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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
H04Q9/00 371
H04Q9/00 301Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018210265
(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公開番号】P2020077981
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】500102653
【氏名又は名称】株式会社サンフレム
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(72)【発明者】
【氏名】田中 達生
(72)【発明者】
【氏名】高橋 芳信
(72)【発明者】
【氏名】森光 直樹
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-529241(JP,A)
【文献】特開2006-197030(JP,A)
【文献】特開2018-006298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の操作盤上の複数のスイッチにそれぞれ覆い被せられる複数の遠隔操作装置を備え、
前記遠隔操作装置が、
覆い被せられている前記スイッチの状態を変化させる駆動機構と、
外部から入力される遠隔指令信号を受け付ける信号受付部と、
受け付けられた遠隔指令信号に基づいて、前記駆動機構を動作させる制御部と、を備え、
前記複数の遠隔操作装置が、それぞれ連動して動作するように構成されていることを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項2】
前記複数の遠隔操作装置に対して遠隔指令信号を送信する指令部をさらに備えた請求項1記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記指令部が、予め定められた動作レシピに基づいてそれぞれの遠隔操作装置に対して順番に対応する動作指令信号を送信する請求項2記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記遠隔操作装置が、
前記駆動機構の動作が完了したことを示す完了信号を前記指令部に送信する完了通知部をさらに備え、
前記指令部が、ある遠隔操作装置から完了信号を受信した場合に別の遠隔操作装置に動作指令信号を送信するように構成されている請求項2又は3記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記指令部が、前記複数の遠隔操作装置とは別に設けられている請求項2乃至4いずれかに記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記指令部が、前記複数の遠隔操作装置に設けられている請求項2乃至4いずれかに記載の遠隔操作システム。
【請求項7】
前記遠隔操作装置が、
前記駆動機構が前記スイッチに取り付けられた状態で外部に露出するように設けられた表示器と、をさらに備え、
前記表示器が、前記駆動機構が取り付けられている前記スイッチの名称を表示する名称表示領域と、当該スイッチの状態を示す状態表示領域を少なくとも表示する請求項1乃至6いずれかに記載の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は既存のスイッチに後付される複数の遠隔操作装置により構成された遠隔操作システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
機器を操作するための操作盤には、各部の稼働、停止、又は、運転状態の選択を行うためのスイッチがそれぞれ設けられている。機器に対して所定の動作を行わせるために、オペレータは予め定められた手順で各スイッチを手動で操作している場合がある(特許文献1参照)。
【0003】
一方、スイッチが多数になると操作手順が複雑になってしまうので、コンピュータ等による制御が操作盤に予め実装されることもある。
【0004】
しかしながら、例えば工場や船舶等に備えられている機器は、導入当初より変更されずに長く使われていることが多く、故障や特別な要求がない限り、操作盤のみを自動制御等が組込まれた最新のものにリニューアルされることはほとんどない。また、新たに導入される関連機器が他社製であることも多く、全ての機器を1つの操作盤で操作するように統合できない場合がある。このため、現在でもオペレータが手動で多数のスイッチを順番に操作せざるを得ないことがある。
【0005】
また、このような操作盤は機器の近傍に配置され、オペレータが常駐している場所から離れていることもあるので、オペレータは手動での操作のために移動しなくてはならない場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-204496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述したような問題に鑑みてなされたものであり、コンピュータ制御による統合が難しい既存の複数のスイッチについても、遠隔操作によって操作手順も簡略化することができる遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る遠隔操作システムは、既存の複数のスイッチにそれぞれ取り付けられる複数の遠隔操作装置を備え、前記遠隔操作装置が、取り付けられている前記スイッチの状態を変化させる駆動機構と、外部から入力される遠隔指令信号を受け付ける信号受付部と、受け付けられた遠隔指令信号に基づいて、前記駆動機構を動作させる制御部と、を備え、前記複数の遠隔操作装置が、それぞれ連動して動作するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、既存の複数のスイッチに対してそれぞれ前記遠隔操作装置を取り付けるだけで、遠隔操作機能を付加することができる。さらに、前記複数の遠隔操作装置が、それぞれ連動して動作するように構成されているので、例えばある機器を動作させるのに起点となるスイッチに取り付けられた前記遠隔操作装置をオペレータが動作させるだけで残りの操作を他の遠隔操作装置で自動的に行わせることができる。したがって、多数のスイッチがある場合でも複雑な操作手順をオペレータは完全に覚える必要がなく、操作の手間を大幅に低減できる。
【0010】
各遠隔操作装置を連動させるために複雑なプログラムを作成しなくても、前記制御部に入力される遠隔指令信号によって各遠隔操作装置の連動機能を実現できるようにするには、前記複数の遠隔操作装置に対して遠隔指令信号を送信する指令部をさらに備えたものであればよい。
【0011】
機器を動作させるために例えば各遠隔操作装置に対して順番に遠隔指令信号が入力されて、既存の各スイッチに対して必要となる一連の操作が各遠隔操作装置により入力されるようにするには、前記指令部が、予め定められた動作レシピに基づいてそれぞれの遠隔操作装置に対して順番に対応する動作指令信号を送信するものであればよい。
【0012】
例えば事故等を防ぐために複数のスイッチが同時に操作されるのを防ぐことができるように順番にスイッチの状態が変更されるようにするには、前記遠隔操作装置が、前記駆動機構の動作が完了したことを示す完了信号を前記指令部に送信する完了通知部をさらに備え、前記指令部が、ある遠隔操作装置から完了信号を受信した場合に別の遠隔操作装置に動作指令信号を送信するように構成されていればよい。
【0013】
遠隔操作装置をサーバクライアント型のネットワークで一括管理できるようにするには、前記指令部が、前記複数の遠隔操作装置とは別に設けられていればよい。このように構成すれば、例えばタブレットや据え置き型のコンピュータをサーバ、前記複数の遠隔操作装置をクライアントとして一括管理や制御を実現できる。
【0014】
前記複数の遠隔操作装置がお互いに通信し合うことでピアツーピア型やメッシュ型のネットワークでスイッチの連動制御を実現するには、前記指令部が、前記複数の遠隔操作装置に設けられていればよい。
【0015】
前記遠隔操作装置が既存のスイッチに取り付けられた状態でスイッチの全てが前記遠隔操作装置によって隠されている状態でもそのスイッチの役割や状態が前記遠隔操作装置を取り外さなくてもオペレータ等が認識できるようにするには、前記遠隔操作装置が、前記駆動機構が前記スイッチに取り付けられた状態で外部に露出するように設けられた表示器と、をさらに備え、前記表示器が、前記駆動機構が取り付けられている前記スイッチの名称を表示する名称表示領域と、当該スイッチの状態を示す状態表示領域を少なくとも表示するものであればよい。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明に係る遠隔操作システムによれば、機器の操作に用いられる複数のスイッチについて遠隔操作を可能とするだけでなく、各スイッチについて連動した動作も可能となる。したがって、例えば工場や船舶等において用いられている操作盤上のスイッチのように操作盤自体にコンピュータ制御を実装するのが難しい用途でも後付で遠隔自動操作が可能となる。また、オペレータによって手動で行われていた複雑なスイッチ操作についても大幅に簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る遠隔操作システムについて示す模式図。
図2】第1実施形態の遠隔操作装置を示す模式的斜視図。
図3】第1実施形態の遠隔操作装置の内部構造を示す模式的断面図。
図4】第1実施形態の遠隔操作システムの機能ブロック図。
図5】第1実施形態の遠隔操作装置の表示器おける表示態様を示す模式図。
図6】第1実施形態の管理端末におけるレイアウト設定画面を示す模式図。
図7】第1実施形態の管理端末における遠隔操作装置の機能設定画面を示す模式図。
図8】第1実施形態の管理端末における遠隔操作装置の連動動作設定画面を示す模式図。
図9】本発明の第2実施形態に係る遠隔操作システムについて示す模式図。
図10】本発明の第3実施形態に係る遠隔操作システムについて示す模式図。
図11】本発明の第4実施形態に係る遠隔操作システムについて示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1実施形態に係る遠隔操作システム200について各図を参照しながら説明する。
【0019】
第1実施形態の遠隔操作システム200は、例えば図1に示すように操作盤OP上にある複数のスイッチSWのうち少なくとも一部に対して、それぞれ遠隔操作装置100を後付して遠隔操作できるように構成したものである。この操作盤OPは例えば船舶における燃焼装置の制御を行うためのものであり、燃焼装置を正常に動作させるために所定の手順で各スイッチSWの状態を変更する必要がある。なお、第1実施形態の遠隔操作システム200の適用例はこれに限られるものではなく、様々な複数のスイッチSWを備えた操作システムに適用可能である。
【0020】
この遠隔操作システム200は、図1に示すように複数のスイッチSWにそれぞれ取り付けられる遠隔操作装置100と、各遠隔操作装置100に対して信号を送信し、各種設定や動作に関する指令をする管理端末101と、を備えたものである。第1実施形態の遠隔操作システム200は、各遠隔操作装置100と管理端末101との間で信号の通信が行われることで、各遠隔操作装置100が連動して動作するように構成されている。
【0021】
以下では遠隔操作装置100、及び、管理端末101の具体的な構成について説明する。
【0022】
この遠隔操作装置100はいわゆるIoTスイッチであって、例えばWifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の無線接続により外部からの信号を受信し、その信号の示す情報に応じて取り付けられている既存のスイッチSWの状態を変化させる。
【0023】
遠隔操作装置100は、図2に示すように概略円筒形状をなし、操作盤OP上の既存のスイッチSWを上側から完全に覆うように取り付けられる。第1実施形態では図2の斜視図及び図3の縦断面図に示すように遠隔操作装置100の天面には表示器2である例えばLCD等のディスプレイが設けられている。ディスプレイの下側には遠隔操作装置100の機能を制御する制御基板5が設けられている。遠隔操作装置100は内部にバッテリーを備えており、このバッテリーから供給される電力によって各種機器が動作する。
【0024】
また、遠隔操作装置100の底面側の中央部には、スイッチSWの状態を変化させる駆動機構1の一部が露出している。ここで、スイッチSWの状態を変化させるとは、接点を切り替えることや、ボリュームを変化させること等を含む概念である。また、駆動機構1においてセレクタスイッチSWのノブ部分が差し込まれて固定されるスイッチアダプタ15の凹部が露出している。駆動機構1は、第1実施形態では筺体内に収容されたモータ11と、モータ11の軸に取り付けられた第1ギア12と、スイッチアダプタ15の中心部から延びるシャフト14に固定され、第1ギア12と噛み合うように設けられた第2ギア13と、から構成されている。スイッチアダプタ15の回転角は例えばポテンショメータで検出されており、その検出角度に基づいて、スイッチアダプタ15の回転角がセレクタスイッチSWのオン又はオフに相当する角度となるようにモータ11の回転方向とオン又はオフのタイミングが制御される。ここで、既存のセレクタスイッチSWのオン又はオフ状態での角度は規格により定めら得ているので、スイッチアダプタ15の回転角の目標値はそのような規格に基づいて予め設定されている。
【0025】
遠隔操作装置100の底面においてスイッチアダプタ15の周囲には操作盤OPの例えば金属製の筺体部分に磁力等により固定される円環状の固定部3が形成されている。例えば固定部3はネオジウム磁石等を用いて形成される。この固定部3に対してスイッチアダプタ15は周方向に回転可能に構成されている。遠隔操作装置100の円筒状の側面部をなす操作ベゼル4は、手動で固定部3側へ押し込むとともに、周方向に回転させると内部スイッチ41でモータ11が起動され、スイッチアダプタ15を手動で回転した周方向に回転させられるように構成されている。
【0026】
制御基板5は、CPU、メモリ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、各種入出力機器を備えたいわゆるコンピュータである。制御基板5は、メモリに記憶されている遠隔装置用プログラムを実行し、各種機器が協業することによって、図4に示すように少なくとも、設定記憶部51、信号受付部52、制御部53、完了通知部54、表示部55としての機能を発揮するものである。
【0027】
設定記憶部51は管理端末101を用いて各種設定データを記憶するものである。例えば遠隔操作装置100が取り付けられているスイッチSWの名称や、スイッチSWのオンオフ等の状態に関する判定指標を記憶している。
【0028】
信号受付部52は、外部から入力される遠隔指令信号を受け付けるものである。第1実施形態では管理端末101から送信される遠隔指令信号をWifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の無線接続を介して受け付ける。
【0029】
制御部53は、信号受付部52に受け付けられた遠隔指令信号に基づいて、前記駆動機構1を動作させるものである。第1実施形態では遠隔指令信号が示すオンオフ指令に基づいて、モータ11の回転角を制御し、スイッチアダプタ15及び取り付けられているセレクタスイッチSWのオンオフの切り替え制御を行う。
【0030】
完了通知部54は、信号受付部52で受け付けられた遠隔指令信号に基づく動作が制御部53により実行され完了した時点で管理端末101に対して駆動機構1によりオンオフの切り替えが完了したことを示す完了信号を無線接続により送信する。
【0031】
表示部55は、設定記憶部51に記憶されている情報や制御部53から取得されるスイッチSWの状態を表示器2であるディスプレイに表示する。具体的には図5に示すようにディスプレイにおいて駆動機構1が取り付けられているスイッチSWの名称を表示する名称表示領域21と、当該スイッチSWの状態を示す状態表示領域22と、スイッチSWの向きを表示する向き表示領域23と、を少なくとも表示させる。なお、例えば向き表示領域23についてはディスプレイ上において表示するのではなく、別途スイッチSWの向きを表示するLED等をインジケータとして設けても良い。
【0032】
第1実施形態では名称表示領域21はディスプレイにおいて中央部に設定されており、その名称がアルファベット等の文字で表示される。この名称表示領域21に表示されるスイッチSWの名称は管理端末101により設定され、設定記憶部51内に記憶されている名称が表示される。すなわち、管理端末101によりスイッチSWの名称は適宜変更もできる。
【0033】
加えて、状態表示領域22はディスプレイにおいて下側部分に設定されており、セレクタスイッチSWが選択している状態を文字で表示する。この表示される状態についても管理端末101によって適宜変更できる。
【0034】
また、向き表示領域23はディスプレイやLED等において上側部分に設定されており、セレクタスイッチSWの向いている方向と同じ方向にインジケータが点灯するように構成されている。この向き表示領域23に示されるセレクタスイッチSWの向きは例えば制御部53から得られるモータ11の回転角やスイッチアダプタ15の回転角度等の情報に基づいて表示される。
【0035】
次に管理端末101について図4を参照しながら説明する。
【0036】
管理端末101は第1実施形態では例えばタブレット端末であり、各遠隔操作装置100と無線接続により接続され、各遠隔操作装置100の設定、状態のモニタリング、動作指令を行うものである。すなわち、管理端末101と複数の遠隔操作装置100によりサーバクライアント型のネットワークシステムが構築されている。
【0037】
この管理端末101もCPU、メモリ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、各種入出力機器を備えたいわゆるコンピュータであり、メモリに格納されている管理端末用プログラムが実行されることによって、少なくとも入力部61、設定部62、端末記憶部63、指令部64としての機能を発揮する。
【0038】
入力部61はオペレータからの入力を受け付けるものであり、例えば各遠隔操作装置100に関する設定情報が入力されたり、スイッチSWの操作開始指令が入力されたりする。第1実施形態では入力部61は管理端末101の例えばタッチパネルディスプレイによりその機能が実現される。管理端末101がタブレット端末以外の例えばパソコン等で構成されている場合には、入力部61はキーボードやマウス等によりその機能が実現される。
【0039】
設定部62は、入力部61に対するオペレータからの入力に基づいて各遠隔操作装置100に対してスイッチSWの名称や動作に関する事項を設定する。オペレータは各遠隔操作装置100がどのスイッチSWに対して取り付けられているかを管理端末101において認識しやすくするためにレイアウトを設定する。例えば図1のような操作盤OPを例とすれば、図6に示す設定画面において各スイッチSWの位置をグリッドの格子点に見立てて、遠隔操作装置100が取り付けられている場所を設定する。
【0040】
次に図7に示すような各遠隔操作装置100の機能設定画面に遷移させ、どのようなタイプのスイッチSWに取り付けられているか、取り付けられているスイッチSWの名称等を設定する。例えばスイッチの各接点の名称、スイッチ名については適宜オペレータが変更できる。このようにして設定された情報は転送ボタンが押されると対応する遠隔操作装置100へ送信され、そのデータが設定記憶部51に記憶される。
【0041】
また、図8に示す連動動作設定画面では各遠隔操作装置100の連動機能の設定も行うことができる。設定できる項目としては、連動、同時操作、タイミング、遅延、操作後の状態、禁則事項等が挙げられる。すなわち、設定中の遠隔操作装置100について他の遠隔操作装置100と連動をさせるかどうか、複数の遠隔操作装置100間で同時に動作させるか、どの遠隔操作装置100が動作した後に連動させて動作させるか、さらにどの程度遅延させて動作させるかを設定部62は設定する。禁則事項としては他の遠隔操作装置100の動作状況によっては所定の状態に変化することを禁止することが挙げられる。
【0042】
このようにして設定部62により設定される連動動作は例えば管理端末101の端末記憶部63に動作レシピとして記憶される。
【0043】
指令部64は入力部61に対して連動動作開始指令がオペレータにより入力された場合に、端末記憶部63に記憶されている動作レシピに基づいて各遠隔操作装置100に対して遠隔指令信号を出力する。具体的には動作レシピにおいて各遠隔操作装置100を1つずつ所定時間遅延させて動作させるように設定されている場合には以下のような信号のやり取りが各遠隔操作装置100と管理端末101との間で行われる。
【0044】
管理端末101から第1の遠隔操作装置100に対して取り付けられているセレクタスイッチSWをオンにするように遠隔指令信号が出力される。第1の遠隔操作装置100はその遠隔指令信号に基づいてセレクタスイッチSWをオフからオンに変化させ、その動作が完了した時点で完了通知信号を管理端末101に送信する。
【0045】
管理端末101は第1の遠隔操作装置100から送信された完了通知信号を受信した後、動作レシピに設定されている遅延時間後に第2の遠隔操作装置100に対して遠隔操作指令を送信する。第2の遠隔操作装置100は遠隔操作指令を受信すると取り付けられているセレクタスイッチSWを動作させて完了通知信号を管理端末101へと送信する。このような動作が繰り返されることによって複数の遠隔操作装置100間の連動動作が実現される。
【0046】
このように構成された第1実施形態の遠隔操作システム200の効果について説明する。
【0047】
第1実施形態の遠隔操作システム200であれば、既存の操作盤OPに設けられた複数のスイッチSWについてそれぞれ複数の遠隔操作装置100を後付することで、遠隔操作と連動制御を実現することができる。
【0048】
したがって、オペレータが操作盤OPのある場所まで移動して手動で操作する必要をなくすことができる。また、各遠隔操作装置100を連動制御すること機器を動作させるために必要な一連の操作を自動で行わせる事が可能なので、複雑な操作手順をオペレータが覚えていなくてもよくできる。
【0049】
さらに、連動制御時において各遠隔操作装置100について同時に動作させたり、基準となる遠隔操作装置100が動作してから所定時間遅延させてから別の遠隔操作装置100を動作させたりできる。このため、機器の操作のために同時に行ったほうが良い操作や遅らせたほうが良い操作を適宜設定できるので、機器の癖や特徴を掴んだ操作も可能となる。あるいは、同時にすべきではない操作を禁止できるので、機器が危険な動作をしてしまうことも未然に防ぐことができる。
【0050】
本発明の第2実施形態について図9を参照しながら説明する。なお、以降の各実施形態の説明においては、第1実施形態で説明した部材に対応する部材には同じ符号を付すこととする。
【0051】
図9に示す第2実施形態の遠隔操作システム200は、遠隔指令信号が管理端末101から送信されるのではなく、センサSNの出力信号を遠隔指令信号として利用している。
【0052】
具体的にはスイッチSWに対して取り付けられた遠隔操作装置100は、例えば有線により温度センサSNに接続されている。この遠隔操作装置100は、温度センサSNで測定される温度が所定温度以上となったことを示す出力信号が入力された場合に、信号受付部52は遠隔指令信号が入力されたと判断するように構成されている。
【0053】
なお、管理端末101については主に遠隔操作装置100の設定等を行うために用いられる。
【0054】
このような第2実施形態の遠隔操作システム200であれば、例えば周囲環境や機器の状態をセンサSNでモニタリングしておき、その状態の変化に応じてスイッチSWの状態を自動的に変更することが可能となる。
【0055】
次に本発明の第3実施形態について図10を参照しながら説明する。
【0056】
第3実施形態では管理端末101がタブレット端末だけでなく、据え置き型のパソコンを含むものである。各管理端末101と各遠隔操作装置100との間の通信はインターネット回線及び無線ルータ等のネットワークを介して行われる。
【0057】
このような第3実施形態の遠隔操作システム200であれば、例えば遠隔地にいるオペレータによって機器の操作や操作盤のスイッチ状態の把握が可能となる。
【0058】
本発明の第4実施形態について図11を参照しながら説明する。
【0059】
第4実施形態の遠隔操作システム200は操作盤OP上のスイッチSWを操作するためではなく、例えば家庭内の器具に設けられているスイッチSWを遠隔操作するために用いられるものである。具体的にはカセットコンロのオンオフ及び火力を調整するためのつまみに遠隔操作装置100を取り付けてある。火力の調整を行えるように遠隔操作装置100はオンオフの2点間の状態だけでなく、その間の状態も連続的にとり得るように構成されている。
【0060】
このような第4実施形態の遠隔操作システム200であれば、一般的な製品についても遠隔操作や自動制御を実現することができる。
【0061】
その他の実施形態について説明する。
【0062】
遠隔操作装置が取り付けられるスイッチは、セレクタスイッチに限られるものではなく、トグルスイッチ、ロータリースイッチ、プッシュスイッチ等様々な形式のものであってもよい。すなわち、スイッチの形式に応じて駆動機構の構成あるいはスイッチが取り付けられるスイッチアダプタの形状を適宜設定すればよい。具体的には駆動機構のスイッチアダプタは回転させるものに限られず、スイッチを押し込むように構成されていてもよい。
【0063】
遠隔操作装置は既存のスイッチの全てに覆いかぶさる物に限られず、遠隔操作装置が取り付けられた状態で既存のスイッチの一部が外部に露出するように遠隔操作装置を構成してもよい。表示器は必ずしも天面に配置されるものに限られず、側面等のオペレータが視認できる位置に設けても良い。また、例えば管理端末でしかスイッチの状態等を確認せず、スイッチの状態等を遠隔操作装置上で表示しなくても良い場合には遠隔操作装置から表示器を省略してもよい。
【0064】
管理端末の機能のうち指令部については、各遠隔操作装置内で実現されるものであってもよい。例えば各遠隔操作装置同士が無線により通信し合うようにしピアツーピア型のネットワークを構成してもよい。このような場合、各遠隔操作装置の指令部はスイッチの状態変更が完了した時点で次に動作するべき遠隔操作装置に対して遠隔指令信号を送信するように構成しておけば、順番に各スイッチの切り替えや操作を連動させることができる。
【0065】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、各実施形態の構成の一部同士を組み合わせたり、構成の一部を変形したりしても構わない。
【符号の説明】
【0066】
200・・・遠隔操作システム
100・・・遠隔操作装置(IoTスイッチ)
101・・・管理端末
1 ・・・駆動機構
2 ・・・表示器
3 ・・・固定部
4 ・・・操作ベゼル
41 ・・・内部スイッチ
5 ・・・制御基板
11 ・・・モータ
12 ・・・第1ギア
13 ・・・第2ギア
14 ・・・シャフト
15 ・・・スイッチアダプタ
21 ・・・名称表示領域
22 ・・・状態表示領域
23 ・・・向き表示領域
51 ・・・設定記憶部
52 ・・・信号受付部
53 ・・・制御部
54 ・・・完了通知部
55 ・・・表示部
61 ・・・入力部
62 ・・・設定部
63 ・・・端末記憶部
64 ・・・指令部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11