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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】量子計算用途の2色レーザー
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/10 20060101AFI20220622BHJP
   G02F 1/33 20060101ALI20220622BHJP
   H01S 3/23 20060101ALI20220622BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20220622BHJP
   G06N 10/00 20220101ALI20220622BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20220622BHJP
【FI】
H01S3/10 Z
G02F1/33
H01S3/23
H01S3/00 A
G06N10/00
G06N20/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020200097
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2021090054
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2020-12-02
(31)【優先権主張番号】16/702,896
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ボーン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・スワローズ
(72)【発明者】
【氏名】パトリシア・リー
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/021010(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/150097(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/073202(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0190225(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108196412(CN,A)
【文献】Jesus Palaci et al.,"Tunable optical delay line based on single-sideband suppressed-carrier modulation",IEEE Photonics Technology Letters,米国,IEEE,2013年01月01日,Volume: 25, Issue: 1,43 - 46,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=6353517,DOI: 10.1109/LPT.2012.2227697
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00 -3/02
H01S 3/04 -3/0959
H01S 3/098-3/102
H01S 3/105-3/131
H01S 3/136-3/213
H01S 3/23 -4/00
G02F 1/00 -1/125
G02F 1/21 -7/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重周波数レーザーシステムであって、
マスタビームを生成するように構成されたマスタ発振器と、
前記マスタビームを第1のビーム及び第2のビームに分割するように構成されたアーム分割器であって、前記第1のビームは、一次モードビームを生成するための一次モードアームに提供され、前記第2のビームは、側波帯モードビームを生成するための側波帯モードアームに提供される、アーム分割器と、
前記側波帯モードアームであって、
前記第2のビームを変調して、側波帯を含むビームを生成するように構成された変調器と、
側波帯を含む前記ビームから特定の側波帯モードを選択して、選択された側波帯ビームを生成するように構成されたフィルタと、
前記特定の側波帯モードを増幅し、前記選択された側波帯モードの他の残留モードを抑制するように構成された増幅器キャビティと、
増幅された選択された側波帯ビームのそれぞれのモードの周波数をシフトして、側波帯モードビームを生成するように構成された音響光学変調器と、を含む、前記側波帯モードアームと、を備え、
前記一次モードビーム及び前記側波帯モードビームは、量子ゲートを実現するために、1つ以上の原子オブジェクトに協調的に提供される、多重周波数レーザーシステム。
【請求項2】
前記一次モードビームと前記側波帯モードビームとの間の相対エネルギー差が、前記多重周波数レーザーシステムを含む量子コンピュータ用に規定された量子ビット空間の2つの状態間のエネルギー差に基づいて決定される、請求項1に記載の多重周波数レーザーシステム。
【請求項3】
前記一次モードビームと前記側波帯モードビームとの間の相対位相差及び/又は相対周波数差を安定化するように構成されたサーボシステムを更に備え、前記サーボシステムは、少なくとも1つの局部発振器信号及びダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)信号を入力として受信する、請求項1に記載の多重周波数レーザーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な実施形態は、2色レーザーシステムに関する。様々な実施形態は、位相制御機構を備えた2色レーザーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な原子システムにおいて、レーザービームを特定の周波数で、並びに/又は特定の周波数分離及び/若しくは位相関係を有するレーザービーム群をシステムに送達可能であることが重要である。例えば、イオントラップ型量子計算は、レーザービームを使用して、イオントラップ型量子コンピュータ内の様々な機能を完了する。例えば、量子コンピュータの論理ゲートは、レーザービームを使用して実施され得る。このような用途は、レーザーが、位置、周波数、及び位相に関して精密かつ正確にイオントラップに送達されることを必要とする。
【発明の概要】
【0003】
例示的な実施形態は、2色レーザーシステム、対応するサーボシステム、及び対応する方法を提供する。様々な実施形態では、2色レーザーシステム及び/又は対応するサーボシステムは、量子コンピュータ内で量子ゲートを実行するために使用される。
【0004】
一態様によれば、多重周波数レーザーシステムが提供される。例示的な一実施形態では、多重周波数レーザーシステムは、マスタビームを生成するように構成されたマスタ発振器と、マスタビームを第1のビーム及び第2のビームに分割するように構成されたアーム分割器と、を備える。第1のビームは、一次モードビームの生成のために一次モードに提供され、第2のビームは、側波帯モードビームの生成のために側波帯モードアームに提供される。多重レーザー周波数システムは、側波帯ビームアームを更に備え、側波帯ビームアームは、第2のビームを変調して側波帯を含むビームを生成するように構成された変調器と、側波帯を含むビームから特定の側波帯モードを選択して、選択された側波帯ビームを生成するように構成されたフィルタと、特定の側波帯モードを増幅し、選択された側波帯モードの他の残留モードを抑制するように構成された増幅器キャビティと、増幅された選択された側波帯ビームのそれぞれのモードの周波数をシフトして、側波帯モードビームを生成するように構成された音響光学変調器と、を含む。一次モードビーム及び側波帯モードビームは、量子ゲートを実現するために、1つ以上の原子オブジェクトに協調的に提供される。
【0005】
例示的な一実施形態では、フィルタはエタロンである。例示的な一実施形態では、エタロンは、温度制御された炉によって一定の温度に維持される。例示的な一実施形態では、一次モードアーム及び側波帯モードアームはそれぞれ1組の非線形光学素子を含む。例示的な一実施形態では、1組の非線形光学素子は、第2高調波発生キャビティを含む。例示的な一実施形態では、一次モードビーム及び側波帯モードビームが非共伝搬ビームとして提供されるとき、一次モードビーム及び側波帯モードビームは、ダブルパス音調光学変調器の作動を介して局部発振器に位相固定される。例示的な一実施形態では、ダブルパス音調光学変調器は、1組の非線形光学素子の上流で一次モードアームの光路及び側波帯モードの光路に位置する。例示的な一実施形態では、一次モードビームの周波数と側波帯モードビームの周波数との間の相対差は、1組の非線形光学素子の下流で測定される。例示的な一実施形態では、システムは、相対差の測定に基づいて一次モードビーム及び側波帯モードビームを位相固定するように構成された一次モードアームの1組の非線形光学素子及び側波帯モードアームの1組の非線形光学素子の上流に位置する音響光学変調器を更に備える。例示的な一実施形態では、一次モードビームと側波帯モードビームとの間の相対エネルギー差は、多重周波数レーザーシステムを含む量子コンピュータ用に規定された量子ビット空間の2つの状態間のエネルギー差に基づいて決定される。例示的な一実施形態では、一次モードビーム及び側波帯モードビームが共伝搬ビームであるとき、一次モードビームと側波帯モードビームとの間の相対位相差は、無線周波数発振器を使用して安定化される。例示的な一実施形態では、システムは、一次モードビームと側波帯モードビームとの間の相対位相差及び/又は相対周波数差を安定化するように構成されたサーボシステムを更に備える。例示的な一実施形態では、サーボシステムは、少なくとも1つの局部発振器信号及びダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)信号を入力として受信する。例示的な一実施形態では、DDS信号は、サーボシステムの入力アームの一部として提供され、サーボシステムの出力アームに提供される。例示的な一実施形態では、DDS信号は、遅延線を介してサーボシステムの出力アームに提供される。例示的な一実施形態では、サーボシステムの出力アームへのDDS信号の適用は、一次モードビーム及び側波帯モードビームのうちの少なくとも1つの不連続な相変化を可能にする。
【0006】
一態様によれば、多重周波数レーザーシステムに連結されたサーボシステムが提供される。例示的な一実施形態では、サーボシステムは、多重周波数レーザーシステムによって生成される一次モードビームと側波帯モードビームとの間の相対位相差及び/又は相対周波数差を安定化するように構成される。例示的な一実施形態では、サーボシステムは、サーボに入力信号を提供するように構成された入力アームと、入力として局部発振器信号及びダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)信号を受信するように構成された入力アームと、サーボからの出力信号及びDDS信号を受信するように構成された出力アームと、を備える。
【0007】
例示的な一実施形態では、DDS信号は、DDS信号の変更に対する時間遅延を補償するように構成された遅延線を介して、サーボシステムの出力アームに提供され、サーボシステムを介して伝搬される。例示的な一実施形態では、サーボシステムの出力アームへのDDS信号の適用は、一次モードビーム及び側波帯モードビームのうちの少なくとも1つの不連続な相変化を可能にする。例示的な一実施形態では、入力アームは、一次モードビームと側波帯モードビームとの間の相対周波数差に対応するうなり周波数信号を更に受信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
このように本発明を一般的な用語で説明してきたが、ここで、必ずしも縮尺どおりに描かれていない添付図面を参照する。
【0009】
図1】例示的な一実施形態による、例示的な原子オブジェクトトラップ型量子コンピュータの概略図を提供する。
【0010】
図2】例示的な一実施形態による、例示的な2色レーザーシステムのブロック図を提供する。
【0011】
図3A】例示的な一実施形態による、例示的なサーボシステムのブロック図を提供する。
【0012】
図3B】例示的な一実施形態による、例示的なダブルパス音響光学変調器(AOM)の概略図を提供する。
【0013】
図4】例示的な一実施形態による、使用され得る例示的なコントローラの概略ダイアグラムを提供する。
【0014】
図5】例示的な一実施形態による、使用され得る例示的な計算エンティティの概略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本発明を、本発明の全てではなくいくつかの実施形態が示される添付図面を参照しながら以下により完全に説明する。実際に、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。「又は」という用語(「/」とも示される)は、別様に示唆されない限り、代替的及び連言的な意味の両方で本明細書にて使用される。「図示の」及び「例示の」という用語は、品質レベルの指示のない例として使用される。「概して」及び「およそ」という用語は、別様に示されない限り、エンジニアリング及び/若しくは製造上の制限内、並びに/又はユーザ測定能力内のものを指す。同様の数字は、全体をとおして同様の要素を指す。
【0016】
上述のように、様々な原子システムでは、位置、周波数、及び/又は位相に関して、1つ以上のレーザービームを原子システムに精密かつ正確に送達可能であることが重要である。例えば、原子時計、ボース・アインシュタイン凝縮システム、イオントラップ型システム、及び/又は他の原子システムなどの原子システムでは、様々なシステムの用途、システムの操作などのために精密かつ正確なレーザービームの送達が重要である。ここでは、原子オブジェクト(例えば、イオン)トラップ型量子コンピュータシステムに対応する様々な例示的実施形態についてより詳細に説明する。
例示的な量子コンピュータシステム
【0017】
図1は、例示的な一実施形態による、例示的な原子オブジェクトトラップ型量子コンピュータシステム100の概略図を提供する。様々な実施形態において、量子コンピュータシステム100は、計算エンティティ10と、量子コンピュータ110と、を備える。様々な実施形態では、量子コンピュータ110のコントローラ30は、1つ以上の有線及び/又は無線ネットワーク20を介して計算エンティティ10と通信してもよい。様々な実施形態では、量子コンピュータ110は、コントローラ30、トラップ50を密閉する極低温及び/又は真空チャンバ40、1つ以上の操作ソース64(64A、64B)、1つ以上の2色レーザーシステム200、1つ以上のサーボシステム300などを含む。様々な実施形態では、トラップ50は、その中に1つ以上の原子オブジェクトをトラップするように構成され、操作ソース64は、光路66(例えば、66A、66B)を介してトラップ50の1つ以上の部分に操作信号を提供するように構成される。様々な実施形態では、操作信号は、1つ以上の原子オブジェクトを量子ビット空間に初期化する、冷却操作を実行する、測定操作を実行するなどのために使用されてもよい。様々な実施形態では、2色レーザーシステム200は、トラップ50の1つ以上の部分に1つ以上の信号を提供して、1つ以上の量子ゲート(例えば、量子論理ゲート)を実現するように構成される。様々な実施形態では、量子ゲートは、1つの量子ビットゲート、2つの量子ビットゲートなどであってもよい。様々な実施形態では、1つ以上のゲート信号は、光路(複数可)68を介してトラップ50の1つ以上の部分に提供されてもよい。様々な実施形態では、光路68はサーボシステム300を含む。様々な実施形態では、トラップ50内にトラップされた原子オブジェクトは、イオン、原子などである。例えば、例示的な一実施例では、原子オブジェクトはイッテルビウムイオンである。例示的な一実施例では、原子オブジェクトは、量子ビットイオン及び対応する冷却イオンを含む。
【0018】
様々な実施形態では、計算エンティティ10は、ユーザが、入力を(例えば、計算エンティティ10のユーザインターフェースを介して)量子コンピュータシステム100に提供し、量子コンピュータシステム100からの出力を受信すること、視認することなどを可能にするように構成される。計算エンティティ10は、1つ以上の有線又は無線ネットワーク20を介してコントローラ30と通信してもよい。例えば、計算エンティティ10は、量子コンピュータ110による実行のために量子回路をコントローラ30に提供するように構成されてもよく、コントローラ30は、1つ以上の量子回路の実行結果を計算エンティティ10に提供してもよい。
【0019】
様々な実施形態では、コントローラ30は、トラップ50を制御するように構成され、冷却及び/又は真空システム(図示せず)は、極低温及び/若しくは真空チャンバ40、操作ソース64、2色レーザーシステム200、サーボ300、並びに/又は量子コンピュータ110の他の構成要素(例えば、量子コンピュータの出力を「読み取る」ように構成された光学収集システム)内の温度及び圧力を制御する。様々な実施形態では、コントローラ30は、計算エンティティ10によって提供される、かつ/又はコントローラ30によって生成される実行可能命令、コマンドセットなどに従って、量子コンピュータ110の様々な構成要素を制御するように構成される。様々な実施形態では、コントローラ30は、量子コンピュータ110から(例えば、光学収集システムから)出力を受信し、出力及び/又は出力を処理した結果を計算エンティティ10に提供するように構成される。
例示的な2色レーザーシステム
【0020】
様々な実施形態では、2色レーザーシステム200は、量子コンピュータ110の量子ビットとして使用するために、原子オブジェクトが中にトラップされているトラップ50の1つ以上の部分に1つ以上のゲート信号を提供する。2色レーザーシステム200によって提供されるゲート信号は、一次モードビーム及び側波帯モードビームを含む。一次モードビーム及び側波帯モードビームは、相対周波数差Δ>0を有する。例示的な一実施形態では、相対周波数差Δは、量子ビット空間における2つの状態間の周波数差にほぼ等しい。例えば、量子ビット空間が原子オブジェクトのエネルギーレベルの超微細分離に基づいて規定される場合、相対周波数差Δは、およそ100MHz~100GHzであってもよい。例示的な一実施形態では、相対周波数差Δは、約12~13GHzである。
【0021】
図2は、例示的な一実施形態による、2色レーザーシステム200のブロック図を提供する。様々な実施形態では、2色レーザーシステム200はマスタ発振器202を備える。様々な実施形態では、マスタ発振器202はレーザーである。様々な実施形態では、マスタ発振器202は、共鳴チャンバ及び/又は他のレーザー発振器に連結されたレーザーである。例示的な一実施例では、マスタ発振器202は、テーパー型増幅器に連結されたダイオードレーザーである。例示的な一実施形態では、マスタ発振器202は低位相ノイズレーザーである。例示的な一実施形態では、マスタ発振器202は、マスタビームを生成するように構成される。例示的な一実施形態では、マスタビームは、2色レーザーシステム200によって提供されるゲート信号の一次モードビームの固有波長の約2倍である固有波長を有するレーザービームである。例えば、例示的な一実施例では、マスタ発振器202の固有波長は740nmであり、ゲート信号の一次モードビームの固有波長は370nmである。
【0022】
様々な実施形態では、マスタ発振器202は、アーム分割器204に光学的に連結される。様々な実施形態では、マスタ発振器202によって生成されたマスタビームは、アーム分割器204に(例えば、光ファイバ、導波路、自由空間光路などを介して)提供される。例えば、アーム分割器204は、一次モードアーム210及び側波帯モードアーム220によって調整され得る2つ以上のビームにマスタビームを分割して、一次モードビーム及び側波帯モードビームをそれぞれ生成及び/又は提供するように構成されてもよい。例えば、アーム分割器204は、マスタ発振器202によって提供されたマスタビームを2つ以上のビームに分割するように構成されてもよい。例示的な一実施形態では、アーム分割器204は、1×2分割器であり、マスタ発振器202によって提供されたマスタビームを2つのビームに分割するように構成される。例示的な一実施形態では、アーム分割器204は、マスタ発振器202によって提供されるマスタビームを、ほぼ同じ強度の2つのビームに分割するように構成される。例えば、アーム分割器204は、マスタ発振器202によって提供されたマスタビームを、2色レーザーシステム200の一次モードアーム210に提供される第1のビームと、2色レーザーシステム200の側波帯モードアーム220に提供される第2のビームと、に分割し得る。
【0023】
例示的な一実施形態では、第1のビームは、アーム分割器204から電力増幅器216に伝送される。例えば、第1のビームは、光ファイバ、導波路、自由空間光路などを介してアーム分割器204から電力増幅器216に伝送されてもよい。様々な実施形態では、電力増幅器216は、第1のビームの強度を増幅及び/又は増大させるように構成される。例示的な一実施形態では、電力増幅器216は、第1のビームの一次モードの強度を増幅及び/又は増大させるように構成される。次いで、増幅された第1のビームは、電力増幅器216から分割器214に伝送されてもよい。例えば、増幅された第1のビームは、光ファイバ、導波路、自由空間光路などを介して電力増幅器216から分割器214に伝送されてもよい。様々な実施形態では、分割器214は1~N分割器であり、Nは正の整数である。例えば、分割器214は、増幅された第1のビームをN個の一次ビームに分割し得る。N個の一次ビームのそれぞれは、(例えば、光ファイバ、導波路、自由空間光路などを介して)非線形光学素子(NOE)218(例えば、218A、...、218N)に提供されてもよい。様々な実施形態では、NOE218のそれぞれの組は、一次ビームの周波数を2逓倍して(例えば、一次ビームの波長を2分の1に減少させる)、一次モードビームを提供するように構成される。例えば、1組のNOE218は、一次モードビームを生成するために一次ビームの周波数を2逓倍するためのキャビティ内2逓倍モジュールを含んでもよい。例えば、1組のNOE218は、第2高調波発生モジュールを含んでもよい。別の実施例では、1組のNOE218は、一次モードビームを生成するために一次ビームの周波数を2逓倍するために使用され得る1つ以上の音響光学変調器(AOM)を含んでもよい。様々な実施形態では、1組のNOE218は、一次モードビームを調整するように構成されてもよい。例えば、1組のNOE218は、用途の必要に応じて、一次モードビームの変調、任意の望ましくない側波帯及び/又は高調波の抑制、一次モードビームの成形などを行うように構成された1つ以上の変調器及び/又はビーム成形要素を含んでもよい。
【0024】
様々な実施形態では、第2のビームは、アーム分割器204から変調器222に伝送される。例えば、第2のビームは、光ファイバ、導波路、自由空間光路などを介して、アーム分割器204から変調器222に伝送されてもよい。例示的な一実施形態では、変調器222は、ファイバ又は導波管電気光学変調器であるが、様々な変調器が様々な実施形態で使用されてもよい。様々な実施形態では、変調器222は、第2のビームを位相変調するように構成されてもよい。例えば、第2のビームの位相変調(例えば、変調器222による)は、第2のビームに対してシフトされた周波数を有する複数の側波帯を含むビームを生成してもよい。様々な実施形態では、側波帯は、複数の側波帯を含むビームが生成された第2のビームの周波数よりも高い又は低い周波数の帯域である。
【0025】
例示的な一実施形態では、変調器222は、第2のビームをΔ/2の周波数で位相変調し、Δは、一次モードビームと側波帯モードビームとの間の相対周波数差である。例えば、側波帯モードのうちの1つは、ピーク周波数を有してもよく、ピーク周波数は、第2のビーム(及び/又は第1のビーム及び/又はマスタビーム及び/又は一次ビーム)に対して、一次モードビームと側波帯モードビームとの間の相対周波数差Δの約半分だけシフトされたピーク周波数である。
【0026】
次いで、複数の側波帯を含むビームは、電力増幅器226Aに(例えば、光ファイバ、導波路、自由空間光路などを介して)提供されてもよい。様々な実施形態では、電力増幅器226Aは、複数の側波帯を含むビームの強度を増幅及び/又は増大させるように構成される。次いで、電力増幅器226Aの出力がフィルタ232に提供される。様々な実施形態では、フィルタ232は、複数の側波帯を含む増幅されたビームから所望の側波帯を選択するように構成された狭帯域フィルタである。例示的な一実施形態では、フィルタ232はエタロン(例えば、近赤外エタロン)である。エタロンは、(例えば、2つのガラス板間の距離に基づいて)特定の周波数の光を選択するために使用され得る2つの反射ガラス板を含む装置である。例示的な一実施形態では、フィルタ232は、熱制御された炉234内にある。例えば、熱制御された炉234は、フィルタ232の側波帯選択特性の安定性を高めるために、フィルタ232を一定温度に維持してもよい。例えば、熱制御された炉234は、フィルタ232が電力増幅器226Bへと通過させる選択された側波帯の安定性を高め得る。例示的な一実施形態では、フィルタ232は、複数の側波帯を含む増幅されたビームにおいて、選択されていない側波帯をそれらの強度の<1%に抑制する。例示的な一実施形態では、選択された側波帯は、Δ/2の第2のビーム(及び/又は第1のビーム及び/又はマスタビーム及び/又は一次ビーム)に対する周波数差を有する側波帯である。様々な実施形態では、選択された側波帯ビームは、フィルタ232によって電力増幅器226Bに提供される。
【0027】
様々な実施形態では、選択された側波帯ビームは、増幅のために(例えば、光ファイバ、導波路、自由空間光路などによって)電力増幅器226Bに提供される。様々な実施形態では、電力増幅器226Bは、第2高調波発生(SHG)キャビティを含む。このように、電力増幅器226Bは、選択された側波帯ビームの強度を増幅及び/又は増大させるように、かつフィルタ232によって選択されない側波帯を更に抑制するように作用し得る。例示的な一実施形態では、電力増幅器226Bは、フィルタ232によって選択されない側波帯を約-30dBだけ抑制し得る。増幅された選択された側波帯ビームは、次いで、分割器224に提供され得る。例えば、増幅された選択された側波帯ビームは、光ファイバ、導波路、自由空間光路などを介して電力増幅器226Bから分割器224に伝送されてもよい。様々な実施形態では、分割器224は1~N個の分割器であり、Nは正の整数である。例えば、分割器224は、増幅された選択された側波帯ビームをN個の側波帯ビームに分割し得る。N個の側波帯ビームのそれぞれは、(例えば、光ファイバ、導波路、自由空間光路などを介して)非線形光学素子(NOE)228(例えば、228A、...、228N)に提供されてもよい。様々な実施形態では、NOE228のそれぞれの組は、側波帯ビームの周波数を2逓倍して(例えば、側波帯ビームの波長を2分の1に減少させる)、側波帯モードビームを提供するように構成される。様々な実施形態では、側波帯ビームと一次ビームとの間の周波数差は、最終相対周波数差の半分(例えば、Δ/2)である。側波帯ビームと一次モードビームとの間の周波数差は、最終相対周波数差Δである。例えば、1組のNOE228は、側帯域ビームの周波数を2逓倍して側波帯モードビームを生成するための、キャビティ内2逓倍モジュール及び/又は第2高調波発生モジュールを含んでもよい。別の実施例では、1組のNOE228は、側波帯ビームの周波数を2逓倍して側波帯モードビームを生成するために使用され得る1つ以上のAOMを含んでもよい。様々な実施形態では、1組のNOE228は、側波帯モードビームを調整するように構成されてもよい。例えば、1組のNOE228は、用途の必要に応じて、側波帯モードビームの変調、選択されていない側波帯の更なる抑制、側波帯モードビームの成形などを行うように構成された1つ以上の変調器及び/又はビーム成形要素を含んでもよい。
【0028】
様々な実施形態では、側波帯モードビームを生成するための側波帯ビームの周波数の2逓倍は、選択された側波帯と側波帯ビーム内に依然として存在する任意の選択されていない残留側波帯との間の周波数差を増加させる(例えば、2逓倍する)。例えば、選択された側波帯は、側波帯ビームにおける周波数fを有し得、選択されていない残留側波帯は、側波帯ビームにおける周波数fを有し得る。したがって、側波帯ビームにおける選択された側波帯と選択されていない残留側波帯との間の周波数差は、f-fである。側波帯モードビームでは、周波数2逓倍化の後、選択された側波帯は2fの周波数を有し、選択されていない残留側波帯は2fの周波数を有することになる。したがって、側波帯モードビームにおける選択された側波帯と選択されていない残留側波帯との間の周波数差は、2(f-f)である。このように、1組のNOE228によって実行される周波数2逓倍化により、任意の選択されていない残留側波帯の周波数は、量子ビット遷移周波数から離れる方向にシフトされる。例示的な一実施形態では、1組のNOE228は、側波帯ビーム内に依然として存在する任意の選択されていない残留側波帯に周波数オフセットを適用する1つ以上のAOMを含んでもよい。例えば、例示的な一実施形態では、1つ以上のAOMは、約200MHzの周波数オフセットを側波帯ビーム内に依然として存在する任意の選択されていない残留側波帯に適用し得る。このように、側波帯のフィルタ処理(例えば、フィルタ232による)の後に側波帯ビームに存在する任意の選択されていない残留側波帯、及び(例えば、第2高調波発生キャビティを介して)電力増幅器によって提供される側波帯抑制は、次いで、選択されていない残留側波帯の周波数が、量子ビット遷移周波数からの共振から離れるようにシフトされてもよい。
【0029】
様々な実施形態では、一次モードビーム及び側波帯モードビームは、単一のビームとしてトラップ50の一部分に(例えば、光路68を介して)送達される(例えば、一次モードビーム及び側波帯モードビームは、単一のゲート信号として組み合わされ、提供され得る)。例示的な一実施形態では、一次モードビーム及び側波帯モードビームは、ゲート信号を提供するために、2つの別個のビーム(例えば、用途の必要に応じて、共伝搬、非共伝搬、直交、又は逆伝搬)としてトラップ50に(例えば、光路68を介して)提供されてもよい。例えば、ゲート信号は、ビームがトラップ50に提供される前に組み合わされる、又はトラップ50内の1つ以上の原子オブジェクトとほぼ同時及び/又は半同時に相互作用する、一次モードビームと側波帯モードビームとの組み合わせであってもよい。
【0030】
様々な実施形態では、分割器214、224は、増幅された第1のビーム及び増幅されたフィルタ処理された第2のビームをそれぞれN個の一次ビーム及びN個の側波帯ビームに分割する。例示的な一実施形態では、一次ビーム及び側波帯ビームのN個の対はそれぞれ、トラップ50の特定の部分に送達されてもよい。例えば、第1の一次ビーム及び第1の側波帯ビームは、第1の一次モードビーム及び第1の側波帯モードビームをトラップ50の第1の部分に提供するように、対応するNOE218A、228Aによって調整されてもよく、N番目の一次ビーム及びN番目の側波帯ビームは、N番目の一次モードビーム(bean)及びN番目の側波帯モードビームをトラップ50のN番目の部分に提供するように、対応するNOE218N、228Nによって調整されてもよい。
【0031】
様々な実施形態では、一次モードビームと対応する側波帯モードビームとの間の位相ノイズ(例えば、相対位相差など)が最小化される。例えば、2色レーザーシステム200の一次モードアーム210及び側波帯モードアーム220の経路長は、ほぼ等しくてもよい。例えば、一次モードアーム210及び側波帯モードアーム220の経路長は、側波帯モードアーム220を介した伝搬及び調整による側波帯モードビームの累積位相(第1のビームがアーム分割器204を出るときの第1のビームの位相に対する)と、一次モードアーム210を介した伝搬及び調整による一次モードビームの累積位相(第2のビームがアーム分割器204を出るときの第2のビームの位相に対する)と、がほぼ等しくなるように設計されてもよい。例えば、一次モードアーム210及び/又は側波帯モードアーム220の光ファイバ長さが変化する際の、側波帯モードビームと一次モードビームとの間の位相差が測定されてもよい。一次モードアーム210及び/又は側波帯モードアーム220の最適な光ファイバ長さはこの測定値に基づいており、それにより、一次モードビームと側波帯モードビームとの間の位相ノイズ及び/又は位相差が最小化され、かつ/又は所望の値に設定される。
【0032】
例示的な一実施形態では、増幅された第1のビーム(例えば、電力増幅器216の出力として提供される)は、一次ビーム及び/又は一次モードビームとして提供されてもよく、増幅された選択された側波帯ビーム(例えば、電力増幅器226Bの出力として提供される)は、側波帯ビーム及び/又は側波帯モードビームとして提供されてもよい。換言すれば、例示的な一実施形態は、分割器214、224及び/又はNOE218、228の1つ以上のセットを含まない。
【0033】
様々な実施形態では、サーボシステム300は、一次モードビームと側波帯モードビームとの間の相対位相及び/又は相対周波数差を安定化するために使用される。例示的な一実施形態では、サーボシステム300は、一次モードビーム及び側波帯モードビームの相対位相を基準発振器に安定化することによって、一次モードビームと側波帯モードビームとの間の位相ノイズを抑制するために使用される。例示的な一実施形態では、基準発振器は、低ノイズ無線周波数(RF)発振器である。例示的な一実施形態では、サーボシステム300は、位相/周波数アクチュエータとしてダブルパスAOMを使用し、コンピュータ制御のダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)信号を基準発振器信号と混合することによる一次モードビーム及び側波帯モードビームの容易な位相/周波数制御を可能にする。DDS信号は、複数の点でサーボシステム300に提供される。例えば、DDS信号は、基準発振器と混合され、サーボシステム300のサーボへの入力として提供されてもよく、AOMアクチュエータにフィードフォワードされてもよい。DDS信号のこのようなフィードフォワードプロビジョニングは、閉ループ制御下で、準同時及び/又はほぼリアルタイムの周波数変化及び/又は位相ジャンプを実現することを可能にする。例示的な一実施形態では、DDS信号は、初期DDS適用点(例えば、サーボ基準点)及びAOMアクチュエータからの信号の伝搬に対応する音響光学遅延を補償するように構成された遅延線を介してAOMアクチュエータに提供される。例えば、遅延線の使用は、DDS信号がサーボシステム300を介して伝搬するときに、DDS信号の変化につながり得るグリッチ及びサーボ摂動を最小化する。例示的な一実施形態では、第1のDDSによって生成された第1のDDS信号は、サーボシステムの入力アームに提供され、第2のDDSによって生成された第2のDDS信号は、サーボシステムの出力アームに提供され、第1及び第2のDDS信号の相対的なタイミングは、初期DDS適用点(例えば、入力アーム内)とAOMアクチュエータ(例えば、出力アーム内)との間の音響光学遅延を考慮及び/又は補償するように制御される。例示的な一実施形態では、一次モードビーム及び側波帯モードビームが共伝搬ビームとしてトラップ50に提供されるとき、サーボシステム300は、一次モードビームと側波帯モードビームとの間の相対周波数及び/又は位相を安定化するために使用される。
【0034】
例示的な一実施形態では、一次モードビーム及び側波帯モードビームは、非伝搬ビームとしてトラップ50に提供される。例示的な一実施形態では、一次モードビーム及び側波帯モードビームが、非伝搬ビームとしてトラップ50に提供されるとき、一次モードビーム及び側波帯モードビームは、基準発振器に位相固定される。例示的な一実施形態では、基準発振器は低ノイズ局部発振器である。例示的な一実施形態では、一次モードビーム及び側波帯モードビームは、AOMを作動させることによって基準発振器に位相固定される。例示的な一実施形態では、AOMは、一次ビームが1組のNOE218、228に提供される前のダブルパス近赤外AOMである。例示的な一実施形態では、ヘテロダインうなり周波数(例えば、一次モードビームの少なくとも一部分と側波帯モードビームの少なくとも一部分とを組み合わせることによって生成される)は、1組のNOE218、228の後に測定され(例えば、一次モードビーム及び側波帯モードビームに基づいて)、1組のNOE218、228(例えば、一次ビーム及び側波帯ビームに作用する)の前に作動する(例えば、周波数2逓倍化を実行するように構成されたAOMが作動する)。NOE218、228の増幅器及び/又は第2高調波発生キャビティの前にAOMを作動させることにより、例えば紫外線の場合には、光増幅器を飽和状態にさせることができるため、光学損失のほぼないAOMの動作が可能になる。
例示的なサーボシステム
【0035】
様々な実施形態では、サーボシステム300は、一次モードビーム及び側波帯モードビームにわたって周波数及び/又は位相制御を提供するように構成される。例えば、サーボシステム300は、相対周波数差Δが所望の値であり、かつ/又は時間と共に変化しないことを確実にするように構成されてもよい。例えば、サーボシステム300は、一次モードビームと側波帯モードビームとの間の相対位相ノイズが制御及び/又は最小化されるように、一次モードビーム及び側波帯モードビームの相対位相をロックするように構成されてもよい。別の実施例では、サーボシステム300は、一次モードビーム及び/又は側波帯モードビームの位相を変更するように構成されてもよい。例えば、サーボシステム300は、一次モードビーム及び/又は側波帯モードビームの位相を所望の位相まで「ジャンプ」させてもよい。
【0036】
様々な実施形態では、一次モードビーム及び側波帯モードビームの相対周波数差Δ、位相、及び相対位相は、コンピュータ制御のディレクションデジタル合成(DDS)信号を介して制御される。例えば、DDS信号は、ダブルパスAOMを作動させるために使用されてもよい。例えば、ダブルパスAOMは、相対周波数差Δ、一次モードビームの位相、側波帯モードビームの位相、及び/又は一次モードビームと側波帯モードビームとの間の相対位相差を制御するように構成されてもよい。DDS信号は、任意の更新がフィードフォワード方式で提供されるように、AOM及びサーボロック回路の両方に提供される。例えば、DDS信号をAOM及びサーボロック回路の両方に提供することにより、位相更新が位相の離散的及び/又は不連続な変化を含む(例えば、位相が「ジャンプする」)場合であっても、一次モードビーム及び/又は側波帯モードビームの位相への準同時更新が可能になる。例えば、遅延線は、DDS信号をAOM及びサーボロック回路の両方に連結するために使用されてもよい。例えば、遅延線は、DDS信号のAOMへの適用に対するDDS信号のロック回路への適用の適切なタイミングを確実にする。
【0037】
図3Aは、例示的なサーボシステム300の例示的なアーキテクチャを示すブロック図を提供する。例示的な一実施形態では、サーボシステム300は、AOMアーム310、局部発振器アーム320、サーボ入力アーム330、サーボ350、及びサーボ出力アーム360を備える。
【0038】
様々な実施形態では、AOMアーム310は、1組のNOE218から一次モードビームを受信し、1組のNOE228から側波帯モードビームを受信する。一次モードビーム及び側波帯モードビームは、AOM312に提供される。例示的な一実施形態では、AOM312は、周波数/位相アクチュエータとして機能するダブルパスAOMである。図3Bは、例示的なAOM312の概略図を示す。例えば、光路は、ミラー382、レンズ380、ビーム分割器378、及び/又は他の受動的若しくは能動的光学構成要素などの光学素子を介して画定されてもよい。ビームコンバイナ374は、一次モードビーム392及び側波帯モードビーム394の一部分を組み合わせて、うなり周波数ビーム396を生成する。様々な実施形態では、うなり周波数ビーム396、うなり周波数ビーム396の周波数は、一次モードビームと側波帯モードビームとの間の相対周波数差Δを(例えば、周波数モニタ386を介して)監視し、かつ/又は一次モードビームと側波帯モードビームとの間の位相差を(例えば、位相差モニタ384を介して)監視するために使用される。例示的な一実施形態では、AOM312はAOMスイッチ372を含む。例示的な一実施形態では、AOMスイッチ372は、DDS(例えば、DDS35)から作動信号を受信する。例示的な一実施形態では、AOM312は、作動可能なAOM370を更に含む。例示的な一実施形態では、作動可能なAOM370は、サーボ出力アーム360の出力として提供される信号を受信する。例示的な一実施形態では、作動可能なAOM370はデュアルパスAOMである。例示的な一実施形態では、デュアルパスAOMはAOMであり、光路はAOMを2回通過する。例示的な一実施形態では、サーボ出力アーム360から作動可能なAOM370によって受信される信号は、約30~40dBmの信号である。例示的な一実施形態では、AOM312はビーム停止部376を含む。しかしながら、様々な実施形態では、ビーム停止部376は、AOM312から出力を受信するように構成された1つ以上の測定装置及び/又は他の光学構成要素と置き換えられてもよい。
【0039】
様々な実施形態では、図3Aに示すように、増幅器316Aはうなり周波数ビーム396を受信する。増幅器316Aは、うなり周波数ビーム396を増幅(例えば、うなり周波数ビームの強度を増大及び/又は増幅)し得る。増幅されたうなり周波数ビームは次いで、フィルタ318を介してフィルタ処理される。カップラー314及び/又は分割器は、増幅されたうなり周波数ビームを、うなり周波数ビームの周波数及び/又は位相を(例えば、スペクトル分析器を介して)監視するためのモニタ386及び増幅器316Bの両方に提供するために使用される。増幅器316Bは次いで、増幅されたうなり周波数信号の受信部分を増幅し、サーボ入力アーム330のミキサ334Bに信号を供給し得る。
【0040】
様々な実施形態では、サーボシステム300は複数のフィルタ318、338A、338B、338C、368を含む。これらのフィルタは、サーボシステム300を通って伝搬するビーム内の特定のトーン及び/又は周波数を分離するために使用され得る。例えば、フィルタは、増幅器を介して生成及び/又は増幅される望ましくない側波帯及び/又は高調波を除外し、ミキサ334A、334B、364などを介して信号を混合することによって生成される望ましくない混合生成物(例えば、寄生混合トーン)を除外するように構成されてもよい。様々な実施形態では、フィルタ318、338A、338B、338C、368は、サーボシステム300によるビームの望ましくない構成要素の更なる処理を防止するため、ビームの望ましくない構成要素(例えば、増幅、混合、非線形光学機能などによって生成される)がビームから除去されることを防止する。
【0041】
様々な実施形態では、局部発振器アーム320は少なくとも1つの局部発振器322を含む。例示的な一実施形態では、少なくとも1つの局部発振器322は低ノイズ局部発振器である。例示的な一実施形態では、少なくとも1つの発振器322は低ノイズ無線周波数発振器である。例示的な一実施形態では、少なくとも1つの局部発振器322の周波数(及び/又は2つ以上の局部発振器322が存在する場合は、局部発振器の周波数の組み合わせ)は、量子ビット空間における2つの状態間の周波数差と実質的に同様である。例えば、少なくとも1つの局部発振器322の周波数(及び/又は2つ以上の局部発振器322が存在する場合は、局部発振器の周波数の組み合わせ)は、2色レーザービームの2つのトーンの相対位相差Δにほぼ等しくなり得る。例示的な一実施形態では、局部発振器信号は増幅のために増幅器326に提供される。例示的な一実施形態では、増幅器326は電力増幅器である。例示的な一実施形態では、増幅器326は第2高調波発生(SHG)キャビティを含む。増幅器326は、次いで、増幅された局部発振器信号を分割器328に任意選択的に提供してもよい。例えば、例示的な一実施形態では、局部発振器アーム320は、局部発振器信号を複数の回路に提供するために、複数の回路に連結されてもよい。例示的な一実施形態では、増幅器326及び/又は分割器328は、増幅された局部発振器信号をサーボ入力アーム330のミキサ334Aに提供する。
【0042】
様々な実施形態では、DDS信号35が生成される(例えば、コントローラ30による、かつ/又はコントローラ30が、DDSにDDS信号35を生成させ得る)。DDS信号35は、フィルタ338Aによってフィルタ処理され、分割器332に提供される。分割器332は、フィルタ処理されたDDS信号の一部分を遅延線342に、及びフィルタ処理されたDDS信号の一部分を増幅器336Aに提供する。増幅器336Aは、増幅されたフィルタ処理されたDDS信号を2逓倍器340に提供する。例示的な一実施形態では、2逓倍器340は、第2高調波発生キャビティを含む。2逓倍器340は、増幅されたフィルタ処理されたDDS信号の周波数を2逓倍して、2逓倍されたDDS信号を生成し、2逓倍されたDDS信号は、次いで、フィルタ338Bによってフィルタ処理される。フィルタ処理された2逓倍されたDDS信号は、次いで、ミキサ334Aによって増幅された混合局部発振器(LO)信号と混合され、DDS-LO信号が生成される。DDS-LO信号は、フィルタ338Cによってフィルタ処理される。フィルタ処理されたDDS-LO信号は、次いで、増幅器336Bによって増幅され、その後、フィルタ処理されたDDS-LO信号は、ミキサ334Bによって増幅されたうなり周波数信号と混合される。DDS-LOうなり周波数信号は、次いで、サーボ350に入力として提供される。様々な実施形態では、サーボ350は、入力として提供される光学DDS-LOうなり周波数信号の変化を検出するように構成されており、光学DDS-LOうなり周波数信号の検出された変化の関数として、サーボ350の出力として提供される電気信号を修正し得る。
【0043】
サーボ350は、サーボ出力アーム360に出力信号を提供する。例示的な一実施形態では、出力信号は、入力として電圧制御発振器(VCO)362に提供され、電圧制御発振器(VCO)362は、次いで、サーボ350の電気出力信号に基づいて光信号を生成する。ミキサ364は、遅延線342を介して提供されるVCO生成された光信号及びフィルタ処理されたDDS信号を受信する。ミキサ364は、VCO生成された光信号とフィルタ処理されたDDS信号とを組み合わせ、組み合わされた信号がフィルタ368によってフィルタ処理される。フィルタ処理されたVCO-DDS信号は、次いで、少なくとも1つの増幅器366A、366Bに提供されて、フィルタ処理されたVCO-DDS信号の強度が増大及び/又は増幅され、その後、フィルタ処理されたVCO-DDS信号は、入力としてAOM312(例えば、作動可能AOM370)に提供される。
【0044】
このように、サーボシステム300は、一次モードビーム及び側波帯モードビームが、制御された相対位相差Δ並びに制御及び/又は最小化された相対位相差を提供することを可能にする、閉ループフィードバックシステムを提供する。
【0045】
様々な実施形態では、信号、ビームなどは、光ファイバ、導波路、自由空間光学などを使用して、サーボシステム300の様々な要素間で伝搬され得る。例示的な一実施形態では、増幅器316A、316B、326、336A、336B、366A、366Bは電力増幅器であってもよい。例えば、増幅器316A、316B、326、336A、336B、366A、366Bのうちの1つ以上は、共振キャビティ及び/又は同類物を含んでもよい。
技術的利点
【0046】
様々な実施形態は、原子オブジェクトトラップ型量子コンピュータのトラップ(例えば、例示的な一実施形態では、極低温及び/又は真空チャンバ内に封入された)に多重周波数(例えば、2色)レーザービームを、周波数、周波数オフセット、及び/又は位相に関して精密かつ正確に送達する技術的問題に対する技術的解決策を提供する。具体的には、様々な実施形態は、安定した相対周波数差Δ、安定したかつ/又は最小化された相対位相差(例えば、低位相ノイズ)を有するレーザービーム及び/又はレーザービームのセット/対を提供することによって、従来の手段に勝る改善を提供する。様々な実施形態は、一次モードビーム及び/又は側波帯モードビームの位相の不連続な変化を可能にする。相対周波数差Δの安定性並びに一次モードビーム及び/又は側波帯モードビームの位相制御により、一次モードビーム及び/又は側波帯モードビームを使用して量子コンピュータ110の量子ビットで実現された量子ゲートが高忠実度で実行される。このように、様々な実施形態が、トラップされた原子オブジェクト量子コンピュータ内の量子ビットに対する動作を実施するための高ゲート忠実度を提供する。したがって、本発明の実施形態は、量子コンピュータの動作の改善を提供する。
例示的なコントローラ
【0047】
様々な実施形態において、量子コンピュータ110は、量子コンピュータ110の様々な要素を制御するように構成されたコントローラ30を更に備える。様々な実施形態では、コントローラ30は、量子コンピュータ110に、様々な動作(例えば、ゲート動作、冷却動作、移送動作、量子ビット相互作用動作、量子ビット測定動作、漏れ抑制動作など)を実施させるように構成されてもよい。例えば、コントローラ30は、操作ソース64A、64Bに、トラップ50内にトラップされた原子オブジェクトに操作信号を提供させるように構成されてもよい。例えば、コントローラ30は、2色レーザーシステム200に、例えば1つ以上の量子ゲートを実現するように、場合によりサーボシステム300と協働して、1つ以上のゲート信号をトラップ50内にトラップされた1つ以上の原子オブジェクトに提供させるように構成されてもよい。様々な実施形態では、コントローラ30は、極低温及び/若しくは真空チャンバ40内の温度及び圧力を制御する極低温システム及び/若しくは真空システム、操作ソース64、並びに/又は極低温及び/若しくは真空チャンバ40内の環境条件(例えば、温度、湿度、圧力など)を制御する他のシステムを制御するように構成され、かつ/又はトラップ50内の1つ以上の原子の量子状態の制御された発展を操作するように、かつ/又はそれを引き起こすように構成されてもよい。
【0048】
図4に示されるように、様々な実施形態では、コントローラ30は、処理要素405、メモリ410、ドライバコントローラ要素415、通信インターフェース420、アナログ-デジタル変換素子425などを含む様々なコントローラ要素を含んでもよい。例えば、処理要素405は、プログラマブル論理装置(CPLD)、マイクロプロセッサ、共処理エンティティ、特定用途向けプロセッサ(ASIP)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、ハードウェアアクセラレータ、他の処理装置及び/若しくは回路機構など、並びに/又はコントローラを含んでもよい。回路機構という用語は、ハードウェア全体の実施形態、又はハードウェア及びコンピュータプログラム製品の組み合わせを指し得る。例示的な一実施形態では、コントローラ30の処理要素405は、クロックを含み、かつ/又はクロックと通信する。
【0049】
例えば、メモリ410は、ハードディスク、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、RRAM、SONOS、レーストラックメモリ、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリなどのうちの1つ以上のような、揮発性及び/又は不揮発性記憶域などの非一時的なメモリを含んでもよい。様々な実施形態では、メモリ410は、(例えば、量子ビット記録データ記憶、量子ビット記録データベース、量子ビット記録テーブルなどの)量子コンピュータの量子ビットに対応する量子ビット記録、較正テーブル、実行可能な待ち行列、コンピュータプログラムコード(例えば、1つ以上のコンピュータ言語、専門コントローラ言語(複数可)など)などを記憶し得る。例示的な一実施形態では、メモリ410に記憶されたコンピュータプログラムコードの少なくとも一部分の(例えば、処理要素405による)実行により、コントローラ30は、原子システム内の原子オブジェクトの位相を追跡し、それによって生成された1つ以上の操作ソース及び/又は信号の位相の調整を引き起こすための、本明細書に記載の1つ以上の工程、操作、プロセス、手順などを実施する。
【0050】
様々な実施形態では、ドライバコントローラ要素415は、それぞれが1つ以上のドライバを制御するように構成された、1つ以上のドライバ及び/又はコントローラ要素を含んでもよい。様々な実施形態では、ドライバコントローラ要素415は、ドライバ及び/又はドライバコントローラを含んでもよい。例えば、ドライバコントローラは、コントローラ30によって(例えば、処理要素405によって)スケジューリング及び実行される、実行可能な命令、コマンドなどに従って、1つ以上の対応するドライバを動作させるように構成されてもよい。様々な実施形態では、ドライバコントローラ要素415は、コントローラ30が2色レーザーシステム200、サーボシステム300、操作ソース64を動作させ、真空及び/又は極低温システムなどを動作させることを可能にし得る。様々な実施形態では、ドライバは、レーザードライバ、マイクロ波ドライバ、真空構成要素ドライバ、極低温及び/又は真空システム構成要素ドライバ、電流ドライバなどであってもよい。例えば、ドライバ及び/又はドライバコントローラは、磁場発生装置(例えば、電圧源(例えば、電流ドライバ若しくは電圧ドライバ)、永久磁石(複数可)、及び/又はそれらの組み合わせに連結された回路機構を含む)に、トラップ50の1つ以上の位置で特定の方向及び大きさを有する磁場を発生させるように構成されてもよい。様々な実施形態において、コントローラ30は、カメラ、MEMカメラ、CCDカメラ、フォトダイオード、光電子増倍管などのような1つ以上の光学受信機構成要素から信号を通信及び/又は受信するための手段を備える。例えば、コントローラ30は、1つ以上の光受信機構成要素、較正センサなどから信号を受信するように構成された1つ以上のアナログ-デジタル変換機要素425を含んでもよい。
【0051】
様々な実施形態では、コントローラ30は、計算エンティティ10とインターフェース接続及び/又は通信するための通信インターフェース420を含んでもよい。例えば、コントローラ30は、実行可能な命令、コマンドセットなどを計算エンティティ10から受信し、量子コンピュータ110から(例えば、光学収集システムから)受信した出力及び/又は出力を処理した結果を計算エンティティ10に提供するための通信インターフェース420を含んでもよい。様々な実施形態において、計算エンティティ10及びコントローラ30は、直接有線及び/若しくは無線接続、並びに/又は1つ以上の有線及び/若しくは無線ネットワーク20を介して通信し得る。
例示的な計算エンティティ
【0052】
図5は、本発明の実施形態と共に使用され得る例示的な計算エンティティ10の例示的な概略図を提供する。様々な実施形態において、計算エンティティ10は、ユーザが、入力を(例えば、計算エンティティ10のユーザインターフェースを介して)量子コンピュータ110に提供し、量子コンピュータ110からの出力を受信すること、表示すること、分析することなどを可能にするように構成される。例えば、ユーザは、計算エンティティ10を動作させて、(例えば、D状態のACシュタルクシフトゲートを含む)量子アルゴリズム及び/又は量子回路を発生させ、かつ/又はプログラムすることができ、量子アルゴリズム及び/又は量子回路は、コントローラ30が量子アルゴリズム及び/又は量子回路を受信し、量子コンピュータ110に量子アルゴリズム及び/又は量子回路を実施させることができるように提供され得る。
【0053】
図5に示されるように、計算エンティティ10は、アンテナ512、伝送機504(例えば、無線機)、受信機506(例えば、無線機)、並びに伝送機504及び受信機506のそれぞれに信号を提供し、それぞれから信号を受信する処理要素508を含んでもよい。伝送機504及び受信機506のそれぞれに提供され、それぞれから受信される信号は、コントローラ30、他の計算エンティティ10などのような様々なエンティティと通信するための、適用可能な無線システムのエアインターフェース標準に従って、信号情報/データを含んでもよい。この点に関して、計算エンティティ10は、1つ以上のエアインターフェース標準、通信プロトコル、変調タイプ、及びアクセスタイプで動作することができる場合がある。例えば、計算エンティティ10は、ファイバ分散データインターフェース(fiber distributed data interface、FDDI)、デジタル加入者線(digital subscriber line、DSL)、Ethernet、非同期転送モード(asynchronous transfer mode、ATM)、フレームリレー、ケーブルによるデータサービスインターフェース仕様(data over cable service interface specification、DOCSIS)、又は任意の他の有線伝送プロトコルなどの有線データ伝送プロトコルを使用して通信を受信及び/又は提供するように構成され得る。同様に、計算エンティティ10は、汎用パケット無線サービス(general packet radio service、GPRS)、ユニバーサル移動体通信システム(Universal Mobile Telecommunications System、UMTS)、符号分割多元接続2000(Code Division Multiple Access 2000、CDMA2000)、CDMA2000 1X(1xRTT)、広帯域符号分割多元接続(Wideband Code Division Multiple Access、WCDMA)、世界移動体通信システム(Global System for Mobile Communication、GSM)、GSM革新のための強化データレート(Enhanced Data rates for GSM Evolution、EDGE)、時分割-同期符号分割多元接続(Time Division-Synchronous Code Division Multiple Access、TD-SCDMA)、ロングタームエボリューション(Long Term Evolution、LTE)、進化型ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network、E-UTRAN)、エボリューションデータオプティマイズド(Evolution-Data Optimized、EVDO)、高速パケットアクセス(High Speed Packet Access、HSPA)、高速ダウンリンクパケットアクセス(High-Speed Downlink Packet Access、HSDPA)、IEEE802.11(Wi-Fi)、Wi-Fi Direct、802.16(WiMAX)、超広帯域(ultra wideband、UWB)、赤外線(infrared、IR)プロトコル、近距離通信(near field communication、NFC)プロトコル、Wibree、Bluetoothプロトコル、無線ユニバーサルシリアルバス(wireless universal serial bus、USB)プロトコル、及び/又は任意の他の無線プロトコルなどの様々なプロトコルのいずれかを使用して、無線外部通信ネットワークを介して通信するように構成され得る。計算エンティティ10は、かかるプロトコル及び標準を、ボーダゲートウェイプロトコル(Border Gateway Protocol、BGP)、動的ホスト構成プロトコル(Dynamic Host Configuration Protocol、DHCP)、ドメイン名システム(Domain Name System、DNS)、ファイル転送プロトコル(File Transfer Protocol、FTP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(Hypertext Transfer Protocol、HTTP)、HTTPオーバーTLS/SSL/Secure、インターネットメッセージアクセスプロトコル(Internet Message Access Protocol、IMAP)、ネットワークタイムプロトコル(Network Time Protocol、NTP)、シンプルメール転送プロトコル(Simple Mail Transfer Protocol、SMTP)、Telnet、トランスポートレイヤーセキュリティ(Transport Layer Security、TLS)、セキュアソケットレイヤー(Secure Sockets Layer、SSL)、インターネットプロトコル(Internet Protocol、IP)、伝送制御プロトコル(Transmission Control Protocol、TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(User Datagram Protocol、UDP)、データグラムコンジェスチョンコントロールプロトコル(Datagram Congestion Control Protocol、DCCP)、ストリーム制御伝送プロトコル(Stream Control Transmission Protocol、SCTP)、ハイパーテキストマークアップ言語(HyperText Markup Language、HTML)などを使用した通信のために使用することができる。
【0054】
これらの通信標準及びプロトコルを介して、計算エンティティ10は、非構造付加サービス情報/データ(Unstructured Supplementary Service information/data、USSD)、ショートメッセージサービス(Short Message Service、SMS)、マルチメディアメッセージサービス(Multimedia Messaging Service、MMS)、デュアルトーンマルチ周波数信号(Dual-Tone Multi-Frequency Signaling、DTMF)、及び/又は加入者識別モジュールダイヤラ(Subscriber Identity Module Dialer、SIMダイヤラ)などの概念を使用して、様々な他のエンティティと通信することができる。計算エンティティ10はまた、例えば、そのファームウェア、ソフトウェア(例えば、実行可能な命令、アプリケーション、プログラムモジュールを含む)、及びオペレーティングシステムに、変更、アドオン、及び更新をダウンロードすることができる。
【0055】
計算エンティティ10はまた、1つ以上のユーザ入力/出力インターフェース(例えば、処理要素508に連結されたディスプレイ516及び/又はスピーカ/スピーカドライバ、並びに処理要素508に連結されたタッチスクリーン、キーボード、マウス、及び/又はマイクロフォン)を備えるユーザインターフェース装置を含んでもよい。例えば、ユーザ出力インターフェースは、アプリケーション、ブラウザ、ユーザインターフェース、インターフェース、ダッシュボード、スクリーン、ウェブページ、ページ、及び/又は本明細書で互換可能に使用される類似の単語を提供するように構成され、情報/データを表示又は可聴提示させるため、及び1つ以上のユーザ入力インターフェースを介して情報/データと相互作用させるように、計算エンティティ10上で実行され、かつ/又は計算エンティティ10を介してアクセス可能であってもよい。ユーザ入力インターフェースは、キーパッド518(ハード若しくはソフト)、タッチディスプレイ、音声/発話若しくは運動インターフェース、スキャナ、リーダ、又は他の入力装置など、計算エンティティ10がデータを受信することを可能にする多数の装置のうちのいずれかを含んでもよい。キーパッド518を含む実施形態では、キーパッド518は、従来の数字(0~9)及び関連するキー(#、)、並びに計算エンティティ10を動作させるために使用される他のキーを含んでもよく(又はそれらを表示させてもよく)、英数字キーの完全なセット、又は英数字キーの完全なセットを提供するように起動され得るキーのセットを含んでもよい。入力を提供することに加えて、例えば、ユーザ入力インターフェースを使用して、スクリーンセーバ及び/若しくはスリープモードなどのある特定の機能を起動又は起動解除することができる。かかる入力により、計算エンティティ10は、情報/データ、ユーザ対話/入力などを収集することができる。
【0056】
計算エンティティ10はまた、揮発性記憶域若しくはメモリ522、及び/又は不揮発性記憶域若しくはメモリ524を含んでもよく、これらは、埋め込まれてもよいし、かつ/又は取り外し可能であってもよい。例えば、不揮発性メモリは、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM,RRAM、SONOS、レーストラックメモリなどであってもよい。揮発性メモリは、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリなどであってもよい。揮発性及び不揮発性記憶域又はメモリは、データベース、データベースインスタンス、データベース管理システムエンティティ、データ、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイルされたコード、解釈されたコード、マシンコード、実行可能な命令などを記憶して、計算エンティティ10の機能を実装することができる。
結論
【0057】
本明細書に記載される本発明の多くの修正例及び他の実施形態は、前述の説明及び関連付けられた図面に提示される教示の利益を有する、本発明に関係がある当業者に着想されるであろう。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されるものではないこと、並びに修正例及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。特定の用語が本明細書で用いられているが、これらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5