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  • 特許-貯湯給湯装置 図1
  • 特許-貯湯給湯装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】貯湯給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/212 20220101AFI20220623BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20220623BHJP
【FI】
F24H15/212
F24H15/375
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018120149
(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公開番号】P2020003092
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 由典
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特許第4688586(JP,B2)
【文献】特開2014-134349(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0060827(US,A1)
【文献】特開2015-158322(JP,A)
【文献】特開2015-021716(JP,A)
【文献】特開2017-009213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/212
F24H 15/375
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと外部熱源機と補助熱源機と、学習記憶した給湯使用実績に基づき予測した将来の給湯使用量に相当する熱量を予測した給湯使用の前に前記外部熱源機を駆動して前記貯湯タンクに貯湯する貯湯運転を制御する制御手段を備え、給湯時の前記貯湯タンクの湯水温度と給湯設定温度の差が基準値以下の場合に前記補助熱源機で再加熱して給湯する貯湯給湯装置において、
浴室での給湯使用か否かを判定する浴室使用判定手段を有し、
前記制御手段は、給湯使用中に前記浴室使用判定手段の判定に基づいて浴室での給湯使用と浴室外での給湯使用に分けて給湯使用実績を学習記憶し、予測した給湯使用に浴室での給湯使用が含まれる場合と含まれない場合とで異なる目標貯湯温度又は異なる前記基準値を設定することを特徴とする貯湯給湯装置。
【請求項2】
前記浴室使用判定手段は、給湯使用が浴槽の湯張り運転の場合に浴室での給湯使用であると判定することを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯装置。
【請求項3】
前記浴室使用判定手段は、浴室に備えられた人感センサを有し、前記人感センサが人体を検知しているときに給湯がなされた場合に浴室での給湯使用であると判定することを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部熱源機と補助熱源機を備えた貯湯給湯装置に関し、特に将来の給湯使用を予測して貯湯運転を行う貯湯給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヒートポンプ熱源機等の運転効率が高い外部熱源機で加熱した湯水を貯湯タンクに貯湯し、貯湯した湯水を給湯設定温度に調整して給湯する貯湯給湯装置が広く利用されている。このような貯湯給湯装置は、省エネルギー化の要求に応えて過不足なく貯湯できるように、学習記憶した給湯使用実績に基づいて将来の給湯使用を予測し、この予測に基づいてできるだけ低い目標貯湯温度で貯湯運転を行うように構成されている。
【0003】
このような貯湯給湯装置として例えば特許文献1のように、浴槽の追い焚きコストを低減するために、追い焚きに使用される熱量等の使用実績に基づいて、目標貯湯温度の下限値を変更する貯湯給湯装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4688586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで貯湯給湯装置には、一層の省エネルギー性の向上が要求されている。しかし、特許文献1のように使用実績に基づいて目標貯湯温度を変更しても、これまで以上の省エネルギー性とユーザの快適性を両立させることが困難である。
【0006】
快適な給湯使用のためには、精度よく給湯設定温度に調整された湯水を給湯することが必要であり、精度よく調整するためには、高温水にある程度の割合で低温水を混合する必要がある。そのため、目標貯湯温度を下げると給湯設定温度に近づきすぎて低温水の混合割合が小さくなり、精度よく給湯設定温度に調整することが困難になる。また、目標貯湯温度を下げれば高い運転効率で貯湯して貯湯運転における省エネルギー性が向上するが、給湯設定温度に調整するために外部熱源機よりも運転効率が低い補助熱源機を使用する機会が増えて、全体として却って省エネルギー性が低下する虞がある。
【0007】
本発明の目的は、給湯時の快適性を確保すると共に省エネルギー性の向上を図ることができる貯湯給湯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、貯湯タンクと外部熱源機と補助熱源機と、学習記憶した給湯使用実績に基づき予測した将来の給湯使用量に相当する熱量を予測した給湯使用の前に前記外部熱源機を駆動して前記貯湯タンクに貯湯する貯湯運転を制御する制御手段を備え、給湯時の前記貯湯タンクの湯水温度と給湯設定温度の差が基準値以下の場合に前記補助熱源機で再加熱して給湯する貯湯給湯装置において、浴室での給湯使用か否かを判定する浴室使用判定手段を有し、前記制御手段は、給湯使用中に前記浴室使用判定手段の判定に基づいて浴室での給湯使用と浴室外での給湯使用に分けて給湯使用実績を学習記憶し、予測した給湯使用に浴室での給湯使用が含まれる場合と含まれない場合とで異なる目標貯湯温度又は異なる前記基準値を設定することを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、予測した給湯使用に浴室での給湯使用が含まれている場合と含まれていない場合とで異なる目標貯湯温度又は異なる前記基準値を設定することにより、給湯使用時の快適性の確保と貯湯運転における省エネルギー性の向上を図ることができる。具体的には、予測した給湯使用に浴室での給湯使用が含まれている場合に、湯水を精度よく給湯設定温度に調整可能なように目標貯湯温度又は補助熱源機を使用する基準値を設定することによって、浴室での給湯使用の快適性を確保できる。一方、予測した給湯使用に浴室での給湯使用が含まれていない場合に、湯水を給湯設定温度程度に調整可能であって、できるだけ低温の目標貯湯温度又は補助熱源機を使用する基準値を設定することによって、高い運転効率で貯湯して又は補助熱源機の使用機会を減らして、省エネルギー性を向上させることができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記浴室使用判定手段は、給湯使用が浴槽の湯張り運転の場合に浴室での給湯使用であると判定することを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、浴槽の湯張り運転を浴室での給湯使用実績として学習記憶するので、入浴時の浴室での給湯使用の快適性を確保できる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記浴室使用判定手段は、浴室に備えられた人感センサを有し、前記人感センサが人体を検知しているときに給湯がなされた場合に浴室での給湯使用であると判定することを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、浴室での給湯使用を確実に検知して給湯使用実績として学習記憶するので、入浴時の浴室での給湯使用の快適性を確保できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の貯湯給湯装置によれば、給湯時の快適性を確保すると共に省エネルギー性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係る貯湯給湯装置を示す図である。
図2】浴室での給湯使用と浴室外での給湯使用を分けて給湯使用実績を学習記憶する制御のフローチャートである。
図3】給湯使用予測に基づき目標貯湯温度を設定する制御のフローチャートである。
図4】給湯使用予測に基づき補助熱源機使用の基準値を設定する制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例
【0017】
最初に、本発明の貯湯給湯装置1の全体構成について、図1に基づいて説明する。
貯湯給湯装置1は、外部熱源機2と、貯湯給湯ユニット3を備えている。貯湯給湯ユニット3は、燃焼式の補助熱源機4と、外部熱源機2により加熱された湯水を貯湯する貯湯タンク5と、貯湯給湯装置1を制御する制御部7(制御手段)を有する。制御部7は、学習記憶した給湯使用実績に基づいて将来の給湯使用の予測を行い、予測した給湯使用量に相当する熱量(必要熱量)を給湯使用の前に外部熱源機2を駆動して貯湯タンク5に貯湯するように貯湯運転を制御する。
【0018】
貯湯タンク5の上部には、貯湯タンク5に貯湯した湯水を出湯するための出湯通路11が接続されている。出湯通路11には、出湯通路11を流通して湯水混合弁12に供給される湯水の出湯温度を検知するための出湯温度センサ11aが配設されている。また、貯湯タンク5の下部には、貯湯タンク5に上水源から上水を供給するための給水通路13が接続されている。給水通路13には給水温度を検知するための給水温度センサ13aが配設されている。
【0019】
給水バイパス通路14は、給水通路13から分岐して湯水混合弁12に接続されている。湯水混合弁12は、給湯設定温度の給湯のために出湯通路11の湯水と給水バイパス通路14の上水との混合比率を調整して混合する。湯水混合弁12には給湯通路16が接続され、湯水混合弁12で混合されて給湯設定温度に調整された湯水を給湯通路16から図示外の給湯栓等に給湯する給湯運転が可能なように構成されている。
【0020】
また、給湯通路16から分岐した湯張り通路18が追焚回路17に接続され、湯水混合弁12で混合された湯水を追焚回路17から浴槽19に湯張りする湯張り運転が可能なように構成されている。給湯通路16には、給湯温度を検知するための給湯温度センサ16aと給湯流量を検知する給湯流量センサ16bが配設され、湯張り通路18には湯張り運転時に開放制御する開閉弁18aが配設されている。
【0021】
貯湯タンク5の下部には外部熱源機2に湯水を供給する上流加熱通路21aが接続され、外部熱源機2で加熱された湯水を貯湯タンク5に供給する下流加熱通路21bが貯湯タンク5の上部に接続されて、貯湯タンク5と外部熱源機2の間で循環ポンプ22により湯水が循環可能な循環加熱回路21が形成されている。貯湯運転では、循環ポンプ22の回転数等の調整によって、下流加熱通路21bに配設された温度センサ21cの検知温度が設定された目標貯湯温度となるように制御される。
【0022】
貯湯タンク5の外周部には、湯水の温度を検知する複数の貯湯温度センサ5a~5eが上下方向に所定の間隔を空けて配設されている。貯湯温度センサ5a~5e及び貯湯タンク5は、貯湯された湯水の放熱を低減する図示外の保温材により覆われている。
【0023】
補助熱源機4は、燃焼熱によって湯水を加熱する瞬間式給湯器である。貯湯タンク5の湯水を給湯設定温度に調整して給湯できない場合に、貯湯タンク5の湯水又は上水を補助熱源機4で加熱して湯水混合弁12に供給し、給湯設定温度に調整して給湯する。
【0024】
貯湯タンク5の湯水を補助熱源機4で再加熱するための補助加熱通路23が、出湯通路11から分岐されて補助熱源機4に接続されている。補助熱源機4で加熱した湯水を出湯するための補助出湯通路24は、補助加熱通路23の分岐部より下流側の出湯通路11に接続されている。補助出湯通路24に配設された調整弁25は、補助出湯通路24から出湯通路11に供給される湯水量を調整する。補助加熱通路23には、三方弁26と補助熱源機4に湯水を送るためのポンプ27が配設されている。
【0025】
補助出湯通路24から分岐した熱交換器通路28は、三方弁26に接続されている。三方弁26は、補助熱源機4に貯湯タンク5の湯水又は熱交換器通路28の湯水を供給可能となるように切換えられる。熱交換器通路28には熱交換器28aと開閉弁28bが配設されている。この熱交換器28aは、追焚ポンプ29の作動により追焚回路17を流れる浴槽19の湯水を補助熱源機4で加熱した湯水との熱交換により加熱する追焚運転に使用される。また、熱交換器通路28には、給水通路13から分岐した分岐通路部13bが熱交換器通路28に上水を供給可能なように接続されている。
【0026】
外部熱源機2としてヒートポンプ熱源機の例を説明するが、発電の排熱を利用する熱源機等、公知の熱源機を使用することができる。外部熱源機2は、貯湯運転時に外気から吸熱した熱により湯水を加熱して貯湯タンク5に貯湯する。外部熱源機2の運転効率は、一般的に加熱後の湯水温度が低い程向上する。貯湯運転により貯湯タンク5に貯湯された湯水が給湯や浴槽19の湯張りに使用される。
【0027】
外部熱源機2は、圧縮機32、凝縮熱交換器33、膨張弁34、蒸発熱交換器35を冷媒回路36により接続して構成されている。この外部熱源機2は、冷媒回路36に封入された冷媒を圧縮機32で圧縮して高温にし、循環ポンプ22により循環加熱回路21を流通する湯水を凝縮熱交換器33において高温の冷媒との熱交換により加熱する。熱交換後の冷媒は、膨張弁34により膨張して外気より低温になり、蒸発熱交換器35で外気から吸熱した後、再び圧縮機32に導入される。
【0028】
蒸発熱交換器35は外気温度を検知する外気温度センサ35aと送風機35bを備えている。また、外部熱源機2は、圧縮機32、膨張弁34、送風機35b等を制御する補助制御部37を備えている。補助制御部37は、貯湯給湯装置1の主たる制御手段である制御部7に通信可能に接続され、制御部7の指令に従って外部熱源機2を制御する。
【0029】
制御部7には、浴室内に配設された操作端末8が通信可能に接続されている。操作端末8の操作によって、各種運転を開始又は終了させることができ、給湯設定温度等の設定を行うことができる。操作端末8には、浴室内の人体を検知する人感センサ9が搭載されている。人感センサ9は、例えば人体から発せられる赤外線を検知可能な焦電センサで構成され、浴室内の人体を検知して制御部7に検知信号を送信する。
【0030】
制御部7は、人感センサ9の検知信号及び浴槽19の湯張り運転の実行に基づいて、浴室での給湯使用か否か判定する浴室使用判定手段を機能的に備えている。制御部7に通信接続された独立した浴室使用判定手段を備えていてもよい。また、人感センサ9は、操作端末8から独立して例えば浴室の内壁又は天井に配設され、制御部7に通信可能に接続されていてもよい。
【0031】
制御部7は、各種センサの検知信号等に基づいて給湯等の制御を行うと共に、給湯使用量や給湯使用時刻等の給湯使用実績を学習記憶している。この学習記憶の制御を図2のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0032】
最初にS1において、給湯使用を検知したか否か判定する。この給湯使用の検知判定は給湯流量センサ16bの検知信号に基づいて行う。判定がYesの場合はS2に進み、判定がNoの場合はS1に戻る。次にS2において、浴室内の人体を検知したか否か判定する。判定がNoの場合はS3に進み、判定がYesの場合はS4に進む。
【0033】
次にS3において、給湯使用が浴槽19の湯張り運転か否か判定する。判定がYesの場合はS4に進む。そしてS4において、浴室での給湯使用として給湯使用実績を学習記憶して終了する。S3の判定がNoの場合はS5に進み、S5において浴室外での給湯使用として給湯使用実績を学習記憶して終了する。
【0034】
ここで、貯湯給湯装置1がユーザにとって快適な給湯を行うためには、浴室での給湯使用の場合に、例えばユーザが設定した給湯設定温度±0.5℃以内となるように、精度よく給湯設定温度に調整した湯水を給湯することが必要である。一方、浴室外での給湯使用の場合は、概ね給湯設定温度程度の湯水であれば、例えば給湯設定温度より1~2℃程度低い湯水を給湯しても、ユーザに不快感を与える虞は少ない。即ち、給湯使用の場所によって要求される温度調整の精度が異なる。これを利用して給湯使用の快適性を損なうことなく省エネルギー性の向上を図る制御について説明する。
【0035】
制御部7は、浴室での給湯使用と浴室外での給湯使用に分けて学習記憶した給湯使用実績に基づいて将来の給湯使用の予測を行い、この給湯使用予測に基づいて予測した給湯使用時刻の前に必要熱量の貯湯が完了するように貯湯運転を制御する。貯湯運転の目標貯湯温度は、必要熱量と給湯設定温度と予測した給湯使用に浴室での給湯使用が含まれているか否かに基づいて設定する。この目標貯湯温度を設定する制御を図3のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=11,12,・・・)はステップを表す。
【0036】
最初にS11において、学習記憶した給湯使用実績に基づいて将来の給湯使用予測を行ってS12に進む。そしてS12において、給湯使用予測に基づいて必要熱量を算定してS13に進む。
【0037】
次にS13において、給湯使用予測に浴室での給湯使用が含まれているか否か判定する。判定がYesの場合はS14に進み、S14において目標貯湯温度を給湯設定温度+A[℃](例えば給湯設定温度が40℃、Aが6℃)以上、且つできるだけ低温となるように必要熱量を貯湯可能な最低温度に設定してS16に進む。一方、S13の判定がNoの場合はS15に進み、S15において目標貯湯温度を給湯設定温度+B[℃](例えば給湯設定温度が40℃、Bが2℃)以上、且つできるだけ低温となるように必要熱量を貯湯可能な最低温度に設定してS16に進む。
【0038】
ここで、A>Bであり、給湯使用予測に浴室での給湯使用が含まれていない場合には、必要熱量にもよるが浴室での給湯使用が含まれている場合よりも低温の目標貯湯温度が設定される。従って、浴室での給湯使用が含まれる場合に、精度よく給湯設定温度に調整可能な温度の湯水が貯湯タンク5に貯湯され、浴室での給湯使用の快適性が確保される。そして、給湯使用予測に浴室での給湯使用が含まれていない場合に、概ね給湯設定温度程度に調整可能であってできるだけ低温の目標貯湯温度を設定することにより、外部熱源機2を高い運転効率で運転するようにしている。
【0039】
次にS16において、給湯使用予測に基づいて必要熱量を給湯使用時刻までに貯湯するための貯湯運転開始時刻等を含む他の貯湯運転条件を設定してS17に進む。そしてS17において、設定した貯湯運転条件で貯湯運転を実行して終了する。
【0040】
また、制御部7は、給湯使用予測に浴室での給湯使用が含まれているか否かによって補助熱源機4を使用する基準値を異なる温度に設定する。そして、貯湯タンク5の湯水温度から給湯設定温度を差し引いた温度が基準値以下になったときに、補助熱源機4を使用する。この基準値を設定する制御について図4のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=21,22,・・・)はステップを表す。
【0041】
最初にS21において、学習記憶した給湯使用実績に基づいて将来の給湯使用予測を行ってS22に進む。次にS22において、給湯使用予測に浴室での給湯使用が含まれているか否か判定する。判定がYesの場合はS23に進み、S23において基準値をC[℃](例えば4℃)に設定して終了する。S22の判定がNoの場合はS24に進み、S24において基準値をD[℃](例えば1℃)に設定して終了する。
【0042】
ここで、C>Dであり、給湯使用予測に浴室での給湯使用が含まれていない場合には、給湯設定温度程度に調整可能であって、浴室での給湯使用が含まれている場合よりも低温の基準値を設定している。S21で予測した給湯使用に対応する実際の給湯使用時に、例えばユーザが給湯設定温度を上昇させて貯湯タンク5の湯水温度から給湯設定温度を差し引いた温度が基準値以下になった場合に、補助熱源機4で加熱した湯水を給湯に使用する。
【0043】
従って、給湯使用予測に浴室での給湯使用が含まれている場合に、精度よく給湯設定温度に調整可能なように補助熱源機4を使用する基準値を設定するので、浴室での給湯使用の快適性が確保される。そして、給湯使用予測に浴室での給湯使用が含まれていない場合には、浴室での給湯使用が含まれている場合よりも低温の基準値を設定することにより補助熱源機4の使用機会が少なくなるようにしている。
【0044】
次に、本発明の貯湯給湯装置1の作用、効果について説明する。
貯湯給湯装置1は、予測した給湯使用に浴室での給湯使用が含まれている場合に、湯水を精度よく給湯設定温度に調整可能なように目標貯湯温度又は補助熱源機4を使用する基準値を設定するので、浴室での給湯使用の快適性を確保できる。
【0045】
一方、予測した給湯使用に浴室での給湯使用が含まれていない場合に、湯水を給湯設定温度程度に調整可能であって、できるだけ低温の目標貯湯温度又は補助熱源機4を使用する基準値を設定することによって、高い運転効率で外部熱源機2を駆動して貯湯して又は補助熱源機4の使用機会を減らしているので、貯湯運転時及び給湯使用時の省エネルギー性を向上させることができる。
【0046】
従って、予測した給湯使用に浴室での給湯使用が含まれている場合と含まれていない場合とで異なる目標貯湯温度又は異なる前記基準値を設定することにより、給湯使用時の快適性の確保と貯湯運転における省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0047】
貯湯給湯装置1は、浴槽19の湯張り運転を浴室での給湯使用実績として学習記憶するので、湯張り運転後のシャワーの使用等、入浴時の浴室での給湯使用の快適性を確保できる。また、浴室に配設された人感センサ9により浴室内の人体を検知して、浴室での給湯使用を確実に検知して給湯使用実績として学習記憶するので、浴室での給湯使用の快適性を確保できる。
【0048】
図示を省略するが、例えばキッチン等の浴室外に配設された操作端末も制御部7に通信接続されており、浴室内の操作端末8にはこの操作端末8の温度設定を優先させる浴室優先モードに設定するスイッチが設けられ、浴室優先モード時の給湯使用を浴室での給湯使用として判定することも可能である。また、人感センサ9が浴室内の人体を検知しているときと検知していないときとで、補助熱源機4を使用する基準値を異なる値に設定するように構成することもできる。
【0049】
上記実施例における各種温度は例示であり、記載された値に限定されるものではない。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく上記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0050】
1 :貯湯給湯装置
2 :外部熱源機
4 :補助熱源機
5 :貯湯タンク
7 :制御部(制御手段、浴室使用判定手段)
8 :操作端末
9 :人感センサ
16 :給湯通路
19 :浴槽
図1
図2
図3
図4