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特許7093419不揮発性メモリアレイにおけるピーク電力需要及びノイズを管理するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】不揮発性メモリアレイにおけるピーク電力需要及びノイズを管理するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/08 20060101AFI20220622BHJP
   G11C 16/24 20060101ALI20220622BHJP
   G11C 11/54 20060101ALI20220622BHJP
   G06G 7/20 20060101ALI20220622BHJP
   G06G 7/60 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
G11C16/08 110
G11C16/24 100
G11C11/54
G06G7/20 530
G06G7/60
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020550668
(86)(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 US2019015369
(87)【国際公開番号】W WO2019182684
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】16/015,020
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/647,573
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティワリ、ビピン
(72)【発明者】
【氏名】トラン、ヒュー バン
(72)【発明者】
【氏名】ドー、ナン
(72)【発明者】
【氏名】レイテン、マーク
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-162470(JP,A)
【文献】特開2012-069203(JP,A)
【文献】国際公開第2017/200883(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0039131(US,A1)
【文献】特開2015-170368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/08
G11C 16/24
G11C 11/54
G06G 7/20
G06G 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリデバイスであって、該メモリデバイスは、
行及び列に配置された複数のメモリセルと、
前記メモリセルの行にそれぞれ接続された複数のワード線と、
前記メモリセルの列にそれぞれ接続された複数のビット線と、
前記ワード線に接続されたワード線ドライバと、
前記ビット線に接続されたビット線ドライバと、
前記メモリセルの行のうちの1つを前記ワード線ドライバに対して選択的に接続及び切断するために、前記ワード線のうちの1つにそれぞれ配設された複数のワード線スイッチと、
前記メモリセルの列のうちの1つを前記ビット線ドライバに対して選択的に接続及び切断するために、前記ビット線のうちの1つにそれぞれ配設された複数のビット線スイッチと、
第1の時点で、前記メモリセルの行のうちの全てではなくいくつかを前記ワード線ドライバに接続するように、前記複数のワード線スイッチを制御し、第2の時点で、前記メモリセルの列のうちの全てではなくいくつかを前記ビット線ドライバに接続するように、前記複数のビット線スイッチを制御するように構成されたコントローラと、を備える、メモリデバイス。
【請求項2】
第1の時点は前記第2の時点と同じである、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項3】
第1の時点は前記第2の時点の前又は後である、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項4】
前記複数のワード線スイッチは、前記ワード線スイッチのm個の群を含み、mは1より大きい整数であり、前記コントローラは、
前記第1の時点で、前記m個の群のうちの第1の群内の前記ワード線スイッチを接続状態になるように制御し、
前記第1の時点で、前記m個の群のうちの第2の群内の前記ワード線スイッチを切断状態になるように制御し、
前記第1の時点の後である第3の時点で、前記m個の群のうちの前記第1の群内の前記ワード線スイッチを切断状態になるように制御し、
前記第3の時点で、前記m個の群のうちの前記第2の群内の前記ワード線スイッチを接続状態になるように制御するように構成される、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項5】
前記ワード線ドライバは、前記第1及び第3の時点で、接続状態のワード線スイッチを有する前記ワード線のいずれかを接地電圧に結合するように構成される、請求項4に記載のメモリデバイス。
【請求項6】
前記複数のビット線スイッチは、前記ビット線スイッチのk個の群を含み、kは1より大きい整数であり、前記コントローラは、
前記第2の時点で、前記k個の群のうちの第1の群内の前記ビット線スイッチを接続状態になるように制御し、
前記第2の時点で、前記k個の群のうちの第2の群内の前記ビット線スイッチを切断状態になるように制御し、
前記第2の時点の後である第3の時点で、前記k個の群のうちの前記第1の群内の前記ビット線スイッチを切断状態になるように制御し、
前記第3の時点で、前記k個の群のうちの前記第2の群内の前記ビット線スイッチを接続状態になるように制御するように構成される、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項7】
前記ビット線ドライバは、前記第2及び第3の時点で、接続状態のビット線スイッチを有する前記ビット線のうちのいずれかを特定の電圧に充電するように構成される、請求項6に記載のメモリデバイス。
【請求項8】
前記ビット線ドライバは、前記第2及び第3の時点で、接続状態のビット線スイッチを有する前記ビット線のうちのいずれかを接地電圧に結合するように構成される、請求項6に記載のメモリデバイス。
【請求項9】
前記ビット線ドライバは、前記第2及び第3の時点で、接続状態のビット線スイッチを有する前記ビット線のいずれかで電圧又は電流を検知するように構成されたセンスアンプ回路を含む、請求項6に記載のメモリデバイス。
【請求項10】
前記複数のワード線スイッチは、前記ワード線スイッチのm個の群を含み、mは1より大きい整数であり、前記複数のビット線スイッチは、前記ビット線スイッチのうちのk個の群を含み、kは1より大きい整数であり、前記コントローラは、
前記第1の時点で、前記m個の群のうちの第1の群内の前記ワード線スイッチを接続状態になるように制御し、
前記第1の時点で、前記m個の群のうちの第2の群内の前記ワード線スイッチを切断状態になるように制御し、
前記第1の時点の後である第3の時点で、前記m個の群のうちの前記第1の群内の前記ワード線スイッチを切断状態になるように制御し、
前記第3の時点で、前記m個の群のうちの前記第2の群内の前記ワード線スイッチを接続状態になるように制御し、
前記第1の時点と同じである前記第2の時点で、前記k個の群のうちの第1の群内の前記ビット線スイッチを接続状態になるように制御し、
前記第2の時点で、前記k個の群のうちの第2の群内の前記ビット線スイッチを切断状態になるように制御し、
前記第3の時点で、前記k個の群のうちの前記第1の群内の前記ビット線スイッチを切断状態になるように制御し、
前記第3の時点で、前記k個の群のうちの前記第2の群内の前記ビット線スイッチを接続状態になるように制御するように構成される、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項11】
メモリデバイスであって、該メモリデバイスは、
行及び列に配置された複数のメモリセルと、
前記メモリセルの行にそれぞれ接続された複数のワード線と、
前記メモリセルの列にそれぞれ接続された複数のビット線と、
前記ワード線に接続されたワード線ドライバと、
前記ビット線に接続されたビット線ドライバと、
前記メモリセルの行のうちの1つを前記ワード線ドライバに対して選択的に接続及び切断するために、前記ワード線のうちの1つにそれぞれ配設された複数のワード線スイッチと、
第1の時点で、前記メモリセルの行のうちの全てではなくいくつかを前記ワード線ドライバに接続するように、前記複数のワード線スイッチを制御するように構成されたコントローラと、を備え
前記複数のワード線スイッチは、前記ワード線スイッチのm個の群を含み、mは1より大きい整数であり、前記コントローラは、
前記第1の時点で、前記m個の群のうちの第1の群内の前記ワード線スイッチを接続状態になるように制御し、
前記第1の時点で、前記m個の群のうちの第2の群内の前記ワード線スイッチを切断状態になるように制御し、
前記第1の時点の後である第2の時点で、前記m個の群のうちの前記第1の群内の前記ワード線スイッチを切断状態になるように制御し、
前記第2の時点で、前記m個の群のうちの前記第2の群内の前記ワード線スイッチを接続状態になるように制御するように構成される、メモリデバイス。
【請求項12】
メモリデバイスを動作させる方法であって、前記メモリデバイスは、
行及び列に配置された複数のメモリセルと、
前記メモリセルの行にそれぞれ接続された複数のワード線と、
前記メモリセルの列にそれぞれ接続された複数のビット線と、
前記ワード線に接続されたワード線ドライバと、
前記ビット線に接続されたビット線ドライバと、
前記メモリセルの行のうちの1つを前記ワード線ドライバに対して選択的に接続及び切断するために、前記ワード線のうちの1つにそれぞれ配設された複数のワード線スイッチと、
前記メモリセルの列のうちの1つを前記ビット線ドライバに対して選択的に接続及び切断するために、前記ビット線のうちの1つにそれぞれ配設された複数のビット線スイッチと、を含み、
前記方法は、
第1の時点で、前記メモリセルの行のうちの全てではなくいくつかを前記ワード線ドライバに接続するように、前記複数のワード線スイッチを動作させるステップと、
第2の時点で、前記メモリセルの列のうちの全てではなくいくつかを前記ビット線ドライバに接続するように、前記複数のビット線スイッチを動作させるステップと、を含む、方法。
【請求項13】
前記複数のワード線スイッチは、前記ワード線スイッチのm個の群を含み、mは1より大きい整数であり、前記方法は、
前記第1の時点で、前記m個の群のうちの第1の群内の前記ワード線スイッチを接続状態になるように動作させるステップと、
前記第1の時点で、前記m個の群のうちの第2の群内の前記ワード線スイッチを切断状態になるように動作させるステップと、
前記第1の時点の後である第3の時点で、前記m個の群のうちの前記第1の群内の前記ワード線スイッチを切断状態になるように動作させるステップと、
前記第3の時点で、前記m個の群のうちの前記第2の群内の前記ワード線スイッチを接続状態になるように動作させるステップと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1及び第3の時点で、接続状態のワード線スイッチを有する前記ワード線のうちのいずれかを接地電圧に結合するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のビット線スイッチは、前記ビット線スイッチのk個の群を含み、kは1より大きい整数であり、前記方法は、
前記第2の時点で、前記k個の群のうちの第1の群内の前記ビット線スイッチを接続状態になるように動作させるステップと、
前記第2の時点で、前記k個の群のうちの第2の群内の前記ビット線スイッチを切断状態になるように動作させるステップと、
前記第2の時点の後である第3の時点で、前記k個の群のうちの前記第1の群内の前記ビット線スイッチを切断状態になるように動作させるステップと、
前記第3の時点で、前記k個の群のうちの前記第2の群内の前記ビット線スイッチを接続状態になるように動作させるステップと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第2及び第3の時点で、接続状態のビット線スイッチを有する前記ビット線のうちのいずれかを特定の電圧に充電するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2及び第3の時点で、接続状態のビット線スイッチを有する前記ビット線のうちのいずれかを接地電圧に結合するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第2及び第3の時点で、接続状態のビット線スイッチを有する前記ビット線のうちのいずれかで電圧又は電流を検知するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のワード線スイッチは、前記ワード線スイッチのm個の群を含み、mは1より大きい整数であり、前記複数のビット線スイッチは、前記ビット線スイッチのk個の群を含み、kは1より大きい整数であり、前記方法は、
前記第1の時点で、前記m個の群のうちの第1の群内の前記ワード線スイッチを接続状態になるように動作させるステップと、
前記第1の時点で、前記m個の群のうちの第2の群内の前記ワード線スイッチを切断状態になるように動作させるステップと、
前記第1の時点の後である第3の時点で、前記m個の群のうちの前記第1の群内の前記ワード線スイッチを切断状態になるように動作させるステップと、
前記第3の時点で、前記m個の群のうちの前記第2の群内の前記ワード線スイッチを接続状態になるように動作させるステップと、
前記第1の時点と同じである前記第2の時点で、前記k個の群のうちの第1の群内の前記ビット線スイッチを接続状態になるように動作させるステップと、
前記第2の時点で、前記k個の群のうちの第2の群内の前記ビット線スイッチを切断状態になるように動作させるステップと、
前記第3の時点で、前記k個の群の前記第1の群内の前記ビット線スイッチを切断状態になるように動作させるステップと、
前記第3の時点で、前記k個の群のうちの前記第2の群内の前記ビット線スイッチを接続状態になるように動作させるステップと、を含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2018年3月23日出願の米国特許仮出願第62/647,573号及び2018年6月21日出願の米国特許出願第16/015,020号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、不揮発性メモリアレイに関する。
【背景技術】
【0003】
不揮発性メモリデバイスは、当該技術分野において周知である。例えば、スプリットゲートメモリセルが、米国特許第5,029,130号に開示されている。このメモリセルは、浮遊ゲートと、制御ゲートと、を有し、これらのゲートは、ソース領域とドレイン領域との間に延在する基板のチャネル領域の上方に配設されて、この領域の導電率を制御する。電圧の様々な組み合わせが、制御ゲート、ソース、及びドレインに印加されて、(浮遊ゲートに電子を注入することにより)メモリセルをプログラムし、(浮遊ゲートから電子を除去することにより)メモリセルを消去し、(チャネル領域の伝導率を測定又は検出して、浮遊ゲートのプログラミング状態を決定することにより)メモリセルを読み出す。
【0004】
不揮発性メモリセルのゲートの構成及び数は変化し得る。例えば、米国特許第7,315,056号は、ソース領域の上方にプログラム/消去ゲートを更に含むメモリセルを開示している。米国特許第7,868,375号は、ソース領域の上方に消去ゲート、及び浮遊ゲートの上方にカップリングゲートを更に含むメモリセルを開示している。
【0005】
図1は、シリコン半導体基板12内に形成された、離間されたソース領域14及びドレイン領域16を有するスプリットゲートメモリセル10を例証する。基板のチャネル領域18は、ソース領域14とドレイン領域16との間に画定される。浮遊ゲート20は、チャネル領域18の第1の部分の上方に配設され、チャネル領域18の第1の部分から絶縁される(かつ部分的にソース領域14の上方に配設され、ソース領域14から絶縁される)。制御ゲート(ワードラインゲート又は選択ゲートとも称される)22は、チャネル領域18の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域18の第2の部分から絶縁された下部、及び浮遊ゲート20の上方で上に延びた上部(すなわち、制御ゲート22が、浮遊ゲート20の上端の周りを包む)を有する。
【0006】
メモリセル10は、制御ゲート22に高正電圧を、ソース領域14及びドレイン領域16に基準電位をかけることにより消去することができる。浮遊ゲート20と制御ゲート22との間の大きな電圧降下は、浮遊ゲート20の電子を、浮遊ゲート20から制御ゲート22へと、周知のファウラー・ノルドハイムトンネリング機構によって、介在する絶縁体を通ってトンネリングさせる(浮遊ゲート20を正に帯電又はより正に帯電したままにする-消去状態)。メモリセル10は、ドレイン領域16に接地電圧、ソース領域14に正電圧、及び制御ゲート22に正電圧を印加することによりプログラムされ得る。次に、電子は、いくつかの電子を加速及び加熱しながら、ドレイン領域16からソース領域14に向かって流れ、それによって、電子が浮遊ゲート20に(ホットエレクトロン注入によって)注入される(浮遊ゲートを負に帯電又はより負に帯電したままにする-プログラム状態)。メモリセル10は、ドレイン領域16に接地電圧、ソース領域14に正電圧、及び制御ゲート22に正電圧をかけることにより読み出され得る(制御ゲート22下のチャネル領域をオンする)。浮遊ゲートが、正に帯電する場合(消去)、電流は、ソース領域14からドレイン領域16へ流れる(すなわち、メモリセル10は、検知された電流に基づいて、その消去された「1」状態であることが検知される)。浮遊ゲート20が、負に帯電する場合(プログラム)、浮遊ゲート下のチャネル領域は、わずかにオン又はオフされ、それによって、あらゆる電流を低減又は阻止する(すなわち、メモリセル10は、検知された低電流又は電流なしであることに基づいて、そのプログラムされた「0」状態を検知する)。
【0007】
図2は、メモリセル10と同一の素子を備えるが、ソース領域14の上方に配設され、かつソース領域14から絶縁されたプログラム/消去(PE)ゲート26を更に備えた代替のスプリットゲートメモリセル24を例証する(すなわち、これは3ゲート設計である)。メモリセル24は、PEゲート26に高電圧をかけて、浮遊ゲート20からPEゲート26へと電子のトンネリングを生じさせることにより消去され得る。メモリセル24は、制御ゲート22、PEゲート26、及びソース領域14に正電圧をかけ、かつドレイン領域16に電流をかけて、チャネル領域18を通り流れる電流から浮遊ゲート20へと電子を注入することによりプログラムされ得る。メモリセル24は、制御ゲート22及びドレイン領域16に正電圧をかけ、電流の流れを検知することにより読み出され得る。
【0008】
図3は、メモリセル10と同一の素子を備えるが、ソース領域14の上方に配設され、かつソース領域14から絶縁された消去ゲート30、及び浮遊ゲート20の上方に配設され、かつ浮遊ゲート20から絶縁されたカップリングゲート32を更に備えた代替のスプリットゲートメモリセル28を例証する。メモリセル28は、消去ゲート30に高電圧をかけ、かつ所望によりカップリングゲート32に負電圧をかけて、浮遊ゲート20から消去ゲート30へと電子のトンネリングを生じさせることにより消去され得る。メモリセル28は、制御ゲート22、消去ゲート30、カップリングゲート32、及びソース領域14に正電圧をかけ、かつドレイン領域16に電流をかけて、チャネル領域18を通り流れる電流から浮遊ゲート20へと電子を注入することによりプログラムされ得る。メモリセル28は、制御ゲート22及びドレイン領域16(並びに所望により消去ゲート30及び/又はカップリングゲート32)に正電圧をかけ、電流の流れを検知することにより読み出され得る。
【0009】
上記の全てのメモリセルについては、それらは典型的にデジタル方式で動作し、これは、プログラム、消去、及び読み出し動作のそれぞれで電圧が印加されて、メモリセルを「0」状態にプログラムし、メモリセルを「1」状態に消去し、メモリセルがプログラムされた状態にあるか又は消去された状態にあるかを決定するためにメモリセルを読み出すことを意味する。デジタル動作では、それぞれのメモリセルは、1ビットのデータのみを記憶することができ(すなわち、セルは2つの可能なプログラミング状態のみを有する)、データは、メモリセルをその読み出し閾値より高くすることによって読み出され、それによりメモリセルは、電子でプログラムされていない場合には読み出し電流を伝導し、電子でプログラムされている場合には伝導しない(又は、わずかしか伝導しない)。
【0010】
上述のメモリセルをアナログ方式で動作させることも可能であり、それにより、それぞれのメモリセルは、多くのプログラミング状態のうちの1つにプログラムされ得、閾値下の読み出し動作を使用してメモリセルを読み出すことによって決定される。具体的には、それぞれのメモリセルは、所望のプログラミング状態が達成されるまで、電子で徐々にプログラムされ得る。読み出し動作中、メモリセル読み出し電圧は、メモリセルを閾値下状態にするように選択され(すなわち、読み出し電圧は、メモリセルをそのプログラムされた状態にかかわらずオンにするには不十分である)、そのため、メモリセルのチャネル領域を通る任意の電流は、閾値下漏れ電流を意味する。しかしながら、閾値下漏れ電流は、メモリセルのプログラミング状態に比例し、したがって、メモリセルのプログラミング状態を示すことになる。したがって、このように、メモリセルは、アナログプログラミング状態にプログラムされ、アナログプログラミング状態に比例するアナログ読み出し電流を生成するアナログ方式で使用され得る。アナログ動作は、ニューラルネットなどの用途に理想的であり、メモリセルは個々の重み値を記憶するために使用され、アレイはベクトル/行列乗算を実行するために使用される(すなわち、ニューロン層入力は、ワード線に配置され、個々のメモリセルに記憶された重みによって効果的に乗算されて、ビット線に出力を生成する)。
【0011】
デジタル動作では、1回の読み出し動作で通常はメモリセル行全体が読み出される。これは、その読み出し電圧に活性化されるワード線だけでなく、読み出し動作中にそのメモリセル行のビット線のそれぞれも活性化されることを意味する。したがって、デジタル動作に対するピーク電流需要は、1つのワード線及び全てのビット線を活性化するために必要な電流要件によって決定される。しかしながら、アナログ動作では、ワード線及びビット線の全ては、同時に(例えば、ベクトル/行列乗算動作中に)活性化され得る。これは、アナログ動作におけるメモリアレイによるピーク電流需要がデジタル動作の場合の何倍にもなり得ることを意味する。高いピーク電流需要は、デバイスの誤動作を引き起こし得る過剰な電源ノイズ、同じくデバイスの誤動作を引き起こし得る著しい電圧降下、及びRFエネルギーによって電力供給されるデバイスに対する有害な影響を引き起こし得る。電流需要の源としては、大きなワード線ドライバ、ビット線プリチャージ、差動電流検知のための差動オペアンプ、及び活性化が挙げられる。いずれの場合も、電圧及び電流の供給は、メモリアレイを動作させるためのピーク電圧及び電流要件を処理する必要があり、これらのデバイスを大きくさせ、より多くの電力を消費させる。
【0012】
ピーク電力需要及びノイズを低減する不揮発性メモリアレイアーキテクチャ及び設計が必要とされている。
【発明の概要】
【0013】
上記の問題及び必要性は、行及び列に配置された複数のメモリセルと、メモリセルの行にそれぞれ接続された複数のワード線と、メモリセルの列にそれぞれ接続された複数のビット線と、ワード線に接続されたワード線ドライバと、ビット線に接続されたビット線ドライバと、メモリセルの行のうちの1つをワード線ドライバに対して選択的に接続及び切断するために、ワード線のうちの1つにそれぞれ配設された複数のワード線スイッチと、メモリセルの列のうちの1つをビット線ドライバに対して選択的に接続及び切断するために、ビット線のうちの1つにそれぞれ配設された複数のビット線スイッチと、第1の時点で、メモリセルの行のうちの全てではなくいくつかをワード線ドライブに接続するように、複数のワード線スイッチを制御し、第2の時点で、メモリセルの列のうちの全てではなくいくつかをビット線ドライバに接続するように、複数のビット線スイッチを制御するように構成されたコントローラと、を含む、メモリデバイスによって対処される。
【0014】
メモリデバイスは、行及び列に配置された複数のメモリセルと、メモリセルの行にそれぞれ接続された複数のワード線と、メモリセルの列にそれぞれ接続された複数のビット線と、ワード線に接続されたワード線ドライバと、ビット線に接続されたビット線ドライバと、メモリセルの行のうちの1つをワード線ドライバに対して選択的に接続及び切断するために、ワード線のうちの1つにそれぞれ配設された複数のワード線スイッチと、第1の時点で、メモリセルの行のうちの全てではなくいくつかをワード線ドライバに接続するように、複数のワード線スイッチを制御するように構成されたコントローラと、を含む。
【0015】
メモリデバイスは、行及び列に配置された複数のメモリセルと、メモリセルの行にそれぞれ接続された複数のワード線と、メモリセルの列にそれぞれ接続された複数のビット線と、ワード線に接続されたワード線ドライバと、ビット線に接続されたビット線ドライバと、メモリセルの列のうちの1つをビット線ドライバに対して選択的に接続及び切断するために、ビット線のうちの1つにそれぞれ配設された複数のビット線スイッチと、第1の時点で、メモリセルの列のうちの全てではなくいくつかをビット線ドライバに接続するように、複数のビット線スイッチを制御するように構成されたコントローラと、を含む。
【0016】
メモリデバイスを動作させる方法であって、メモリデバイスは、行及び列に配置された複数のメモリセルと、メモリセルの行にそれぞれ接続された複数のワード線と、メモリセルの列にそれぞれ接続された複数のビット線と、ワード線に接続されたワード線ドライバと、ビット線に接続されたビット線ドライバと、メモリセルの行のうちの1つをワード線ドライバに対して選択的に接続及び切断するために、ワード線のうちの1つにそれぞれ配設された複数のワード線スイッチと、メモリセルの列のうちの1つをビット線ドライバに対して選択的に接続及び切断するために、ビット線のうちの1つにそれぞれ配設された複数のビット線スイッチと、を含む、方法。この方法は、第1の時点で、メモリセルの行のうちの全てではなくいくつかをワード線ドライバに接続するように、複数のワード線スイッチを動作させるステップと、第2の時点で、メモリセルの列のうちの全てではなくいくつかをビット線ドライバに接続するように、複数のビット線スイッチを動作させるステップと、を含む。
【0017】
本発明の他の目的及び特徴は、明細書、特許請求の範囲、添付図面を精読することによって明らかになるであろう。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】2つの導電ゲートを有する従来のスプリットゲートメモリセルの側断面図である。
図2】3つの導電ゲートを有する従来のスプリットゲートメモリセルの側断面図である。
図3】4つの導電ゲートを有する従来のスプリットゲートメモリセルの側断面図である。
図4】本発明のメモリアレイ構成の概略図である。
図5】本発明の例示的メモリデバイスのアーキテクチャを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
メモリアレイを動作させるための電力及び電流需要は、特定の時点で一緒に動作される特定の構成要素を選択的に群に分け、特定の動作中に他の群を除外するように構成要素の当該群を一緒に動作させることによって低減され得る。そうすることで、電流及び電圧を供給する構成要素のサイズ及び複雑さが低減され得、より少ない電力を消費することになる。
【0024】
図4は、本発明のメモリアレイ構成を例証し、前述のメモリセル構成のいずれかに適用可能である。メモリアレイ38は、行及び列に配置されたメモリセル40を含む。ワード線WL0、WL1、...WLn-1及びWLnは、行方向に延在し、ワード線ドライバ42によって駆動される。ビット線BL0、BL1、...BLp-1及びBLpは、列方向に延在し、ビット線ドライバ44によって駆動される。ビット線ドライバ44は、ビット線に電圧/電流を駆動するための回路を含むだけでなく、ビット線の電圧/電流を検知するためのセンスアンプ回路も含む。それぞれのメモリセル40は、ワード線WLのうちの1つとビット線BLのうちの1つとの交点に位置する。ワード線WL0~WLnのそれぞれは、メモリセル40の行全体に対する制御ゲート(ワード線ゲート又は選択ゲートとも呼ばれる)に接続され、及び/又は制御ゲートを形成する。ビット線BL0~BLpのそれぞれは、メモリセル40の列全体に対するドレイン領域に接続される。
【0025】
それぞれのワード線WLは、ワード線ドライバ42からのワード線WLの入力信号を選択的に通過させる又は遮断するスイッチ(WLスイッチ46)を含む。具体的には、それぞれのスイッチは、そこを通る信号を伝導する又は通過させる閉鎖状態、つまり接続状態と、そこを通る信号を伝導しない又は通過させない開放状態、つまり切断状態と、を有する。ワード線スイッチ46は、群481、482、...48mに集められ得、それぞれの群内のワード線スイッチ46の全てが一緒に動作される。ワード線スイッチ46は、1つ以上のWLスイッチ制御線50の制御信号に応答して、開放(信号を遮断するため)及び閉鎖(信号を通過させるため)される。
【0026】
それぞれのビット線BLは、ビット線ドライバ44への/ビット線ドライバ44からのビット線の信号を選択的に通過させる又は遮断するスイッチ(BLスイッチ52)を含む。具体的には、それぞれのスイッチは、そこを通る信号を伝導する又は通過させる閉鎖状態、つまり接続状態と、そこを通る信号を伝導しない又は通過させない開放状態、つまり切断状態と、を有する。ビット線スイッチ52は、群541、542、...54kに集められ得、それぞれの群内のビット線スイッチ52の全てが一緒に動作される。ビット線スイッチ52は、1つ以上のBLスイッチ制御線56の制御信号に応答して、開放(信号を遮断するため)及び閉鎖(信号を通過させるため)される。
【0027】
本発明は、ワード線WLのWLスイッチ46、及びビット線BLのBLスイッチ52を選択的に制御することによって、ピーク電流/電力需要を管理及び制御する。具体的には、WLスイッチ46のうちのいくつかのみが、ワード線ドライバ42からワード線WLのいくつかに電圧/電流を通過させるために、ある時点で活性化(閉鎖)される。同様に、BLスイッチ52のうちのいくつかのみが、ビット線ドライバ44とビット線BLのいくつかとの間の電圧/電流を通過させるために、ある時点で活性化(閉鎖)される。WLスイッチ46の全てではなくいくつか及び/又はBLスイッチ52の全てではなくいくつかを一度に閉鎖させることによって、メモリアレイによるピーク電流需要が低減される。ピーク電流需要のこの低減は、WLスイッチ46の群48のうちの全てではないが1つ以上を一度に活性化することによって達成され得る。同様に、ピーク電流需要のこの低減は、BLスイッチ52の群54のうちの全てではないが1つ以上を一度に活性化することによって達成され得る。
【0028】
例えば、特定の動作は、ビット線が特定の電圧にプリチャージされることを必要とする。このような動作中に、ビット線のうちのいくつかのみがビット線ドライバ44によって一度に(すなわち、第1の時点で)プリチャージされるように、BLスイッチ52の群54の全てではないが1つ以上が活性化(閉鎖)され得る。他のビット線は、後の時間に(すなわち、第1の時点とは異なる1つ以上の他の時点で)プリチャージされ得る。別の実施例では、センスアンプ回路は、それぞれが2つのビット線間の電圧差を検出する差動センスアンプを含み得る。BLスイッチ52は、異なる時間にビット線ドライバ44内の異なる差動センスアンプに接続されたビット線の異なる群54を順次活性化するために使用され得る。更に別の実施例では、ワード線及びビット線は、特定の動作中に電圧放電(すなわち、接地に結合することによる)される。WLスイッチ46及び/又はBLスイッチ52は、この動作中に、線のうちのいくつかのみが一度に放電される(グラウンドノイズを低減する)ように異なる時間で連続的に閉鎖され得る。これは、個別に(スイッチごとに)、又は群別に(群ごとに、複数の群ごとに、など)行われ得る。上の実施例のいずれかにおいて、あるスイッチ群を伴う動作からの応答は、別のスイッチ群への入力トリガであり得る。
【0029】
それぞれのスイッチ群4/54内のワード線WL及びビット線BLの数は、デバイスのピーク電流需要に応じて変化し得る。あるいは、スイッチは、群単位で動作されることなく個別に動作され得る。上述のWLスイッチ46及びBLスイッチ52は、ワード線ドライバ42及びビット線ドライバ44の設計及び動作の単純化を可能にする。
【0030】
例示的なメモリデバイスのアーキテクチャを図5に例証する。メモリデバイスは、不揮発性メモリセルのアレイ60を含み、アレイ60は2つの分離した平面(平面A 62a及び平面B 62b)に分離され得る。メモリセルは、半導体基板12に複数の行及び列で配置され、単一のチップに形成された、図1図3に例証されたタイプであることができる。不揮発性メモリセルのアレイには、アドレスデコーダ(例えば、XDEC64(好ましくはワード線ドライバ42を含む行デコーダ)、SLDRV66(ソース線を駆動するためのソース線ドライバ)、YMUX68(好ましくはビット線ドライバ44を含む列デコーダ)、HVDEC70(高電圧デコーダ)、及びビット線コントローラ(BLINHCTL72)が隣接し、これらを使用して、選択されたメモリセルの読み出し、プログラム、及び消去動作中にアドレスがデコードされ、様々な電圧が様々なメモリセルゲート及び領域に供給される。コントローラ76(制御回路を含む)は、様々なデバイス素子を制御し、それぞれの動作(プログラム、消去、読み出し)を対象のメモリセルで実施する。電荷ポンプCHRGPMP74は、コントローラ76の制御下において、メモリセルの読み出し、プログラム、及び消去に使用される様々な電圧を提供する。WLスイッチ制御線50及びBLスイッチ制御線56の制御信号は、好ましくは、コントローラ76によって提供される。
【0031】
本発明は、本明細書に図示した上記実施形態に限定されるものではなく、任意の請求の範囲にあるあらゆる全ての変形例も包含することが理解されよう。例えば、本明細書で本発明に言及することは、任意の特許請求項又は特許請求項の用語の範囲を限定することを意図しておらず、その代わり、単に、1つ以上の特許請求項によって網羅され得る1つ以上の特徴に言及するものである。上記で説明した材料、プロセス、及び数値の実施例は、単に例示的なものであり、特許請求の範囲を限定するものとみなされるべきではない。単一の材料層は、複数のかかる又は類似の材料層として形成することができ、そして、逆もまた同様である。
【0032】
本明細書で使用される場合、「の上方に(over)」及び「に(on)」という用語は両方とも、「に直接」(中間材料、要素、又は空間がそれらの間に何ら配設されない)、及び「の上に間接的に」(中間材料、要素、又は空間がそれらの間に配設される)を包括的に含むことに留意するべきである。同様に、「隣接した」という用語は、「直接隣接した」(中間材料、要素、又は空間がそれらの間に何ら配設されない)、及び「間接的に隣接した」(中間材料、要素、又は空間がそれらの間に配設される)を含み、「に取り付けられた」は、「に直接取り付けられた」(中間材料、要素、又は空間がそれらの間に何ら配設されない)、及び「に間接的に取り付けられた」(中間材料、要素、又は空間がそれらの間に配設される)を含み、「電気的に結合された」は、「に直接電気的に結合された」(要素を一緒に電気的に連結する中間材料又は要素がそれらの間にない)、及び「に間接的に電気的に結合された」(要素を一緒に電気的に連結する中間材料又は要素がそれらの間にある)を含む。例えば、要素を「基板の上方に」形成することは、その要素を基板に直接、中間材料/要素をそれらの間に何ら伴わずに、形成すること、並びにその要素を基板の上に間接的に、1つ以上の中間材料/要素をそれらの間に伴って、形成することを含み得る。
図1
図2
図3
図4
図5