(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】食器洗浄機用ブースター
(51)【国際特許分類】
A47L 15/42 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
A47L15/42 E
A47L15/42 P
(21)【出願番号】P 2018025284
(22)【出願日】2018-02-15
【審査請求日】2020-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】木内 直樹
(72)【発明者】
【氏名】雉本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 雄大
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-299662(JP,A)
【文献】実開昭61-194472(JP,U)
【文献】特開2011-050732(JP,A)
【文献】特開平09-299312(JP,A)
【文献】特開2014-163646(JP,A)
【文献】特開平09-287737(JP,A)
【文献】実開平04-008481(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナを備えた燃焼部と、前記バーナの燃焼排気が通過する熱交換器を備えた熱交換部と、前記熱交換器を通過した燃焼排気を排出する排気部とを備える瞬間加熱式の熱源ユニットと、
前記熱源ユニットで加熱される湯水を貯留するタンクユニットと、
循環ポンプを備えて前記熱交換器と前記タンクユニットとの間で湯水を循環させる循環路と、を
、上部に洗浄室を設置した食器洗浄機の筐体内に収容してなる食器洗浄機用ブースターであって、
前記熱源ユニットは、前記筐体内の前側に配置され、
前記熱交換部は、前記熱交換器を収容して上方に開口する熱交換部ケーシングを備え、
前記排気部は、パッキンを介して前記熱交換部ケーシング上に固定され、内部が前記熱交換部ケーシングと連通する排気部ケーシングを備えると共に、前記排気部ケーシングに接続されて左右何れか一方側へ延びる第1配管と、前記第1配管に接続されて後方へ延び
、前記筐体の後面から外部に突出する第2配管とからなる排気管を備えていることを特徴とする食器洗浄機用ブースター。
【請求項2】
前記排気部ケーシングには、前記排気部ケーシング内のCO濃度を検出するためのCOセンサが、前記排気部ケーシングの前面から着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の食器洗浄機用ブースター。
【請求項3】
前記排気部には、前記排気部ケーシングに上方から当接して左右方向へスライド可能に設けられ、所定の係止位置で前記排気部ケーシングを下方へ押圧した状態で前記熱交換部ケーシングに係止して前記排気部ケーシングを前記パッキンを介して固定する固定具が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食器洗浄機用ブースター。
【請求項4】
前記固定具における前記熱交換部ケーシングとの係止部には、前記排気部ケーシングに上方から当接した状態で前記固定具を非係止位置から前記係止位置側へスライドさせた際、前記熱交換部ケーシングに設けた被係止部に当接して前記固定具を下方へ移動させて前記係止位置へ導く一方、前記固定具を前記係止位置から前記非係止位置側へスライドさせた際、前記被係止部に当接して前記固定具を上方へ移動させて前記非係止位置へ導く案内部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の食器洗浄機用ブースター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務用の食器洗浄システムにおいて、食器洗浄機に高温の湯を供給するために設置される食器洗浄機用ブースターに関する。
【背景技術】
【0002】
業務用の食器洗浄システムは、例えば特許文献1に開示されるように、洗浄室に搬入された食器を洗浄する食器洗浄機と、食器洗浄機に並設されて食器洗浄機に濯ぎ用の湯を供給するための食器洗浄機用ブースターとを備えたものが知られている。食器洗浄機用ブースターは、例えば特許文献2に開示されるように、バーナ及び熱交換器を備えて供給された水をバーナの燃焼排気によって加熱する瞬間加熱式の熱源ユニットと、熱源ユニットで加熱された湯を貯湯するタンクとを備えて、タンク内の湯を出湯管を介して食器洗浄機へ供給可能となっている。また、熱源ユニットとタンクとの間に、循環ポンプを備えて湯水を循環させる循環路を形成したものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-239024号公報
【文献】特開2001-299662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食器洗浄機用ブースターは、瞬間加熱式の熱源ユニットを使用することで、バーナの燃焼に伴って燃焼排気が発生する。よって、熱源ユニットには、食器洗浄機用ブースターの外部へ燃焼排気を排出するための排気管が接続される。しかし、食器洗浄機の筐体に組み込まれると、筐体内のスペースが制約されるため、排気管の引き回しが難しくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、熱源ユニットの排気管を省スペースで引き回すことができる食器洗浄機用ブースターを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、バーナを備えた燃焼部と、バーナの燃焼排気が通過する熱交換器を備えた熱交換部と、熱交換器を通過した燃焼排気を排出する排気部とを備える瞬間加熱式の熱源ユニットと、熱源ユニットで加熱される湯水を貯留するタンクユニットと、循環ポンプを備えて熱交換器とタンクユニットとの間で湯水を循環させる循環路と、を、上部に洗浄室を設置した食器洗浄機の筐体内に収容してなる食器洗浄機用ブースターであって、
熱源ユニットは、筐体内の前側に配置され、熱交換部は、熱交換器を収容して上方に開口する熱交換部ケーシングを備え、排気部は、パッキンを介して熱交換部ケーシング上に固定され、内部が熱交換部ケーシングと連通する排気部ケーシングを備えると共に、排気部ケーシングに接続されて左右何れか一方側へ延びる第1配管と、第1配管に接続されて後方へ延び、筐体の後面から外部に突出する第2配管とからなる排気管を備えていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、排気部ケーシングには、排気部ケーシング内のCO濃度を検出するためのCOセンサが、排気部ケーシングの前面から着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、排気部には、排気部ケーシングに上方から当接して左右方向へスライド可能に設けられ、所定の係止位置で排気部ケーシングを下方へ押圧した状態で熱交換部ケーシングに係止して排気部ケーシングをパッキンを介して固定する固定具が設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3の構成において、固定具における熱交換部ケーシングとの係止部には、排気部ケーシングに上方から当接した状態で固定具を非係止位置から係止位置側へスライドさせた際、熱交換部ケーシングに設けた被係止部に当接して固定具を下方へ移動させて係止位置へ導く一方、固定具を係止位置から非係止位置側へスライドさせた際、被係止部に当接して固定具を上方へ移動させて非係止位置へ導く案内部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、排気部は、パッキンを介して熱交換部ケーシング上に固定される排気部ケーシングを備えると共に、排気部ケーシングに接続されて左右何れか一方側へ延びる第1配管と、第1配管に接続されて後方へ延び、筐体の後面から外部に突出する第2配管とからなる排気管を備えているので、排気管が熱源ユニットより上方へ突出することがなく、食器洗浄機の筐体の狭いスペース内でも排気管を支障なく引き回すことができる。よって、燃焼排気のスムーズな排出が可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、排気部ケーシングには、COセンサが、前面から着脱可能に取り付けられているので、COセンサのメンテナンスを容易に行うことができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、排気部には、排気部ケーシングに上方から当接し、所定の係止位置で熱交換部ケーシングに係止して排気部ケーシングをパッキンを介して固定する固定具が設けられているので、筐体内の狭いスペースでも固定具のスライド操作によって排気部ケーシングの組み付け及び取り外しが簡単に行える。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加えて、固定具における熱交換部ケーシングとの係止部には、固定具を非係止位置から係止位置側へスライドさせた際、熱交換部ケーシングの被係止部に当接して固定具を係止位置へ導く一方、固定具を係止位置から非係止位置側へスライドさせた際、被係止部に当接して固定具を非係止位置へ導く案内部が設けられているので、係止位置と非係止位置との間での固定具のスライド操作がスムーズに行え、固定具による排気部ケーシングの組み付け及び取り外しを一層簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】食器洗浄機用ブースターの右からの側面図である。
【
図3】食器洗浄機用ブースターの内部の斜視図である。
【
図4】排気部を省略した食器洗浄機用ブースターの平面図である。
【
図8】上ケーシングに固定フードを載置した状態を示す説明図である。
【
図9】固定フードを下側へ押し込んだ状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、食器洗浄機用ブースター(以下単に「ブースター」と略称する。)の一例を示す正面図、
図2は右からの側面図、
図3は内部の斜視図である。
このブースター1は、食器洗浄機の筐体2内下部に設置されるもので、瞬間加熱式の熱源ユニット3と、湯水を貯留するタンクユニット4と、熱源ユニット3とタンクユニット4との間で湯水を循環させる循環路5とを備えている。なお、この筐体2内には、
図4にも示すように、上部に設けた図示しない洗浄室で用いる洗浄用の湯水を貯留する食洗機側タンク6が配置され、食洗機側タンク6の前側には、洗浄室に食洗機側タンク6内の湯水を供給するための食洗機側ポンプ7が設けられている。熱源ユニット3は、筐体2内で食洗機側タンク6の前方右寄りで、筐体2の図示しない前壁に沿って配置され、タンクユニット4は、筐体2内で食洗機側タンク6の右側で筐体2の図示しない右壁に沿って配置されて、食洗機側タンク6及び食洗機側ポンプ7と干渉しない平面視L字状の配置となっている。
【0010】
熱源ユニット3は、下方から順に、燃焼部10と、熱交換部11と、排気部12とを備えている。
まず燃焼部10は、複数のバーナを収容して内部に燃焼室を形成する下ケーシング13を有する。下ケーシング13の下側には、バーナの燃焼用空気を供給するファン14と、外部のガス管と接続され、図示しない電磁弁等を備えてバーナに燃料ガスを供給するガス供給部15が設けられている。
ここでは燃焼部10と熱交換部11とが、後方から平面視コ字状の後カバー16に覆われており、後カバー16の左右の前端にそれぞれ形成した折り返し部17,17が、筐体2の前壁に当接することで、後カバー16と前壁とで燃焼部10及び熱交換部11を囲むようになっている。
【0011】
熱交換部11は、上下に開口して下端が下ケーシング13に接続される熱交換部ケーシングとしての四角筒状の中ケーシング18を有し、中ケーシング18内に、
図5に示すように、左右方向に所定間隔をおいて並設される複数のフィン20,20・・(
図5では一部のみ図示)と、フィン20,20・・を蛇行状に貫通する伝熱管21とからなる熱交換器19を収容している。
また、中ケーシング18の上面には、
図6に示すように、矩形状の開口を有する出口板22が取り付けられ、出口板22の上面には、中央に形成した矩形状の開口24の内縁に上向きの折曲片25,25・・をそれぞれ形成した枠板23が取り付けられている。この枠板23は、中ケーシング18よりも前後及び左右寸法が大きくなっている。
【0012】
さらに、枠板23の上面には、各折曲片25,25・・の外側を巻回するリング状のパッキン26が設けられて、枠板23の前端縁には、パッキン26より前方で下向きに折曲される前折り返し片27が、後端縁には、パッキン26より後方で上向きに折曲される後折り返し片28がそれぞれ形成されている。
そして、枠板23の左端で両折り返し片27,28の内側には、
図5に示すように、被係止部としての前後一対の切込み29,29が形成されている。また、枠板23の右端寄りで両折り返し片27,28の内側には、被係止部としての前後一対のスリット30,30が貫通形成されている。枠板23の前折り返し片27の左端には、ねじ止め用の透孔31(
図8)が形成されている。
【0013】
排気部12は、
図3,6に示すように、熱交換部11の中ケーシング18上に載置される排気部ケーシングとしての上ケーシング35と、上ケーシング35に組み付けられる排気管36と、上ケーシング35の上側を覆って中ケーシング18に組み付けられる固定具としての固定フード37とを備えている。
まず上ケーシング35は、前板部38と後板部39、左板部40と右板部41、上板部42と下板部43とを有し、前後方向の長さが枠板23の前後の折曲片25,25の間の寸法より大きく、前折り返し片27と後折り返し片28との間の寸法よりも小さい箱状となっている。また、上ケーシング35の左右方向の長さは枠板23よりも大きくなっている。
【0014】
さらに、上ケーシング35の下板部43は、前板部38と後板部39、左板部40と右板部41のそれぞれの下端及び枠板23の折曲片25よりも上側へ奥まった位置に固定されて、上ケーシング35の下端外周に、下板部43より下方に突出してパッキン26の周囲を覆う周壁部44を形成している。下板部43の中央には、枠板23の開口24と対向する同形状の入口45が形成されて、上ケーシング35の右板部41の後方寄りには、排気管36が接続される角筒状の出口46が形成されている。前板部38の左端には、図示しないネジ穴が設けられている。
【0015】
また、上ケーシング35内には、CO検出部50が設けられている。このCO検出部50は、上ケーシング35の前板部38の右端内面から後方へ向けて突出する筒状のセンサケース51と、センサケース51の位置で前板部38に前方からフランジ52を介して取り付けられてセンサケース51内に突出するCOセンサ53とからなる。センサケース51における突出端部で下半分側には、複数の小孔54,54・・・・が形成されている。COセンサ53に接続されるリード線55は、前側から引き出されて、図示しないコントローラに接続されている。
【0016】
排気管36は、上ケーシング35の出口46が差込接続されて右方向に延びる角筒状の第1配管56と、タンクユニット4の上側で筐体2の右壁に沿って後方に延び、前側の端部左側面に第1配管56の先端が差込接続される第2配管57とからなる。第2配管57は、前端を閉塞して後端を開口させた角筒状で、
図2に示すように後端を筐体2の外部に突出させている。
そして、固定フード37は、
図7に示すように、上ケーシング35の前後を覆う前板60及び後板61と、前板60と後板61との上端同士を繋ぐ天板62とを有する側面視倒コ字状となっている。但し、前板60の右端は、後板61及び天板62よりも短く形成されて、上ケーシング35のフランジ52及びCOセンサ53を露出させる切欠部63を形成している。また、前板60の中間部位には、前方へ折曲された後、下側へ折曲される段部64が形成されて、前板60の下部を上部よりも前側へ張り出す張出部65としている。
【0017】
また、前板60の張出部65と後板61との下端には、枠板23の切込み29,29とスリット30,30とにそれぞれ対応する係止部としての係止片66,66がそれぞれ形成されている。この係止片66は、下端がそれぞれ右側を向いた正面視逆L字状に形成されており、下端上側には、斜めに切除されて下端を先細りとする案内部67が形成されている。右側の前後の係止片66,66の下端は、左右の長さがスリット30よりもやや短く形成されて、スリット30に上方から差し込み可能となっている。一方、左側手前の係止片66の下端の上下幅は、他の係止片66の下端の上下幅よりも大きく形成されて、当該下端にネジ穴68が形成されている。さらに、前板60における張出部65の上側には、上ケーシング35のネジ穴に対応する透孔69が形成されている。
【0018】
この排気部12を中ケーシング18に組み付ける場合、まず、排気管36を接続してCOセンサ53を取り付けた上ケーシング35を、周壁部44が枠板23上のパッキン26を囲むように枠板23の上側に載置する。しかし、この載置状態での上ケーシング35は、パッキン26によって枠板23よりもやや浮いた状態で支持される。
この状態で固定フード37を、
図8に示すように、上ケーシング35の左側から、右側の前後の係止片66,66が枠板23の右側前後のスリット30,30に、左側の前後の係止片66、66が枠板23の左側前後の切込み29,29にそれぞれ上方から対向するように被せる。
【0019】
そして、
図8の非係止位置から、
図9に示すように、固定フード37を下方へ押し下げて、パッキン26を弾性変形させながら各係止片66を切込み29及びスリット30に差し込む。そのまま固定フード37を右側へスライドさせると、
図1及び
図10に示すように、各係止片66が切込み29及びスリット30にそれぞれ係止して、固定フード37が上ケーシング35をパッキン26を介して枠板23に押圧固定する(係止位置)。
このスライドの際、固定フード37の押し下げが不十分で右側へスライドさせた際に各係止片66の下端が切込み29及びスリット30に当接することがあっても、下端に設けた案内部67が先に当接することで各係止片66は下向きにガイドされる。よって、そのまま各係止片66の下端は枠板23の下側に移動して固定フード37の係止位置へのスライドを許容し、上ケーシング35を押圧固定する。
【0020】
こうして固定フード37が上ケーシング35を押圧固定する位置で位置決めされた後、枠板23の前折り返し片27の透孔31から固定フード37の係止片66に設けたネジ穴68に図示しないネジをねじ込む。また、固定フード37の前板60に設けた透孔69から上ケーシング35の前板部38に設けたネジ穴に図示しないネジをねじ込む。これにより、排気部12の組み付けが完了する。この状態で固定フード37の前側の切欠部63には、上ケーシング35のCO検出部50のフランジ52及びCOセンサ53が露出している。
【0021】
一方、循環路5は、
図3に示すように、熱交換器19の伝熱管21の上流端とタンクユニット4との間を接続する往き管75と、伝熱管21の下流端とタンクユニット4との間を接続する戻り管76と、往き管75に設けられた循環ポンプ77とを備えている。
タンクユニット4は、排気管36の第2配管57の下方で筐体2の右壁に沿って起立状態で配置され、左右に薄い扁平な箱状体となっている。タンクユニット4の後面には、
図2,3に示すように、複数の爪が左右へ互い違いに折曲形成された係止クリップ78が後ろ向きに固定されている。この係止クリップ78は、筐体2の前方からのタンクユニット4の差込によって筐体2内の右奥のコーナーに設けた上下方向の支持バー79に係止することでタンクユニット4を位置決めするものである。タンクユニット4の前側は、熱源ユニット3の右側で筐体2内の右手前のコーナーに設けた上下方向の支持バー80に、取付金具81を介して固定される。
【0022】
また、タンクユニット4の上部には、筐体2の下面から外部の水道管に接続される給水管82が接続され、給水管82には、水電磁弁83が設けられて、水電磁弁83の開閉動作によってタンクユニット4内に水を供給可能としている。タンクユニット4の下部には、出湯管84が接続されている。この出湯管84は、筐体2内の食洗機側タンク6に、図示しない濯ぎ用ポンプを介して接続されている。さらに、タンクユニット4内には、タンクユニット4内の所定の水位を検出するフロートスイッチと、タンクユニット4内の湯水の温度を検出するタンクサーミスタと(何れも図示略)が設けられている。
【0023】
さらに、筐体2内には、図示しないコントローラが設けられている。このコントローラは、熱源ユニット3におけるバーナの燃焼を制御すると共に、循環路5に設けられた図示しないサーミスタやタンクサーミスタからの検出温度及びフロートスイッチの検出信号に基づいて循環ポンプ77及び水電磁弁83を制御し、タンクユニット4内に所定量の水を供給するタンク水供給制御と、熱源ユニット3を作動させてタンクユニット4内の湯水を所定温度に維持する保温制御とを実行可能となっている。
【0024】
以上の如く構成されたブースター1において、食器洗浄機で洗浄が開始されると、コントローラは、循環ポンプ77をONさせて、熱源ユニット3の熱交換器19とタンクユニット4との間で循環路5を介して湯水の循環をさせる。同時にタンクユニット4内の検出温度を監視し、検出温度が80℃未満であれば、熱源ユニット3のバーナを燃焼させて、熱交換器19を流れる湯水とバーナの燃焼排気とを熱交換させてタンクユニット4内の湯水が80℃となるまで加熱する。
バーナの燃焼排気は、熱交換部11の中ケーシング18を通過した後、排気部12の上ケーシング35の入口45から上ケーシング35内に進入し、出口46を介して排気管36の第1配管56、第2配管57を通って筐体2の外部へ排出される。
【0025】
こうして燃焼排気が上ケーシング35内を通る際、上ケーシング35内に突出するセンサケース51を通過するため、燃焼排気がセンサケース51の後端開口又は下半分側の小孔54からセンサケース51内に進入し、COセンサ53に接触する。よって、COセンサ53による一酸化炭素濃度が検出可能となる。コントローラは、COセンサ53から得られる燃焼排気中の一酸化炭素濃度の検出信号を監視して、検出値が予め設定された基準値を超えると、不完全燃焼が発生したとして、熱源ユニット3でのバーナの燃焼を停止させて、食器洗浄機の表示部にその旨を表示させる。
一方、保温制御の途中や保温制御の後に食器洗浄機側で濯ぎが行われ、濯ぎ用ポンプの作動によってタンクユニット4内の湯が洗浄室へ供給されると、フロートスイッチによってタンクユニット4内の水位低下が検出されるため、コントローラは水電磁弁83を開弁させて、フロートスイッチによって所定水位が検出されるまでタンクユニット4内に給水管82から水を供給させることになる。
【0026】
そして、熱源ユニット3にメンテナンスの必要が生じた場合は、筐体2の前壁を取り外せば、
図1に示すように、燃焼部10と熱交換部11と排気部12とが前面に露出するため、容易に必要な箇所にアクセスできる。特に排気部12では、COセンサ53も前面に露出しているので、交換や清掃が容易に行える。
また、上ケーシング35の内部や排気管36のメンテナンスを行う場合は、固定フード37を固定するネジを取り外して、
図9に示すように固定フード37を左側へスライドさせると、各係止片66が切込み29及びスリット30内を左側へ移動し、枠板23との係止が解除される。すると、
図8に示すように、そのままパッキン26の弾性によって上ケーシング35と共に固定フード37が上側へ持ち上げられるため、固定フード37や上ケーシング35を取り外してメンテナンスが行える。
このとき、固定フード37の左側へのスライドが短くなっても、固定フード37が上側へ持ち上げられる際に各係止片66の案内部67が切込み29及びスリット30の右端に当接することで各係止片66が左側へ案内されるため、固定フード37は
図8の非係止位置へ移動する。
【0027】
このように、上記形態のブースター1によれば、熱源ユニット3は、筐体2内の前側に配置され、熱交換部11は、熱交換器19を収容して上方に開口する中ケーシング18を備え、排気部12は、パッキン26を介して中ケーシング18上に固定され、内部が中ケーシング18と連通する上ケーシング35を備えると共に、上ケーシング35に接続されて右側へ延びる第1配管56と、第1配管56に接続されて後方へ延びる第2配管57とからなる排気管36を備えているので、排気管36が熱源ユニット3より上方へ突出することがなく、筐体2の狭いスペース内でも支障なく引き回すことができる。よって、燃焼排気のスムーズな排出が可能となる。
【0028】
特にここでは、上ケーシング35に、上ケーシング35内のCO濃度を検出するためのCOセンサ53が、上ケーシング35の前面から着脱可能に取り付けられているので、COセンサ53のメンテナンスを容易に行うことができる。
また、排気部12には、上ケーシング35に上方から当接して左右方向へスライド可能に設けられ、所定の係止位置で上ケーシング35を下方へ押圧した状態で中ケーシング18の枠板23に係止して上ケーシング35をパッキン26を介して固定する固定フード37が設けられているので、筐体2内の狭いスペースでも固定フード37のスライド操作によって上ケーシング35の組み付け及び取り外しが簡単に行える。
【0029】
さらに、固定フード37の係止片66には、上ケーシング35に上方から当接した状態で固定フード37を非係止位置から係止位置側へスライドさせた際、中ケーシング18に設けた切込み29及びスリット30に当接して固定フード37を下方へ移動させて係止位置へ導く一方、固定フード37を係止位置から非係止位置側へスライドさせた際、切込み29及びスリット30に当接して固定フード37を上方へ移動させて非係止位置へ導く案内部67が設けられているので、係止位置と非係止位置との間での固定フード37のスライド操作がスムーズに行える。よって、固定フード37による上ケーシング35の組み付け及び取り外しを一層簡単に行うことができる。
【0030】
なお、上記形態では、排気管の第1配管と第2配管とをそれぞれ別体に形成して接続しているが、一体の配管としてもよい。この場合、両配管の間は直角でなくRとしてもよい。また、排気管は角筒状に限らず円筒状等とすることもできる。
さらに、上記形態では熱源ユニットを筐体内の右側に配置して排気管も排気部の右側に接続しているが、これと逆に、熱源ユニットを筐体内の左側に配置して排気管を排気部の左側に接続しても差し支えない。
【符号の説明】
【0031】
1・・食器洗浄機用ブースター、2・・筐体、3・・熱源ユニット、4・・タンクユニット、5・・循環路、6・・食洗機側タンク、7・・食洗機側ポンプ、10・・燃焼部、11・・熱交換部、12・・排気部、13・・下ケーシング、18・・中ケーシング、19・・熱交換器、21・・伝熱管、23・・枠板、26・・パッキン、29・・切込み、30・・スリット、35・・上ケーシング、36・・排気管、37・・固定フード、38・・前板部、39・・後板部、40・・左板部、41・・右板部、42・・上板部、43・・下板部、50・・CO検出部、53・・COセンサ、60・・前板、61・・後板、62・・天板、63・・切欠部、66・・係止片、67・・案内部、75・・往き管、76・・戻り管、77・・循環ポンプ、82・・給水管、84・・出湯管。