(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】給油所システム
(51)【国際特許分類】
B67D 7/34 20100101AFI20220623BHJP
【FI】
B67D7/34
(21)【出願番号】P 2020163050
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2020-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2019225226
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】田中 和則
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-100289(JP,A)
【文献】特開2018-082280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0106196(US,A1)
【文献】特開2020-111387(JP,A)
【文献】特開2017-163400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、
該給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて該給油装置を給油可能状態にする給油許可装置と、
給油設定が行われた給油装置によって給油を行う顧客の安全が確認できる領域に位置する場合にのみ、該給油装置に給油許可信号を出力可能となる可搬式給油許可端末とを備え、
前記給油許可装置は、前記可搬式給油許可端末から給油許可信号が入力されると、前記給油装置を給油可能状態にする
給油所システムであって、
前記可搬式給油許可端末に備えられたGPS機能により、前記可搬式給油許可端末が前記給油設定が行われた給油装置によって給油を行う顧客の安全が確認できる領域に位置するか否かを判断し、前記可搬式給油許可端末は該領域に位置する場合にのみ、前記給油装置に給油許可信号を出力可能となることを特徴とする給油所システム。
【請求項2】
給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、
該給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて該給油装置を給油可能状態にする給油許可装置と、
給油設定が行われた給油装置によって給油を行う顧客の安全が確認できる領域に位置する場合にのみ、該給油装置に給油許可信号を出力可能となる可搬式給油許可端末と、
該可搬式給油許可端末から給油許可信号を受けて該給油許可信号を前記給油許可装置に転送する端末制御装置とを備え、
前記給油許可装置は、前記端末制御装置から給油許可信号が入力されると、前記給油装置を給油可能状態にする
給油所システムであって、
前記可搬式給油許可端末に備えられたGPS機能により、前記可搬式給油許可端末が前記給油設定が行われた給油装置によって給油を行う顧客の安全が確認できる領域に位置するか否かを判断し、前記可搬式給油許可端末は該領域に位置する場合にのみ、前記給油装置に給油許可信号を出力可能となることを特徴とする給油所システム。
【請求項3】
前記給油設定が行われた給油装置によって給油を行う顧客の安全が確認できる領域に電波を発信する電波発信手段を備え、前記可搬式給油許可端末は、該電波発信手段から電波を受信すると給油許可信号を出力可能となることを特徴とする請求項1又は2に記載の給油所システム。
【請求項4】
前記電波発信手段は、前記給油装置に設けられたビーコンであって、前記給油装置によって給油を行う顧客の安全が確認できる領域は、該ビーコンの電波照射範囲であることを特徴とする請求項3に記載の給油所システム。
【請求項5】
前記可搬式給油許可端末は、前記給油許可装置から給油要求表示信号を受けると、その旨を油種毎に色分けして表示することを特徴とする請求項1乃至
4のいずれかに記載の給油所システム。
【請求項6】
前記可搬式給油許可端末は、前記給油許可装置から給油要求表示信号を受けると、その旨を優先順位に応じて拡大表示することを特徴とする請求項1乃至
5のいずれかに記載の給油所システム。
【請求項7】
前記可搬式給油許可端末は、前記給油許可信号を出力するために複数の操作を要することを特徴とする請求項1乃至
6のいずれかに記載の給油所システム。
【請求項8】
前記給油装置の給油制御装置から給油データを受けて売上管理を行うPOS端末を備えることを特徴とする請求項1乃至
7のいずれかに記載の給油所システム。
【請求項9】
前記給油許可装置は、前記給油装置の給油制御装置から給油データを受けて売上管理を行うPOS端末機能を有することを特徴とする請求項1乃至
7のいずれかに記載の給油所システム。
【請求項10】
前記給油装置の給油制御装置から給油データを受けて売上管理を行うPOS端末を備え、該POS端末は、前記給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて該給油装置を給油可能状態にする給油許可装置機能を有することを特徴とする請求項
9に記載の給油所システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油所システムに関し、特に、セルフサービス方式の給油所において顧客の安全を確保する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人件費削減等の目的で給油作業、窓拭き等のサービス作業、及び給油料金の精算作業を顧客自身が行うセルフサービス方式の給油所が急増している。このようなセルフサービス方式の給油所では、事務所内に集中制御装置(セルフサービスコンソール:SSC)が設置されて給油所作業員が待機し、顧客の操作により給油装置から給油要求があった場合、当該給油エリアの安全を目視確認した後にSSCを操作して給油を許可する。
【0003】
一方、セルフサービス方式の給油所において、セルフサービスによる給油に不慣れな顧客に対して説明を行う必要が生じても、給油所作業員が少ない場合には、上記作業を行うためにSSCの前から離れることができないことも多く、円滑にサービスを提供できないおそれがある。
【0004】
そこで、本出願人は、特許文献1において、複数台の給油装置と、該給油装置を制御するセルフコンソール及びPOS端末を有するセルフ給油管理システムにおいて、携帯端末による無線で給油許可信号を出力することで給油装置による給油を許可することが可能な給油管理システムを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記発明は有効であるが、無線により給油許可信号を出力することができるため、顧客の安全を確認できない場合でも給油が許可される可能性を否定できなかった。
【0007】
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたものであって、顧客の安全確認を遵守した上で給油を許可することができる給油所システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、該給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて該給油装置を給油可能状態にする給油許可装置と、給油設定が行われた給油装置によって給油を行う顧客の安全が確認できる領域に位置する場合にのみ、該給油装置に給油許可信号を出力可能となる可搬式給油許可端末とを備え、前記給油許可装置は、前記可搬式給油許可端末から給油許可信号が入力されると、前記給油装置を給油可能状態にする給油所システムであって、前記可搬式給油許可端末に備えられたGPS機能により、該可搬式給油許可端末が前記給油設定が行われた給油装置によって給油を行う顧客の安全が確認できる領域に位置するか否かを判断し、該可搬式給油許可端末は該領域に位置する場合にのみ、前記給油装置に給油許可信号を出力可能となることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、給油設定を行うデータ入出力機及び給油制御装置を有する給油装置と、該給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて該給油装置を給油可能状態にする給油許可装置と、給油設定が行われた給油装置によって給油を行う顧客の安全が確認できる領域に位置する場合にのみ、該給油装置に給油許可信号を出力可能となる可搬式給油許可端末と、該可搬式給油許可端末から給油許可信号を受けて該給油許可信号を前記給油許可装置に転送する端末制御装置とを備え、前記給油許可装置は、前記端末制御装置から給油許可信号が入力されると、前記給油装置を給油可能状態にする給油所システムであって、前記可搬式給油許可端末に備えられたGPS機能により、該可搬式給油許可端末が前記給油設定が行われた給油装置によって給油を行う顧客の安全が確認できる領域に位置するか否かを判断し、該可搬式給油許可端末は該領域に位置する場合にのみ、前記給油装置に給油許可信号を出力可能となることを特徴とする。
【0010】
上記両発明によれば、可搬式給油許可端末における給油許可信号の出力条件を、給油設定が行われた給油装置によって給油を行う顧客の安全が確認できる領域に位置する場合にのみとすることで、可搬式給油許可端末を携帯する給油所作業員が給油装置の近傍まで移動することになり、必然的に顧客の安全が確認される。また、端末制御装置を設ければ、可搬式給油許可端末と給油許可装置が直接通信できない場合でも、可搬式給油許可端末からの給油許可信号を給油許可装置に入力することができる。
【0011】
上記給油所システムは、前記給油設定が行われた給油装置によって給油を行う顧客の安全が確認できる領域に発信する電波発信手段を備え、前記可搬式給油許可端末は、該電波発信手段から電波を受信すると給油許可信号を出力可能とすることができる。また、前記電波発信手段を前記給油装置に設けられたビーコンとし、前記給油装置によって給油を行う顧客の安全が確認できる領域を該ビーコンの電波照射範囲とすることで、顧客の安全を確実に確認することができる。
【0013】
上記給油所システムにおいて、前記可搬式給油許可端末は、前記給油許可装置から給油要求表示信号を受けると、その旨を油種毎に色分けして表示したり、その旨を優先順位に応じて拡大表示することで、給油所作業員が給油所の状況を把握し易くなり、利便性が向上する。
【0014】
上記給油所システムにおいて、前記可搬式給油許可端末は、前記給油許可信号を出力するために複数の操作を要することで、給油所作業員の誤操作による信号の出力を防止することができる。
【0015】
上記給油所システムは、前記給油装置の給油制御装置から給油データを受けて売上管理を行うPOS端末を備えることで、給油所の運営を効率よく行うことができる。
【0016】
また、前記給油許可装置が前記給油装置の給油制御装置から給油データを受けて売上管理を行うPOS端末機能を有することで、機器構成を簡略化しながら、給油所の運営を効率よく行うことができる。
【0017】
前記給油装置の給油制御装置から給油データを受けて売上管理を行うPOS端末を備え、該POS端末は、前記給油装置の給油制御装置から給油要求信号を受けて該給油装置を給油可能状態にする給油許可装置機能を有することで、POS端末又は給油許可装置のいずれか一方が故障した場合でも、給油所システムの運転を継続して行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、顧客の安全確認を遵守した上で給油を許可することなどが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る給油所システムの第1の実施形態を示す全体構成図である。
【
図2】
図1に示す給油装置のビーコンの通信範囲を示す概略図である。
【
図3】
図1に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図1に示す可搬式給油許可端末の表示画面を示す概略図である。
【
図5】本発明に係る給油所システムの第2の実施形態を示す全体構成図である。
【
図6】
図5に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
【
図7】本発明に係る給油所システムの第3の実施形態を示す全体構成図である。
【
図8】
図7に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
【
図9】本発明に係る給油所システムの第4の実施形態を示す全体構成図である。
【
図10】
図9に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1及び
図2は、本発明に係る給油所システムの第1の実施形態を示し、この給油所システム1は、複数の給油装置2(2A、2B)と、灯油給油装置3と、事務所10内に配置されるPOS端末(以下「POS」という。)4及びSSC(セルフサービスコンソール、給油許可装置)5と、給油装置2及び灯油給油装置3の各々の所定の通信範囲B1~B3内に電波を発信するビーコン(不図示)と、給油所作業員が携帯する可搬式給油許可端末6とで構成される。尚、
図2に示すように、各給油装置2の表裏と、灯油給油装置3の表には、給油エリアA1~A6が設けられる。また、同図においてビーコンの通信範囲を示すB1~B3は、各ビーコンのIDでもある。尚、ビーコン以外の電波発信手段を用いることもできる。
【0022】
給油装置2は、POS4やSSC5に給油設定データを出力するデータ入出力機2aと、給油許可信号が入力されることで給油装置2を給油可能な状態に制御する給油制御装置2bと、その他、表示器や、通常の給油装置に設けられる給油系統等を備える。
【0023】
POS4は、給油毎の売上げ管理や、日報及び月報の管理、給油許可管理等を行うものであって、既存の店内に設置されるPOSでも、クラウドに情報を集約するものでもどちらでもよい。
【0024】
SSC5は、可搬式給油許可端末6から給油許可信号を受けた際に、給油装置2の給油制御装置2bに給油許可信号を出力するために設けられる。
【0025】
可搬式給油許可端末6は、給油設定がされた給油装置2から給油要求信号が入力された際に、給油設定がされた給油装置2の近傍のビーコンの通信範囲B1~B3内に限り給油許可信号を出力可能に構成される。これにより、給油所作業員が給油を行う顧客の安全確認を遵守することができる。
【0026】
次に、上記構成を有する給油所システム1の動作について、
図1~
図3を参照しながら説明する。尚、以下のフローチャートにおいて、ルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0027】
データ入出力機2aのステップS1において、顧客による給油設定が終了すると(ステップS1;Yes)、POS4及びSSC5に給油設定データを出力し(ステップS2)、データ入出力機2aの動作を終了する。
【0028】
給油装置2のステップS11において、顧客がノズル掛けから給油ノズルを外してノズルSW(スイッチ)がONになると(ステップS11;Yes)、給油要求信号をPOS4に出力する(ステップS12)。
【0029】
ステップS31において、データ入出力機2aから給油設定データが入力され(ステップS31;Yes)、ステップS32において、給油装置2から給油要求信号が入力されると(ステップS32;Yes)、POS4は給油要求表示信号をSSC5に出力する(ステップS33)。
【0030】
ステップS41において、データ入出力機2aから給油設定データが入力され(ステップS41;Yes)、ステップS42において、POS4から給油要求表示信号が入力されると(ステップS42;Yes)、SSC5は可搬式給油許可端末6に給油要求表示信号を出力する(ステップS43)。
【0031】
ステップS51において、SSC5から給油要求表示信号が入力された可搬式給油許可端末6は(ステップS51;Yes)、
図4(a)に示すように、画面に各給油エリアA1~A6の状態を表示する(ステップS52)。ここで、先に給油要求がなされた給油エリアのアイコンを拡大表示したり、油種毎に給油エリアのアイコンを色分けして表示することができ、文字列でその旨を報知することもできる。尚、各油種の対応色は、軽油:薄灰色、レギュラー:白色、ハイオク:濃灰色であり、黒色は無操作であることを示す。
【0032】
図4(a)において、給油エリアA4のアイコンは拡大して表示され、白色であるため、先に給油許可の判定をすべきもので、油種はレギュラーである。給油エリアA1は濃灰色でハイオクを給油中であるため、給油許可の判定が不要である。また、給油エリアA3、A5、A6は黒色で無操作であるため、次に給油許可の判定をすべきなのは給油エリアA2であり、薄灰色であるため油種は軽油である。
【0033】
給油所作業員が可搬式給油許可端末6の給油エリアA4アイコンを押下すると、
図4(b)に示すように、給油エリアの詳細が表示される。そして、給油装置2の給油エリアA4に対応するビーコンの通信範囲B1又はB2において、顧客の安全が確認できた場合には、画面右下の給油許可釦(〇)を押下する。尚、給油エリアに対応するビーコンID(通信範囲)を表1に示す。
【0034】
【0035】
尚、給油許可釦を押下した後に顧客の安全が危ぶまれる場合には、
図4(c)に示すように、画面右下に新たに表示される個別停止釦(×)を押下することで、特定の給油エリアの給油を停止させることができる。また、何らかの事故や事件が発生し、給油所全体で給油を一斉に停止させなければならない場合には、
図4(a)~(c)の画面上部に表示される一斉停止釦を押下する。この一斉停止釦は緊急時専用であるため、
図4(d)に示すように、確認画面を表示し、一斉停止釦を押下した後、確認釦(〇)を押下しないと実行されないように構成される。
【0036】
可搬式給油許可端末6のステップS53において、給油所作業員が携帯する可搬式給油許可端末6が給油装置2の給油エリアA4に対応するビーコンの通信範囲B1又はB2内において、給油所作業員が給油エリアA4の顧客の安全を確認して可搬式給油許可端末6の給油許可釦(
図4(b))を押下すると(ステップS53;Yes)、可搬式給油許可端末6は給油許可信号をSSC5に出力する(ステップS54)。
【0037】
ステップS44において、可搬式給油許可端末6から給油許可信号が入力されたSSC5は(ステップS44;Yes)、給油設定データ及び給油許可信号を給油装置2に出力し、動作を終了する。
【0038】
ステップS13において、給油設定データ及び給油許可信号が入力された給油装置2は、給油制御装置2bにより、SSC5から入力された給油設定データの下で給油可能な状態となり、表示器(不図示)にリセット信号を送信することで前回なされた給油に関する情報の帰零(リセット)を行い、給油ポンプを駆動する(ステップS14)。
【0039】
給油ポンプがONになることで給油ノズルより燃料油が吐出され、これにより流量パルス信号が表示器に出力され(ステップS15;Yes)、表示器において給油量の表示(計数表示)がなされる(ステップS16)。尚、流量パルス信号が出力されない場合には(ステップS15;No)、ノズルSWがOFFでない限り(ステップS17;No)、すなわち給油が中止又は終了するまで流量パルス信号の出力を待つ。
【0040】
ステップS17において、顧客が給油ノズルをノズル掛けに戻すことでノズルSWがOFFになると(ステップS17;Yes)、給油ポンプを停止し(ステップS18)、POS4に給油データを出力し(ステップS19)、給油装置2の動作を終了する。
【0041】
ステップS34で給油装置2から給油データが入力されたPOS4は(ステップS34;Yes)、売上げ管理のために入力された給油データを保存し(ステップS35)、動作を終了する。
【0042】
以上のように、本実施の形態によれば、給油装置2の特定の給油エリアが給油可能状態になる条件を、特定の給油エリアの近傍のビーコンの通信範囲において給油所作業員が可搬式給油許可端末6の給油許可釦を押下した場合に限ったため、可搬式給油許可端末6を携帯する給油所作業員が給油装置2の近傍まで移動することになり、必然的に顧客の安全が確認される。
【0043】
尚、上記実施の形態において、顧客とのトラブルを防止するため、可搬式給油許可端末6に拡大表示された給油エリアから、すなわち先に給油要求を出力した給油装置2の給油エリアから給油許可を判断すると説明したが、特別な事情がある場合等には、給油要求を出力した順番に関わらず給油許可の判断を行ってもよい。また、灯油給油装置3の給油要求や給油許可の判断については給油装置2と同様であり、説明を省略する。
【0044】
次に、本発明に係る給油所システムの第2の実施形態について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
【0045】
図5に示す給油所システム11は、可搬式給油許可端末6とSSC5間の通信を確立するための端末制御装置12を有する点で上記給油所システム1と相違し、その他の構成は給油所システム1と同一である。これは、SSC5と給油装置2及び灯油給油装置3間の通信規格は標準規格であるのに対し、POS4とSSC5の通信規格は特段の定めがなく、SSC5と給油装置2及び灯油給油装置3間の通信規格と、POS4とSSC5の通信規格が異なる場合に端末制御装置12が必要となる。
【0046】
上記構成を有する給油所システム11は、
図3と同様に、ステップS1、S2、S11、S12、S31~S33、S41、S42の動作により、給油設定がされた給油装置2の給油エリアの給油要求表示信号がPOS4からSSC5に入力されると(ステップS42;Yes)、SSC5は給油要求表示信号及び給油設定データを端末制御装置12に出力する(ステップS61)。ステップS62において、SSC5から給油要求表示信号及び給油設定データが入力されると(ステップS62;Yes)、端末制御装置12は、給油要求表示信号を可搬式給油許可端末6に出力する(ステップS63)。
【0047】
上記ステップS63の後は、
図3と同様に、ステップS51~ステップS53の動作により、給油設定がされた給油装置2の給油エリアの近傍に給油所作業員が移動し、給油エリアの安全を確認した上で可搬式給油許可端末6の給油許可釦を押下すると(ステップS53;Yes)、可搬式給油許可端末6は給油許可信号を端末制御装置12に出力する(ステップS64)。ステップS65において、可搬式給油許可端末6から給油許可信号が入力された端末制御装置12は(ステップS65;Yes)、給油設定データ及び給油許可信号を給油装置2に出力し、動作を終了する。
【0048】
上記ステップS66の後は、
図3と同様に、ステップS13~S19、S34、S35の動作により、端末制御装置12から入力された給油設定データの下で通常通り給油を行い、給油データをPOS4に保存して動作を終了する。
【0049】
以上のように、本実施の形態によれば、POS4とSSC5の通信規格に関わらず、上記第1の実施形態と同様に、可搬式給油許可端末6を携帯する給油所作業員が給油装置2の近傍まで移動することになり、必然的に顧客の安全が確認される。
【0050】
次に、本発明に係る給油所システムの第3の実施形態について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。
【0051】
図7に示す給油所システム21は、
図5に示す給油所システム11において、POS4を削除し、POS端末機能を有するSSC15を設けたことで給油所システム11と相違し、その他の構成は給油所システム11と同一である。すなわち、SSC15は、給油装置2の給油制御装置2bから給油データを受けて売上管理も行う。
【0052】
次に、上記構成を有する給油所システム21の動作について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。
【0053】
データ入出力機2aのステップS101において、顧客による給油設定が終了すると(ステップS101;Yes)、端末制御装置12に給油設定データを出力する(ステップS102)。
【0054】
端末制御装置12は、データ入出力機2aからの給油設定データの入力があると(ステップS141;Yes)、SSC15へ入力された給油設定データを出力する(ステップS142)。
【0055】
給油装置2のステップS111において、顧客がノズル掛けから給油ノズルを外してノズルSW(スイッチ)がONになると(ステップS111;Yes)、給油装置2は油種・給油要求信号を端末制御装置12に出力する(ステップS112)。
【0056】
端末制御装置12は、給油装置2からの油種・給油要求信号の入力があると(ステップS143;Yes)、SSC15へ油種・給油要求信号を出力する(ステップS144)。
【0057】
SSC15のステップS121において、端末制御装置12から給油設定データが入力され(ステップS121;Yes)、ステップS122において、端末制御装置12から油種・給油要求信号が入力されると(ステップS122;Yes)、SSC15は給油要求表示信号を端末制御装置12に出力する(ステップS123)。
【0058】
ステップS145において、SSC15から給油要求表示信号が入力されると(ステップS145;Yes)、端末制御装置12は、給油要求表示信号を可搬式給油許可端末6に出力する(ステップS146)。
【0059】
ステップS146の後は、ステップS131~ステップS134の動作により、給油設定がされた給油装置2の給油エリアの近傍に給油所作業員が移動し、給油エリアの安全を確認した上で可搬式給油許可端末6の給油許可釦を押下すると、可搬式給油許可端末6は給油許可信号を端末制御装置12に出力する(ステップS134)。ステップS147において、可搬式給油許可端末6から給油許可信号が入力された端末制御装置12は(ステップS147;Yes)、給油許可信号をSSC15に出力する(ステップS148)。
【0060】
SSC15は、端末制御装置12から給油許可信号が入力されると(ステップS124;Yes)、ステップS125において、データ入出力機2aのステップS101で入力された油種に対応する給油ノズルが取り外されているか否かを判定し、正しい給油ノズルが取り外されている場合には(ステップS125;Yes)、端末制御装置12に給油許可信号を出力する。正しい給油ノズルが取り外されていない場合には(ステップS125;No)、その旨を報知して(ステップS129)、動作を終了する。
【0061】
端末制御装置12は、SSC15から給油許可信号が入力されると(ステップS149;Yes)、給油許可信号を給油装置2に出力する(ステップS150)。その後、ステップS113~S119、S151、S152、S127、S128の動作により、端末制御装置12から入力された給油設定データの下で通常通り給油を行い、給油データをSSC15に保存して動作を終了する。
【0062】
以上のように、本実施の形態によれば、可搬式給油許可端末6を携帯する給油所作業員が給油装置2の近傍まで移動することになり、必然的に顧客の安全が確認されると共に、POS4を削除し、POS端末機能を有するSSC15を設けたことで、機器構成を簡略化しながら、給油所の運営を効率よく行うことができる。
【0063】
次に、本発明に係る給油所システムの第4の実施形態について、
図9及び
図10を参照しながら説明する。
【0064】
図9に示す給油所システム31は、
図5に示す給油所システム11において、POS4に代えてSSC機能を有するPOS24を設け、SSC5に代えてPOS端末機能を有するSSC25を設けたことで給油所システム11と相違し、その他の構成は給油所システム11と同一である。すなわち、POS24は、給油装置2の給油制御装置2bから給油データを受けて売上管理を行うと共に、給油装置2の給油制御装置2bから給油要求信号を受けて給油装置2を給油可能状態にする給油許可装置機能を有する。また、SSC25は、給油装置2の給油制御装置2bから給油要求信号を受けて給油装置2を給油可能状態にする給油許可装置機能を有すると共に、給油装置2の給油制御装置2bから給油データを受けて売上管理も行う。
【0065】
上記構成を有する給油所システム31は、
図8と同様の動作を行うと共に、端末制御装置12は、データ入出力機2aからの給油設定データの入力があると(ステップS141;Yes)、POS24及びSSC25へ入力された給油設定データを出力し(ステップS142)、端末制御装置12から給油設定データが入力されたPOS24が端末制御装置12へ給油要求表示信号を出力する(ステップS162)。また、POS24は、端末制御装置12から給油データの入力があると(ステップS163;Yes)、給油データを保存して(ステップS164)動作を終了する。
【0066】
本実施の形態によれば、可搬式給油許可端末6を携帯する給油所作業員が給油装置2の近傍まで移動することになり、必然的に顧客の安全が確認されると共に、SSC機能を有するPOS24と、POS端末機能を有するSSC25を設けたことで、POS24又はSSC25のいずれか一方が故障した場合でも、給油所システム31の運転を継続して行うことができる。
【0067】
尚、上記実施の形態では、可搬式給油許可端末6がビーコン等、給油装置2を含む所定範囲内の領域に電波を発信する電波発信手段から電波を受信すると給油許可信号を出力可能としたが、可搬式給油許可端末6に備えられたGPS機能により、給油設定が行われた給油装置2を含む所定範囲内の領域に可搬式給油許可端末6が位置するか否かを判断し、所定範囲内の領域に位置する場合にのみ、給油装置2に給油許可信号を出力可能とする。
【0068】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0069】
1 給油所システム
2(2A、2B) 給油装置
2a データ入出力機
2b 給油制御装置
3 灯油給油装置
4 POS
5 SSC
6 可搬式給油許可端末
10 事務所
11 給油所システム
12 端末制御装置
15 SSC
21 給油所システム
24 POS
25 SSC
31 給油所システム