(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】再循環スナバ技術分野を有した電力コンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
H02M3/28 R
(21)【出願番号】P 2020555525
(86)(22)【出願日】2018-04-11
(86)【国際出願番号】 US2018027085
(87)【国際公開番号】W WO2019199299
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】594203852
【氏名又は名称】エアロジェット ロケットダイン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ヘスターマン,ブライス エル.
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-539349(JP,A)
【文献】特開昭60-219967(JP,A)
【文献】米国特許第05461297(US,A)
【文献】特開2015-204636(JP,A)
【文献】特開2011-160616(JP,A)
【文献】特開2012-135189(JP,A)
【文献】特開2017-127051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1整流回路出力端子を有した第1整流回路、および一対の第2整流回路出力端子を有した第2整流回路と、
第1ノードで互いに接続され、前記一対の第1整流回路出力端子を接続する第1ダイオードおよび第1キャパシタ、第2ノードで互いに接続され、前記一対の第2整流回路出力端子を接続する第2ダイオードおよび第2キャパシタ、前記第1ノードを前記一対の第2整流回路出力端子の一方に接続する第3ダイオード、および前記第2ノードを前記一対の第1整流回路出力端子の一方に接続する第4ダイオードを有したスナバ回路と、
を備え
、
前記第1キャパシタは、前記第3ダイオードに接続されない前記一対の第1整流回路出力端子の一方に接続されており、前記第2キャパシタは、前記第4ダイオードに接続されない前記一対の第2整流回路出力端子の一方に接続されることを特徴とする電力コンバータ。
【請求項2】
一対の第1整流回路出力端子を有した第1整流回路、および一対の第2整流回路出力端子を有した第2整流回路と、
第1ノードで互いに接続され、前記一対の第1整流回路出力端子を接続する第1ダイオードおよび第1キャパシタ、第2ノードで互いに接続され、前記一対の第2整流回路出力端子を接続する第2ダイオードおよび第2キャパシタ、前記第1ノードを前記一対の第2整流回路出力端子の一方に接続する第3ダイオード、および前記第2ノードを前記一対の第1整流回路出力端子の一方に接続する第4ダイオードを有したスナバ回路と、
を備え
、
前記スナバ回路は、前記第3ダイオードに接続されない前記一対の第1整流回路出力端子の一方を中点ノードに接続する第1フィルタインダクタと、前記第4ダイオードに接続されない前記一対の第2整流回路出力端子の一方を前記中点ノードに接続する第2フィルタインダクタと、をさらに備えることを特徴とする電力コンバータ。
【請求項3】
前記第1整流回路および前記第2整流回路の各々は、フルブリッジ整流器およびセンタータップ整流器の一方であることを特徴とする請求項1
または2に記載の電力コンバータ。
【請求項4】
前記第1整流回路および前記第2整流回路の各々は、複数のシリコンダイオードを有することを特徴とする請求項1
または2に記載の電力コンバータ。
【請求項5】
前記第1整流回路および前記第2整流回路の各々は、複相電力システムによって駆動される変圧器からの電流を整流することを特徴とする請求項1
または2に記載の電力コンバータ。
【請求項6】
前記複相電力システムは、パルス幅変調モードまたは位相シフトブリッジモードのいずれかで選択的に動作され得るドライバを有することを特徴とする請求項
5に記載の電力コンバータ。
【請求項7】
複数対の整流部を備え、前記第1整流回路および前記第2整流回路の各々は、他の対応した整流部の各々と実質的に同一であることを特徴とする請求項1
または2に記載の電力コンバータ。
【請求項8】
各整流器が、一次巻き線を有した少なくとも1つの変圧器から電力を受けることを特徴とする請求項1
または2に記載の電力コンバータ。
【請求項9】
各一次巻き線の両端の電圧が、クランピングダイオードによって制限されることを特徴とする請求項
8に記載の電力コンバータ。
【請求項10】
電力コンバータにおいて電圧スパイクを減少させる方法であって、
スナバ回路を通してスナバエネルギを再循環させることを含み、前記スナバ回路は、第1ノードで互いに接続され、一対の第1整流回路出力端子を接続する第1ダイオードおよび第1キャパシタと、第2ノードで互いに接続され、一対の第2整流回路出力端子を接続する第2ダイオードおよび第2キャパシタと、前記第1ノードを前記一対の第2整流回路出力端子の一方に接続する第3ダイオードと、前記第2ノードを前記一対の第1整流回路出力端子の一方に接続する第4ダイオードとを有
し、
前記第1キャパシタは、前記第3ダイオードに接続されない前記一対の第1整流回路出力端子の一方に接続されており、前記第2キャパシタは、前記第4ダイオードに接続されない前記一対の第2整流回路出力端子の一方に接続されることを特徴とする、電力コンバータにおいて電圧スパイクを減少させる方法。
【請求項11】
電力コンバータにおいて電圧スパイクを減少させる方法であって、
スナバ回路を通してスナバエネルギを再循環させることを含み、前記スナバ回路は、第1ノードで互いに接続され、一対の第1整流回路出力端子を接続する第1ダイオードおよび第1キャパシタと、第2ノードで互いに接続され、一対の第2整流回路出力端子を接続する第2ダイオードおよび第2キャパシタと、前記第1ノードを前記一対の第2整流回路出力端子の一方に接続する第3ダイオードと、前記第2ノードを前記一対の第1整流回路出力端子の一方に接続する第4ダイオードとを有し、
前記スナバ回路は、前記第3ダイオードに接続されない前記一対の第1整流回路出力端子の一方を中点ノードに接続する第1フィルタインダクタと、前記第4ダイオードに接続されない前記一対の第2整流回路出力端子の一方を前記中点ノードに接続する第2フィルタインダクタと、をさらに備えることを特徴とする、電力コンバータにおいて電圧スパイクを減少させる方法。
【請求項12】
高電圧出力ノードを中点ノードに接続する第3キャパシタと、低電圧出力ノードを前記中点ノードに接続する第4キャパシタを用いて、前記高電圧出力ノードと前記低電圧出力ノードとの間で電圧をフィルタリングすることをさらに含むことを特徴とする請求項
10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタは、ほぼ同じキャパシタンスを有することを特徴とする請求項
10または11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電力コンバータに関し、特に、再循環スナバ回路を有した電力コンバータに関する。
【0002】
なお、本発明は、NASAに付与の契約番号NNC16CA21Cのもと、米国政府の補助によりなされた。したがって、米国政府は、本発明の一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
電力コンバータは、電圧特性および電流特性の第1のセットから電圧特性および電流特性の第2のセットへ電力を変換するように多くの用途で使用されている。電力コンバータの使用により、単一の電源、例えばバッテリまたは貯蔵された他のエネルギ構成要素は、異なる電力要求をそれぞれ有し得る複数の異なる電子構成要素に電力を供給することができる。
【0004】
セットアップコンバータと呼ばれる電力コンバータの1つの例示的な形式は、より高い出力電圧を達成するために、積み重ねられた複数の整流部を有する。整流部の各々は、ブリッジ整流器と、該ブリッジ整流器を電圧出力部に接続する回路とを備えている。従来の高電圧ブリッジ整流器は、シリコンカーバイドダイオードを用いて構成されていた。しかし、シリコンカーバイド基ダイオードは、放射線に対するシリコンカーバイド基ダイオードの感度のために、ある環境、例えば宇宙空間での使用に適していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの例示的な実施形態では、電力コンバータが、一対の第1整流回路出力端子を有した第1整流回路、および一対の第2整流回路出力端子を有した第2整流回路と、第1ノードで互いに接続され、一対の第1整流回路出力端子を接続する第1ダイオードおよび第1キャパシタ、第2ノードで互いに接続され、一対の第2整流回路出力端子を接続する第2ダイオードおよび第2キャパシタ、第1ノードを一対の第2整流回路出力端子の一方に接続する第3ダイオード、および第2ノードを一対の第1整流回路出力端子の一方に接続する第4ダイオードを有したスナバ回路と、を備えている。
【0006】
上述の電力コンバータの他の例では、第1キャパシタは、第3ダイオードに接続されない一対の第1整流回路出力端子の一方に接続されており、第2キャパシタは、第4ダイオードに接続されない一対の第2整流回路出力端子の一方に接続される。
【0007】
上述の電力コンバータの他の例では、フィルタ回路は、第3ダイオードに接続されない一対の第1整流回路出力端子の一方を中点ノードに接続する第1フィルタインダクタと、第4ダイオードに接続されない一対の第2整流回路出力端子の一方を中点ノードに接続する第2フィルタインダクタと、をさらに備える。
【0008】
上述の電力コンバータの他の例では、第1整流回路および第2整流回路の各々は、フルブリッジ整流器およびセンタータップ整流器の一方である。
【0009】
上述の電力コンバータの他の例では、第1整流器および第2整流器は、複数のシリコンダイオードを有する。
【0010】
上述の電力コンバータの他の例では、第1整流回路および第2整流回路の各々は、複相電力システムによって駆動される変圧器からの電流を整流する。
【0011】
上述の電力コンバータの他の例では、第1整流回路および第2整流回路の各々は、他の対応した整流部の各々と実質的に同一である。
【0012】
電力コンバータにおいて電圧スパイクを減少させる例示的な方法は、スナバ回路を通してスナバエネルギを再循環させることを含み、スナバ回路は、第1ノードで互いに接続され、一対の第1整流回路出力端子を接続する第1ダイオードおよび第1キャパシタと、第2ノードで互いに接続され、一対の第2整流回路出力端子を接続する第2ダイオードおよび第2キャパシタと、第1ノードを一対の第2整流回路出力端子の一方に接続する第3ダイオードと、第2ノードを一対の第1整流回路出力端子の一方に接続する第4ダイオードとを有する。
【0013】
電力コンバータにおいて電圧スパイクを減少させる方法の他の例は、高電圧出力ノードを中点ノードに接続する第3キャパシタと、低電圧出力ノードを前記中点ノードに接続する第4キャパシタを用いて、高電圧出力ノードと低電圧出力ノードとの間で電圧をフィルタリングすることをさらに含む。
【0014】
電力コンバータにおいて電圧スパイクを減少させる上述の例示的な方法の他の例では、第1キャパシタおよび第2キャパシタは、ほぼ同じキャパシタンスを有する。
【0015】
上述の電力コンバータの他の例では、複相電力システムが、パルス幅変調モードまたは位相シフトブリッジモードで選択的に動作され得るドライバを有する。
【0016】
上述の電力コンバータの他の例では、各整流器が、一次巻き線を有した少なくとも1つの変圧器から電力を受ける。
【0017】
上述の電力コンバータの他の例では、各一次巻き線の両端の電圧が、クランピングダイオードによって制限される。
【0018】
本発明のこれらまたは他の特徴部が、以下の明細書および図面から最も理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】積み重ねられた複数の整流部を有した電力コンバータを示す図である。
【
図2】
図1と組み合わせて用いられ得る左右反対の例示的な整流部を概略的に示した図である。
【
図3】デュアルフルブリッジコンバータでの利用のための左右反対の例示的な整流部を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、積み重ねられた複数の整流部110A,110Bを有した電力コンバータ100を概略的に示している。整流部110A,110Bの各々は、スナバ回路130A,130Bに接続されたダイオード(
図2の220A,220B参照)から構成されたブリッジ回路120A,120Bと、電圧出力部140A,140Bと、出力フィルタ160A,160Bとを備えている。変圧器180を介して整流部110A,110Bに電流を駆動する対応したドライバ150が、整流器と二つひと組にされている。ドライバ150は、所与の用途の必要性に応じて、単一のドライバまたは複数のドライバとされることができる。同様に、変圧器180は、所与の用途の必要性に応じて、単一の変圧器または複数の変圧器とされることができる。
【0021】
整流部110A,110Bは、左右反対とされており、スナバ再循環回路132を有し、このスナバ再循環回路132は、各スナバ部130Aまたは130Bから左右反対の対応したスナバ回路130Bまたは130Aにスナバ電流を流すように構成されている。ブリッジ整流器を耐放射線(放射線に対してより抵抗力がある)にするために、ブリッジ整流器は、他のダイオード、例えばシリコンカーバイドから形成されるダイオードの代わりに、シリコン基ダイオードを用いて構成されることができる。しかし、シリコン基ダイオードは、逆回復時間と呼ばれる、より長いスイッチオフ時間を有しており、ブリッジ整流器の出力電圧のスパイクを生じさせ得る。スナバ回路130A,130Bは、整流回路120A,120Bの出力電圧のスパイクの振幅を制限するように作動する。
【0022】
スナバ回路130A,130Bは、整流回路120A,120Bのダイオードの逆回復時間によって生じる電圧スパイクを低減する。現存するスナバ回路は、電力のかなりの量を発散することによって電圧スパイクを低減し、熱エネルギのかなりの量を生成する。宇宙の用途および同様の環境では、熱エネルギの発散は困難である。
【0023】
代替的なスナバ回路は、エネルギを循環させることによって逆回復時間を低減する。この形式のスナバ回路は、少量のエネルギの発散にもかかわらず、「無損失性」スナバ回路と呼ばれている。無損失性スナバ回路は、スナバ回路内での1つまたは複数のトランジスタの能動的な切り換えを利用するとともに能動的な制御を必要とし、これにより、システム全体に対する複雑さが加えられる。
【0024】
他の更なる現存の無損失性スナバ回路では、付加的なインダクタが受動的なスナビングをもたらすように組み込まれているが、これにより、スナバ回路の重量およびコストが増加してしまう。
【0025】
現存の例とは対照的に、
図1の左右反対のスナバ回路130A,130Bは、左右反対の構成を用いることによって、付加されたトランジスタまたはインダクタの必要性を排除する。出力フィルタ回路160A,160Bは、フィルタ回路160Aの出力フィルタインダクタが整流回路120Aの低電圧接続部に接続され、フィルタ回路160Bの出力インダクタが整流回路120Bの高電圧接続部に接続されるように、出力フィルタインダクタ接続部(
図2参照)に対して左右反対とされている。一方のフィルタ部160Aの出力インダクタが、整流部130Aの負の出力端子171に接続されており、該出力端子171は、中点ノード172に接続されている。他方の整流部110Bの出力インダクタが、整流部130Bの正の出力端子173に接続されており、該出力端子173は、中点ノード172に接続されている。代わりに、この構成は、出力端子140の間に直列に接続されているものとすることができ、出力端子140の両端の出力電圧を増加させるために、一方の高電圧出力部が他方の低電圧出力部に接続されている。
【0026】
図1を継続的に参照して、
図2は、
図1の整流部110A,110Bのために用いられ得る整流部210A,210Bを、より詳細に概略的に示している。
図1と同様に、整流部210A,210Bの各々は、複数のダイオード222A,222Bから構成されたダイオードブリッジ部を有しており、ダイオード222A,222Bは、変圧器コイル224A,224Bについてのフルブリッジ構成で配置されている。代替的な構成では、フルブリッジ整流器220A,220Bは、代替的な整流器形式、例えばセンタータップ整流器等に置き換えることができる。同様に、対応するフルブリッジドライバ150(
図1参照)は、他の形式のドライバに置き換えられ得る。
【0027】
整流部210A,210Bの各々は、スナバ/フィルタ回路230A,230Bをさらに備えている。ある場合、例えば図示した例では、ダイオード231A,231Bが、スナバ/フィルタ回路230A,230Bと並行して含まれることができる。ダイオード231A,231Bは、変圧器の出力電圧がゼロのときに時間間隔の間で電力の損失を減少させることにより、電力コンバータの効率を向上させる還流ダイオードである。互いに直列に接続され、ブリッジ回路220A,220Bの正および負の出力部を接続するスナバダイオード233A,233Bおよびスナバキャパシタ235A,235Bは、第1ダイオード231A,231Bと並列となっている。整流部210が互いに対して左右反対となっているので、2つのスナバ/フィルタ回路230A,230Bのスナバダイオード233A,233Bおよびスナバキャパシタ235A,235Bの順序が反転され、スナバダイオード233Aは、第1(上側)スナバ/フィルタ回路230Aの高い側に接続されており、スナバダイオード233Bは、第2(下側)スナバ/フィルタ回路230Bの低い側に接続されている。
【0028】
各スナバダイオード233A,233Bを対応したスナバキャパシタ235A,235Bに接続するノードは、スナバダイオード237A,237Bで構成された再循環回路232を介して、反対側の整流部210A,210Bの反対側のスナバ/フィルタ回路230A,230Bに接続されており、上側のスナバ/フィルタ回路230Aのノードは、スナバダイオード237Bを介して下側のスナバ/フィルタ回路230Bの低い側に接続されており、下側のスナバ/フィルタ回路230Bのノードは、スナバダイオード237Aを介して上側のスナバ/フィルタ回路230Aの高い側に接続されている。
【0029】
スナバ/フィルタ回路230A,230Bの各々は、フィルタインダクタ234A,234Bをさらに備えている。上側のスナバ/フィルタ回路230Aのフィルタインダクタ234A,234Bは、スナバ/フィルタ回路230Aの低い側にあり、下側のスナバ/フィルタ回路230Bのフィルタインダクタ234Bは、スナバ/フィルタ回路230Bの高い側にある。フィルタインダクタ234A,234Bの各々は、中点ノード250に接続されている。中点ノード250は、対応する実質的に同一のキャパシタ252を介して高電圧出力部240Aおよび低電圧出力部240Bの各々に接続され、このため、キャパシタ252は、高電圧出力部240Aと低電圧出力部240Bとの間の電圧差を画定する。ある例では、キャパシタ252および整流部220A,220Bのために用いられる接続部は、低インピーダンス接続部である。
【0030】
上述のように整流部210A,210Bを左右反対とすることにより、再循環回路232でのスナバダイオード237A,237Bの包含が容易となる。次に、スナバダイオード237A,237Bは、反対側の左右反対のスナバ/フィルタ回路230A,230Bへと電圧スパイクをクランプするプロセス中に、スナバ/フィルタ回路230A,230Bの各々からエネルギを再循環させる。エネルギを再循環させることにより、かなり小さいエネルギが発散される必要があり、能動的な切り換えが、スナバ/フィルタ回路230A,230Bにおいて必要とされない。再循環回路232のスナバダイオード237A,237Bは、スナバキャパシタ235A,235Bへとエネルギを移動させることにより、フルブリッジ整流器220A,220Bの出力部で生じる電圧スパイクを抑制する。ダイオード233A,233Bは、スナバキャパシタ235A,235Bに蓄えられたエネルギを出力端子240A,240Bへ移動させることにより、変圧器巻き線224A,224Bの両端の電圧が基本的にゼロのときに、時間間隔の間でスナバキャパシタ235A,235Bの電圧をリセットする。ある例では、左右反対の整流部210は、低インダクタンス接続部を有した回路内に含まれている。
【0031】
図1および
図2の例のように左右反対のスナバ/フィルタ部230A,230Bを通して電流を再循環させることにより、スナバ/フィルタ回路230A,230Bの各々において付加的な再循環インダクタを必要とせずに、エネルギの再循環を達成することができる。これは、重量およびコストを減少させ、厳しい重量許容量を有するおよび/または各構成要素、例えば人口衛星または他の宇宙に基づいた回路を必要とする用途にとって特に有益となり得る。
【0032】
ある用途では、単一のブリッジドライバ150で達成されることができるよりも大きい全出力電力での動作範囲が必要とされる。より大きい全電力動作範囲を達成することができる例示的なシステムは、周知のパルス幅変調(PWM)モードまたは周知の位相シフトブリッジモードのいずれかで動作されることが可能なデュアルフルブリッジコンバータを備えている。
【0033】
図3は、例示的なデュアルフルブリッジコンバータ300を概略的に示しており、該デュアルフルブリッジコンバータ300は、2つのフルブリッジドライバ350X,350Yおよび左右反対の整流部310,330の2つのセットを備えている。フルブリッジドライバ350Xは変圧器Xを駆動し、フルブリッジドライバ350Yは変圧器Yを駆動し、これにより、複相電力システムを形成する。ブリッジ回路320が、2つの変圧器X,Yからの電圧をそれぞれ整流する複相ブリッジ回路であるが、
図2のブリッジ回路220A,220Bが単相ブリッジ回路であるということ以外は、左右反対の整流部310,330のセットの各々は、
図2の整流部210A,210Bと実質的に同じである。
【0034】
左右反対のスナバ/フィルタ部360A,360Bの各々が、対応したブリッジ回路320に接続されており、
図2に示したスナバ/フィルタ回路230A,230Bと同様に構成されている。出力ノード340の間の電圧を増加させるために、左右反対の整流部310,330の2つのセットが直列に接続され、310の低い側が330の高い側の出力部に接続され、これにより、左右反対の両整流部のそれぞれの電圧出力の約2倍である電圧出力が生じる。他の例では、左右反対の整流部310,330の1つのみが出力端子340の間に接続され、
図2に示した配置と同様となる。
【0035】
別の例では、
図3に示した2つの整流部310,330を超える付加的な整流部が直列に用いられることができ、これにより、出力ノード340で付加的な電圧の増加が生じる。同様に、
図1および
図2に示した形式の複数の回路が、より高い出力電圧を提供するように直列に接続されても良い。
【0036】
より低い出力電圧で高い出力電流が望ましいときには、フルブリッジドライバ350X,350Yがパルス幅変調モードで動作され、変圧器X,Yにわたる電圧波形が位相外にある。これにより、ブリッジ整流器320によって生成される電流は、各ブリッジ整流器に接続された変圧器X,Yの個々の二次巻き線によって生成される電流の合計に等しくなる。パルス幅変調モードでの動作時には、出力ノード340の間の電圧が、フルブリッジドライバ350X,350Yのデューティサイクルを調節することにより調整される。
【0037】
より小さい出力電流で高い出力電圧が望ましいときには、フルブリッジドライバ350X,350Yは、位相シフトモードで動作され、変圧器X,Yにわたる電圧がほぼ100%のデューティサイクルにあるが、調整可能な位相関係を伴う。最大出力電圧は、フルブリッジドライバ350X,350Yが位相で動作されるときに生じ、変圧器X,Yの二次巻き線の両端の電圧は、変圧器X,Yにわたる電圧波形が位相外にあるパルス幅変調モードでの動作時に生成され得るよりも約2倍である出力ノード340間の電圧を生成するように合計される。
【0038】
別の例では、フルブリッジドライバ350X,350Yは、インダクタ351およびダイオード352を備えている。インダクタ351は、一般にゼロボルト切り換えと呼ばれる周知の高効率動作モードを容易とするように用いられることができる。フルブリッジドライバのデューティサイクルが50%を下回るときに、インダクタ351は、スナバキャパシタ361と共鳴することができ、これにより、整流器320の出力電圧をクランプする際にスナバの有効性が減少する。フルブリッジドライバにクランピングダイオード352を含有させることにより、変圧器X,Yの一次巻き線の両端の電圧が、ブリッジドライバへ供給される入力電圧に制限され、これにより、ゼロボルト切り換えが生じることを許容したままで、スナバの有効性が回復する。
【0039】
個々の第1インダクタ351を用いることの代替としてゼロボルト切り換えを容易にするために、変圧器は、高い漏れインダクタンスを有するように設計されることができ、しかし、高い漏れインダクタンスの実施は、クランピングダイオード352が使用されないようにし、従って、高い漏れインダクタンスの実施は、デューティサイクルが50%よりも低いときに、より小さい最適なスナバ効果を提供する。
【0040】
他の例では、デューティサイクルが50%よりも低い動作条件のための
図1および
図2のスナバ回路の効果を向上させるために、
図1のドライバ150は、350Xおよび350Yのダイオード352およびインダクタ351と同様の配置でクランピングダイオードおよびインダクタを利用するフルブリッジドライバを用いて実施されても良い。
【0041】
ある例では、フィルタインダクタ234A,234Bが、
図2に示す極性点で示されるように対とされる。他のある例では、調和する極性点を有する、
図3に示したフィルタインダクタが、図示された極性で対にされている。
【0042】
上述の概念が、単独で、もしくは他の上述の概念のいずれかまたは全てと組み合わせて用いられることができることがさらに理解される。本発明の実施例を開示したが、当業者は、特定の修正が本発明の範囲に含まれ得ることを理解するであろう。このため、以下の特許請求の範囲が、本発明の真の範囲および内容を決定するために検討されるべきである。