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特許7093485自律型小型無線装置及びその分散設置方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】自律型小型無線装置及びその分散設置方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/08 20090101AFI20220623BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20220623BHJP
【FI】
H04W88/08
H04W52/02 110
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018009880
(22)【出願日】2018-01-24
(62)【分割の表示】P 2016182086の分割
【原出願日】2016-09-16
(65)【公開番号】P2018064300
(43)【公開日】2018-04-19
【審査請求日】2019-09-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】516281492
【氏名又は名称】インターブリッジ合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513077450
【氏名又は名称】新生環境株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503053815
【氏名又は名称】工藤 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】木山 晋哉
【合議体】
【審判長】中木 努
【審判官】本郷 彰
【審判官】圓道 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-149283(JP,A)
【文献】特開2014-225271(JP,A)
【文献】特開2009-218746(JP,A)
【文献】特表2014-525722(JP,A)
【文献】特表2009-525701(JP,A)
【文献】特開2010-252225(JP,A)
【文献】特開平10-285097(JP,A)
【文献】特開2014-222791(JP,A)
【文献】特表2000-510985(JP,A)
【文献】特表2003-508939(JP,A)
【文献】特開平10-51858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他電源受給路を有さない専用治具を利用しなければ装置の蓋を開けることが出来ないか、装置の外装を破壊しなければその着脱ができない着脱交換不能な自律型電源(太陽電池を利用するものを除く)と、
前記自律型電源にて駆動され、メンテナンス(保守)端末との通信を行うためにメンテナンス通信機能を有する通信回路を含み、あらかじめ定められた所定の時間の通信量を超えた場合、アンテナの出力を下げて電力消費を抑制するように構成される通信制御回路と、
前記通信制御回路にて駆動されるアンテナと、を備え、
前記通信制御回路は公衆無線によるブロードバンドネットワーク網を構築するルーティング機能手段を有する
自律型小型無線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律型小型無線装置及びその分散設置方法に関し、特に近距離無線通信に好適な自律型小型無線装置及びその分散設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話網、公衆無線によるブロードバンドネットワーク網の構築は、親局と通信するための基地局を、街路に沿って地上高を低く取って小出力の基地局を多数設置する方式(ストリートセル方式、低トラフィック型)やマンションや自立柱など比較的高い地上高を取って高出力の基地局(及び高感度のアンテナ)を少数設置する方式(高トラフィック型)によって行われている。これら基地局装置を稼働させるための消費電力を賄うためには、商用電源が必要である。
【0003】
今後普及が確実視されているIoTのシステムを構築するためには、近距離無線通信の基地局やゲートウェイ装置を無数に設置し、あらゆるエリアをカバーする必要がある。これら近距離無線通信の基地局装置やゲートウェイ装置を稼働させるための電力は消費電力が少ないため、商用電源を用いても勿論可能であるが、バッテリや太陽光発電など自律型電源を用いることができる。
【0004】
しかしながら、IoTシステムを構築するための近距離無線通信用の基地局装置やゲートウェイ装置は、既存の携帯電話網やブロードバンドネットワーク網の基地局に追加する方法でも設置できるが設置工事が必要になり、装置が複雑になるという課題がある。
また、商用電源を用いる方法では設置工事が必要になり、設置コストが高くなるという課題がある。従来方法で近距離無線通信用の基地局装置やゲートウェイ装置を多数設置すると、保守コストも増大するという課題がある。
【0005】
特許文献1には、誘導灯ユニットの筐体内に、移動端末と無線接続してその移動端末と相手装置との通信を中継する基地局ユニット、誘導灯ユニット及び共通電源部を収納した小型の基地局装置を開示している。共通電源部は通常時に商用電源を利用し、停電時にには内蔵の充電式バッテリを代替電源として機能するものである。
特許文献2には、電力源に商用電源と太陽電池が用いられ、商用電源が遮断された場合であっても小型基地局装置の通信遮断を抑制する装置が開示されている。
特許文献3には、電力源が太陽光発電機と蓄電池から構成され、電力源の監視を精度良く行い、無線端末に対する通信の提供を維持しつつ、電力消費を抑える無線通信アクセスポイント装置が開示されている。
特許文献4には、電力源が太陽光発電機と蓄電池から構成され、通信状況監視と電力源の監視を精度良く行い、通信品質の劣化を抑制しつつ、省電力化を図る無線通信アクセスポイント装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-226201号公報
【文献】特開2014-187629号公報
【文献】特開2014-116849号公報
【文献】特開2014-116850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような問題に鑑みたものである。すなわち、本発明の解決すべき課題は、商用電源がない場所でも自律型小型無線装置(例えば、基地局やゲートウェイ)の設置を可能とし、装置コストを低減するとともに、メンテナンスや保守コストも低減できる自律型小型無線装置及びその分散設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、本発明の第一の発明は、他電源受給路を有さない着脱交換不能な自律型電源と、前記自律型電源にて駆動される通信回路を含む通信制御回路と、前記通信制御回路にて駆動されるアンテナと、を備えた自律型小型無線装置を提供する。
【0009】
また、第二の発明は、前記自律型小型無線装置において、自律型電源は電池であり、その容量は、通信制御回路の消費電力の1年分以上、20年分以下を賄う容量である。
【0010】
第三の発明は、前記自律型小型無線装置において、外部からの通信要求を取得し、スリープ状態の通信制御回路を起動するとともに、所定の条件が満たされた場合には起動状態の通信制御回路をスリープ状態にする電力消費制御部をさらに有する。
【0011】
第四の発明は、前記自律型小型無線装置において、自律型電源である電池の容量は、50ワット時以上100ワット時以下であり、通信制御回路の平均消費電力は、1ミリワット以上5ミリワット以下である。
【0012】
第五の発明は、前記自律型小型無線装置において、前記通信制御回路を含む電力消費は1ワット/時であり、前記電池の容量は、この消費電力にて1年分以上、20年分以下である。
【0013】
第六の発明は、前記自律型小型無線装置において、前記通信制御回路による通信速度は1Mbpsであり、自身から半径1キロメートル内のIoTデバイスと通信可能である。
【0014】
第七の発明は、前記自律型小型無線装置において、前記通信制御回路による通信速度は5Mbps以上10Mbps以下であり、自身から半径1キロメートル内のIoTデバイスと通信可能である。
【0015】
第八の発明は、前記自律型小型無線装置において、自律型電源は太陽光パネルである。
【0016】
第九の発明は、前記自律型小型無線装置において、自律型電源は太陽光パネルをも含む。
【0017】
第十の発明は、前記自律型小型無線装置において、通信制御回路はルーティング機能手段又は/及びリピータ機能手段を有する。
【0018】
第十一の発明は、前記自律型小型無線装置を装着した移動体。
【0019】
第十二の発明は、前記自律型小型無線装置を装着した携帯端末。
【0020】
第十三の発明は、前記自律型小型無線装置を装着した携帯ルータ。
【0021】
第十四の発明は、前記自律型小型無線装置を含む人間を含む動物用の身体装着具。
【0022】
第十五の発明は、前記自律型小型無線装置を固定した屋外構造物。
【0023】
第十六の発明は、前記自律型小型無線装置を固定した屋内構造物。
【0024】
(削除)
【0025】
(削除)
【0026】
(削除)
【発明の効果】
【0027】
本発明により、他電源受給路を有さない着脱交換不能な自律型電源と、前記自律型電源にて駆動される通信回路を含む通信制御回路と、前記通信制御回路にて駆動されるアンテナと、を備えた使い捨て構造としたので、商用電源がない場所でも自律型小型無線装置の(例えば、基地局やゲートウェイ)の設置を可能とし、装置コストを低減するとともに、メンテナンスや保守コストも低減できる自律型小型無線装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態1の自律型小型無線装置の基本構成を示す概念図
図2】本発明の実施形態1の他の構成ブロック例を示す図
図3】本発明の実施形態1の他の構成ブロック例を示す図
図4】本発明の実施形態2の自律型小型無線装置とIoTデバイスとの通信ネットワーク構成例を示す図
図5】本発明の実施形態を示す自律型小型無線装置の自律型電源の例を示す図
図6】本発明の実施形態を示す自律型小型無線装置の自律型電源の例を示す図
図7】本発明の実施形態を示す自律型小型無線装置の通信制御回路部の例を示す図
図8】本発明の実施形態を示す自律型小型無線装置の通信制御回路部の例を示す図
図9】本発明の実施形態を示す自律型小型無線装置の通信制御回路部の例を示す図
図10】本発明の実施形態3の自律型小型無線装置の分散配置方法のフローを示す図
図11】本発明の実施形態3の自律型小型無線装置の分散配置・再分散配置・回収方法のフローを示す図
図12】本自律型小型無線装置をデスクに設置した例を示す図
図13】本自律型小型無線装置をロッカーに設置した例を示す図
図14】本自律型小型無線装置を電気スタンドに設置した例を示す図
図15】本自律型小型無線装置を椅子に設置した例を示す図
図16】本自律型小型無線装置をベッドに設置した例を示す図
図17】本自律型小型無線装置をドアに設置した例を示す図
図18】本自律型小型無線装置をカーテンレールに設置した例を示す図
図19】本自律型小型無線装置をディスプレイに設置した例を示す図
図20】本自律型小型無線装置をデスクトップパソコンに設置した例を示す図
図21】本自律型小型無線装置をノートパソコンに設置した例を示す図
図22】本自律型小型無線装置を冷蔵庫に設置した例を示す図
図23】本自律型小型無線装置を電子レンジに設置した例を示す図
図24】本自律型小型無線装置をエアコンに設置した例を示す図
図25】本自律型小型無線装置を扇風機に設置した例を示す図
図26】本自律型小型無線装置をテーブルに設置した例を示す図
図27】本自律型小型無線装置を食器洗い機に設置した例を示す図
図28】本自律型小型無線装置を掃除機に設置した例を示す図
図29】本自律型小型無線装置をコードレス電話に設置した例を示す図
図30】本自律型小型無線装置を信号機に設置した例を示す図
図31】本自律型小型無線装置を標識に設置した例を示す図
図32】本自律型小型無線装置を建築物(ビルの屋上)に設置した例を示す図
図33】本自律型小型無線装置をベンチに設置した例を示す図
図34】本自律型小型無線装置を消火栓に設置した例を示す図
図35】本自律型小型無線装置をビデオカメラに設置した例を示す図
図36】本自律型小型無線装置を監視カメラに設置した例を示す図
図37】本自律型小型無線装置を自動車に設置した例を示す図
図38】本自律型小型無線装置を船舶に設置した例を示す図
図39】本自律型小型無線装置を飛行機に設置した例を示す図
図40】本自律型小型無線装置を自動二輪車に設置した例を示す図
図41】本自律型小型無線装置を自転車に設置した例を示す図
図42】本自律型小型無線装置を三輪車に設置した例を示す図
図43】本自律型小型無線装置を街路樹に設置した例を示す図
図44】本自律型小型無線装置をスマートメータに設置した例を示す図
図45】本自律型小型無線装置をウェアラブルウェアに設置した例を示す図
図46】本自律型小型無線装置を腕時計に設置した例を示す図
図47】本自律型小型無線装置をベルトに設置した例を示す図
図48】本自律型小型無線装置をスマートフォンに設置した例を示す図
図49】本自律型小型無線装置の設置方法を説明するための図
図50】本自律型小型無線装置の設置方法を説明するための図
図51】本自律型小型無線装置の設置方法を説明するための図
【符号の説明】
【0029】
0100、0200、0300、0400、0500、0600、0700、0800、0900 自律型小型無線装置
0101、0201、0301、0401、0501、0601、0701、0802、0901 アンテナ
0102、0702、0802 自律型電源
0103、0203、0303、0403、0503、0603、0703 通信制御回路部
0103a、0203a、0303a、0403a、0503a、0603a、0703a、0803a、 通信回路手段
0202、0302、0402 電池
0304 電力消費制御部
0404、0405、0406 IoTデバイス
0502 太陽光パネル
0602 太陽光パネル+電池
0703b ルーティング手段
0803b リピータ手段
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の実施形態の一例を説明する。なお、本発明はこれら実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
(実施形態1)
【0031】
図1は本発明の実施形態1の自律型小型無線装置の基本構成を示す概念図である。図2は本発明の実施形態1の他の構成ブロック例を示す図である。図3は本発明の実施形態1の他の構成ブロック例を示す図である。
以下、図1図3に基づいて本発明の実施形態1を説明する。
【0032】
本自律型小型無線装置0100は、図1に示すように、近距離無線通信用の送受信アンテナ0101と、他電源受給路を有せず、ユーザによる着脱交換不能な構造の自律型電源0102と、自律型電源0102によって駆動される通信制御回路部0103とから構成され、通信制御回路部0103は通信インターフェースを含む通信回路手段を有する。
本自律型小型無線装置1は、近距離無線通信用の基地局装置(ワイヤレスアクセスポイント)やゲートウェイ装置(無線中継装置)の概略構成を示しており、その他の必要な機能は省略している。通信インターフェースが例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が利用でき、低消費電力の通信を可能としている。フェリカ(登録商標)やRFタグ、赤外線通信等も適宜使用可能である。
【0033】
自律型電源0102は他電源受給路を有さず、ユーザによる着脱交換不能な構造をしており、商用電源がない場所でも自律型小型無線装置の設置を可能としている。また、自律型小型無線装置(0100、0200)は自律型電源0102には、図2または図3に示すように、電池(0202、0303)などを利用し、電池(0202、0302)の容量は通信制御回路部(0103、0203、0303)の消費電力の1年分以上、5年分以下を賄う容量を有している。したがって、自律型小型無線装置1は所定期間外部電源を供給しなくても利用できるので、装置の使い捨てを実現でき、メンテナンスや保守コストを低減できる。自律型小型無線装置(0100、0200、0300)の使用期間を数年に限定しているため、筐体の強度や設計精度を緩和し、耐久寿命を短くできるため、構造を簡素化でき、装置コストを低減できる。
また、電池(0202、0302)には、所望の使用期間を考慮し、使い切りの二次電池や小型のリチウム電池などが利用でき、メンテナンスや保守コストを低減できる。
【0034】
自律型小型無線装置0300は、図1及び図2に加えて、図3に示すように、さらに電力消費制御部0304を有し、電力消費制御部0304の制御により、単位時間当たりの消費電力が所定時間経過後にスリープモード(状態)に入り、省電力を削減できる。また、所定期間に自律型小型無線装置を使用可能とするため、通信途中であっても電源断する。スリープ状態の解除は、外部からの要求信号(スリープON/OFF信号)に応答して制御する。
〈通信速度と消費電力の関係〉
電池のエネルギー密度を考慮し、1年から3年間の電池の体積を検討する。
例えば、1日の通信量を1Mビット、
1Mビットの通信に必要な電力を0.1Wとすると、
3年間の総消費電力は、
0.1W×365(日)×3(年)=109.5Wh となり、
約100Wh となる。
電池のエネルギー密度を1000 Wh/kgと想定すると、100 Wh/100g
となる。
100g程度の電池で3年間継続使用が可能となる。
この電池は、50cc程度の充電式リチウム硫黄電池、金属・空気電池、金属負極電池が適用できる。また、使用期間は電池の体積で決まるので、5年程度の使用を想定すると、自立型小型無線装置の大きさも、若干大きくなる。設置時には、想定した使用年数分の電力を電池に充電しておく。
【0035】
あらかじめ定められた通信量を超える所定時間の通信、例えば、2Mビット通信を休止するような機能を設ける。この目的は電力消費を抑制するためである。例えば、このような場合は、隣接する他の自立型小型無線装置に接続を切り替えて、通信の継続を維持するように制御する。従って、自立型小型無線装置の分散設置はこのような機能を実現できる構成を採用する。また、あらかじめ定められた所定の時間の通信量を超えた場合、アンテナの出力を下げて電力消費を抑制する。この目的は通信半径を狭めるためである。
【0036】
上述した自律型電源である電池(0202、0302)の容量は、50ワット時以上100ワット時以下であり、通信制御回路(0203、0303)の平均消費電力は、1ミリワット以上5ミリワット以下でれば、所定の期間使用可能である。以上は比較的人がアクセスしやすい地域に設置される自律型小型無線装置の場合である。例えば都市部、やその周辺、田舎町などである。
【0037】
このケースに対して、まったく人気のない山間部、例えば、山奥の村と村とをつなぐ道路沿いや、砂漠地帯、森林の真っただ中などでは、短期間での自律型無線装置の入れ替え、新規設置が困難であるので、長期間自律的に作動する自律型無線装置であることが好ましい。例えば、通信制御回路(0203、0303)を含む電力消費は1ワット/時であり(カバー面積が広範に及ぶため)、電池(0202、0302)の容量は、この消費電力にて1年分以上、5年年分以下であれば、所定期間使用可能である。この場合には電池容量は10000ワット時から50000ワット時程度のエネルギーが自律型電源から供給される必要がある。これは金属・空気電池を用いると10kg程度の重さになる。
【0038】
自律型小型無線装置(0100、0200、0300)は、筐体はプラスチックや紙で実現し、これらの自律型電源0102や電池(0202、0302)を含むすべての回路やアンテナを耐湿ラッピングフィルムで包装し、熱硬化樹脂などで所望の強度を得る。
【0039】
自律型電源(0103)等の装置がユーザによる着脱交換不能とは、専用治具を利用しないと装置の箱(筐体)を開けられないことを意味する。あるいは、装置の外装を破壊しなければ自律型電源の着脱ができないように構成されていることを意味する。したがって、自律型小型無線装置を回収して工場で分解して使用可能な部品をリサイクルは可能である。上述した耐湿ラッピングフィルムは、熱収縮タイプやスプレータイプを利用できる。有機物のロウ付けでもよい。また、被覆層は、重合性不飽和結合を有するカルボン酸の水溶性塩、ヒドロキシアルキル基を有する水溶性セルロース誘導体、シリカ微粉末を含む酸化剤と重合性不飽和と結合を有するカルボン酸の水溶性塩、ヒドロキシアルキル基を有する水溶性セルロース誘導体及びシリカ微粉末を含む還元剤を反応させて得られる防水層であってもよい。これらは筐体に対して吹き付け塗装されることによって形成される。なお防水層の組成は特にこれらに限定されるものでなく、あらゆる種類の熱硬化性防水プラスチックや、空気反応硬化性の防水プラスチックなどを選択できる。また、テフロン(登録商標)樹脂等の吹き付けによってこの層を構成してもよい。
(実施形態2)
【0040】
図4は、本発明の実施形態2の自律型小型無線装置とIoTデバイスとの通信ネットワーク構成例を示す図である。図5は本発明の実施形態を示す自律型小型無線装置の自律型電源の例を示す図である。図6は本発明の実施形態を示す自律型小型無線装置の自律型電源の例を示す図である。図7は本発明の実施形態を示す自律型小型無線装置の通信制御回路部の例を示す図、図8は本発明の実施形態を示す自律型小型無線装置の通信制御回路部の例を示す図、図9は本発明の実施形態を示す自律型小型無線装置の通信制御回路部の例を示す図である。
【0041】
以下、図4図9に基づいて本実施形態2について説明する。
自律型小型無線装置0400は、IoTデバイス0404、0405、0406の通信インターフェースを介して通信可能である。通信制御回路0403の通信速度は1Mbps程度の通信インターフェースで自身から半径1キロメートル以内の通信が可能である。また、通信制御回路0403の通信速度は5Mbps~10Mbps以下の通信インターフェースで自身から半径1キロメートル以内の通信が可能である。
【0042】
ここで、IoTデバイス0404、0405、0406の設置する屋内構造物の例としては、デスク、ロッカー、照明、天井、内壁、手すり、椅子、ベッド、ドア、窓、カーテンレール、パーティーション、天井裏、天井裏配管、ディスプレイ、パソコン、ノートパソコン、冷蔵庫、電子レンジ、システムキッチン、エアコン、扇風機、こたつ、テーブル、食器洗い機、掃除機、電話、電話ジャック、LANジャック等が挙げられる。また、IOTデバイス0404、0405、0406を設置する屋外構造物の例としては、信号機、電信柱、交通標識、ガードレール、手すり、ビルの屋上、ビルの外壁、電線、消火栓、監視カメラ(ビデオカメラ)、外灯等が挙げられる。
【0043】
電池0402は、図2または図3に示す電池と同様であるので、説明を省略する。また、図5または図6に示す例は、自律型電源を太陽光パネル0502、太陽光パネル+電池(0602)としたものである。自律型電源に太陽光パネルを利用する場合は、設置の時に屋外では太陽光を受光できる状態で設置する。また、屋内設置の場合は、照明光を受光できる状態または太陽光を受光できる状態で設置する。
【0044】
また、図7図8図9に示すように、通信制御部回路部(0703、0803、0903)にルーティング手段(0703a、0903b)やリピータ手段(0803b、0903c)を設けて、ルーティング機能やリピータ機能を実現できる。ルーティング手段(0703a、0903b)によるルーティング機能を実現する場合は、自律型小型無線装置(0700、0800、0900)にGPS機能を搭載し、自装置の位置情報を基づいてルーティングを実現できる。ルーティング手段(0703a、0903b)やリピータ手段(0803b、0903c)は公知の手段により実現できる。
【0045】
自律型小型無線装置(0700、0800、0900)は、自動車などの移動体や、携帯端末、携帯ルータに装着することが可能である。また、自律型小型無線装置(0700、0800、0900)が超小型であれば、犬や猫の首輪や人間の衣服に装着することが可能である。
【0046】
このように、実施形態1または実施形態2の自律型小型無線装置は、外部に露出端子がない状態で実現し、LED表示等を付加して外部から動作状態を認識可能としている。アンテナも装置内蔵を基本とし、耐湿性を維持できる状態であれば、適宜外部アンテナとすることも可能である。また、自律型小型無線装置は、メンテナンス(保守)端末との通信を行うため、メンテナンス通信機能を有しているとよい。オンラインメンテナンスを実現するためには、ネットワークへの不正侵入を防止するため、屋外の場合は自装置を示すフラッシュ機能を有し、ドローンからなどから装置設置エリアを撮影し、フラッシュ場所を選択可能としてもよく、またメンテナンス用のビープ音などを発生させてもよい。メンテナンス時にGPS機能を用いて設置時の位置情報をメンテナンス端末に送るようにしてもよい。メンテナンス通信機能は汎用通信手段とは別の専用通信手段を有していることが好ましい。これは汎用通信路からの悪意のハッキング、侵入などを防ぐためである。つまり、このメンテナンス通信機能は、まったく別のアンテナを用い、まったく別の通信プロトコルを用いるとよい。
【0047】
(実施形態3)
【0048】
図10は本発明の実施形態3の自律型小型無線装置の分散配置方法のフローを示す図、
図11は本発明の実施形態3の自律型小型無線装置の分散配置・再分散配置・回収方法のフローを示す図である。本実施形態3は、上述したような自律型小型無線装置を分散配置して近距離無線通信ネットワークを構築し(基地局の配置やゲートウェイの配置)、IOTデバイスや各種通信機器を通信可能とし、定期的に巡回メンテナンスやオンラインメンテナンスを実施するものである。
【0049】
以下、図10及び図11に基づいて本実施形態3について説明する。
まず、本自律型小型無線装置分散設置方法は、上述の自律型小型無線装置であって新規のものを所定の地域の屋外を巡回しながら公共構造物に固定設置する自律型小型無線装置分散設置ステップ(S1001)と、
自律型小型無線装置分散設置ステップの実施から1年ないし5年経過したかを判断し(S1002)、上述の自律型小型無線装置であって新規のものを前記所定の地域の屋外を再度巡回しながら公共構造物に固定する自律型小型無線装置再分散設置ステップ(S1003)と、を有することにより、自律型小型無線装置分散設置または再分散設置する。屋外を巡回しながら、分散配置または再分散配置したが、屋内設置の場合は当然屋内設備を巡回しながら行う。
【0050】
また、図11は既設の自律型小型無線装置の回収ステップ(S1104)をさらに追加したものであり、自律型無線装置再分散設置ステップ(S1103)の実施時に前回の自律型小型無線装置分散設置ステップ(S1101)にて固定設置された自律型小型無線装置を回収する。回収が完了するまで繰り返す。図10のS1001~S1003と図11のS1101~S1103のステップは、図11と同様である。
【0051】
上述した実施形態1、2、3において、自律型電源の電池の容量は、通信制御回路部の消費電力の1年分以上、5年分以下を賄う容量として説明した。しかし、短期間に比べて大型化することはやむをえないが、メンテナンスが困難な地域等に配置する場合は20年分以下の容量でも適用できる。この場合、装置を密封化することにより構造を簡素化できる。メンテナンスが困難な地域としては人が踏み込まない山の中や、海外地域であれば砂漠、鉱山地域、ジャングル等に設置されるものを想定するものである。
【0052】
<自律型小型無線装置の具体例>
【0053】
図12図48は、本発明を適用した自律型小型無線装置の設置具体例を示す図である。以下、図12図48に基づいて説明する。
【0054】
図12は本自律型小型無線装置をデスクに設置した例を示す図である。
デスク1200は、自律型小型無線装置1201が設置されており、デスク上にはブックシェルフ1202、ペンケース1203が置かれ、椅子1204がある構成を示している。図示はしていないが、ブックシェルフ1202、ペンケース1203、椅子1204にも自律型小型無線装置が設置されている。デスク1200は、IOT機能のみならず、ブックシェルフ1202やペンケース1203、椅子1204とも通信できる。また、椅子1204に加えられる荷重に応じて健康状態、人の識別、作業状態を外部に送信することもできる。さらに、ペンケースのペンがどのように使われているか、ブックシェルフの本が開かれているかなども情報を外部に送信し、知ることが出来る。
【0055】
図13は自律型小型無線装置をロッカーに設置した例を示す図である。
ロッカー1300の上部に自律型小型無線装置1301が設置されており、ロッカーの開閉動作、ロッカーの使用履歴を外部に送受信することにより、ロッカーの使用状態を知ることができる。また、ロッカーの内容物の存否からロッカーの使用者を推測することもできる。
【0056】
図14は本自律型小型無線装置を電気スタンドに設置した例を示す図である。
電気スタンド1400は、自律型小型無線装置1401が設置されており、電気スタンドのON/OFFを外部に送信することができる。電気スタンド1400とその近傍の枕もとの目覚まし時計と通信し、翌朝の起床時刻を知ることができる。
ここでは卓上電気スタンドの例を示しているが、図示しない天井の蛍光灯や天井のシーリング等にも同様に設置できる。また、部屋の壁にあるコンセントボックスやスイッチボックス等にも同様に適用できる。設置方法としては、ボックスに埋め込むことで実現できる。
【0057】
図15は本自律型小型無線装置を椅子に設置した例を示す図である。
椅子1500は自律型小型無線装置1501が設置されており、図12の椅子と重複するが、自律型小型無線装置1501により人の識別ができる。人の識別は人の携帯しているIoT機器の識別情報などを用いる。また、椅子に座っている人が背もたれに寄りかかっているかなどを背もたれの加速度センサや、加重センサから椅子の情報処理部が取得し、通信することによって遠隔で、どの人の疲労度の推測などもできる。ここでは屋内の椅子の例を示しているが、図示しない屋内外の野球場やサッカー場などのスタジアムの椅子やコンサート会場の椅子にも同様に設置できる。これによって観客の疲労度、観客の興奮度、観客の喜怒哀楽などを加速度センサ、加重センサ、音声センサ、体温センサ、湿度センサ、などから取得し、球場、スタジアムの観客の状態をマクロに把握できる。
【0058】
図16は本自律型小型無線装置をベッドに設置した例を示す図である。
ベッド1600は、自律型小型無線装置1601が設置されており、ベッドのクッションなどに設置された加重センサや音声センサ、湿度センサ、体温センサなどの情報を取得し、送信することでベッドに横たわっているかの情報送受信や、ベッドの湿り具合から発汗状態を識別したり、体調や人の成長度合いなどの情報を送信して遠隔処理したり、対策情報、例えば、薬の服用、照明調整などの情報の受信もできる。
【0059】
図17は本自律型小型無線装置をドアに設置した例を示す図である。
ドア1700の上部に自律型小型無線装置が設置されており、センサによりドアの開閉履歴情報や指紋センサなどがドアノブに取り付けてある場合はドアの出入り状態の識別や、ドアのロックやアンロック、暗証番号のミス回数などを識別し、外部に情報通信できる。
【0060】
図18は本自律型小型無線装置をカーテンレールに設置した例を示す図である。
カーテンレール1800は、自律型小型無線装置1801、1802が設置されており、カーテンの開閉情報を監視装置などと通信して情報を送信できる。カーテンがブラインドの場合は光の強弱をセンサにより検出しブラインドの開度を識別できる。カーテンが電動カーテンレールの場合は近傍にある窓の開け閉めもコントロールできる。人による開閉履歴情報を他のデバイスと通信することもできる。カーテンレールの長さに応じて自律型小型無線装置の設置個数は選択する。
【0061】
図19は本自律型小型無線装置をディスプレイに設置した例を示す図である。
ディスプレイ1900は、自律型小型無線装置1901が設置されており、ディスプレイに表示している画像を送信したり、近傍のスピーカーの操作履歴情報、スイッチON/OFFしている状態、スクリーンセーバー動作している情報を他のデバイスと通信できる。
【0062】
図20は本自律型小型無線装置をデスクトップパソコンに設置した例を示している。
デスクトップパソコン2000には自律型小型無線装置2001が設置されている。パソコン2000の操作履歴やON/OFF動作などの情報を自律型小型無線装置を介して外部と通信できる。また、それぞれの装置に設置された各自律型小型無線装置間でパソコン2001、ディスプレイ2002、キーボード2003、マウス2004、その他の入出力デバイス(IoTデバイス)の通信が可能である。
【0063】
図21は本自律型小型無線装置をノートパソコンに設置した例を示す図である。
ノートパソコン2100は、自律型小型無線装置2101が設置されており、ノートパソコンの開閉情報、操作情報を外部に送信することができる。また、ノートパソコン2101をユーザが持って移動中は内蔵したGPSにより位置情報を外部に送信することができる。
【0064】
図22は本自律型小型無線装置を冷蔵庫に設置した例を示す図である。
冷蔵庫2200は、自律型小型無線装置2201が設置されており、冷蔵庫の基本的な操作の開閉動作や冷蔵庫内の食品履歴を外部に通信できる。食品履歴は食品に付されているRFタグなどを冷蔵庫内のリーダを介して読み取ったものである。また、冷蔵庫内で発生したにおいやガスの情報をセンサを介して取得して発信し、冷蔵庫内の異常を検知できる。
【0065】
図23は本自律型小型無線装置を電子レンジに設置した例を示す図である。
電子レンジ2300は、自律型小型無線装置2301が設置されており、電子レンジの操作開閉履歴、どのぐらいの出力で動作しているかを外部に通信できる。電子レンジにレシピ機能がある場合は調理した料理の情報を外部に送信することができる。
【0066】
図24は本自律型小型無線装置をエアコンに設置した例を示す図である。
エアコン2401は、自律型小型無線装置2401が設置されており、エアコンの操作履歴、室温の変化情報、人の検知情報などを外部に送信できる。また、エアコンの使用期間や冷媒の使用期間などの情報も外部に送信できる。
【0067】
図25は本自律型小型無線装置を扇風機に設置した例を示す図である。
扇風機2500は、自律型小型無線装置2501が設置されており、扇風機の操作履歴、どの方向に向けて風を送ったかなどの情報を外部に送信し、知ることができる。
【0068】
図26は本自律型小型無線装置をテーブルに設置した例を示す図である。
テーブル2600は、自律型小型無線装置2601が設置されており、テーブルの上にどのようなものが載せられているか、テーブルが何に利用されているか、食事の配膳、テーブルに着座している人の識別情報を得ることができる。食事の配膳は、画像センサで画像認識して送信することができる。人の識別も同様である。
【0069】
図27は本自律型小型無線装置を食器洗い機に設置した例を示す図である。
食器洗い機2700は、自律型小型無線装置2701が設置されており、いつどのような食器が洗浄されたか、食事の状態、前回の食事の時間、洗浄した食器の数量から何人が食事をしたかなどの情報を得ることができる。また、食器洗い機を個人利用の場合は、個人用の情報を得ることができる。食器は食器に埋め込まれているRFタグなどを用いて識別する。食事の状態は残渣の種類と量を食器の種類と数とを送信し、遠隔サーバにて比較することで食事の状態、例えば満足したか、不満足化などの情報処理をすることができる。
【0070】
図28は本自律型小型無線装置を掃除機に設置した例を示す図である。
掃除機2800は、自律型小型無線装置2801が設置されており、掃除の履歴情報、ごみの量やごみの質の情報などをセンサで検知して送信し、家庭の清掃状態を知ることができる。掃除機がどの部屋で使用されたか、掃除をした人は誰かなどの情報も知ることができる。部屋は部屋に設置されているIoT機器から取得できる。
【0071】
図29は本自律型小型無線装置をコードレス電話に設置した例を示す図である。
コードレス電話2900は、自律型小型無線装置2901が設置されており、電話の利用履歴、電話から声の情報を認識、ダイヤルした電話番号から誰と会話したかなどを推測できる。
【0072】
図30は本自律型小型無線装置を信号機に設置した例を示す図である。
信号機3000は、自律型小型無線装置3001が設置されており、信号機の直下を通過する自動車、携帯電話を利用している人などの一般の交通量を識別できる。
【0073】
図31は本自律型小型無線装置を標識に設置した例を示す図である。
標識3100は、自律型小型無線装置3101が設置されており、標識を通過している人などの情報を外部に送信できる。また、ドップラー効果などで人の観測が可能である。
【0074】
図32は本自律型小型無線装置を建築物(ビルの上部)に設置した例を示す図である。
建築物(ビル)3200の上部に自律型小型無線装置3201が設置されており、あらゆるIoT機器の通過情報を外部に送受信することができる。ここでは、ビルの上部に設置した例を示したが、図示しない一般建屋やビルの柱、展示会の会場の仮設の柱にも同様に設置できる。
【0075】
図33は本自律型小型無線装置をベンチに設置した例を示す図である。
ベンチ3300は、自律型小型無線装置3301が設置されており、ベンチを利用している人の識別、IoT機器を操作している人の操作履歴の送受信などができる。また、ベンチに座った人を識別することや、誰と誰が通信したかなども知ることができる。
【0076】
図34は本自律型小型無線装置を消火栓に設置した例を示す図である。
消火栓3400は、自律型小型無線装置3401が設置されており、警報機の発報履歴、メンテナンス履歴などを外部に送受信できる。メンテナンス履歴を利用してIoT機器を持った人と通信し、消火栓の異常状態を知ることができる。火災発生時も同様である。
【0077】
図35は本自律型小型無線装置をビデオカメラに設置した例を示す図である。
ビデオカメラ3500は、自律型小型無線装置3501が設置されており、ビデオカメラの操作履歴や操作者のIOT機器(IOTデバイス)から誰かを特定することができる。
【0078】
図36は本自律型小型無線装置を監視カメラに設置した例を示す図である。
監視カメラ3600は、自律型小型無線装置3601が設置されており、自律型小型無線装置3601を中継して監視カメラの映像に映っている人物が所持しているIoT機器(IoTデバイス)と通信して人物を特定できる。
【0079】
図37は本自律型小型無線装置を自動車に設置した例を示す図である。
自動車3700は、自律型小型無線装置3601が車内に設置されており、自律型小型無線装置3601を経由して自動車の車内、トランク等に搭載されているIoTデバイスとの通信ができる。また、車の部品、タイヤ、ドアのロックなどそのようなIoTデバイスと通信できる。自動車3700は、他の自律型小型無線装置を搭載した自動車と車車間通信の動的ネットワークを構築できる。車内のIOTデバイスから記憶している情報を入手することにより、メンテナンス情報としてメーカーやディーラーが利用したりする。
【0080】
図38は本自律型小型無線装置を船舶に設置した例を示す図である。
船舶3800は、例えば遊漁船であり、船の上部に自律型小型無線装置3801が設置されており、外部のサーバと通信し、乗船者を特定することができる。ライフジャケットや釣り具がIoTデバイスを構成し、ライフジャケットが正常に働いているかや、釣り具に故障がないかなどの情報を外部のサーバに通信する。他の船舶(遊漁船)にも自律型小型無線装置が設置されており、船と船との通信もできる。
【0081】
図39は本自律型小型無線装置を飛行機に設置した例を示す図である。
飛行機3900は、飛行機の下部に自律型小型無線装置が設置されており、例えば飛行機が離陸前で空港に存在し、カーゴカー(貨物運搬車)と通信することができる。また、カーゴカーに積まれているIoTデバイスとしてのラッゲージ等と通信する。ラッゲージには火災が発生していないかなどの情報を管制塔、コックピットのパイロット、地上の整備者と通信することができる。
【0082】
図40は本自律型小型無線装置を自動二輪車に設置した例を示す図である。
自動二輪車4000は、自律型小型無線装置4001が設置されており、IoTデバイスとしてのライダースーツからのライダーの体温や、身体の動きなどの情報を自律型小型無線装置4001から外部のサーバに送ることができる。ヘルメット内のカメラを通してライダーの発汗状態を外部のサーバに送ったり、自動二輪車のディスプレイに表示することができる。
【0083】
図41は本自律型小型無線装置を自転車に設置した例を示す図であり、図42は本自律型小型無線装置を三輪車に設置した例を示す図である。
自転車4100は自律型小型無線装置4101が設置されており、三輪車4200は自律型小型無線装置4101が設置されている。自転車や三輪車の乗車者の情報をサーバーに送り、人物を特定することができる。
【0084】
図43は本自律型小型無線装置を街路樹に設置した例を示す図である。
街路樹4300は、自律型小型無線装置4301が設置されている。この自律型小型無線装置4301は通信距離との関係から適切な間隔で複数台設置することができる。付近を通行する移動体としての人間、動物、自動車、自転車などの通信を中継し、外部のサーバや他の機器と通信することができる。ここでは、街路樹に設置した例を示したが、図示しない一般道の街路樹の間や近傍に設けられる外灯や高速道路の外灯等にも同様に設置できる。
【0085】
図44は本自律型小型無線装置をスマートメータに設置した例を示す図である。
スマートメータ4400は、自律型小型無線装置4401を設置しており、電力をデジタルで計測し、メータ内に通信機能を持たせており、主にスマートグリットなどで、その通信機能を活用して、自動検針を行う他、家庭内のコントロール装置との通信を行ったり、情報を外部のサーバと通信することができる。電気やガスなどの測定装置もスマートメータと同様の機能を有している。
【0086】
図45は本自律型小型無線装置をウェアラブルウェア(衣服等)に設置した例を示す図であり、図46は本自律型小型無線装置を腕時計に設置した例を示す図であり、図47は本自律型小型無線装置をベルトに設置した例を示す図である。
衣服4500は、図45に示すように、自立型小型無線装置4501が設置されており、靴に自律型小型無線装置4502が設置されている。腕時計4600は、図46に示すように、自立型小型無線装置4601が設置されている。ベルト4700は、図47に示すように、自立型小型無線装置4701が設置されている。衣服にIoTデバイスとしてのメガネ、ベルト、お財布など通信し、自立型小型無線装置から外部のサーバに各種情報を送り出すことができる。
【0087】
図48は本自律型小型無線装置をスマートフォンに設置した例を示す図である。
スマートフォン4800は、自律型小型無線装置4801が設置されており、スマートフォンを所有している操作者を識別し、外部のサーバに通信することができる。また、自律型小型無線装置4801が、操作者の周辺にいる他のIoTデバイスの情報を中継して外部のサーバに送り出すことができる。
【0088】
このように、各種IoT機器や既存の各種設置対象物に自律型小型無線装置を設置することにより、近距離無線通信の基地局やゲートウェイ(無線中継器)の相乗りが実現できる。
【0089】
〈自律型小型無線装置の設置方法〉
【0090】
図49図51は本自律型小型無線装置の設置方法を説明するための図である。
以下、図49図51に基づいて本自律型小型無線装置の設置方法を説明する。
【0091】
本自律型小型無線装置は、図49に示すように、密封用シート4900に封入されており、一端が熱吸着により密封された熱吸着部4901が設けられ、被着手段4902により設置対象物に取り付けられる。また、被着手段4902にはネジの差し込み穴4903にネジを差し込んで取り付けられる。また、ネジ等により取り付けられないときは、密封用シート500に密封された本自律型小型無線装置は、バンド5001に取り付けられたストリップ5002の穴を通して設置対象物に引っ掛けて設置することができる。さらに、ぶつかる恐れがある場合は、図51に示すように、衝撃緩衝性のシート5100を覆うことにより、耐衝撃性を維持できる。衝撃緩衝性のシート5100の材料としては、発泡スチロール、スポンジ、気泡緩衝材などが適用できる。
【0092】
このように、本実施形態によれば、商用電源がない場所でも自律型小型無線装置の設置を可能となるので、装置のコストを低減するとともに、メンテナンスや保守コストも低減できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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