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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】昇降台車用の落下防止装置及び昇降台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/04 20060101AFI20220623BHJP
   B62B 5/02 20060101ALI20220623BHJP
   B62B 5/06 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
B62B5/04 Z
B62B5/02 C
B62B5/06 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018147594
(22)【出願日】2018-08-06
(65)【公開番号】P2020023211
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】502050648
【氏名又は名称】株式会社池戸熔接製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南澤 武志
(72)【発明者】
【氏名】太田 晶久
(72)【発明者】
【氏名】関根 伸一
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-062706(JP,U)
【文献】特開平09-240485(JP,A)
【文献】特開昭49-025798(JP,A)
【文献】特開昭60-135361(JP,A)
【文献】特開2001-039315(JP,A)
【文献】国際公開第2006/103787(WO,A1)
【文献】再公表特許第2009/110592(JP,A1)
【文献】特開2018-1920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/04
B62B 5/02
B62B 5/06
A62B 1/14
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配置される一対のクローラと、前記一対のクローラを駆動する駆動源と、を備える昇降台車に搭載される落下防止装置であって、
前記駆動源を作動させるために操作される操作部と、
前記操作部に対する操作が無くなることに伴って、前記昇降台車が昇降する傾斜路に配置される線部材に前記昇降台車を固定する固定機構と、を備える
ことを特徴とする昇降台車用の落下防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の昇降台車用の落下防止装置において、
前記線部材は、ロープであり、
前記固定機構は、前記ロープに対向するように配置される歯部を有し、
前記固定機構は、前記操作部が操作されているときには、前記歯部を前記ロープから離隔して配置し、前記操作部に対する操作が無くなったときに、前記歯部を前記ロープに向けて移動させ、前記昇降台車を前記ロープに固定するように構成される
ことを特徴とする昇降台車用の落下防止装置。
【請求項3】
請求項2に記載の昇降台車用の落下防止装置において、
運転者に把持されるハンドル部材と、
前記ハンドル部材に回動自在に支持されるレバーと、
前記レバーが前記操作部から離れる方向に前記レバーを付勢する付勢部材と、をさらに備え、
前記操作部は、前記ハンドル部材に設けられ、押し込まれているときだけ前記駆動源の作動指令を出力する操作スイッチであり、
前記固定機構は、
前記レバーに固定され前記歯部を有するロープクランプと、
前記ハンドル部材に固定され前記ロープをガイドするガイド部材と、を有し、
前記レバーが把持操作されると、前記レバーが前記付勢部材の付勢力に抗して回動し、前記操作スイッチが前記レバーによって押し込まれることにより作動指令を出力するとともに、前記ロープクランプが前記ガイド部材から離隔し、
前記レバーに対する把持操作が無くなると、前記レバーが前記付勢部材の付勢力により回動し、前記操作スイッチからの作動指令の出力が無くなるとともに、前記ロープクランプが前記ガイド部材に近接し、前記ガイド部材と前記ロープクランプとの間で前記ロープが挟持されるように構成される
ことを特徴とする昇降台車用の落下防止装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の昇降台車用の落下防止装置において、
前記歯部は、前記ロープに食い込んだときに前記ロープに直交する直線に対して下側に傾斜するように設けられる
ことを特徴とする昇降台車用の落下防止装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4までのいずれか一項に記載の昇降台車用の落下防止装置において、
前記歯部の移動量を調整可能な調整部をさらに備える
ことを特徴とする昇降台車用の落下防止装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の昇降台車用の落下防止装置において、
前記落下防止装置を前記昇降台車に着脱自在に取り付けるための取付部をさらに備える
ことを特徴とする昇降台車用の落下防止装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の昇降台車用の落下防止装置と、
荷物が載置される荷台部と、
前記荷台部に取り付けられる前記駆動源と、
前記駆動源により駆動される前記一対のクローラと、
前記操作部が操作されているときに前記駆動源を作動させ、前記操作部に対する操作が無くなったときに前記駆動源を停止させる駆動源制御部と、を備える
ことを特徴とする昇降台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降台車用の落下防止装置及び昇降台車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、荷物が載置される荷台部と、駆動源により駆動され階段を昇降する際に用いられる一対のクローラと、平坦路を移動する際に用いられる車輪と、を備えた昇降台車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-39315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昇降台車では、階段等の傾斜路を昇降する速度の向上が要望されている。しかしながら、昇降台車において昇降速度を高めると、昇降台車が不安定になりやすい。昇降台車が不安定になると、運転者がハンドルから手を離してしまい、昇降台車が傾斜路を落下してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、昇降台車の落下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、互いに平行に配置される一対のクローラと、一対のクローラを駆動する駆動源と、を備える昇降台車に搭載される落下防止装置であって、駆動源を作動させるために操作される操作部と、操作部に対する操作が無くなることに伴って、昇降台車が昇降する傾斜路に配置される線部材に昇降台車を固定する固定機構と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明では、操作部に対する操作が無くなると、駆動源が停止するとともに、固定機構によって線部材に昇降台車が固定されるので、昇降台車の落下を防止することができる。
【0008】
本発明は、線部材が、ロープであり、固定機構は、ロープに対向するように配置される歯部を有し、固定機構が、操作部が操作されているときには、歯部をロープから離隔して配置し、操作部に対する操作が無くなったときに、歯部をロープに向けて移動させ、昇降台車をロープに固定するように構成されることを特徴とする。
【0009】
本発明は、運転者に把持されるハンドル部材と、ハンドル部材に回動自在に支持されるレバーと、レバーが操作部から離れる方向にレバーを付勢する付勢部材と、をさらに備え、操作部は、ハンドル部材に設けられ、押し込まれているときだけ駆動源の作動指令を出力する操作スイッチであり、固定機構が、レバーに固定され歯部を有するロープクランプと、ハンドル部材に固定されロープをガイドするガイド部材と、を有し、レバーが把持操作されると、レバーが付勢部材の付勢力に抗して回動し、操作スイッチがレバーによって押し込まれることにより作動指令を出力するとともに、ロープクランプがガイド部材から離隔し、レバーに対する把持操作が無くなると、レバーが付勢部材の付勢力により回動し、操作スイッチからの作動指令の出力が無くなるとともに、ロープクランプがガイド部材に近接し、ガイド部材とロープクランプとの間でロープが挟持されるように構成されることを特徴とする。
【0010】
これらの発明では、ロープに食い込ませる歯部を有する簡素な構成の固定機構によって、昇降台車をロープに固定することができる。
【0011】
本発明は、歯部が、ロープに食い込んだときにロープに直交する直線に対して下側に傾斜するように設けられることを特徴とする。
【0012】
この発明では、昇降台車の自重によってロープに歯部を十分に食い込ませることができる。
【0013】
本発明は、歯部の移動量を調整可能な調整部をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
この発明では、歯部の移動量を調整することにより、ロープに対する歯部の食い込み量を調整することができる。
【0015】
本発明は、落下防止装置を昇降台車に着脱自在に取り付けるための取付部をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
この発明では、落下防止装置が着脱自在とされているので、落下防止装置を交換したり、落下防止装置を新たに追設したりすることが容易である。
【0017】
本発明は、上記落下防止装置と、荷物が載置される荷台部と、荷台部に取り付けられる駆動源と、駆動源により駆動される一対のクローラと、操作部が操作されているときに駆動源を作動させ、操作部に対する操作が無くなったときに駆動源を停止させる駆動源制御部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
この発明では、上記落下防止装置を備えた昇降台車を提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、昇降台車の落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る昇降台車の自立状態における側面図である。
図2】本発明の実施形態に係るハンドル装置の斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る昇降台車のコントローラの機能ブロック図である。
図4】階段の下降開始直後の昇降台車の状態を示す側面図である。
図5】階段の上昇開始直後の昇降台車の状態を示す側面図である。
図6】昇降台車の右側からロープクランプを見た図である。
図7】昇降台車の前側からロープクランプを見た図である。
図8】レバーが把持操作されている状態のハンドル装置を示す模式図である。
図9】レバーが把持操作されていない状態のハンドル装置を示す模式図である。
図10】本実施形態の変形例2に係るハンドル装置の斜視図である。
図11】本実施形態の変形例3に係るロープクランプの側面図である。
図12】本実施形態の変形例4に係る昇降台車のコントローラの機能ブロック図である。
図13A】ロープクランプの歯部の一例を示す拡大図である。
図13B】ロープクランプの歯部の別の例を示す拡大図である。
図13C】ロープクランプの歯部のさらに別の例を示す拡大図である。
図14A】本実施形態の変形例6に係るハンドル装置のレバーが把持操作されている状態の固定機構を示す模式図である。
図14B】本実施形態の変形例6に係るハンドル装置のレバーが把持操作されていない状態の固定機構を示す模式図である。
図15A】本実施形態の変形例7に係るハンドル装置のレバーが把持されている状態の固定機構を示す模式図である。
図15B】本実施形態の変形例7に係るハンドル装置のレバーが把持されていない状態の固定機構を示す模式図である。
図16A】本実施形態の変形例8に係るハンドル装置のレバーが把持されている状態の固定機構を示す模式図である。
図16B】本実施形態の変形例8に係るハンドル装置のレバーが把持されていない状態の固定機構を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る昇降台車100について説明する。図1は昇降台車100の自立状態における側面図であり、図2はハンドル装置130の斜視図である。
【0022】
図1に示すように、昇降台車100は、運転者が荷物を運搬する装置であって、荷物が載せられた状態で階段等の傾斜路を昇降することが可能な装置である。昇降台車100は、荷物が載置される荷台部10と、荷台部10に取り付けられ、平坦路を移動する際に用いられる車輪部(不図示)と、荷台部10に取り付けられる左右一対のクローラ50と、左右一対のクローラ50を駆動する駆動源としての昇降モータ31を有する昇降駆動部30と、昇降駆動部30を制御するコントローラ140と、を備える。
【0023】
この昇降台車100には、着脱自在のハンドル装置130が搭載される。なお、以下の説明では、クローラ50が水平面に設置された自立状態における昇降台車100の上下、前後左右方向を図1及び図2に示すように定義する。
【0024】
昇降駆動部30は、荷台部10に取り付けられる駆動源としての昇降モータ31と、昇降モータ31の回転力をクローラ50に伝達する減速機32と、を有する。昇降モータ31は、電動モータであり、コントローラ140によって回転方向および回転出力が制御される。
【0025】
コントローラ140には、後述する電源スイッチ178、昇降方向選択スイッチ179及び操作スイッチ173からの信号が入力される。コントローラ140は、電源スイッチ178が電源オン位置に切り換えられ、昇降方向選択スイッチ179が上昇位置または下降位置に切り換えられている状態で、操作スイッチ173が操作されることにより、図示しないバッテリから昇降モータ31へ電流を供給し、昇降モータ31を回転させる。
【0026】
減速機32は、昇降モータ31の出力軸が連結される図示しない入力軸と、図示しない歯車を介して入力軸に連結される駆動軸33と、を有する。入力軸を介して入力された昇降モータ31の出力は、駆動軸33を介してクローラ50に伝達される。なお、減速機32は、歯車式に限定されず、ベルト式やチェーン式であってもよいし、これらを組み合わせたものであってもよく、昇降モータ31の回転数を減速して駆動軸33に伝達することができればどのような形式のものであってもよい。
【0027】
左右一対のクローラ50は、互いに平行に配置され、昇降モータ31により駆動される。左右一対のクローラ50は、同様の構成である。クローラ50は、前端部に配設される駆動輪51と、後端部に配設される従動輪52と、駆動輪51及び従動輪52に掛け回されるゴム製のベルト53と、駆動輪51と従動輪52との間に配置されベルト53を案内する複数のガイドローラ(不図示)と、ベルト53に所定の張力を付与するテンションローラ(不図示)と、駆動輪51、従動輪52、ガイドローラ(不図示)及びテンションローラ(不図示)を回転自在に支持する支持フレーム54と、を有する。駆動輪51は、駆動軸33の端部に結合され、駆動軸33と一体的に回転する。従動輪52は、駆動輪51よりも上方に配置される。
【0028】
荷台部10は、荷台フレーム10aと、荷台フレーム10aに固定される収容箱10bと、を有する。荷台フレーム10aは、昇降台車100の左側及び右側に配置される左右一対の側部フレーム10cと、この左右一対の側部フレーム10cを連結する複数の連結フレーム(不図示)と、を有する。収容箱10bは、荷物が載置される底板(不図示)と、左右の側板と、背面板(不図示)と、を有し、前面及び上面が開放された箱状に形成される。
【0029】
左右一対の側部フレーム10cの上端部には、ハンドル取付フレーム121が設けられる。ハンドル取付フレーム121には、ハンドル装置130が取り付けられる。
【0030】
図2に示すように、ハンドル取付フレーム121は、左右一対のパイプ121aと、左右一対のパイプ121a同士を連結する連結パイプ121bと、を有し、H字状を呈する。左右一対のパイプ121aのそれぞれには、ハンドル装置130(左側のハンドル装置130L、右側のハンドル装置130R)が取り付けられる。左側のハンドル装置130Lと右側のハンドル装置130Rは、ほぼ同様の構成であるので、以下では、一方のハンドル装置130について説明し、他方のハンドル装置130についての説明は省略する。
【0031】
なお、本実施形態では、後述する固定機構136が、右側のハンドル装置130Rにのみ設けられる例について説明する。つまり、本実施形態では、左側のハンドル装置130Lには、固定機構136が設けられていない。
【0032】
ハンドル装置130は、本体フレーム131と、ハンドル取付フレーム121に本体フレーム131を取り付けるための取付部としての取付金具132と、本体フレーム131に固定されるJ字状のハンドル部材133と、ハンドル部材133に回動自在に取り付けられるレバー134と、コイルばね139と、を備える。
【0033】
本体フレーム131は、矩形平板状の平板部131aと、平板部131aの幅方向の一端部(左右方向の外側端部)において略90度折り曲げられ、平板部131aに対して直交する方向に延在する側板131bと、を有し、断面L字状に形成される。
【0034】
平板部131aの表面(前面)には、ハンドル取付フレーム121のパイプ121aが配置され、取付金具132によってパイプ121aが平板部131aに取り付けられる。取付金具132は、2つのUボルト181と、2つの取付ブラケット182と、4つのナット183と、を有する。
【0035】
取付ブラケット182は、断面コ字状を呈する部材であり、ハンドル取付フレーム121のパイプ121aと本体フレーム131の平板部131aとの間に配置される。取付ブラケット182は、平板部131aの表面に当接する矩形平板状の当接板182aと、当接板182aの短手方向の両端部において略90度で折り曲げられ、当接板182aの短手方向の両端部からそれぞれ同方向に延在する一対のパイプ保持板182bと、を有する。
【0036】
当接板182aには、Uボルト181の雄ねじ部181bが挿通する孔182cが形成される。一対のパイプ保持板182bには、略円弧状の凹部182dが形成される。ハンドル取付フレーム121のパイプ121aは、凹部182dに嵌合される。
【0037】
Uボルト181は、湾曲部181aと、湾曲部181aの両端から延在する部位の先端に設けられる一対の雄ねじ部181bと、を有する。湾曲部181aは、円弧状であり、その半径はパイプ121aの外径に対応して設定される。
【0038】
ハンドル装置130は、例えば、次のようにしてハンドル取付フレーム121に取り付けられる。本体フレーム131の平板部131aの表面(前面)に取付ブラケット182の当接板182aを当接させる。当接板182aのパイプ保持板182bの凹部182dにパイプ121aの下側を嵌合させる。Uボルト181の湾曲部181aをパイプ121aの上側に嵌合させ、雄ねじ部181bを当接板182aの孔182cに挿通する。各雄ねじ部181bにナット183を螺合し、Uボルト181と取付ブラケット182とでパイプ121aを挟持する。
【0039】
以上のようにして、ハンドル装置130は、ハンドル取付フレーム121に取り付けられる。なお、ハンドル装置130をハンドル取付フレーム121から取り外す手順は、上記取り付け手順と逆の手順となるため、説明を省略する。
【0040】
このように、本実施形態に係るハンドル装置130は、当該ハンドル装置130を昇降台車100に着脱自在に取り付けるための取付部としての取付金具132を備えている。ハンドル装置130が、ハンドル取付フレーム121に着脱自在とされているので、ハンドル装置130を交換したり、ハンドル装置130を新たに追設したりすることが容易である。
【0041】
ハンドル部材133は、パイプ部材をJ字状に屈曲することにより形成される。ハンドル部材133は、上下方向に延在し、運転者によって把持される部位である後方把持部171と、後方把持部171の下端部から屈曲して延在し、本体フレーム131に溶接等により固定される固定部172と、を有する。後方把持部171は、後述の前方把持部161の後方に位置する。
【0042】
後方把持部171の前側には、昇降モータ31を作動させるために操作される操作部としての操作スイッチ173が配設される。操作スイッチ173は、モーメンタリ動作型のスイッチであり、押し込まれているときだけ昇降モータ31の作動を指示するオン信号(作動指令)をコントローラ140に出力する。
【0043】
なお、図1に示すように、ハンドル部材133の下方における荷台部10の上部には、電源スイッチ178及び昇降方向選択スイッチ179が配設される。電源スイッチ178及び昇降方向選択スイッチ179は、オルタネイト動作型のトグルスイッチである。電源スイッチ178は、電源オン位置と電源オフ位置のいずれかに切り換えられる。昇降方向選択スイッチ179は、上昇位置、中立位置、下降位置のいずれかに切り換えられる。
【0044】
図2に示すように、後方把持部171の下端部には、一対の取付片171aが前方に突出している。一対の取付片171aにはボルト171bが挿通する孔が形成される。
【0045】
レバー134は、後方把持部171の前方に位置する帯板状の前方把持部161と、前方把持部161の下端部の前面に固定され、後述するロープクランプ138を保持するクランプ保持部162と、前方把持部161の下端部の後面に固定され、ボルト171bが挿通する孔を有する回動ブラケット163と、を有する。
【0046】
回動ブラケット163は、一対の取付片171a間に配置され、一対の取付片171aの孔及び回動ブラケット163の孔のそれぞれにボルト171bが挿通される。ボルト171bは左右方向に延在している。これにより、回動ブラケット163を有するレバー134が、ボルト171bを回動支点として、取付片171aを有するハンドル部材133に回動自在に支持される。
【0047】
上述の操作スイッチ173は前後方向に押し込み可能なスイッチであり、レバー134の前方把持部161は操作スイッチ173の前面に対向するように配設される。
【0048】
レバー134の回動支点となるボルト171bの下方には、一端がハンドル部材133、他端がクランプ保持部162に取り付けられるコイルばね139が配設される。コイルばね139は、自然長(自由長)からの伸び量(弾性変形量)に応じて収縮方向の弾性力を発生する弾性部材としての引張コイルばねである。
【0049】
したがって、後方把持部171の上部に前方把持部161の上部を近づけるようにレバー134を握る把持操作がなされると、レバー134がコイルばね139の弾性力(付勢力)に抗して、ボルト171bを支点に回動し、前方把持部161を操作スイッチ173に当接させることができる。操作スイッチ173は、前方把持部161によって所定量以上押し込まれることによりオン信号(作動指令)をコントローラ140に出力する。
【0050】
一方、レバー134を把持操作した後、運転者がレバー134から手を離し、レバー134に対する把持操作が無くなると、コイルばね139の弾性力(付勢力)によって、前方把持部161の上部が後方把持部171の上部から離れるようにレバー134が回動する。つまり、コイルばね139は、レバー134が操作スイッチ173から離れる方向にレバー134を付勢する付勢部材として機能する。
【0051】
このように、本実施形態では、レバー134を介して操作スイッチ173が操作される構成とされる。したがって、レバー134が把持操作されることにより、操作スイッチ173からオン信号(作動指令)が出力され、レバー134に対する把持操作が無くなると、操作スイッチ173からのオン信号(作動指令)の出力が無くなる。
【0052】
図1に示すコントローラ140は、動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)、その他の周辺回路を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ140は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
【0053】
なお、動作回路としては、CPUに代えてまたはCPUとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0054】
以下、図3を参照して、コントローラ140の機能について具体的に説明する。図3は、コントローラ140の機能ブロック図である。コントローラ140は、操作スイッチ173が操作されているときに昇降モータ31を作動させ、操作スイッチ173に対する操作が無くなったときに昇降モータ31を停止させる駆動源制御部として機能する。
【0055】
なお、本実施形態において、操作スイッチ173が操作されている状態とは、操作スイッチ173が所定量以上押し込まれ、操作スイッチ173からオン信号(作動指令)が出力されている状態のことを指す。一方、操作スイッチ173に対する操作が無い状態とは、操作スイッチ173が押し込まれておらず、操作スイッチ173から作動指令が出力されていない状態、または操作スイッチ173から停止指令が出力されている状態のことを指す。
【0056】
コントローラ140は、操作スイッチ173から出力される作動指令に基づいて、操作スイッチ173が操作されているか否かを判定する判定部141と、判定部141での判定結果に基づき昇降モータ31の作動/停止を制御する昇降モータ制御部142と、を有する。また、判定部141は、昇降方向選択スイッチ179からの方向選択指令に基づいて、昇降方向選択スイッチ179の操作位置(切り換え位置)も判定する。
【0057】
判定部141において、昇降方向選択スイッチ179が上昇位置に操作され、かつ、操作スイッチ173が操作されていると判定された場合、昇降モータ制御部142は、昇降モータ31を一方(上昇方向)に回転させ、クローラ50を駆動させる。これにより、昇降台車100が階段を昇るように動作する。
【0058】
判定部141において、昇降方向選択スイッチ179が下降位置に操作され、かつ、操作スイッチ173が操作されていると判定された場合、昇降モータ制御部142は、昇降モータ31を他方(下降方向)に回転させ、クローラ50を駆動させる。これにより、昇降台車100が階段を降るように動作する。
【0059】
昇降モータ31が回転駆動している状態で、判定部141において操作スイッチ173が操作されていない、すなわち操作スイッチ173に対する操作が無くなったと判定されると、昇降モータ制御部142は、昇降モータ31の回転を停止させる。これにより、階段を上昇中または下降中の昇降台車100を停止させることができる。
【0060】
近年、昇降台車100による荷物の運搬効率向上の観点から、階段等の傾斜路を昇降する速度の向上が要望されている。しかしながら、昇降台車100において昇降速度を高めると、昇降台車100が不安定になりやすい。
【0061】
図4は、階段の下降開始直後の昇降台車100の状態を示す側面図である。例えば、図4に示すように、階段を降りる場合、運転者は階段の手前から昇降台車100のクローラ50を駆動させ、昇降台車100を前進させる。運転者は、階段の手前で一時停止し、昇降台車100を回動させ、階段の複数段の角部に昇降台車100のクローラ50を接地させる。その後、再びクローラ50を駆動させ、階段を下降する。ここで、階段の手前から昇降台車100を高速で前進させ続けると、昇降台車100の重心が重心変化ライン199よりも前方に位置し、昇降台車100が下方に回動する際、昇降台車100の挙動が不安定になるおそれがある。
【0062】
図5は、階段の上昇開始直後の昇降台車100の状態を示す側面図である。図5に示すように、階段を昇る場合、運転者は階段の手前から昇降台車100のクローラ50を駆動させ、昇降台車100を後退させる。昇降台車100を後退させることにより、クローラ50が階段に乗り上がり、階段の複数段の角部に昇降台車100のクローラ50が接地する。ここで、階段の手前から昇降台車100を高速で後退させ続けると、昇降台車100の後部が持ち上がる際、昇降台車100が不安定になるおそれがある。
【0063】
さらに、荷物の積載状態、階段の段差の高さ、奥行き、傾斜角度等、傾斜路の路面形状、路面状態によっては、昇降台車100を高速で階段等の傾斜路を上昇/下降させる際に、昇降台車100が不安定になるおそれもある。例えば、階段の3段にクローラ50が接地している状態に比べて、階段の2段にのみクローラ50が接地している状態では、昇降台車100が不安定になる。したがって、階段の昇降中にも昇降台車100が不安定になるおそれがある。
【0064】
昇降台車100が不安定になると、運転者がハンドル装置130から手を離してしまい、昇降台車100が階段等の傾斜路を落下してしまうおそれがある。
【0065】
そこで、本実施形態に係る昇降台車100は、運転者による操作スイッチ173に対する操作が無くなることに伴って、予め昇降台車100が昇降する階段等の傾斜路に沿うように配置される線部材であるロープ190に昇降台車100を固定する固定機構136を備えている。つまり、本実施形態に係る昇降台車100は、昇降台車100が不安定になることに起因して運転者がハンドル装置130から手を離した場合に、操作スイッチ173に対する操作がなくなることにより、昇降モータ31が停止するとともに、固定機構136によって昇降台車100がロープ190に固定されるように構成されている。
【0066】
図2図6図9を参照して、固定機構136を備えるハンドル装置130について詳しく説明する。上述したように、本実施形態では、固定機構136は、右側のハンドル装置130Rにのみ設けられる。固定機構136を備えるハンドル装置130は、昇降台車100の落下を防止する落下防止装置として機能する。図2に示すように、固定機構136は、ロープ190をガイドするガイド部材としてのガイドフレーム137と、ロープ190をクランプするロープクランプ138と、を有する。
【0067】
ガイドフレーム137は、互いに平行に配置される一対の側板166と、一対の側板166の同士を接続する底板167と、を有する。一対の側板166のうち、昇降台車100の幅方向(左右方向)内側に配置される側板166を内側側板166iと称し、昇降台車100の幅方向(左右方向)外側に配置される側板166を外側側板166oと称する。図7に示すように、一対の側板166と底板167とによりロープ190が収容される凹状の収容空間である凹部137aが画成される。凹部137a内にロープ190が収容されることで、昇降台車100が移動したときにロープ190が凹部137aによってガイドされる。
【0068】
一対の側板166間の寸法W1は、ロープ190の直径Dよりも大きい。なお、ガイドフレーム137の凹部137a内においてロープ190が左右方向に位置ずれすることを抑制するために、一対の側板166間の寸法W1は、ロープ190の直径Dの1.1倍~1.2倍程度に設定することが好ましい。
【0069】
図2に示すように、ガイドフレーム137の内側側板166iは、ねじ部材168により本体フレーム131の側板131bに固定される。上述したように、本体フレーム131にはハンドル部材133が固定されている。したがって、ガイドフレーム137は、本体フレーム131を介してハンドル部材133に固定される。外側側板166oの長手方向一端側(下側)には、所定長さだけ切り欠かれた切り欠き部が設けられる。切り欠き部が設けられているので、外側から容易にねじ部材168を取り付けることができる。
【0070】
内側側板166i及び外側側板166oの長手方向他端側(上側)には、カラビナ(不図示)、ピン(不図示)等が装着される孔169が設けられる。孔169にカラビナ等が装着されることにより、ロープ190がガイドフレーム137から外れてしまうことを防止できる。
【0071】
底板167は、昇降台車100が水平面上に配置されているときに、水平面に対して前下がりとなるように傾斜している。傾斜角度は、例えば、25度~35度程度である。
【0072】
図6及び図7を参照してロープクランプ138について説明する。図6は昇降台車100の右側からロープクランプ138を見た図であり、図7は昇降台車100の前側からロープクランプ138を見た図である。図6及び図7に示すように、ロープクランプ138は、3枚の押さえ板151と、押さえ板151同士を接続する2枚の接続板152と、を有する。ロープクランプ138は、押さえ板151と接続板152とが交互に重ねられた積層構造部材である。押さえ板151及び接続板152は、平板を打ち抜き加工するなどして形成される。押さえ板151と接続板152とは同じ厚みに設定される。3枚の押さえ板151は、同じ形状に形成される。なお、ロープクランプ138は、積層構造部材として形成する場合に限定されず、一体成形等により一部品として形成した一体構造部材としてもよい。
【0073】
ロープクランプ138には、それぞれ2本のボルト138aが挿通される2つの孔138bが形成される。図2に示すように、レバー134のクランプ保持部162にも、それぞれ2本のボルト138aが挿通される2つの孔134bが形成される。ロープクランプ138の孔138b及びクランプ保持部162の孔134bにボルト138aが挿着されることにより、ロープクランプ138がクランプ保持部162に固定される。このように、ロープクランプ138は、レバー134に固定されており、レバー134と一体的に回動する。
【0074】
図6及び図7に示すように、押さえ板151は、扇状の平板部材であり、外周が円弧状に形成される。押さえ板151の外周には、径方向外方に突出する歯部151aが複数設けられる。つまり、ロープクランプ138は、幅方向(左右方向)に複数の歯部151aが配列されるとともに、外周に沿うように複数の歯部151aが配列される。なお、歯部151aは、ロープクランプ138を下側から見たときに千鳥状となるように配列してもよい。複数の歯部151aは、ガイドフレーム137の凹部137aに収容されるロープ190に対向するように配置される。
【0075】
歯部151aは、固定機構136が作動したときに、ロープ190に食い込む部位である。歯部151aの突出長さ、すなわち歯部151aの歯底から歯先までの長さは、例えば、ロープ190の直径Dの1/3以上1/2以下に設定される。
【0076】
図9の拡大図で示されるように、歯部151aは、ロープ190に食い込んだときにロープ190の下側に歯先が向くように設けられる。本実施形態では、歯底の周方向の中心(点Q)を通る直線であって、ロープ190が載置されるガイドフレーム137の底板167に対して直交する直線(すなわちロープ190に直交する直線)191よりも下側(前側)に歯先(点P)が位置するように歯部151aが形成される。また、別の言い方をすれば、歯部151aは、ロープ190に食い込んだときに、ロープ190に直交する直線191に対して下側(前側)に傾斜するように設けられる。つまり、歯部151aは、歯底の周方向の中心(点Q)と歯先(点P)を通る直線192が、直線191よりも下側(前側)に傾斜するように設けられる。
【0077】
図6に示すように、歯部151aの前部151bは、押さえ板151の外周の中心Oと歯部151aの歯先(点P)とを通る直線OPと平行に形成される。歯部151aの後部151cは、直線OPに対する後部151cの傾斜角度θが40度~50度程度となるように形成される。
【0078】
接続板152は、台形状の平板部材であり、隣り合う押さえ板151間に配置される。接続板152は、歯部151aの歯底よりも中心O側に配置される。接続板152が押さえ板151間に設けられるので、押さえ板151と押さえ板151との間に隙間を形成することができる。歯部151aの厚み方向において、隣り合う歯部151a間に隙間が形成されるので、歯部151aをロープ190に食い込みやすくすることができる。
【0079】
図7に示すように、本実施形態に係るロープクランプ138の幅W2は、一対の側板166間の寸法W1及びロープ190の直径Dよりも小さい。ロープ190にできるだけ多くの歯部151aを食い込ませることができるように、ロープクランプ138の幅W2は、ロープ190の直径Dの1/4以上とすることが好ましく、1/2以上とすることがより好ましい。なお、ロープクランプ138の幅W2は、少なくとも一対の側板166間の寸法W1よりも小さければよく、ロープ190の直径Dよりも大きくてもよい。
【0080】
図8及び図9を参照して、固定機構136の動作について説明する。図8は、レバー134が把持操作されている状態のハンドル装置130を示す模式図であり、図9は、レバー134が把持操作されていない状態のハンドル装置130を示す模式図である。なお、図8及び図9で示す模式図では、固定機構136の動作がわかりやすいように、一部、隠れ線(破線)で示すべきところも実線で示している。
【0081】
図9に示す状態からレバー134が把持操作されると、図8に示すように、レバー134及びレバー134に固定されるロープクランプ138が、コイルばね139の付勢力に抗して、ボルト171bを支点に図示反時計方向に回動する。したがって、レバー134が把持操作されると、レバー134の上部が後方把持部171に近接するように移動するとともに、固定機構136のロープクランプ138がガイドフレーム137の底板167及びロープ190から離隔するように移動する。
【0082】
図8に示す状態からレバー134に対する把持操作が無くなると、図9に示すように、コイルばね139の付勢力により、レバー134及びレバー134に固定されるロープクランプ138が、図示時計方向に回動する。したがって、レバー134に対する把持操作が無くなると、コイルばね139の付勢力によって、ロープクランプ138がガイドフレーム137の底板167及びロープ190に近接するように移動する。その結果、ロープ190が、ロープクランプ138によって下方(ガイドフレーム137の底板167に向かって)に押し付けられる。
【0083】
このように、コイルばね139は、歯部151aがロープ190及びガイドフレーム137の底板167に近づく方向にロープクランプ138を付勢する付勢部材として機能する。
【0084】
レバー134に対する把持操作が無くなり、ロープクランプ138が回動すると、ロープ190がロープクランプ138とガイドフレーム137の底板167との間で挟持され、ロープ190に歯部151aが食い込む。
【0085】
以上のとおり、固定機構136は、操作スイッチ173が操作されているときには、複数の歯部151aをロープ190から離隔して配置し、操作スイッチ173に対する操作が無くなったときに、複数の歯部151aをロープ190に向けて移動させロープ190に食い込ませることにより、昇降台車100をロープ190に固定するように構成される。
【0086】
より具体的には、固定機構136は、レバー134が把持操作されると、レバー134がコイルばね139の付勢力に抗して移動し、操作スイッチ173がレバー134によって押し込まれることによりオン信号(作動指令)を出力するとともに、ロープクランプ138がガイドフレーム137の底板167から離隔するように構成される。また、固定機構136は、レバー134に対する把持操作が無くなると、レバー134がコイルばね139の付勢力により移動し、操作スイッチ173からのオン信号(作動指令)の出力が無くなるとともに、ロープクランプ138がガイドフレーム137の底板167に近接し、ガイドフレーム137の凹部137aとロープクランプ138との間でロープ190が挟持されるように構成される。
【0087】
このように、本実施形態では、ロープ190に食い込ませる歯部151aを有する簡素な固定機構136によって、昇降台車100をロープ190に固定することができる。これにより、昇降台車100の落下を防止することができる。
【0088】
さらに、本実施形態に係る固定機構136は、固定機構136の作動時におけるロープクランプ138の回動量、すなわち歯部151aの移動量を調整可能な調整部としての調整ボルト158を備えている。図8に示す状態からレバー134に対する把持操作が無くなると、図9に示すように、レバー134及びロープクランプ138が図示時計方向に回動するが、その回動量(回動角度)は、ストッパ部材として機能する調整ボルト158により規制される。換言すれば、レバー134及びロープクランプ138が図示時計方向に所定量だけ回動すると、調整ボルト158が後方把持部171の下端部に当接する。
【0089】
調整ボルト158は、クランプ保持部162に取り付けられる。調整ボルト158は、クランプ保持部162から後方把持部171に向かって突出するように配設され、そのねじ込み量により突出量が調整される。調整ボルト158の後方への突出量を大きくするほど、レバー134及びロープクランプ138の回動量を小さくすることができる。つまり、調整ボルト158の後方への突出量を大きくするほど、ロープクランプ138の歯部151aとガイドフレーム137の底板167との最小距離を大きくすることができる。
【0090】
調整ボルト158によって歯部151aの移動量を調整することにより、ロープ190に対する歯部151aの食い込み量を調整することができる。このため、ロープ190の直径Dに応じて、適切な食い込み量を設定することができる。
【0091】
本実施形態に係る昇降台車100の操作手順及び落下防止装置として機能するハンドル装置130の動作について、階段を下降する場合を例に説明する。なお、図2に示すように、階段には、予めロープ190が配索されている。ロープ190には、例えば、コンパウンドロープ(ワイヤ入りロープ)が用いられる。
【0092】
運転者は階段を昇降するための昇降台車100の操作に先立って、ロープ190をガイドフレーム137の凹部137a(図7参照)内に配置し、カラビナ(不図示)を孔169に装着する。なお、ロープ190は、階段の経路に応じて右側または左側に配置される。本実施形態では、右側のハンドル装置130Rにロープ190が取り付けられる。
【0093】
なお、ロープクランプ138は、ボルト138aにより着脱自在にレバー134に取り付けられる。また、ガイドフレーム137は、ねじ部材168により着脱自在に本体フレーム131に取り付けられる。したがって、ハンドル装置130への固定機構136の取り付け、取り外し作業を容易に行うことができる。さらに、ロープクランプ138は、左側のハンドル装置130L及び右側のハンドル装置130Rのいずれにも取り付けが可能である。すなわち、単一のロープクランプ138を左側のハンドル装置130L及び右側のハンドル装置130に兼用することができる。
【0094】
運転者は、電源スイッチ178(図1図3参照)を電源オン位置に切り換え、昇降方向選択スイッチ179(図1図3参照)を下降位置に切り換える。次に、運転者は、後方把持部171の上部に前方把持部161の上部を近づけるようにレバー134を把持操作する。レバー134が把持操作されると、図8に示すように、操作スイッチ173が前方把持部161によって押し込まれ、昇降モータ31(図1参照)が下降方向(前進方向)に回動する。
【0095】
階段を下り終えた後、運転者は、レバー134を離し、レバー134の把持操作をやめる。これにより、図9に示すように、コイルばね139の付勢力によって、後方把持部171の上部から前方把持部161の上部が遠ざかるようにレバー134が回動する。これにより、操作スイッチ173からのオン信号(作動指令)の出力が無くなるため、昇降モータ31が停止する。
【0096】
階段を下降する際に昇降台車100が不安定になるなどして、運転者がレバー134から手を離すと、操作スイッチ173からの作動指令の出力が無くなるので、昇降モータ31(図1参照)が停止する。さらに、運転者による操作スイッチ173に対する操作が無くなることに伴って、固定機構136が作動し、ガイドフレーム137の凹部137aに配置されるロープ190にロープクランプ138の歯部151aが食い込む。このとき、ロープ190はロープクランプ138によってガイドフレーム137の底板167に押し付けられる。つまり、ロープ190は、ロープクランプ138とガイドフレーム137との間で挟持される。これにより、ロープ190に昇降台車100が固定され、昇降台車100の落下が防止される。
【0097】
なお、歯部151aは、歯先がロープ190の下側に向くように、ロープ190に直交する直線191に対して下側(前側)に傾斜して設けられるので、積荷を含む昇降台車100の自重によってロープ190に歯部151aを十分に食い込ませることができる。
【0098】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0099】
本実施形態に係る昇降台車用のハンドル装置130は、昇降モータ31を作動させるための操作スイッチ173に対する操作が無くなることに伴って、固定機構136によって、階段等の傾斜路に沿うように配置されるロープ190に昇降台車100を固定する構成とされる。
【0100】
本実施形態によれば、操作スイッチ173に対する運転者による操作が無くなると、昇降モータ31が停止するとともに、固定機構136によってロープ190に昇降台車100が固定される。したがって、昇降台車100が不安定な状態となり、運転者がハンドル部材133から手を離してしまった場合に、固定機構136が操作スイッチ173の解除動作に連動して作動し、昇降台車100の落下を防止することができる。
【0101】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0102】
<変形例1>
上記実施形態では、右側のハンドル装置130Rにのみ固定機構136を設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。固定機構136は、左右のハンドル装置130L,130Rのそれぞれに設けてもよいし、左側のハンドル装置130Lにのみ設けてもよい。階段等の傾斜路に配置されるロープ190の位置によって、固定機構136を取り付けるハンドル装置130を適宜選択することができる。
【0103】
<変形例2>
図10に示すように、左側のハンドル装置130L及び右側のハンドル装置130Rを連結部材としての連結バー265によって連結してもよい。連結バー265は、左右方向に延在する帯状平板であり、左右両端部が左右のハンドル装置130L,130Rのレバー134に溶接等により固定される。
【0104】
このように、本変形例では、左側のハンドル装置130Lのレバー134と右側のハンドル装置130Rのレバー134とが連結バー265によって連結されている。このため、運転者は、左側のハンドル装置130Lのレバー134及び右側のハンドル装置130Rのレバー134のいずれかの把持操作を解除することにより、左右のハンドル装置130L,130Rのいずれかに取り付けられる固定機構136を作動させて、ロープ190に固定機構136を固定することができる。
【0105】
例えば、ロープ190が取り付けられていない左側のハンドル装置130Lのレバー134を把持操作することにより、昇降台車100により昇降動作を行う。この場合、左側のハンドル装置130Lの把持操作が無くなったとき、ロープ190が取り付けられている右側のハンドル装置130Rの固定機構136が作動し、昇降台車100の落下が防止される。
【0106】
このように、本変形例によれば、右側のハンドル装置130のガイドフレーム137にロープ190が配置される場合に、左側のハンドル装置130のレバー134を把持操作することにより、昇降台車100の動作が可能であるとともに、昇降台車100の落下が防止される。したがって、本変形例では、ロープ190が把持操作の妨げになることが防止される。つまり、昇降台車100の取り扱いをより容易にすることができる。
【0107】
<変形例3>
上記実施形態では、固定機構136の作動時におけるロープクランプ138の回動量、すなわち歯部151aの移動量(移動距離)を調整可能な調整部として、調整ボルト158(図8図9参照)を設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図11に示すように、ロープクランプ138を固定するボルト138aが挿通する孔338bを長孔としてもよい。このような構成とすることで、ロープクランプ138の取り付け位置を調整することができる。本変形例では、孔338bが、固定機構136の作動時における歯部151aの移動量(移動距離)を調整可能な、すなわちロープ190に対する歯部151aの食い込み量を調整可能な調整部を構成する。
【0108】
<変形例4>
上記実施形態では、ハンドル部材133に回動自在に支持されるレバー134を設ける例について説明したが(図2参照)、本発明はこれに限定されない。例えば、図12に示すように、運転者に把持されるハンドル部材133の先端部(頂部)に操作スイッチ173を設けてもよい。本変形例では、ロープクランプ138を回動させる回動モータ455が、ハンドル部材133に固定されている。回動モータ455の駆動軸には、ロープクランプ138が取り付けられ、回動モータ455の駆動によりロープクランプ138が回動する。
【0109】
本変形例に係るコントローラ440は、判定部441と、判定部441での判定結果に基づき昇降モータ31の作動/停止を制御する昇降モータ制御部142と、判定部441での判定結果に基づき回動モータ455の回動を制御する回動モータ制御部443と
、を有する。
【0110】
判定部441は、操作スイッチ173からのオン信号(作動指令)に基づいて、操作スイッチ173が操作されているか否かを判定する。また、判定部441は、昇降方向選択スイッチ179からの方向選択指令に基づいて、昇降方向選択スイッチ179の操作位置(切り換え位置)を判定する。
【0111】
判定部441において、昇降方向選択スイッチ179が上昇位置に操作され、かつ、操作スイッチ173が操作されていると判定された場合、昇降モータ制御部142は、昇降モータ31を一方(上昇方向)に回転させ、クローラ50を駆動させる。これにより、昇降台車100が階段を昇るように動作する。
【0112】
判定部141において、昇降方向選択スイッチ179が下降位置に操作され、かつ、操作スイッチ173が操作されていると判定された場合、昇降モータ制御部142は、昇降モータ31を他方(下降方向)に回転させ、クローラ50を駆動させる。これにより、昇降台車100が階段を降るように動作する。
【0113】
昇降モータ31が回転駆動している状態で、判定部441において操作スイッチ173が操作されていない、すなわち操作スイッチ173に対する操作が無くなったと判定されると、昇降モータ制御部142は、昇降モータ31の回転を停止させる。これにより、階段を上昇中または下降中の昇降台車100を停止させることができる。
【0114】
また、昇降モータ31が回転駆動している状態で、判定部441において操作スイッチ173が操作されていない、すなわち操作スイッチ173に対する操作が無くなったと判定されると、回動モータ制御部443は、ロープクランプ138の歯部151aがロープ190及びガイドフレーム137の底板167に近づくように、回動モータ455を一方に回動させ、ロープクランプ138の歯部151aをロープ190に食い込ませる。これにより、上記実施形態と同様、昇降台車100の落下を防止することができる。
【0115】
なお、判定部441において操作スイッチ173が操作されていると判定されると、回動モータ制御部443は、ロープクランプ138の歯部151aがロープ190及びガイドフレーム137の底板167から離れるように、回動モータ455を他方に回動させる。これにより、ロープ190に対するロープクランプ138の固定が解除される。
【0116】
<変形例5>
上記実施形態では、図13Aに示すように、歯部151aの前部151bが、押さえ板151の外周の中心Oと歯部151aの先端(点P)とを通る直線OPと平行に形成される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。図13Bに示すように、歯部151aの前部151bが直線OPよりも後方に位置するように歯部151aを形成してもよい。図13Cに示すように、歯部151aの前部151bが直線OPよりも後方に位置するように歯部151aを形成してもよい。少なくとも、直線OPと前部151bとのなす角θ2が、直線OPと後部151cとのなす角θ1よりも小さくなるように形成することが好ましい。
【0117】
<変形例6>
上記実施形態では、ロープクランプ138がレバー134に固定され、レバー134とともに回動する構成とされる例について説明したが(図8図9参照)、本発明はこれに限定されない。例えば、図14A及び図14Bに示すように、ロープクランプ638は、一方向(例えば上下方向)に沿って、直線的な往復運動をするように構成してもよい。本変形例に係る固定機構636は、直線運動を行うロープクランプ638と、ロープクランプ638を押圧するクランプ押圧部662と、を備える。ロープクランプ638は、一対のばね638aにより弾性支持され、長孔638bに挿通されるガイドピン638cにより移動方向が上下方向に規制される。
【0118】
一対のばね638aは、一端がロープクランプ638に固定され、他端が本体フレーム131に設けられるばね受け631cに固定される。ばね638aは、自然長(自由長)からの縮み量(弾性変形量)に応じて伸長方向の弾性力を発生する弾性部材としての圧縮コイルばねである。
【0119】
レバー134には、上記実施形態のクランプ保持部162に代えて、クランプ押圧部662が設けられる。クランプ押圧部662は、前方把持部161の下部に固定される。クランプ押圧部662は、下端部に半円弧状の押圧面が形成される。レバー134の把持操作が無くなると、レバー134とともにクランプ押圧部662が回動し、押圧面によってロープクランプ638が下方に押圧される。これにより、ロープクランプ638の歯部151aがロープ190に食い込み、固定機構636がロープ190に固定される。
【0120】
<変形例7>
上記実施形態では、ロープクランプ138に歯部151aが設けられる例について説明したが(図8図9参照)、本発明はこれに限定されない。図15A及び図15Bに示すように、ガイドフレーム737に歯部751aを設けてもよい。本変形例に係る固定機構736は、歯部751aを有するガイドフレーム737と、ロープ190を押し下げ可能なロープクランプ738と、を備える。ガイドフレーム737は、ロープ190が載置される底板767と、底板767に設けられる窪み部767bと、窪み部767bの底面から突出するように設けられる歯部751aと、を有する。一方、ロープクランプ738には、歯部が設けられていない。
【0121】
本変形例では、レバー134が把持操作されているときには、図15Aに示すように、ロープクランプ738がロープ190から離隔して配置される。ロープ190は、ガイドフレーム737の底板767上に沿って配置されるので、ロープ190が歯部751aに接触することが防止される。
【0122】
レバー134に対する把持操作が無くなると、図15Bに示すように、ロープクランプ738が下方に移動して、ロープ190を押し下げ、ロープクランプ738とガイドフレーム737とでロープ190が挟持される。これにより、ロープ190に歯部751aが食い込み、ロープ190に昇降台車100が固定される。
【0123】
<変形例8>
上記実施形態では、固定機構136に設けられる歯部151aをロープ190に食い込ませることにより、ロープ190に昇降台車100を固定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。図16A及び図16Bに示すように、本変形例に係る固定機構836は、ロープ190を挟持するロープクランプ838とガイドフレーム837とにより構成される。
【0124】
本変形例では、ロープ190が貫通する筒状部材891が、ロープクランプ838の先端部に固定されている。筒状部材891は、可撓性を有する材料により形成される。ガイドフレーム837は、固定機構836の作動時にロープ190が収容される凹部837dを有する。
【0125】
本変形例では、レバー134が把持操作されているときには、筒状部材891が直線状に保持される。レバー134に対する把持操作が無くなると、ロープクランプ838が下方に移動して、筒状部材891をU字状に変形させるとともにロープ190を押し下げる。これにより、筒状部材891がロープクランプ838とガイドフレーム837とによって挟持され、潰されるように変形する。この結果、筒状部材891に挿通されるロープ190が固定機構836に固定される。
【0126】
このように、筒状部材891を変形させることにより、ロープ190に昇降台車100を固定することができるので、ロープ190の損傷を防止して、ロープ190の寿命を向上することができる。なお、筒状部材891は、ロープクランプ838に固定せず、ロープ190の全長に亘って設けるようにしてもよい。
【0127】
<変形例9>
上記実施形態では、複数の押さえ板151を隙間を介して積層することにより、複数の歯部151aを形成する例について説明したが(図7参照)、本発明はこれに限定されない。ロープクランプ138におけるロープ190との接触面に複数の凹凸を設け、凹凸をロープ190に圧接することにより、ロープ190にロープクランプ138を固定してもよい。
【0128】
<変形例10>
上記実施形態では、ロープクランプ138が複数の歯部151aを有する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ロープクランプ138は、ロープ190に食い込ませるための歯部151aを一つだけ有する構成としてもよい。
【0129】
<変形例11>
上記実施形態では、固定機構136により昇降台車100を固定する線部材としてロープ190を使用する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、線部材として、チェーン、チューブ等であってもよい。
【0130】
<変形例12>
上記実施形態では、昇降台車100が昇降する傾斜路が階段である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。傾斜路には、段差の無い坂道が含まれる。つまり、段差の無い坂道を昇降する昇降台車100に本発明を適用してもよい。
【0131】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、および効果をまとめて説明する。
【0132】
昇降台車用の落下防止装置(ハンドル装置130)は、互いに平行に配置される一対のクローラ50と、一対のクローラ50を駆動する駆動源(昇降モータ31)と、を備える昇降台車100に搭載される落下防止装置であって、駆動源(昇降モータ31)を作動させるために操作される操作部(操作スイッチ173)と、操作部(操作スイッチ173)に対する操作が無くなることに伴って、昇降台車100が昇降する傾斜路に配置される線部材(ロープ190)に昇降台車100を固定する固定機構136,636,736,836と、を備える。
【0133】
この構成では、操作部(操作スイッチ173)に対する操作が無くなると、駆動源(昇降モータ31)が停止するとともに、固定機構136,636,736,836によって線部材(ロープ190)に昇降台車が100固定されるので、昇降台車100の落下を防止することができる。
【0134】
昇降台車用の落下防止装置(ハンドル装置130)は、線部材が、ロープ190であり、固定機構136,636は、ロープ190に対向するように配置される歯部151aを有し、固定機構136,636が、操作部(操作スイッチ173)が操作されているときには、歯部151aをロープ190から離隔して配置し、操作部(操作スイッチ173)に対する操作が無くなったときに、歯部151aをロープ190に向けて移動させ、昇降台車100をロープ190に固定するように構成される。
【0135】
昇降台車用の落下防止装置(ハンドル装置130)は、運転者に把持されるハンドル部材133と、ハンドル部材133に回動自在に支持されるレバー134と、レバー134が操作部(操作スイッチ173)から離れる方向にレバー134を付勢する付勢部材(コイルばね139)と、をさらに備え、操作部は、ハンドル部材133に設けられ、押し込まれているときだけ駆動源(昇降モータ31)の作動指令を出力する操作スイッチ173であり、固定機構136が、レバー134に固定され歯部151aを有するロープクランプ138と、ハンドル部材133に固定されロープ190をガイドするガイド部材(ガイドフレーム137)と、を有し、レバー134が把持操作されると、レバー134が付勢部材(コイルばね139)の付勢力に抗して回動し、操作スイッチ173がレバー134によって押し込まれることにより作動指令を出力するとともに、ロープクランプ138がガイド部材(ガイドフレーム137)から離隔し、レバー134に対する把持操作が無くなると、レバー134が付勢部材(コイルばね139)の付勢力により回動し、操作スイッチ173からの作動指令の出力が無くなるとともに、ロープクランプ138がガイド部材(ガイドフレーム137)に近接し、ガイド部材(ガイドフレーム137)とロープクランプ138との間でロープ190が挟持されるように構成される。
【0136】
これらの構成では、ロープ190に食い込ませる歯部151aを有する簡素な構成の固定機構136によって、昇降台車100をロープ190に固定することができる。
【0137】
昇降台車用の落下防止装置(ハンドル装置130)は、歯部151aが、ロープ190に食い込んだときにロープ190に直交する直線191に対して下側に傾斜するように設けられる。
【0138】
この構成では、昇降台車100の自重によってロープ190に歯部151aを十分に食い込ませることができる。
【0139】
昇降台車用の落下防止装置(ハンドル装置130)は、歯部151aの移動量を調整可能な調整部(調整ボルト158、孔338b)をさらに備える。
【0140】
この構成では、歯部151aの移動量を調整することにより、ロープ190に対する歯部151aの食い込み量を調整することができる。
【0141】
昇降台車用の落下防止装置(ハンドル装置130)は、落下防止装置(ハンドル装置130)を昇降台車100に着脱自在に取り付けるための取付部(取付金具132)をさらに備える。
【0142】
この構成では、落下防止装置(ハンドル装置130)が着脱自在とされているので、落下防止装置(ハンドル装置130)を交換したり、落下防止装置(ハンドル装置130)を新たに追設したりすることが容易である。
【0143】
昇降台車100は、上記落下防止装置(ハンドル装置130)と、荷物が載置される荷台部10と、荷台部10に取り付けられる駆動源(昇降モータ31)と、駆動源(昇降モータ31)により駆動される一対のクローラ50と、操作部(操作スイッチ173)が操作されているときに駆動源(昇降モータ31)を作動させ、操作部(操作スイッチ173)に対する操作が無くなったときに駆動源(昇降モータ31)を停止させる駆動源制御部(コントローラ140,440)と、を備える。
【0144】
この発明では、上記落下防止装置(ハンドル装置130)を備えた昇降台車100を提供することができる。
【0145】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0146】
10・・・荷台部、31・・・昇降モータ(駆動源)、50・・・クローラ、100・・・昇降台車、130・・・ハンドル装置(落下防止装置)、132・・・取付金具(取付部)、133・・・ハンドル部材、134・・・レバー、136,636,736,836・・・固定機構、137,737・・・ガイドフレーム(ガイド部材)、138,638・・・ロープクランプ、139・・・コイルばね(付勢部材)、140,440・・・コントローラ(駆動源制御部)、151a・・・歯部、158・・・調整ボルト(調整部)、173・・・操作スイッチ(操作部)、190・・・ロープ(線部材),338・・・孔(調整部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B