットワークNWを介して売上管理サーバ2へ送信する(ステップS52)。こうして、ポイント充当情報が送信されると、売上管理サーバ2からの充当補正要求の受信が待機される(ステップS53)。
【0083】
一方、売上管理サーバ2において、ポイント処理サーバ3から送信されたポイント充当情報が通信部21を介して受信されると(ステップS42:YES)、処理はステップS43へ進む。なお、図7(A)の例では図示を省略するが、ファイル連携要求の送信から所定時間以上ポイント充当情報が受信されない場合、通信タイムアウトとなり、図7(A)に示す処理が終了する。
【0084】
ステップS43では、制御部23(充当突合処理部232)は、ステップS42で受信されたポイント充当情報と、売上情報データベース221に格納された売上情報と突合(例えば、日時、充当されたポイント、及びコードで突合)することによりポイント充当の整合性有無を判定する。例えば、ポイント充当情報と売上情報とのポイント残高が一致するか、もしくは一致しないかにより整合性有無が判定される。
【0085】
次いで、制御部23(充当突合処理部232)は、ステップS43の判定の結果から、ポイント充当の整合性無(例えば、ポイント残高が一致しない)と判定された取引が有るか否かを判定する(ステップS44)。ポイント充当の整合性無と判定された取引が無いと判定された場合(ステップS44:NO)、ポイント充当の整合性有を示す情報がポイント処理サーバ3へ送信される(ステップS45)。
【0086】
一方、ポイント充当の整合性無と判定された取引が有ると判定された場合(ステップS44:YES)、制御部23(充当補正要求部233)は、ポイント充当の整合性無と判定された取引の取引IDに対応付けられたコード及びみなし充当されたポイントを示す情報を売上情報データベース221から取得する(ステップS46)。次いで、制御部23(充当補正要求部233)は、ステップS46で取得された情報を含む充当補正要求を、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へ送信し(ステップS47)、図7(A)に示す処理を終了する。
【0087】
一方、ポイント処理サーバ3において、売上管理サーバ2から送信された充当補正要求が通信部31を介して受信されると(ステップS53:YES)、処理はステップS54へ進む。なお、図7(B)の例では図示を省略するが、ポイント充当情報の送信から所定時間以上充当補正要求またはポイント充当の整合性有を示す情報が受信されない場合、通信タイムアウトとなり、図7(B)に示す処理が終了する。
【0088】
ステップS54では、制御部23(充当補正処理部334)は、ステップS53で受信された充当補正要求に含まれるコードに対応するユーザIDを特定する。次いで、制御部33(充当補正処理部334)は、ステップS54で特定されたユーザIDに対応付けられたポイント残高をポイント実績データベース321から取得する(ステップS55)。次いで、制御部23(充当補正処理部334)は、ステップS55で取得されたポイント残高と、充当補正要求に示されるポイント(つまり、みなし充当されたポイント)とに基づいて、ポイント充当を補正するための充当補正処理を実行する(ステップS56)。
【0089】
次いで、制御部33(充当補正処理部334)は、充当補正処理が正常に完了したか否かを判定する(ステップS57)。例えば、上述したように、ポイント残高から充当補正要求に示されるポイントが正常に減算されてポイント実績データベース321に上書きされた場合、充当補正処理が正常に完了したと判定される。充当補正処理が正常に完了したと判定された場合(ステップS57:YES)、ポイント充当日時、ポイント残高から減算されたポイント、及びコード等を含むポイント充当情報が、ステップS54で特定されたユーザIDに対応付けられてポイント実績データベース321に格納され(ステップS58)、図7(B)に示す処理が終了する。
【0090】
一方、充当補正処理が正常に完了しなかったと判定された場合(ステップS57:NO)、充当補正エラーが記録され(ステップS59)、図7(B)に示す処理が終了する。なお、充当補正エラーが記録された場合、本来充当されるべきポイントがポイント残高から減算されなかったという結果になるが、このポイントに対応する費用を補填するための処理が別途行われることで実質的にポイント充当の整合性が確保されることになる。
【0091】
以上説明したように、上記実施形態によれば、店舗端末1は、ユーザが店舗と取引を行う際に取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当させる充当要求を、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へ送信した後、ポイント処理サーバ3から充当成功を示す充当結果情報が受信されない場合であっても当該充当成功の可能性がある場合には充当成功とみなしてポイントを充当する取引を成立させる取引処理を実行するように構成したので、店舗端末1とポイント処理サーバ3との通信に何かしらの異常が発生している際にもユーザの信頼を失うことなく、ポイントサービスを効率良く運用させることができる。また、上記実施形態によれば、ポイントを充当するための充当処理を実行する演算機能を店舗端末1側に再構築する必要がない(つまり、店舗端末1の大がかりな改修の必要がない)ため、手間及びコストを低減することができる。
【0092】
また、上記実施形態によれば、店舗端末1は、ユーザが店舗と取引を行う際にポイント処理サーバ3へ照会要求を送信することでポイント残高等を含む照会結果情報を受信し、当該照会結果情報に基づいて取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当可能であると判定した場合に(例えば、ポイント残高不足でないことを確かめた上で)、当該ポイントを充当させる充当要求を、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へ送信するように構成したので、充当成功の可能性がある場合には充当成功とみなして取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当する取引を成立させる機能の信頼性(みなし充当の信頼性)を高めることができる。
【0093】
以上のように本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、上記実施形態においては、特典としてポイントを例にとって説明したが、当該特典をクーポンまたは割引券等とした場合であっても上記実施形態を実現することができる。
【0094】
また、上記実施形態においては、店舗端末1は、ポイント処理サーバ3へ照会要求を送信することでポイント残高等を含む照会結果情報を受信するように構成したが、別の例として、店舗端末1は、ポイント処理サーバ3へ照会要求を送信することなく、上記識別コード及び充当させるポイントを示す情報を含む充当要求をポイント処理サーバ3へ送信するように構成してもよい。この場合、ポイント処理サーバ3は、ユーザのポイント残高が充当要求に示されるポイント以上であると判定した場合に充当処理を実行し、充当結果情報を店舗端末1へ送信する。このとき、店舗端末1はポイント処理サーバ3から充当成功を示す充当結果情報が受信されない場合であっても当該充当成功の可能性がある場合には充当成功とみなしてポイントを充当する取引を成立させる取引処理を実行する。
【0095】
また、上記実施形態においては、本発明の取引処理装置として店舗端末1を例にとって説明したが、別の例として、複数の店舗により出品された各商品をオンライン(例えば、ショッピングモールサイト)で販売する商取引処理サーバに対しても本発明の取引処理装置を適用することができる。この場合、ユーザ端末(例えば、携帯端末やパーソナルコンピュータ)とネットワークNWを介して接続した商取引処理サーバは、ユーザ端末のユーザが取引を行う際(例えば、店舗により出品された商品を購入する際)に取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当させる充当要求を、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へ送信した後、ポイント処理サーバ3から充当成功を示す充当結果情報が受信されない場合であっても当該充当成功の可能性がある場合には充当成功とみなしてポイントを充当する取引を成立させる取引処理を実行する。この場合においても、商取引処理サーバは、充当要求の前に照会要求を送信することでポイント残高等を含む照会結果情報を受信し、当該照会結果情報に基づいて取引対象の代金の少なくとも一部にポイントを充当可能であると判定した場合に、当該ポイントを充当させる充当要求を、ネットワークNWを介してポイント処理サーバ3へ送信してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 店舗端末
2 売上管理サーバ
3 ポイント処理サーバ
11 通信部
12 操作部
13 コード読取部
14 表示部
15 レシート出力部
16 記憶部
17 制御部
171 照会要求送信部
172 照会結果受信部
173 充当可否判定部
174 充当要求送信部
175 充当結果受信部
176 エラー検知部
177 エラー判定部
178 取引処理部
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 売上情報保管部
232 充当突合処理部
233 充当補正要求部
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
331 照会処理部
332 充当処理部
333 充当突合連携部
334 充当補正処理部
NW ネットワーク
S 取引システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7