(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】育児支援装置、その制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/60 20180101AFI20220623BHJP
【FI】
G16H20/60
(21)【出願番号】P 2019165742
(22)【出願日】2019-09-11
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】514323028
【氏名又は名称】株式会社ミラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】谷川 一也
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 敦子
(72)【発明者】
【氏名】田村 そのみ
(72)【発明者】
【氏名】小泉 凌
【審査官】岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-196401(JP,A)
【文献】ママの愛情たっぷり離乳食。離乳食に悩んだときに使えるアプリ4選[online],mamari,2018年03月19日,pp.1-7,URL<https://mamari.jp/24140>,[検索日:2022年2月10日]
【文献】花井 道夫,ベビーフードのアレルギー対策への取り組み,月刊フードケミカル 2009年2月号 ,第25巻 第2号,株式会社食品化学新聞社,2009年02月01日,pp.40-43
【文献】海老澤 元宏,厚生労働科学研究班による食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017,国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター,2017年,pp.1-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児への離乳食の提供を支援する育児支援装置であって、
食材ごとに予め定められた基準齢情報及び、
食材ごとの再試行待機期間の情報を関連付けて保持するデータベースと通信可能に接続され、
ユーザからの指示により、乳幼児ごとの記録として、
乳幼児を特定する情報と、当該情報で特定される乳幼児の飲食記録として、食材を特定する情報と、飲食日時と、分量と、アレルギー発症の有無とを
互いに関連付けて記録する記録手段と、
少なくとも一名の乳幼児を注目乳幼児として、当該注目乳幼児を特定する情報に関連付けて前記記録手段に
より記録された
飲食記録を取得し、
前記データベースに保持され
ている情報のうち、当該注目乳幼児の月齢または年齢が、前記基準齢情報に等しいか、基準齢情報を超えかつその差が所定のしきい値以下である情報であって、前記取得した飲食記録に係る食材に関連付けて保持され
ている再試行待機期間を用いて、食材の飲食を再試行する日時を算出して提示するスケジュール提示手段と
を含む育児支援装置。
【請求項2】
乳幼児への離乳食の提供を支援する育児支援装置であって、
食材ごとに予め定められた基準齢情報及び、
食材ごとの、飲食時のアレルギーの有無に応じた再試行待機期間の情報を互いに関連付けて保持するデータベースと通信可能に接続され、
ユーザからの指示により、乳幼児ごとの記録として、
乳幼児を特定する情報と、当該情報で特定される乳幼児の飲食記録として、食材を特定する情報と、飲食日時と、分量と、アレルギー発症の有無
の情報とを
互いに関連付けて記録する記録手段と、
少なくとも一名の乳幼児を注目乳幼児として、当該注目乳幼児を特定する情報に関連付けて前記記録手段に
より記録された
飲食記録を取得し、前記データベースに保持されている情報のうち、
当該注目乳幼児の月齢または年齢が、前記基準齢情報に等しいか、基準齢情報を超えかつその差が所定のしきい値以下である情報であって、前記取得した飲食記録に係る食材に関連付け
られ、かつ、前記アレルギー症状の有無の情報に関連付けて保持された再試行待機期間の情報を用いて、食材の飲食を再試行する日時を算出して提示するスケジュール提示手段と
を含む育児支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の育児支援装置であって、
ユーザからの指示により、
指示の時点で発症しているアレルギーに係る情報と、
指示の時点までに記録されているアレルギーに関するすべての情報と、
のいずれか一方を出力する育児支援装置。
【請求項4】
乳幼児への離乳食の提供を支援する育児支援装置の制御方法であって、
前記育児支援装置が、食材ごとに予め定められた基準齢情報
及び、食材ごとの再試行待機期間の情報を関連付けて保持するデータベースと通信可能に接続され、
記録手段が、ユーザからの指示により、乳幼児ごとの記録として、
乳幼児を特定する情報と、当該情報で特定される乳幼児の飲食記録として、食材を特定する情報と、飲食日時と、分量と、アレルギー発症の有無とを
互いに関連付けて記録し、
提示手段が、
少なくとも一名の乳幼児を注目乳幼児として、当該注目乳幼児を特定する情報に関連付けて前記記録手段に
より記録された
飲食記録を取得し、
前記データベースに保持され
ている情報のうち、当該注目乳幼児の月齢または年齢が、前記基準齢情報に等しいか、基準齢情報を超えかつその差が所定のしきい値以下である情報であって、前記取得した飲食記録に係る食材に関連付けて保持され
ている再試行待機期間を用いて、食材の飲食を再試行する日時を算出して提示する育児支援装置の制御方法。
【請求項5】
食材ごとに予め定められた基準齢情報
及び、食材ごとの再試行待機期間の情報を関連付けて保持するデータベースと通信可能に接続され、乳幼児への離乳食の提供を支援する育児支援装置を、
ユーザからの指示により、乳幼児ごとの記録として、
乳幼児を特定する情報と、当該情報で特定される乳幼児の飲食記録として、食材を特定する情報と、飲食日時と、分量と、アレルギー発症の有無とを
互いに関連付けて記録する記録手段と、
少なくとも一名の乳幼児を注目乳幼児として、当該注目乳幼児を特定する情報に関連付けて前記記録手段に
より記録された
飲食記録を取得し、
前記データベースに保持され
ている情報のうち、当該注目乳幼児の月齢または年齢が、前記基準齢情報に等しいか、基準齢情報を超えかつその差が所定のしきい値以下である情報であって、前記取得した飲食記録に係る食材に関連付けて保持され
ている再試行待機期間を用いて、食材の飲食を再試行する日時を算出して提示するスケジュール提示手段と
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育児支援装置、その制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児への離乳食の提供は、その親にとって考慮事項が多くあって負担が大きい。また離乳食の提供に伴う、好き嫌いの有無やアレルギーの有無などは、乳幼児ごとに異なるため、複数人の乳幼児をもつ親にとっては、個々の子供ごとの情報管理が煩雑になっていた。
【0003】
特許文献1では、対象となる乳幼児の生年月日と成長度合い、アレルギー情報の入力を受けて、乳幼児の月齢と成長度合い、並びに入力されたアレルギー情報に応じたレシピを検索して提示する例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら乳幼児によってはアレルギーの発症が一時的(ある月齢の時期だけ)である場合もあり、アレルギーの状況は乳幼児の成長とともに変化し得るものである。しかし、上記従来例のシステムでは、こうした変化があった場合に入力した情報を変更することはできても、アレルギーの症状の変化をどのように捉えたらよいかなど、アレルギーが発症した後の対応についての支援が十分でなかった。
【0006】
さらに、アレルギーの情報は、医療機関等が必要とする情報と、保育所等の機関が必要とする情報とで必ずしも同一とは言えないが、従来例のシステムでは、このような開示先を考慮した情報提供ができておらず、十分な支援ができていなかった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、乳幼児のアレルギーに関する情報管理を効果的に支援できる育児支援装置、その制御方法、及びプログラムを提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来例の問題点を解決する本発明の一態様は、乳幼児への離乳食の提供を支援する育児支援装置であって、食材ごとに予め定められた基準齢情報を保持するデータベースと通信可能に接続され、ユーザからの指示により、乳幼児ごとの記録として、食材を特定する情報と、飲食日時と、分量と、アレルギー発症の有無とを関連付けて記録する記録手段と、前記データベースに、当該記録された食材に関連付けて保持された基準齢情報を用いて、乳幼児ごとに、各食材の飲食を試行する日時を算出して提示するスケジュール提示手段とを含むこととしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、アレルギー発症の日時に応じた情報の記録、利用を図ることができ、乳幼児のアレルギーに関する情報管理を効果的に支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る育児支援装置の構成例及び接続例を表すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る育児支援装置が利用する食材データベースの内容例を表す説明図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る育児支援装置が記録する記録データベースの内容例を表す説明図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る育児支援装置の例を表す機能ブロック図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る育児支援装置が提供する表示画面の例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る育児支援装置1は、
図1に例示するように、制御部11,記憶部12,及び通信部13を備えるサーバコンピュータであり、ネットワーク等の通信手段を介してユーザの所持する端末装置2と通信可能に接続される。
【0012】
この端末装置2は、例えばスマートフォンやパーソナルコンピュータ等であり、ウェブクライアントとして動作する。ユーザはこの端末装置2を操作して、育児支援装置1に対して種々の要求や、情報を送信する。また端末装置2は育児支援装置1から提供される情報を受信して、その表示画面等に当該受信した情報を表示してユーザに提示する。
【0013】
制御部11は、CPUなどのプログラム制御デバイスであり、記憶部12に格納されたプログラムに従って動作する。本実施の形態では、この制御部11は、食材ごとに予め定められた基準齢情報を保持するデータベースと通信可能に接続されており、また、ネットワークを介して受信したユーザからの指示により、乳幼児ごとの記録として、食材を特定する情報と、飲食日時と、分量と、アレルギー発症の有無とを関連付けて記録する。
【0014】
またこの制御部11は、データベースを参照し、上記記録された食材に関連付けて保持された基準齢情報を用いて、乳幼児ごとに、各食材の飲食を試行する日時を算出して、その結果をユーザに提示する。この制御部11の動作については後に述べる。
【0015】
記憶部12は、ディスクデバイスやメモリデバイスを含んで構成される。この記憶部12には、制御部11によって実行されるプログラムが保持される。このプログラムは、コンピュータ可読、かつ非一時的な記録媒体に格納されて提供され、この記憶部12にインストールされたものであってもよい。またこの記憶部12は、制御部11のワークメモリとしても動作する。
【0016】
また本実施の形態の一例では、この記憶部12には、食材のデータベース(食材データベース)と乳幼児ごとの記録を保持するデータベース(記録データベース)とが格納される。
【0017】
この食材データベースは、
図2に例示するように、食材を特定する情報(A)と、当該食材を最初に離乳食として与えるのに適しているとして設定された、基準となる月齢あるいは年齢(基準齢情報;B)と、当該食材についてアレルギーを発症した場合とそうでない場合とに分けて、次回同じ食材を与えるのに適しているとして設定された時間間隔(再試行待機期間;C)とを関連付けたものである。この再試行待機期間は、日数や週数、月数等で表しておけばよい。またこの食材データベースは、記憶部12に格納されている必要はなく、育児支援装置1と通信可能に接続されていれば、他のデータベースサーバ等に格納されていてもよい。
【0018】
さらに記憶部12には、制御部11の指示により、記録データベースが格納される。この記録データベースは
図3に例示するように、少なくとも、乳幼児を特定する情報(乳幼児名ごとに固有の情報;P)と、当該乳幼児の生年月日の情報(Q)と、飲食記録の情報(R)とを関連付けて保持するものである。
【0019】
ここで飲食記録の情報(R)は、飲食した食材を特定する情報(r1),飲食日時(r2),飲食した分量(r3),アレルギーを発症したか否か(r4)を互いに関連付けたエントリー(E)を少なくとも一つ含む。なお、このエントリーに含まれる情報は、これらに限られず、飲食させた回数をさらに飲食日時等の情報に関連付けてもよい。
【0020】
通信部13は、ネットワークインタフェース等であり、ユーザの所持する端末装置2と通信し、端末装置2から受信する指示や情報を制御部11に出力する。またこの通信部13は、制御部11から入力される指示に従い、指示された情報を、端末装置2へ送出する。
【0021】
本実施の形態の制御部11は、機能的には
図4に例示するように、記録受入部21と、記録処理部22と、支援情報生成部23と、支援情報提供部24とを含んで構成される。
【0022】
ここで記録受入部21は、新規登録の指示とともに、ユーザの認証情報(固有のユーザ名とパスワードとを用いる、広く知られたものでよく、別途認証情報データベース(不図示)に予め記録したものの一つ)と、乳幼児名(ニックネーム等でもよい)と、当該乳幼児の生年月日、性別、その他の情報の入力を受け入れて、記録処理部22に出力する。
【0023】
またこの記録受入部21は、飲食記録の指示とともに、ユーザの認証情報と、乳幼児を特定する情報(後に述べる乳幼児特定情報)と、飲食記録の情報(飲食日時、飲食した食材を特定する情報、飲食分量、及びアレルギー発症の有無)とを、端末装置2から通信部13を介して受け入れると、当該認証情報を用いてユーザを認証し、認証に成功すると、当該認証情報とともに受け入れた乳幼児を特定する情報と、飲食記録の情報とを記録処理部22に出力する。
【0024】
記録処理部22は、記録受入部21から入力された情報を、記録データベースに格納する。具体的にこの記録処理部22は、記録受入部21が新規登録の指示を受けたときには、乳幼児特定情報(乳幼児ごとに固有の情報であれば、例えば連番でよい)を発行して、この乳幼児特定情報や、乳幼児名、生年月日その他入力された情報を、ユーザの認証情報(ユーザ名のみでよい)に関連付けて記録データベースに記録する。
【0025】
また記録処理部22は、記録受入部21が飲食記録の指示を受けたときには、記録データベースの乳幼児特定情報に関連付けて、飲食記録の情報を記録データベースに記録する。
【0026】
支援情報生成部23は、ユーザの端末装置2から通信部13を介して支援情報の提供要求を受け入れる。この支援情報生成部23は、当該提供要求を行ったユーザを、認証情報を用いて認証し、認証に成功すると、記録データベースを参照して、上記認証情報に関連付けられている乳幼児特定情報の一覧を提供する。ユーザが、この一覧から乳幼児特定情報の一つを選択すると(あるいは、上記認証情報に関連付けられている乳幼児特定情報がひとつだけであれば、この選択のステップは省いてよい)、記録データベース内で当該選択された乳幼児特定情報を注目乳幼児特定情報として、この注目乳幼児特定情報に関連付けられている情報と、食材データベース内の情報とを参照して、支援情報を生成する。
【0027】
具体的に、この支援情報生成部23は、注目乳幼児特定情報に関連付けられた生年月日の情報と、サーバ装置である育児支援装置1のカレンダー情報から(またはネットワークを介してNTPサーバ等から)取得される現在日時(処理の時点の日時)の情報とから、注目乳幼児特定情報で特定される乳幼児の、上記提供要求時点での月齢の情報を得る。
【0028】
そして支援情報生成部23は、当該月齢の情報をキーとして、食材データベースの基準齢情報が当該月齢の情報に等しい(あるいは基準齢情報がキーとなった月齢を超え、かつその差が所定のしきい値以下である)エントリーを検索する。
【0029】
支援情報生成部23は、この検索で見出されたエントリー(複数あってよい)に含まれる、食材を特定する情報を取得する。支援情報生成部23は、取得した情報で特定される食材のうち、注目乳幼児特定情報に関連付けられた飲食記録の情報に既に記録されている食材を除いて、当該食材を勧める情報を生成する(初回情報)。
【0030】
またこの支援情報生成部23は、注目乳幼児特定情報に関連付けられた飲食記録の情報を参照し、食材を特定する情報のセット(重複を除く集合)を取得する。支援情報生成部23は、当該取得したセットに含まれる、食材を特定する情報の各々について、当該情報で特定される食材を最後に飲食した飲食日時の情報と、その飲食日時の情報に関連付けられたアレルギー発症の有無の情報とを取得して、食材を特定する情報に関連付けて、キーセット情報として記憶する。
【0031】
そして支援情報生成部23は、ここで取得したキーセット情報に含まれる情報を順次選択しつつ、食材データベースから、当該選択した情報において特定されている食材の情報に関連付けられた再試行待機期間を検索して読み出す。
【0032】
支援情報生成部23は、読み出した再試行待機期間のうち、選択した情報で特定されるアレルギー症状の有無に対応した再試行待機期間を抽出する。既に述べたように、ここで読み出された再試行待機期間には、当該食材Xについてアレルギーを発症した場合の時間間隔の情報ΔTa(X)とそうでない場合の時間間隔の情報ΔTn(X)とが含まれるので、選択した情報により、アレルギー症状がなかったとされる場合には、当該食材についてアレルギーを発症しなかった場合の時間間隔の情報ΔTn(X)を抽出する。また、支援情報生成部23は、選択した情報により、アレルギー症状があったとされる場合には、当該食材についてアレルギーを発症した場合の時間間隔ΔTa(X)の情報を抽出する。
【0033】
支援情報生成部23は、選択した情報で特定される飲食日時に、上記抽出した時間間隔の情報を加算して、次回予定時期を算出し、注目乳幼児特定情報に係る注目乳幼児の、当該算出した次回予定時期における月齢をさらに算出する。
【0034】
支援情報生成部23は、ここで算出した月齢が、注目乳幼児特定情報で特定される乳幼児の、提供要求時点での月齢に等しい(あるいは提供要求時点での月齢が、上記算出した月齢を超え、かつその差が所定のしきい値以下である)場合に、当該選択した情報で特定される食材の飲食を再度試すことを勧める情報を生成する(再試行情報)。
【0035】
またこの支援情報生成部23は、ここで算出した月齢(mとする)が、注目乳幼児特定情報で特定される乳幼児の、提供要求時点での月齢(Mとする)を超えている場合に、M-m月後に当該選択した情報で特定される食材の飲食を再度試すことを勧める情報を生成してもよい(再試行予定情報)。なお、ここでは月数を基準として算出する例としたが、日の単位まで求めてもよい。この場合は、算出した次回予定時期(日時)に当該選択した情報で特定される食材の飲食を再度試すことを勧める情報を、再試行予定情報として生成する。
【0036】
支援情報提供部24は、支援情報生成部23が生成した初回情報と、再試行情報とを、提供要求を行ったユーザの端末装置2に対して送出する。具体的に、この支援情報提供部24は、ウェブサーバとして動作し、初回情報や再試行情報をリストとして表示する。
【0037】
また支援情報提供部24は、支援情報生成部23が生成した再試行予定情報を、初回情報や再試行情報とともにリストとして表示してもよい。さらに、この表示はリストでなく、カレンダーに併せて表示するものであってもよい。
【0038】
[動作]
本実施の形態の育児支援装置1は、以上の構成を基本的に備えており、次のように動作する。当初、端末装置2のユーザ(乳幼児の保護者)は、自らのユーザ名とパスワードとを決定して育児支援装置1に認証情報として登録をする。育児支援装置1は、この認証情報を認証情報データベース等に保持しておく。
【0039】
またユーザは、端末装置2を操作して、育児支援装置1に対して新規登録の指示とともに、自己の認証情報と、乳幼児名(ニックネーム等でもよい)と、当該乳幼児の生年月日、性別等の情報を送信する。
【0040】
育児支援装置1は、これらの情報を受けて、乳幼児ごとに固有な乳幼児特定情報を発行して、この乳幼児特定情報と、乳幼児名、生年月日その他送信された情報とを、ユーザを特定するユーザ名等の情報に関連付けて記録データベースに記録する。
【0041】
ユーザはその後、乳幼児に離乳食を与えるごとに端末装置2を操作して、育児支援装置1に対し認証情報と、飲食記録の指示とを送信し、また乳幼児を特定する乳幼児特定情報と、飲食記録の情報(飲食日時、飲食した食材を特定する情報、飲食分量、及びアレルギー発症の有無)とを入力して、これを育児支援装置1へ送信する。
【0042】
育児支援装置1は、受信した認証情報を用いてユーザを認証し、認証に成功すると、当該認証情報とともに受け入れた乳幼児を特定する情報と、飲食記録の情報とを関連付けて、記録データベースに記録する。
【0043】
以下の例では、生年月日が2019年2月1日である乳幼児(乳幼児特定情報をPとする)について、その保護者が、(月齢6月での)飲食記録として、
2019年8月10日にニンジンを1さじ、
11日にニンジンを1さじ、
12日にニンジンを1さじ、
13日にニンジンを1さじ、
14日にニンジンを2さじと、サバを1さじ…
といったように与えた旨の記録を入力したものとする。そしてサバについてアレルギーを疑う症状があったものとする。
【0044】
この後、育児支援装置1は、端末装置2から乳幼児特定情報とともに記録の参照要求を受信すると、当該受信した乳幼児特定情報に関連付けられた飲食記録の情報を読み出して、参照要求元の端末装置2に提供する。これによりユーザは、端末装置2を操作して、過去に自己が入力した飲食記録を参照することが可能となる。
【0045】
また、端末装置2のユーザが支援情報の表示指示を行うと、端末装置2は、支援情報の提供要求とユーザの認証情報とを、育児支援装置1に対して送出する。育児支援装置1は、提供要求を行ったユーザを、認証情報を用いて認証し、認証に成功すると、記録データベースを参照して、認証情報に関連付けられている乳幼児特定情報の一覧を提供する。
【0046】
端末装置2では、この一覧を表示し、ユーザが、この一覧から乳幼児特定情報の一つを選択すると、当該選択された乳幼児特定情報を育児支援装置1に対して送信する。
【0047】
育児支援装置1では、当該選択された乳幼児特定情報を注目乳幼児特定情報として受信して、記録データベースから、注目乳幼児特定情報に関連付けられた生年月日の情報を取得し、NTPサーバ等から取得される現在日時(処理の時点の日時)を参照して、注目乳幼児特定情報で特定される乳幼児の、上記提供要求時点での月齢の情報を得る。
【0048】
例えば2019年9月1日に、乳幼児特定情報Pについての提供要求を行うと、育児支援装置1は、その生年月日2019年2月1日より、月齢を「7」と求める。
【0049】
育児支援装置1は、当該得られた月齢の情報をキーとして、食材データベースの基準齢情報が当該月齢の情報に等しい(あるいは基準齢情報がキーとなった月齢を超え、かつその差が所定のしきい値以下である)エントリーを検索する。
【0050】
ここでは、食材データベースには、
食材:ニンジン、 基準齢:5月、 再試行待機期間(アレルギーなし):1日
再試行待機期間(アレルギーあり):7日
食材:サバ、 基準齢:5月、 再試行待機期間(アレルギーなし):1日
再試行待機期間(アレルギーあり):2月
食材:食パン、 基準齢:7月、 再試行待機期間(アレルギーなし):1日
再試行待機期間(アレルギーあり):1月
…
といった情報が少なくとも記録されているものとする。
【0051】
従って、この例では育児支援装置1は、月齢が7月以下となっている、ニンジン、サバ、食パン…といった食材の情報を見出す。
【0052】
育児支援装置1はさらに、見出した食材のうち、注目乳幼児特定情報Pに関連付けられた飲食記録の情報に既に記録されている食材を除く。ここでは、ニンジンとサバについては既に飲食していることが記録されているので、初回情報としては、「食パン」のみを抽出することとなる。
【0053】
育児支援装置1は、さらに、注目乳幼児特定情報Pに関連付けられた飲食記録の情報を参照し、食材を特定する情報のセット(重複を除く集合)を取得する。ここでは、ニンジンとサバとおかゆとが得られたものとする。育児支援装置1は、ここで取得したセットに含まれる、食材を特定する情報の各々について、当該情報で特定される食材を最後に飲食した飲食日時の情報と、その飲食日時の情報に関連付けられたアレルギー発症の有無の情報とを取得して、食材を特定する情報に関連付けて、キーセット情報として記憶する。
【0054】
ここではサバについてのみアレルギーが疑われる症状があったものとすると、キーセット情報は例えば、
食材:ニンジン、最終飲食日時:2019年8月31日、アレルギーなし
食材:サバ、最終飲食日時:2019年8月10日、アレルギーあり
食材:おかゆ、最終飲食日時:2019年8月31日、アレルギーなし
といったものとなる。
【0055】
そして育児支援装置1は、ここで取得したキーセット情報に含まれる情報を順次選択しつつ、食材データベースから、当該選択した情報において特定されている食材の情報に関連付けられた再試行待機期間を検索して読み出す。
【0056】
例えば食材「ニンジン」については、アレルギーがないとの記録であるため、再試行待機期間として「1日」との情報を取得する。食材「サバ」についてはアレルギーがあると記録されているため、再試行待機期間として「2月」との情報を取得する。
【0057】
次に育児支援装置1は、読み出した再試行待機期間のうち、選択した情報で特定される飲食日時に、上記抽出した時間間隔の情報を加算して、次回予定時期を算出する。
【0058】
例えば食材「ニンジン」については、最終飲食日時が2019年8月31日であり、取得した再試行待機期間が「1日」であるので、最終飲食日時に1日を加えて2019年9月1日との次回予定時期を取得する。
【0059】
また食材「サバ」については最終飲食日時が2019年8月10日であり、取得した再試行待機期間が「2月」であるので、最終飲食日時に1日を加えて2019年10月10日との次回予定時期を取得する。
【0060】
育児支援装置1はさらに、注目乳幼児特定情報Pに係る注目乳幼児の、当該算出した次回予定時期における月齢をさらに算出する。この例では食材「ニンジン」については次回予定時期での月齢は「7」であり、「サバ」についても同様に「8」となる。
【0061】
育児支援装置1は、ここで算出した月齢が、注目乳幼児特定情報Pで特定される乳幼児の、提供要求時点での月齢に等しい(あるいは提供要求時点での月齢が、上記算出した月齢を超え、かつその差が所定のしきい値以下である)場合に、当該選択した情報で特定される食材の飲食を再度試すことを勧める情報を生成する(再試行情報)。
【0062】
つまりここでは、少なくともニンジンについて、その飲食を再度試すことを勧める情報を再試行情報として生成する。
【0063】
またこの育児支援装置1は、例えば食材「サバ」については算出した月齢が「8」であり、注目乳幼児特定情報Pで特定される乳幼児の、提供要求時点での月齢が「7」であるので、8-7=1月後に当該食材「サバ」の飲食を再度試すことを勧める情報を再試行予定情報として生成してもよい。
【0064】
育児支援装置1は、これら生成した初回情報や再試行情報、ならびに再試行予定情報をリストとして表示するウェブページを生成して、端末装置2へ送出する。端末装置2では、これに基づいて例えば
図5に例示するようなリストを表示する。リストに表示する際の文言などは、予め設定したテンプレート情報を利用するような広く知られた方法を採用できるので、ここでの詳しい説明は省略する。ユーザはこのリストを参照して、離乳食を与える計画を立てることができる。
【0065】
[情報の共有]
また本実施の形態の育児支援装置1は、端末装置2から受信する指示(情報共有指示)により、指定された乳幼児特定情報で特定される乳幼児に関するアレルギーに関する情報を、他のサーバ装置へ送信し、これらの情報の共有を行ってもよい。
【0066】
一例として、ここでの他のサーバ装置には、保育園に関するシステム(保育園予約システム)等の保育に関する種類のサーバと、病院システム等医療に関する種類のサーバと…といったように複数の種類のものが含まれる。
【0067】
本実施の形態の育児支援装置1は、そして、送信先として指定されたサーバ装置の種類(保育用であるか、医療用であるかなど)に応じて、提供する情報の内容を異ならせてもよい。また本実施の形態の育児支援装置1は、ユーザからの指示により、他のサーバに提供する情報の内容を異ならせてもよい。
【0068】
具体的にこの例の育児支援装置1は、端末装置2から、認証情報とともに情報共有の指示を受け入れると、当該端末装置2のユーザを、認証情報を用いて認証する。育児支援装置1は、そしてこの認証に成功すると、当該認証したユーザのユーザ名等に関連付けられた乳幼児特定情報の一覧を提供して、ユーザの選択を求める。ユーザが端末装置2に提示された一覧から乳幼児特定情報を選択すると、育児支援装置1はさらに、ユーザに対して共有先となるサーバ装置のURL等の入力を求める。
【0069】
この入力は例えば予め定められたサーバ装置の一覧を提示して、そのうちからユーザに選択させるものであってもよい。この場合、育児支援装置1は、サーバ装置の名称(「XX保育園予約システム」、「YY小児科」など)と、その種類を表す情報(「保育園」,「医療機関」…などの別)と、URLとを関連付けた情報を保持しておき(これらの情報は予め管理者等から入力を受けておくものとする)、上記名称の一覧を提示してユーザから共有先の指定を受け入れる。
【0070】
ユーザが共有先を指定すると、育児支援装置1は当該指定された共有先に関連付けられた種類の情報とURLとを取得する。そして当該種類の情報に基づいて共有する情報の内容を決定する。なお、ユーザが直接、URLを入力する場合は、育児支援装置1は、当該URLによって特定されるサーバ装置の種類(「保育園」,「医療機関」…などの別)を表す情報を併せて入力するよう、ユーザに求め、ユーザの入力を受けて、種類の情報を取得する。
【0071】
ここでは、育児支援装置1は、指定されたサーバ装置が、保育園(保育用)のものである場合には共有指示の時点で発症しているアレルギーに係る情報を送信するものとし、病院等医療用のものである場合には、共有指示の時点までに記録されているアレルギーに関するすべての情報を送信するものとする。
【0072】
具体的に共有指示の時点で発症しているアレルギーに係る情報を送信する場合、育児支援装置1は、記録データベースに記録された情報のうち、ユーザが選択した乳幼児特定情報に関連付けられた飲食記録の情報を参照し、食材を特定する情報のセット(重複を除く集合)を取得する。そして育児支援装置1は、当該取得したセットに含まれる、食材を特定する情報の各々について、当該情報で特定される食材を最後に飲食した飲食日時の情報と、その飲食日時の情報に関連付けられたアレルギー発症の有無の情報とを取得して、食材を特定する情報に関連付けて、セット情報として記憶する。
【0073】
さらに育児支援装置1は、セット情報のうち、アレルギー発症があったとして記録されている食材についてのみ、当該食材を特定する情報(飲食日時の情報が含まれてもよい)を取り出して、そのリストを、共有先として指定されたURLで特定されるサーバ装置に対して送信する。このリストは、仮にアレルギー発症があったとして記録された食材がない場合、あるいは過去にそのような記録があっても、同じ食材についてより新しい日時で飲食したときにアレルギー発症がなかったとして記録されている場合には空のリストとなる。
【0074】
また、共有指示の時点までに記録されているアレルギーに関するすべての情報を送信する場合、育児支援装置1は、記録データベースに記録された情報のうち、ユーザが選択した乳幼児特定情報に関連付けられた飲食記録の情報を抽出し、当該飲食記録の情報を共有先として指定されたURLで特定されるサーバ装置に対して送信する。
【0075】
あるいは、育児支援装置1は、記録データベースに記録された情報のうち、ユーザが選択した乳幼児特定情報に関連付けられた飲食記録の情報であって、アレルギー症状があったとされるエントリーを抽出して、当該抽出した情報を共有先として指定されたURLで特定されるサーバ装置に対して送信する。
【0076】
本実施の形態のこの例によると、目的に応じた範囲の情報の共有を図ることができる。
【0077】
[推奨の方法]
また本実施の形態の育児支援装置1では、支援情報の提供要求を受けたときに、生成した初回情報または再試行情報に係る食材が所定のしきい値(例えば10品)を超える場合は、これらのうち上記しきい値だけの数の食材を選択して提示してもよい。
【0078】
この選択は、例えばランダムに行ってもよいし、再試行情報であれば、最も長く飲食していない(最後に飲食した日時から最も時間が経過している)食材から順に上記しきい値の数の食材を選択してもよい。ここで説明した選択の方法は例であり、他の方法が採用されてもよい。
【0079】
[季節ごとの推奨]
また食材データベースには、食材ごとに推奨される季節に関する情報が含まれてもよい。例えば食材「トマト」には、基準齢や再試行期間等の情報に対してさらに、旬の時期である「6から9月(JuneからSeptember)」の情報を関連付けておいてもよい。
【0080】
この例では、育児支援装置1では、受信した注目乳幼児特定情報に関連付けられた生年月日の情報を記録データベースから取得し、NTPサーバ等から取得される現在日時(処理の時点の日時)を参照して、注目乳幼児特定情報で特定される乳幼児の、上記提供要求時点での月齢の情報を得るとともに、また処理の時点の時期(1年の間の何月であるかの情報)を得る。
【0081】
そして育児支援装置1は、得られた月齢の情報をキーとして、食材データベースの基準齢情報が当該月齢の情報に等しい(あるいは基準齢情報がキーとなった月齢を超え、かつその差が所定のしきい値以下である)エントリーを検索し、さらに、食材データベース中の旬の時期の情報が、上記得た処理の時点の時期に合致する食材の情報があれば、当該食材についての情報を提供するウェブページを生成して、端末装置2へ送出する。
【0082】
[保育園からの情報提供]
さらに食材データベースでは、保育園からの情報提供を受けて、保育園で提供する予定の食材の情報を記録しておいてもよい。この例では、食材データベースの管理者は、予め少なくとも一つの保育園から提供予定の食材を特定する情報を受けておく。そして管理者は、食材データベースに記録された各食材のうち、いずれかの保育園で提供予定があるとされた食材について、当該食材に、提供予定とした保育園を特定する情報(保育園の所在地や名称等でよい)を関連付けて、食材データベースに格納しておく。
【0083】
この例では、育児支援装置1では、予めユーザから入園を予定している保育園があれば、当該保育園を特定する情報(所在地や名称等)の入力を受け入れて、当該ユーザを特定する情報に関連付けて当該保育園を特定する情報を記録しておく。
【0084】
そして育児支援装置1は、ユーザから支援情報の提供要求を受けたときに、当該ユーザを特定する情報に関連付けられている保育園を特定する情報があれば、当該保育園を特定する情報を読み出す。
【0085】
育児支援装置1は、ここで保育園を特定する情報が読み出されたならば、初回情報または再試行情報を生成したときに、これらの情報に係る食材のうち、読み出した、保育園を特定する情報に関連付けられた食材があるか否かを調べ、そのような食材があれば、当該食材が保育園で提供される予定がある旨の情報とともに、当該食材についての情報を提供するウェブページを生成して、端末装置2へ送出する。
【0086】
これにより、保育園で提供される予定の食材を、予め家庭で試行してアレルギーに関する知見を得ておくことが可能となる。
【0087】
[保育園などとの連携]
さらにここまでの説明では、情報共有指示により、保育園等のサーバ装置に送信される情報は、アレルギーの情報であるものとしたが、本実施の形態では、この例に限られない。
【0088】
例えば、育児支援装置1は、離乳食の進捗状況に係る情報を保育園等のサーバ装置に送信してもよい。具体的に育児支援装置1は、記録データベースに記録された情報のうち、ユーザが選択した乳幼児特定情報に関連付けられた飲食記録の情報を参照して、過去に飲食した食材を特定する情報のセット(重複を除く集合)を取得する。そして育児支援装置1は、この取得した情報のセット(過去に飲食した食材のリスト)を、離乳食の進捗状況に係る情報として保育園等のサーバ装置に送信する。このような情報がアレルギーの情報とともに送信されることで、保育園等では、家庭での離乳食の進行状況を把握できる。
【符号の説明】
【0089】
1 育児支援装置、2 端末装置、11 制御部、12 記憶部、13 通信部、21 記録受入部、22 記録処理部、23 支援情報生成部、24 支援情報提供部。