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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/69 20140101AFI20220623BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20220623BHJP
   A63F 13/422 20140101ALI20220623BHJP
【FI】
A63F13/69
A63F13/80 B
A63F13/422
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019239216
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021106752
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】506113602
【氏名又は名称】株式会社コナミデジタルエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】三上 直人
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-93035(JP,A)
【文献】特開2006-149934(JP,A)
【文献】特開2014-183952(JP,A)
【文献】特開2018-38895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24、13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対戦ゲームにおいて用いるデッキを生成する情報処理装置であって、
複数の媒体のうちの1以上の媒体を指定する指定情報を取得する取得部と、
前記指定情報が指定する媒体をデッキに含める初期処理部と、を備え、
第1の媒体に対する、第2の媒体の相性値として、前記第2の媒体が含まれた模範デッキ群に前記第1の媒体が含まれている頻度を示す値が用いられ、
前記情報処理装置は、
前記複数の媒体に、前記デッキに含まれていない未選択媒体が存在する場合、前記未選択媒体の各々に対する、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値を用いて、前記未選択媒体の中から1以上の媒体を選択し、選択した媒体を前記デッキに含める選択処理を実行する選択部と、
前記選択部に前記選択処理を繰り返し実行させる選択制御部と、をさらに備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記選択制御部は、前記デッキに含まれた媒体の数が予め定められた条件を満たすまで、前記選択部に前記選択処理を繰り返し実行させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の媒体に対する、前記第2の媒体の第2の相性値として、前記第1の媒体が含まれた模範デッキ群に前記第2の媒体が含まれている頻度を示す値が用いられ、
前記選択部は、前記未選択媒体の各々に対する、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値および前記第2の相性値を用いて、前記未選択媒体の中から1以上の媒体を選択する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記未選択媒体の各々に対する、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値と前記第2の相性値との和、積、重み付けの和、または重み付けの積を用いて、前記未選択媒体の中から1以上の媒体を選択する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記未選択媒体毎に、個別の未選択媒体に対する、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値を用いて評価値を算出し、前記未選択媒体毎の評価値を比較して、前記未選択媒体の中から1以上の媒体を選択する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記未選択媒体毎に、個別の未選択媒体に対する、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値の重み付けの和または重み付けの積を用いて前記評価値を算出し、
前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値の重み付けの度合いは、当該媒体が前記デッキに含められた順番に応じて定められている、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値の重み付けの度合いは、当該媒体が前記デッキに含められた順番が早いほど大きい、請求項6に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャラクタが対応付けられたカード等の媒体を用いて対戦するゲームが知られている。特許文献1には、プレイヤが所有する複数の所有キャラクタから複数の対象キャラクタを選択してイベントに適用する技術が記載されている。特許文献1に記載の制御装置は、複数の対象キャラクタの選択所要値の合計値がプレイヤに付与された選択許容値以下となる範囲内で複数の対象キャラクタの攻撃力の合計値である総攻撃力が最大となるように複数の所有キャラクタから対象キャラクタを選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-000498号公報(2013年1月7日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゲームに用いられる媒体の中には、特定の媒体の組み合わせによりキャラクタのパラメータが上昇する、といった特別な効果が定められているものもある。ゲームの対戦で用いる媒体の組み合わせ(デッキ)を、特別な効果を奏する媒体の組み合わせ等を考慮して決定することができれば好適である。
【0005】
本発明のいくつかの態様は、対戦ゲームにおいて用いるデッキとして、指定されたカードと相性の良い媒体を含むデッキを生成し易くすることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、対戦ゲームにおいて用いるデッキを生成する情報処理装置であって、複数の媒体のうちの1以上の媒体を指定する指定情報を取得する取得部と、前記指定情報が指定する媒体をデッキに含める初期処理部と、を備え、第1の媒体に対する、第2の媒体の相性値として、前記第2の媒体が含まれた模範デッキ群に前記第1の媒体が含まれている頻度を示す値が用いられ、前記情報処理装置は、前記複数の媒体に、前記デッキに含まれていない未選択媒体が存在する場合、前記未選択媒体の各々に対する、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値を用いて、前記未選択媒体の中から1以上の媒体を選択し、選択した媒体を前記デッキに含める選択処理を実行する選択部と、前記選択部に前記選択処理を繰り返し実行させる選択制御部と、をさらに備える情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、対戦ゲームにおいて用いるデッキとして、指定されたカードと相性の良い媒体を含むデッキを生成し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る媒体の内容を例示する図である。
図2】本発明の実施形態1に係る媒体の内容を例示する図である。
図3】本発明の実施形態1に係る情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態1に係るデッキ履歴データベースの内容を例示する図である。
図5】本発明の実施形態1に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態1に係る情報処理装置が実行するデッキ生成処理の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態1に係る相性値を例示する図である。
図8】本発明の実施形態1に係る評価値の内容を説明するための図である。
図9】本発明の実施形態1に係る評価値の内容を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
<情報処理装置の概要>
以下、本発明の実施形態1に係る情報処理装置10について説明する。情報処理装置10は、対戦ゲームにおいて用いるデッキを生成する装置である。実施形態1において、対戦ゲームとは、媒体を用いてプレイヤが勝敗を競うゲームをいう。媒体は、対戦ゲームで用いられる対戦オブジェクトを示す情報である。対戦オブジェクトは例えば、対戦ゲームで用いられるキャラクタ、対戦において奏する効果、または、キャラクタと効果との組み合わせである。キャラクタは、対戦ゲームにおいて各種の行動の主体となるものである。キャラクタは例えば、モンスター、動物、妖怪、人、植物、ロボット、またはアバターであるが、これらに限定されず、いかなる概念を投影したキャラクタであってもよい。キャラクタには、その属性(種類)毎または個体毎に異なるパラメータ値が設定されている。効果は、対戦ゲームの進行に影響を与えるものである。
【0010】
対戦ゲームのジャンルは特定のジャンルに限定されず、対戦オブジェクトを用いるゲームであれば、いかなるジャンルのゲームであってもよい。対戦ゲームは例えば、キャラクタ同士で攻撃および防御を行って勝敗を競うゲームである。また、対戦ゲームは、対戦オブジェクトを用いて行う競技ゲームの得点を競うものであってもよい。また、対戦ゲームは、プレイヤが単独で行うものであってもよいし、複数のプレイヤが行うものであってもよい。実施形態1において、対戦ゲームは、ユーザ端末がコンピュータプログラムを実行することにより実装されるアプリケーション上で行われる対戦ゲームであってもよく、また、プレイヤが紙製のカード等の有体物を用いて行う対戦ゲームであってもよい。
【0011】
媒体は、対戦オブジェクトを示す情報であり、例えば対戦オブジェクトを識別する情報(媒体ID)を含む。また、媒体は例えば、対戦オブジェクトの属性(種類)を示す情報、対戦オブジェクトの特徴(外観等)を示す情報、および/または、対戦に関する1または複数のパラメータ値を含む。対戦に関するパラメータ値は例えば、キャラクタの体力値、キャラクタの攻撃力、キャラクタの防御力、キャラクタの体力の上昇値、キャラクタの攻撃力の上昇値、または、防御力の上昇値である。
【0012】
対戦ゲームがソフトウェアアプリケーション上で行われるゲームである場合、対戦ゲームは、対戦オブジェクトを示す情報、すなわち媒体を用いて行われる。一方、対戦ゲームが紙製のカード等の有体物を用いて行われるゲームである場合、対戦ゲームは、媒体(対戦オブジェクトを示す情報)が対応付けられた有体物(紙製のカード、等)を用いて行われる。
【0013】
図1は、媒体の内容を例示する図である。図において、媒体M11および媒体M12は、キャラクタの種別を示す情報、およびそのキャラクタの「パワー」のパラメータ値を含む。図1の例では、媒体M11は、キャラクタの種別として「パンダ」を示す情報を含み、また、「パワー」のパラメータ値として「300」が設定されている。媒体M12は、キャラクタの種別として「トラ」を示す情報を含み、また、「パワー」のパラメータ値として「500」が設定されている。
【0014】
図2は、媒体の他の内容を例示する図である。図において、媒体M13~M16は、キャラクタの種別を示す情報、および、そのキャラクタの「パワー」のパラメータ値を含む。また、図2の例では、或る条件を満たす場合にはパラメータ値が上昇する、といった特別な効果が各媒体に定められている。例えば、媒体M13の例では、「「三蔵法師」の媒体と一緒に用いられる」という条件を満たす場合、「パワー」のパラメータ値が「800上昇する」、という効果が設定されている。また、媒体M16の例では、属性が「虫」である媒体の「パワー」のパラメータ値が「200上昇する」という効果が設定されている。
【0015】
実施形態1において、デッキとは、プレイヤが対戦ゲームで用いる対戦オブジェクトの集合を示す情報をいう。すなわち、デッキは、プレイヤが対戦ゲームで用いる対戦オブジェクトを示す媒体の集合である。
【0016】
実施形態1では、対戦オブジェクトのパラメータ値が異なる媒体が多数存在しており、プレイヤは、これらの媒体を収集する。対戦ゲームを行う際には、プレイヤは、自身が所持している媒体の中から、対戦ゲームで用いる媒体の組み合わせを決めて対戦を行う。例えば、プレイヤが所持している媒体の中から40個の媒体を抽出し、抽出した媒体の中からランダムに選択された10個の媒体を用いて対戦を行う、といったゲームが行われる。また、実施形態1では、デッキには同じ種類の媒体を複数個含めることができる。
【0017】
<情報処理装置の機能的な構成>
図3は、実施形態1に係る情報処理装置10の機能構成を例示するブロック図である。情報処理装置10は、対戦ゲームにおいて用いるデッキを生成する装置であり、例えば、対戦ゲームを行うゲーム環境をプレイヤに提供するサーバ機能を有するゲームサーバである。また、情報処理装置10は例えば、対戦ゲームを行うプレイヤが利用するユーザ端末である。ユーザ端末の例として、PC(Personal Computer)、タブレットPC、スマートフォンおよびフィーチャーフォン等の携帯電話機、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、据え置き型ゲーム機、および携帯ゲーム機等が挙げられる。
【0018】
情報処理装置10は、制御部110と、記憶部120とを含む。制御部110は、取得部111、初期処理部112、選択部113、および選択制御部114を含む。取得部111は、複数の媒体のうちの1以上の媒体を指定する指定情報を取得する。初期処理部112は、指定情報が指定する媒体をデッキに含める処理を実行する。選択部113は、複数の媒体に、デッキに含まれていない未選択媒体が存在する場合、後述する相性値を用いて、未選択媒体の中から1以上の媒体を選択し、選択した媒体をデッキに含める選択処理を実行する。選択制御部114は、選択部113に媒体の選択処理を繰り返し実行させる。
【0019】
記憶部120は、デッキ履歴データベースD121を記憶する。デッキ履歴データベースD121には、プレイヤが使用したデッキがプレイヤ毎および/または対戦毎に蓄積されている。
【0020】
図4は、デッキ履歴データベースの内容を例示する図である。図4の例では、「対戦1」において「媒体MA」、「媒体MB」、および「媒体MD」の組み合わせがデッキとして用いられた旨が示されている。また、「対戦2」および「対戦3」において「媒体MC」、「媒体MB」、および「媒体MA」の組み合わせがデッキとして用いられた旨が示されている。
【0021】
<情報処理装置のハードウェア構成>
図5は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置10は、プロセッサ11と、主メモリ12と、補助メモリ13と、通信インタフェース14と、入出力インタフェース15とを含むコンピュータによって構成される。プロセッサ11と、主メモリ12と、補助メモリ13と、通信インタフェース14と、入出力インタフェース15とは、バスを介して互いに接続される。また、入出力インタフェース15には、出力装置16および入力装置17が接続される。
【0022】
プロセッサ11としては、例えば、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロコントローラ、またはこれらの組み合わせ等が用いられる。
【0023】
主メモリ12としては、例えば、半導体RAM等が用いられる。
【0024】
補助メモリ13としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD、SSD、可搬型記憶媒体、またはこれらの組み合わせ等が用いられる。
【0025】
補助メモリ13には、情報処理装置10を構成するコンピュータに実行させるプログラムが記憶される。当該プログラムは、複数の媒体のうちの1以上の媒体を指定する指定情報を取得する取得ステップと、指定情報が指定する媒体をデッキに含める初期処理ステップと、複数の媒体に、前記デッキに含まれていない未選択媒体が存在する場合、前記未選択媒体の各々に対する、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値を用いて、前記未選択媒体の中から1以上の媒体を選択し、選択した媒体を前記デッキに含める選択処理を実行する選択ステップと、上記選択処理を繰り返し実行させる選択制御ステップとを、当該コンピュータに実行させるものである。プロセッサ11は、補助メモリ13に格納されたプログラムを主メモリ12上に展開し、展開したプログラムに含まれる各命令を実行することにより、情報処理装置10を、上述した各部として機能させる。
【0026】
また、補助メモリ13には、当該コンピュータを情報処理装置10として動作させるためにプロセッサ11が参照する各種データが格納されている。
【0027】
通信インタフェース14は、ネットワークに接続するインタフェースである。通信インタフェース14は、情報処理装置10が他の装置と通信することによりプレイ可能なゲームを実現する場合に動作する。
【0028】
入出力インタフェース15としては、例えば、USBインタフェース、赤外線やBluetooth(登録商標)等の近距離通信インタフェース、またはこれらの組み合わせが用いられる。
【0029】
出力装置16としては、例えば、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ、またはこれらの組み合わせが用いられる。入力装置17としては、例えば、ゲームをプレイするためのコントローラ、キーボード、マウス、タッチパッド、マイク、またはこれらの組み合わせ等が用いられる。
【0030】
プロセッサ11および通信インタフェース14は、制御部110として機能するハードウェア要素の一例である。また、主メモリ12および補助メモリ13は、記憶部120として機能するハードウェア要素の一例である。
【0031】
なお、情報処理装置10がゲームサーバ等のサーバである場合、情報処理装置10は、入出力インタフェース15を備えない構成であってもよい。
【0032】
<動作>
次いで、情報処理装置10が行う、デッキの生成処理について図面を参照しつつ説明する。この動作例では、情報処理装置10は、複数の媒体(以下「集合G1」という)の中からデッキに含める媒体を選択する処理を繰り返し実行することにより、デッキを生成する。集合G1は例えば、プレイヤが所有している媒体の集合である。また、集合G1には、プレイヤが所有していない媒体が含まれていてもよい。例えば、集合G1は、情報処理装置10が予め定めた媒体の集合であってもよい。
【0033】
<動作例>
図6は、情報処理装置10が行う、デッキの生成処理の流れを例示するフローチャートである。なお、一部のステップは並行して、または、順序を替えて実行してもよい。
【0034】
この動作例では、情報処理装置10がゲームサーバである場合の動作を説明する。ステップS101において、情報処理装置10の取得部111は、集合G1に含まれた媒体のうちの1以上の媒体を指定する指定情報を取得する。実施形態1では、情報処理装置10は、プレイヤが使用するユーザ端末(図示略)から指定情報を取得する。この場合、ユーザ端末には、対戦ゲームを行うためのソフトウェアアプリケーションが予めインストールされている。ユーザ端末の制御部(図示略)は、当該ソフトウェアアプリケーションを実行することにより、プレイヤによる、集合G1に含まれた媒体の中から、1以上の媒体を指定する操作を受け付ける。ユーザ端末の制御部(図示略)は、受け付けたユーザ操作に応じて、集合G1に含まれた媒体のうちの1以上の媒体を指定する指定情報を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10は、ユーザ端末から指定情報を受信することにより、指定情報を取得する。
【0035】
ステップS102において、初期処理部112は、指定情報が指定する媒体をデッキに含める初期処理を実行する。すなわち、ステップS102において、デッキには、指定情報が指定する媒体が含まれ、それ以外の媒体は含まれていない。
【0036】
上述したように、実施形態1では、ひとつのデッキに同じ種類の媒体を複数含めることができる。同じ種類の媒体(以下「同種媒体」という)がデッキに複数含まれる場合、それら複数の同種媒体は別個に管理される。管理方法としては例えば、初期処理部112は、媒体を識別する媒体IDとは別途、複数の同種媒体をそれぞれ識別する拡張ID(識別情報)を同種媒体に付与し、付与した拡張IDを用いて媒体を管理する。すなわち、媒体は、媒体を識別する媒体IDにより識別され、同じ媒体IDで識別される複数の同種媒体が集合G1に含まれる場合、初期処理部112は、それら複数の同種媒体を各々識別する拡張IDを各同種媒体に付与する。
【0037】
ステップS103において、選択部113は、集合G1に、デッキに含まれていない媒体(以下「未選択媒体」という)が存在する場合、未選択媒体の各々に対するデッキに含まれた媒体の各々の相性値を用いて未選択媒体の中から1以上の媒体を選択し、選択した媒体をデッキに含める選択処理を実行する。集合G1に含まれる媒体は媒体IDおよび拡張IDにより識別される。すなわち、複数の同種媒体が集合G1に含まれている場合、選択部113は、拡張IDを用いて複数の同種媒体をそれぞれ個別の媒体として扱い、それぞれの媒体の相性値を用いて選択処理を行う。
【0038】
相性値は、媒体同士の相性を表す値である。実施形態1では、相性値は、模範デッキ群において媒体同士が組み合わされて用いられている頻度に応じた値である。詳細には、実施形態1では、選択部113は、第1の媒体に対する第2の媒体の相性値として、第2の媒体が含まれた模範デッキ群に第1の媒体が含まれている頻度を示す第1の相性値を用いる。選択部113は、第1の媒体に対する第2の媒体の第1の相性値を、例えば、第2の媒体が模範デッキ群に含まれている頻度に対する、第1の媒体と第2の媒体との組み合わせが模範デッキ群に含まれている頻度の比を算出することにより求めてもよい。
【0039】
模範デッキ群は、プレイヤに提示するデッキを構築する際に参考とされるデッキ(以下「模範デッキ」という)の集合である。模範デッキ群は例えば、対戦の成績が良いプレイヤのデッキの集合である。選択部113は、デッキ履歴データベースD121に記憶された一部または全部のデッキを模範デッキ群として参照する。選択部113は、例えば、デッキ履歴データベースから、ランク戦での成績が予め定められた条件を満たすデッキ(例えば、直近の2週間において成績が上位1000名のデッキ)を模範デッキ群として抽出する。
【0040】
図7は、相性値を例示した図である。図7は、列に記載された媒体に対する、行に記載された媒体の第1の相性値を、行列Mxにより示す。行列Mxにおける各成分の分母は、各成分の行に記載された媒体が模範デッキ群に含まれている頻度を示す。各成分の分子は、各成分の行に記載された媒体と列に記載された媒体との両方が模範デッキ群に含まれている頻度を示す。
【0041】
具体的には例えば、MA行の各成分の分母は、媒体MAを含む模範デッキの数であり、MA行の各成分の分子は、媒体MAと各列の媒体との両方を含む模範デッキの数である。すなわち、MA行MC列の成分の値は、媒体MAと媒体MCとの両方を含む模範デッキの数を、媒体MAを含む模範デッキの数で除算することにより算出される。
【0042】
以下の説明では、説明の便宜上、媒体Mi(第2の媒体)の媒体Mj(第1の媒体)に対する第1の相性値を、P(Mj|Mi)と表す。具体的には、例えば、図7において、媒体MAが模範デッキ群に含まれている頻度に対する、媒体MAと媒体MCとの組み合わせが模範デッキ群に含まれている頻度の割合は2/3である。すなわち、媒体Cに対する媒体Aの相性値P(MC|MA)は、2/3である。なお、相性値は、確率値に限定されない。相性値として、確率値の対数を用いるなど確率に基づいた相性値を用いて各処理を行うことができる。
【0043】
実施形態1では、選択部113は、集合G1に含まれる各媒体の相性値をステップS101の前に予め算出し、記憶部120に記憶する。また、他の実施形態において、他の装置により相性値の算出処理を行い、算出された相性値を情報処理装置10が他の装置から取得(受信、等)しておいてもよい。
【0044】
続いて、選択部113による媒体の選択の詳細について説明する。実施形態1では、選択部113は、未選択媒体毎に、個別の未選択媒体に対する、デッキに含まれた各媒体の第1の相性値を用いて評価値を算出し、未選択媒体毎の評価値を比較して、未選択媒体の中から1以上の媒体を選択する。評価値は、相性値を用いて媒体毎に算出される値であり、何れの未選択媒体を選択するかを決定するために比較される。評価値は例えば、媒体毎の相性値の和、媒体毎の相性値の積、媒体毎の相性値の重み付けの和、または、媒体毎の相性値の重み付けの積、である。
【0045】
具体的には、例えば、媒体MA、MB、およびMCがデッキに含まれている状態における、媒体MXの評価値P(MX)は、以下の(1)式または(2)式により算出される。
P(MX)=P(MX|MA)+P(MX|MB)+P(MX|MC) …(1)
P(MX)=P(MX|MA)・P(MX|MB)・P(MX|MC) …(2)
【0046】
図8および図9は、算出される評価値の具体例を説明するための図である。図8および図9の例では、一の媒体の評価値として、その媒体に対する他の媒体の第1の相性値の和が用いられる。図8において、媒体MBがデッキに含まれている場合、媒体MA、MB、MC、MD、MEのそれぞれの評価値、すなわち評価値P(MA)、P(MB)、P(MC)、P(MD)、P(ME)はそれぞれ、「3/3」、「0」、「2/3」、「1/3」、「0/3」、となる。
【0047】
図9において、媒体MAおよび媒体MBがデッキに含まれている場合、媒体MAの評価値P(MA)は、P(MA|MA)+P(MA|MB)により算出され、「3/3」となる。同様に、媒体MBの評価値P(MB)は、P(MB|MA)+P(MB|MB)により算出され、「3/3」となる。同様に、媒体MCの評価値P(MC)は、P(MC|MA)+P(MC|MB)により算出され、「4/3」となる。媒体MDの評価値P(MD)は、P(MD|MA)+P(MD|MB)により算出され、「2/3」となる。媒体MEの評価値P(ME)は、P(ME|MA)+P(ME|MB)により算出され、「0/3」となる。
【0048】
選択部113は、集合G1に含まれる未選択媒体の中から、評価値Pが最も大きい未選択媒体を選択する。なお、評価値Pの値が最も大きい未選択媒体が複数ある場合、選択部113は、それら複数の未選択媒体を選択してもよく、また、それら複数の未選択媒体の一部を選択してもよい。一部の媒体の選択方法としては、例えば、選択部113は、評価値が最も大きい複数の未選択媒体の中から予め定められた数の未選択媒体を、ランダムに選択してもよく、また、識別情報の若い順に選択してもよい。
【0049】
なお、選択部113は、集合G1に含まれる全ての媒体について評価値の算出を行ってもよく、また、集合G1に含まれる未選択媒体について評価値の算出を行ってもよい。
【0050】
図8の例では、媒体MBがデッキに含まれた状態において、選択部113は、未選択媒体である媒体MA、媒体MC、媒体MD、および媒体MEの中から、評価値Pが最も大きい媒体MAを選択する。また、図9の例では、媒体MAおよび媒体MBがデッキに含まれた状態において、選択部113は、未選択媒体である媒体MC、媒体MD、および媒体MEの中から、評価値Pが最も大きい媒体MCを選択する。
【0051】
図6の説明に戻る。ステップS104において、選択制御部114は、デッキに含まれた媒体の数が予め定められた条件を満たしたかを判定することによって、選択処理を終了するかを判定する。予め定められた条件は、生成するデッキが満たすべき条件であり、より詳細には、デッキに含まれた媒体の数が満たすべき条件である。予め定められた条件は例えば、予め定められた閾値以上、予め定められた割合以上、といった条件である。
【0052】
選択処理を終了する場合(ステップS104;YES)、選択制御部114は、ステップS105の処理に進む。一方、選択処理を継続する場合(ステップS104;NO)、選択制御部114は、ステップS103の処理に戻り、選択処理を実行する。
【0053】
すなわち、選択制御部114は、選択部113に選択処理を繰り返し実行させ、デッキに含まれた媒体の相性値を用いて、未選択媒体の中からデッキに含める媒体を選択させる。選択部113によって選択処理が実行される毎に、デッキに含まれた媒体の数が増加していく。
【0054】
ステップS105において、選択制御部114は、生成したデッキを出力する。実施形態1では、選択制御部114は、生成したデッキをユーザ端末に送信することによりデッキを出力する。ユーザ端末は、情報処理装置10からデッキを受信し、受信したデッキをディスプレイに表示する等してプレイヤに提示する。プレイヤは、提示されたデッキをそのまま対戦ゲームで用いたり、一部を変更したりする。
【0055】
デッキの生成においては、単にパラメータ値の高い媒体ばかり選んでおけばよいということではなく、デッキに含める媒体の組み合わせ等も考慮して生成することが好適である。例えば、組み合わせて用いることでパラメータ値が上昇する媒体をデッキに含めたり、特定の属性の媒体を多くデッキに含めたりする、といった戦略が考えられる。しかしながら、媒体の種類が多くなると、特に初心者にとってデッキを考えることが困難な場合があった。それに対し実施形態1では、プレイヤが指定した媒体と相性の良い媒体を選択してデッキに含めることで、指定された媒体と相性の良い媒体を含むデッキを生成し易くすることができる。
【0056】
また、実施形態1では、集合G1に複数の同種媒体が含まれる場合(例えば、ユーザが同じ種類の媒体を複数所有している場合)、情報処理装置10は、複数の同種媒体を含むデッキを生成してユーザに提示することができる。
【0057】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0058】
実施形態2は、デッキに含める媒体を選択する処理(図6のステップS103の処理)の内容が上述した実施形態1と異なる。上述の実施形態1では、選択部113は、第1の媒体に対する第2の媒体の第1の相性値を用いて媒体を選択した。それに対し、実施形態2では、選択部113は、第1の媒体に対する、第2の媒体の第1の相性値に加えて、第1の媒体に対する第2の媒体の第2の相性値を用いて媒体の選択を行う。
【0059】
実施形態2では、選択部113は、第1の媒体に対する第2の媒体の相性値として、第2の媒体が含まれた模範デッキ群に第1の媒体が含まれている頻度を示す第1の相性値に加えて、第1の媒体が含まれた模範デッキ群に第2の媒体が含まれている頻度を示す第2の相性値を用いる。選択部113は、第1の媒体に対する第2の媒体の第2の相性値を、例えば、第1の媒体が模範デッキ群に含まれている頻度に対する、第1の媒体と第2の媒体との組み合わせが模範デッキ群に含まれている頻度の比を算出することにより求めてもよい。
【0060】
媒体Mi(第2の媒体)の媒体Mj(第1の媒体)に対する第2の相性値を、P(Mi|Mj)と表す。具体的には、例えば、図7において、媒体MCが模範デッキ群に含まれている頻度に対する、媒体MAと媒体MCとの組み合わせが模範デッキ群に含まれている頻度の割合は2/2である。すなわち、媒体Cに対する媒体Aの第2の相性値P(MA|MC)は、2/2である。
【0061】
第2の相性値も、第1の相性値と同様、模範デッキ群において媒体同士が組み合わされて用いられている程度に関する値であり、媒体同士の相性を表す数値であると言える。相性値は、その値が大きいほど相性度が高いと言える。
【0062】
具体的には、選択部113は、第1の相性値および第2の相性値の両方を用いて媒体を選択する。例えば、媒体MA、MB、およびMCがデッキに含まれている場合、選択部113は、以下の(3)式または(4)式を用いて、未選択媒体MXのそれぞれについて、評価値P(MX)を算出し、算出した評価値P(MX)を比較して、未選択媒体の中から1以上の媒体を選択する。以下において、P(MX|MA)、P(MX|MB)、P(MX|MC)が第1の相性値を示し、P(MA|MX)、P(MB|MX)、P(MC|MX)、が第2の相性値を示す。
P(MX)=P(MX|MA)+P(MX|MB)+P(MX|MC)+
P(MA|MX)+P(MB|MX)+P(MC|MX) …(3)
P(MX)=P(MX|MA)・P(MX|MB)・P(MX|MC)+
P(MA|MX)・P(MB|MX)・P(MC|MX) …(4)
【0063】
選択部113は、上述の実施形態1と同様に、評価値を用いて媒体を選択し、選択した媒体をデッキに含める処理を繰り返し実行する。すなわち、実施形態2では、情報処理装置10は、第1の相性値および第2の相性値を用いて、デッキに含める媒体を選択する。
【0064】
実施形態2では、2種類の異なる相性値を用いて媒体を選択することにより、汎用的な媒体よりも相性のよい媒体が選択され易くなる。これにより、ユーザに対してより適切なデッキを提案することができる。
【0065】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0066】
実施形態3は、デッキに含める媒体を選択する処理(図6のステップS103の処理)の内容が上述した実施形態2と異なる。
【0067】
上述の実施形態2では、選択部113は、第1の媒体に対する第2の媒体の第1の相性値と第2の相性値との和または積を用いて媒体を選択した。それに対し、実施形態3では、選択部113は、未選択媒体の各々に対する、デッキに含まれた各媒体の相性値と第2の相性値との重み付けの和または重み付けの積を用いて、未選択媒体の中から1以上の媒体を選択する。
【0068】
例えば、媒体MA、MB、およびMCがデッキに含まれている場合、選択部113は、以下の(5)式または(6)式を用いて、未選択媒体MXのそれぞれについて評価値P(MX)を算出し、算出した評価値P(MX)を比較して、未選択媒体の中から1以上の媒体を選択する。係数αは、重み付け値(例えば、0<α<1)である。(5)式または(6)式において、係数αが1より小さい場合、第2の評価値の重み付けの度合いは、相性値の重み付けの度合いよりも小さい。
P(MX)=P(MX|MA)+P(MX|MB)+P(MX|MC)+
α(P(MA|MX)+P(MB|MX)+P(MC|MX)) …(5)
P(MX)=P(MX|MA)・P(MX|MB)・P(MX|MC)+
α(P(MA|MX)・P(MB|MX)・P(MC|MX)) …(6)
【0069】
選択部113は、上述の実施形態1および実施形態2と同様に、評価値を用いて媒体を選択し、選択した媒体をデッキに含める処理を繰り返し実行する。すなわち、実施形態3では、情報処理装置10は、未選択媒体の各々に対する、デッキに含まれた各媒体の相性値と第2の相性値の重み付けとの和または重み付けの積を用いて、デッキに含める媒体を選択する。これにより、多様なデッキを生成することができる。
【0070】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0071】
実施形態4は、デッキに含める媒体を選択する処理(図6のステップS103の処理)の内容が上述した実施形態1と異なる。実施形態4では、選択部113は、未選択媒体毎に、個別の未選択媒体に対する、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値の重み付けの和、または重み付けの積を用いて前記評価値を算出し、デッキに含まれた各媒体の相性値の重み付けの度合いは、当該媒体が前記デッキに含められた順番に応じて定められる点が、上述の実施形態1とは異なっている。
【0072】
例えば、媒体MA、MB、およびMCがデッキに含まれている場合、選択部113は、以下の(7)~(9)式のいずれかを用いて、未選択媒体MXのそれぞれについて評価値P(MX)を算出し、算出した評価値P(MX)を比較して、未選択媒体の中から1以上の媒体を選択する。係数ω(1≦i≦6)は、重み付けの度合いを示す値である。
P(MX)=ω・P(MX|MA)+ω・P(MX|MB)+ω・P(MX|MC) …(7)
P(MX)=ω・P(MX|MA)+ω・P(MX|MB)+ω・P(MX|MC)+ω・(P(MA|MX)+ω・P(MB|MX)+ω・P(MC|MX)) …(8)
P(MX)=(ω+P(MX|MA))・(ω+P(MX|MB))・(ω+P(MX|MC))・(ω+P(MA|MX))・(ω+P(MB|MX))・(ω+P(MC|MX)) …(9)
【0073】
実施形態4において、(7)式~(9)式で用いられる係数ωは、媒体がデッキに含められた順番に応じて定められている。係数ωは例えば、媒体がデッキに含められた順番が早いほど大きい値が設定される。この場合、デッキに含まれた媒体の相性値の重み付けの度合いは、媒体が前記デッキに含められた順番が早いほど大きくなる。また、他の例として、例えば、係数ωには、媒体がデッキに含められた順番が閾値以内であるか否かによって、異なる値が設定されてもよい。また、他の例として、例えば、デッキに含められた順番が閾値より後の媒体の係数ωに、他の係数ωよりも大きな値が設定されてもよい。
【0074】
選択部113は、上述の実施形態1および実施形態2と同様に、評価値を用いて媒体を選択し、選択した媒体をデッキに含める処理を繰り返し実行する。すなわち、実施形態4では、デッキに含まれた各媒体の相性値の和、積または重み付けの和を用いて算出される評価値を比較することにより、デッキに含める媒体を選択する。これにより、指定された媒体との相性度が高い媒体を含むデッキを生成することができる。
【0075】
特に、デッキに追加された順番が早い媒体ほど大きな重み付けがなされて選択処理が行われることにより、デッキの生成処理においてユーザが指定されたカードの影響を大きくすることができる。
【0076】
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0077】
実施形態5では、情報処理装置10が、ゲームサーバではなくユーザ端末である場合の動作を説明する。情報処理装置10がユーザ端末である場合、プレイヤは、ユーザ端末を用いて、集合G1に含まれた媒体の中から、1以上の媒体を指定する操作を行う。ステップS101において、取得部111は、ユーザ操作により指定された媒体を示す情報を取得する。
【0078】
ステップS102において、初期処理部112は、指定情報が指定する媒体をデッキに含める初期処理を実行する。初期処理部112が行う処理は上述の実施形態1と同様である。
【0079】
ステップS103において、選択部113は、集合G1に、デッキに含まれていない媒体(以下「未選択媒体」という)が存在する場合、相性値を用いて未選択媒体の中から1以上の媒体を選択し、選択した媒体をデッキに含める選択処理を実行する。この場合、選択部113は、媒体毎の相性値をゲームサーバ等の他の装置から取得する。選択部113は、ゲームサーバに相性値の取得要求を送信し、所得要求の応答としてゲームサーバから送信されてくる相性値を受信する。選択部113は、受信した相性値を用いて選択処理を実行する。
【0080】
ステップS104において、選択制御部114は、デッキに含まれた媒体の数が予め定められた条件を満たしたかを判定することによって、選択処理を終了するかを判定する。この処理は上述した実施形態1で示したステップS104の処理と同様である。
【0081】
ステップS105において、選択制御部114は、生成したデッキを出力する。選択制御部114は例えば、生成したデッキを表す画像をディスプレイに表示する等、デッキの情報を出力装置16に出力する。
【0082】
〔変形例〕
上述の実施形態1では、集合G1に含まれる各媒体の相性値が予め算出されている構成を説明した。相性値が算出されるタイミングは上述した実施形態で示したものに限られない。例えば、図6のステップS103の処理を実行するタイミングにおいて、選択部113が、デッキ履歴データベースD121に記憶された模範デッキ群から各媒体の相性値を算出してもよい。
【0083】
選択部113が行う選択処理は、上述した実施形態で示したものに限られない。選択部113が行う選択処理は、未選択媒体の各々に対する、デッキに含まれた各媒体の相性値を用いて媒体を選択するものであればよく、媒体を選択する手法として種々のアルゴリズムが適用され得る。また、上述の実施形態1では、選択部113は、未選択媒体毎の評価値を用いて選択処理を行ったが、選択部113は評価値を算出せずに選択処理を行ってもよい。
【0084】
上述の実施形態に係る情報処理装置10が実装する機能は、複数の装置により分担されて提供されてもよい。また、デッキ履歴データベース、および/または媒体毎の相性値は、情報処理装置10とは異なる他の装置に記憶されていてもよい。この場合、情報処理装置10は、他の装置から模範デッキ群および/または相性値を取得する処理を行う。
【0085】
〔まとめ〕
本発明の一態様に係る情報処理装置は、対戦ゲームにおいて用いるデッキを生成する情報処理装置であって、複数の媒体のうちの1以上の媒体を指定する指定情報を取得する取得部と、前記指定情報が指定する媒体をデッキに含める初期処理部と、を備え、第1の媒体に対する、第2の媒体の相性値として、前記第2の媒体が含まれた模範デッキ群に前記第1の媒体が含まれている頻度を示す値が用いられ、前記情報処理装置は、前記複数の媒体に、前記デッキに含まれていない未選択媒体が存在する場合、前記未選択媒体の各々に対する、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値を用いて、前記未選択媒体の中から1以上の媒体を選択し、選択した媒体を前記デッキに含める選択処理を実行する選択部と、前記選択部に前記選択処理を繰り返し実行させる選択制御部と、をさらに備える。
【0086】
上記構成によれば、指定された媒体と他の媒体との相性値を用いて情報処理装置がデッキに追加する媒体を選択する。更に、情報処理装置は、指定された媒体の相性値と自装置が選択した媒体の相性値とを用いて、媒体を選択する処理を繰り返し実行する。すなわち、デッキに含める媒体として選択された媒体との相性値を用いた媒体の選択が繰り返し実行される。これにより、指定された媒体との相性度が高い媒体を含むデッキを生成することができる。
【0087】
上述の情報処理装置において、前記選択制御部は、前記デッキに含まれた媒体の数が予め定められた条件を満たすまで、前記選択部に前記選択処理を繰り返し実行させてもよい。
【0088】
上記構成によれば、指定された媒体と相性度の高い媒体を予め定められた条件を満たす数だけ含むデッキを生成することができる。
【0089】
上述の情報処理装置において、前記第1の媒体に対する、前記第2の媒体の第2の相性値として、前記第1の媒体が含まれた模範デッキ群に前記第2の媒体が含まれている頻度を示す値が用いられ、前記選択部は、前記未選択媒体の各々に対する、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値および前記第2の相性値を用いて、前記未選択媒体の中から1以上の媒体を選択してもよい。
【0090】
上記構成によれば、情報処理装置は、1の媒体と他の媒体との相性の度合いを示す相性値、および当該相性値と異なる第2の相性値を用いて、デッキに含める媒体を選択する。このように2種類の異なる相性値を用いて媒体を選択することにより、2種類の相性値を用いない場合に比べて、多様なデッキを生成することができる。
【0091】
上述の情報処理装置において、前記選択部は、前記未選択媒体の各々に対する、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値と前記第2の相性値との和、積、重み付けの和、または重み付けの積を用いて、前記未選択媒体の中から1以上の媒体を選択してもよい。
【0092】
上記構成によれば、情報処理装置は、未選択媒体の各々に対する、デッキに含まれた各媒体の相性値と第2の相性値との和、積、重み付けの和、または重み付けの積を用いて、デッキに含める媒体を選択する。これにより、2種類の相性値の和、積または重み付けの和を用いて媒体を選択しない場合に比べて、多様なデッキを生成することができる。
【0093】
上述の情報処理装置において、前記選択部は、前記未選択媒体毎に、個別の未選択媒体に対する、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値を用いて評価値を算出し、前記未選択媒体毎の評価値を比較して、前記未選択媒体の中から1以上の媒体を選択してもよい。
【0094】
上記構成によれば、情報処理装置は、デッキに含まれた各媒体の相性値を用いて算出される評価値を比較することにより、デッキに含める媒体を選択する。これにより、指定された媒体との相性度が高い媒体を含むデッキを生成することができる。
【0095】
上述の情報処理装置において、前記選択部は、前記未選択媒体毎に、個別の未選択媒体に対する、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値の重み付けの和または重み付けの積を用いて前記評価値を算出し、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値の重み付けの度合いは、当該媒体が前記デッキに含められた順番に応じて定められていてもよい。
【0096】
上記構成によれば、デッキに追加された順番に応じた重み付けがなされて選択処理が行われる。これにより、デッキに追加された順番に応じた重み付けを行わない場合に比べて、デッキに追加された順番を加味した媒体の選択を行うことができる。
【0097】
上述の情報処理装置において、前記デッキに含まれた各媒体の前記相性値の重み付けの度合いは、当該媒体が前記デッキに含められた順番が早いほど大きくてもよい。
【0098】
上記構成によれば、デッキに追加された順番が早い媒体ほど大きな重み付けがなされて選択処理が行われる。これにより、デッキに追加された順番が早い媒体ほど重み付けの度合いを大きくしない場合に比べて、指定されたカードの影響を大きくすることができる。
【0099】
〔ソフトウェアまたはハードウェアによる実現例〕
上述した実施形態および各変形例では、情報処理装置10の制御部110が、ソフトウェアにより実現される例について説明した。すなわち、本発明の目的を達成するためにコンピュータによって実行されるプログラムが、図5に示したコンピュータの補助メモリ13に記憶され、プロセッサ11が当該プログラムを読み取って実行することにより、情報処理装置10の制御部110が実現される。
【0100】
なお、この場合、上記プログラムを記憶する補助メモリ13としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。
【0101】
また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。また、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0102】
なお、情報処理装置10の制御部110は、ソフトウェアによる実現に限らず、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。
【0103】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
10 情報処理装置
11 プロセッサ
12 主メモリ
13 補助メモリ
14 通信インタフェース
15 入出力インタフェース
16 出力装置
17 入力装置
110 制御部
111 取得部
112 初期処理部
113 選択部
114 選択制御部
120 記憶部
D121 デッキ履歴データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9