(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】コークス炉燃焼室の炉頭の保温構造、コークス炉燃焼室及びコークス炉
(51)【国際特許分類】
C10B 25/24 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
C10B25/24
(21)【出願番号】P 2021510377
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(86)【国際出願番号】 CN2019130338
(87)【国際公開番号】W WO2020199688
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】201910269742.7
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520046959
【氏名又は名称】エーカー コーキング アンド リフラクトリー エンジニアリング コンサルティング コーポレーション(ダリアン),エムシーシー
【氏名又は名称原語表記】ACRE Coking & Refractory Engineering Consulting Corporation (Dalian), MCC
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チョンジー
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ロン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,ディアンフィ
(72)【発明者】
【氏名】イエン,グオファ
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特公平06-004852(JP,B2)
【文献】特公昭61-021588(JP,B2)
【文献】特公昭62-013302(JP,B2)
【文献】実開平05-030137(JP,U)
【文献】特公平06-004853(JP,B2)
【文献】特開平07-126633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 25/00
C10B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス炉燃焼室の炉頭組積造の外部に、保護板、炉ドアフレーム及びバックステイを含む炉保護鉄部品が設置され
、前記炉頭組積造の内面は、燃焼室の縦端フリューの炉頭側に近い表面であり、前記炉頭組積造の外面は、前記炉頭組積造の前記炉保護鉄部品と接触する表面であるコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造であって、
前記炉頭組積造
の内面に断熱保温材料層が塗布されて
おり、
前記断熱保温材料層は、400~500の重量部のシリコーン樹脂、50~100の重量部の海泡石、100~200の重量部のパーライト、80~150の重量部の珪藻土、30~60の重量部の酸化アルミナバルーン、20~50の重量部のアスベスト、100~150の重量部の溶剤及び5~15の重量部の分散剤を含み、または、前記断熱保温材料層は、25%~30%の水性シリコーン樹脂、10%~15%の水性エポキシ樹脂、5%~10%の水性ポリウレタン樹脂、10%~15%のバーミキュライトパウダー、20%~25%のパーライトパウダー、10%~15%の珪藻土、1%~3%の消泡剤、2%~3%の分散剤及び3%~5%の防腐剤を含み、
前記炉頭組積造の内面に塗布された前記断熱保温材料層の厚さは1~4mmである
ことを特徴とするコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造。
【請求項2】
前記炉頭組積造の外面に前記断熱保温材料層が
1~40mm塗布されていることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造。
【請求項3】
前記保護板は、大保護板であり、前記大保護板の内面及び/又は前記大保護板の外面に前記断熱保温材料層が
1~40mm塗布されていることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造。
【請求項4】
前記保護板は、中保護板であり、前記中保護板の内面と前記炉ドアフレームの内面及び/又は前記中保護板の外面と前記炉ドアフレームの外面に前記断熱保温材料層が
1~40mm塗布されていることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造。
【請求項5】
前記炉頭組積造は、接続された熱伝導壁及び取り付け壁を含み、前記熱伝導壁は、熱を隣接する炭化室に伝達するように配置され、前記取り付け壁に前記断熱保温材料層が設置されていることを特徴とする
請求項1~4のいずれか1項に記載のコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造。
【請求項6】
前記取り付け壁は、前記炉頭組積造の延在方向に対向する内側及び外側を含み、前記内側及び外側のうちの少なくとも1つに前記断熱保温材料層が設置されていることを特徴とする
請求項5に記載のコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造。
【請求項7】
前記炉頭組積造は、複数のシリカレンガを含み、前記複数のシリカレンガは、接合されることを特徴とする
請求項1~6のいずれか1項に記載のコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造を含むことを特徴とするコークス炉燃焼室。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載のコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造または前記請求項17に記載のコークス炉燃焼室を含むことを特徴とするコークス炉。
【請求項10】
コークス炉の燃焼室の縦フリューのカバートップレンガを構築する前に、前記燃焼室のマシンサイド、コークサイドの端フリューの炉頭に近い側の炉頭組積造の内面を清掃することと、
前記炉頭組積造の内面に、断熱保温材料層と組み合わせて使用されるプリ処理液を塗布することと、
断熱保温材料層を塗布することと、
前記コークス炉を構築し続け、炉保護鉄部品を取り付けることとを含み、
前記断熱保温材料層は、400~500の重量部のシリコーン樹脂、50~100の重量部の海泡石、100~200の重量部のパーライト、80~150の重量部の珪藻土、30~60の重量部の酸化アルミナバルーン、20~50の重量部のアスベスト、100~150の重量部の溶剤及び5~15の重量部の分散剤を含み、または、前記断熱保温材料層は、25%~30%の水性シリコーン樹脂、10%~15%の水性エポキシ樹脂、5%~10%の水性ポリウレタン樹脂、10%~15%のバーミキュライトパウダー、20%~25%のパーライトパウダー、10%~15%の珪藻土、1%~3%の消泡剤、2%~3%の分散剤及び3%~5%の防腐剤を含み、
前記炉頭組積造の内面に塗布された前記断熱保温材料層の厚さは1~4mmである
ことを特徴とするコークス炉の燃焼室の炉頭組積造の内面に断熱保温材料層を塗布する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コークス炉技術分野に関し、具体的に、コークス炉燃焼室の炉頭の保温構造、コークス炉燃焼室及びコークス炉に関する。
【0002】
関係出願の相互参照
本開示は、2019年4月3日中国専利局に提出された、出願番号が201910269742.7であり、名称が「コークス炉燃焼室の炉頭の保温構造」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その全ての内容が、参照により本発明に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
コークス炉は、主なコークス製造装置として、高エネルギー消費、高汚染の問題がある。コークス炉は、高温窯であり、表面の放熱量が大きいことが高エネルギー消費の原因の1つである。中国の環境保護に対する要求が日々厳しくなるので、コークス炉の省エネルギー化の問題がますます顕著になっている。
【0004】
コークス炉は、通常、蓄熱室、コーベル、燃焼室、炉頂、他の土台及び炉保護鉄部品などの補助装置で構成される。燃焼室は、コークス炉の最も温度が高い部分であり、燃焼室の縦フリューの温度が通常1300℃~1400℃に達する。従来、コークス炉の燃焼室の炉頭は、通常、シリカレンガと急冷急熱耐性が強いアルミナレンガで構築されるものであり、炉頭の組積造の外側に、炉保護鉄部品が設置されている。炉頭の放熱量を低減するために、一部のコークス炉は、炉保護鉄部品と組積造との間にセラミックファイバーブランケットやノンアスベストケイ酸カルシウム板などの断熱材が充填されるが、生産中に、炭化室におけるタールが炉頭断熱層に入るので、断熱効果が低下し、ひいては喪失することがある。
【0005】
研究によって、従来のコークス炉は、少なくとも以下の欠陥がある。
【0006】
炉頭は、放熱量が大きく、炉保護鉄部品の温度が高く、使用寿命が短い。また、コークス押し出し時の作業者の作業環境温度が高く、環境が悪い。炉頭のフリューの温度が比較的に低く、炉頭に生コークスが生成し、コークス押し出し時に、発煙・発火の現象が発生する。生産中に炉頭コークスの成熟を待つために、コーキング時間がその分長くなり、エネルギー消費が増加する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、上記の技術的問題の少なくとも1つを解決するコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造、コークス炉燃焼室及びコークス炉を提供する。炉頭組積造または炉保護鉄部品の表面に断熱保温材料層を塗布することで、端フリューの放熱量を低減し、端フリューの温度及び炉保護鉄部品の使用寿命を向上させることによって、エネルギー消費の削減、エネルギー利用率の向上の目的を達成することができる。
【0008】
上記の目的を達成するために、本開示の実施例は以下のように実現される。
【0009】
本開示の実施例は、コークス炉燃焼室の炉頭組積造の外部に、保護板、炉ドアフレーム及びバックステイを含む炉保護鉄部品が設置され、炉頭組積造または炉保護鉄部品に断熱保温材料層が塗布されているコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造を提供する。
【0010】
任意選択で、炉頭組積造の内面及び/又は外面には断熱保温材料層が塗布されている。
【0011】
任意選択で、保護板は大保護板であり、大保護板の内面及び/又は大保護板の外面に断熱保温材料層が塗布されている。
【0012】
任意選択で、保護板は中保護板であり、中保護板の内面と炉ドアフレームの内面及び/又は中保護板の外面と炉ドアフレームの外面に断熱保温材料層が塗布されている。
【0013】
任意選択で、断熱保温材料層の塗布厚さは、1mm~40mmである。
【0014】
本開示の実施例は、コークス炉燃焼室の炉頭組積造の外部に炉保護鉄部品が設置され、炉頭組積造及び/又は炉保護鉄部品に断熱保温材料層が塗布されているものをさらに提供する。
【0015】
任意選択で、炉保護鉄部品は、保護板、炉ドアフレーム及びバックステイを含み、保護板は、炉頭組積造に当接し、炉ドアフレームは、保護板と接続され、バックステイは、保護板に当接する。
【0016】
任意選択で、保護板は大保護板であり、大保護板は炉頭組積造に当接するように配置され、炉ドアフレームは大保護板と接続され、バックステイは大保護板に当接し、炉頭組積造の内面、炉頭組積造の外面、大保護板の内面、及び大保護板の外面の少なくとも2つに断熱保温材料層が設置されている。
【0017】
任意選択で、保護板は中保護板であり、中保護板は炉頭組積造に当接し、炉ドアフレームは中保護板と接続され、炉ドアフレームは炉頭組積造に当接し、炉頭組積造の内面、炉頭組積造の外面、中保護板の内面と炉ドアフレームの内面、及び中保護板の外面と炉ドアフレームの外面の少なとも2つに断熱保温材料層が設置されている。
【0018】
任意選択で、保護板は中保護板であり、中保護板は炉頭組積造に当接し、炉ドアフレームは中保護板と接続され、炉ドアフレームは炉頭組積造に当接し、中保護板の外面は炉ドアフレームの外面とともに第1塗布面を形成し、中保護板の内面は炉ドアフレームの内面とともに第2塗布面を形成し、炉頭組積造の内面、炉頭組積造の外面、第1塗布面、及び第2塗布面中の少なくとも2つに断熱保温材料層が設置されている。
【0019】
任意選択で、炉頭組積造の内面に断熱保温材料層が塗布され、断熱保温材料層の厚さは20mm以下である。
【0020】
任意選択で、炉頭組積造の内面に塗布された断熱保温材料層の厚さは10mmである。
【0021】
任意選択で、炉頭組積造の内面は、燃焼室の縦端フリューの炉頭側に近い表面であり、炉頭組積造の外面は、炉頭組積造の炉保護鉄部品と接触する表面である。
【0022】
任意選択で、炉頭組積造は、接続された熱伝導壁及び取り付け壁を含み、熱伝導壁は、熱を隣接する炭化室に伝達するように配置され、取り付け壁に断熱保温材料層が設置されている。
【0023】
任意選択で、保護板は中保護板であり、中保護板は炉頭組積造に当接し、炉ドアフレームは中保護板と接続され、炉ドアフレームは前記炉頭組積造に当接し、炉頭組積造の内面、炉頭組積造の外面、中保護板の内面と前記炉ドアフレームの内面、及び中保護板の外面と炉ドアフレームの外面の少なとも2つに断熱保温材料層が設置されている。
【0024】
任意選択で、保護板は中保護板であり、中保護板は炉頭組積造に当接し、炉ドアフレームは中保護板と接続され、炉ドアフレームは炉頭組積造に当接し、中保護板の外面は炉ドアフレームの外面とともに第1塗布面を形成し、中保護板の内面は炉ドアフレームの内面とともに第2塗布面を形成し、炉頭組積造の内面、炉頭組積造の外面、第1塗布面、及び第2塗布面中の少なくとも2つに断熱保温材料層が設置されている。
【0025】
任意選択で、炉頭組積造の内面に断熱保温材料層が塗布され、断熱保温材料層の厚さは20mm以下である。
【0026】
任意選択で、炉頭組積造の内面に塗布された断熱保温材料層の厚さは10mmである。
【0027】
任意選択で、炉頭組積造の内面は、燃焼室の縦端フリューの炉頭側に近い表面であり、炉頭組積造の外面は、炉頭組積造と炉保護鉄部品が接触する表面である。
【0028】
任意選択で、炉頭組積造は、接続された熱伝導壁及び取り付け壁を含み、熱伝導壁は、熱を隣接する炭化室に伝達するように配置され、取り付け壁に断熱保温材料層が設置されている。
【0029】
任意選択で、取り付け壁は、炉頭組積造の延在方向に対向する内側及び外側を含み、内側及び外側のうちの少なくとも1つ1に断熱保温材料層が設置されている。
【0030】
任意選択で、炉頭組積造は、複数のシリカレンガを含み、複数のシリカレンガは、接合される。
【0031】
本開示の実施例は、上記のコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造を含むコークス炉燃焼室をさらに提供する。
【0032】
本開示の実施例は、上記のコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造または上記のコークス炉燃焼室を含むコークス炉をさらに提供する。
【0033】
従来の技術と比べて、本開示の有益な効果は、例えば、以下のとおりである。
【0034】
1)炉頭組積造または炉保護鉄部品の表面に断熱保温材料層を塗布する方法により、燃焼室炉頭の放熱量を低減することができる。
【0035】
2)端フリューの温度を効果的に向上させることができ、炉頭コークスの成熟に寄与でき、コーキング時間が短縮され、コークス押し出し時の発煙・発火の発生を防止することができる。
【0036】
3)炉保護鉄部品の作動温度を下げ、炉保護鉄部品の使用寿命を向上させることができる。
【0037】
4)新設コークス炉だけでなく、既設のコークス炉の改造にも適し、燃焼室のマシンサイドの炉頭だけでなく、燃焼室のコークサイドの炉頭にも適するので、エネルギー消費の削減、エネルギー利用率の向上の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本公開における実施例の技術案をより明瞭に説明するため、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。説明する図面は、本公開の一部の実施例を示すものにすぎず、範囲を限定するものではない。当業者は、発明能力を用いなくても、これらの図面に基づいて他の関連図面を得ることが可能である。
【0039】
【
図1】本開示の実施例による炉頭保温構造の模式図である(保護板が大保護板である )。
【
図2】本開示の実施例による炉頭保温構造の模式図である(保護板が中保護板である)。
【
図3】本開示の実施例による炉頭保温構造の第1変形構造の模式図である。
【
図4】本開示の実施例による炉頭保温構造の第2変形構造の模式図である。
【
図5】本開示の実施例による炉保護鉄部品の構造模式図である。
【
図6】本開示の実施例による炉頭組積造の構造模式図である。
【
図7】本開示の実施例による炉頭保温構造の第3変形構造の模式図である。
【
図8】本開示の実施例による炉頭保温構造の第4変形構造の模式図である。
【
図9】本開示の実施例による炉頭保温構造の第5変形構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明瞭にするため、以下、本開示の実施例の図面を参照しながら、本開示の実施例の技術案を明瞭、完全に説明する。説明する実施例は、本開示の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではないことが無論である。通常、ここで図面を用いて説明し、示した本開示の実施例の部品は、それぞれの組み合わせで配置、設計することが可能である。
【0041】
このため、以下の、図面に示された本発明の実施例に対する詳細な説明は、本発明の選択された実施例を示すものにすぎず、保護しようとする本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施例をもとに、当業者が発明能力を用いることなく得たすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0042】
なお、同様な符号は、図面において同様なものを示すので、1つの図面で定義された場合、その他の図面でさらに定義、解釈することが不要になる。
【0043】
本開示の説明において、「内」、「外」等の用語で表された方向又は位置関係は、図面に基づくものであり、或いは該発明製品の通常の配置方向又は位置関係であり、本開示を便宜的に及び簡略に説明するためのものにすぎず、該当装置又は要素が、必ずしも特定の方向を有したり、特定の方向に構成、操作されたり、することを明示又は暗示するものではないため、本開示を限定するものではないと理解すべきである。
【0044】
また、用語「第1」及び「第2」は、説明するためのものにすぎず、相対重要性を明示又は暗示するものではない。
【0045】
本公開の説明において、明確な定義や限定がない限り、「取付」、「連係」、「接続」などの用語を、広義的に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体的な接続でもよい。そして、機械的な接続でもよいし、電気的な接続でもよい。また、直接接続してもよいし、中間物を介して間接的に接続してもよいし、2つの素子の内部が連通してもよい。当業者は、本公開における上記用語の具体的な意味を、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0046】
なお、矛盾がない限り、本開示の実施例における特徴を相互結合させることができる。
【0047】
本開示は、
図1及び
図2に示すように、コークス炉燃焼室の炉頭の保温構造を提供する。該コークス炉燃焼室の炉頭の保温構造は、炉頭組積造1及び炉保護鉄部品10を有する。炉保護鉄部品10は、炉頭組積造1の外側111に設置され、炉頭組積造1に当接するように配置される。炉頭組積造1及び/又は炉保護鉄部品10に断熱保温材料層4が塗布され、つまり、炉頭組積造1及び炉保護鉄部品10のうち少なくとも1つに断熱保温材料層4が設置されている。
【0048】
本開示において、任意選択で、炉保護鉄部品10は、保護板、炉ドアフレーム6及びバックステイ3を備える。保護板は、炉頭組積造1に当接し、炉ドアフレームは、保護板と接続され、バックステイ3は、保護板に当接する。これによって、保護板を介してバックステイ3に加えられた外力が炉頭組積造1に伝達され、または保護板及び炉ドアフレーム6を介してバックステイ3に加えられた外力が炉頭組積造1に伝達される。
【0049】
図3または
図4に示すように、本開示において、任意選択で、炉頭組積造1の内面及び/又は炉頭組積造1の外面には断熱保温材料層4が塗布される。つまり、炉頭組積造1の内面に、断熱保温材料層4が塗布されることが可能であり、または、炉頭組積造1の外面に断熱保温材料層4が塗布されることが可能であり、または、炉頭組積造1の内面及び炉頭組積造1の外面の両方に断熱保温材料層4が塗布されることが可能である。
【0050】
なお、本開示において、炉頭組積造1の内面は、燃焼室の縦端フリューの炉頭側に近い表面であり、炉頭組積造1の外面は、炉保護鉄部品10と接触する炉頭組積造1の表面であり、炭化室のレンガを含まない。
【0051】
つまり、
図3、
図4、
図6及び
図7に示すように、炉頭組積造1は、熱伝導壁12と、炉ドア(図示せず)と接続される取り付け壁11とを備える。熱伝導壁12は、炉頭組積造1の側部に位置し、炉頭組積造1内部の燃料の燃焼によって生成された熱を熱伝導壁12に隣接する炭化室に伝達して、炭化室内の材料を加熱するように配置される。取り付け壁11は、炉頭組積造1の延在方向の一端に位置し、熱伝導壁12と接続される。なお、取り付け壁11には、炉頭組積造1の延在方向に沿って取り付け壁11を貫通し、且つ炉ドアと対応する取り付け口(図示せず)が設置されている。炉頭組積造1の内面は、取り付け壁11の内壁を指し、炉頭組積造1の外面は、取り付け壁11の外壁を指す。炉頭組積造1の内壁及び外壁のうちの少なくとも1つに、断熱保温材料層4が設置されている。
【0052】
任意選択で、炉保護鉄部品10は、炉頭組積造1の取り付け壁11の外側111に当接するように配置される。
【0053】
本開示において、任意選択で、保護板は、大保護板2であり、大保護板2の内面及び/又は大保護板2の外面に断熱保温材料層4が塗布される。つまり、大保護板2の内面及び大保護板2の外面のうちの少なくとも1つに断熱保温材料層4が設置されている。大保護板2は、炉頭組積造1の取り付け壁11の外側111に当接する。炉ドアフレーム6は、大保護板2と接続され、大保護板2の取り付け壁11から離間する側に設置される。バックステイ3に加えられた外力は、大保護板2を介して炉頭組積造1に伝達される。
【0054】
本開示において、任意選択で、保護板は、中保護板5であり、中保護板5と炉ドアフレーム6の内面及び/又は外面に断熱保温材料層4が塗布される。つまり、中保護板5の内面及び炉ドアフレーム6の内面の両方に断熱保温材料層4が設置され、または、中保護板5の外面及び炉ドアフレーム6の外面の両方に断熱保温材料層4が設置され、または、中保護板5の内面、炉ドアフレーム6の内面、中保護板5の外面及び炉ドアフレーム6の外面のそれぞれに断熱保温材料層4が設置されている。
【0055】
なお、
図5に示すように、保護板が中保護板5である場合、説明を簡単にするために、中保護板5の外側面が炉ドアフレーム6の外側面と共に第1塗布面7を構成し、中保護板5の内側面が炉ドアフレーム6の内側面と共に第2塗布面8を構成する。保護板が中保護板5である場合、第1塗布面7及び第2塗布面8のうちの少なくとも1つに断熱保温材料層が設置されている。
【0056】
任意選択で、中保護板5は、取り付け壁11の外側111に当接する。炉ドアフレーム6は、ボルトによって中保護板5と固定接続され、取り付け壁11の外側111に当接する。バックステイ3は、中保護板5の取り付け壁11から離間する側に当接する。バックステイ3に加えられた外力は、中保護板5を介して炉頭組積造1に伝達されるとともに、中保護板5を介して炉ドアフレーム6に伝達される。これによって、炉ドアフレーム6を炉頭組積造1に当接させる。
【0057】
図8に示すように、本開示において、任意選択で、炉頭組積造1の内面、炉頭組積造1の外面、大保護板2の内面、大保護板の外面のうちの少なくとも2つ以上に断熱保温材料層4が設置されている。例えば、同時に炉頭組積造1の内面及び大保護板2の内面に断熱保温材料層4を設置することが可能であり、または、同時に炉頭組積造1の外面及び大保護板2の内面に断熱保温材料層4を設置することが可能であり、または、同時に炉頭組積造1の外面及び大保護板2の外面に断熱保温材料層4を設置することが可能であり、または、同時に炉頭組積造1の内面、炉頭組積造1の外面及び大保護板2の内面に断熱保温材料層4を設置することが可能である。本開示では一々列挙しない。
【0058】
図9に示すように、本開示において、任意選択で、炉頭組積造1の内面、炉頭組積造1の外面、第1塗布面7及び第2塗布面8のうちの少なくとも2つに断熱保温材料層が設置されている。例えば、同時に炉頭組積造1の内面及び第1塗布面7に断熱保温材料層4を設置することが可能であり、または、同時に炉頭組積造1の内面、第1塗布面7及び第2塗布面8に断熱保温材料層4を設置することが可能である。本開示では一々列挙しない。
【0059】
本開示において、任意選択で、断熱保温材料層4の厚さは、1mm~40mmであり、例えば、断熱保温材料層4の厚さは、1mm、20mmまたは40mmなどであり、本開示では一々列挙しない。
【0060】
任意選択で、炉頭組積造1の内面に塗布された断熱保温材料層4が厚すぎることは好ましくない。任意選択で、炉頭組積造1の内面に塗布された断熱保温材料層4の厚さは、1mm~20mmであり、例えば、炉頭組積造1の内面に塗布された断熱保温材料層4の厚さは、1mm、10mmまたは20mmである。本開示では一々列挙しない。炉頭組積造1の内面に塗布された断熱保温材料層4の厚さが1mm~20mmの間に設定され、即ち、炉頭組積造1の内面に塗布された断熱保温材料層の厚さを、20mm以下に設定することにより、炉頭組積造1のシリカレンガ温度がシリカレンガの結晶変換点以上に維持され、それによりシリカレンガの損傷を防ぐことができる。
【0061】
本開示において、任意選択で、炉保護鉄部品10は、保護板、炉ドアフレーム6及びバックステイ3を含み、炉保護鉄部品10の主な作用は、保護圧力を炉頭組積造1に均一かつ合理的に分散し、また、炉頭組積造1、保護板、炉ドアフレーム6及び炉ドアナイフエッジ間のシール性を確保することである。
【0062】
本開示において、任意選択で、断熱保温材料層4の材料は、市販の断熱保温塗布材、または公開された文献に記載されている保温断熱性能を備えた塗布材であってもよい。例えば、断熱保温材料層4は、無機成膜材料と有機熱硬化樹脂の複合材を主な成膜物として採用し、熱反射材を添加して製造されるものである。または、断熱保温材料層4の製造材料は、ナノセラミック中空ビーズ、シリカアルミナ繊維及び熱反射材を主な原料として、耐高温無機ケイ酸塩溶液と水性フェノール樹脂を成膜材料として使用する。または、断熱保温材料層4の製造材料は、400~500の重量部のシリコーン樹脂、50~100の重量部の海泡石、100~200の重量部のパーライト、80~150の重量部の珪藻土、30~60の重量部の酸化アルミナバルーン、20~50の重量部のアスベスト、100~150の重量部の溶剤及び5~15の重量部の分散剤を含む。または、断熱保温材料層4の製造材料の質量組成は、25%~30%の水性シリコーン樹脂、10%~15%の水性エポキシ樹脂、5%~10%の水性ポリウレタン樹脂、10%~15%のバーミキュライトパウダー、20%~25%のパーライトパウダー、10%~15%の珪藻土、1%~3%の消泡剤、2%~3%の分散剤及び3%~5%の防腐剤である。本開示において、断熱保温材料層4の材料を一々列挙せず、高温で長時間使用可能であり、密着性が高く、断熱保温効果が良好であることが性能要件である。
【0063】
本開示において、炉頭保温構造は、新たに構築されたトップローディングまたはタンピングコークス炉に応用される。
図1に示すように、コークス炉の炉保護鉄部品10の保護板は、大保護板2であり、コークス炉が構築された後、炉保護鉄部品10を取り付ける。即ち、コークス炉が構築された後、大保護板2、炉ドアフレーム6及びバックステイ3を取り付ける。
【0064】
炉保護鉄部品10を取り付ける前に、大保護板2の内壁に厚さが8mmである断熱保温材料層4を塗布する。そして、炉保護鉄部品10の取り付け及び後続のコークス炉加熱、グラウトなどの操作を行う。
【0065】
従来の炉頭構造と比べて、本開示の炉頭保温構造の炉頭組積造1を利用することで、以下の利点を有する。例えば、炉頭組積造1の放熱量を40%以上低減し、炉保護鉄部品10の作業温度を効果的に下げ、長寿命化に寄与でき、同時に作業者の作業環境を最適化することができる。
【0066】
本開示において、炉頭保温構造は、新たに構築されたトップローディングまたはタンピングコークス炉に応用される。
図2に示すように、コークス炉の炉保護鉄部品10の保護板は、中保護板5であり、コークス炉が構築された後、炉保護鉄部品10を取り付ける。即ち、コークス炉が構築された後、中保護板5、炉ドアフレーム6及びバックステイ3を取り付ける。
【0067】
炉保護鉄部品10を取り付ける前に、中保護板5の外面及び炉ドアフレーム6の外面を清掃し、まず、両方の外面に、塗布される断熱保温塗料と組み合わせて使用されるプリ処理液を塗布し、そして厚さが5mmである断熱保温材料層4を塗布する。これによって、塗布断熱保温材料層4の接着強さを増加する。さらに、炉保護鉄部品10の取り付け及び後続のコークス炉の加熱などの操作を行う。
【0068】
従来の炉頭構造と比べて、本開示の炉頭保温構造の炉頭組積造1を利用することで、以下の利点を有する。例えば、炉頭組積造1の放熱量を30%以上低減し、炉頭フリュー温度を上昇させることに寄与でき、作業者の作業環境を最適化することができる。
【0069】
本開示において、炉頭保温構造は、既設のトップローディングまたはタンピングコークス炉に応用される。既設のコークス炉の炉保護鉄部品10の保護板は、中保護板5であり、コークス炉が立ち上げられた後、炉頭フリュー温度が低く、炭化室炉頭に生コークスが現れ、炉保護鉄部品10の構造を改良する必要がある。
【0070】
本開示において、中保護板5及び炉ドアフレーム6の外側を清掃した後、塗布される断熱保温塗料と組み合わせて使用されるプリ処理液を塗布し、そして厚さが5mmである断熱保温材料層4を塗布する。
【0071】
この方法を使用してもコークス炉の通常の生産に影響を及ばず、改良されたコークス炉は、炉頭構造が改良された前と比べて、炉頭組積造1が、以下の利点を有する。炉頭組積造1の放熱量を30%以上低減し、炉頭フリュー温度を上昇させ、炭化室炉頭の生コークスの生成を減少し、作業者の作業環境を最適化し、生産量の増加及びエネルギー消費量の低減を実現することができる。
【0072】
本開示において、炉頭保温構造は、トップローディングまたはタンピングコークス炉に応用される。
図3に示すように、コークス炉燃焼室の炉頭組積造1の内面に、断熱保温材料層4が塗布される。製造プロセスは、以下のとおりである。燃焼室の縦フリューのカバートップレンガを構築する前に、燃焼室のマシンサイド、コークサイドの端フリューの炉頭に近い側の炉頭組積造1の内面を清掃し、そして、炉頭組積造1の内面に、断熱保温材料層4と組み合わせて使用されるプリ処理液を予め塗布し、最後に厚さが4mmである断熱保温材料層4を塗布し、その後、コークス炉を構築し続け、大保護板2及びバックステイ3などの炉保護鉄部品10を取り付ける。
【0073】
従来の炉頭構造と比べて、本実施例の炉頭保温構造の炉頭組積造1を利用することで、以下の利点を有する。例えば、炉頭組積造1の放熱量を400℃以上低減することができる。
【0074】
本実施例において、炉頭保温構造は、トップローディングまたはタンピングコークス炉に応用される。
図4に示すように、コークス炉燃焼室の炉頭組積造1の外面に、断熱保温材料層4が塗布される。製造プロセスは、以下のとおりである。コークス炉の炉保護鉄部品10を取り付ける前に、燃焼室のコークサイドの炉頭組積造1の外面と炉保護鉄部品10の接触部位を清掃し、そして、清掃された位置に厚さが6mmである断熱保温材料層4を塗布する。その後、中保護板5、炉ドアフレーム6及びバックステイ3を取り付ける。
【0075】
従来の炉頭構造と比べて、本実施例の炉頭保温構造の炉頭組積造1を利用することで、以下の利点を有する。例えば、炉頭組積造1の放熱量を30%以上低減することができる。
【0076】
本開示は、上記のコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造を含むコークス炉燃焼室をさらに提供する。前記コークス炉燃焼室によって、端フリューの放熱量を低減し、端フリューの温度を上昇させ、炉保護鉄部品の使用寿命を延長させ、エネルギーの消費を削減し、エネルギー利用率を向上させる目的を達成することができる。
【0077】
本開示は、上記のコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造またはコークス炉燃焼室を含むコークス炉をさらに提供する。前記コークス炉によって、端フリューの放熱量を低減し、端フリューの温度を上昇させ、炉保護鉄部品の使用寿命を延長させ、エネルギーの消費を削減し、エネルギー利用率を向上させる目的を達成することができる。
【0078】
上記記載は、本公開の具体的な実施形態にすぎず、本公開の保護範囲がこれらに限定されない。当業者は、本公開に開示された技術範囲内において、本開示の技術案および思想に基づいて、変更または置換を行うことができ、これらの変更または置換も本公開の保護範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上により、本開示は、炉頭の放熱量を低減し、端フリューの温度を上昇させ、炉保護鉄部品の温度を下げ、エネルギーの消費を削減し、保温効果がよく、使用寿命が長いコークス炉燃焼室の炉頭の保温構造、コークス炉燃焼室及びコークス炉を提供する。
【符号の説明】
【0080】
1 炉頭組積造
11 取り付け壁
111 外側
112 内側
12 熱伝導壁
10 炉保護鉄部品
2 大保護板
3 バックステイ
4 断熱保温材料層
5 中保護板
6 炉ドアフレーム
7 第1塗布面
8 第2塗布面