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特許7093437情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 51/48 20220101AFI20220622BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20220622BHJP
【FI】
H04L51/48
G06Q10/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021041303
(22)【出願日】2021-03-15
【審査請求日】2021-11-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】小澤 敏道
(72)【発明者】
【氏名】永井 有希
(72)【発明者】
【氏名】池田 和史
(72)【発明者】
【氏名】小頭 秀行
【審査官】今川 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-145511(JP,A)
【文献】特開2005-174015(JP,A)
【文献】特開2009-217747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 51/48
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対して通信回線を介して送信されるメッセージに関する処理を行う情報処理装置であって、
前記メッセージの送信先となる宛先を含まない前記ユーザの個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する第1確認情報を受信する受信部と、
前記宛先を含む顧客情報であって、前記顧客情報を構成する前記特定項目の内容に対応する第2確認情報と前記第1確認情報とが所定の関係を満たす前記顧客情報を取得する取得部と、
メッセージ送信を許諾するか否かを問い合わせる許諾メッセージを前記顧客情報が含む前記宛先に対応する通信端末に送信するための制御をし、前記許諾メッセージを受信した前記通信端末においてメッセージ送信を許諾する操作が行われたことを条件として、前記通信端末に対して前記メッセージを送信するための制御をするメッセージ制御部と、
を有する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記宛先は、電話番号であり、
前記顧客情報は、前記電話番号を利用した通信サービスを提供する通信事業者が保有する情報である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1確認情報及び前記第2確認情報は、それぞれ住所、氏名、生年月日、及び公的個人番号のうち少なくとも1つを含み、
前記顧客情報は、住所、氏名、生年月日、及び公的個人番号のうち少なくとも1つと、電話番号、電子メールアドレス又はメッセージングサービスのアカウントである前記宛先と、を含む、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ユーザに対して通信回線を介して送信されるメッセージに関する処理を行う情報処理装置であって、
前記メッセージの送信先となる宛先を含まない前記ユーザの個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する第1確認情報を受信する受信部と、
前記宛先を含む顧客情報であって、前記顧客情報を構成する前記特定項目の内容に対応する第2確認情報と前記第1確認情報とが所定の関係を満たす前記顧客情報を取得する取得部と、
前記宛先に対応する通信端末に対して前記メッセージを送信するための制御をするメッセージ制御部と、
前記第1確認情報及び前記第2確認情報が一致する程度に基づいて、前記顧客情報が示す人物が前記ユーザである確からしさに対応する確度を算出する算出部と、
を有し、
前記メッセージ制御部は、前記確度が所定条件を満たす場合に、前記メッセージを送信するための制御をする、
報処理装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記第1確認情報が含む複数の項目それぞれと、前記第2確認情報が含む当該項目と、が一致する前記程度に、前記複数の項目それぞれに対して予め設定された重みを適用することによって、前記確度を算出する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記算出部は、前記第1確認情報及び前記第2確認情報の少なくとも一方が最後に更新された更新日時に基づいて、前記確度を算出する、
請求項又はに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記メッセージ制御部は、前記確度が所定の閾値以上である場合に、前記メッセージを送信するための制御をし、
前記メッセージ制御部は、前記確度が前記閾値未満である場合に、前記通信端末又は前記メッセージの送信元である送信元装置に許諾を求める許諾メッセージを送信し、前記通信端末又は前記送信元装置において前記許諾メッセージに対して許諾されたことを条件として前記メッセージを送信するための制御をする、
請求項からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
ユーザに対して通信回線を介して送信されるメッセージに関する処理を行う情報処理装置であって、
前記メッセージの送信先となる宛先を含まない前記ユーザの個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する第1確認情報を受信する受信部と、
前記宛先を含む顧客情報であって、前記顧客情報を構成する前記特定項目の内容に対応する第2確認情報と前記第1確認情報とが所定の関係を満たす前記顧客情報を取得する取得部と、
前記宛先に対応する通信端末に対して前記メッセージを送信するための制御をするメッセージ制御部と、
を有し、
前記メッセージ制御部は、前記第1確認情報と前記第2確認情報との間で一致しない情報を、前記メッセージの送信元である送信元装置に通知する、
報処理装置。
【請求項9】
ユーザに対して通信回線を介して送信されるメッセージに関する処理を行う情報処理装置であって、
前記メッセージの送信先となる宛先を含まない前記ユーザの個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する第1確認情報を受信する受信部と、
前記宛先を含む顧客情報であって、前記顧客情報を構成する前記特定項目の内容に対応する第2確認情報と前記第1確認情報とが所定の関係を満たす前記顧客情報を取得する取得部と、
前記宛先に対応する通信端末に対して前記メッセージを送信するための制御をするメッセージ制御部と、
を有し、
前記受信部は、前記個人情報を構成する前記特定項目の内容を変換規則に従って変換した値を前記第1確認情報として受信し、
前記取得部は、前記顧客情報を構成する前記特定項目の内容を前記変換規則に従って変換した値である前記第2確認情報と前記第1確認情報とが一致する前記顧客情報を取得する、
報処理装置。
【請求項10】
ユーザに対して通信回線を介して送信されるメッセージに関する処理を行う情報処理装置であって、
前記メッセージの送信先となる宛先を含まない前記ユーザの個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する第1確認情報を受信する受信部と、
前記宛先を含む顧客情報であって、前記顧客情報を構成する前記特定項目の内容に対応する第2確認情報と前記第1確認情報とが所定の関係を満たす前記顧客情報を取得する取得部と、
前記宛先に対応する通信端末に対して前記メッセージを送信するための制御をするメッセージ制御部と、
を有し、
前記取得部が複数の前記顧客情報を取得した場合に、前記メッセージ制御部は、複数の前記顧客情報それぞれが示す前記宛先に対応する前記通信端末に許諾を求める許諾メッセージを送信し、複数の前記通信端末のいずれかにおいて前記許諾メッセージに対して許諾されたことを条件として前記メッセージを送信するための制御をする、
報処理装置。
【請求項11】
ユーザに対して通信回線を介してメッセージを送信する送信元装置と、
前記メッセージに関する処理を行う情報処理装置と、
を含み、
前記情報処理装置は、
前記メッセージの送信先となる宛先を含まない前記ユーザの個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する第1確認情報を受信する受信部と、
前記宛先を含む顧客情報であって、前記顧客情報を構成する前記特定項目の内容に対応する第2確認情報と前記第1確認情報とが所定の関係を満たす前記顧客情報を取得する取得部と、
メッセージ送信を許諾するか否かを問い合わせる許諾メッセージを前記顧客情報が含む前記宛先に対応する通信端末に送信するための制御をし、前記許諾メッセージを受信した前記通信端末においてメッセージ送信を許諾する操作が行われたことを条件として、前記通信端末に対して前記メッセージを送信するための制御をするメッセージ制御部と、
を有し、
前記送信元装置は、前記情報処理装置に前記第1確認情報を送信する制御部を有する、
情報処理システム。
【請求項12】
ユーザに対して通信回線を介してメッセージを送信する送信元装置と、
前記メッセージに関する処理を行う情報処理装置と、
を含み、
前記情報処理装置は、
前記メッセージの送信先となる宛先を含まない前記ユーザの個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する第1確認情報を受信する受信部と、
前記宛先を含む顧客情報であって、前記顧客情報を構成する前記特定項目の内容に対応する第2確認情報と前記第1確認情報とが所定の関係を満たす前記顧客情報を取得する取得部と、
前記宛先に対応する通信端末に対して前記メッセージを送信するための制御をするメッセージ制御部と、
を有し、
前記送信元装置は、前記情報処理装置に前記第1確認情報を送信する制御部を有し、
前記情報処理装置の前記メッセージ制御部は、前記取得部が前記個人情報に対応する前記顧客情報を取得できたか否かを示すマッチング結果を前記送信元装置に通知し、
前記送信元装置の前記制御部は、前記顧客情報を取得できなかったことを前記マッチング結果が示す場合に、前記個人情報が示す前記ユーザに前記メッセージに対応する紙媒体を送付するための情報を出力する、
報処理システム。
【請求項13】
ユーザに対して通信回線を介して送信されるメッセージに関する処理を行う情報処理方法であって、
プロセッサが実行する、
前記メッセージの送信先となる宛先を含まない前記ユーザの個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する第1確認情報を受信するステップと、
前記宛先を含む顧客情報であって、前記顧客情報を構成する前記特定項目の内容に対応する第2確認情報と前記第1確認情報とが所定の関係を満たす前記顧客情報を取得するステップと、
メッセージ送信を許諾するか否かを問い合わせる許諾メッセージを前記顧客情報が含む前記宛先に対応する通信端末に送信するための制御をするステップと、
前記許諾メッセージを受信した前記通信端末においてメッセージ送信を許諾する操作が行われたことを条件として、前記通信端末に対して前記メッセージを送信するための制御をするステップと、
を有する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末に対するメッセージ送信の制御をするための情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業等がユーザ本人に確実に情報を通知するために、本人限定受取郵便を利用してユーザに郵便物を送付することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-242912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コストや資源を削減するために、郵便に代えて、電子的なメッセージによってユーザに情報を通知することが求められている。しかしながら、企業等の主体が、メッセージの宛先となるユーザの電話番号や電子メールアドレス等の情報を保有していない場合に、メッセージによってユーザに情報を通知できないという問題があった。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、送信元の主体が電子的なメッセージの宛先となるユーザの情報を保有していない場合であっても、ユーザに対して電子的なメッセージを送信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、ユーザに対して通信回線を介して送信されるメッセージに関する処理を行う情報処理装置であって、前記メッセージの送信先となる宛先を含まない前記ユーザの個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する第1確認情報を受信する受信部と、前記宛先を含む顧客情報であって、前記顧客情報を構成する前記特定項目の内容に対応する第2確認情報と前記第1確認情報とが所定の関係を満たす前記顧客情報を取得する取得部と、前記宛先に対応する通信端末に対して前記メッセージを送信するための制御をするメッセージ制御部と、を有する。
【0007】
前記第1確認情報及び前記第2確認情報は、それぞれ住所、氏名、生年月日、及び公的個人番号のうち少なくとも1つを含み、前記顧客情報は、住所、氏名、生年月日、及び公的個人番号のうち少なくとも1つと、電話番号、電子メールアドレス又はメッセージングサービスのアカウントである前記宛先と、を含んでもよい。
【0008】
前記情報処理装置は、前記第1確認情報及び前記第2確認情報が一致する程度に基づいて、前記顧客情報が示す人物が前記ユーザである確からしさに対応する確度を算出する算出部をさらに有し、前記メッセージ制御部は、前記確度が所定条件を満たす場合に、前記メッセージを送信するための制御をしてもよい。
【0009】
前記算出部は、前記第1確認情報が含む複数の項目それぞれと、前記第2確認情報が含む当該項目と、が一致する前記程度に、前記複数の項目それぞれに対して予め設定された重みを適用することによって、前記確度を算出してもよい。
【0010】
前記算出部は、前記第1確認情報及び前記第2確認情報の少なくとも一方が最後に更新された更新日時に基づいて、前記確度を算出してもよい。
【0011】
前記メッセージ制御部は、前記確度が所定の閾値以上である場合に、前記メッセージを送信するための制御をし、前記メッセージ制御部は、前記確度が前記閾値未満である場合に、前記通信端末又は前記メッセージの送信元である送信元装置に許諾を求める許諾メッセージを送信し、前記通信端末又は前記送信元装置において前記許諾メッセージに対して許諾されたことを条件として前記メッセージを送信するための制御をしてもよい。
【0012】
前記メッセージ制御部は、前記第1確認情報と前記第2確認情報との間で一致しない情報を、前記メッセージの送信元である送信元装置に通知してもよい。
【0013】
前記受信部は、前記個人情報を構成する前記特定項目の内容を変換規則に従って変換した値を前記第1確認情報として受信し、前記取得部は、前記顧客情報を構成する前記特定項目の内容を前記変換規則に従って変換した値である前記第2確認情報と前記第1確認情報とが一致する前記顧客情報を取得してもよい。
【0014】
前記取得部が複数の前記顧客情報を取得した場合に、前記メッセージ制御部は、複数の前記顧客情報それぞれが示す前記宛先に対応する前記通信端末に許諾を求める許諾メッセージを送信し、複数の前記通信端末のいずれかにおいて前記許諾メッセージに対して許諾されたことを条件として前記メッセージを送信するための制御をしてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様の情報処理システムは、ユーザに対して通信回線を介してメッセージを送信する送信元装置と、前記メッセージに関する処理を行う情報処理装置と、を含み、前記情報処理装置は、前記メッセージの送信先となる宛先を含まない前記ユーザの個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する第1確認情報を受信する受信部と、前記宛先を含む顧客情報であって、前記顧客情報を構成する前記特定項目の内容に対応する第2確認情報と前記第1確認情報とが所定の関係を満たす前記顧客情報を取得する取得部と、前記宛先に対応する通信端末に対して前記メッセージを送信するための制御をするメッセージ制御部と、を有し、前記送信元装置は、前記情報処理装置に前記第1確認情報を送信する制御部を有する。
【0016】
前記情報処理装置の前記メッセージ制御部は、前記取得部が前記個人情報に対応する前記顧客情報を取得できたか否かを示すマッチング結果を前記送信元装置に通知し、前記送信元装置の前記制御部は、前記顧客情報を取得できなかったことを前記マッチング結果が示す場合に、前記個人情報が示す前記ユーザに前記メッセージに対応する紙媒体を送付するための情報を出力してもよい。
【0017】
本発明の第3の態様の情報処理方法は、ユーザに対して通信回線を介して送信されるメッセージに関する処理を行う情報処理方法であって、プロセッサが実行する、前記メッセージの送信先となる宛先を含まない前記ユーザの個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する第1確認情報を受信するステップと、前記宛先を含む顧客情報であって、前記顧客情報を構成する前記特定項目の内容に対応する第2確認情報と前記第1確認情報とが所定の関係を満たす前記顧客情報を取得するステップと、前記宛先に対応する通信端末に対して前記メッセージを送信するための制御をするステップと、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、送信元の主体が電子的なメッセージの宛先となるユーザの情報を保有していない場合であっても、ユーザに対して電子的なメッセージを送信できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係るメッセージ制御システムの模式図である。
図2】実施形態に係るメッセージ制御システムのブロック図である。
図3】メッセージ制御サーバ、配信サーバ、依頼者端末及び通信端末が実行する処理を説明するための模式図である。
図4】許諾メッセージを表示している通信端末の模式図である。
図5】実施形態に係るメッセージ制御システムが実行するメッセージ制御方法のシーケンス図である。
図6】変形例に係るメッセージ制御システムが実行するメッセージ制御方法のシーケンス図である。
図7】変形例に係るメッセージ制御システムが実行するメッセージ制御方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[メッセージ制御システムSの概要]
図1は、本実施形態に係るメッセージ制御システムSの模式図である。メッセージ制御システムSは、メッセージ制御サーバ1と、配信サーバ2と、通信端末4とを含む。メッセージ制御システムSは、配信サーバ2、依頼者端末3及び通信端末4それぞれを複数含んでもよい。メッセージ制御システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0021】
メッセージ制御サーバ1は、事業者が管理する、送信先ユーザに対して通信回線を介して送信されるメッセージに関する処理を行う情報処理装置である。メッセージ制御サーバ1は、配信サーバ2によって送信が依頼された、送信先ユーザに対するメッセージを送信するための制御を行う。メッセージ制御サーバ1を管理する事業者は、例えば、通信回線を用いた通信サービスを通信端末4に提供する、MNO(Mobile Network Operator、移動体通信事業者)等の通信事業者である。また、メッセージ制御サーバ1を管理する事業者は、通信端末4を利用する顧客ユーザの顧客情報を管理するその他の事業者であってもよい。通信端末4に通信サービスを提供し得る複数の通信事業者が存在する場合に、複数の通信事業者それぞれがメッセージ制御サーバ1を有してもよい。
【0022】
メッセージ制御サーバ1は、事業者が保有する、通信端末4を利用する顧客ユーザに関する顧客情報を記憶部に記憶している。顧客情報は、例えば、顧客ユーザの氏名、年齢、誕生日、住所、公的個人番号等の一又は複数の項目を含む。また、顧客情報は、顧客ユーザに対して通信回線を介して送信するメッセージの送信先となる宛先(例えば、電話番号又は電子メールアドレス)を含む。また、顧客情報は、顧客ユーザが通信端末4において事業者が提供する通信サービスを利用するための契約に関する契約情報であってもよい。メッセージ制御サーバ1は、配信サーバ2、依頼者端末3及び通信端末4との間で通信をする。
【0023】
配信サーバ2は、事業者が管理する、送信先ユーザに対するメッセージを送信する情報処理装置(送信元装置ともいう)である。配信サーバ2は、送信先ユーザに対するメッセージの送信を行うための情報をメッセージ制御サーバ1に提供する。配信サーバ2を管理する事業者は、例えば、送信先ユーザに対して情報を提供する依頼者から依頼を受けて送信先ユーザに対してメッセージを送信する代行業者である。また、配信サーバ2は、依頼者自体が管理する情報処理装置であってもよい。
【0024】
依頼者端末3は、依頼者に関連付けられた情報端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。依頼者は、例えば、送信先ユーザに対して情報を提供する企業や団体等の組織である。
【0025】
依頼者端末3は、依頼者が保有する、送信先ユーザに関する個人情報を記憶部に記憶している。個人情報は、例えば、送信先ユーザの氏名、年齢、誕生日、住所、公的個人番号等の一又は複数の項目を含む。公的個人番号は、公的機関によってユーザに付与された、個人を識別可能な番号である。また、個人情報は、送信先ユーザに対して通信回線を介して送信するメッセージの送信先となる宛先(例えば、電話番号又は電子メールアドレス)を含まない。
【0026】
通信端末4は、顧客ユーザに関連付けられた情報端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。顧客ユーザは、例えば、通信事業者と通信端末4において通信サービスを利用するための契約をしている顧客である。通信端末4は、顧客ユーザが契約をしている通信事業者が提供する通信サービスを用いて通信をする。通信端末4は、電話番号や電子メールアドレス等の宛先に関連付けられており、当該宛先に送信されたメッセージを受信する。また、通信端末4は、メッセージの宛先として、メッセージングサービスのアカウントに関連付けられており、当該アカウントに送信されたメッセージを受信してもよい。通信端末4は、情報を表示する液晶ディスプレイ等の表示部と、顧客ユーザによる操作を受け付けるタッチパネル等の操作部とを有する。
【0027】
本実施形態に係るメッセージ制御システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。依頼者端末3は、送信先ユーザに関する個人情報と、送信先ユーザに対して送信するメッセージとを配信サーバ2に送信する。配信サーバ2は、依頼者端末3から受信した個人情報及びメッセージを記憶部に記憶する。
【0028】
メッセージ制御サーバ1は、配信サーバ2から、メッセージの送信先となる宛先を含まない、送信先ユーザの個人情報に対応する第1確認情報を受信する。個人情報は、例えば、住所、氏名、生年月日、及び公的個人番号のうち少なくとも1つを含み、かつメッセージの送信先となる宛先(例えば、電話番号又は電子メールアドレス)を含まない情報である。
【0029】
メッセージ制御サーバ1は、配信サーバ2から受信した第1確認情報と、メッセージの送信先となる宛先を含む、顧客ユーザの顧客情報に対応する第2確認情報と、を比較する。顧客情報は、例えば、住所、氏名、生年月日、及び公的個人番号のうち少なくとも1つを含み、かつメッセージの送信先となる宛先(例えば、電話番号又は電子メールアドレス)を含む情報である。すなわち、第1確認情報及び第2確認情報は、第1確認情報と第2確認情報とを比較することによって、個人情報が示す人物と同一の人物を示す蓋然性の高い顧客情報を取得するための情報である。メッセージ制御サーバ1は、第1確認情報と第2確認情報とが所定の関係(例えば、互いに一致すること)を満たす場合に、当該第2確認情報に対応する顧客情報を取得する。
【0030】
メッセージ制御サーバ1は、取得した顧客情報に含まれている宛先に対応する通信端末4に対してメッセージを送信するための制御をする。メッセージ制御サーバ1は、メッセージを送信するための制御として、例えば、配信サーバ2から受信したメッセージを宛先に対応する通信端末4に転送し、又は配信サーバ2に対してメッセージを送信するための宛先を通知する。
【0031】
このように、メッセージ制御システムSは、依頼者が保有する、メッセージの宛先を含まない個人情報に対応する第1確認情報を、事業者が保有する、メッセージの宛先を含む顧客情報に対応する第2確認情報と比較することによって、個人情報に対応する顧客情報を取得する。そしてメッセージ制御システムSは、取得した顧客情報が含む宛先にメッセージを送信するための制御をする。これにより、メッセージ制御システムSは、依頼者が電子的なメッセージの宛先となる送信先ユーザの情報を保有していない場合であっても、送信先ユーザに対して電子的なメッセージを送信することができる。
【0032】
[メッセージ制御システムSの構成]
図2は、本実施形態に係るメッセージ制御システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0033】
メッセージ制御サーバ1は、記憶部11と、制御部12とを有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部11は、メッセージ制御サーバ1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部12との間でデータの授受を行ってもよい。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部11は、通信端末4を利用する顧客ユーザの顧客情報を予め記憶している。
【0034】
制御部12は、受信部121と、取得部122と、算出部123と、メッセージ制御部124と、を有する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部121、取得部122、算出部123及びメッセージ制御部124として機能する。制御部12の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部12の機能の少なくとも一部は、制御部12がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0035】
配信サーバ2は、記憶部21と、制御部22とを有する。記憶部21は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部21は、配信サーバ2の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部22との間でデータの授受を行ってもよい。記憶部21は、制御部22が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部21は、メッセージの送信対象である送信先ユーザに関する個人情報を予め記憶している。
【0036】
制御部22は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部21に記憶されたプログラムを実行することにより、所定の処理を実行する。制御部22の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部22の機能の少なくとも一部は、制御部22がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0037】
メッセージ制御システムSは、図2に示す具体的な構成に限定されない。メッセージ制御サーバ1及び配信サーバ2は、それぞれ複数の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、メッセージ制御サーバ1及び配信サーバ2それぞれの装置が有する機能のうち少なくとも一部は、メッセージ制御サーバ1及び配信サーバ2のうち当該装置とは異なる装置によって実行されてもよい。また、メッセージ制御サーバ1及び配信サーバ2は、それぞれコンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0038】
以下、メッセージ制御システムSが実行する処理について詳細に説明する。図3は、メッセージ制御システムSにおいてメッセージ制御サーバ1、配信サーバ2、依頼者端末3及び通信端末4が実行する処理を説明するための模式図である。
【0039】
依頼者端末3は、送信先ユーザに関する個人情報と、送信先ユーザに対して送信するメッセージと、を配信サーバ2に送信する(a0)。依頼者端末3は、送信先ユーザの個人情報を、個別に送ってもよいし、複数ユーザ分をまとめて送ってもよい。配信サーバ2において、制御部22は、依頼者端末3から受信した個人情報及びメッセージを記憶部21に記憶させる。制御部22は、送信先ユーザに送信するメッセージと、送信先ユーザの個人情報に対応する第1確認情報と、を含む送信依頼を、メッセージ制御サーバ1に送信する(a1)。制御部22は、1人の送信先ユーザに対応する1つの第1確認情報を含む送信依頼を送信してもよく、複数人の送信先ユーザに対応する複数の第1確認情報のリストを含む送信依頼を送信してもよい。
【0040】
制御部22は、メッセージを含まず第1確認情報を含む送信依頼をメッセージ制御サーバ1に送信してもよい。また、制御部22は、第1確認情報とメッセージとを、異なるタイミングでメッセージ制御サーバ1に送信してもよい。また、制御部22は、送信依頼を、第1確認情報及びメッセージとは別途送るようにしてもよいし、指定した時刻に送信するよう依頼しても構わない。例えば、制御部22は、最初にcsv(Comma Separated Value)形式の複数人の送信先ユーザに対応する第1確認情報のリストを送った後、当該リストに含まれる複数ユーザ宛のメッセージを送り、その後に送信依頼を送るようにしてもよい。
【0041】
第1確認情報は、メッセージの送信先となる宛先を含まない個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する情報である。個人情報は、例えば、住所、氏名、生年月日、及び公的個人番号のうち少なくとも1つを含み、かつメッセージの送信先となる電話番号、電子メールアドレス又はメッセージングサービスのアカウントを含まない情報である。住所は、郵便番号、地番、住居表示等の所定の方式によって表される。特定項目は、個人情報を構成する一又は複数の項目のうち少なくとも一部の項目である。
【0042】
本実施形態では、個人情報が住所、氏名及び生年月日の3つの項目から構成されており、特定項目が氏名及び生年月日の2つの項目である例を説明する。本実施形態において、第1確認情報は、個人情報を構成する特定項目の内容自体である。また、第1確認情報は、個人情報を構成する特定項目の内容の一部(例えば、前から所定数分の文字)であってもよい。また、第1確認情報は、個人情報を構成する特定項目の内容に対して、例えば、文字種を統一する処理、一部分を抽出する処理等の所定の処理を行うことによって生成された情報であってもよい。
【0043】
通信端末4に通信サービスを提供し得る複数の通信事業者それぞれがメッセージ制御サーバ1を有している場合に、制御部22は、複数のメッセージ制御サーバ1それぞれに、送信依頼を送信する。送信依頼は、複数のメッセージ制御サーバ1それぞれに一斉に送信してもよいし、複数のメッセージ制御サーバ1の中から通信事業者を1つずつ選んでメッセージ送信が成功するまで送信を試行するようにしてもよい。複数のメッセージ制御サーバ1それぞれは、配信サーバ2から受信した送信依頼に対して、以降の処理を実行する。この場合に、複数のメッセージ制御サーバ1のうち、個人情報に対応する顧客情報を取得できたメッセージ制御サーバ1が、通信端末4にメッセージを送信するための制御を行う。
【0044】
メッセージ制御サーバ1において、受信部121は、配信サーバ2から、送信依頼を受信する。取得部122は、送信依頼に含まれている第1確認情報と、記憶部11に予め記憶された顧客ユーザの顧客情報に対応する第2確認情報とを比較する。
【0045】
第2確認情報は、メッセージの送信先となる宛先を含む顧客情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する情報である。顧客情報は、例えば、住所、氏名、生年月日、及び公的個人番号のうち少なくとも1つを含み、かつメッセージの送信先となる電話番号、電子メールアドレス又はメッセージングサービスのアカウントを含む情報である。特定項目は、顧客情報を構成する一又は複数の項目のうち少なくとも一部の項目であり、個人情報の特定項目と同一である。
【0046】
本実施形態では、顧客情報が住所、氏名、生年月日の3つの項目と、メッセージの送信先となる電話番号と、から構成されており、特定項目が氏名及び生年月日の2つの項目である例を説明する。本実施形態において、第2確認情報は、顧客情報を構成する特定項目の内容自体である。また、第2確認情報は、顧客情報を構成する特定項目の内容の一部(例えば、前から所定数分の文字)であってもよい。また、第2確認情報は、顧客情報を構成する特定項目の内容に対して、例えば、文字種を統一する処理、一部分を抽出する処理等の所定の処理を行うことによって生成された情報であってもよい。
【0047】
取得部122は、第1確認情報と第2確認情報とが所定の関係を満たす場合、すなわち記憶部11において第1確認情報と所定の関係を満たす第2確認情報が発見された場合に、当該第2確認情報に対応する顧客情報を取得する(a2)。顧客情報を取得するための関係は、例えば、第1確認情報の少なくとも一部と第2確認情報の少なくとも一部とが一致することである。取得部122は、第1確認情報と所定の関係を満たす複数の第2確認情報がある場合に、当該複数の第2確認情報に対応する複数の顧客情報を取得する。
【0048】
算出部123は、取得部122が取得した一又は複数の顧客情報それぞれに対して、第1確認情報及び第2確認情報が一致する程度に基づいて、顧客情報が示す顧客ユーザが、個人情報が示す送信先ユーザである確からしさに対応する確度を算出する(a3)。算出部123は、例えば、第1確認情報が含む一又は複数の項目それぞれの内容と、第2確認項目が含む当該項目の内容とが一致する文字数の割合である一致率を算出し、一又は複数の項目の一致率の平均をとることによって、確度として算出する。
【0049】
また、算出部123は、第1確認情報及び第2確認情報が含む複数の項目それぞれに対して予め設定された重みを、第1確認情報が含む複数の項目それぞれと、第2確認情報が含む当該項目とが一致する程度に適用してもよい。確度に対して相対的に大きな影響を与える項目には、確度に対して相対的に小さな影響を与える項目よりも、大きな重みが設定される。例えば、住所及び氏名の項目は変更される可能性があるのに対して、生年月日の項目は変更されないため、生年月日の項目には住所及び氏名の項目よりも大きな重みが設定される。
【0050】
算出部123は、例えば、複数の項目それぞれの一致率に対して当該項目の重みを適用(乗算)した上で平均をとることによって、確度を算出する。これにより、メッセージ制御サーバ1は、個人情報及び顧客情報の項目ごとに確度への影響を調整し、送信先ユーザに対応する顧客ユーザを特定する精度を向上できる。
【0051】
また、算出部123は、第1確認情報及び第2確認情報の少なくとも一方が最後に更新された更新日時に基づいて、確度を算出してもよい。算出部123は、第1確認情報に対応する個人情報及び第2確認情報に対応する顧客情報の更新日時を取得する。算出部は、更新日時が現在時刻に近いほど確度を大きくし、更新日時が現在時刻から遠いほど確度を小さくするように、確度を算出する。個人情報又は顧客情報が最近更新されていれば引っ越しや結婚等によって個人情報又は顧客情報が変わっている蓋然性が低く、個人情報又は顧客情報が長い間更新されていなければ個人情報又は顧客情報が変わっている蓋然性が高いと推定できる。そのため、メッセージ制御サーバ1は、第1確認情報及び第2確認情報の少なくとも一方の更新日時に応じて確度を調整し、送信先ユーザに対応する顧客ユーザを特定する精度を向上できる。
【0052】
また、メッセージ制御サーバ1は、確度の算出を行うことなく、メッセージ制御部124によるメッセージを送信するための制御に進んでもよい。この場合には、記憶部11において第1確認情報と所定の関係を満たす第2確認情報に対応する顧客情報がそのままメッセージの送信に用いられる。
【0053】
算出部123が顧客情報に対して算出した確度が所定の閾値以上である場合に、メッセージ制御サーバ1は、メッセージ制御部124による当該顧客情報に対応する通信端末4にメッセージを送信するための制御に進む。一方、算出部123が顧客情報に対して算出した確度が閾値未満である場合に、メッセージ制御部124は、当該顧客情報に対応する通信端末4からメッセージ送信の許諾を受ける(a4)。
【0054】
メッセージ制御サーバ1は、算出部123が算出した確度が閾値未満であるか否かにかかわらず、通信端末4からメッセージ送信の許諾を受けてもよい。また、メッセージ制御サーバ1は、算出部123が算出した確度が閾値未満であるか否かにかかわらず、通信端末4又は配信サーバ2からメッセージ送信の許諾を受けることなく、メッセージ制御部124によるメッセージを送信するための制御に進んでもよい。
【0055】
通信端末4からメッセージ送信の許諾を受けるために、メッセージ制御部124は、顧客情報が含む宛先を送信先として、通信端末4に許諾を求める許諾メッセージを送信する。許諾メッセージは、例えば、宛先である電話番号を送信先とした、SMS(Short Message Service)又はRCS(Rich Communication Services)のメッセージである。また、許諾メッセージは、電子メールアドレスを送信先とした電子メールであってもよい。また、許諾メッセージは、メッセージングサービスのアカウントを送信先としたメッセージであってもよい。
【0056】
許諾メッセージは、例えば、メッセージ送信の依頼者を表す情報を含む。また、許諾メッセージは、顧客ユーザが送信予定のメッセージを受け取るかどうかを判断するための支援情報を含んでもよい。支援情報は、例えば、依頼者に関する情報、送信内容に関する情報、又は依頼者又は送信内容を類推させるようなヒントを含む。これにより、顧客ユーザは、送信予定のメッセージを受け取るべきか否かを判断した上で許諾するか否かの操作を行うことができる。通信端末4は、メッセージ制御サーバ1が送信した許諾メッセージを、表示部上に表示する。
【0057】
図4は、許諾メッセージを表示している通信端末4の模式図である。通信端末4は、顧客ユーザによるメッセージ送信を許諾する否かを示す操作を受け付け、受け付けた操作を示す操作情報をメッセージ制御サーバ1に送信する。メッセージ制御サーバ1において、受信部121は、通信端末4から操作情報を受信する。
【0058】
メッセージ制御サーバ1は、受信部121が受信した操作情報に基づいて、通信端末4において許諾メッセージに対して許諾されたことを条件として、メッセージ制御部124によるメッセージを送信するための制御に進む。また、メッセージ制御サーバ1は、通信端末4に代えて又は加えて、配信サーバ2に対して同様の方法で許諾メッセージを送信し、配信サーバ2から依頼者によるメッセージ送信を許諾する否かを示す操作を示す操作情報を受信してもよい。これにより、メッセージ制御サーバ1は、顧客情報が示す顧客ユーザが、個人情報が示す送信先ユーザである確からしさが低い場合に、顧客ユーザ又は依頼者の少なくとも一方の許諾を受けた上でメッセージ送信を行うことによって、メッセージを送信先ユーザとは異なる顧客ユーザに誤配信するおそれを低減できる。
【0059】
また、算出部123が算出した確度が閾値以上である顧客情報が複数ある場合に、メッセージ制御部124は、当該複数の顧客情報それぞれが含む宛先を送信先として、通信端末4に許諾を求める許諾メッセージを送信してもよい。この場合に、メッセージ制御サーバ1は、いずれかの通信端末4において許諾メッセージに対して許諾されたことを条件として、メッセージ制御部124によるメッセージを送信するための制御に進む。複数の通信端末4において許諾された場合に、メッセージ制御部124は、当該複数の通信端末4に対応する顧客情報のうち、算出部123が算出した確度が最も高い顧客情報を、メッセージの送信対象として決定してもよい。これにより、メッセージ制御サーバ1は、複数の顧客情報が示す顧客ユーザが、個人情報が示す送信先ユーザである確からしさが高い場合に、顧客ユーザによる操作に応じて送信先として用いる顧客情報を選択できる。
【0060】
メッセージ制御部124は、取得部122が送信先ユーザに対応する顧客ユーザを発見できたか否か、すなわち個人情報に対応する顧客情報を取得できたか否かを示すマッチング結果を、配信サーバ2に通知する。メッセージ制御部は、算出部123が顧客情報に対して算出した確度が閾値以上である場合、又は算出部123が顧客情報に対して算出した確度が閾値未満であって当該顧客情報に対応する通信端末4からメッセージ送信の許諾を受けた場合に、個人情報に対応する顧客情報を取得できたことを示すマッチング結果を送信し、そうでない場合に、個人情報に対応する顧客情報を取得できなかったことを示すマッチング結果を送信する。
【0061】
配信サーバ2において、制御部22は、メッセージ制御サーバ1からマッチング結果を受信した後に、メッセージ制御サーバ1に対してメッセージを送信するための送信指示を送信してもよい。この場合に、メッセージ制御サーバ1は、受信部121が配信サーバ2から送信指示を受信したことを条件として、メッセージ制御部124によるメッセージを送信するための制御に進む。
【0062】
また、配信サーバ2において、制御部22は、メッセージ制御サーバ1から個人情報に対応する顧客情報を取得できなかったことを示すマッチング結果を受信した場合、すなわち送信先ユーザに対して電子的なメッセージを送信できない場合に、送信先ユーザの個人情報に基づいて、メッセージに対応する紙媒体を送付するための情報を出力してもよい。紙媒体は、例えば手紙や葉書等の郵便物である。紙媒体を送付するための情報は、例えば、送信先ユーザの個人情報が含む住所及び氏名と、メッセージの内容と、を関連付けた情報である。
【0063】
制御部22は、紙媒体を送付するための情報を、電子データとして表示部上に表示し、又はプリンタを用いて紙に印刷する。これにより、配信サーバ2は、依頼者に対して、送信先ユーザに対して電子的なメッセージを送信できないことを認識させ、代わりにメッセージに対応する紙媒体を送付することを支援することができる。
【0064】
また、メッセージ制御部124は、配信サーバ2が送信した第1確認情報と、所定の条件を満たす顧客情報に対応する第2確認情報と、の間で一致しない情報を、マッチング結果として配信サーバ2に通知してもよい。例えば、第1確認情報及び第2確認情報の特定項目である氏名及び生年月日のうち、生年月日が一致し、氏名が一致しない場合に、メッセージ制御部124は、氏名が一致しないことを示すマッチング結果を配信サーバ2に通知する。これにより、メッセージ制御サーバ1は、依頼者が保有している個人情報が誤っていたり更新されていなかったりすることを依頼者に認識させることができる。
【0065】
メッセージ制御部124は、取得部122が取得した顧客情報が含む宛先に対応する通信端末4に対してメッセージを送信するための制御をする(a5)。受信部121がメッセージを含む送信依頼を受信していた場合に、メッセージ制御部124は、送信依頼が含むメッセージを、顧客情報が含む宛先を送信先として送信する。メッセージは、例えば、宛先である電話番号を送信先とした、SMS又はRCSのメッセージである。また、メッセージは、電子メールアドレスを送信先とした電子メールであってもよい。また、メッセージは、メッセージングサービスのアカウントを送信先としたメッセージであってもよい。
【0066】
また、メッセージ制御サーバ1が通信端末4に対してメッセージを直接送信せず、配信サーバ2から通信端末4に対してメッセージを送信するための制御をしてもよい。この場合に、メッセージ制御部124は、顧客情報が含む宛先を配信サーバ2に通知する。配信サーバ2は、メッセージ制御サーバ1から通知された宛先を送信として、メッセージ制御サーバ1又はその他のメッセージ送信装置を介してメッセージを送信する。
【0067】
また、メッセージ制御部124は、顧客情報が含む宛先に関連付けられたトークンを生成し、生成したトークンを配信サーバ2に通知してもよい。この場合に、配信サーバ2は、送信先ユーザに対するメッセージを、メッセージ制御サーバ1から通知されたトークンとともに、メッセージ制御サーバ1に送信する。メッセージ制御サーバ1において、メッセージ制御部124は、配信サーバ2から受信したメッセージを、配信サーバ2から受信したトークンに関連付けられた宛先を送信先として送信する。これにより、メッセージ制御サーバ1と配信サーバ2との間で宛先自体を授受しなくとも、送信先ユーザに対してメッセージを送信できる。
【0068】
また、トークンには有効期限(例えば、30分)又は有効回数(例えば、1回)が予め定められ、有効期限内に当該トークンを含むメッセージが送信されたこと、又は当該トークンを含むメッセージの送信回数が有効回数以下であることを条件として、メッセージ制御部124はメッセージを通信端末4に対して送信してもよい。
【0069】
以上の構成により、メッセージ制御サーバ1は、送信先ユーザに対するメッセージの宛先を含まない個人情報に基づいて、送信先ユーザに対応する顧客ユーザの宛先を特定し、特定した宛先を用いて通信端末4に対してメッセージを送信することができる。
【0070】
[メッセージ制御方法のシーケンス]
図5は、本実施形態に係るメッセージ制御システムSが実行するメッセージ制御方法のシーケンス図である。依頼者端末3は、送信先ユーザに関する個人情報と、送信先ユーザに対して送信するメッセージと、を配信サーバ2に送信する(S10)。配信サーバ2において、制御部22は、依頼者端末3から受信した個人情報及びメッセージを記憶部21に記憶させる。制御部22は、送信先ユーザに送信するメッセージと、送信先ユーザの個人情報に対応する第1確認情報と、を含む送信依頼を、メッセージ制御サーバ1に送信する(S11)。制御部22は、メッセージを含まず第1確認情報を含む送信依頼をメッセージ制御サーバ1に送信してもよい。
【0071】
通信端末4に通信サービスを提供し得る複数の通信事業者それぞれがメッセージ制御サーバ1を有している場合に、制御部22は、複数のメッセージ制御サーバ1それぞれに、送信依頼を送信する。複数のメッセージ制御サーバ1それぞれは、配信サーバ2から受信した送信依頼に対して、以降の処理を実行する。この場合に、複数のメッセージ制御サーバ1のうち、個人情報に対応する顧客情報を取得できたメッセージ制御サーバ1が、通信端末4にメッセージを送信するための制御を行う。
【0072】
メッセージ制御サーバ1において、受信部121は、配信サーバ2から、送信依頼を受信する。取得部122は、送信依頼に含まれている第1確認情報と、記憶部11に予め記憶された顧客ユーザの顧客情報に対応する第2確認情報とを比較する(S12)。第1確認情報と第2確認情報とが所定の関係を満たさない場合、すなわち記憶部11において第1確認情報と所定の関係を満たす第2確認情報が発見されなかった場合に(S13のNO)、メッセージ制御サーバ1は、ステップS18に進む。
【0073】
第1確認情報と第2確認情報とが所定の関係を満たす場合、すなわち記憶部11において第1確認情報と所定の関係を満たす第2確認情報が発見された場合に(S13のYES)、取得部122は、当該第2確認情報に対応する顧客情報を取得する。算出部123は、取得部122が取得した一又は複数の顧客情報それぞれに対して、第1確認情報及び第2確認情報が一致する程度に基づいて、顧客情報が示す顧客ユーザが、個人情報が示す送信先ユーザである確からしさに対応する確度を算出する(S14)。
【0074】
算出部123が顧客情報に対して算出した確度が所定の閾値以上である場合に(S15のYES)、メッセージ制御サーバ1はステップS18に進む。算出部123が顧客情報に対して算出した確度が所定の閾値未満である場合に(S15のNO)、メッセージ制御部124は、顧客情報が含む宛先を送信先として、通信端末4に許諾を求める許諾メッセージを送信する(S16)。また、算出部123が算出した確度が閾値以上である顧客情報が複数ある場合に、メッセージ制御部124は、当該複数の顧客情報それぞれが含む宛先を送信先として、通信端末4に許諾を求める許諾メッセージを送信してもよい。
【0075】
通信端末4は、メッセージ制御サーバ1が送信した許諾メッセージを、表示部上に表示する。通信端末4は、顧客ユーザによるメッセージ送信を許諾する否かを示す操作を受け付け、受け付けた操作を示す操作情報をメッセージ制御サーバ1に送信する(S17)。メッセージ制御サーバ1において、受信部121は、通信端末4から操作情報を受信する。また、メッセージ制御サーバ1は、通信端末4に代えて又は加えて、配信サーバ2に対して同様の方法で許諾メッセージを送信し、配信サーバ2から依頼者によるメッセージ送信を許諾する否かを示す操作を示す操作情報を受信してもよい。
【0076】
メッセージ制御部124は、取得部122が送信先ユーザに対応する顧客ユーザを発見できたか否か、すなわち個人情報に対応する顧客情報を取得できたか否かを示すマッチング結果を、配信サーバ2に送信する(S18)。
【0077】
算出部123が顧客情報に対して算出した確度が所定の閾値未満であって、受信部121が受信した操作情報に基づいて通信端末4又は配信サーバ2において許諾メッセージに対して許諾されなかった場合に(S19のNO)、メッセージ制御サーバ1は、メッセージ制御部124によるメッセージを送信するための制御をせずに、処理を終了する。
【0078】
算出部123が顧客情報に対して算出した確度が所定の閾値以上である場合、又は受信部121が受信した操作情報に基づいて通信端末4又は配信サーバ2において許諾メッセージに対して許諾された場合に(S19のYES)、メッセージ制御部124は、取得部122が取得した顧客情報が含む宛先に対応する通信端末4に対してメッセージを送信するための制御をする(S20)。
【0079】
メッセージ制御部124は、送信依頼が含むメッセージを、顧客情報が含む宛先を送信先として直接送信してもよい。また、メッセージ制御部124は、顧客情報が含む宛先を配信サーバ2に通知してもよい。この場合に、配信サーバ2は、メッセージ制御サーバ1から通知された宛先を送信として、メッセージ制御サーバ1又はその他のメッセージ送信装置を介してメッセージを送信する。
【0080】
[本実施形態の効果]
本実施形態に係るメッセージ制御システムSは、依頼者が保有するメッセージの宛先を含まない個人情報に対応する第1確認情報を、事業者が保有するメッセージの宛先を含む顧客情報に対応する第2確認情報と比較することによって、個人情報に対応する顧客情報を取得する。そしてメッセージ制御システムSは、取得した顧客情報が含む宛先にメッセージを送信するための制御をする。これにより、メッセージ制御システムSは、依頼者が電子的なメッセージの宛先となる送信先ユーザの情報を保有していない場合であっても、送信先ユーザに対して電子的なメッセージを送信することができる。
【0081】
[変形例1]
上述の実施形態における図5のシーケンスではメッセージ制御サーバ1がメッセージの送信するための制御をしているのに対して、本変形例では配信サーバ2がメッセージの送信するための制御をする。以下、上述の実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0082】
図6は、本変形例に係るメッセージ制御システムSが実行するメッセージ制御方法のシーケンス図である。依頼者端末3は、送信先ユーザに関する個人情報と、送信先ユーザに対して送信するメッセージと、を配信サーバ2に送信する(S30)。配信サーバ2において、制御部22は、依頼者端末3から受信した個人情報及びメッセージを記憶部21に記憶させる。制御部22は、送信先ユーザの個人情報に対応する第1確認情報を含む確認依頼を、メッセージ制御サーバ1に送信する(S31)。
【0083】
通信端末4に通信サービスを提供し得る複数の通信事業者それぞれがメッセージ制御サーバ1を有している場合に、制御部22は、複数のメッセージ制御サーバ1それぞれに、送信依頼を送信する。複数のメッセージ制御サーバ1それぞれは、配信サーバ2から受信した送信依頼に対して、以降の処理を実行する。この場合に、複数のメッセージ制御サーバ1のうち、個人情報に対応する顧客情報を取得できたメッセージ制御サーバ1が、通信端末4にメッセージを送信するための制御を行う。
【0084】
メッセージ制御サーバ1において、受信部121は、配信サーバ2から、確認依頼を受信する。取得部122は、確認依頼に含まれている第1確認情報と、記憶部11に予め記憶された顧客ユーザの顧客情報に対応する第2確認情報とを比較する(S32)。
【0085】
第1確認情報と第2確認情報とが所定の関係を満たさない場合、すなわち記憶部11において第1確認情報と所定の関係を満たす第2確認情報が発見されなかった場合に(S33のNO)、メッセージ制御サーバ1は、ステップS35に進む。
【0086】
第1確認情報と第2確認情報とが所定の関係を満たす場合、すなわち記憶部11において第1確認情報と所定の関係を満たす第2確認情報が発見された場合に(S33のYES)、取得部122は、当該第2確認情報に対応する顧客情報を取得する。算出部123は、取得部122が取得した一又は複数の顧客情報それぞれに対して、第1確認情報及び第2確認情報が一致する程度に基づいて、顧客情報が示す顧客ユーザが、個人情報が示す送信先ユーザである確からしさに対応する確度を算出する(S34)。
【0087】
メッセージ制御部124は、取得部122が送信先ユーザに対応する顧客ユーザを発見できたか否か、すなわち個人情報に対応する顧客情報を取得できたか否かを示すマッチング結果を、配信サーバ2に送信する(S35)。また、マッチング結果は、取得部122が取得した一又は複数の顧客情報と、当該一又は複数の顧客情報それぞれに対して算出部123が算出した確度を含む。
【0088】
配信サーバ2において、制御部22は、メッセージ制御サーバ1が送信したマッチング結果を受信する。マッチング結果が含む顧客情報に対して算出された確度が所定の閾値以上である場合に(S36のYES)、配信サーバ2はステップS39に進む。マッチング結果が含む顧客情報に対して算出された確度が所定の閾値未満である場合に(S36のNO)、制御部22は、マッチング結果の顧客情報が含む宛先を送信先として、メッセージ制御サーバ1又はその他のメッセージ送信装置を介して、通信端末4に許諾を求める許諾メッセージを送信する(S37)。また、マッチング結果が含む確度が閾値以上である顧客情報が複数ある場合に、制御部22は、当該複数の顧客情報それぞれが含む宛先を送信先として、通信端末4に許諾を求める許諾メッセージを送信してもよい。
【0089】
通信端末4は、配信サーバ2が送信した許諾メッセージを、表示部上に表示する。通信端末4は、顧客ユーザによるメッセージ送信を許諾する否かを示す操作を受け付け、受け付けた操作を示す操作情報を配信サーバ2に送信する(S38)。配信サーバ2において、制御部22は、通信端末4から操作情報を受信する。
【0090】
制御部22は、取得部122が送信先ユーザに対応する顧客ユーザを発見できたか否か、すなわち個人情報に対応する顧客情報を取得できたか否かを示すマッチング結果を、依頼者端末3に送信する(S39)。また、制御部22は、配信サーバ2が送信した第1確認情報と、所定の条件を満たす顧客情報に対応する第2確認情報と、の間で一致しない情報を、マッチング結果として依頼者端末3に通知してもよい。
【0091】
マッチング結果が含む顧客情報に対して算出された確度が所定の閾値未満であって、制御部22が受信した操作情報に基づいて通信端末4において許諾メッセージに対して許諾されなかった場合に(S40のNO)、配信サーバ2は、制御部22によるメッセージを送信するための制御をせずに、処理を終了する。
【0092】
マッチング結果が含む顧客情報に対して算出された確度が所定の閾値以上である場合、又は制御部22が受信した操作情報に基づいて通信端末4において許諾メッセージに対して許諾された場合に(S40のYES)、制御部22は、マッチング結果の顧客情報が含む宛先を送信先として、メッセージ制御サーバ1又はその他のメッセージ送信装置を介して、通信端末4にメッセージを送信する(S41)。
【0093】
本変形例に係るメッセージ制御システムSは、上述の実施形態と同様に、依頼者が電子的なメッセージの宛先となる送信先ユーザの情報を保有していない場合であっても、送信先ユーザに対して電子的なメッセージを送信することができる。
【0094】
[変形例2]
上述の実施形態では個人情報がメッセージの送信先となる宛先を含まないことを前提としているのに対して、本変形例では個人情報がメッセージの送信先となる宛先を含むか否かに応じて異なる処理を行う。すなわち、本変形例において、依頼者が保有する個人情報は、メッセージの送信先となる宛先を含む場合と、又は含まない場合とがある。以下、上述の実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0095】
図7は、本変形例に係るメッセージ制御システムSが実行するメッセージ制御方法のシーケンス図である。依頼者端末3は、送信先ユーザに関する個人情報と、送信先ユーザに対して送信するメッセージと、を配信サーバ2に送信する(S50)。配信サーバ2において、制御部22は、依頼者端末3から受信した個人情報及びメッセージを記憶部21に記憶させる。
【0096】
制御部22は、依頼者端末3から受信した個人情報が、メッセージの送信先となる宛先(例えば、電話番号、電子メールアドレス又はメッセージングサービスのアカウント)を含むか否かを判定する。個人情報が宛先を含まない場合に(S51のNO)、メッセージ制御システムSは図5のステップS11に進み、上述の実施形態と同様の処理を行う。
【0097】
個人情報が宛先を含む場合に(S51のYES)、制御部22は、依頼者端末3から受信した個人情報が含む送信先ユーザの宛先(例えば、電話番号)に基づいて、複数の通信事業者の中から、当該電話番号に関する顧客情報を保有する一の通信事業者を選択する(S52)。
【0098】
制御部22は、例えば、送信先ユーザの宛先に対する過去の送信実績がある場合に、当該送信実績において用いられた通信事業者を選択してもよい。制御部22は、例えば、通信事業者網の通信事業者判別設備がある場合に、当該通信事業者判別設備に送信先ユーザの宛先に関する顧客情報を保有する通信事業者を問い合わせることによって、通信事業者を選択してもよい。
【0099】
制御部22は、上述の実施形態と同様に、複数のメッセージ制御サーバ1それぞれに、送信依頼を送信してもよい。この場合に、複数のメッセージ制御サーバ1それぞれは、配信サーバ2から受信した送信依頼に対して、以降の処理を実行する。また、制御部22は、送信実績又は通信事業者判別設備を用いて通信事業者が選択できなかった場合に、複数のメッセージ制御サーバ1それぞれに、送信依頼を送信してもよい。
【0100】
制御部22は、依頼者端末3から受信した個人情報が含む送信先ユーザの電話番号に対応する通信端末4に本人確認要求を送信するための制御をする(S53)。制御部22は、例えば、選択した通信事業者のメッセージ制御サーバ1を介して、送信先ユーザの電話番号を宛先としたSMS又はRCSによって、本人確認要求を送信する。
【0101】
通信端末4は、本人確認要求を受信した場合に、本人確認をするための画面を表示部上に表示する。通信端末4は、通信端末4を利用している顧客ユーザによる、本人確認を行うための操作を受け付ける。通信端末4は、本人確認を行うための操作が行われたことを示す情報を配信サーバ2に送信する。配信サーバ2において、制御部22は、当該情報を受信したことに応じて、顧客情報の照会の認可を受けるための認可要求をメッセージ制御サーバ1に送信する。メッセージ制御サーバ1は、認可要求を受信したことに応じて通信端末4の認証処理を開始する。
【0102】
通信端末4において本人確認を行うための操作が行われた場合に、メッセージ制御サーバ1において、メッセージ制御部124は、通信端末4に認証情報を入力させるための画面を表示させ、当該画面を介して取得された入力情報を用いて、顧客ユーザの認証を行う(S54)。メッセージ制御部124は、例えば、通信端末4において入力されたパスワード、PIN(Personal Identification Number)、生体情報等の認証情報を用いて、既知の認証処理によって顧客ユーザを認証する。
【0103】
また、メッセージ制御部124は、顧客ユーザの前回の認証から所定期間以内である場合に、認証情報を用いた顧客ユーザの認証を省略し、顧客ユーザの認証が行われたとみなしてもよい。また、メッセージ制御部124は、通信端末4が接続している通信回線が、メッセージ制御サーバ1に対応する通信事業者によって提供される通信回線である場合に、顧客ユーザを認証してもよい。さらに通信端末4は、顧客ユーザの認証が行われたことを条件として、通信端末4を利用している顧客ユーザによる、顧客情報を照会することを許諾する操作を受け付ける。
【0104】
メッセージ制御サーバ1において、メッセージ制御部124は、通信端末4において顧客情報を照会することを許諾する操作が行われた場合に、例えば、顧客情報の照会を認可したことを示す認可応答を配信サーバ2に送信する。配信サーバ2において、制御部22は、認可応答を受信したことに応じて、アクセストークンの要求をメッセージ制御サーバ1に送信する。そしてメッセージ制御サーバ1において、メッセージ制御部124は、アクセストークンの要求を受信したことに応じて、認証が行われた顧客ユーザに関連付けられたアクセストークンを配信サーバ2に送信する。
【0105】
配信サーバ2において、制御部22は、メッセージ制御サーバ1からアクセストークンを受信すると、当該アクセストークンと、依頼者端末3から受信した個人情報の少なくとも一部とを含む照合要求を、メッセージ制御サーバ1に送信する。メッセージ制御サーバ1において、取得部122は、選択した通信事業者が保有する顧客ユーザの顧客情報と、照合要求が含む個人情報とを照合する(S55)。照合対象の顧客情報は、照合要求が含むアクセストークンに関連付けられた顧客ユーザの顧客情報である。メッセージ制御部124は、取得部122が個人情報に対応する顧客情報を取得できたか否かを示すマッチング結果を、配信サーバ2に通知する。
【0106】
配信サーバ2において、制御部22は、顧客ユーザの認証が行われ、かつ通信端末4において顧客情報を照会することを許諾する操作が行われたことを条件として、通信事業者が保有する顧客情報と、依頼者端末3から受信した個人情報とを照合したマッチング結果を取得する(S56)。
【0107】
制御部22は、メッセージ制御サーバ1から取得したマッチング結果において、顧客情報と個人情報とが、顧客ユーザが送信先ユーザであることを示す所定の関係にあることを条件として、依頼者端末3から受信した個人情報が含む送信先ユーザの電話番号に対応する通信端末4に対して、依頼者端末3から受信したメッセージを送信するための制御をする(S57)。制御部22は、例えば、顧客情報のうち氏名、年齢、誕生日等の所定項目が、個人情報のうち当該所定項目と一致する場合に顧客ユーザが送信先ユーザであると判定し、一致しない場合に顧客ユーザが送信先ユーザでないと判定する。
【0108】
制御部22は、例えば、選択した通信事業者のメッセージ制御サーバ1を介して、送信先ユーザの電話番号を宛先としたSMS又はRCSによって、メッセージを送信する。また、制御部22は、メッセージングサービスのアカウントを宛先として、メッセージングサービスを用いてメッセージを送信してもよい。
【0109】
本変形例に係るメッセージ制御システムSは、依頼者が電子的なメッセージの宛先となる送信先ユーザの情報を保有していない場合であっても、個人情報と顧客情報とを照合することによって、送信先ユーザに対して電子的なメッセージを送信することができる。一方、メッセージ制御システムSは、依頼者が電子的なメッセージの宛先となる送信先ユーザの情報を保有している場合には、顧客情報を用いて本人確認をした上でメッセージを送信するため、セキュリティを向上できる。このように、依頼者から送信される情報の中に、メッセージの送信先となる宛先を含む場合と含まない場合とで配信サーバ側が適応的に制御を切り替えるので、依頼者側は送信先ユーザの宛先情報を有しているか否かを考慮せずにメッセージの送信を依頼することが可能となる。
【0110】
[変形例3]
上述の実施形態では配信サーバ2が個人情報の内容自体を示す第1確認情報をメッセージ制御サーバ1に送信するのに対して、本変形例では配信サーバ2が個人情報を変換することによって生成したハッシュ値を示す第1確認情報をメッセージ制御サーバ1に送信する。以下、上述の実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0111】
配信サーバ2において、制御部22は、メッセージ制御サーバ1に対して、送信先ユーザの宛先の特定を開始するための開始依頼を送信する。メッセージ制御サーバ1において、受信部121が配信サーバ2から開始依頼を受信した場合に、メッセージ制御部124は、個人情報を変換するために用いる変換情報を、配信サーバ2に送信する。変換情報は、例えば、変換規則と、変換対象項目と、ランダム値(ノンスともいう)と、を示す情報である。
【0112】
配信サーバ2において、制御部22は、メッセージ制御サーバ1から受信した変換情報に基づいて、個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目(すなわち、変換情報が示す変換対象項目)の内容を変換する。制御部22は、例えば、変換情報が示すランダム値と、個人情報を構成する特定項目(例えば氏名及び生年月日)の内容と、を変換情報が示す変換規則に従って変換することによって、ハッシュ値を生成する。ハッシュ値は、ランダム値及び特定項目の内容に一意に対応する値である。複数の特定項目を用いる場合に、制御部22は、複数の特定項目の内容を結合して変換することによって1つのハッシュ値を生成してもよく、複数の特定項目それぞれの内容を変換することによって複数のハッシュ値を生成してもよい。
【0113】
制御部22は、生成したハッシュ値を第1確認情報として含む送信依頼を、メッセージ制御サーバ1に送信する。メッセージ制御サーバ1において、受信部121は、配信サーバ2から、送信依頼を受信する。
【0114】
取得部122は、配信サーバ2に送信した変換情報に基づいて、記憶部11に予め記憶された顧客情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目(すなわち、変換情報が示す変換対象項目)の内容を変換する。取得部122は、例えば、変換情報が示すランダム値と、顧客情報を構成する特定項目(例えば氏名及び生年月日)の内容と、を変換情報が示す変換規則に従って変換することによって、ハッシュ値を生成する。すなわち、取得部122は、顧客情報の特定項目の内容を、配信サーバ2が個人情報の特定項目の内容を変換した際と同一の変換規則に従って変換する。
【0115】
取得部122は、送信依頼に含まれている個人情報の特定項目の内容を変換したハッシュ値である第1確認情報と、顧客情報の特定項目の内容を変換したハッシュ値である第2確認情報とを比較する。
【0116】
取得部122は、第1確認情報と第2確認情報とが所定の関係を満たす場合、すなわち記憶部11において第1確認情報と所定の関係を満たす第2確認情報が発見された場合に、当該第2確認情報に対応する顧客情報を取得する。顧客情報を取得するための関係は、例えば、第1確認情報のハッシュ値と第2確認情報のハッシュ値とが一致することである。
【0117】
第1確認情報及び第2確認情報がそれぞれ複数の特定項目に対応する複数のハッシュ値である場合に、顧客情報を取得するための関係は、第1確認情報の複数のハッシュ値と第2確認情報の複数のハッシュ値とが一致する数又は割合が所定値以上であることであってもよい。すなわち、取得部122は、例えば氏名及び生年月日の2つの特定項目に対応する2つのハッシュ値のうち、第1確認情報及び第2確認情報の間で1つ以上が一致する場合に、当該第2確認情報に対応する顧客情報を取得してもよい。
【0118】
メッセージ制御サーバ1は、取得部122が取得した一又は複数の顧客情報を用いて、上述の実施形態と同様にメッセージを送信するための制御を行う。
【0119】
本変形例に係るメッセージ制御システムSにおいて、配信サーバ2は、依頼者が保有している個人情報をハッシュ値に変換した上でメッセージ制御サーバ1に送信し、メッセージ制御サーバ1は、ハッシュ値を比較することによって個人情報に対応する顧客情報を取得する。そのため、配信サーバ2を利用する依頼者はメッセージ制御サーバ1を利用する事業者に個人情報自体を提示する必要がないため、セキュリティを向上できる。
【0120】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0121】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0122】
メッセージ制御サーバ1、配信サーバ2、依頼者端末3及び通信端末4のプロセッサは、図5及び図6に示すメッセージ制御方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、メッセージ制御サーバ1、配信サーバ2、依頼者端末3及び通信端末4のプロセッサは、図5及び図6に示すメッセージ制御方法を実行するためのプログラムを実行することによって、図5及び図6に示すメッセージ制御方法を実行する。図5及び図6に示すメッセージ制御方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0123】
S メッセージ制御システム
1 メッセージ制御サーバ
11 記憶部
12 制御部
121 受信部
122 取得部
123 算出部
124 メッセージ制御部
2 配信サーバ
21 記憶部
22 制御部
3 依頼者端末
4 通信端末
【要約】
【課題】送信元の主体が電子的なメッセージの宛先となるユーザの情報を保有していない場合であっても、ユーザに対して電子的なメッセージを送信できるようにする。
【解決手段】メッセージ制御サーバ1は、ユーザに対して通信回線を介して送信されるメッセージに関する処理を行う情報処理装置であって、メッセージの送信先となる宛先を含まないユーザの個人情報を構成する項目のうち、少なくとも一部の項目である特定項目の内容に対応する第1確認情報を受信する受信部121と、宛先を含む顧客情報であって、顧客情報を構成する特定項目の内容に対応する第2確認情報と第1確認情報とが所定の関係を満たす顧客情報を取得する取得部122と、宛先に対応する通信端末に対してメッセージを送信するための制御をするメッセージ制御部124と、を有する。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7