(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】ろ過装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20060101AFI20220623BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20220623BHJP
B01D 65/02 20060101ALI20220623BHJP
B01D 61/12 20060101ALI20220623BHJP
B01D 61/22 20060101ALI20220623BHJP
B01D 61/14 20060101ALI20220623BHJP
C13B 20/16 20110101ALI20220623BHJP
【FI】
C02F1/44 A
B01D61/58
B01D65/02
B01D61/12
B01D61/22
B01D61/14 500
C13B20/16
(21)【出願番号】P 2019505540
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2018043992
(87)【国際公開番号】W WO2019107498
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2017230775
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】旭 裕佳
(72)【発明者】
【氏名】南野 淳
(72)【発明者】
【氏名】栗原 宏征
(72)【発明者】
【氏名】山田 勝成
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-032179(JP,A)
【文献】特開2015-136654(JP,A)
【文献】特開昭53-038899(JP,A)
【文献】特開昭60-025510(JP,A)
【文献】特開2016-032810(JP,A)
【文献】特開平08-000965(JP,A)
【文献】特開2013-063076(JP,A)
【文献】特開2005-102519(JP,A)
【文献】特開昭58-198299(JP,A)
【文献】特開2015-199020(JP,A)
【文献】米国特許第5503750(US,A)
【文献】特開2008-229559(JP,A)
【文献】特開2014-184411(JP,A)
【文献】特開2014-108382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 61/00-71/82
C13B 20/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液を溜める第1貯留槽、前記被処理液を第1透過液と第1非透過液とに分離する第1分離膜部、前記被処理液を前記第1貯留槽から前記第1分離膜部へ送る第1送液管、前記第1非透過液を前記第1貯留槽または前記第1送液管へ戻す第1非透過液管、前記第1分離膜部から前記第1透過液を流す第1透過液管、前記第1非透過液の一部を取り出す第1取出し管、前記第1透過液の流量を略一定とするように調整する第1調整部、および、前記第1貯留槽内の貯留液の液量を検出する第1液量計、を備えた単一または連続する複数の第1膜ろ過ユニットと、
前記単一の第1膜ろ過ユニットまたは前記複数の第1膜ろ過ユニットのうち最後段の前記第1膜ろ過ユニットの前記第1透過液管からの前記第1透過液を溜める第2貯留槽、第2貯留槽の貯留液を第2透過液と第2非透過液とに分離する第2分離膜部、前記第2貯留槽の貯留液を前記第2貯留槽から前記第2分離膜部へ送る第2送液管、前記第2非透過液を前記第2貯留槽または前記第2送液管へ戻す第2非透過液管、前記第2分離膜部から前記第2透過液を流す第2透過液管、前記第2非透過液の一部を取り出す第2取出し管、前記第2透過液の流量を略一定とするように調整する第2調整部、前記第2貯留槽内の貯留液の量を検出する第2液量計、前記第2透過液管から前記第2透過液を前記第2貯留槽へ戻す第2透過液返送管、および、前記第2取出し管から前記第2非透過液を前記第2貯留槽へ戻す第2非透過液返送管、を備えた第2膜ろ過ユニットと、
連続する2つの前記第1膜ろ過ユニットの前記第1液量計からの測定値、あるいは、連続する前記第1および第2膜ろ過ユニットの前記第1および第2液量計からの測定値に基づいて、前記第1貯留槽内に貯留されている貯留液の液量を制御する第1制御部と、
前記第2液量計からの測定値に基づいて、前記第2貯留槽内に貯留されている貯留液の液量を制御する第2制御部と、
を備え、
前記第2制御部は、連続する前記第1および第2膜ろ過ユニットのうち、後段の第2膜ろ過ユニットにある第2液量計からの後段測定値が第3閾値よりも小さい場合、前記後段の第2膜ろ過ユニットにおいて、前記第2透過液返送管を介して前記第2透過液管の前記第2透過液を前記第2貯留槽へ戻し、かつ、前記第2非透過液返送管を介して前記第2取出し管の前記第2非透過液を前記第2貯留槽へ戻すことで、
前記第2貯留槽の液面を上昇させる、ろ過装置。
【請求項2】
前記第1制御部は、連続する2つの前記第1膜ろ過ユニット、あるいは、連続する前記第1および第2膜ろ過ユニットのうち、前段の第1膜ろ過ユニットにある第1液量計からの前段測定値と、後段の第1または第2膜ろ過ユニットにある第1または第2液量計からの後段測定値とに基づいて、前記前段の第1膜ろ過ユニットの前記第1透過液の流れを止める、請求項1に記載のろ過装置。
【請求項3】
前記前段測定値が第1閾値よりも小さい場合、あるいは、前記後段測定値が第2閾値よりも大きい場合、前記第1制御部は、前記前段の第1膜ろ過ユニットの前記第1調整部を調節して前記第1透過液管から前記後段の第1または第2膜ろ過ユニットへの前記第1透過液の流れを止める、請求項2に記載のろ過装置。
【請求項4】
前記第1膜ろ過ユニットは、前記第1透過液管に設けられた第1開閉弁をさらに備え、 前記前段測定値が第1閾値よりも小さい場合、あるいは、前記後段測定値が第2閾値よりも大きい場合、前記第1制御部は、前記前段の第1膜ろ過ユニットの前記第1開閉弁を閉じて前記第1透過液管から前記後段の第1または第2膜ろ過ユニットへの前記第1透過液の流れを止める、請求項2に記載のろ過装置。
【請求項5】
前記第1膜ろ過ユニットは、前記第1透過液管から前記第1透過液を前記第1貯留槽へ戻す第1透過液返送管と、前記第1取出し管から前記第1非透過液を前記第1貯留槽へ戻す第1非透過液返送管と、をさらに備え、
前記前段測定値が第1閾値よりも小さい場合、あるいは、前記後段測定値が第2閾値よりも大きい場合、前記第1制御部は、前記前段の第1膜ろ過ユニットにおいて、前記第1透過液返送管を介して前記第1透過液管の前記第1透過液を前記第1貯留槽へ戻し、かつ、前記第1非透過液返送管を介して前記第1取出し管の前記第1非透過液を前記第1貯留槽へ戻す、請求項2に記載のろ過装置。
【請求項6】
前記後段の第2膜ろ過ユニットの前記後段測定値が第3閾値よりも小さい場合、前記第2制御部は、前記後段の第2膜ろ過ユニットの前記第2調整部を調節して前記第2透過液管からの前記第2透過液の流れを止める、請求項1に記載のろ過装置。
【請求項7】
前記第2透過液管に設けられた第2開閉弁をさらに備え、
前記後段の第2膜ろ過ユニットの前記後段測定値が第3閾値よりも小さい場合、前記第2制御部は、前記後段の第2膜ろ過ユニットの前記第2開閉弁を閉じて前記第2透過液管からの前記第2透過液の流れを止める、請求項1に記載のろ過装置。
【請求項8】
連続する前記複数の第1膜ろ過ユニットのうち前段の第1膜ろ過ユニットからの第1透過液は、後段の第1膜ろ過ユニットの第1貯留槽に貯留され、
前記複数の第1膜ろ過ユニットのそれぞれの前記第1制御部は、対応する前記第1膜ろ過ユニットの前記第1貯留槽内に貯留されている貯留液の量を制御する、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項9】
連続する前記複数の第1膜ろ過ユニットのうち前記被処理液の流れの下流側の第1膜ろ過ユニットの第1分離膜部の孔径は、上流側の第1膜ろ過ユニットの第1分離膜部の孔径よりも小さく、
連続する前記第1および第2膜ろ過ユニットのうち前記被処理液の流れの下流側の第2膜ろ過ユニットの第2分離膜部の孔径は、上流側の第1膜ろ過ユニットの第1分離膜部の孔径よりも小さい、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項10】
前記第1および第2分離膜部は、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、または、逆浸透膜のいずれかである、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項11】
前記第1または第2透過液管に接続され、前記第1または第2透過液管から前記第1または第2分離膜部へ洗浄液を流す洗浄部をさらに備えた、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項12】
前記第1または第2液量計は、前記第1または第2貯留槽内の貯留液の液面を検出する液面計、または、前記第1または第2貯留槽内の貯留液の質量を検出する質量測定器である、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項13】
前記被処理液は有機物を含む、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項14】
前記単一または連続する複数の第1膜ろ過ユニットのいずれかの前記第1取出し管からの前記第1非透過液を溜める第3貯留槽、前記第3貯留槽の貯留液を第3透過液と第3非透過液とに分離する第3分離膜部、前記第3貯留槽の貯留液を前記第3貯留槽から前記第3分離膜部へ送る第3送液管、前記第3非透過液を前記第3貯留槽または前記第3送液管へ戻す第3非透過液管、前記第3分離膜部から後段の前記第1または第2膜ろ過ユニットの前記第1または第2貯留槽に前記第3透過液を送る第3透過液管、前記第3非透過液の一部を取り出す第3取出し管、前記第3透過液の流量を略一定とするように調整する第3調整部、および、前記第3貯留槽内の貯留液の量を検出する第3液量計、を備えた第3膜ろ過ユニットと、
前記第3膜ろ過ユニットの第3液量計、および、前記後段の第1または第2膜ろ過ユニットの前記第1または第2液量計からの測定値に基づいて、前記第3貯留槽内に貯留されている貯留液の液量を制御する第3制御部と、
をさらに備えた、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項15】
前記第2取出し管からの前記第2非透過液を溜める第3貯留槽、前記第3貯留槽の貯留液を第3透過液と第3非透過液とに分離する第3分離膜部、前記第3貯留槽の貯留液を前記第3貯留槽から前記第3分離膜部へ送る第3送液管、前記第3非透過液を前記第3貯留槽または前記第3送液管へ戻す第3非透過液管、前記第3分離膜部から前記第3透過液を送る第3透過液管、前記第3非透過液の一部を取り出す第3取出し管、前記第3透過液の流量を略一定とするように調整する第3調整部、および、前記第3貯留槽内の貯留液の量を検出する第3液量計、を備えた第3膜ろ過ユニットと、
前記第3膜ろ過ユニットの第3液量計からの測定値に基づいて、前記第3貯留槽内に貯留されている貯留液の液量を制御する第3制御部と、
をさらに備えた、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項16】
前記第1膜ろ過ユニットは、前記被処理液に加水する第1加水部をさらに備えた、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項17】
前記第2膜ろ過ユニットは、前記第1透過液に加水する第2加水部をさらに備えた、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項18】
前記第3膜ろ過ユニットは、前記第1または第2非透過液に加水する第3加水部をさらに備えた、請求項14から請求項17のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載のろ過装置にて糖を含有する被処理液をろ過する工程と、
前記ろ過工程の非透過液または透過液として糖液を回収する工程と、
を備えた、糖液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、ろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理液から成分を分離する方法の一つに膜ろ過があり、省エネルギー化や熱による変化を防げるといった利点から、水処理、排水処理、食品など様々な分野で利用されている。ろ過を行う膜を分離膜と呼び、分離膜は大きく分けて精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜に分類され、分子レベルから粒子レベルの分離を行うことができる。
【0003】
精密ろ過膜では、粒子や微生物の分離ができ、ビールの除菌や醤油の清澄化への利用が知られている。限外ろ過膜では、高分子量の成分の分離ができ、酵素の濃縮・精製や乳業でのタンパク質の濃縮、ジュースの清澄化への利用が知られている。ナノろ過膜では、分子量数100~数1000程度の化合物を分離でき、醤油の脱色やオリゴ糖の分画、アミノ酸調味料の濃縮・精製への利用が知られている。逆浸透膜では、ナノろ過膜による分離よりも分子量の小さい低分子量化合物やイオンを分離することができ、海水淡水化やジュースの濃縮への利用が知られている。
【0004】
この分離膜を複数組み合わせることによって、被処理液から複数の成分を分離することができる。例えば、特許文献1には、野菜または果実の搾汁または抽出液を、精密ろ過に付した後に、限外ろ過および/または逆浸透ろ過に付すことを特徴とする野菜、果実のジュース類の製造方法が開示されている。特許文献2には、食料と競合しないバイオマスの糖化液から精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜を組み合わせて精製した糖液を得る方法が開示されている。また、特許文献3には、医薬品、化粧品等の製造において使用される純水を製造する2段の逆浸透膜分離ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平1-67173号公報
【文献】国際特許公開第2010/067785号公報
【文献】特開2014-184411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2のように有機物を含む被処理液は雑菌の増殖による劣化が起こりやすいという課題があった。そのため、槽の数を最小限とし槽を小型化した滞留時間の短い連続膜ろ過装置が求められる。しかし、槽の数を最小限とし小型化した2段以上の分離膜を連結した定流量ろ過装置において、各段の分離する成分や膜種の違いによる目詰まりの違いなどにより、定流量制御に微妙なずれが生じ、槽から液が溢れたり、枯渇したりといったことが起こり、安定的に分離ができないという課題が見つかった。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題を解決するものであって、被処理液から2段以上の分離膜を連結して定流量ろ過で安定的に分離することができるろ過装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による実施形態によるろ過装置は、被処理液を溜める第1貯留槽、被処理液を第1透過液と第1非透過液とに分離する第1分離膜部、被処理液を第1貯留槽から第1分離膜部へ送る第1送液管、第1非透過液を第1貯留槽または第1送液管へ戻す第1非透過液管、第1分離膜部から第1透過液を流す第1透過液管、第1非透過液の一部を取り出す第1取出し管、第1透過液の流量を略一定とするように調整する第1調整部、および、第1貯留槽内の貯留液の液量を検出する第1液量計、を備えた単一または連続する複数の第1膜ろ過ユニットと、
単一の第1膜ろ過ユニットまたは複数の第1膜ろ過ユニットのうち最後段の第1膜ろ過ユニットの第1透過液管からの第1透過液を溜める第2貯留槽、第2貯留槽の貯留液を第2透過液と第2非透過液とに分離する第2分離膜部、第2貯留槽の貯留液を第2貯留槽から第2分離膜部へ送る第2送液管、第2非透過液を第2貯留槽または第2送液管へ戻す第2非透過液管、第2分離膜部から第2透過液を流す第2透過液管、第2非透過液の一部を取り出す第2取出し管、第2透過液の流量を略一定とするように調整する第2調整部、および、第2貯留槽内の貯留液の量を検出する第2液量計、を備えた第2膜ろ過ユニットと、
連続する2つの第1膜ろ過ユニットの第1液量計からの測定値、あるいは、連続する第1および第2膜ろ過ユニットの第1および第2液量計からの測定値に基づいて、第1貯留槽内に貯留されている貯留液の液量を制御する第1制御部と、
第2液量計からの測定値に基づいて、第2貯留槽内に貯留されている貯留液の液量を制御する第2制御部と、を備えている。
【0009】
第1制御部は、連続する2つの第1膜ろ過ユニット、あるいは、連続する第1および第2膜ろ過ユニットのうち、前段の第1膜ろ過ユニットにある第1液量計からの前段測定値と、後段の第1または第2膜ろ過ユニットにある第1または第2液量計からの後段測定値とに基づいて、前段の第1膜ろ過ユニットの第1透過液の流れを止めてもよい。
【0010】
前段測定値が第1閾値よりも小さい場合、あるいは、後段測定値が第2閾値よりも大きい場合、第1制御部は、前段の第1膜ろ過ユニットの第1調整部を調節して第1透過液管から後段の第1または第2膜ろ過ユニットへの第1透過液の流れを止めてもよい。
【0011】
第1膜ろ過ユニットは、第1透過液管に設けられた第1開閉弁をさらに備え、前段測定値が第1閾値よりも小さい場合、あるいは、後段測定値が第2閾値よりも大きい場合、第1制御部は、前段の第1膜ろ過ユニットの第1開閉弁を閉じて第1透過液管から後段の第1または第2膜ろ過ユニットへの第1透過液の流れを止めてもよい。
【0012】
第1膜ろ過ユニットは、第1透過液管から第1透過液を第1貯留槽へ戻す第1透過液返送管と、第1取出し管から第1非透過液を第1貯留槽へ戻す第1非透過液返送管と、をさらに備え、前段測定値が第1閾値よりも小さい場合、あるいは、後段測定値が第2閾値よりも大きい場合、第1制御部は、前段の第1膜ろ過ユニットにおいて、第1透過液返送管を介して第1透過液管の第1透過液を第1貯留槽へ戻し、かつ、第1非透過液返送管を介して第1取出し管の第1非透過液を第1貯留槽へ戻してもよい。
【0013】
第2制御部は、連続する第1および第2膜ろ過ユニットのうち、後段の第2膜ろ過ユニットにある第2液量計からの後段測定値に基づいて、後段の第2膜ろ過ユニットの第2透過液の流れを止めてもよい。
【0014】
後段の第2膜ろ過ユニットの後段測定値が第3閾値よりも小さい場合、第2制御部は、後段の第2膜ろ過ユニットの第2調整部を調節して第2透過液管からの第2透過液の流れを止めてもよい。
【0015】
第2透過液管に設けられた第2開閉弁をさらに備え、後段の第2膜ろ過ユニットの後段測定値が第3閾値よりも小さい場合、第2制御部は、後段の第2膜ろ過ユニットの第2開閉弁を閉じて第2透過液管からの第2透過液の流れを止めてもよい。
【0016】
第2膜ろ過ユニットは、第2透過液管から第2透過液を第2貯留槽へ戻す第2透過液返送管と、第2取出し管から第2非透過液を第2貯留槽へ戻す第2非透過液返送管と、をさらに備え、後段の第2膜ろ過ユニットの後段測定値が第3閾値よりも小さい場合、第2制御部は、後段の第2膜ろ過ユニットにおいて、第2透過液返送管を介して第2透過液管の第2透過液を第2貯留槽へ戻し、かつ、第2非透過液返送管を介して第2取出し管の第2非透過液を第2貯留槽へ戻してもよい。
【0017】
連続する複数の第1膜ろ過ユニットのうち前段の第1膜ろ過ユニットからの第1透過液は、後段の第1膜ろ過ユニットの第1貯留槽に貯留され、複数の第1膜ろ過ユニットのそれぞれの第1制御部は、対応する第1膜ろ過ユニットの第1貯留槽内に貯留されている貯留液の量を制御してもよい。
【0018】
連続する複数の第1膜ろ過ユニットのうち被処理液の流れの下流側の第1膜ろ過ユニットの第1分離膜部の孔径は、上流側の第1膜ろ過ユニットの第1分離膜部の孔径よりも小さく、連続する第1および第2膜ろ過ユニットのうち被処理液の流れの下流側の第2膜ろ過ユニットの第2分離膜部の孔径は、上流側の第1膜ろ過ユニットの第1分離膜部の孔径よりも小さくてもよい。
【0019】
第1および第2分離膜部は、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、または、逆浸透膜のいずれかでよい。
【0020】
当該ろ過装置は、第1または第2透過液管に接続され、第1または第2透過液管から第1または第2分離膜部へ洗浄液を流す洗浄部をさらに備えてもよい
【0021】
第1または第2液量計は、第1または第2貯留槽内の貯留液の液面を検出する液面計、または、第1または第2貯留槽内の貯留液の質量を検出する質量測定器でもよい。
【0022】
被処理液は有機物を含んでもよい。
【0023】
本実施形態によるろ過装置は、単一または連続する複数の第1膜ろ過ユニットのいずれかの第1取出し管からの第1非透過液を溜める第3貯留槽、第3貯留槽の貯留液を第3透過液と第3非透過液とに分離する第3分離膜部、第3貯留槽の貯留液を第3貯留槽から第3分離膜部へ送る第3送液管、第3非透過液を第3貯留槽または第3送液管へ戻す第3非透過液管、第3分離膜部から後段の第1または第2膜ろ過ユニットの第1または第2貯留槽に第3透過液を送る第3透過液管、第3非透過液の一部を取り出す第3取出し管、第3透過液の流量を略一定とするように調整する第3調整部、および、第3貯留槽内の貯留液の量を検出する第3液量計、を備えた第3膜ろ過ユニットと、
第3膜ろ過ユニットの第3液量計、および、後段の第1または第2膜ろ過ユニットの第1または第2液量計からの測定値に基づいて、前記第3貯留槽内に貯留されている貯留液の液量を制御する第3制御部と、をさらに備えていてもよい。
【0024】
本実施形態によるろ過装置は、第2取出し管からの第2非透過液を溜める第3貯留槽、第3貯留槽の貯留液を第3透過液と第3非透過液とに分離する第3分離膜部、第3貯留槽の貯留液を第3貯留槽から第3分離膜部へ送る第3送液管、第3非透過液を第3貯留槽または第3送液管へ戻す第3非透過液管、第3分離膜部から第3透過液を送る第3透過液管、第3非透過液の一部を取り出す第3取出し管、前記第3透過液の流量を略一定とするように調整する第3調整部、および、第3貯留槽内の貯留液の量を検出する第3液量計、を備えた第3膜ろ過ユニットと、
第3膜ろ過ユニットの第3液量計からの測定値に基づいて、前記第3貯留槽内に貯留されている貯留液の液量を制御する第3制御部と、をさらに備えていてもよい。
【0025】
第1膜ろ過ユニットは、被処理液に加水する第1加水部をさらに備えていてもよい。
【0026】
第2膜ろ過ユニットは、第1透過液に加水する第2加水部をさらに備えていてもよい。
【0027】
第3膜ろ過ユニットは、第1または第2非透過液に加水する第3加水部をさらに備えていてもよい。
【0028】
請求項1から請求項20のいずれか一項に記載のろ過装置にて糖を含有する被処理液をろ過する工程と、
ろ過工程の非透過液または透過液として糖液を回収する工程と、を備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態によるろ過装置の構成例を示す図。
【
図2】第1実施形態の変形例1に従ったろ過装置の構成例を示す図。
【
図3】第1実施形態の変形例2に従ったろ過装置の構成例を示す図。
【
図4】第1実施形態の変形例3に従ったろ過装置の構成例を示す図。
【
図5】変形例6に従ったろ過装置の構成例を示す図。
【
図6】第2実施形態によるろ過装置の構成例を示す図。
【
図7】第3実施形態によるろ過装置の構成例を示す図。
【
図8】第4実施形態によるろ過装置の構成例を示す図。
【
図9】変形例7に従ったろ過装置の構成例を示す図。
【
図10】第5実施形態によるろ過装置の構成例を示す図。
【
図11】第6実施形態によるろ過装置の構成例を示す図。
【
図12】調整バルブ、流量計、送液ポンプの配置の変形例を示す図。
【
図13】調整バルブ、流量計、送液ポンプの配置の変形例を示す図。
【
図14】調整バルブ、流量計、送液ポンプの配置の変形例を示す図。
【
図15】第1および第2分離膜部の構成例を示す図。
【
図16】第1および第2分離膜部の構成例を示す図。
【
図17】第1分離膜部と送液ポンプとで構成される複数の循環系を備えた第1膜ろ過ユニットの構成例を示す図。
【
図18】第7実施形態によるろ過装置の構成例を示す図。
【
図19】第8実施形態によるろ過装置の構成例を示す図。
【
図20】第9実施形態によるろ過装置の構成例を示す図。
【
図21】第10実施形態によるろ過装置の構成例を示す図。
【
図22】第11実施形態によるろ過装置の構成例を示す図。
【
図23】第12実施形態によるろ過装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0031】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態によるろ過装置の構成例を示す図である。本実施形態によるろ過装置は、被処理液を定流量でろ過するろ過装置である。本実施形態によるろ過装置は、第1膜ろ過ユニット100と、第2膜ろ過ユニット200とを備えている。第1膜ろ過ユニット100および第2膜ろ過ユニット200は、直列に連続しており、第1膜ろ過ユニット100の直後に第2膜ろ過ユニット200が設けられている。第1膜ろ過ユニット100からの第1透過液は、第2膜ろ過ユニット200の第2貯留槽201で受けるように構成される。尚、複数の膜ろ過ユニットが直列し、あるいは、連続するとは、或る膜ろ過ユニットでろ過された透過液を、後続の膜ろ過ユニットが受けてさらにその透過液をろ過することを意味する。
【0032】
(第1膜ろ過ユニット100の構成)
第1膜ろ過ユニット100は、第1貯留槽101と、第1送液ポンプ103と、第1分離膜部104と、第1流量計105と、非透過液バルブ107と、第1調整バルブ108と、第1取出しバルブ111と、洗浄液槽112と、洗浄ポンプ113と、第1液量計114と、第1制御部115と、被処理液管L1と、第1送液管L10と、第1非透過液管L11と、第1透過液管L12と、第1取出し管L13と、洗浄管L115とを備えている。尚、第1取出しバルブ111は、洗浄液の排出バルブとしての機能も兼ね備え、第1取出し管L13は、洗浄液の排出管としての機能も兼ね備えている。
【0033】
第1貯留槽101は、貯留液S1を溜める槽である。貯留液S1は、ろ過装置の外部から被処理液管L1を介して第1貯留槽101へ供給される被処理液と、第1非透過液管L11からの第1非透過液とを含む。貯留液S1としては、例えば、タンパク質、脂肪酸、糖(単糖、オリゴ糖または多糖)、有機酸、セルロース、リグニンやその分解物、カテキン、ポリフェノール、フラボノイドなどの芳香族化合物、アミノ酸等の有機物を含む液体が好適であり、例えば、果実や野菜の絞り汁・ジュース、茶、牛乳、豆乳、調味液、ビール、ワインなどの酒類、醤油、発酵液、デンプン糖化液、バイオマスの糖化液、水あめ、オリゴ糖水溶液、サトウキビなどの絞り汁、ハチミツ、水産加工排水などがあげられる。これら有機物は食用資源由来であってもよく、あるいは、非食用資源由来であってもよい。
【0034】
第1送液ポンプ103は、第1貯留槽101と第1分離膜部104との間に設けられており、第1送液管L10を介して第1貯留槽101から第1分離膜部104へ貯留液S1を流す。第1送液ポンプ103は、例えば、第1送液管L10内の貯留液S1に圧力を印加する高圧ポンプでよい。第1送液管L10は、第1貯留槽101と第1分離膜部104との間に接続され、貯留液S1を第1貯留槽101から第1分離膜部104へ送る。
【0035】
第1分離膜部104は、第1送液管L10からの貯留液S1を第1透過液と第1非透過液とに分離する。第1分離膜部104は、例えば、精密ろ過膜(MF膜:Microfiltration Membrane)、限外ろ過膜(UF膜:Ultrafiltration Membrane)、ナノろ過膜(NF膜:Nanofiltration Membrane)、逆浸透膜(RO膜:Reverse Osmosis Membrane)のいずれかのろ過膜でよい。NF膜は、ルースNF膜と呼ばれるUFとNFの中間の孔径を持つものでもよい。
【0036】
第1分離膜部104としてMF膜を用いた場合、第1分離膜部104は、貯留液S1から第1非透過液として、例えば、濁質や微生物を分離する。貯留液S1のうち濁質や微生物は、非透過液として第1非透過液管L11へ送られ、その他の成分は第1透過液として第1透過液管L12へ送られる。第1分離膜部104としてUF膜を用いた場合、第1分離膜部104は、貯留液S1から第1非透過液として、例えば、タンパク質を分離する。貯留液S1のうちタンパク質は、主に非透過液として第1非透過液管L11へ送られ、その他の成分は第1透過液として第1透過液管L12へ送られる。第1分離膜部104としてNF膜を用いた場合、第1分離膜部104は、貯留液S1から第1非透過液として、例えば、単糖、オリゴ糖、アミノ酸を分離する。貯留液S1のうち単糖、オリゴ糖、アミノ酸は、主に非透過液として第1非透過液管L11へ送られ、その他の成分は第1透過液として第1透過液管L12へ送られる。第1分離膜部104としてRO膜を用いた場合、第1分離膜部104は、貯留液S1から第1非透過液として、例えば、単糖や芳香族化合物を分離する。貯留液S1のうち単糖や芳香族化合物は、非透過液として第1非透過液管L11へ送られ、その他の成分は第1透過液として第1透過液管L12へ送られる。このように、第1分離膜部104によって分離される物質は、ろ過膜の種類(孔径)によって異なる。
【0037】
尚、第1分離膜部104は、単一のろ過膜で構成されていてもよく、複数のろ過膜を組み合わせたろ過膜モジュールであってもよい。また、第1分離膜部104にろ過膜モジュールを用いる場合、複数のろ過膜は、単一種類のろ過膜で構成されてもよく、あるいは、複数種類のろ過膜を組み合わせてもよい。ろ過膜モジュールの具体例は、
図12および
図13を参照して後で説明する。
【0038】
第1非透過液管L11は、第1分離膜部104からの非透過液を第1貯留槽101へ戻すように配管されている。非透過液は、第1非透過液管L11を介して第1貯留槽101へ戻される。第1貯留槽101へ戻された非透過液は、第1分離膜部104へ再送される。尚、第1非透過液管L11には、非透過液バルブ107が設けられており、非透過液や洗浄液の流れを停止させることができる。しかし、非透過液バルブ107は省略しても、本実施形態の作用効果は失われない。
【0039】
第1非透過液は、第1貯留槽101へ戻されることにより、第1貯留槽101と第1分離膜部104との間で循環され、その有機物濃度は第1貯留槽101と第1送液管10、第1非透過液管11内において濃縮される。第1送液管L10には、第1取出し管L13が第1取出しバルブ111を介して接続されており、第1送液管L10内の非透過液の一部を取り出すことができるように接続されている。非透過液の一部は、第1取出し管L13を介してろ過装置の外部へ取り出される。外部へ取り出された非透過液は、製品として利用してもよく、別の工程に利用してもよい。
【0040】
被処理液管L1からの被処理液の流量(a)、第1取出し管L13から取り出される第1非透過液の流量(第1非透過液取出量b)、第1透過液管L12から第2貯留槽201へ送られる第1透過液の流量(第1透過液量c)が定流量である場合、第1貯留槽101内の貯留液S1の有機物濃度は、濃縮された後、略一定となる。従って、第1取出し管L13から取り出される非透過液は、被処理液管L1からの被処理液よりも濃縮されているが、略一定の有機物濃度を有する。即ち、第1非透過液は、略一定の有機物濃度を有する濃縮液であり、かつ、第1膜ろ過ユニット100から略定流量で取り出される。
【0041】
第1透過液管L12は、第1分離膜部104からの透過液を第2膜ろ過ユニット200の第2貯留槽201へ送るように配管されている。第1透過液管L12には、第1調整部としての第1流量計105および第1調整バルブ108が設けられている。第1流量計105は、第1透過液管L12を流れる透過液の流量を測定する。透過液の流量の測定値は、第1制御部115を介して第1調整バルブ108をフィードバック制御するために用いられる。このフィードバック制御によって、第1調整バルブ108は、第1透過液管L12に流れる透過液の流量を略一定とするように調整される。
【0042】
第1透過液管L12には、洗浄管L115が洗浄液槽112からの洗浄液を第1透過液管L12へ供給することができように接続されている。洗浄液槽112および洗浄ポンプ113は、洗浄管L115および第1透過液管L12を介して、洗浄液を第1分離膜部104の透過側から非透過側へ流すことができるように設けられている。このとき、非透過液バルブ107を閉じれば、洗浄液は、第1貯留槽101へ進入しない。
【0043】
また、洗浄時には、第1送液管L10に設けられた第1取出し管L13が排出管としても機能し、第1取出しバルブ111が洗浄液の排出バルブとしても機能する。第1分離膜部104を通過した洗浄液は、第1取出し管L13および第1取出しバルブ111を介してろ過装置の外部へ排出される。このように、洗浄液槽112、洗浄ポンプ113、洗浄管L115、第1取出しバルブ111および第1取出し管L13は、第1分離膜部104を洗浄液で洗浄する洗浄部として機能する。
【0044】
第1液量計114は、第1貯留槽101に設けられており、第1貯留槽101内に貯留されている貯留液S1の液量を検出する。例えば、第1液量計114は、第1貯留槽101内の貯留液S1の液面の高さを検出する液面計であってもよい。1貯留槽101内の貯留液S1の液量は、貯留液S1の液面の高さの関数で表すことができる。従って、第1制御部115は、貯留液S1の液面の高さを、第1貯留槽101内の貯留液S1の液量の指標として用いることができる。また、例えば、第1液量計114は、第1貯留槽101内の貯留液S1の質量を検出する質量測定器であってもよい。第1貯留槽101内の貯留液S1の液量は、貯留液S1の質量の関数で表すことができる。従って、第1制御部115は、貯留液S1の質量を、第1貯留槽101内の貯留液S1の液量の指標として用いることができる。
【0045】
第1制御部115は、連続する第1および第2膜ろ過ユニット100、200の第1および第2液量計114、214からの測定値に基づいて、第1貯留槽101内に貯留されている貯留液S1の液量を制御する。尚、第1および第2制御部115、215は、それぞれ別の演算ユニットであってもよく、同一の演算ユニットであってもよい。
【0046】
(第2膜ろ過ユニット200の構成)
第2膜ろ過ユニット200は、第2貯留槽201と、第2送液ポンプ203と、第2分離膜部204と、第2流量計205と、第2調整バルブ208と、第2取出しバルブ221と、流量計222と、返送バルブ206、223と、第2液量計214と、第2制御部215と、第2送液管L20と、第2非透過液管L21と、第2透過液管L22と、取出し・返送管L23と、第2取出し管L24と、非透過液返送管L25と、透過液返送管L26とを備えている。
【0047】
第2貯留槽201は、貯留液S2を溜める槽である。貯留液S2は、第1透過液管L12からの第1透過液と、非透過液返送管L25からの第2非透過液と、透過液返送管L26からの第2透過液とを含む。第1透過液は、貯留液S1から第1非透過液(例えば、濁質)を除いた液体である。
【0048】
第2送液ポンプ203は、第2貯留槽201と第2分離膜部204との間に設けられており、第2送液管L20を介して第2貯留槽201から第2分離膜部204へ貯留液S2を流す。第2送液ポンプ203は、例えば、第2送液管L20内の貯留液S2に圧力を印加する高圧ポンプでよい。第2送液管L20は、第2貯留槽201と第2分離膜部204との間に接続され、貯留液S2を第2貯留槽201から第2分離膜部204へ送る。
【0049】
第2分離膜部204は、第2送液管L20からの貯留液S2を第2透過液と第2非透過液とに分離する。第2分離膜部204は、第1分離膜部104と同様に、例えば、MF膜、UF膜、NF膜、RO膜のいずれかのろ過膜でよい。しかし、下流側の第2分離膜部204の孔径は、上流側の第1分離膜部104の孔径よりも小さいことが好ましい。これにより、第2分離膜部204は、第1分離膜部104では分離できなかった成分を貯留液S2から分離することができる。
【0050】
第1分離膜部104としてMF膜を用い、第2分離膜部204としてUF膜を用いた場合、第1分離膜部104は、貯留液S1から第1非透過液として、例えば、濁質を分離し、第2分離膜部204は、貯留液S2から第2非透過液として、例えば、タンパク質を分離することができる。貯留液S2のうちタンパク質は、主に非透過液として第2非透過液管L21または取出し・返送管L23へ送られ、その他の成分は第2透過液として第2透過液管L22へ送られる。第2分離膜部204としてNF膜またはRO膜を用いた場合、第2分離膜部204は、貯留液S2から第2非透過液として、例えば、オリゴ糖やアミノ酸または単糖や芳香族化合物をそれぞれ分離することができる。オリゴ糖やアミノ酸または単糖や芳香族化合物は、主に非透過液として第2非透過液管L21または取出し・返送管L23へ送られ、その他の成分は第2透過液として第2透過液管L22へ送られる。
【0051】
尚、第2分離膜部204も、第1分離膜部104と同様に、単一のろ過膜で構成されていてもよく、複数のろ過膜を組み合わせたろ過膜モジュールであってもよい。また、第1分離膜部104にろ過膜モジュールを用いる場合、複数のろ過膜は、単一種類のろ過膜で構成されてもよく、あるいは、複数種類のろ過膜を組み合わせてもよい。
【0052】
第2非透過液管L21は、第2分離膜部204からの第2非透過液を、第2貯留槽201と第2送液ポンプ203との間の第2送液管L20へ戻すように配管されている。また、第2非透過液管L21には、取出し・返送管L23が接続されており、第2非透過液の一部は、第2取出し管L24または非透過液返送管L25へ送られる。取出し・返送管L23には、第2取出しバルブ221が設けられている。取出し・返送管L23、第2取出し管L24および非透過液返送管L25には、返送バルブ223が接続されている。返送バルブ223は、例えば、三方弁であり、取出し・返送管L23からの第2非透過液を第2取出し管L24または非透過液返送管L25へ流すことができる。流量計222は、取出し・返送管L23を流れる第2非透過液の流量を測定する。第2非透過液の一部は、取出し・返送管L23および第2取出し管L24を介してろ過装置の外部へ取り出される。
【0053】
外部へ取り出された第2非透過液は、製品として利用してもよく、別の工程に利用してもよい。一方、第2非透過液の残りは、第2非透過液管L21を介して第2送液管L20へ戻されるか、あるいは、非透過液返送管L25を介して第2貯留槽201へ戻される。第2送液管L20または第2貯留槽201へ戻された第2非透過液は、第2分離膜部204へ再送される。
【0054】
第2非透過液は、第2送液管L20へ戻されることにより、第2送液管L20(第2非透過液管L21)と第2分離膜部204との間で循環され、その有機物濃度は第2送液管L20および第2非透過液管L21内において濃縮される。第2送液管L20は第2貯留槽201よりも容積が小さいので、第2非透過液は、第2貯留槽201へ戻す場合よりも速く濃縮される。ただし、第1透過液管L12からの第1透過液の流量(c)、第2取出し管L24から取り出される第2非透過液の流量(第2非透過液取出量d)、第2透過液管L22から第2膜ろ過ユニット200の外部へ流れる第2透過液の流量(第2透過液量e)が一定である場合、第2送液管L20および第2非透過液管L21内の貯留液S2の有機物濃度は、濃縮された後、略一定となる。従って、第2取出し管L24から取り出される第2非透過液は、第1透過液管L12からの第1透過液よりも濃縮されているが、略一定の有機物濃度を有する。即ち、第2非透過液は、略一定の有機物濃度を有する濃縮液であり、かつ、第2膜ろ過ユニット200から略定流量で取り出される。
【0055】
第2透過液管L22は、第2分離膜部204からの第2透過液を第2膜ろ過ユニット200の外部へ送るように配管されている。外部へ取り出された第2透過液は、製品として利用してもよく、別の工程に利用してもよい。第2透過液管L22には、第2流量計205が設けられている。第2非透過液管L21と第2分離膜部204との間には、第2調整バルブ208が設けられている。第2流量計205および第2調整バルブ208は、第2調整部として第2透過液管L22を流れる第2透過液の流量を制御する。第2流量計205は、第2透過液管L22を流れる第2透過液の流量を測定する。第2透過液の流量の測定値は、第2制御部215を介して第2調整バルブ208をフィードバック制御するために用いられる。このフィードバック制御によって、第2調整バルブ208は、非透過側に圧力をかけることで第2透過液管L22に流れる第2透過液の流量を略一定とするように調整される。
【0056】
第2透過液管L22には、返送バルブ206および透過液返送管L26が接続されており、第2透過液管L22に流れる第2透過液を第2貯留槽201へ返送することができる。返送バルブ206は、例えば、三方弁であり、第2透過液管L22と透過液返送管L26との間に接続されており、第2透過液を第2透過液管L22へ流し、あるいは、透過液返送管L26へ流すことができる。第2透過液管L22と透過液返送管L26に切り替えることができればよく、三方弁の代わりに二方弁を二つ備えてもよい。
【0057】
第2液量計214は、第2貯留槽201に設けられており、第2貯留槽201内に貯留されている貯留液S2の液量を検出する。例えば、第2液量計214は、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面の高さを検出する液面計であってもよい。第2貯留槽201内の貯留液S2の液量は、貯留液S2の液面の高さの関数で表すことができる。従って、第2制御部215は貯留液S2の液面の高さを、第2貯留槽201内の貯留液S2の液量の指標として用いることができる。また、例えば、第2液量計214は、第2貯留槽201内の貯留液S2の質量を検出する質量測定器であってもよい。第2貯留槽201内の貯留液S2の液量は、貯留液S2の質量の関数で表すことができる。従って、第2制御部215は、貯留液S2の質量を、第2貯留槽201内の貯留液S2の液量の指標として用いることができる。
【0058】
第2制御部215は、第2液量計214からの測定値に基づいて、第2貯留槽201内に貯留されている貯留液S2の液量を制御する。
【0059】
このように、第1および第2膜ろ過ユニット100、200は、直列に連続しており、第1膜ろ過ユニット100において定流量ろ過された第1透過液を、その直後の第2膜ろ過ユニット200においてさらに定流量ろ過する。これにより、第1膜ろ過ユニット100の第1取出し管L13から、例えば、濁質、タンパク質または糖液を取り出し(回収し)、第2膜ろ過ユニット20の第2取出し管L24から、例えば、タンパク質または糖液を取り出す(回収する)ことができる。第1および第2分離膜部104、204のろ過膜の種類(孔径)を変更することによって、第1および第2膜ろ過ユニット100、200から取り出される非透過液や透過液を変更することができる。従って、例えば、タンパク質または糖液は、第2透過液として第2透過液管L22を介して回収される場合もある。
【0060】
(ろ過装置の動作例)
被処理液が被処理液管L1から第1貯留槽101に供給され、第1貯留槽101内に貯留液S1として貯留される。貯留液S1は、第1送液ポンプ103で第1分離膜部104へ送られ、第1分離膜部104において第1透過液と第1非透過液とに分離される。第1透過液は、第1透過液管L12を介して略定流量で第2貯留槽201へ送られる。第1非透過液は、第1貯留槽101に貯留液S1として戻される。即ち、貯留液S1は、第1貯留槽101と第1分離膜部104との間で循環され、その有機物濃度は第1貯留槽101および第1送液管L10, 第1非透過液管L11内において濃縮される。第1送液管L10内の貯留液S1の一部は、第1取出し管L13および第1取出しバルブ111から取り出される。残りの貯留液S1は、第1分離膜部104へ送られる。
【0061】
第1膜ろ過ユニット100からの第1透過液は、第2貯留槽201内に貯留液S2として貯留される。第2貯留槽201内に貯留される貯留液S2は、第2送液ポンプ203で第2分離膜部204へ送られ、第2分離膜部204において第2透過液と第2非透過液とに分離される。第2透過液は、第2透過液管L22を介して略定流量で外部へ送られる。第2非透過液の一部は、取出し・返送管L23および第2取出し管L24を介して略定流量で取り出され、残りは第2送液管L20および第2非透過液管L21内を循環する。
【0062】
ここで、第1調整バルブ108は、第1流量計105の測定値を略一定とするように制御され、第1非透過液は第1取出し管L13から略一定量取り出される。第2調整バルブ208は第2流量計205の値が略一定となるように制御され、第3調整バルブ221は第3流量計222の値が略一定となるように制御される。よって、被処理液の供給量a=第1透過液量c+第1非透過液取出量b、第1透過液量c=第2透過液量e+第2非透過液取出量dとなるように、即ち、供給される量=取り出される量(a=b+c、c=d+e)となるように、流量を設定することにより、本実施形態によるろ過装置は被処理液をほぼ定量で処理し第1液量計と第2液面計の値はほぼ一定となり、定流量ろ過を安定的に継続できる。
【0063】
しかし、実際のろ過装置では、第1膜ろ過ユニットと第2膜ろ過ユニットの分離成分の違いや膜種の違いによる目詰まり傾向の違いなどから、流量に若干のずれが生じる。この場合、第1または第2貯留槽101、201内の貯留液S1、S2の液量が安定せず、枯渇したり溢れたりといったことが起こり、安定的に定流量ろ過を続けることができない。また、貯留槽101、201内の液量が増減すると、貯留槽101、201内の有機物等の濃度も変動し安定しない。
【0064】
そこで、本実施形態によるろ過装置において、第1制御部115は、前段の第1膜ろ過ユニット100にある第1液量計114からの前段測定値と、それに続く後段の第2膜ろ過ユニット200にある第2液量計214からの後段測定値とに基づいて、第1膜ろ過ユニット100の第1透過液の流れを制御する。
【0065】
例えば、第1および第2液量計114、214が液面計であるとする。第1貯留槽101内の貯留液S1の液面が下限レベルLL1よりも低くなった場合、即ち、前段測定値が下限閾値(第1閾値)よりも小さくなった場合、第1制御部115は、第1調整バルブ108を閉じて第1透過液管L12から第2膜ろ過ユニット200への第1透過液の流れを止める。このとき、非透過液バルブ107は開いており、第1取出しバルブ111は閉じている。これにより、第1送液管L10からの貯留液S1は、全て非透過液として第1非透過液管L11を介して第1貯留槽101へ戻される。即ち、第1膜ろ過ユニット100は、ろ過を停止し、貯留液S1を第1貯留槽101と第1分離膜部104との間で循環させる。ろ過を停止することによって第1分離膜部104の目詰まりを抑制し、第1分離膜部104をより長時間安定して用いることができる。特に、サトウキビなどの絞り汁や、サトウキビバガスなどの非可食資源を原料として化学的処理もしくは酵素分解などを施した処理液等のように濁質が多い被処理液の場合や逆洗浄を必要とする膜の場合に好ましく適用できる。また、貯留液S1を循環させることによって第1貯留槽101の液面を上昇させることができる。即ち、前段測定値を下限閾値よりも大きくすることができる。
【0066】
第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が上限レベルUL2よりも高くなった場合、即ち、後段測定値が上限閾値(第2閾値)よりも大きくなった場合も、同様に、第1制御部115は、第1調整バルブ108を閉じて第1透過液管L12から第2膜ろ過ユニット200への第1透過液の流れを止めればよい。このとき、第2膜ろ過ユニット200は、ろ過処理を継続する。これにより、第1透過液管L12からの第1透過液は、第2貯留槽201へ供給されないまま、第2透過液は外部へ流出し、第2非透過液は取り出される。その結果、第2貯留槽201の液面を低下させることができる。即ち、後段測定値を上限閾値よりも小さくすることができる。
【0067】
一方、第1貯留槽101内の貯留液S1の液面が上限レベルUL1よりも高くなった場合、外部から第1貯留槽101への被処理液の供給を減少させ、あるいは、停止すればよい。
【0068】
また、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が下限レベル(第3閾値)LL2よりも低くなった場合に、第2制御部215は、第2返送バルブ206を制御して、第2透過液を透過液返送管L26へ流し、第2貯留槽201へ戻し、第2制御部215は、第2取出しバルブ221および返送バルブ223を制御して、取出し・返送管L23および非透過液返送管L25を介して第2非透過液を第2貯留槽201へ戻す。第2膜ろ過ユニット200は、ろ過の送液を停止し、貯留液S2を第2貯留槽201または第2送液管L20と第2分離膜部204、第2非透過液管L21、取出し・返送管L23、非透過液返送管L25と、透過液返送管L26との間で循環させる。これによって、膜の流量の制御は継続したまま第2貯留槽の液量を調整できる。特にろ過時に高圧を必要とする場合、膜の流量の制御を持続することで、ろ過の送液再開時にすぐに流量を安定させることができ、安定した定流量ろ過を行うことができるため好ましい。また、貯留液S2を循環させることによって第2貯留槽201の液面を上昇させることができる。即ち、後段測定値を下限閾値よりも大きくすることができる。
【0069】
このように、本実施形態によるろ過装置は、定流量ろ過の流量ずれによる第1または第2貯留槽101、201内の貯留液S1、S2の液量を、第1および第2液量計114、214からの測定値に基づいて透過液あるいは非透過液の流れで調整する。これにより、定流量ろ過装置のわずかな流量ずれによる第1または第2貯留槽101、201内の貯留液S1、S2の液量のずれを補正することができる。液量のずれを補正することによって、第1および第2貯留槽101、201内の貯留液S1、S2の液量が安定し、貯留液S1、S2が第1および第2貯留槽101、201から溢れたり、枯渇してしまうことを抑制することができる。従って、ろ過装置は、被処理液を定流量で継続して安定的にろ過することができる。また、第1および第2貯留槽101、201内の貯留液S1、S2の液量が安定することで、第1貯留槽101内の有機物濃度を安定させることができる。
【0070】
尚、第1膜ろ過ユニット100には、洗浄部として、洗浄液槽112、洗浄ポンプ113および洗浄管L115が設けられている。洗浄部は、第1分離膜部104の透過側から非透過側に洗浄液を流すことによって、第1分離膜部104を逆洗浄する。この洗浄処理中には、第1透過液バルブ108および第1取出しバルブ111を開き、第1非透過液バルブ107を閉じる。そして、第1送液ポンプ103を停止させ、洗浄ポンプ113を駆動させる。これにより、洗浄液槽112の洗浄液が、非透過液返送管L25、第1分離膜部104、第1送液管L10および第1取出し管L13を通って排出される。洗浄処理は、第1分離膜部104の目詰まりを予防するために、定期的に、あるいは、間欠的に実行される。この逆洗浄と同時に、第1分離膜部に内包されていた非透過液を一定量取り出すことで、非透過液の取り出しを定期的に行ってもよい。
【0071】
(変形例1)
図2は、第1実施形態の変形例1に従ったろ過装置の構成例を示す図である。変形例1によれば、第2非透過液管L21が第2貯留槽201に接続されており、第2分離膜部204からの第2非透過液は第2貯留槽201へ戻される。第2貯留槽201内の貯留液S2は、第2貯留槽201と第2分離膜部204との間で循環する。この場合、貯留液S2は、第2貯留槽201内において濃縮され、濃縮液として第2取出し管L24から略定流量で取り出され得る。変形例1のその他の構成および動作は、上記第1実施形態の対応する構成および動作と同様でよい。従って、変形例1は、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
(変形例2)
図3は、第1実施形態の変形例2に従ったろ過装置の構成例を示す図である。変形例2によれば、第1膜ろ過ユニット100の第1非透過液管L11が第1貯留槽101と第1送液ポンプ103との間の第1送液管L10に接続されており、第1分離膜部104からの第1非透過液を第1送液管L10へ戻すように配管されている。この場合、第1貯留槽101内の貯留液S1は、第1送液管L10と第1分離膜部104との間で循環する。貯留液S1は、第1送液管L10内において濃縮され、濃縮液として第1取出し管L13から略定流量で取り出され得る。変形例2のその他の構成および動作は、上記第1実施形態の対応する構成および動作と同様でよい。従って、変形例2は、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(変形例3)
図4は、第1実施形態の変形例3に従ったろ過装置の構成例を示す図である。変形例3による第1膜ろ過ユニット100は、第1開閉バルブ109をさらに備えている。第1開閉バルブ109は、第1調整バルブ108と第2貯留槽201との間の第1透過液管L12に設けられている。第1開閉バルブ109は、第1制御部115によって制御され開閉動作する。即ち、第1貯留槽101内の貯留液S1の液面が下限レベルLL1よりも低くなった場合、あるいは、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が上限レベルUL2よりも高くなった場合に、第1開閉バルブ109は閉じ、第1透過液管L12から第2膜ろ過ユニットへの第1透過液の流れを止める。これにより、第1送液管L10からの貯留液S1は、全て非透過液として第1貯留槽101へ戻され、第1貯留槽101と第1分離膜部104との間で循環される。その結果、第1分離膜部104の目詰まりを抑制し、第1分離膜部104をより長時間安定して用いることができる。特に、濁質が多い被処理液の場合や逆洗浄を必要とする分離膜の場合に好ましく適用できる。また、貯留液S1を循環させることによって、第1貯留槽101内の貯留液S1の液面を上昇させ、あるいは、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面を低下させることができる。
【0074】
また、第2膜ろ過ユニット200は、第2開閉バルブ209をさらに備えている。第2開閉バルブ209は、第2透過液管L22に設けられている。第2開閉バルブ209は、第2制御部215によって制御され開閉動作する。即ち、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が下限レベルLL2よりも低くなった場合に、第2開閉バルブ209は閉じ、第2透過液管L22からの第2透過液の流れを止め、透過液の流量と非透過液の流量を合わせた量を取出し・返送管L23から取り出し、非透過液返送管L25から非透過液として第2貯留槽201へ戻す。これにより、第2送液管L20からの貯留液S2は、全て非透過液として、第2貯留槽201へ戻され、第2貯留槽201、第2送液管L20、第2分離膜部204、取出し・返送管L23、非透過液返送管L25との間で循環される。その結果、第2分離膜部204の目詰まりを抑制し、第2分離膜部204をより長時間安定して用いることができる。特に、濁質が多い被処理液の場合や逆洗浄を必要とする分離膜の場合に好ましく適用できる。また、貯留液S2を循環させることによって、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面を上昇させることができる。
【0075】
このように、第1および第2調整バルブ108、208とは別に、第1および第2開閉バルブ109、209を設け、第1および第2開閉バルブ109、209が第1および第2透過液の流れを止めてもよい。
【0076】
尚、第1開閉バルブ109は、第1透過液管L12の任意の位置に配置してよく、第1調整バルブ108と第1流量計105との間、あるいは、第1流量計105と第1分離膜部104との間に配置してもよい。第2開閉バルブ209は、第2透過液管L22の任意の位置に配置してもよく、返送バルブ206と第2流量計205との間、あるいは、第2流量計205と第2分離膜部204との間に配置してもよい。
【0077】
また、第1および第2開閉バルブ109、209のいずれか一方を設け、他方は省略してもよい。この場合、省略された開閉バルブに代えて、第1または第2調整バルブ108が第1透過液の流れを止めればよく、第2膜ろ過ユニット200は、第1実施形態と同様に返送バルブ206、223を制御して第2透過液と第2第2非透過液を第2貯留槽201へ戻せばよい。
【0078】
変形例3のその他の構成および動作は、上記第1実施形態の対応する構成および動作と同様でよい。従って、変形例3は、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
(変形例4)
上記変形例1~3において、第1制御部115は、第1透過液の流れを止めるために、第1調整バルブ108あるいは第1開閉バルブ109を閉じている。また、第2制御部215は、第2透過液の流れを止めるために、第2調整バルブ208あるいは第2開閉バルブ209を閉じている。
【0080】
これに対し、変形例4によれば、第1または第2制御部115、215は、第1または第2透過液の流れを止めるために、第1または第2送液ポンプ103、203の動作を停止させる。
【0081】
例えば、
図1の第1貯留槽101内の貯留液S1の液面が下限レベルLL1よりも低くなった場合、あるいは、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が上限レベルUL2よりも高くなった場合、第1制御部115は、第1送液ポンプ103の動作を停止させる。このとき、第2制御部215は、第2送液ポンプ203の動作を継続する。これにより、第1膜ろ過ユニット100から第2膜ろ過ユニット200への第1透過液の流れが停止し、第1貯留槽101内の貯留液S1の液面が上昇し、あるいは、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が低下する。
【0082】
例えば、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が下限レベルLL2よりも低くなった場合、第2制御部215は、第2送液ポンプ203の動作を停止させる。このとき、第1制御部115は、第1送液ポンプ103の動作を継続する。これにより、第2膜ろ過ユニット200からの第2透過液の流れが停止し、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が上昇する。
【0083】
変形例4のその他の構成および動作は、上記第1実施形態の対応する構成および動作と同様でよい。従って、変形例4も、上記第1実施形態と同様に第1貯留槽101と第2貯留槽201の液量を調整する効果を得ることができる。
【0084】
(変形例5)
変形例5では、第1または第2取出し管L13、L24から取り出す非透過液の量を制御することによって、第1または第2貯留槽101、201内の液量を調節する。
【0085】
例えば、
図1の第1貯留槽101内の貯留液S1の液面が上限レベルUL1よりも高くなった場合、第1取出し管L13から取り出す非透過液の量を増大させる。第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が上限レベルUL2よりも高くなった場合、第2取出し管L24から取り出す第1非透過液の量を増大させる。逆に、第1貯留槽101内の貯留液S1の液面が下限レベルLL1よりも低くなった場合、第1取出し管L13から取り出す第1非透過液の量を減少させる。第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が下限レベルLL2よりも低くなった場合、第2取出し管L24から取り出す第2非透過液の量を減少させる。このように、第1または第2取出し管L13、L24から取り出す非透過液の量を制御することによって、第1または第2貯留槽101、201内の液量を調節してもよい。
【0086】
変形例5のその他の構成および動作は、上記第1実施形態の対応する構成および動作と同様でよい。従って、変形例5も、上記第1実施形態と同様に第1貯留槽101と第2貯留槽201の液量を調整する効果を得ることができる。
【0087】
(変形例6)
変形例6では、第1または第2貯留槽101、201から排出する貯留液S1、S2の量を制御することによって、第1または第2貯留槽101、201内の液量を調節する。例えば、
図5は、変形例6に従ったろ過装置の構成例を示す図である。変形例6の第2膜ろ過ユニット200は、排出バルブ210と、排出管L224とをさらに備えている。尚、第1膜ろ過ユニット100では、第1取出しバルブ111および第1取出し管L13がそれぞれ排出バルブおよび排出管として機能する。
【0088】
第2送液管L20には、排出管L224が排出バルブ210を介して接続されている。排出管L224は、第2貯留槽201と送液ポンプ203との間の第2送液管L20に接続されており、第2送液管L20に流れる貯留液S2をろ過装置の外部へ排出するように配管されている。排出バルブ210は、排出管L224に設けられており、貯留液S2を排出する際に開く。
【0089】
例えば、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が上限レベルUL2よりも高くなった場合、第2制御部215は、排出バルブ210を開き、排出管L224から貯留液S2をろ過装置の外部へ排出する。また、第1貯留槽101内の貯留液S1の液面が上限レベルUL1よりも高くなった場合には、第1制御部115は、第1取出しバルブ111を開き、第1取出し管L13から貯留液S1をろ過装置の外部へ排出する。
【0090】
このように、第1または第2貯留槽101、201から排出する貯留液S1、S2の量を制御することによって、第1または第2貯留槽101、201内の液量を調節してもよい。
【0091】
変形例6のその他の構成および動作は、上記第1実施形態の対応する構成および動作と同様でよい。従って、変形例6も、上記第1実施形態と同様に第1貯留槽101と第2貯留槽201の液量を調整する効果を得ることができる。
【0092】
上記実施形態および変形例では、第1および第2液量計114、214が液面計であるとして説明したが、勿論、第1および第2液量計114、214は、第1および第2貯留槽101、201内の液量を検出するする質量測定器であってもよい。
【0093】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態によるろ過装置の構成例を示す図である。第2実施形態の第1膜ろ過ユニット100は、洗浄部を省略した実施形態である。従って、第2実施形態の第1膜ろ過ユニット100は、洗浄液槽112、洗浄ポンプ113、洗浄管L115を有しない。これに伴い、第1実施形態の第1取出し管L13および第1取出しバルブ111は、第1非透過液管L11に設けられている。第1取出し管L13および第1取出しバルブ111は、洗浄液の排出管および排出バルブとして用いられる必要がないからである。よって、第2実施形態では、非透過液の一部は、第1非透過液管L11から第1取出し管L13を介してろ過装置の外部へ取り出され、その残りは、第1非透過液管L11を介して第1貯留槽101へ戻される。
【0094】
さらに、第2実施形態による第1膜ろ過ユニット100は、第1取出し管L13に設けられた流量計125を備えている。流量計125は、第1取出し管L13を流れる非透過液の流量を測定する。非透過液の流量の測定値は、第1制御部115を介して第1取出しバルブ111をフィードバック制御するために用いられる。このフィードバック制御によって、第1取出しバルブ111は、第1取出し管L13に流れる非透過液の流量を略一定とするように調整される。
【0095】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。また、第2実施形態の動作も、洗浄機能が無いこと以外は、第1実施形態の動作と同様でよい。従って、第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0096】
また、上記変形例1~6は、いずれも第2実施形態に適用することができる。さらに、第2実施形態は、直列に連続する複数の第1膜ろ過ユニット100が設けられ、第2膜ろ過ユニット200は第1膜ろ過ユニット100の後に連続するように設けられてもよい。即ち、第2実施形態は、後述する第3または第4実施形態と組み合わせることもできる。
【0097】
第1取出しバルブ111に代えて、取出しポンプ(図示せず)が設けられていてもよい。この場合、第1制御部115は、流量計125の流量測定値を用いて、取出しポンプをフィードバック制御する。このフィードバック制御によって、取出しポンプは、第1取出し管L13に流れる非透過液の流量を略一定とするように調整される。このようにしても、本実施形態の効果は失われない。
【0098】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態によるろ過装置の構成例を示す図である。第3実施形態の第1膜ろ過ユニット100は、第2膜ろ過ユニット200ほぼ同様の構成を有し、取出し・返送管L14と、第1非透過液返送管L15と、第1透過液返送管L16と、流量計122と、返送バルブ123、126とをさらに備えている。
【0099】
第1非透過液管L11は、第1分離膜部104からの第1非透過液を、第1貯留槽101と第1送液ポンプ103との間の第1送液管L10へ戻すように配管されている。また、第1非透過液管L11には、取出し・返送管L14が接続されており、第1非透過液の一部は、第1取出し管L13または非透過液返送管L15へ送られる。取出し・返送管L14には、第1取出しバルブ111が設けられている。取出し・返送管L14、第1取出し管L13および非透過液返送管L15には、返送バルブ123が接続されている。返送バルブ123は、例えば、三方弁であり、取出し・返送管L14からの第1非透過液を第1取出し管L13または非透過液返送管L15へ流すことができる。第1非透過液返送管L15は、取出し・返送管L14から第1非透過液を第1貯留槽101へ戻すように配管されている。第1非透過液返送管L15は、返送バルブ123によって取出し・返送管L14に接続されている。流量計122は、取出し・返送管L14を流れる第1非透過液の流量を測定する。第1非透過液の一部は、取出し・返送管L14および第1取出し管L13を介してろ過装置の外部へ取り出される。一方、第1非透過液の残りは、第1非透過液管L11を介して第1送液管L10へ戻されるか、あるいは、非透過液返送管L15を介して第1貯留槽101へ戻される。第1送液管L10または第1貯留槽101へ戻された第1非透過液は、第1分離膜部104へ再送される。
【0100】
第1非透過液は、第1送液管L10へ戻されることにより、第1送液管L10(第1非透過液管L11)と第1分離膜部104との間で循環され、その有機物濃度は第1送液管L10および第1非透過液管L11内において濃縮される。第1送液管L10は第1貯留槽101よりも容積が小さいので、第1非透過液は、第1貯留槽101へ戻す場合よりも速く濃縮される。
【0101】
第1透過液管L12には、透過液返送管L16が接続されており、第1透過液管L12に流れる第1透過液を第1貯留槽101へ返送する。第1透過液管L12と透過液返送管L16との間には、返送バルブ126が接続されている。返送バルブ126は、例えば、三方弁であり、第1分離膜部104からの第1透過液を第1透過液管L12へ流し、あるいは、透過液返送管L16へ流すことができる。
【0102】
第3実施形態の第2膜ろ過ユニット200は、第1実施形態のそれと同じである。
【0103】
第1貯留槽101内の貯留液S1の液面が下限レベル(第1閾値)LL1よりも低くなった場合、あるいは、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が上限レベル(第2閾値)UL2よりも高くなった場合、第1制御部115は、返送バルブ126を制御して、第1透過液を透過液返送管L16へ流し、第1貯留槽101へ戻し、第1制御部115は、第1取出しバルブ111および返送バルブ123を制御して、取出し・返送管L14および非透過液返送管L15を介して第1非透過液を第1貯留槽101へ戻してもよい。これにより、第1送液管L10からの第1透過液および第1非透過液は、第1貯留槽101または第1送液管L10へ戻される。即ち、第1膜ろ過ユニット100は、ろ過の送液を停止し、第1透過液または第1非透過液を第1貯留槽101または第1送液管L10と第1分離膜部104との間で循環させる。これによって、膜の流量の制御は継続したまま第2貯留槽の液量を調整できる。特にろ過時に高圧を必要とする場合、膜の流量の制御を持続することで、ろ過の送液再開時にすぐに流量を安定させることができ、安定した定流量ろ過を行うことができるため好ましい。また、第1透過液または第1非透過液を循環させることによって第1貯留槽101の液面を上昇させることができる。
【0104】
このように、第1膜ろ過ユニット100を第2膜ろ過ユニット200と同様の構成にしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第3実施形態の第1膜ろ過ユニット100を、上記変形例1、3~6の第2膜ろ過ユニット200と同様の構成にしてもよい。さらに、上記変形例1、3~6は、第3実施形態に適用することができる。
【0105】
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態によるろ過装置の構成例を示す図である。第4実施形態の第1膜ろ過ユニット100は、
図1の第1膜ろ過ユニット100と同様の構成を有する。第4実施形態の第2膜ろ過ユニット200は、
図6の第1膜ろ過ユニット100とほぼ同様の構成を有する。
【0106】
第4実施形態の第2膜ろ過ユニット200では、第2非透過液管L21が第2貯留槽201に接続されており、第2分離膜部204からの第2非透過液は第2貯留槽201へ戻される。第2貯留槽201内の貯留液S2は、第2貯留槽201と第2分離膜部204との間で循環する。第2非透過液の一部は第2非透過液管第L21から第2取出し管L24を介してろ過装置の外部へ取り出され、その残りは、第2非透過液管L21を介して第2貯留槽201へ戻される。
【0107】
第4実施形態による第2膜ろ過ユニット200は、第2取出し管L24に設けられた流量計222を備えている。流量計222は、第2取出し管L24を流れる非透過液の流量を測定する。非透過液の流量の測定値は、第2制御部215を介して第2取出しバルブ221をフィードバック制御するために用いられる。このフィードバック制御によって、第2取出しバルブ221は、第2取出し管L24に流れる非透過液の流量を略一定とするように調整される。
【0108】
第2透過液管L22は、第2分離膜部204からの第2透過液を第2膜ろ過ユニット200の外部へ送るように配管されている。外部へ取り出された第2透過液は、製品として利用してもよく、別の工程に利用してもよい。第2透過液管L22には、第2流量計205および第2調整バルブ208が設けられている。第2流量計205は、第2透過液管L22を流れる第2透過液の流量を測定する。第2透過液の流量の測定値は、第2制御部215を介して第2調整バルブ208をフィードバック制御するために用いられる。このフィードバック制御によって、第2調整バルブ208は、第2透過液管L22に流れる第2透過液の流量を略一定とするように調整される。
【0109】
第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が下限レベル(第3閾値)LL2よりも低くなった場合、第2制御部215は、第2調整バルブ208を閉じて第2透過液管L22からの第2透過液の流れを止める。このとき、第2取出しバルブ221は閉じている。これにより、第2送液管L20からの貯留液S2は、全て非透過液として第2貯留槽201へ戻される。即ち、第2膜ろ過ユニット200は、ろ過を停止し、貯留液S2を第2貯留槽201と第2分離膜部204との間で循環させる。ろ過を停止することによって第2分離膜部204の目詰まりを抑制し、膜をより長時間安定に運転することができる。特に濁質が多い被処理液の場合や逆洗浄を必要とする膜の場合に好ましく適用できる。また、貯留液S2を循環させることによって第2貯留槽201の液面を上昇させることができる。
【0110】
尚、第4実施形態の第1膜ろ過ユニット100は、
図1~
図7のいずれの構成であってもよい。また、第4実施形態の第2膜ろ過ユニット200は、第1実施形態の第1膜ろ過ユニット100と同様の構成および機能を有する洗浄部を備えていてもよい。
【0111】
(変形例7)
図9は、変形例7に従ったろ過装置の構成例を示す図である。変形例7は、第4実施形態に第1実施形態の変形例3を組み合わせた形態である。従って、変形例7による第1膜ろ過ユニット100は、第1開閉バルブ109をさらに備えている。第1開閉バルブ109は、第1調整バルブ108と第2貯留槽201との間の第1透過液管L12に設けられている。第1開閉バルブ109は、第1制御部115によって制御され、第4実施形態の第1調整バルブ108と同様に動作する。即ち、第1貯留槽101内の貯留液S1の液面が下限レベルLL1よりも低くなった場合、あるいは、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が上限レベルUL2よりも高くなった場合に、第1開閉バルブ109は閉じ、第1透過液管L12から第2膜ろ過ユニットへの第1透過液の流れを止める。
【0112】
また、第2膜ろ過ユニット200は、第2開閉バルブ209をさらに備えている。第2開閉バルブ209は、第2透過液管L22に設けられている。第2開閉バルブ209は、第2制御部215によって制御され、第4実施形態の第2調整バルブ208と同様に動作する。即ち、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が下限レベルLL2よりも低くなった場合に、第2開閉バルブ209は閉じ、第2透過液管L22からの第2透過液の流れを止める。
【0113】
このように、第1および第2調整バルブ108、208とは別に、第1および第2開閉バルブ109、209を設け、第1および第2開閉バルブ109、209が第1および第2透過液の流れを止めてもよい。
【0114】
尚、第1開閉バルブ109は、第1透過液管L12の任意の位置に配置してよく、第1調整バルブ108と第1流量計105との間、あるいは、第1流量計105と第1分離膜部104との間に配置してもよい。第2開閉バルブ209は、第2透過液管L22の任意の位置に配置してもよく、返送バルブ206と第2流量計205との間、あるいは、第2流量計205と第2分離膜部204との間に配置してもよい。
【0115】
また、第1および第2開閉バルブ109、209のいずれか一方を設け、他方は省略してもよい。この場合、省略された開閉バルブに代えて、第1または第2調整バルブ108、208が第1または第2透過液の流れを止めればよい。
【0116】
変形例7のその他の構成および動作は、上記第4実施形態の対応する構成および動作と同様でよい。従って、変形例7は、上記第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0117】
(第5実施形態)
第1および第2実施形態では、単一の第1膜ろ過ユニット100が設けられており、第2膜ろ過ユニット200は、その単一の第1膜ろ過ユニット100の後に続くように設けられている。
【0118】
これに対し、第5実施形態では、直列に連続する複数の第1膜ろ過ユニット100が設けられ、第2膜ろ過ユニット200はその複数の第1膜ろ過ユニット100の後に続くように設けられている。複数の第1膜ろ過ユニット100は、それぞれ、自己の前段測定値とそれに続く直後の第1または第2膜ろ過ユニット100、200の後段測定値とに基づいて、第1貯留槽101内の液量を制御する。複数の第1膜ろ過ユニット100は、それぞれ
図1~
図9に示す第1膜ろ過ユニット100のいずれの構成であってもよい。また、最後段の第2膜ろ過ユニット200は、自己の測定値のみに基づいて、第2貯留槽201内の液量を制御するものであり、
図1~
図9に示す第2膜ろ過ユニット200のいずれの構成であってもよい。
【0119】
例えば、
図10は、第5実施形態によるろ過装置の構成例を示す図である。第5実施形態では、連続した2つの第1膜ろ過ユニット100_1、100_2と、その後に続く第2膜ろ過ユニット200とを備えている。即ち、第5実施形態によるろ過装置は、直列に連続する3段の膜ろ過ユニット100_1、100_2、200を備えている。
【0120】
図10の例では、第1膜ろ過ユニット100_1は、
図1の第1膜ろ過ユニット100と同様の構成を有する。第1膜ろ過ユニット100_2は、
図7の第1膜ろ過ユニット100と同様の構成を有する。第2膜ろ過ユニット200は、
図1の第2膜ろ過ユニット200と同様の構成を有する。
【0121】
ただし、被処理液の流れの下流側にある第1膜ろ過ユニット100_2の第1分離膜部104の孔径は、上流側の第1膜ろ過ユニット100_1のそれよりも小さいことが好ましい。また、被処理液の流れの下流側にある第2膜ろ過ユニット200の第2分離膜部204の孔径は、上流側の第1膜ろ過ユニット100_1、100_2のそれよりも小さいことが好ましい。即ち、分離膜部104、204の孔径は、上流から下流へ向かって次第に小さくなるように設定されていることが好ましい。これにより、取出し管L13、L24から取り出される非透過液(濃縮液)の成分を相違させることができる。
【0122】
例えば、第1膜ろ過ユニット100_1の第1分離膜部104がMF膜であり、第1膜ろ過ユニット100_2の第1分離膜部104がUF膜であり、第2膜ろ過ユニット200の第2分離膜部204がNF膜および/またはRO膜であるとする。この場合、第1膜ろ過ユニット100_1から取り出される非透過液は、例えば、濁質や微生物であり、第1膜ろ過ユニット100_2から取り出される非透過液は、例えば、タンパク質であり、第2膜ろ過ユニット200から取り出される非透過液は、例えば、単糖、オリゴ糖等の糖液や、アミノ酸、芳香族化合物である。このように、連続する複数の膜ろ過ユニットの分離膜部の孔径を相違させることによって、被処理液から異なる成分の濃縮液を抽出することができる。
【0123】
第1膜ろ過ユニット100_1、100_2、第2膜ろ過ユニット200は、直列に連続している。従って、第1膜ろ過ユニット100_1は、外部から被処理液を受けて、その後段の第1膜ろ過ユニット100_2へ透過液を供給する。このとき、第1膜ろ過ユニット100_1からは、非透過液(例えば、濁質)S11が取り出される。
第1膜ろ過ユニット100_2は、第1膜ろ過ユニット100_1からの透過液を受けて、その透過液を含む貯留液S1_2をろ過した透過液を、後段の第2膜ろ過ユニット200へ供給する。このとき、第1膜ろ過ユニット100_2からは、非透過液(例えば、タンパク質)S12が取り出される。第2膜ろ過ユニット200は、第1膜ろ過ユニット100_2からの透過液を受けて、その透過液を含む貯留液S2をさらにろ過した透過液S3を外部へ流す。このとき、第2膜ろ過ユニット200からは、非透過液(例えば、単糖、オリゴ糖等の糖液や、アミノ酸、芳香族化合物)S13が取り出される。
【0124】
第1膜ろ過ユニット100_1、100_2の第1制御部115は、自己の第1液量計114からの前段測定値と、それに続く後段の第1または第2膜ろ過ユニット100_2または200の第1液量計114からの後段測定値とに基づいて、自己の第1貯留槽101内に貯留されている貯留液S1_1、S1_2の液量を制御する。
【0125】
例えば、第1膜ろ過ユニット100_1を前段とすると、前段の第1膜ろ過ユニット100_1の第1制御部115は、自己(前段の第1膜ろ過ユニット100_1)の第1液量計114からの前段測定値と、それに続く後段の第1膜ろ過ユニット100_2の第1液量計114からの後段測定値とに基づいて、自己(前段の第1膜ろ過ユニット100)の第1貯留槽101内の液量を制御する。
【0126】
また、第1膜ろ過ユニット100_2を前段とすると、前段の第1膜ろ過ユニット100_2の第1制御部115は、自己(前段の第1膜ろ過ユニット100_2)の第1液量計114からの前段測定値と、それに続く後段の第2膜ろ過ユニット200の第2液量計214からの後段測定値とに基づいて、自己(前段の第1膜ろ過ユニット100_2)の第1貯留槽101内の液量を制御する。
【0127】
最後段の第2膜ろ過ユニット200の第2制御部215は、自己(第2膜ろ過ユニット200)の第2液量計214からの測定値に基づいて、自己(第2膜ろ過ユニット200)の第2貯留槽201内の液量を制御する。
【0128】
第1および第2貯留槽101、201内の液量の制御方法は、第1実施形態の “(ろ過装置の動作例)”と同じでよい。従って、ここでは、第1膜ろ過ユニット100_1、100_2および第2膜ろ過ユニット200の動作の詳細な説明を省略する。このように、3つの膜ろ過ユニットを直列に連続させても、第1実施形態で説明した効果を得ることができる。
【0129】
(第6実施形態)
第5実施形態では、直列に連続する2つの第1膜ろ過ユニット100_1、100_2が設けられている。
【0130】
これに対し、第6実施形態では、直列に連続する3つの第1膜ろ過ユニット100_1~100_3が設けられ、第2膜ろ過ユニット200は第1膜ろ過ユニット100_1~100_3の後に連続するように設けられている。
【0131】
第1膜ろ過ユニット100_1~100_3は、自己の前段測定値とそれに続く第1または第2膜ろ過ユニット100_2、100_3または200の後段測定値とに基づいて、第1貯留槽101内の液量を制御する。第1膜ろ過ユニット100_1~100_3は、それぞれ
図1~
図9に示す第1膜ろ過ユニット100のいずれの構成であってもよい。また、最後段の第2膜ろ過ユニット200は、自己の測定値のみに基づいて、第2貯留槽201内の液量を制御するものであり、
図1~
図9に示す第2膜ろ過ユニット200のいずれの構成であってもよい。
【0132】
例えば、
図11は、第6実施形態によるろ過装置の構成例を示す図である。第6実施形態では、連続した3つの第1膜ろ過ユニット100_1~100_3と、その後に続く第2膜ろ過ユニット200とを備えている。即ち、第6実施形態によるろ過装置は、直列に連続する4段の膜ろ過ユニット100_1~100_3、200を備えている。
【0133】
図11の例では、第1膜ろ過ユニット100_1は、
図1の第1膜ろ過ユニット100と同様の構成を有する。第1膜ろ過ユニット100_2、100_3は、
図7の第1膜ろ過ユニット100と同様の構成を有する。第2膜ろ過ユニット200は、
図1の第2膜ろ過ユニット200と同様の構成を有する。
【0134】
ただし、被処理液の流れの下流側にある第1膜ろ過ユニット100_2の第1分離膜部104の孔径は、上流側の第1膜ろ過ユニット100_1のそれよりも小さいことが好ましい。また、下流側にある第1膜ろ過ユニット100_3の第1分離膜部104の孔径は、上流側の第1膜ろ過ユニット100_1、100_2のそれよりも小さいことが好ましい。さらに下流側にある第2膜ろ過ユニット200の第2分離膜部204の孔径は、上流側の第1膜ろ過ユニット100_1~100_3のそれよりも小さいことが好ましい。即ち、分離膜部104、204の孔径は、上流から下流へ向かって次第に小さくなるように設定されていることが好ましい。これにより、取出し管L13、L24から取り出される非透過液(濃縮液)の成分を相違させることができる。
【0135】
例えば、第1膜ろ過ユニット100_1の第1分離膜部104がMF膜であり、第1膜ろ過ユニット100_2の第1分離膜部104がUF膜であり、第1膜ろ過ユニット100_3の第1分離膜部104がNF膜であり、第2膜ろ過ユニット200の第2分離膜部204がRO膜であるとする。この場合、第1膜ろ過ユニット100_1から取り出される非透過液は、例えば、濁質や微生物であり、第1膜ろ過ユニット100_2から取り出される非透過液は、例えば、タンパク質であり、第1膜ろ過ユニット100_3から取り出される非透過液は、例えば、オリゴ糖やアミノ酸であり、第2膜ろ過ユニット200から取り出される非透過液は、例えば、単糖である。このように、連続する複数の膜ろ過ユニットの分離膜部の孔径を相違させることによって、被処理液から異なる成分の濃縮液を抽出することができる。
【0136】
第1膜ろ過ユニット100_1~100_3、第2膜ろ過ユニット200は、直列に連続している。従って、第1膜ろ過ユニット100_1は、外部から被処理液を受けて、その後段の第1膜ろ過ユニット100_2へ透過液を供給する。このとき、第1膜ろ過ユニット100_1からは、非透過液(例えば、濁質や微生物)S11が取り出される。第1膜ろ過ユニット100_2は、第1膜ろ過ユニット100_1からの透過液を受けて、その透過液を含む貯留液S1_2をろ過した透過液を、後段の第1膜ろ過ユニット100_3へ供給する。このとき、第1膜ろ過ユニット100_2からは、非透過液(例えば、タンパク質)S12が取り出される。第1膜ろ過ユニット100_3は、第1膜ろ過ユニット100_2からの透過液を受けて、その透過液を含む貯留液S1_3をろ過した透過液を、後段の第2膜ろ過ユニット200へ供給する。このとき、第1膜ろ過ユニット100_3からは、非透過液(例えば、オリゴ糖やアミノ酸)S13が取り出される。第2膜ろ過ユニット200は、第1膜ろ過ユニット100_3からの透過液を受けて、その透過液を含む貯留液S2をさらにろ過した透過液S3を外部へ流す。このとき、第2膜ろ過ユニット200からは、非透過液(例えば、単糖や芳香族化合物)S14が取り出される。
【0137】
第1膜ろ過ユニット100_1~100_3の第1制御部115は、自己の第1液量計114からの前段測定値と、それに続く後段の第1または第2膜ろ過ユニット100_2、100_3または200の液量計114、214からの後段測定値とに基づいて、自己の第1貯留槽101内に貯留されている貯留液の液量を制御する。
【0138】
例えば、第1膜ろ過ユニット100_1を前段とすると、前段の第1膜ろ過ユニット100_1の第1制御部115は、自己(前段の第1膜ろ過ユニット100_1)の第1液量計114からの前段測定値と、それに続く後段の第1膜ろ過ユニット100_2の第1液量計114からの後段測定値とに基づいて、自己(前段の第1膜ろ過ユニット100)の第1貯留槽101内の液量を制御する。
【0139】
また、第1膜ろ過ユニット100_2を前段とすると、前段の第1膜ろ過ユニット100_2の第1制御部115は、自己(前段の第1膜ろ過ユニット100_2)の第1液量計114からの前段測定値と、それに続く後段の第1膜ろ過ユニット100_3の第1液量計114からの後段測定値とに基づいて、自己(前段の第1膜ろ過ユニット100_2)の第1貯留槽101内の液量を制御する。
【0140】
さらに、第1膜ろ過ユニット100_3を前段とすると、前段の第1膜ろ過ユニット100_3の第1制御部115は、自己(前段の第1膜ろ過ユニット100_3)の第1液量計114からの前段測定値と、それに続く後段の第2膜ろ過ユニット200の第2液量計214からの後段測定値とに基づいて、自己(前段の第1膜ろ過ユニット100_3)の第1貯留槽101内の液量を制御する。
【0141】
最後段の第2膜ろ過ユニット200の第2制御部215は、自己(第2膜ろ過ユニット200)の第2液量計214からの後段測定値に基づいて、自己(第2膜ろ過ユニット200)の第2貯留槽201内の液量を制御する。
【0142】
第1および第2貯留槽101、201内の液量の制御方法は、第1実施形態の “(ろ過装置の動作例)”と同じでよい。従って、ここでは、第1膜ろ過ユニット100_1~100_3および第2膜ろ過ユニット200の動作の詳細な説明を省略する。
【0143】
このように、4つの膜ろ過ユニットを直列に連続させても、第1実施形態で説明した効果を得ることができる。連続させる膜ろ過ユニットの数は、特に限定せず、5つ以上であってもよい。
【0144】
(調整バルブ、流量計、送液ポンプの配置について)
図1~
図9の第1膜ろ過ユニット100において、第1調整部としての調整バルブ108および流量計105は、透過液管L12に設けられている。しかし、調整バルブ108および流量計105の配置はこれに限定しない。
【0145】
また、
図7の第1膜ろ過ユニット100において、単一の送液ポンプ103が設けられている。しかし、送液ポンプの個数や配置もこれに限定しない。
【0146】
図12~
図14は、調整バルブ、流量計、送液ポンプの配置の変形例を示す図である。
例えば、
図12に示すように、第1調整バルブ108は、第1非透過液管L11に設けられ、第1流量計105の透過液の流量に基づいて非透過側を加圧して透過液流量を調節してもよい。
【0147】
例えば、
図13に示す例のように、一般に、フィードアンドブリード方式と呼ばれる装置構成であってもよい。
図13では、2つの送液ポンプ103_1、103_2および1つの流量計106が第1送液管L10に設けられている。送液ポンプ103_1および流量計106は、第1貯留槽101と第1非透過液管L11との間の第1送液管L10に設けられている。送液ポンプ103_2は、第1非透過液管L11と第1分離膜部104との間の第1送液管L10に設けられている。送液ポンプ103_1は、第1貯留槽101からの貯留液S1を送液ポンプ103_2へ送り、送液ポンプ103_2は、貯留液S1と第1非透過液管L11からの非透過液とを合わせて第1分離膜部104へ送り、循環させることができる。
【0148】
流量計106は、送液ポンプ103_1に流す貯留液S1の流量を測定する。送液ポンプ103_1は、流量計106で測定された貯留液S1の流量に基づいてフィードバック制御され、貯留液S1の流量を調節する。このように、送液ポンプ103_1を制御して、貯留液S1の流量を調節してもよい。送液ポンプ103_1は第1非透過液取出量と第1透過液量の合計と同じ流量に制御することで第1膜ろ過ユニット100のバランスが取れる。送液ポンプ103_2は、送液ポンプ103_1の送液量に関係なく循環流量をあげることが好ましい。これによって、膜面線速度があがり、膜の目詰まりを防止することができる。
【0149】
また、流量計122は、第1取出し管L13から取り出される非透過液の流量を測定する。第1取出しバルブ111は、流量計122で測定された非透過液の流量に基づいてフィードバック制御され、非透過液取出量bを調節する。
【0150】
このように、送液ポンプ103_1を用いて第1送液管L10に流す貯留液S1の流量aを調節し、第1取出しバルブ111を用いて非透過液取出量bを調節することによって、実質的に透過液量cを調節してもよい。
【0151】
例えば、
図14に示す例では、流量計122を省略し、流量計105が第1透過液管L12に設けられている。流量計105は、第1透過液管L12を流れる第1透過液の流量を測定する。第1取出しバルブ111は、流量計105で測定された透過液量cに基づいてフィードバック制御され、非透過液取出量bを調節する。
【0152】
図14に示す第1膜ろ過ユニット100のその他の構成および動作は、
図11に示すそれと同様でよい。これにより、送液ポンプ103_1を用いて第1送液管L10に流す貯留液S1の流量aを調節し、第1取出しバルブ111を用いて非透過液取出量bを調節することによって、実質的に透過液量cを調節してもよい。
【0153】
図12~
図14に示す調整バルブ、流量計、送液ポンプの配置例は、第2膜ろ過ユニット200についても適用可能である。(分離膜部の構成について)
【0154】
図15および
図16は、第1および第2分離膜部104、204の構成例を示す図である。第1および第2分離膜部104、204は、単一のろ過膜で構成されていてもよいが、処理量に応じて、
図15および
図16に示すように、複数のろ過膜で構成された分離膜モジュールであってもよい。
【0155】
例えば、
図15は、並列に接続された2つのろ過膜304a、304bを有する第1分離膜部104を示す。ろ過膜304a、304bは、第1送液管L10、第1非透過液管L11および第1透過液管L12のそれぞれに並列に接続されている。これにより、第1分離膜部104は、大量の貯留液S1を効率良く短時間に処理することができる。
【0156】
例えば、
図16は、直列に接続された2つのろ過膜304a、304bを有する第1分離膜部104を示す。ろ過膜304aは、第1送液管L10に接続されており、貯留液S1を受け取る。ろ過膜304bは、ろ過膜304aに接続されており、ろ過膜304aからの非透過液を受け取る。ろ過膜304bは、第1非透過液管L11に接続されており、ろ過膜304a、304bの両方を透過しなかった第1非透過液を第1非透過液管L11へ流す。
【0157】
一方、ろ過膜304a、304bは、第1透過液管L12に並列に接続されており、ろ過膜304a、304bのいずれかを透過した第1透過液を第1透過液管L12へ流す。
【0158】
第1分離膜部104内で並列または直列に接続されるろ過膜の数は、3つ以上であってもよい。また、均質な透過液または非透過液を得るために、同一の第1分離膜部104内の複数のろ過膜の種類(孔径)は、略等しいことが好ましい。
図15および
図16に示す分離膜モジュールの例は、第2分離膜部204にも適用可能である。しかし、所望の物質を取り出すために、種類の異なる複数のろ過膜を組み合わせて第1分離膜部104および/または第2分離膜部204を構成してもよい。第1分離膜部104および/または第2分離膜部204は、
図15および
図16を組み合わせた並列かつ直列に組み合わされた構成であってもよい。
【0159】
図17は、第1分離膜部104と送液ポンプ103_1とで構成される複数の循環系C1、C2を備えた第1膜ろ過ユニット100の構成例を示す図であり、一般的にステージインシリーズ式と呼ばれる装置構成である。
【0160】
循環系C1は、送液ポンプ103_21、第1分離膜部104_1、第1送液管L10_1および第1非透過液管L11_1によって構成されている。ここで、第1非透過液管L11_1は、循環系C1の送液ポンプ103_21と循環系C2の送液ポンプ103_22との間に非透過液を戻している。これにより、循環系C1は、貯留液S1から透過液を分離しつつ、非透過液を濃縮し、その濃縮された非透過液を循環系C2へ供給することができる。
【0161】
循環系C2は、送液ポンプ103_22、第1分離膜部104_2、第1送液管L10_2および第1非透過液管L11_2によって構成されている。循環系C2は、循環系C1と基本的に同一の構成を有する。循環系C2は、循環系C1から受け取った濃縮された非透過液から透過液をさらに分離しつつ、その濃縮された非透過液をさらに濃縮することができる。循環系C2で濃縮された非透過液は、取出し・返送管L14および第1取出し管L13を介して取り出され、あるいは、非透過液返送管L15を介して第1貯留槽101へ戻される。
【0162】
図17の第1膜ろ過ユニット100のその他の構成は、
図14の第1膜ろ過ユニット100の対応する構成と同様でよい。尚、
図17において、取出し・返送管L14、第1取出し管L13、返送バルブ123の位置が、
図14のそれと異なるが、それらの動作は
図14の取出し・返送管L14、第1取出し管L13、返送バルブ123の動作と同様である。
【0163】
図17に示す膜ろ過ユニットの例は、第2膜ろ過ユニット200にも適用可能である。
【0164】
(第7実施形態)
図18は、第7実施形態によるろ過装置の構成例を示す図である。第7実施形態では、第3膜ろ過ユニット300をさらに備えている。第3膜ろ過ユニット300は、第1膜ろ過ユニット100と第2膜ろ過ユニット200とに接続されており、第1膜ろ過ユニット100からの第1非透過液を第3分離膜部304でろ過して、その透過液(第3透過液)を第2膜ろ過ユニット200へ供給する。即ち、第3膜ろ過ユニット300は、第1膜ろ過ユニット100に並列に接続されている。第2膜ろ過ユニット200は、第1および第3膜ろ過ユニット100、300の両方からの透過液(第1および第3透過液)を受ける。第7実施形態のその他の構成は、第3実施形態の対応する構成と同様である。尚、膜ろ過ユニットの並列接続とは、直列に接続された複数の膜ろ過ユニットの前段の膜ろ過ユニットからの非透過液をろ過し、ろ過後の透過液を後段の膜ろ過ユニットへ流す状態を示す。
【0165】
(第3膜ろ過ユニット300の構成)
第3膜ろ過ユニット300は、第3貯留槽301と、第3送液ポンプ303と、第3分離膜部304と、流量計305と、調整バルブ308と、第3取出しバルブ311と、流量計322と、返送バルブ306、323と、第3液量計314と、第3制御部315と、第3送液管L30と、第3非透過液管L31と、第3透過液管L32と、取出し・返送管L33と、第3取出し管L34と、非透過液返送管L35と、透過液返送管L36とを備えている。
【0166】
第3貯留槽301は、第1取出し管L13からの第1非透過液を貯留液S3として溜める槽である。
【0167】
第3送液ポンプ303は、第3貯留槽301と第3分離膜部304との間に設けられており、第3送液管L30を介して第3貯留槽301から第3分離膜部304へ貯留液S3を流す。第3送液ポンプ303は、例えば、第3送液管L30内の貯留液S3に圧力を印加する高圧ポンプでよい。第3送液管L30は、第3貯留槽301と第3分離膜部304との間に接続され、第3貯留槽301の貯留液S3を第3貯留槽301から第3分離膜部304へ送る。
【0168】
第3分離膜部304は、第3送液管L30からの貯留液S3を第3透過液と第3非透過液とに分離する。第3分離膜部304は、第1分離膜部104と同様に、例えば、MF膜、UF膜、NF膜、RO膜のいずれかのろ過膜でよい。しかし、第3分離膜部304は貯留液S3をろ過するので、第1分離膜部104の孔径と同じ孔径を有することが好ましい。これにより、第3分離膜部304は、第1分離膜部104で分離すべき成分を貯留液S3(第1非透過液)から再度分離することができる。
【0169】
例えば、第1および第3分離膜部104、304としてUF膜を用いた場合、第1分離膜部104は、貯留液S1からタンパク質を第1非透過液として、糖を第1透過液として分離する。さらに、第3分離膜部304も、第1非透過液からタンパク質を第3非透過液として、糖(例えば、単糖、オリゴ糖、多糖)や芳香族化合物等を第3透過液として分離する。
【0170】
第1膜ろ過ユニット100において、貯留液S1のうちタンパク質は、第1非透過液として第1非透過液管L11または取出し・返送管L13へ送られ、糖は第1透過液として第1透過液管L12を介して第2膜ろ過ユニット200へ送られる。また、第3膜ろ過ユニット300において、第1非透過液のうちタンパク質は、第3非透過液として第3非透過液管L31または取出し・返送管L33へ送られ、糖は第3透過液として第3透過液管L32を介して第2膜ろ過ユニット200へ送られる。このように、第1および第3膜ろ過ユニット100、300で得られた糖を含む第1および第3透過液は、ともに第2膜ろ過ユニット200の第2貯留槽201に貯留液S2として溜められる。これにより、被処理液からの糖の回収率が高くなる。
【0171】
第2分離膜部204としてNF膜またはRO膜を用いた場合、第2分離膜部204は、貯留液S2から第2非透過液として糖を分離することができる。糖は、主に非透過液として第2非透過液管L21または取出し・返送管L23へ送られ、その他の成分は第2透過液として第2透過液管L22へ送られる。
【0172】
ここで、第2貯留槽201は、第1膜ろ過ユニット100からの第1透過液だけでなく、第3膜ろ過ユニット300からの第3透過液も貯留する。上述の通り、第1膜ろ過ユニット100は、貯留液S1から糖を透過させて第1透過液とし、タンパク質を第1非透過液に残留させる。しかし、第1非透過液には、第1分離膜部104で透過しなかった糖も或る程度残留している。そこで、第3膜ろ過ユニット300は、第1非透過液の一部を第3分離膜部304でろ過し、第1非透過液から糖を再度分離する。これにより、第1非透過液に含まれる糖が第3透過液として回収され、第2膜ろ過ユニット200へ供給される。よって、第2膜ろ過ユニット200は、第1透過液に含まれる糖だけでなく、第3透過液の含まれる糖も受け取ることができる。これにより、被処理液からの糖の回収率が高くなる。
【0173】
より詳細には、第3実施形態のように、第2貯留槽201が第1膜ろ過ユニット100からの第1透過液のみ受け取る場合、第2膜ろ過ユニット200は、第1透過液のみに含まれる糖しか回収することができない。従って、第1分離膜部104の分離能力にも依存するが、第1分離膜部104(例えば、UF膜)が被処理液に含まれる糖の例えば約80%を透過させる場合、残りの約20%の糖は回収できない。
【0174】
これに対し、第7実施形態によれば、第3膜ろ過ユニット300が、第1非透過液を再度ろ過して糖を透過させて第3透過液として第2貯留槽201へ供給する。例えば、第3分離膜部304(例えば、UF膜)が第1非透過液に含まれる糖(被処理液に含まれる糖の約20%)の例えば約50%を透過させる場合、非透過液に含まれる糖の約10%がさらに回収できる。即ち、この例では、被処理液に含まれる糖の約90%(80%+10%)が第2貯留槽201内の貯留液S2に含まれることになる。これにより、第2膜ろ過ユニット200において、糖の回収率が高くなる。
【0175】
尚、第3分離膜部304も、第1分離膜部104と同様に、単一のろ過膜で構成されていてもよく、複数のろ過膜を組み合わせたろ過膜モジュールであってもよい。また、第3分離膜部304にろ過膜モジュールを用いる場合、複数のろ過膜は、単一種類のろ過膜で構成されてもよく、あるいは、複数種類のろ過膜を組み合わせてもよい。
【0176】
第3非透過液管L31は、第3分離膜部304からの第3非透過液を、第3貯留槽301と第3送液ポンプ303との間の第3送液管L30へ戻すように配管されている。また、第3非透過液管L31には、取出し・返送管L33が接続されており、第3非透過液の一部は、第3取出し管L34または非透過液返送管L35へ送られる。取出し・返送管L33には、第3取出しバルブ311が設けられている。取出し・返送管L33、第3取出し管L34および非透過液返送管L35には、返送バルブ323が接続されている。返送バルブ323は、例えば、三方弁であり、取出し・返送管L33からの第3非透過液を第3取出し管L34または非透過液返送管L35へ流すことができる。流量計322は、取出し・返送管L33を流れる第3非透過液の流量を測定する。第3非透過液の一部は、取出し・返送管L33および第3取出し管L34を介してろ過装置の外部へ取り出される。
【0177】
外部へ取り出された第3非透過液は、製品として利用してもよく、別の工程に利用してもよい。一方、第3非透過液の残りは、第3非透過液管L31を介して第3送液管L30へ戻されるか、あるいは、非透過液返送管L35を介して第3貯留槽301へ戻される。第3送液管L30または第3貯留槽301へ戻された第3非透過液は、貯留液S3として第3分離膜部304へ再送される。
【0178】
貯留液S3は、第3送液管L30(第3非透過液管L31)と第3分離膜部304との間で循環され、その有機物(タンパク質)濃度は第3送液管L30および第3非透過液管L31内において濃縮される。第3送液管L30は第3貯留槽301よりも容積が小さいので、貯留液S3は、第3非透過液を第3貯留槽301へ戻す場合よりも第3送液管L30へ戻す方が速く濃縮される。ただし、第1取出し管L13からの第1非透過液の流量(b)、第3取出し管L34から取り出される第3非透過液の流量(第3非透過液取出量f)、第3透過液管L32から第3膜ろ過ユニット300の外部へ流れる第3透過液の流量(第3透過液量e)が一定である場合、第3送液管L30および第3非透過液管L31内の第1非透過液の有機物(タンパク質)濃度は、濃縮された後、略一定となる。従って、第3取出し管L34から取り出される第3非透過液は、第1取出し管L13からの第1非透過液よりも濃縮されているが、略一定の有機物濃度を有する。即ち、第3非透過液は、略一定の有機物濃度を有する濃縮液であり、かつ、第3膜ろ過ユニット300から略定流量で取り出される。これにより、ろ過装置をより長時間に亘って連続運転することができる。
【0179】
第3透過液管L32は、第3分離膜部304からの第3透過液を後段の第2膜ろ過ユニット200の第2貯留槽201へ送るように配管されている。第3透過液管L32には、第3調整部としての流量計305および調整バルブ308が設けられている。流量計305は、透過液管L32および透過液返送管L36を流れる透過液の流量を測定する。透過液の流量の測定値は、第3制御部315を介して調整バルブ308をフィードバック制御するために用いられる。このフィードバック制御によって、調整バルブ308は、第3透過液管L32に流れる透過液の流量を略一定とするように調整される。
【0180】
第3透過液管L32には、返送バルブ306および透過液返送管L36が接続されており、第3透過液管L32に流れる第3透過液を第3貯留槽301へ返送することができる。返送バルブ306は、例えば、三方弁であり、第3透過液管L32と透過液返送管L36との間に接続されており、第3透過液を第3透過液管L32へ流し、あるいは、透過液返送管L36へ流すことができる。第3透過液管L32と透過液返送管L36に切り替えることができればよく、三方弁の代わりに二方弁を二つ備えてもよい。
【0181】
第3液量計314は、第3貯留槽301に設けられており、第3貯留槽301内に貯留されている第1非透過液S3の液量を検出する。例えば、第3液量計314は、第3貯留槽301内の第1非透過液S3の液面の高さを検出する液面計であってもよい。第3貯留槽301内の第1非透過液S3の液量は、第1非透過液S3の液面の高さの関数で表すことができる。従って、第3制御部315は、第1非透過液S3の液面の高さを、第3貯留槽301内の第1非透過液S3の液量の指標として用いることができる。また、例えば、第3液量計314は、第3貯留槽301内の第1非透過液S3の質量を検出する質量測定器であってもよい。第3貯留槽301内の第1非透過液S3の液量は、第1非透過液S3の質量の関数で表すことができる。従って、第3制御部315は、第1非透過液S3の質量を、第3貯留槽301内の第1非透過液S3の液量の指標として用いることができる。
【0182】
第3制御部315は、第3液量計314からの測定値およびその後段の第2膜ろ過ユニット200の第2液量計214からの測定値に基づいて、第3貯留槽301内に貯留されている貯留液S3の液量を制御する。
【0183】
例えば、第2および第3液量計214、314が液面計であるとする。第3貯留槽301内の第1非透過液S3の液面が下限レベルLL3よりも低くなった場合、第3制御部315は、返送バルブ306を制御して第3透過液を透過液返送管L36へ流し、第3貯留槽301へ戻す。第3制御部315は、第3取出バルブ311および返送バルブ323を制御して、取出し・返送管L33および非透過液返送管L35を介して第3非透過液を第3貯留槽301へ戻す。このとき、非透過液バルブ308は開いており、返送バルブ323は取出し・返送管L33と非透過液返送管L35とを接続する。これにより、第3送液管L30からの第3透過液および第3非透過液は、全て第3貯留槽301へ戻される。即ち、第3膜ろ過ユニット300は、ろ過の送液を停止し、貯留液S3を第3貯留槽301と第3分離膜部304との間で循環させる。これによって、膜の流量の制御は継続したまま第3貯留槽301の液量を調整できる。特にろ過時に高圧を必要とする場合、膜の流量の制御を持続することで、ろ過の送液再開時にすぐに流量を安定させることができ、安定した定流量ろ過を行うことができるため好ましい。また、第3透過液または第3非透過液を循環させることによって第3貯留槽301の液面を上昇させることができる。また、ろ過の送液を停止することによって第3分離膜部304の目詰まりを抑制し、第3分離膜部304をより長時間安定して用いることができる。
【0184】
一方、第3貯留槽301内の液面が上限レベルUL3よりも高くなった場合、第1膜ろ過ユニット100から第3貯留槽301への第1非透過液の供給を減少させ、あるいは、停止すればよい。
【0185】
尚、制御部115、315の動作は、第3実施形態のそれらの動作と同様でよい。従って、第2貯留槽201内の貯留液S2の液面が上限レベルUL2よりも高くなった場合、第1制御部115が、第1調整バルブ108を閉じて第1透過液管L12から第2膜ろ過ユニット200への第1透過液の流れを止めてもよく、あるいは/並びに、第3制御部315が、返送バルブ306を制御して第3透過液を透過液返送管L36へ流して第3貯留槽301へ戻し、第3透過液管L32から第2膜ろ過ユニット200への第3透過液の流れを止めてもよい。このとき、第2膜ろ過ユニット200は、ろ過処理を継続し、第2透過液は外部へ流出し、第2非透過液は取り出される。その結果、第2貯留槽201の液面を低下させることができる。
【0186】
このように、第7実施形態によるろ過装置は、定流量ろ過の流量ずれによる貯留槽101~301内の貯留液S1~S3の液量を、液量計114~314からの測定値に基づいて透過液あるいは非透過液の流れで調整する。これにより、定流量ろ過装置のわずかな流量ずれによる貯留槽101~301内の貯留液S1~S3の液量のずれを補正することができる。液量のずれを補正することによって、貯留槽101~301内の貯留液S1~S3の液量が安定し、貯留液S1~S3が貯留槽101~301から溢れたり、枯渇してしまうことを抑制することができる。従って、ろ過装置は、被処理液を定流量で継続して安定的にろ過することができる。
【0187】
また、第1および第2膜ろ過ユニット100、200は、第3実施形態のそれらと同様の構成を有し、さらに、第3膜ろ過ユニット300が第1膜ろ過ユニット100から第1非透過液の一部を受けて、分離後の第3透過液を第2膜ろ過ユニット200へ供給している。これにより、第2膜ろ過ユニット200は、第1透過液に含まれる糖だけでなく、第3透過液の含まれる糖も受け取ることができる。これにより、第2膜ろ過ユニット200において、被処理液からの糖の回収率が高くなる。
【0188】
また、第1分離膜部104(例えば、UF膜)は、糖をタンパク質から分離して、タンパク質を第1非透過液として第1貯留槽101に戻す。タンパク質が第1貯留槽101において濃縮されると、貯留液S1の流動性が低下し、第1分離膜部104が短時間で目詰まりを起こす。これでは、ろ過装置を長時間に亘って連続運転することが困難となってしまう。
【0189】
これに対し、第7実施形態によれば、第3膜ろ過ユニット300が第1非透過液の一部を受けてタンパク質を再度分離している。従って、第1膜ろ過ユニット100だけでなく、第3膜ろ過ユニット300も同様にタンパク質を分離している。これにより、第1膜ろ過ユニット100の目詰まりを緩和して、ろ過装置をより長時間に亘って連続運転することができる。
【0190】
また、調整バルブ308は流量計305の値が略一定となるように制御され、調整バルブ311は流量計322の値が略一定となるように制御される。よって、第1膜ろ過ユニット100からの第1非透過液取出量b=第3透過液量c2+第3非透過液取出量fとなるように、即ち、供給される量=取り出される量(b=c2+f)となるように、流量を設定することにより、第3膜ろ過ユニット300は、第1非透過液をほぼ定量で処理し、第3液量計314の値はほぼ一定となり、定流量ろ過を安定的に継続できる。
【0191】
また、第1および第2膜ろ過ユニット100、200でも、供給される量=取り出される量(a=b+c1、c1+c2=d+e)となるように流量を設定することにより、ろ過装置全体は、定流量ろ過を安定的に継続できる。尚、c1は、第1膜ろ過ユニット100から第2膜ろ過ユニット200への第1透過液量である。c2は、第3膜ろ過ユニット300から第2膜ろ過ユニット200への第3透過液量である。fは、第3膜ろ過ユニット300からの非透過液取出し量である。
【0192】
第7実施形態による第3膜ろ過ユニット300は、第1~第6実施形態のいずれに付加してもよい。これにより、第1~第6実施形態に第7実施形態の効果を付加することができる。
【0193】
(第8実施形態)
図19は、第8実施形態によるろ過装置の構成例を示す図である。第8実施形態の第3膜ろ過ユニット300は、加水部340をさらに備えている点で第7実施形態と異なる。第3加水部としての加水部340は、第3貯留槽301内の貯留液(第1非透過液)S3に水を供給する。
【0194】
第1および第3分離膜部104、304(例えば、UF膜)は、糖をタンパク質から分離して、タンパク質を含む第1非透過液を第1または第3貯留槽101、301に流す。タンパク質が第1および第3貯留槽101、301において濃縮されると、貯留液S1の流動性が低下し、第1または第3分離膜部104、304が短時間で目詰まりを起こしやすくなる。特に、第3貯留槽301は、第1膜ろ過ユニット100からの第1非透過液を貯留液S3として溜めるので、タンパク質の濃度が上昇しやすい。これでは、ろ過装置を長時間に亘って連続運転することが困難となってしまう。
【0195】
これに対し、第8実施形態では、加水部340が貯留液S3に加水する。これにより、貯留液S3の流動性が高くなり、貯留液S3が第3分離膜部304を通過し易くなる。第3分離膜部304の目詰まりが緩和され、貯留液S3の糖をタンパク質から長時間連続して分離することができる。即ち、ろ過装置をより長時間に亘って連続運転することができる。特に、サトウキビなどの絞り汁や、サトウキビバガスなどの非可食資源を原料として化学的処理もしくは酵素分解などを施した処理液等のように濁質の多い被処理液から糖を抽出する際には、加水部を付加することは有効である。
【0196】
尚、加水部340が供給する水量をgとすると、b+g=c2+fとなるように、流量を設定する。これにより、ろ過装置は、定流量ろ過を安定的に継続できる。また、水は貯留液(第1非透過液)S3に供給されればよく、加水部340は、第3貯留槽301、第1取出し管L13、第3送液管L30、非透過液返送管L35および/または透過液返送管L36のいずれに接続されていてもよい。
図19の破線では、水は、第1取出し管L13または第3送液管L30に供給されている。
【0197】
このように、第8実施形態によるろ過装置は、液量計114、214、314の測定値に基づいて貯留槽101、201、301内の貯留液S1~S3の液量を調整するだけでなく、加水部340が貯留液S3に加水する。これにより、第8実施形態によるろ過装置は、定流量ろ過をさらに安定的にかつ長時間継続運転することができる。
【0198】
第8実施形態のその他の構成は、第7実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第8実施形態は、第7実施形態の効果も得ることができる。
【0199】
第7および第8実施形態において、第3膜ろ過ユニット300は、第1膜ろ過ユニット100と第2膜ろ過ユニット200との間に設けられている。この場合、第3膜ろ過ユニット300は、前段の第1膜ろ過ユニット100の第1非透過液を受けて、後段の第2膜ろ過ユニット200へ第3透過液を送る。
図10、
図11のように複数の第1膜ろ過ユニット100が連続して接続されている場合、第3膜ろ過ユニット300は、連続する2つの第1膜ろ過ユニット100間に設けられてもよい。この場合、第3膜ろ過ユニット300は、前段の第1膜ろ過ユニット100の第1非透過液を受けて、後段の第1膜ろ過ユニット100へ第3透過液を送る。このような構成であっても、第7および第8実施形態の効果は失われない。
【0200】
(第9実施形態)
図20は、第9実施形態によるろ過装置の構成例を示す図である。第9実施形態では、第3膜ろ過ユニット300が第2膜ろ過ユニット200に並列に設けられている。第3膜ろ過ユニット300の内部構成は、第7実施形態のそれと基本的に同じである。
【0201】
第3膜ろ過ユニット300は、第2膜ろ過ユニット200からの第2非透過液を受けて、第3貯留槽301に溜める。
【0202】
第3分離膜部304は、第2非透過液を第3透過液と第3非透過液とに分離する。第3分離膜部304は、第2分離膜部204と同様に、例えば、MF膜、UF膜、NF膜、RO膜のいずれかのろ過膜でよい。しかし、第3分離膜部304は第2非透過液をろ過するので、第2分離膜部204の孔径と同じ孔径を有することが好ましい。これにより、第3分離膜部304は、第2分離膜部204で分離すべき成分を第2非透過液から再度分離することができる。
【0203】
例えば、第2および第3分離膜部204、304としてNF膜を用いた場合、第2分離膜部204は、第1透過液から糖成分(例えば、単糖、オリゴ糖)や芳香族化合物等を第2非透過液として、その他の成分(例えば、水分、塩類、低分子の有機酸等)を第2透過液として分離することができる。第3分離膜部304も、第2非透過液から糖を第3非透過液として、他の成分を第3透過液として分離することができる。
【0204】
第2膜ろ過ユニット200において、取出し・返送管L23へ送られた第2非透過液は、第2取出し管L24を介して第3膜ろ過ユニット300へ送られる。第3膜ろ過ユニット300において、第2非透過液のうち糖は、第3非透過液として第3非透過液管L31または取出し・返送管L33へ送られ、その他の成分は第3透過液として第3透過液管L32を介して第3膜ろ過ユニット300の外部へ取り出される。第3透過液は、第2透過液とともに製品として用いられたり、あるいは、廃棄される。
【0205】
ここで、第2貯留槽201だけでなく、第3貯留槽301も、第2膜ろ過ユニット200からの第2非透過液を貯留する。これにより、第2膜ろ過ユニット200だけでなく、第3膜ろ過ユニット300も、第1透過液および第2非透過液から糖を分離して濃縮させる。これにより、第1透過液に含まれる糖の純度が高くなる。また、第2貯留槽201だけでなく、第3貯留槽301も、被処理液から水分、塩類、低分子の有機酸等を透過させる。従って、糖の純度がさらに高くなる。
【0206】
また、調整バルブ308は流量計305の値が略一定となるように制御され、調整バルブ311は流量計322の値が略一定となるように制御される。よって、第2膜ろ過ユニット200からの第2非透過液取出量d=第3透過液量h+第3非透過液取出量fとなるように、即ち、供給される量=取り出される量(d=h+f)となるように、流量を設定することにより、第3膜ろ過ユニット300は、第2非透過液をほぼ定量で処理し、第3液量計314の値はほぼ一定となり、定流量ろ過を安定的に継続できる。
【0207】
例えば、第3液量計314が液面計であるとする。第3貯留槽301内の第1非透過液S3の液面が下限レベルLL3よりも低くなった場合、第3制御部315は、返送バルブ306を制御して第3透過液を透過液返送管L36へ流し、第3貯留槽301へ戻す。第3制御部315は、第3取出バルブ311および返送バルブ323を制御して、取出し・返送管L33および非透過液返送管L35を介して第3非透過液を第3貯留槽301へ戻す。このとき、非透過液バルブ308は開いており、返送バルブ323は取出し・返送管L33と非透過液返送管L35とを接続する。これにより、第3送液管L30からの第3透過液および第3非透過液は、全て第3貯留槽301へ戻される。即ち、第3膜ろ過ユニット300は、ろ過の送液を停止し、貯留液S3を第3貯留槽301と第3分離膜部304との間で循環させる。これによって、膜の流量の制御は継続したまま第3貯留槽301の液量を調整できる。特にろ過時に高圧を必要とする場合、膜の流量の制御を持続することで、ろ過の送液再開時にすぐに流量を安定させることができ、安定した定流量ろ過を行うことができるため好ましい。また、第3透過液または第3非透過液を循環させることによって第3貯留槽301の液面を上昇させることができる。また、ろ過の送液を停止することによって第3分離膜部304の目詰まりを抑制し、第3分離膜部304をより長時間安定して用いることができる。一方、第3貯留槽301内の液面が上限レベルUL3よりも高くなった場合、第2膜ろ過ユニット200から第3貯留槽301への第2非透過液の供給を減少させ、あるいは、停止すればよい。
【0208】
また、第2分離膜部204(例えば、NF膜またはRO膜)は、糖を分離して、糖を第2非透過液として第2送液管L20および第3貯留槽301へ流す。糖が第2送液管L20において濃縮されると、第2分離膜部204が短時間で目詰まりを起こす。これでは、ろ過装置を長時間に亘って連続運転することが困難となってしまう。
【0209】
これに対し、第9実施形態によれば、第3膜ろ過ユニット300が第2非透過液の一部を受けて糖を再度分離している。従って、第2膜ろ過ユニット200だけでなく、第3膜ろ過ユニット300も同様に糖を分離している。これにより、第2膜ろ過ユニット200の目詰まりを緩和して、ろ過装置をより長時間に亘って連続運転することができる。
【0210】
第3膜ろ過ユニット300の内部構成およびその動作は、第7実施形態の第3膜ろ過ユニット300の内部構成およびその動作と同様でよい。
【0211】
ただし、第2取出し管L24からの第2非透過液の流量(d)、第3取出し管L34から取り出される第3非透過液の流量(第3非透過液取出量f)、第3透過液管L32から第3膜ろ過ユニット300の外部へ流れる第3透過液の流量(第3透過液量h)が一定である場合、第3送液管L30および第3非透過液管L31内の第2非透過液の糖濃度は、濃縮された後、略一定となる。従って、第3取出し管L34から取り出される第3非透過液は、第2取出し管L24からの第2非透過液よりも濃縮されているが、略一定の糖濃度を有する。即ち、第3非透過液は、略一定の糖濃度を有する濃縮液であり、かつ、第3膜ろ過ユニット300から略定流量で取り出される。
【0212】
このように、第1および第2膜ろ過ユニット100、200は、第3実施形態のそれらと同様の構成を有し、さらに、第3膜ろ過ユニット300が第2膜ろ過ユニット200から第2非透過液の一部を受けて、分離後の第3非透過液および第3透過液を外部へ供給している。これにより、第2および第3膜ろ過ユニット200、300がともに糖を他の成分から分離することができる。その結果、ろ過装置は、被処理液からの糖の純度を高めることができる。
【0213】
また、供給される量=取り出される量(d=h+f)となるように流量を設定することにより、第3膜ろ過ユニット300は、定流量ろ過を安定的に継続できる。また、第1および第2膜ろ過ユニット100、200でも、供給される量=取り出される量(a=b+c、c=d+e)となるように流量を設定することにより、ろ過装置全体は、定流量ろ過を安定的に継続できる。
【0214】
第9実施形態による第3膜ろ過ユニット300は、第1~第8実施形態のいずれに付加してもよい。これにより、第1~第8実施形態に第9実施形態の効果を付加することができる。
【0215】
(第10実施形態)
図21は、第10実施形態によるろ過装置の構成例を示す図である。第10実施形態の第3膜ろ過ユニット300は、加水部340をさらに備えている点で第9実施形態と異なる。第3加水部としての加水部340は、第3貯留槽301内の第2非透過液に水を供給する。
【0216】
第2および第3分離膜部204、304(例えば、NF膜)は、糖を他の成分から分離して、糖を第1非透過液として第2および第3送液管L20およびL30にそれぞれ流す。糖が第2および第3送液管L20およびL30において濃縮されると、第2または第3分離膜部204、304が短時間で目詰まりを起こす。特に、第3貯留槽301は、第2膜ろ過ユニット200からの第2非透過液を溜めるので、糖の濃度が上昇しやすい。これでは、ろ過装置を長時間に亘って連続運転することが困難となってしまう。
【0217】
これに対し、第10実施形態では、加水部340が第3貯留槽301に加水する。これにより、貯留液S3の流動性が高くなり、貯留液S3が第3分離膜部304を通過し易くなる。第3分離膜部304は、貯留液S3の糖を他の成分から長時間連続して分離することができる。これにより、第3膜ろ過ユニット300の目詰まりを緩和して、ろ過装置をより長時間に亘って連続運転することができる。また、加水後に再度濃縮することで、糖とその他の成分を分離する効果が高まり、糖の純度が高くなる。特に、サトウキビなどの絞り汁や、サトウキビバガスなどの非可食資源を原料として化学的処理もしくは酵素分解などを施した処理液等のように濁質や糖以外の成分(塩類、低分子の有機酸等)が多い被処理液から糖を抽出する際には、加水部を付加することは有効である。
【0218】
加水部340が供給する水量をgとすると、d+g=f+hとなるように、流量を設定する。これにより、ろ過装置は、定流量ろ過を安定的に継続できる。また、水は貯留液(第2非透過液)S3に供給されればよく、加水部340は、第3貯留槽301、第2取出し管L24、第3送液管L30、非透過液返送管L35および/または透過液返送管L36のいずれに接続されていてもよい。
図21の破線では、水は、第2取出し管L24または第3送液管L30に供給されている。
【0219】
このように、第10実施形態によるろ過装置は、液量計114、214、314の測定値に基づいて貯留槽101、201、301内の貯留液S1~S3の液量を調整するだけでなく、加水部340が貯留液S3に加水する。これにより、第10実施形態によるろ過装置は、定流量ろ過をさらに安定的にかつ長時間継続運転することができる。
【0220】
第10実施形態のその他の構成は、第9実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第10実施形態は、第9実施形態の効果も得ることができる。
【0221】
(第11実施形態)
図22は、第11実施形態によるろ過装置の構成例を示す図である。第11実施形態の第1膜ろ過ユニット100は、加水部140をさらに備えている点で第3実施形態と異なる。第1加水部としての加水部140は、第1貯留槽101内の貯留液S1に水を供給する。
【0222】
第1分離膜部104(例えば、UF膜)は、タンパク質を糖から分離して、タンパク質を第1非透過液として第1送液管L10に戻す。タンパク質が第1送液管L10において濃縮されると、第1分離膜部104が短時間で目詰まりを起こすことがある。これでは、ろ過装置を長時間に亘って連続運転することが困難となってしまう。
【0223】
これに対し、第11実施形態では、加水部140が第1貯留槽101に加水する。これにより、貯留液S1の流動性が高くなり、貯留液S1が第1分離膜部104を通過し易くなる。第1分離膜部104の目詰まりが緩和され、貯留液S1のタンパク質を長時間連続して分離することができる。即ち、ろ過装置をより長時間に亘って連続運転することができる。
【0224】
尚、加水部140が供給する水量をgとすると、a+g=b+cとなるように、流量を設定する。これにより、ろ過装置は、定流量ろ過を安定的に継続できる。また、水は貯留液S1に供給されればよく、加水部140は、第1貯留槽101、被処理液管L1、第1送液管L10、非透過液返送管L15および/または透過液返送管L16のいずれに接続されていてもよい。
図22の破線では、水は、被処理液管L1または第1送液管L10に供給されている。
【0225】
このように、第11実施形態によるろ過装置は、液量計114、214の測定値に基づいて貯留槽101、201内の貯留液S1、S2の液量を調整するだけでなく、加水部140が貯留液S1に加水する。これにより、第11実施形態によるろ過装置は、定流量ろ過をさらに安定的にかつ長時間継続運転することができる。
【0226】
第11実施形態のその他の構成は、第3実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第11実施形態は、第3実施形態の効果も得ることができる。また、加水部140は、第1~第10実施形態のいずれに付加してもよい。これにより、第1~第10実施形態に第11実施形態の効果を付加することができる。
【0227】
(第12実施形態)
図23は、第12実施形態によるろ過装置の構成例を示す図である。第12実施形態の第2膜ろ過ユニット200は、加水部240をさらに備えている点で第3実施形態と異なる。第2加水部としての加水部240は、第2貯留槽201内の貯留液(第1非透過液)S2に水を供給する。
【0228】
第2分離膜部204(例えば、NF膜またはRO膜)は、糖をその他の成分から分離して、糖を第2非透過液として第2送液管L20に戻す。糖が第2送液管L20において濃縮されると、第2分離膜部204が短時間で目詰まりを起こす。これでは、ろ過装置を長時間に亘って連続運転することが困難となってしまう。
【0229】
これに対し、第12実施形態では、加水部240が第2貯留槽201に加水する。これにより、貯留液S2の流動性が高くなり、貯留液S2が第2分離膜部204を通過し易くなる。第2分離膜部204の目詰まりが緩和され、貯留液S2の糖を長時間連続して分離することができる。即ち、ろ過装置をより長時間に亘って連続運転することができる。
【0230】
尚、加水部240が供給する水量をgとすると、c+g=d+eとなるように、流量を設定する。これにより、ろ過装置は、定流量ろ過を安定的に継続できる。また、水は貯留液S2または第1非透過液に供給されればよく、加水部240は、第2貯留槽201、第1透過液管L12、第2送液管L20、非透過液返送管L25および/または透過液返送管L26のいずれに接続されていてもよい。
図23の破線では、水は、第1透過液管L12または第2送液管L20に供給されている。
【0231】
第12実施形態のその他の構成は、第3実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第12実施形態は、第3実施形態の効果も得ることができる。また、加水部240は、第1~第11実施形態のいずれに付加してもよい。これにより、第1~第11実施形態に第12実施形態の効果を付加することができる。
【0232】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0233】
100、200 膜ろ過ユニット、101、201貯留槽、103、203送液ポンプ、104、204 分離膜部、105、205流量計、107 非透過液バルブ、108、208 調整バルブ、111、221 取出しバルブ、112 洗浄液槽、113 洗浄ポンプ、114 、214 量計、115、215 制御部、L1 被処理液管、L10、L20 送液管、L11、L21 非透過液管、L12、L22 透過液管、L13、L24 取出し管、L115 洗浄管、L25 非透過液返送管、L26 透過液返送管