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特許7093424エレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置、検出システムおよび検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】エレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置、検出システムおよび検出方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/02 20060101AFI20220622BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
B66B5/02 C
B66B5/00 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020563656
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 CN2019097013
(87)【国際公開番号】W WO2020140420
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】201910001714.7
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520433920
【氏名又は名称】日立楼宇技▲術▼(▲広▼州)有限公司
【氏名又は名称原語表記】HITACHI BUILDING TECHNOLOGY (GUANGZHOU) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.2, NANXIANG 3 ROAD, SCIENCE CITY, HIGH‐TECH INDUSTRIAL DEVELOPMENT ZONE, GUANGZHOU, GUANGDONG 510660, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】顔 紹軍
(72)【発明者】
【氏名】張 永生
(72)【発明者】
【氏名】陽 小科
(72)【発明者】
【氏名】謝 偉杰
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03053867(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0220438(US,A1)
【文献】特表2013-519607(JP,A)
【文献】特表2007-529392(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0018864(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00 - 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ベースと前記第1ベースに設けられた回路基板とを備え、前記回路基板に数が牽引スチールベルト内のワイヤロープの数に合致した出力リードが設けられ、前記第1ベースに、前記牽引スチールベルトの第1端が挿入されるように構成される第1取付孔が設けられ、且つ前記出力リードが前記牽引スチールベルトの第1端の端面に当接して前記ワイヤロープと電気的に導通する出力端接続アセンブリと、
第2ベースと前記第2ベースに接続された短絡リードとを備え、前記短絡リードの数が前記出力リードの数に合致し、前記第2ベースに、前記牽引スチールベルトの前記出力リードから離れた第2端が挿入されるように構成される第2取付孔が設けられ、且つ全ての前記短絡リードの第1端が順次直列に接続され、全ての前記短絡リードの第2端が前記牽引スチールベルトの第2端の端面に当接して前記ワイヤロープと電気的に導通する短絡端接続アセンブリと、
を備える、エレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置であって、
前記出力端接続アセンブリは、前記第1取付孔の出口端に設けられた、前記牽引スチールベルトの挿入深さを制限するように構成される第1ストッパ突起を備えるという設置と、
前記短絡端接続アセンブリは、前記第2取付孔の出口端に設けられた、前記牽引スチールベルトの挿入深さを制限するように構成される第2ストッパ突起を更に備えるという設置と、
のうちの少なくとも1種を採用する、エレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置。
【請求項2】
前記出力端接続アセンブリは、前記第1ベースに設けられた、前記牽引スチールベルトを前記第1取付孔内に緊密に当接させるように構成される第1締結具を更に備えるという設置と、
前記短絡端接続アセンブリは、前記第2ベースに設けられた、前記牽引スチールベルトを前記第2取付孔内に緊密に当接させるように構成される第2締結具を更に備えるという設置と、
のうちの少なくとも1種を採用する、請求項1に記載のエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置。
【請求項3】
前記出力端接続アセンブリは前記回路基板に設けられた出力コンセントを更に備え、前記回路基板は導電線路を備え、前記出力コンセントは前記導電線路により前記出力リードと電気的に連通する、請求項1に記載のエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置。
【請求項4】
前記回路基板に挿着孔が開設され、前記出力リードの一端が前記挿着孔内に溶接される、請求項1に記載のエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置。
【請求項5】
前記第1ベース内にストッパ面を有し、前記ストッパ面は、前記第1取付孔の出口端の上方に位置し、前記ストッパ面に前記出力リードに対応するストッパ溝が開設され、前記出力リードの非端部位置が前記ストッパ溝内に挿着され、前記出力リードの前記回路基板から離れた一端が前記第1取付孔の出口端まで延在する、請求項1に記載のエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置。
【請求項6】
前記出力端接続アセンブリは複数の押え部材を更に備え、前記複数の押え部材は、間隔をあけて前記ストッパ面の一側に設けられ、且つ前記出力リードを前記ストッパ溝内に緊密に当接させるように構成される、請求項5に記載のエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置。
【請求項7】
前記第1ベースに第1収容溝が凹設され、前記第1収容溝は前記第1取付孔の出口端に位置し、前記第1収容溝は、前記第1取付孔の出口端に正対する第1溝口を有し、
前記出力端接続アセンブリは前記第1溝口に着脱可能に設けられた第1カバープレートを更に備え、前記第1カバープレートは前記第1溝口を塞ぐように構成され、前記複数の押え部材は前記第1カバープレートの前記出力リードに近い一側に設けられている、請求項6に記載のエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置。
【請求項8】
前記短絡端接続アセンブリはリード座板を更に備え、全ての前記短絡リードの第1端は前記リード座板により順次直列に接続され、全ての前記短絡リードの第2端は宙吊りに設けられ、前記リード座板は前記第2ベースに接続されている、請求項7に記載のエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置。
【請求項9】
前記第2ベースに第2収容溝が設けられ、前記第2収容溝は、前記第2取付孔の出口端に正対する第2溝口を有し、
前記短絡端接続アセンブリは、前記第2溝口に着脱可能に設けられた第2カバープレートを更に備え、前記第2カバープレートは、前記リード座板および前記短絡リードを前記第2収容溝内にパッケージするように構成される、請求項に記載のエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置。
【請求項10】
前記第2収容溝は、前記第2溝口に対向して設けられた取付面を有し、前記取付面は前記第2取付孔の出口端の上方に位置し、
前記短絡端接続アセンブリは、前記取付面に凸設されたヒートステークを更に備え、前記リード座板に貫通孔が開設され、前記ヒートステークは、前記貫通孔を貫通して熱溶融処理された後、前記リード座板を前記第2収容溝内に固定するように構成される、請求項に記載のエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置。
【請求項11】
監視モジュールと、故障表示器と、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置とを備え、前記故障表示器は前記監視モジュールに接続され、前記監視モジュールには少なくとも1セットのソケット群が設けられ、各セットの前記ソケット群は、前記牽引スチールベルトのワイヤロープの数に合致した出力端ソケットを有し、前記出力端ソケットは、前記エレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置の回路基板における出力リードと1対1で対応して電気的に連通する、検出システム。
【請求項12】
前記監視モジュールに設けられたテストスイッチを更に備え、前記テストスイッチは、前記監視モジュールが正常であるか否かを監視するように構成される、請求項11に記載の検出システム。
【請求項13】
請求項11または12に記載の検出システムを採用し、
監視モジュールにより、いずれか1つの出力端ソケットに1つの電気信号を入力することと、
残りの出力端ソケットの電流を検出し、前記残りの出力端ソケットに電流が存在すると検出した場合、牽引スチールベルト内の前記いずれか1つの出力端ソケットと前記残りの出力端ソケットに対応するワイヤロープが破断していないと判定し、前記残りの出力端ソケットに電流が存在すると検出していない場合、前記牽引スチールベルト内の前記いずれか1つの出力端ソケットと前記残りの出力端ソケットに対応する前記ワイヤロープのうちの1つが破断したと判定することと、
を含む、検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2019年1月2日で、出願番号が201910001714.7である中国特許出願に対して、優先権の利益を主張するものであり、該出願の全ての内容を引用により本願に援用する。
【0002】
本願は、エレベータの安全監視の技術分野に関し、例えば、エレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置、このエレベータ牽引スチールベルト検出装置を備える検出システム、およびこの検出システムを用いて検出を行う検出方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術において、エレベータは、牽引ワイヤロープによりかごと釣合おもりとを接続し、ワイヤロープと牽引シーブとの摩擦力によりかごの昇降を駆動する。材料技術の発展に伴い、一部のエレベータのリフト装置において、ワイヤロープの代わりに複合牽引スチールベルトを採用する。このような複合牽引スチールベルトは、ポリウレタン材料で複数本のワイヤロープを被覆して構成され、複数本のワイヤロープがポリウレタン材料の内部で規則的に配列され、外層のポリウレタン材料が防錆防腐食の作用を果たすことができ、関連技術におけるワイヤロープに対し、複合牽引スチールベルトは安全係数がより高く、重量がより軽く、使用寿命がより長い。しかし、複合牽引スチールベルトは、かごの重要な荷重受け部材として、エレベータのライフサイクル全体で監視を行うことが必要であり、事故の発生を回避する。関連技術におけるワイヤロープは、ワイヤロープの摩耗程度および破断リスクを目視で判断できるが、複合牽引スチールベルトを採用すると、ワイヤロープが包まれて直観的に観察することができなくなる。
【発明の概要】
【0004】
本願は、構造が簡単で検出しやすくて確実であるエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置および検出システムを提供する。
【0005】
本願は、操作しやすく、検出結果が正確で確実な検出方法を更に提供する。
【0006】
一実施例において、
第1ベースと前記第1ベースに設けられた回路基板とを備え、前記回路基板に数が牽引スチールベルト内のワイヤロープの数に合致した出力リードが設けられ、前記第1ベースに、前記牽引スチールベルトの第1端が挿入されるように構成された第1取付孔が設けられ、前記出力リードが前記牽引スチールベルトの第1端の端面に当接して前記ワイヤロープと電気的に導通する出力端接続アセンブリと、
第2ベースと前記第2ベースに接続された短絡リードとを備え、前記短絡リードの数が前記出力リードの数に合致し、前記第2ベースに、前記牽引スチールベルトの第2端が挿入されるように構成された第2取付孔が設けられ、全ての前記短絡リードの第1端が順次直列に接続され、且つ全ての前記短絡リードの第2端が前記牽引スチールベルトの第2端の端面に当接して前記ワイヤロープと電気的に導通する短絡端接続アセンブリとを備えるエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置を提供する。
【0007】
一実施例において、監視モジュールと、故障表示器と、前記エレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置とを備え、前記故障表示器は前記監視モジュールに接続され、前記監視モジュールには少なくとも1セットのソケット群が設けられ、各セットの前記ソケット群は、前記牽引スチールベルトのワイヤロープの数に合致した出力端ソケットを有し、前記出力端ソケットは、前記エレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置の回路基板における出力リードと1対1で対応して電気的に連通する検出システムを提供する。
【0008】
一実施例において、前記検出システムを採用する検出方法であって、監視モジュールにより、いずれか1つの出力端ソケットに1つの電気信号を入力することと、残りの出力端ソケットの電流を検出し、前記残りの出力端ソケットに電流が存在すると検出した場合、牽引スチールベルト内の前記いずれか1つの出力端ソケットと前記残りの出力端ソケットに対応するワイヤロープが破断していないと判定し、前記残りの出力端ソケットに電流が存在すると検出していない場合、前記牽引スチールベルト内の前記いずれか1つの出力端ソケットと前記残りの出力端ソケットに対応する前記ワイヤロープのうちの1つが破断したと判定することとを含む検出方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施例のエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置の正面模式図である。
図2】一実施例のエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置の断面模式図である。
図3】一実施例の出力端接続アセンブリの斜視構造模式図である。
図4】一実施例の出力端接続アセンブリの別の視点の斜視構造模式図である。
図5】一実施例の第1ベースの構造模式図である。
図6】一実施例の第1カバープレートの構造模式図である。
図7】一実施例の短絡端接続アセンブリの斜視構造模式図である。
図8】一実施例の短絡端接続アセンブリの別の視点の斜視構造模式図である。
図9】一実施例の第2ベースの構造模式図である。
図10】一実施例の第2カバープレートの構造模式図である。
図11】一実施例の短絡リードとリード座板との組立模式図である。
図12】一実施例の検出システムの構造模式図である。
図13】一実施例の検出方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0010】
1 出力端接続アセンブリ
11 第1ベース
111 第1取付孔
112 第1ネジ孔
113 ストッパ面
114 ストッパ溝
115 第1収容溝
12 回路基板
121 出力コンセント
122 挿着孔
13 出力リード
14 第1締結具
15 第1カバープレート
16 押え部材
17 第1ストッパ突起
2 短絡端接続アセンブリ
21 第2ベース
211 第2取付孔
212 第2ネジ孔
213 第2収容溝
22 リード座板
23 短絡リード
24 第2締結具
25 第2カバープレート
26 ヒートステーク
27 第2ストッパ突起
3 牽引スチールベルト
31 ワイヤロープ
4 監視モジュール
5 テストスイッチ
6 故障表示器
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願の説明において、特に明示的な規定および限定がない限り、「連結」、「接続」、「固定」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続されてもよいし、着脱可能に接続されてもよいし、または一体となってもよく、機械的に接続されてもよいし、電気的に接続されてもよく、直接連結されてもよいし、中間媒体を介して間接的に連結されてもよく、2つの素子の内部の連通または2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者は、上記用語の本願における具体的な意味を具体的な場合によって理解することができる。
【0012】
本願において、特に明示的な規定および限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」にあることは、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触することを含んでもよく、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触せずにそれらの間の別の特徴により接触することを更に含んでもよい。更に、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」および「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上および斜め上にあることを含み、または第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも高いことのみを意味する。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」および「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下および斜め下にあることを含み、または第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも小さいことのみを意味する。
【0013】
図1図11に示すように、本実施例は、出力端接続アセンブリ1と短絡端接続アセンブリ2とを備えるエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置を提供し、ここで、出力端接続アセンブリ1は、第1ベース11と前記第1ベース11に設けられた回路基板12とを備え、前記回路基板12に数が牽引スチールベルト3内のワイヤロープ31の数に合致した出力リード13が接続され、前記第1ベース11に第1取付孔111が設けられ、前記牽引スチールベルト3の一端は前記第1取付孔111内に挿入され、且つ前記出力リード13は前記牽引スチールベルト3の端部の端面が露出した前記ワイヤロープ31に緊密に当接され、短絡端接続アセンブリ2は、第2ベース21と前記第2ベース21に接続された短絡リード23とを備え、前記短絡リード23の数が前記出力リード13の数に合致し、前記第2ベース21に第2取付孔211が設けられ、前記牽引スチールベルト3の前記出力リード13から離れた一端が前記第2取付孔211内に挿入され、且つ各前記短絡リード23の第1端は直列に接続され、各前記短絡リード23の第2端は、前記牽引スチールベルト3の端部の端面が露出した前記ワイヤロープ31に緊密に当接されている。出力リード13および短絡リード23をそれぞれ牽引スチールベルト3の両端の端面に当接させ、対応するワイヤロープ31と電気的に導通することにより、牽引スチールベルト3を破壊しない前提で牽引スチールベルト3内のワイヤロープ31に対してロープ破損検出を行うことができ、検出操作が容易で検出精度が高い。全ての短絡リード23の一端を直列に接続することにより、一次組み立てで牽引スチールベルト3のワイヤロープ31全体の状態を検出することを実現できるとともに、電流検出の実現を容易にし、検出難易度を低減し、検出速度および精度を向上させる。関連技術と比べ、本実施例のエレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置は、構造が簡単で検出しやすくて確実である。
【0014】
一実施例において、図4に示すように、前記第1ベース11には前記牽引スチールベルト3を前記第1取付孔111内に緊密に当接させる第1締結具14が更に設けられている。図8に示すように、前記第2ベース21には前記牽引スチールベルト3を第2取付孔211内に緊密に当接させる第2締結具24が更に設けられている。図4図8および図2に示すように、第1締結具14および第2締結具24を設けることにより、牽引スチールベルト3の両端の位置を固定し、牽引スチールベルト3の移動を防止し、さらに出力リード13や短絡リード23と牽引スチールベルト3との分離を回避し、検出動作が正常に行えることを確保することができる。
【0015】
本実施例において、第1締結具14と第2締結具24とを同時に設けるが、他の実施例において、第1締結具14または第2締結具24のみを設けてもよい。
【0016】
本実施例において、図3図6に示すように、前記第1ベース11には前記第1取付孔111と連通している第1ネジ孔112が開設され、前記第1締結具14は第1締結ネジであり、前記第1締結ネジが前記第1ネジ孔112内に螺着されている。図8および図9に示すように、前記第2ベース21に前記第2取付孔211と連通している第2ネジ孔212が開設され、前記第2締結具24は第2締結ネジであり、前記第2締結ネジは前記第2ネジ孔212内に螺着されている。ネジ孔は締結ネジの構造と係合して牽引スチールベルト3を容易に固定し、簡単に螺合操作すれば固定することができ、固定構造を簡略化する。
【0017】
一実施例において、前記第1締結ネジおよび第2締結ネジは前記牽引スチールベルト3の外面に当接される。第1締結ネジおよび第2締結ネジの牽引スチールベルト3を固定する方式は、牽引スチールベルト3の外面に当接される方式に限定されず、前記第1締結ネジおよび第2締結ネジを前記牽引スチールベルト3の内部に挿入するか、または前記第1締結ネジおよび第2締結ネジを、前記牽引スチールベルト3に貫通させてもよい。
【0018】
一実施例において、図3に示すように、前記回路基板12に出力コンセント121が設けられ、前記出力コンセント121は前記回路基板12内の導電線路により前記出力リード13に電気的に連通する。出力コンセント121を設けることにより、各出力リード13を接続する回路を集積しやすく、接続構造を簡略化し、操作しやすくなる。
【0019】
一実施例において、図3に示すように、前記回路基板12に挿着孔122が開設され、前記出力リード13の一端が前記挿着孔122内に挿着されて前記挿着孔122と溶接される。挿着孔122を設けることにより、出力リード13と回路基板12との接続が簡略化でき、出力リード13をこの挿着孔122内に溶接することにより、出力リード13と回路基板12との間に接続不良が発生することを防止し、検出動作がスムーズに行うことを確保できるとともに、挿着孔122の方式は、出力リード13の取り付けおよび溶接に更に寄与し、出力リード13の溶接過程で変位が発生して溶接が失効してしまうことを効果的に防止することができる。
【0020】
他の実施例において、回路基板12に挿着孔122が開設されることに限定されず、回路基板12で溶接端子を直接引き出し、出力リード13の一端をこの溶接端子に溶接してもよく、この構造も効果的な接続を実現できる。
【0021】
一実施例において、図3図5に示すように、前記第1ベース11内にストッパ面113を有し、前記ストッパ面113は、前記第1取付孔111の出口端の上方に位置し、前記ストッパ面113には、前記出力リード13に対応してストッパ溝114が開設され、前記出力リード13の非端部位置が前記ストッパ溝114内に挿着され、前記出力リード13の前記回路基板12から離れた一端が前記第1取付孔111の出口端まで延在する。ストッパ面113を設けることにより、ストッパ面113におけるストッパ溝114で出力リード13の位置を制限し、出力リード13と牽引スチールベルト3内の対応するワイヤロープ31との位置対応をタイムリーに保持することを確保できる。
【0022】
他の実施例において、ストッパ溝114を設けずにストッパ面113に接着剤を設けて出力リード13を指定位置に接着してもよく、接着剤は非導電性材料で作製される。
【0023】
図1図4および図6に示すように、前記出力端接続アセンブリ1は、間隔をあけて前記ストッパ面113の一側に設けられた複数の押え部材16を更に備え、押え部材16は、前記出力リード13を前記ストッパ溝114内に緊密に当接させるように構成される。押え部材16を設けることにより、出力リード13を指定位置に押圧することができ、牽引スチールベルト3が所定位置に取り付けられた後、牽引スチールベルト3は出力リード13の回路基板12から離れた一端を押圧し、押え部材16の出力リード13に対する制限により、出力リード13は牽引スチールベルト3に弾性力を逆方向に施し、牽引スチールベルト3と出力リード13とを互いに緊密に当接させる。
【0024】
一実施例において、押え部材16を設けずに接着剤で出力リード13をストッパ溝114内に接着してもよく、接着剤の粘性を用いて出力リード13が位置移動を発生することを防止し、出力リード13が牽引スチールベルト3に十分な弾性力を施することを確保でき、出力リード13と牽引スチールベルト3とを緊密に当接させることを実現する。
【0025】
一実施例において、図5および図6に示すように、前記第1ベース11における前記第1取付孔111の出口端に第1収容溝115が凹設され、前記第1収容溝115は、前記第1取付孔111の出口端に正対する第1溝口を有し、前記第1溝口では前記第1溝口を塞ぐ第1カバープレート15が着脱可能に設けられ、前記押え部材16は、前記第1カバープレート15の前記出力リード13に近い一側に設けられている。第1収容溝115および第1カバープレート15を設けることにより、出力リード13の取り付けを容易にし、取り付け時に、第1カバープレート15を取り外し、第1収容溝115を露出させ、更に出力リード13を指定位置に取り付け、最後に第1カバープレート15を第1収容溝115に取り付け、第1収容溝115を塞ぎ、第1カバープレート15は、更に出力リード13を遮蔽して保護し、外部の部材が出力リード13を押圧することを防止し、出力リード13の変形および破損を低減することができ、また、塵埃が出力リード13のワイヤロープ31に接触した側面を被覆して接触効果に影響を及ぼすことを防止することもできる。
【0026】
本実施例において、押え部材16と第1カバープレート15とが一体に成形される。一実施例において、押え部材16と第1カバープレート15とがプラスチックで一体に射出成形される。
【0027】
一実施例において、図1および図5に示すように、前記第1取付孔111の出口端には、前記牽引スチールベルト3の挿入深さを制限する第1ストッパ突起17が設けられている。第1ストッパ突起17は第1収容溝115の溝壁に凸設され、第1ストッパ突起17の位置は隣接する2つのワイヤロープ31の間の位置に対応する。第1ストッパ突起17を設けることにより、牽引スチールベルト3が第1取付孔111内に牽引スチールベルト3の端部が第1ストッパ突起17に当接するまでに挿入されると、出力リード13が牽引スチールベルト3の端部の端面に緊密に当接していることを表し、第1ストッパ突起17は出力リード13を保護し、牽引スチールベルト3の出力リード13に対する衝撃を低減することができる。
【0028】
一実施例において、回路基板12はネジにより第1ベース11に固定されている。
【0029】
一実施例において、図7図11に示すように、前記第2ベース21にリード座板22が接続され、全ての前記短絡リード23の一端がリード座板22により直列に接続されている。リード座板22を設けることにより、全ての短絡リード23を一体に接続することができ、取り付けが容易となる。
【0030】
一実施例において、図7および図8に示すように、前記第2ベース21に第2収容溝213が設けられ、前記第2収容溝213は、前記第2取付孔211の出口端に正対する第2溝口を有し、前記第2溝口では第2カバープレート25が着脱可能に設けられ、前記第2カバープレート25は前記リード座板22と前記短絡リード23とを前記第2収容溝213内にパッケージする。第2収容溝213および第2カバープレート25を設けることにより、短絡リード23の取り付けを容易にし、取り付け時に、第2カバープレート25を取り外し、第2収容溝213を露出させ、更に短絡リード23およびリード座板22を指定位置に取り付け、最後に第2カバープレート25を第2収容溝213に取り付け、第2収容溝213を塞ぎ、第2カバープレート25は、更に短絡リード23を遮蔽して保護し、外部の部材が短絡リード23を押圧すること防止し、短絡リード23の変形および破損を低減することができ、また、塵埃が短絡リード23のワイヤロープ31に接触した側面を被覆して接触効果に影響を及ぼすことを防止することもできる。
【0031】
一実施例において、図9に示すように、前記第2収容溝213は、前記第2溝口に対向して設けられた取付面を有し、前記取付面は前記第2取付孔211の出口端の上方に位置し、前記取付面にヒートステーク26が凸設され、前記リード座板22に貫通孔が開設され、前記ヒートステーク26は、前記貫通孔を貫通して熱溶融処理された後、前記リード座板22を前記第2収容溝213内に固定することができる。ヒートステーク26で接続する構造は、接続部材の数を減少し、製造コストを低減することができるとともに、熱溶融後のヒートステーク26による接続はより確実であり、リード座板22のガタツキを効果的に防止し、更に短絡リード23のガタツキによる牽引スチールベルト3との接触不良を防止する。
【0032】
一実施例において、前記第2取付孔211の出口端に前記牽引スチールベルト3の挿入深さを制限する第2ストッパ突起27が設けられている。第2ストッパ突起27を設けることにより、牽引スチールベルト3が第2取付孔211内に牽引スチールベルト3の端部が第2ストッパ突起27に当接するまでに挿入されると、短絡リード23が牽引スチールベルト3の端部の端面に緊密に当接していることを表し、第2ストッパ突起27は短絡リード23を保護し、牽引スチールベルト3の短絡リード23に対する衝撃を低減することができる。
【0033】
本実施例において、第1ストッパ突起17と第2ストッパ突起27とを同時に設け、他の実施例において、第1ストッパ突起17または第2ストッパ突起27のみを設けてもよい。
【0034】
本実施例において、第1カバープレート15はスナップフィットにより第1ベース11に係着され、第2カバープレート25はスナップフィットにより第2ベース21に係着されている。スナップフィットで接続する方式により、第1カバープレート15および第2カバープレート25の着脱難易度を低減することができる。
【0035】
図12に示すように、本実施例は、検出システムを更に提供し、上記エレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置を備え、監視モジュール4および故障表示器6を更に備え、前記故障表示器6は前記監視モジュール4に接続され、前記監視モジュール4に少なくとも1セットのソケット群が設けられ、各セットの前記ソケット群は、前記牽引スチールベルト3のワイヤロープ31の数に合致した出力端ソケットを有し、前記出力端ソケットは、前記エレベータの牽引スチールベルトのロープ破損検出装置の回路基板12における出力リード13と1対1で対応して電気的に連通する。
【0036】
一実施例において、故障表示器6は表示灯であり、ニキシーチューブ、液晶パネル等であってもよい。
【0037】
一実施例において、前記監視モジュール4には、前記監視モジュール4が正常であるか否かを監視するテストスイッチ5が更に設けられている。テストスイッチ5は、エレベータのメンテナンス時に監視モジュール4の動作が正常であるか否かを調べるように構成され、テストスイッチ5が切断されると、外部のワイヤロープ31が破断したことを模擬することができ、システムは、このテスト回路が通じないと検出した場合、対応する警告情報を表示し、監視モジュール4の動作が正常であることを示し、テストスイッチ5が切断されても監視モジュール4が対応する警報情報を与えない場合、監視モジュール4に故障がある可能性があり、タイムリーに修復または交換する必要があることを示し、ワイヤロープ31が破断した時に監視モジュール4はタイムリーに効果的に警報できないことを回避する。
【0038】
本実施例は、上記検出システムを採用する検出方法を更に提供し、図13に示すように、図13は、本実施例における検出方法のフローチャートを示し、以下のステップを含む。
【0039】
S110において、監視モジュール4によりいずれか1つの出力端ソケットに1つの電気信号を入力する。
【0040】
S120において、残りの前記出力端ソケットの電流を検出し、前記残りの出力端ソケットに電流が存在すると検出した場合、牽引スチールベルト3内の前記いずれか1つの出力端ソケットと前記残りの出力端ソケットに対応するワイヤロープ31が破断していないと判定し、前記残りの出力端ソケットに電流が存在すると検出していない場合、前記牽引スチールベルト3内の前記いずれか1つの出力端ソケットと前記残りの出力端ソケットに対応する前記ワイヤロープ31のうちの1つが破断したと判定する。
【0041】
一実施例において、図12に示すように、牽引スチールベルト3のA端は短絡端であり、牽引スチールベルト3のB端は出力端であり、牽引スチールベルト3内にn個のワイヤロープ31があり、A端にはn個のチップが順次設けられ、それぞれチップA1、チップA2、チップA3、チップA4、……、チップAnであり、B端にはn個のチップが順次設けられ、それぞれチップB1、チップB2、チップB3、チップB4、……、チップBnであり、牽引スチールベルト3のA端において、全てのワイヤロープ31は短絡リード23により短絡され、電気的には導通状態となり、牽引スチールベルト3のB端において、全てのワイヤロープ31は出力リード13により監視モジュール4における出力端ソケットと電気的に連通し、電気的にはいずれも独立して入力および出力することができ、相互間に直接な電気的な接続が存在しない。
【0042】
一般的には、1台のエレベータは複数本(N本)の牽引スチールベルト3を有し、それに対応し、監視モジュール4にはN個のソケット群がリザーブされ、N個のソケット群はそれぞれ対応する牽引スチールベルト3のB端のN個のチップに接続されている。
【0043】
テスト原理は以下のとおりである。例えば、チップB1に1つの電気信号を入力すると同時に、チップB2の電流を検出し、正常な場合、電流はチップB1-チップA1-チップA2-チップB2で形成された回路を通過し、チップB2の電流が検出できる場合、1本目および2本目のワイヤロープ31にいずれも破断の現象が存在しないことを意味し、チップB2の電流が検出できない場合、1本目または2本目のワイヤロープ31に破断が存在することを意味する。この場合、チップB3の電流を再び検出し、正常な場合、電流はチップB1-チップA1-チップA3-チップB3で形成された回路を通過し、チップB3の電流が検出できる場合、1本目のワイヤロープ31が破断せず、2本目のワイヤロープ31に破断が存在することを意味し、チップB3の電流が検出できない場合、1本目のワイヤロープ31が破断し、2本目のワイヤロープ31が破断しないことを意味する。ここで、チップB3の電流を検出することは例に過ぎず、他の実施例において、チップB4、チップB5……チップBnのいずれかのチップを選択して検出してもよい。即ち、テスト中の2つの端点の電流が正常な回路を構成しないと発見した場合、この2点以外の他の端点を再びテストして具体的なロープ破損の位置を確認する必要がある。残りのワイヤロープ31の検出も順次類推し、所定の周期に従って輪番の組み合わせテストを行う。
【0044】
この検出方法は、独特の電流検出方式を採用し、ワイヤロープ31にロープ破損の現象があるか否かを迅速かつ正確に検出することができ、検出效率および精度を向上させ、検出システムの故障表示器6は、どのワイヤロープ31が破損したかを直観的に表示することができ、即ち、ワイヤロープ31のロープ破損状態は直観的に表示でき、作業者による識別および後期のメンテナンスや交換を容易にする。たま、この検出システムは、そのうちの1本のワイヤロープ31が破損したと検出しても、他のワイヤロープ31の検出にも影響を与えることがなく、全てのワイヤロープ31の状態を順次検出することができ、検出システムの監視モジュール4はセルフチェック機能を有し、システムの長期的かつ安定した動作を確保できる。
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