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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】飛翔害虫誘引剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 31/02 20060101AFI20220623BHJP
   A01P 19/00 20060101ALI20220623BHJP
   A01N 37/02 20060101ALI20220623BHJP
   A01N 37/36 20060101ALI20220623BHJP
   A01N 37/42 20060101ALI20220623BHJP
   A01N 37/06 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
A01N31/02
A01P19/00
A01N37/02
A01N37/36
A01N37/42
A01N37/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018548621
(86)(22)【出願日】2017-10-19
(86)【国際出願番号】 JP2017037804
(87)【国際公開番号】W WO2018083992
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2016214030
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390015853
【氏名又は名称】理研香料ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002136
【氏名又は名称】特許業務法人たかはし国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 真人
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104054749(CN,A)
【文献】特開2013-018730(JP,A)
【文献】特開2013-151470(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102599193(CN,A)
【文献】特開2012-041326(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103155919(CN,A)
【文献】特開2006-143624(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103651580(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104381329(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103636680(CN,A)
【文献】Arthritis & Rheumatism,2008年,Vol.58,No.5,p1299-1309
【文献】YOSHIZAWA, K. et al.,Journal of the Brewing Society of Japan,1994年,Vol. 89, No. 6,pp. 481-488
【文献】山口 玄示、有馬 啓,化学と生物,1968年,Vol. 6, No. 6,pp. 351-355
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数2以上6以下の脂肪族アルコール(A)及び/又は炭素数3以上8以下の脂肪族酸エステル(E)、並びに、炭素数3以上5以下のケト酸若しくはヒドロキシ酸である特定カルボン酸(H)を含有する飛翔害虫誘引剤であって、該脂肪族アルコール(A)が、1-プロパノール、2-プロパノール、2-プロペン-1-オール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール、1-ヘキサノール、3-メチル-1-ペンタノール及び4-メチル-2-ペンタノールからなる群より選ばれた1種以上の脂肪族アルコールであり、該脂肪族酸エステル(E)が、酢酸1-ペンタノールエステル、酢酸1-プロパノールエステル、プロパン酸1-ブタノールエステル、プロパン酸2-プロペン-1-オールエステル、2-ヒドロキシプロパン酸1-ブタノールエステル、2-オキソプロパン酸エタノールエステル、ブタン酸1-プロパノールエステル、ブタン酸2-プロパノールエステル、ブタン酸エタノールエステル、2-メチルプロパン酸2-プロパノールエステル、2-ヒドロキシブタン酸エタノールエステル、3-ヒドロキシブタン酸エタノールエステル、2-ブテン酸2-メチルプロパン-1-オールエステル、ペンタン酸メタノールエステル、2,2-ジメチルプロパン酸メタノールエステル、2-メチルブタン酸エタノールエステル、3-メチルブタン酸メタノールエステル、(E)-2-メチルブタ-2-エン酸エタノールエステル、4-オキソペンタン酸メタノールエステル、2-エチルブタン酸メタノールエステル、2-エチルブタン酸エタノールエステル及び2-ヘキセン酸エタノールエステルからなる群より選ばれた1種以上の脂肪族酸エステルであり、該特定カルボン酸(H)が、2-ヒドロキシプロパン酸、2-オキソプロパン酸、2-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシブタン酸、4-オキソペンタン酸、3-ヒドロキシプロパン酸、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸、2-ヒドロキシペンタン酸、2-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸及び3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパン酸からなる群より選ばれた1種以上のカルボン酸であり、該脂肪族アルコール(A)、該脂肪族酸エステル(E)及び該特定カルボン酸(H)の質量基準の含有比率が、0.3≦(H)/[(A)+(E)+(H)]≦0.7であることを特徴とする飛翔害虫誘引剤。
【請求項2】
上記脂肪族アルコール(A)、上記脂肪族酸エステル(E)及び上記特定カルボン酸(H)を含有する請求項1に記載の飛翔害虫誘引剤。
【請求項3】
飛翔害虫誘引剤全体に対して、上記脂肪族アルコール(A)、上記脂肪族酸エステル(E)及び上記特定カルボン酸(H)の含有割合の和が、0.1質量%以上20質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の飛翔害虫誘引剤。
【請求項4】
上記特定カルボン酸(H)として、2種類以上の化合物を含有する請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の飛翔害虫誘引剤。
【請求項5】
液状、ゲル状、顆粒状又は粉末状である請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の飛翔害虫誘引剤。
【請求項6】
更に、蜂蜜、糖類、果実、果実加工品、乳製品、魚介類加工品、魚介類抽出物、食肉加工品、食肉抽出物、酒類、酒粕及び穀類からなる群より選ばれた1種以上を含有する請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の飛翔害虫誘引剤。
【請求項7】
アカイエカ、ヒトスジシマカ、ショウジョウバエ、ノミバエ、クロバネキノコバエ、キノコバエ及びチョウバエからなる群より選ばれた1種以上の飛翔害虫に対して用いるものである請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の飛翔害虫誘引剤。
【請求項8】
請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の飛翔害虫誘引剤を使用することを特徴とする飛翔害虫の駆除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛翔害虫誘引剤に関し、更に詳しくは、害虫誘引作用が大幅に改善された飛翔害虫誘引剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ハエ、蚊、コバエ等の飛翔害虫(以下、単に「害虫」という場合がある。)は、家屋等に出現し衛生環境を悪化させたり、人間を刺したり、見た目の悪さにより人を不快な気分にさせたりと、様々な害を与える。
【0003】
これらの飛翔害虫による様々な害を防ぐための防除方法として、様々な薬剤を用いた方法が開発されている。
飛翔害虫の防除方法として、飛翔害虫が好む化学成分を揮散させることで飛翔害虫を誘引する防除方法がある。誘引された飛翔害虫は、粘着剤等により捕獲する、閉鎖空間に閉じ込める、殺虫成分により殺す、等の方法により、駆除される。
【0004】
上記のような誘引による防除方法に用いるための飛翔害虫誘引剤として、従来、様々な化学物質を使用したものが提案されている。
【0005】
特許文献1には、1-オクテン-3-オール等の1-アルケン-3-オールの(R)-(-)異性体を用いる蚊を誘引するための方法が記載されている。
特許文献2には、リシン、イソ吉草酸、アラニン、アンドロステノール、皮脂のうち、1または2以上を含有することを特徴とする蚊誘引剤が記載されている。
特許文献3には、乳酸と乳酸メチルの混合物を有効成分として含有する蚊誘引剤が記載されている。
【0006】
しかし、これらの誘引剤は、誘引効果が必ずしも十分ではない場合があった。特に、害虫の種類により好む誘引成分は異なり、飛翔害虫の種類によっては、これらの誘引剤は、効果を示さない場合があった。
このため、様々な飛翔害虫に対して十分な誘引効果を示す飛翔害虫誘引剤が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-232837号公報
【文献】特開2002-241204号公報
【文献】特開平6-065005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、従来の誘引剤よりも誘引効果が強く、様々な飛翔害虫に対して、誘引効果を示す飛翔害虫誘引剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の炭素数の脂肪族アルコール及び/又は脂肪族酸エステルと、特定のカルボン酸とを組み合わせて使用することにより、誘引効果が強い誘引剤となったり、様々な害虫に対して十分な誘引作用を示したりする誘引剤となることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、炭素数2以上6以下の脂肪族アルコール(A)及び/又は炭素数3以上8以下の脂肪族酸エステル(E)、並びに、炭素数3以上5以下のケト酸若しくはヒドロキシ酸又は酢酸である特定カルボン酸(H)を含有することを特徴とする飛翔害虫誘引剤を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、上記の飛翔害虫誘引剤を使用することを特徴とする飛翔害虫の駆除方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来の誘引剤よりも誘引効果が強く、様々な飛翔害虫に対して、誘引効果を示す飛翔害虫誘引剤を提供することができる。
【0013】
本発明の飛翔害虫誘引剤が含有する成分は、人体に対して安全な成分であるので、本発明の飛翔害虫誘引剤は、一般家庭等においても使用することができる。
【0014】
更に、本発明の飛翔害虫誘引剤において、各種誘引成分(炭素数2以上6以下の脂肪族アルコール(A)、炭素数3以上8以下の脂肪族酸エステル(E)、炭素数3以上5以下のケト酸若しくはヒドロキシ酸又は酢酸である特定カルボン酸(H))として、複数の化合物の混合物を使用すると、様々な種類の害虫に対して誘引効果を発揮しやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
【0016】
本発明の飛翔害虫誘引剤は、炭素数2以上6以下の脂肪族アルコール(A)及び/又は炭素数3以上8以下の脂肪族酸エステル(E)、並びに、炭素数3以上5以下のケト酸若しくはヒドロキシ酸又は酢酸である特定カルボン酸(H)を含有する。
【0017】
本発明の飛翔害虫誘引剤において、必須成分として特定カルボン酸(H)を含有する。特定カルボン酸(H)は、炭素数3以上5以下のケト酸若しくはヒドロキシ酸又は酢酸である。
カルボン酸の中には、害虫等を誘引する作用を持つものがいくつか知られているが、炭素数や置換基の種類、また、害虫の種類によっては、害虫等に忌避される場合がある。
【0018】
特定カルボン酸(H)が、ケト酸(ケトン基を有するカルボン酸)である場合、炭素数は、3でもよいし、4でもよいし、5でもよい。
ケト酸のケトン基は、α位にあってもよいし、β位にあってもよいし、γ位にあってもよい。
ケト酸の炭素鎖は、分岐を有していても有していなくてもよい。また、ケト酸は炭素原子間の不飽和結合を持っていてもよいし持っていなくてもよい。
【0019】
このような炭素数3以上5以下のケト酸の具体例としては、2-オキソプロパン酸、2-オキソブタン酸、3-オキソブタン酸、2-オキソペンタン酸、3-オキソペンタン酸、4-オキソペンタン酸、2-オキソ-3-メチルブタン酸等が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
特定カルボン酸(H)が、ヒドロキシ酸(ヒドロキシ基を有するカルボン酸)である場合、炭素数は、3でもよいし、4でもよいし、5でもよい。
ヒドロキシ酸のヒドロキシ基は、α位にあってもよいし、β位にあってもよいし、γ位にあってもよいし、δ位にあってもよい。
ヒドロキシ酸の炭素鎖は、分岐を有していても有していなくてもよい。また、ヒドロキシ酸は炭素原子間の不飽和結合を持っていてもよいし持っていなくてもよい。
【0021】
このような炭素数3以上5以下のヒドロキシ酸の具体例としては、2-ヒドロキシプロパン酸、3-ヒドロキシプロパン酸、2-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシブタン酸、4-ヒドロキシブタン酸、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸、2-ヒドロキシペンタン酸、3-ヒドロキシペンタン酸、4-ヒドロキシペンタン酸、2-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸、3-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパン酸等が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
害虫により、特に好まれる誘引成分は異なる。また、同じ化合物でも、ある濃度では嗜好性が高く(誘引されやすく)、濃度が高くなると忌避する場合がある。このため、特定カルボン酸(H)として、2種類以上の化合物を混合して用いると、嗜好性の高い濃度に調節しやすくなり、多くの害虫に対して効果を発揮しやすくなる。
【0023】
本発明の飛翔害虫誘引剤は、炭素数2以上6以下の脂肪族アルコール(A)と炭素数3以上8以下の脂肪族酸エステル(E)の少なくとも何れか一方を、必須成分として含有する。
脂肪族アルコール(A)や脂肪族酸エステル(E)の中には、香料成分として知られているものがあり、害虫等の誘引剤の成分として使用されているものがある。しかし、これらの成分は、炭素数等によっては、害虫等を忌避する効果が強くなる。
【0024】
本発明の飛翔害虫誘引剤は、特定カルボン酸(H)と、脂肪族アルコール(A)又は脂肪族酸エステル(E)との併用により、害虫誘引効果が相乗的に増強される。
特に、脂肪族アルコール(A)、脂肪族酸エステル(E)、特定カルボン酸(H)の3成分を含有する場合、相乗誘引効果が極めて強くなるので特に好ましい。
【0025】
本発明において、「脂肪族アルコール(A)」とは、脂肪族炭化水素基を有するアルコールをいう。
脂肪族アルコール(A)の炭素数は、3以上5以下がより好ましく、4が特に好ましい。
脂肪族アルコール(A)の脂肪族炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。また、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
【0026】
本発明の飛翔害虫誘引剤が含有する脂肪族アルコール(A)の具体例としては、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-プロペン-1-オール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール、1-ヘキサノール、3-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2,2-ジメチル-1-ブタノール等が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
害虫により、特に好まれる誘引成分は異なる。また、同じ化合物でも、ある濃度では嗜好性が高く(誘引されやすく)、濃度が高くなると忌避する場合がある。このため、脂肪族アルコール(A)として、2種類以上の化合物を混合して用いると、嗜好性の高い濃度に調節しやすくなり、多くの害虫に対して効果を発揮しやすくなる。
【0027】
本発明において、「脂肪族酸エステル(E)」とは、脂肪族酸(E1)とアルコール(E2)が脱水縮合した構造であるエステルをいうが、脂肪族酸(E1)とアルコール(E2)の脱水縮合により製造されたものには限られない。
【0028】
「脂肪族酸(E1)」とは、脂肪酸(炭化水素の1価のカルボン酸)や、脂肪酸の一部の水素原子が置換された化合物をいう。
本発明における脂肪族酸(E1)は、飽和であっても不飽和であってもよい。また、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
【0029】
また、「脂肪酸の一部の水素原子が置換された化合物である脂肪族酸(E1)」において、水素原子の一部を置換した置換基の種類としては、ヒドロキシル基、オキソ基等が挙げられる。
【0030】
脂肪族酸(E1)の炭素数は、2以上6以下が好ましく、3以上5以下がより好ましい。
【0031】
脂肪族酸(E1)の具体例としては、酢酸、プロパン酸、2-ヒドロキシプロパン酸、2-オキソプロパン酸、ブタン酸、2-メチルプロパン酸、2-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシブタン酸、2-ブテン酸、ペンタン酸、2,2-ジメチルプロパン酸、2-メチルブタン酸、3-メチルブタン酸、(Z)-2-メチルブタ-2-エン酸、(E)-2-メチルブタ-2-エン酸、4-オキソペンタン酸、ヘキサン酸、2-エチルブタン酸、2-ヘキセン酸等が挙げられる。
【0032】
アルコール(E2)は、飽和であっても不飽和であってもよい。また、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
アルコール(E2)の炭素数は、2以上6以下が好ましく、3以上5以下がより好ましい。
【0033】
アルコール(E2)の具体例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-プロペン-1-オール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール、1-ヘキサノール、3-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2,2-ジメチル-1-ブタノール等が挙げられる。
【0034】
本発明の脂肪族酸エステル(E)は、脂肪族酸(E1)とアルコール(E2)が脱水縮合した構造であるエステルであるが、脂肪族酸(E1)とアルコール(E2)の組み合わせとしては、炭素数2の脂肪族酸と炭素数1以上6以下のアルコールの組み合わせ、炭素数3の脂肪族酸と炭素数1以上5以下のアルコールの組み合わせ、炭素数4の脂肪族酸と炭素数1以上4以下のアルコールの組み合わせ、炭素数5の脂肪族酸と炭素数1以上3以下のアルコールの組み合わせ、炭素数6の脂肪族酸と炭素数1以上2以下のアルコールの組み合わせが挙げられる。
【0035】
脂肪族酸エステル(E)の具体例としては、酢酸1-プロパノールエステル、酢酸1-ペンタノールエステル、プロパン酸2-プロペン-1-オールエステル、プロパン酸1-ブタノールエステル、2-ヒドロキシプロパン酸1-ブタノールエステル、2-オキソプロパン酸エタノールエステル、ブタン酸1-プロパノールエステル、ブタン酸2-プロパノールエステル、ブタン酸エタノールエステル、2-メチルプロパン酸2-プロパノールエステル、2-ヒドロキシブタン酸エタノールエステル、3-ヒドロキシブタン酸エタノールエステル、2-ブテン酸2-メチルプロパン-1-オールエステル、ペンタン酸メタノールエステル、2,2-ジメチルプロパン酸メタノールエステル、2-メチルブタン酸エタノールエステル、3-メチルブタン酸エタノールエステル、3-メチルブタン酸メタノールエステル、(E)-2-メチルブタ-2-エン酸エタノールエステル、4-オキソペンタン酸メタノールエステル、2-エチルブタン酸メタノールエステル、2-エチルブタン酸エタノールエステル、2-ヘキセン酸エタノールエステル等が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
害虫により、特に好まれる誘引成分は異なる。また、同じ化合物でも、ある濃度では嗜好性が高く(誘引されやすく)、濃度が高くなると忌避する場合がある。このため、脂肪族酸エステル(E)として、2種類以上の化合物を混合して用いると、嗜好性の高い濃度に調節しやすくなり、多くの害虫に対して効果を発揮しやすくなる。
【0036】
本発明の飛翔害虫誘引剤は、「炭素数2以上6以下の脂肪族アルコール(A)及び/又は炭素数3以上8以下の脂肪族酸エステル(E)」と、「炭素数3以上5以下のケト酸若しくはヒドロキシ酸又は酢酸である特定カルボン酸(H)」を有効成分として共に含有するものであるが、該脂肪族アルコール(A)、該脂肪族酸エステル(E)、該特定カルボン酸(H)の含有比率(質量基準)は、0.1≦(H)/[(A)+(E)+(H)]≦0.9が好ましく、0.2≦(H)/[(A)+(E)+(H)]≦0.8がより好ましく、0.3≦(H)/[(A)+(E)+(H)]≦0.7が特に好ましい。
上記範囲内であると、様々な害虫に対して十分な誘引効果を発揮しやすい。
【0037】
本発明の飛翔害虫誘引剤中における有効成分である脂肪族アルコール(A)、脂肪族酸エステル(E)及び特定カルボン酸(H)の含有割合は、飛翔害虫誘引剤全体に対して、(A)と(E)と(H)の和で、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。
上記下限以上であると、十分な誘引効果を発揮することができる。また、上記上限以下であると、適度な揮散速度となり、効果の持続時間が十分長くなる。
【0038】
本発明の飛翔害虫誘引剤は、前記の通り、脂肪族アルコール(A)、脂肪族酸エステル(E)、特定カルボン酸(H)の3成分を含有すると、相乗誘引効果が極めて強くなるが、
この場合に、脂肪族アルコール(A)と脂肪族酸エステル(E)の含有比率(質量基準)は、0.05≦(A)/[(A)+(E)]≦0.95が好ましく、0.10≦(A)/[(A)+(E)]≦0.90がより好ましく、0.20≦(A)/[(A)+(E)]≦0.80が特に好ましい。
【0039】
本発明の飛翔害虫誘引剤は、有効成分である脂肪族アルコール(A)、脂肪族酸エステル(E)、特定カルボン酸(H)の他に、本発明の効果を妨げない範囲において、溶剤;香料、精油等の他の誘引成分;誘引した害虫を殺すための殺虫成分;乳化剤、分散剤、保留剤、防腐剤等の添加剤;等を含有することができる。
【0040】
溶剤としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノ-ル等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル;ヘキサン、ケロシン、パラフィン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;等が挙げられ、これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の飛翔害虫誘引剤は、一般家庭等でも使用されうるものであり、溶剤には、安全性が要求されるので、水、1価アルコール、多価アルコールや、これらの組み合わせが好ましい。特に好ましくは、水、エタノール、プロピレングリコールや、これらの組み合わせである。
害虫の種類により、有効成分(特定カルボン酸(H)、脂肪族アルコール(A)、脂肪族酸エステル(E))の最適な濃度は異なる場合があるが、本発明の飛翔害虫誘引剤を上記溶剤で適宜希釈することにより、様々な害虫に対して、誘引効果を発揮するようにすることができる。
【0041】
本発明の飛翔害虫誘引剤の形態としては特に制限はなく、例えば、液状、ゲル状、顆粒状、粉末状等の形態で用いることができ、更には噴霧して用いてもよい。
【0042】
本発明は、前記飛翔害虫誘引剤を使用することを特徴とする飛翔害虫の駆除方法でもある。
駆除方法に特に限定はなく、飛翔害虫誘引剤に殺虫成分を添加し、誘引した害虫を殺虫成分の作用によって死滅させてもよいし、後述の実施例で示すように、粘着剤等を使用したトラップを使用して誘引した害虫を捕獲することで駆除してもよい。
【0043】
害虫は、蜂蜜、糖類、果実、果実加工品、乳製品、魚介類加工品、魚介類抽出物、食肉加工品、食肉抽出物、酒類、酒粕、穀類等の食物を好む傾向にあるので、これらの食物を併用することで、誘引効果を高めることができる場合がある。
上記食物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
多くの害虫が好む傾向にある蜂蜜を飛翔害虫誘引剤に含有させるのが特に好ましい。
【0044】
上記食物成分は、本発明の飛翔害虫誘引剤に含有させてもよいし、本発明の飛翔害虫誘引剤を塗布・設置等した場所の付近に別途設置してもよい。
【0045】
本発明の飛翔害虫誘引剤は、特に、ハエ類、蚊類、コバエ類等の飛翔害虫に対して誘引作用を発揮するので、これらの害虫に対して用いるのが好ましい。
具体的には、イエバエ、ヒメイエバエ等のハエ類;アカイエカ、ヒトスジシマカ等の蚊類;ショウジョウバエ、ノミバエ、クロバネキノコバエ、キノコバエ、チョウバエ等のコバエ類に対して用いるのが好ましい。
【実施例
【0046】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
以下、単に「%」というときは、「質量%」を意味する。
【0047】
表1~3に、実施例等で使用した脂肪族アルコール(A)、脂肪族酸エステル(E)及び特定カルボン酸(H)を示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
試験例1(ショウジョウバエの誘引試験)
ハチミツ水(40%)に、表4に示す試験物質A(脂肪族アルコール(A))、試験物質E(脂肪族酸エステル(E))、試験物質H(特定カルボン酸(H))、試験物質A+H(脂肪族アルコール(A)と特定カルボン酸(H)の混合物)、試験物質E+H(脂肪族酸エステル(E)と特定カルボン酸(H)の混合物)、試験物質A+E+H(脂肪族アルコール(A)と脂肪族酸エステル(E)と特定カルボン酸(H)の混合物)を、それぞれ2.0%となるように添加し、各試験液を調製した。
【0052】
【表4】
【0053】
表4において、単独の試験物質(試験物質A、試験物質E、試験物質H)を使用した場合と、単独の試験物質の混合物(試験物質A+H、試験物質E+H、試験物質A+E+H)を使用した場合について誘引試験を実施した。
以下、主に、単独の試験物質として試験物質A及び試験物質H、単独の試験物質の混合物として試験物質A+Hを使用した場合(No.61及びNo.62)を例にして実施例における操作について説明するが、他の場合についても、同様の操作を実施した。
【0054】
調製した各試験液を、14mm(縦)×24mm(横)×2mm(厚み)のパルプにそれぞれ1.0gずつ含浸したものを約1時間風乾し、各試験物質がパルプに染み込んだ誘引剤を作製した。
【0055】
試験箱として、582mm(縦)×900mm(横)×600mm(高さ)(0.31m)のベニヤ板製コンテナを用いた。コンテナ側面の2面は金網を張り、上部は観察が容易になるように透明なプラスチック板を設置した。
【0056】
100×80mmの接着シートをトラップとして4個用意し、そのうち2個のシートの中央部に試験物質A(又は試験物質H)が染み込んだ誘引剤を設置した。他の2個のシートの中央部に試験物質A+Hが染み込んだ誘引剤を設置した。
【0057】
試験箱内に、誘引剤を設置したシート(トラップ)4個を、200mm間隔となるように、交差するように設置した。すなわち、試験箱を上から見た場合に、左上(場所<1>)と右下(場所<4>)には試験物質A(又は試験物質H)が染み込んだ誘引剤を設置したシート(トラップ)を、右上(場所<2>)と左下(場所<3>)には試験物質A+Hが染み込んだ誘引剤を設置したシート(トラップ)を、それぞれ設置した。
【0058】
約100頭のキイロショウジョウバエを試験箱内に放飼した。放飼してから、約24時間後に接着シートで捕獲されたハエの数(捕虫数)を調べた。
【0059】
また、試験箱内の場所による害虫の集まりやすさによる影響(詳細な理由は不明だが、光の当たり方等に起因すると考えられる)をなくすため、試験物質A(又は試験物質H)が染み込んだ誘引剤を設置したシート(トラップ)と、試験物質A+Hが染み込んだ誘引剤を設置したシート(トラップ)の位置関係を逆にして同じことを行い、接着シートで捕獲されたハエの数を調べた。
【0060】
シート(トラップ)の位置関係を2通りにして実施した試験で、各シート(トラップ)設置場所の捕虫数を積算し、試験物質A+Hを使用した時の捕虫数を、試験物質Aを使用した時の捕虫数で除した値である増強率を算出した。
【0061】
表4のNo.61の試験物質の組み合わせを使用した場合の試験結果を表5及び表6に示す。
【0062】
【表5】
増強率=73/51=1.43
【0063】
【表6】
増強率=80/61=1.31
【0064】
表5及び表6から、エタノールと3-ヒドロキシブタン酸を混合した場合は、ショウジョウバエに対して、エタノールや3-ヒドロキシブタン酸を単独で使用した場合より、相乗誘引効果が認められた。
【0065】
また、表4に示す他の試験物質の組み合わせを使用した場合の試験結果を表7に示す。
【0066】
【表7】
【0067】
表7から、脂肪族アルコール(A)や特定カルボン酸(H)を単独で使用した場合に比べて、これらの混合物を使用した場合、ショウジョウバエに対して、相乗誘引効果が認められた。
また、脂肪族酸エステル(E)と特定カルボン酸(H)についても、同様に、単独で使用した場合に比べて、これらの混合物を使用した場合、相乗誘引効果が認められた。
【0068】
更に、脂肪族アルコール(A)、脂肪族酸エステル(E)、特定カルボン酸(H)の3グループを混合したものは、増強率が非常に高く、より相乗誘引効果が高くなる傾向が強まっていることがわかる。
【0069】
次に、「試験物質A又は試験物質E」と試験物質Hの少なくとも一方を、2種類以上の化合物の混合物としてショウジョウバエの誘引試験をした。
表8に示す試験物質の組み合わせを使用した場合の試験結果を表9に示す。
【0070】
【表8】
【0071】
【表9】
【0072】
表9から、試験物質Aや試験物質Eとして、2種類以上の化合物の混合物を使用した場合も、炭素数2以上6以下の脂肪族アルコール群と炭素数3以上8以下の脂肪族酸エステル群を混合したものは、ショウジョウバエに対して、脂肪族アルコール群や脂肪族酸エステル群をそれぞれ単独で使用したときより、相乗誘引効果が認められた。
【0073】
表9から、試験物質A、試験物質E、試験物質Hとして2種類以上の化合物の混合物を使用した場合についても、脂肪族アルコール(A)や特定カルボン酸(H)を単独で使用した場合に比べて、これらの混合物を使用した場合、ショウジョウバエに対して、相乗誘引効果が認められた。
また、脂肪族酸エステル(E)と特定カルボン酸(H)についても、同様の傾向が認められた。
更に、脂肪族アルコール(A)、脂肪族酸エステル(E)、特定カルボン酸(H)の3グループを混合したものは、増強率が非常に高く、より相乗誘引効果が高くなることも同様であった。
【0074】
試験例2(チョウバエの誘引試験)
582mm(縦)×900mm(横)×600mm(高さ)(0.31m)のベニヤ板製コンテナを用いて、供試虫としてオオチョウバエを使って、試験例1と同様の試験を行った。
【0075】
試験物質A、試験物質E及び試験物質Hとして、それぞれ1種類の化合物を使用した場合(表10に示す試験物質の組み合わせを使用した場合)の試験結果を表11に示す。
【0076】
【表10】
【0077】
【表11】
【0078】
表11から、チョウバエの場合についても、ショウジョウバエの場合と同様に、脂肪族アルコール(A)及び/又は脂肪族酸エステル(E)を、特定カルボン酸(H)と混合して使用した場合に、相乗誘引効果が認められた。また、脂肪族アルコール(A)、脂肪族酸エステル(E)、特定カルボン酸(H)の3グループを混合したものは、増強率が非常に高かった。
【0079】
次に、「試験物質A又は試験物質E」と試験物質Hの少なくとも一方を、2種類以上の化合物の混合物としてオオチョウバエの誘引試験をした。
表12に示す試験物質の組み合わせを使用した場合の試験結果を表13に示す。
【0080】
【表12】
【0081】
【表13】
【0082】
表13から、試験物質A、試験物質E、試験物質Hとして2種類以上の化合物の混合物を使用した場合についても、これらの試験物質として単独の物質を使用した場合と同様の傾向となった。
【0083】
試験例3(アカイエカの誘引試験)
甘蔗黒蜜に、表14に示す試験物質A(脂肪族アルコール(A))、試験物質E(脂肪族酸エステル(E))、試験物質H(特定カルボン酸(H))、試験物質A+H(脂肪族アルコール(A)と特定カルボン酸(H)の混合物)、試験物質E+H(脂肪族酸エステル(E)と特定カルボン酸(H)の混合物)、試験物質A+E+H(脂肪族アルコール(A)と脂肪族酸エステル(E)と特定カルボン酸(H)の混合物)を、それぞれ2.0%となるように混合し、液状誘引剤を調製した。
調製した液状誘引剤を、60mm(内径)×45mm(高さ)の丸型容器に10.0gずつ入れた。
【0084】
【表14】
【0085】
試験箱として、850mm(縦)×1500mm(横)×820mm(高さ)(1.04m)のベニヤ板製コンテナを用いた。コンテナ側面の2面は金網を張り、上部は観察が容易になるように透明なプラスチック板を設置した。
【0086】
100×80mmの接着シート(直径5mmの穴を4個開けた)を4個用意し、そのうち2個を、試験物質A(又は試験物質H)を添加した液状誘引剤の入った丸型容器の上に設置し、トラップを作製した。他の2個を、試験物質A+Hを添加した液状誘引剤の入った丸型容器の上に設置し、トラップを作製した。
【0087】
試験箱内に、トラップ4個を、300mm間隔となるように、交差するように設置した。すなわち、試験箱を上から見た場合に、左上(場所<1>)と右下(場所<4>)には試験物質A(又は試験物質H)を添加した液状誘引剤を使用したトラップを、右上(場所<2>)と左下(場所<3>)には試験物質A+Hを添加した液状誘引剤を使用したトラップを、それぞれ設置した。
【0088】
約100頭のアカイエカを試験箱内に放飼した。放飼してから、約24時間後に接着シートで捕獲されたアカイエカの数を調べた。
【0089】
また、試験物質A(又は試験物質H)を添加した液状誘引剤を使用したトラップと、試験物質A+Hを添加した液状誘引剤を使用したトラップの位置関係を逆にして同じことを行い、接着シートで捕獲されたアカイエカの数を調べた。
【0090】
表14のNo.81の試験物質の組み合わせを使用した場合の試験結果を表15及び表16に示す。
【0091】
【表15】
増強率=83/64=1.30
【0092】
【表16】
増強率=85/62=1.37
【0093】
表15及び表16から、1-ブタノールと2-オキソプロパン酸を混合した場合は、アカイエカに対して、1-ブタノールや2-オキソプロパン酸を単独で使用した場合より、相乗誘引効果が認められた。
【0094】
また、表14に示す他の試験物質の組み合わせを使用した場合の試験結果を表17に示す。
【0095】
【表17】
【0096】
表17から、アカイエカの場合についても、ショウジョウバエの場合と同様に、脂肪族アルコール(A)及び/又は脂肪族酸エステル(E)を、特定カルボン酸(H)と混合して使用した場合に、相乗誘引効果が認められた。また、脂肪族アルコール(A)、脂肪族酸エステル(E)、特定カルボン酸(H)の3グループを混合したものは、増強率が非常に高かった。
【0097】
次に、「試験物質A又は試験物質E」と試験物質Hの少なくとも一方を、2種類以上の化合物の混合物としてオオチョウバエの誘引試験をした。
表18に示す試験物質の組み合わせを使用した場合の試験結果を表19に示す。
【0098】
【表18】
【0099】
【表19】
【0100】
表19から、試験物質A、試験物質E、試験物質Hとして2種類以上の化合物の混合物を使用した場合についても、これらの試験物質として単独の物質を使用した場合と同様の傾向となった。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の飛翔害虫誘引剤は、様々な飛翔害虫に対して、誘引効果を示すため、一般家庭用、工業用等の誘引剤として広く利用されるものである。