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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20220623BHJP
   F24F 1/0047 20190101ALI20220623BHJP
   F24F 1/0063 20190101ALI20220623BHJP
   F24F 13/08 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
F24F1/0007 401C
F24F1/0047
F24F1/0063
F24F13/08 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018069371
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178828
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100083404
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】上田 晶子
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-058695(JP,A)
【文献】実開昭63-057422(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第104729043(CN,A)
【文献】実開昭60-135522(JP,U)
【文献】特開平09-145143(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0191676(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-1/68
F24F 13/08、13/30、13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井裏に設置される箱型の本体ユニットと、天井面に沿うように上記本体ユニットの底面に取り付けられる化粧パネルとを備え、上記本体ユニット内には熱交換器と送風機とが配置され、上記化粧パネルは空気吸込部と空気吹出部とを有し、上記空気吸込部の開口部に複数のグリル桟が互いに平行に設けられている吸込グリルが取り付けられている天井埋込型空気調和機において、
上記熱交換器は上記本体ユニット内で対向して配置される前方の第1熱交換部と後方の第2熱交換部を有し、上記送風機は上記第1熱交換部と第2熱交換部の間に配置され、上記化粧パネル内において上記空気吸込部は上記後方の第2熱交換部側に配置されているとともに、上記化粧パネルと上記本体ユニットの間には上記空気吸込部から上記前方の第1熱交換部に至る導風路が形成されており、上記開口部の一辺側が上記導風路側であり、上記グリル桟の間隔が、上記開口部の内上記導風路側の一辺からこれと対向する他辺側に向けて漸次大きくなっていることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機に関し、さらに詳しく言えば、化粧パネルの空気吸込口に取り付けられる吸込グリルの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機(室内機)は、熱交換器や送風機(室内ファン)等が収納されている本体ユニットの室内面側に外観をよくするための化粧パネルを備えている。化粧パネルには、送風機の空気吸込側通路に連通する空気吸込口と、送風機の空気吹出側通路に連通する空気吹出口とが設けられている。
【0003】
このうち、空気吸込口には、エアフィルターを有する吸込グリルが着脱可能に取り付けられている。例えば特許文献1,2に記載されているように、吸込グリルには、複数のグリル桟がパネル本体の長辺に沿って互いに平行となるように設けられている。
【0004】
ところで、例えば特許文献3に記載されているような天井埋込型空気調和機(室内機)においては、送風ファンや熱交換器の配置等の関係から、吸込グリルの開口範囲内において、吸込量が多い部分と少ない部分とができる。
【0005】
そのため、吸込グリルの開口部にグリル桟を均等に配置すると、その開口面積が均等に分けられ、吸込量の多い部分では開口面積が不足気味となり、吸込量の少ない部分では開口面積が過剰気味となり、吸込グリルの開口部から吸い込んだ空気を有効に利用できない、という問題が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-147534号公報
【文献】特開2009-103420号公報
【文献】特開2000-213767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の課題は、天井埋込型の空気調和機において、吸込グリルにグリル桟を設けるにあたって、吸込グリルの開口部から吸い込んだ空気を有効に利用できるようにグリル桟を配置することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、天井裏に設置される箱型の本体ユニットと、天井面に沿うように上記本体ユニットの底面に取り付けられる化粧パネルとを備え、上記本体ユニット内には熱交換器と送風機とが配置され、上記化粧パネルは空気吸込部と空気吹出部とを有し、上記空気吸込部の開口部に複数のグリル桟が互いに平行に設けられている吸込グリルが取り付けられている天井埋込型空気調和機において、
上記熱交換器は上記本体ユニット内で対向して配置される前方の第1熱交換部と後方の第2熱交換部を有し、上記送風機は上記第1熱交換部と第2熱交換部の間に配置され、上記化粧パネル内において上記空気吸込部は上記後方の第2熱交換部側に配置されているとともに、上記化粧パネルと上記本体ユニットの間には上記空気吸込部から上記前方の第1熱交換部に至る導風路が形成されており、上記開口部の一辺側が上記導風路側であり、上記グリル桟の間隔が、上記開口部の内上記導風路側の一辺からこれと対向する他辺側に向けて漸次大きくなっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吸込グリルに複数のグリル桟を互いに平行として設けるにあたって、吸込量の多い部分ではグリル桟の間隔を広くし、吸込量の少ない部分ではグリル桟の間隔を狭くすることにより、空気が開口面積に対して効率的に吸い込まれため、吸込グリルの開口部から吸い込んだ空気を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による天井埋込型空気調和機の設置状態を示す説明図。
図2】上記天井埋込型空気調和機を示す斜視図。
図3】上記天井埋込型空気調和機の分解斜視図。
図4図2のA-A線に沿った概略断面図。
図5図4のC-C線に沿った概略断面図。
図6図2のB-B線に沿った概略断面図。
図7図4のD-D線に沿った概略断面図。
図8図2のB-B線に沿った斜視断面図。
図9】上記天井埋込型空気調和機が備える本体ユニットの底面側斜視図。
図10】(a)化粧パネルとフレームとを分離して示す斜視図、(b)化粧パネルの梱包状態を示す斜視図。
図11】運転停止時の化粧パネルを空調室側から見た底面図。
図12】運転時の化粧パネルを空調室側から見た底面図。
図13図12の斜視図。
図14】化粧パネルの裏面側に取り付けられる仕切板ユニットを示す斜視図。
図15】上記仕切板ユニットに取り付けられる中央吹出ユニットを示す斜視図。
図16】上記仕切板ユニットに取り付けられる回転ユニットを示す斜視図。
図17】化粧パネルを空調室側から見た図11と同様の底面図。
図18】空気吸込部に設けられるグリル桟の第1構成例を示す要部拡大平面図。
図19】上記第1構成例の好ましい態様を示す要部拡大平面図。
図20】空気吸込部に設けられるグリル桟の第2構成例を示す要部拡大断面図。
図21】(a)吸込グリルの開閉用のスイッチが取り付けられている部分を示す空調室側から見た底面図、(b)上記スイッチがロック位置にあるときの(a)のE-E線に沿った断面図、(c)上記スイッチがアンロック位置にあるときの(a)のE-E線に沿った断面図。
図22】(a)上記スイッチの(a)下方から見た斜視図、(b)側面図。
図23】上記スイッチの取付位置を変更した例で、図21と同じく、(a)吸込グリルの開閉用のスイッチが取り付けられている部分を示す空調室側から見た底面図、(b)上記スイッチがロック位置にあるときの(a)のF-F線に沿った断面図、(c)上記スイッチがアンロック位置にあるときの(a)のF-F線に沿った断面図。
図24】上記スイッチの別の実施形態で、(a)スイッチがロック位置にあるときを示す断面図、(b)スイッチがアンロック位置にあるときを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するためのいくつかの形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。なお本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
本発明による空気調和機は、屋外に設置される室外機(図示なし)と空調室Rの天井T1に取り付けられる室内機1がガス管と液管(いずれも図示なし)で接続されて冷媒回路を形成する。
【0014】
図1図2に示す室内機1は、天井裏T2に埋設される箱型の本体ユニット10と、天井T1の空調室R側に配置して同本体ユニット10の底面に取付けられる化粧パネル70とを有する天井埋込型空気調和機であり、特に全方向に吹き出す全方向吹出型の天井埋込型空気調和機である。
【0015】
図3を参照して、本体ユニット10は、板金でなる長方形の天板111と、天板111の四辺から下方に延在する側板112,113で形成された箱型の外胴11を有する。天板111の長辺側の側板を側板112、短辺側の側板を側板113として、向かい合う二枚の側板113には、それぞれ2個の取付金具12が固着されている。
【0016】
本体ユニット10は、この取付金具12を天井裏T2に固定された図示しない複数の吊りボルトにて吊り下げることで天井裏T2に設置される。
【0017】
化粧パネル70は、天板111よりも大きい長方形のパネル部71と、パネル部71の裏面から本体ユニット10側に立設され箱型の外胴11の開口された底面に大きさを合わせて取り付けられる側壁部72を有する。
【0018】
パネル部71は、向かい合う長辺のうちの後方に存在する一辺70b側に四角く開口された空気吸込部73を備えるとともに、一辺70bと向かい合う長辺の前方に存在する他辺70a側に空気吹出部74を備えている。
【0019】
なお、図2における室内機1において、天板111方向を上面または上方、空調室R方向を底面または下方、空気吹出部74側を前面または前方、空気吸込部73側を背面側または後方、左側の短辺70c側を左側面または左方、右側の短辺70d側を右側面または右方として以下説明する。各部品においても同様である。
【0020】
側壁部72は、図10(a)に示すように、パネル部71の各辺(長辺70a,70b,短辺70c,70d)に沿って四角形状に形成された空気吸込部73および空気吹出部74を囲む大きさのフレーム721と、フレーム721の短辺(パネル部71の短辺70c,70d側の辺)の間に架け渡された梁722とを有し、パネル部71の裏面に一体的にネジ止めされる。
【0021】
フレーム721と梁722はともに板金製であり、梁722はパネル部71の空気吸込部73と空気吹出部74との間に形成されている仕切部713上に配置される。
【0022】
これによれば、図10(b)に示すように、化粧パネル70の梱包時に、梱包材側の突片によって梁722を押さえることにより、落下時等の衝撃による破損を防止することが可能となる。また、梁722を設けたことにより、化粧パネル70のパネル面70Sと平行な方向にかかる荷重に対しても耐え得る構造となる。
【0023】
なお、梁722は、空気吸込部73と空気吹出部74等の形状や配置に応じてフレーム721の長辺70a,70bの間に架け渡されてもよい。
【0024】
<外胴>
次に、図3図6を参照して、本体ユニット10に収納されている部品について説明する。外胴11の天板111の内面には、板厚の厚い発泡スチロールで形成された断熱材13を備える。
【0025】
外胴11の側板112,113の内面には、断熱材13は設けずに薄い断熱シート(図示無し)があればよい。断熱材13の中央は開口され下方から見ると天板111の一部が露出している。この露出した部分の天板111に熱交換器20とファンユニット30が固定される。
【0026】
図2に示すように、外胴11の右側面の外面には室内機1を制御する電装部品(図示無し)を収納した電装品箱14が取り付けられる。
【0027】
<熱交換器>
熱交換器20は、平行に並べられた複数の短冊状のアルミフィン23と、アルミフィン23を貫通する複数の伝熱管22で形成されるフィンチューブ型で、図4において左側の前方熱交換部20Lと、同じく図4において右側の後方熱交換部20Rの2つの熱交換部を備えている。
【0028】
前方熱交換部20Lと後方熱交換部20Rは向かい合うように配置されるが、高さ寸法を低く抑えるとともに、通風量の増大をはかるため、好ましくは図4に示すように、上端側の間隔が下端側の間隔よりも広くなる逆ハ字状に組み合わされる。なお、逆ハ字状ではなく、上端側の間隔が下端側の間隔よりも狭いハ字状としてもよい。
【0029】
いずれにしても、前方熱交換部20Lと後方熱交換部20Rの左右両端は、連結板21によって連結され、熱交換器20の内側の空間は送風機室Fとなる。熱交換器20の底面(前方熱交換部20Lと後方熱交換部20Rの下端間の面)は、後述するドレンパン40によって塞がれる。
【0030】
また、熱交換器20と外胴11との間隔において、外胴11と後方熱交換部20Rとの間に第1空気吸込室S1が設けられるとともに、外胴11と前方熱交換部20Lとの間に第2空気吸込室S2が設けられる。第1空気吸込室S1は空気吸込部73の直上に配置され、第2空気吸込室S2は後述する導風路Lを介して空気吸込部73に連通する。
【0031】
<送風ファン>
ファンユニット30は、熱交換器20の内側に設けた送風機室Fに配置される。ファンユニット30は、シロッコファンタイプの送風ファン31と、ファンモータ36と、送風ファン31を支え天板111に固定するファン取付台311(図3参照)と、ファンモータ36を天板111に固定するモータ取付台361(図3参照)を備える。
【0032】
送風ファン31は、複数の羽根を備えた筒状の羽根車32と、羽根車32を収容する渦巻状のファンケーシング34と、羽根車32の中心に連結される回転軸35を有する。
【0033】
送風ファン31の台数は、空調能力に応じて任意に選択されるが、この実施形態では、4台)を横並びとして同軸上に配置している。なお、それぞれの送風ファン31は同じ構造を有するものである。
【0034】
ファンユニット30は、ファンモータ36をモータ取付台361で天板111に固定した後、ファンモータ36の両端にそれぞれ2個づつ送風ファン31を回転軸35で互いに連結する。回転軸35の両端は、例えばL字金具からなる図示しない軸受け板を介して天板111に固定される。また、ファンケーシング34の上部にもファン固定部341(図4参照)があり、これを天板111にネジで固定する。
【0035】
ファンケーシング34は、羽根車32を収容する収容部342と、収容部342から連続して熱交換器20の下端よりも下方に長く延出して形成される筒状の送風部343を有する。収容部342の側面には羽根車32に空気を取り込むファン吸込口344が円形に開口されている。
【0036】
ファンケーシング34は、内部に羽根車32を収容できるように、羽根車32の軸線に平行な面で上下に分割して形成してもよいし、羽根車32の軸線に垂直な面で左右に分割して形成してもよい。なお、ファンケーシング34の内部は、収容部342と送風部343が連続して吹出空気Hの送風路33となる。
【0037】
上記のように、この実施形態においては、熱交換器20に囲まれた内部空間を送風機室Fとしてファンユニット30を配置していることから、送風ファン31の羽根車32が回転すると、送風機室F内が負圧になり、空気吸込部73からの空気が前方熱交換部20Lと後方熱交換部20Rを通って送風機室F内に入り、ファン吸込口344に吸い込まれて羽根車32の周囲に吹き出され、吹き出された空気はファンケーシング34内の送風路33に沿って一方向に向かって吹き出され、空気吹出部74から空調室Rへ吹き出される。
【0038】
<ドレンパン>
熱交換器20の下端には、熱交換器20で生成されるドレン水を受けるドレンパン40が設けられる。ドレンパン40は、発泡スチロールの断熱部材41と熱交換器20と対向する面に設けられる樹脂製のドレンシート42が一体で成形される。
【0039】
ドレンパン40は、熱交換器20の下端側の開口面を覆う大きさを有する矩形状に形成されており、送風機室Fと後述する導風路Lとを仕切る仕切板でもある。ドレンパン40には、ファンユニット30の筒状をなす送風部343が嵌合される通風孔43が送風ファン31の台数分(この実施形態では4台分)設けられている。
【0040】
上記したように、熱交換器20は前方熱交換部20Lと後方熱交換部20Rを逆ハ字状に配置してなり上面よりも底面の方が狭いため、その分、ドレンパン40が小型となり、本体ユニット10内でドレンパン40の占める領域が小さくなりドレンパン40による通風抵抗も少なくなり、ドレンパン40の周囲の通風領域が拡大して通風効率のよいものとなる。
【0041】
ドレンパン40のドレンシート42側には、熱交換器20で生成されるドレン水を受け止めるために樋部45が設けられる。なお、冷房運転時にファンケーシング34の外面側に生ずる結露水はドレンパン40の底面で受けられるため、通風孔43の周りに防水処理を施すことが好ましい。
【0042】
図示しないが、ドレンパン40には、ドレン水を排水するためのドレンポンプやドレンホース、それにドレンポンプをオンオフ制御するためのフロートスイッチ等が設けられてよい。
【0043】
<化粧パネル>
図11ないし図13を参照して、化粧パネル70の構成について説明する。化粧パネル70は、一方の長辺70a側に空気吹出部74を備え、他方の長辺70b側に空気吸込部73を備えているが、このうちの空気吹出部74は、パネル部71の一部分を長辺70aに沿って空調室R側に向けて断面台形状に隆起させた隆起部740として形成されている。
【0044】
この実施形態によると、隆起部740は、2つの等しい長さの平行線と2つの半円からなる角丸長方形である長円形で側面(周面)は傾斜面を呈している。隆起部740は、中央部分に固定吹出部75を有し、左右両側に可動吹出部77L,77Rを備えている。可動吹出部77L,77Rを区別する必要がない場合には総称として可動吹出部77と言う。
【0045】
図16を併せて参照して、可動吹出部77Lは、化粧パネル70のパネル面70Sもしくは天井T1面に対して直交する軸線を中心として所定の角度範囲で回転する円錐台状の回転ユニット78Lを有している。可動吹出部77Rも、同様に化粧パネル70のパネル面もしくは天井T1面に対して直交する軸線を中心として所定の角度範囲で回転する円錐台状の回転ユニット78Rを有している。
【0046】
これら回転ユニット78L,78Rの一部分によって隆起部740の両端に半円部が形成されている。なお、回転ユニット78L,78Rを区別する必要がない場合には総称として回転ユニット78と言う。
【0047】
図13の斜視図から分かるように、固定吹出部75の頂面(底面)751と回転ユニット78の頂面(底面)781は、回転ユニット78が回転した状態でも常に同一面内に存在しており、意匠性の向上が図られている。
【0048】
固定吹出部75には、長辺(特定辺)70aに向けて第1空気吹出口754が開口されており、第1空気吹出口754内には左右風向板752(図15参照)が設けられ、表面側に上下風向板753が設けられている。
【0049】
可動吹出部77は、回転ユニット78の側面の一部分に第2空気吹出口783を有し、第2空気吹出口783には上下風向板782が設けられている。回転ユニット78の回転によって左右方向の風向きが変えられるため、可動吹出部77には左右風向板は不要である。なお、固定吹出部75の第1空気吹出口754と可動吹出部77の第2空気吹出口783は、これら空気吹出口754,783に意匠的な統一感を持たせるうえで、同じ傾斜角を有する傾斜面(側面)に沿って開口されている。
【0050】
固定吹出部75の空気吹出方向は長辺70a方向であるのに対して、可動吹出部77は第2空気吹出口783が長辺70aに向く第1位置と短辺70c,70d側に向く第2位置との間で回転する。
【0051】
図11に示すように、可動吹出部77が第1位置にあるとき、第1空気吹出口754と第2空気吹出口783は直線状に並べられる。この場合、第1空気吹出口754と第2空気吹出口783とが連続しているような外観とするため、第1空気吹出口754の両側にダミーフラップ791,791を設けることが好ましい。このダミーフラップ791も第1空気吹出口754と第2空気吹出口783と同じ傾斜面に配置される。
【0052】
図12,13は、左側の可動吹出部77Lが第1位置で、右側の可動吹出部77Rが短辺70d側に向く第2位置にある状態を示している。このように、可動吹出部77が回転可能であることにより、この室内機1は後ろ側の長辺70b方向を除く全方向(多方向)吹出型である。
【0053】
また、図12図13に示すように、可動吹出部77(77L)の第2空気吹出口783を短辺側に向く第2位置に回転させたとしても、第2空気吹出口783以外の部分は円錐面であるため、外観上第1空気吹出口754との連続感が得られる。すなわち、可動吹出部77を回転させたとしても、空気吹出部74の基本形状(長円形の隆起形状)が保たれる。
【0054】
この実施形態によれば、固定吹出部75の第1空気吹出口754と可動吹出部77の第2空気吹出口783は、パネル部71の一部分を空調室R側に向けて断面台形状に隆起させた隆起部740の側面に形成されており、これにより、第1空気吹出口754および第2空気吹出口783から調和空気が化粧パネル70のパネル面に沿ってほぼ水平方向に吹き出されるため、調和空気をより遠方まで行き渡らせることができる。
【0055】
また、第1空気吹出口754と第2空気吹出口783とから同時に調和空気が吹き出されるが、第1空気吹出口754から吹き出された空気流と第2空気吹出口783から吹き出された空気流との間に境界が生じ難く、空調室R内を万遍なく調和することができる。
【0056】
なお、上記実施形態と異なり、第1空気吹出口754と第2空気吹出口783は、化粧パネル70のパネル面(もしくは天井面)と直交する垂直面内に開口されてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、固定吹出部75と左右の可動吹出部77とを長円形の隆起部740内に納めているが、可動吹出部77が化粧パネル70のパネル面もしくは天井T1面に対して直交する軸線を中心として回転可能であれば、外観にとらわれることなく、単に固定吹出部75の両側に可動吹出部77が配置された態様であってもよく、このような態様も本発明に含まれる。
【0058】
化粧パネル70の裏面側には、図14に示す仕切板ユニット50が取り付けられる。先の図4図9等を併せて参照して、仕切板ユニット50は、その上面側(ドレンパン40と対向する面側)に、ドレンパン40に形成されている4つの通風孔43(43a~43d;図9参照)にそれぞれ嵌合してファンユニット30の送風部343に連通する4つのダクト51(51a~51d)を備えている。
【0059】
このうちの内側の2つのダクト51a,51bは、対応する通風孔43a,43bに嵌合し、外側に配置されている2つのダクト51c,51dは、対応する通風孔43a,43bに嵌合する。
【0060】
ダクト51a,51bは固定吹出部75用のダクトであり、図15に示すように、仕切板ユニット50の下面側(化粧パネル70の裏面と対向する面側)には、ダクト51a,51bに跨がって割り当てられる一つのチャンバー751aを有する中央吹出ユニット751が取り付けられる。
【0061】
チャンバー751a内には、左右風向板752が設けられる。また、中央吹出ユニット751の前面側には、第1空気吹出口754が形成されており、その中に上下風向板753が設けられる。
【0062】
なお、図示しないが、チャンバー751aの背面には左右風向板752を駆動するモータが配置され、また、第1空気吹出口754の脇には上下風向板754を駆動するモータが配置される。
【0063】
外側のダクト51c,51dは可動吹出部77用のダクトであり、図16に示すように、左側のダクト51cの下端には、左側の可動吹出部77Lが備える回転ユニット78Lが回転可能に装着され、また、右側のダクト51dの下端には、右側の可動吹出部77Rが備える回転ユニット78Rが回転可能に装着される。
【0064】
回転ユニット78L,78Rともにモータによって駆動される。この回転ユニット78を駆動するモータは、図14において外側のダクト51c,51dの脇に示されているモータカバー512内に配置されている。
【0065】
この実施形態において、回転ユニット78L,78Rは、それぞれ、第2位置として第1位置から90゜以上の例えば100゜の位置にまで回転可能であるが、このような位置にまで回転させると、吹出空気が空調室Rに向かわずに空気吸込部73に吸い込まれるショートサーキット現象が起こるおそれがある。
【0066】
これを防止するため、図11ないし図13を参照して、回転ユニット78と空気吸込部73との間に壁711が設けられている。
【0067】
この実施形態において、壁711は、パネル部71の回転ユニット78の周りの一部分を短辺70c,70d側から回転ユニット78L,78Rと空気吸込部73との間に向けて回転ユニット78の頂面781の高さもしくは空気吸込部73の高さにまで立ち上がるスロープ状に形成されている。図11ないし図13において、壁711の稜線711aがスロープ状であることを示している。
【0068】
これによれば、壁711によって回転ユニット78を最大回転位置付近にまで回転させた際のショートサーキット現象が防止されるとともに、吹出空気流が壁711のスロープ面712に沿ってより遠方にまで行き届くことになる。すなわち、壁711はショートサーキット現象の防止ばかりでなく、スロープ面712を備えていることにより吹出空気をより遠方にまで行き届かせる気流案内面としても役立つ。
【0069】
この実施形態によれば、第1空気吹出口754と第2空気吹出口783とから吹き出される空気は化粧パネル70のパネル面に沿って流れるため、化粧パネル70のうち、空気吸込部73を除く残りのパネル面が壁711のスロープ面712を含めて気流案内面として作用する。
【0070】
先にも説明したように、化粧パネル70は、側壁部72を本体ユニット10の底面開口内に嵌め込みネジ止めによって本体ユニット10に取り付けられる。この組み立て時に、図6の矢印で示すように、ドレンパン40と化粧パネル70との間に空気吸込部73から吸い込まれた空気の一部を第2空気吸込室S2に導く導風路Lが形成される。
【0071】
この導風路L内において、第2空気吸込室S2に向かう空気はダクト51,51間を通過するが、より多くの通風量を確保するため、図9に示すように、ダクト51,51間に対応するドレンパン40の底部には凹部46が形成されている。
【0072】
<組立>
次に、室内機1の組立について説明する。本体ユニット10は、まず、外胴11の天板111側を組立台の上に置き、外胴11の内側に断熱材13を嵌め込む。そして、組立済みの熱交換器20(前方熱交換部20Lと後方熱交換部20Rを連結板21で連結した熱交換器)のガス連結管と液連結管(ともに図示しない)を側板113から引き出した状態として、熱交換器20を図示しない所定の取付具を介して天板111に固定する。その後に、組立済みのファンユニット30を熱交換器20内の送風機室F内に配置してモータ取付台361とファン固定部341等を介して天板111に固定する。
【0073】
次に、ドレンパン40のドレンシート42側の樋部45を熱交換部20L,20Rの下端に合わせて外胴11の底面に嵌め込む。この時、ドレンパン40の通風孔43にファンケーシング34の送風部343を嵌合する。
【0074】
上記のように組み立てられた本体ユニット10と、化粧パネル70は個別に梱包され設置現場に搬送される。本体ユニット10は、先に天井裏T2に埋め込まれた複数の吊りボルトにて吊り下げることで天井裏T2に設置される。
【0075】
そして、化粧パネル70を空調室R側から取り付ける。この時、仕切板ユニット50のダクト51をファンケーシング34の送風部343に接続する。そして図示しないが、冷媒配管と電源線および信号線を室外機に接続することで室内機1が運転可能となる。
【0076】
<運転>
室内機1の停止時は、図11に示すように、可動吹出部77L,77Rの回転ユニット78L,78Rは、初期位置として、それらの第2空気吹出口783が固定吹出部75の第1空気吹出口754と同じ方向(長辺70a側)に向いており(第1位置)、第1空気吹出口754、第2空気吹出口783は、ともに上下風向板782,753により閉じられている。
【0077】
そして、ユーザーによるリモートコントローラー(図示なし)の指令や、空調システムの指令によって、室外機の圧縮機およびファンモータ(いずれも図示なし)と室内機1のファンモータ36が運転を開始する。
【0078】
室内機1は、ファンモータ36の運転により送風ファン31が回転する。送風ファン31の回転により、送風ファン31の送風部34内の空気が吹き出されることで送風機室F内は負圧となり、化粧パネル70に設けられている空気吸込部73から空調室R内の空気Kが吸い込まれる。
【0079】
図6を参照して、空気吸込部73から吸い込まれた空気Kは、第1空気吸込室S1に流入するとともに、導風路Lを通って第2空気吸込室S2にも流入する。第1空気吸込室S1内の空気は、後方熱交換部20Rを通り冷媒と熱交換されて送風機室F内に入る。同様に、第2空気吸込室S2内の空気は、前方熱交換部20Lを通り冷媒と熱交換されて送風機室F内に入る。
【0080】
このようにして調和された空気は、送風ファン31の回転により、ファンケーシング34の送風部343からダクト51を介して化粧パネル70の固定吹出部75と可動吹出部77に向けて送出される。
【0081】
固定吹出部75に送出された調和空気は、第1空気吹出口754から左右風向板752および上下風向板753によって案内される方向に向けて吹き出される。また、可動吹出部77に送出された調和空気は、回転ユニット78の回転方向および上下風向板782によって案内される方向に向けて吹き出される。
【0082】
回転ユニット78L,78Rは、その回転が個別に制御可能であることから、ユーザーが求めるところにしたがい、空気吸込部73がある後ろ側の長辺70b方向を除く多方向に調和空気を供給することができる。
【0083】
<吸込グリル>
次に、空気吸込部73に取り付けられる吸込グリル80について、いくつかの形態を説明する。
【0084】
まず、図17に示すように、化粧パネル70のパネル部71は、空気吸込部73および空気吹出部74を有するパネル本体71aと、パネル本体71aの両側に取り付けられる2枚のサイドパネル71bとを備えている。
【0085】
空気吸込部73には、裏面側にエアフィルターを有する吸込グリル80が開閉および着脱の少なくとも一方が可能に取り付けられている。吸込グリル80には、複数のグリル桟81がパネル部71の長辺70a,70bに沿って互いに平行となるように設けられている。
【0086】
これに対応して、サイドパネル71b側にも、グリル桟81の延長線上にダミー桟82が形成されるが、このままでは、パネル本体71aとサイドパネル71bの突き合わせ部の隙間Daが直線状の分割線として見えてしまい、外観品質が低下してしまう。なお、ダミー桟とは桟と桟との間がパネル材によって塞がれており、スリット状の通風開口部を持たない桟である。
【0087】
そこで、この実施形態では、図18に示すように、各グリル桟81の端部81eを隙間Daを越えてサイドパネル71b側にまで延ばし、その分、サイドパネル71b側のダミー桟82の端部82eを短辺70c,70d方向に後退させ、端部81eと端部82eの突き合わせ部の隙間Dbを隙間Daからずらしている。
【0088】
これによれば、図1のユーザーの位置から天井面に設置されている化粧パネル70を斜めに見上げると、隙間Daの一部分がグリル桟81によって隠され、また、隙間Db内にはサイドパネル71bの地肌が見え隙間Dbの黒い影が薄くなるため、隙間Daの存在が分かり難くなるとともに、グリル桟81とダミー桟82が1本に繋がって見えるようになり、外観品質が向上する。
【0089】
また、好ましい態様として、グリル桟81の端部81eとダミー桟82の端部82eの突き合わせ部の隙間Dbを、パネル本体71aとサイドパネル71bの突き合わせ部の隙間Daと平行とせず、隙間Daに対して所定の傾斜角θを持つようにするとともに、隙間Dbの各々を傾斜角θを持った状態で上下方向に同一位置に並べる、例えば各隙間Dbを隙間Daによる分割線と平行な直線に沿って並べることにより、隙間Dbをより目立たなくすることができる。
【0090】
より好ましくは、図19に示すように、隙間Dbの後方側に、ダミー桟82の端部82eから隙間Daに至るようにリブ83を形成することにより、隙間Dbの幅が広くなったとしても、隙間Dbをより目立たなくすることができる。
【0091】
なお、隙間Dbの後方とは、図1のユーザーの位置から天井面に設置されている化粧パネル70を斜めに見上げた場合の隙間Dbの後方である。また、図18,19において、黒塗り部分が吸込グリル80の通風開口部である。
【0092】
次に、図20により、吸込グリル80が備えるグリル桟81の好ましいピッチ配列について説明する。
【0093】
再び図6を参照して、この実施形態に係る室内機1では、本体ユニット10内に熱交換器20として、図6において左側の前方熱交換部20Lと右側の後方熱交換部20Rとを有し、後方熱交換部20R側に第1空気吸込室S1が設けられ、前方熱交換部20L側に第2空気吸込室S2が設けられている。
【0094】
これに対して、空気吸込部73は化粧パネル70の後方側(長辺70b側)に配置されていることから、空気吸込部73から吸い込まれた空気は、第1空気吸込室S1には流れやすく、第2空気吸込室S2には導風路Lを通るため、その分、通風抵抗を受ける。
【0095】
これにより、空気吸込部73に取り付けられる吸込グリル80の開口範囲内において、上記した空気吸込室S1,S2の配置との関係から、吸込量が多い部分と少ない部分とができる。図6で言えば、吸込グリル80の前方側(導風路Lに近い側)が比較的吸込量が少なく、後方側(長辺70b側)に行くにしたがって吸込量が漸次多くなる。
【0096】
そのため、吸込グリル80の開口部にグリル桟81を均等に配置すると、その開口面積が均等に分けられ、吸込量の多い部分では開口面積が不足気味となり、吸込量の少ない部分では開口面積が過剰気味となる。
【0097】
そこで、この実施形態では、図20に示すように、吸込グリル80に複数のグリル桟81を化粧パネル70の長辺70bに沿って互いに平行として設けるにあたって、吸込量の多い部分では開口面積を大きくとり、吸込量の少ない部分では開口面積を小さくとる。
【0098】
すなわち、吸込グリル80の前方側ではグリル桟81の間隔を狭くし、後方側に行くにしたがってグリル桟81の間隔を広くする。一例として、図20に示されているように、10.2mm,10.4mm,10.7mm,11.0mm,11.5mm,12.2mm,12.9mmのように、吸込グリル80の前方側から後方側に行くにしたがってグリル桟81の間隔を漸次広くする。
【0099】
このように、空気の吸込量の少ない部分と多い部分とに応じてグリル桟81の間隔を変えることにより、空気が開口面積に対して効率的に吸い込まれるため、吸込能力が向上する。
【0100】
ただし、グリル桟81の間隔を急激に変化させると、グリル桟81の並びがガタついて見えてしまい外観品質が低下するため、前方から後方に向かって少しずつ間隔を広げることにより、変化が少なく等間隔と同じような見え方にすることができる。
【0101】
次に、図21ないし図24により、吸込グリル80の開閉時に操作されるスイッチのいくつかの構成について説明する。このスイッチは、グリル桟81とともにグリル面内に含まれ外観上目立たないが、指を掛けて容易に動かすことができるという特徴を有する。
【0102】
まず、先の図20を参照して、吸込グリル80は、空気吸込部73の開口部内に嵌合する基枠80Fを備えている。図20は断面図であるが、先にも説明したように、空気吸込部73の開口部は四角形であるため、基枠80Fも四角形状である。また、先にも説明したように、この基枠80Fに複数のグリル桟81がこの例では化粧パネル70の長辺70bの延在方向に沿って互いに平行に形成されている。
【0103】
図21(a),(b)に示すように、この実施形態において、基枠80Fのうち、空気吹出部74に近い開閉する側の枠部(開閉側枠部)80Faに吸込グリル80の開閉時に操作されるスイッチ90が設けられる。
【0104】
スイッチ90は、グリル桟81と直交する方向にスライド可能で、例えば2箇所もしくは3箇所に配置される。図21(a)は、そのうちの1箇所を空調室Rから見た底面を示している。
【0105】
なお、開閉側枠部80Faには、グリル桟81と外観的な統一をはかるため、通風開口部を持たない見かけ上のダミー桟82fが形成されている。図示しないが、開閉側枠部80Faと反対側の枠部は蝶番等にて空気吸込部73の縁に連結されている。
【0106】
図22(a),(b)を参照して、スイッチ90は、開閉側枠部80Faの一部分にスライド可能に保持される基板部91を有し、基板部91の先端部91aは、スイッチ90の摺動に伴って、空気吸込部73の内縁731に穿設されている係合孔732内に出没する。
【0107】
基板部91の後端部91bには、摘まみ片92と指掛け片93とが設けられている。摘まみ片92は基板部91の後端部91bから空調室R側に向けてほぼ垂直下方に折り曲げられている。
【0108】
これに対して、指掛け片93は、摘まみ片92との間に指先を入れる隙間FSができるように、摘まみ片92に対して斜め方向(図22(b)において斜め左下方向)に向くように形成されている。
【0109】
スイッチ90は、その基板部91が押さえ部材94によって開閉側枠部80Faに摺動可能に保持される。図22(a)に示すように、基板部91の底面側には、半円状の突湾曲部941を有する帯板からなる板バネ94が、この例では2つ並べて配置されている。
【0110】
これに対して、開閉側枠部80Fa側には、スイッチ90の摺動に伴って板バネ94の突湾曲部941が乗り越えるリブ板801が立設されている。
【0111】
これによれば、突湾曲部941がリブ板801を乗り越える際に所定のクリック力が発生し、スイッチ90は、図21(b)に示すロック位置(基板部91の先端部911が係合孔732に嵌合する位置)と、図21(c)に示すアンロック位置(基板部91の先端部911が係合孔732から抜け出て外れる位置)とに選択的に保持される。
【0112】
スイッチ90を開閉側枠部80Faに摺動可能に取り付けるに伴い、この第1例では、開閉側枠部80Faに隣接する第1番目のグリル桟81aと、その隣の第2番目のグリル桟81bの各一部分がスイッチ90の幅に相当する長さ分切り取られる。本明細書では、この切り取られた部分を「欠桟部」と言い、符号Cを付す。
【0113】
この欠桟部を外観的に補うため、摘まみ片92の下端縁を形状的に補完する意味での補完ダミー桟921として第1番目のグリル桟81aと同じ形状とし、また、指掛け片93の下端縁を同じく形状的に補完する意味での補完ダミー桟931として第2番目のグリル桟81bと同じ形状とし、スイッチ90が図21(b)に示すロック位置にあるとき、摘まみ片92の補完ダミー桟921が第1番目のグリル桟81aの欠桟部Cに位置し、指掛け片93の補完ダミー桟931が第2番目のグリル桟81bの欠桟部Cに位置するようにする。
【0114】
これによれば、ロック状態時において、スイッチ90の摘まみ片92および指掛け片93がともにグリル桟81の一部分に含まれ、グリル面から突出することがないため、外観品質が向上する。
【0115】
なお、各グリル桟81a,81bの欠桟部とスイッチ90との間には、隙間状の分割線が目視されるため、化粧パネル70を空調室Rから見上げた場合、スイッチ90がどこに配置されているかを容易に認識することができる。
【0116】
また、摘まみ片92と指掛け片93との間に指先を入れる隙間FSがあるため、この隙間FSに指先を入れて、スイッチ90を図21(c)に示すアンロック位置に容易に動かすことができる(スイッチ90を図21(b)に示すロック位置に戻す場合も同様)。
【0117】
図21(c)に示すアンロック位置において、摘まみ片92は第2番目のグリル桟81bの欠桟部内に位置し、指掛け片93は第3番目のグリル桟81cに当接する。すなわち、隣接するグリル桟81間の距離がスイッチ90の移動ストロークとなる。
【0118】
指掛け片93に対して指先をすべり難くするため、図22に示すように、指掛け片93の内面の下端縁側にリブ932を設けるとよい。また、摘まみ片92にも指先をすべり難くするためのリブ922を設けることが好ましい。リブに代えて、例えば半球状の突起を複数個形成してもよい。
【0119】
第2例として、図23に示すように、開閉側枠部80Faの一部分をその内縁側から切り欠き、その切欠部C内にスイッチ90の一部分が入り込むようにして、スイッチ90の取付位置を空気吹出部74側にずらして、スイッチ90の摘まみ片92を開閉側枠部80Fa内に含ませてもよい。
【0120】
この場合には、図23(a)の底面図に示すように、開閉側枠部80Faのダミー桟82fおよび第1番目のグリル桟81aの各一部分をスイッチ90の幅に相当する長さ分切り取って欠桟部Cとする。
【0121】
そして、スイッチ90のロック位置においては、摘まみ片92の下端縁の補完ダミー桟921がダミー桟82fの欠桟部C内に配置され、また、指掛け片93の下端縁の補完ダミー桟931が第1番目のグリル桟81aの欠桟部C内に配置されるようにする。この他は、上記第1例と同じであってよい。
【0122】
これによれば、上記第1例と同じく、ロック時において、スイッチ90の摘まみ片92の補完ダミー桟921がダミー桟82fの一部分に含まれるとともに、指掛け片93の補完ダミー桟931が第1番目のグリル桟81の一部分に含まれ、グリル面から突出することがないため外観品質が向上する。
【0123】
また、ロック時において、上記第1例では第1番目と第2番目のグリル桟81a,81b間の通風開口部の一部分がスイッチ90により塞がれるが、この第2例によれば、ロック時において、第1番目のグリル桟81aと第2番目のグリル桟81b間の通風開口部がスイッチ90により塞がれることがない。
【0124】
なお、この第2例において、アンロック時には、図23(c)に示すように、摘まみ片92の下端縁に形成されている補完ダミー桟921は第1番目のグリル桟81aの欠桟部C内に位置し、指掛け片93の補完ダミー桟931は第2番目のグリル桟81bに当接する。
【0125】
次に、図24により、スイッチの別の実施形態について説明する。この別の実施形態によるスイッチ90Aは、摘まみ片92のみを備える。また、特定の枠部80Faは、スイッチ90Aを斜め方向に移動させるガイド面85を備える。摘まみ片92は、ロック時にはグリル桟81とともにグリル面内にあり、その存在が目立たないが、アンロック時のみグリル面から下方に突出する。
【0126】
特定の枠部80Faのガイド面85は、空気吸込部73の内縁731に穿設されている係合孔732側を高所、第1番目のグリル桟81a側を低所として、高所から低所に向かう図24において右下がり勾配となる傾斜面からなる。
【0127】
スイッチ90Aの基板部91は、ガイド面85に沿って摺動可能に特定の枠部80Faに保持される。この保持には、例えば先の図21(b)に示した押さえ部材94が用いられてよい。
【0128】
スイッチ90Aの先端部91aは、スイッチ90Aの摺動に伴って係合孔732に出没する。スイッチ90Aの後端部91bには摘まみ片92が設けられるが、この場合、摘まみ片92は、ガイド面85上に斜めに配置された状態でスイッチ90Aの後端部91bからほぼ垂直下方に向くように形成されている。
【0129】
スイッチ90Aは、その先端部91aが係合孔732内に入り込む図24(a)に示すロック位置と、先端部91aが係合孔732から抜け出る図24(b)に示すアンロック位置との間で摺動する。この例において、スイッチ90Aの移動ストロークは、枠部80Faと第1番目のグリル桟81aとの間の距離によって規定される。
【0130】
摘まみ片92の長さは、図24(a)に示すロック位置においては、その下端縁921が各グリル桟81の下端縁811が含まれるグリル面GSと同じ高さ位置にあり、図24(b)に示すアンロック位置では、下端縁921がグリル面GSよりも低い位置、すなわち、グリル面GSから空調室R側に向けて下方に突出する長さに設定される。グリル面GSからの突出長さは、摘まみ片92の先端を指で容易に摘まめる長さとする。
【0131】
これによれば、摘まみ片92は、ロック時にはグリル桟81の下端縁811が含まれるグリル面GS内にあり、その存在が目立たないが、スイッチ90Aを斜め下方に摺動させたアンロック時のみグリル面GSから下方に突出し、摘まみ片92が摘まみ易くなる。
【0132】
なお、この別の実施形態においても、枠部80Fa内には、クリック力発生手段の一方を構成するリブ板801がガイド面85に向けて立設されており、スイッチ90Aの基板部91の裏面側には、クリック力発生手段の他方を構成する凸部95が形成されている。
【0133】
この場合、リブ板801側が可撓性で、スイッチ90Aの摺動に伴って凸部95がリブ板801の先端部を撓ませながらクリック音を発生して乗り越える。これによって、スイッチ90Aが図24(a)に示すロック位置と図24(b)に示すアンロック位置とに選択的に保持される。
【符号の説明】
【0134】
1:室内機、10:本体ユニット、11:外胴、111:天板、112/113:側板、12:取付金具、13:断熱材、
20:熱交換器、20L:前方熱交換部、20R:後方熱交換部、21:連結板、
30:ファンユニット、31:送風ファン、32:羽根車、33:送風路、34:ファンケーシング、343:送風部、35:回転軸、36:ファンモータ、
40:ドレンパン、43:通風孔、45:樋部、
50:仕切板ユニット、51(51a~51d):ダクト、
70:化粧パネル、70a/70b:長辺、70c/70d:短辺、71:パネル部、71a:パネル本体、71b:サイドパネル、711:壁、72:側壁部、721:フレーム、722:梁、73:空気吸込部、74:空気吹出部、740:隆起部、75;固定吹出部、751:中央吹出ユニット、754:第1空気吹出口、77(77L,77R):可動吹出部、78(78L,78R):回転ユニット、783:第2空気吹出口、
80:吸込グリル、80F:基枠、80Fa:開閉側枠部、81(81a,81b…):グリル桟、82/82f:ダミー桟、
90:スイッチ、91:基板部、92:摘まみ片、93:指掛け片、1:接続部
R:空調室、T1:天井、T2:天井裏、F:送風機室、S1/S2:空気吸込室、L:導風路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17
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図19
図20
図21
図22
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図24