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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】回転搬送装置の停止位置制御装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/133 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
B65G1/133 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020174386
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2021091548
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】P 2019216131
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】595080887
【氏名又は名称】株式会社ヒートエナジーテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】巻島 義信
(72)【発明者】
【氏名】藤田 淳一
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-284341(JP,A)
【文献】特許第4781856(JP,B2)
【文献】特許第6137977(JP,B2)
【文献】特許第7069196(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/133
B65G 47/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転板上に置かれた搬送物をタクト運転で回転搬送する回転搬送装置の停止位置制御装置において、
前記回転板を駆動するモータの回転角をパルスとして検出するパルス検出部と、
前記パルス検出部により検出されたパルスの数を計数する計数部と、
前記タクト運転における回転と停止からなる各タクトサイクルに応じて、前記回転板の下方に同じ円周上に設けられ、前記回転板とともに回転する複数の被検出体と、
回転が停止した状態において、前記被検出体のうちの一つの前記被検出体を接触式または非接触式で検出する回転検出部と、
前記計数部によって計数されたパルス数に基づいて前記モータに停止信号を出力するモータ制御部と、
前記被検出体が前記回転検出部に接触状態である場合に、前記計数部からの情報に基づいて、次の1タクトサイクル始動前に、次の1タクトサイクルにおけるタクト停止位置に対応するパルス数となるまで回転移動させるための信号を前記モータに出力する回転パルス数出力部と
を備えることを特徴とする回転搬送装置の停止位置制御装置。
【請求項2】
前記回転検出部からの検出情報に基づいて警報を発する警報装置を具備することを特徴とする請求項1記載の回転搬送装置の停止位置制御装置。
【請求項3】
前記回転板の下方に、前記被検出体と異なる同心円上に設けられ、前記回転板とともに回転する第2の被検出体と、
前記第2の被検出体を接触式または非接触式で検出する第2の回転検出部と、
前記第2の回転検出部からの検出情報に基づいて、前記計数部によって計数されたパルス数をリセットするリセット制御部と
を具備することを特徴とする請求項1または2記載の回転搬送装置の停止位置制御装置。
【請求項4】
前記モータ制御部は、前記計数部によって計数されたパルス数に基づいて前記モータに減速命令を出力することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の回転搬送装置の停止位置制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転搬送装置の停止位置制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転搬送装置には、円形平面上において、ある一定角度の円周上をある一定時間間隔で、連続的に回転移動させる運転(以下、タクト運転と記す)によって搬送物を搬送する装置がある。
【0003】
なお、以下の説明では、ある一定角度の円周上をある一定時間間隔で、回転移動させて停止させるサイクルを1タクトという。また、以下の説明では、1タクト分回転移動させて停止させることを停止タクトといい、その停止させた位置をタクト停止位置といい、回転移動を開始してから停止動作を経過し、次の回転移動を開始させるまでの時間をタクトタイムという。
【0004】
従来の回転搬送装置は、例えば1回転のうち一定角度間隔で停止する停止タクトの数に対応してリミットスイッチ等のセンサを配置し、これらのセンサによってドッグ(被検出体)や搬送物等を検出することにより、停止タクトごとに停止させていた。
【0005】
また、他の回転搬送装置では、駆動モータの出力軸またはその連動軸にドッグを取り付け、このドッグをリミットスイッチ等のセンサによって検出することにより、停止タクトごとに停止させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平8-134531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記回転搬送装置は、停止タクトにおいて搬送物を位置ずれのない位置に停止させる必要があることから、停止タクトの数に対応した複数のセンサをそれぞれ正確な位置に配置しなければならない。
【0008】
しかしながら、これらのセンサは、長期間使用していると、多数回にわたりドッグと接触することから、本来の正確な位置から微小な位置ずれが生じてくる。そのため、上記回転搬送装置では、複数のセンサの取付位置を微調整する必要があり、その調整作業に手間がかかるという問題がある。
【0009】
また、駆動モータの出力軸または連動軸にドッグを取り付ける場合、その停止位置と同数のドッグを正確な位置(角度)に取り付ける必要があり、その加工精度が停止位置に影響することになる。また、場合によってはドッグを取り付けるための円盤状のプレート等が必要となり、その加工精度も要求され、また、取り付けスペースの増大化等の問題がある。
【0010】
さらに、上記各回転搬送装置は、1タクトにおけるタクト停止位置(停止角度)の設定を変更する場合、ドッグまたはセンサの取付位置を変更する必要がある。この場合、ドッグまたはセンサの取外し、取付け作業に手間がかかり、その取付位置の設定変更作業が困難であるという問題がある。
【0011】
本実施形態が解決しようとする課題は、回転搬送装置の停止位置の位置調整作業および位置設定変更作業が容易な回転搬送装置の停止位置制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本実施形態の回転搬送装置の停止位置制御装置は、回転板上に置かれた搬送物をタクト運転で回転搬送する回転搬送装置に備えられる。この回転搬送装置の停止位置制御装置は、前記回転板を駆動するモータの回転角をパルスとして検出するパルス検出部と、前記パルス検出部により検出されたパルスの数を計数する計数部と、前記タクト運転における回転と停止からなる各タクトサイクルに応じて、前記回転板の下方に同じ円周上に設けられ、前記回転板とともに回転する複数の被検出体と、回転が停止した状態において、前記被検出体のうちの一つの前記被検出体を接触式または非接触式で検出する回転検出部と、前記計数部によって計数されたパルス数に基づいて前記モータに停止信号を出力するモータ制御部と、前記被検出体が前記回転検出部に接触状態である場合に、前記計数部からの情報に基づいて、次の1タクトサイクル始動前に、次の1タクトサイクルにおけるタクト停止位置に対応するパルス数となるまで回転移動させるための信号を前記モータに出力する回転パルス数出力部とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本実施形態によれば、回転搬送装置の停止位置の位置調整作業および位置設定変更作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の回転搬送装置を適用する乾燥装置を示す概略水平断面図である。
図2図1の乾燥装置を示す概略正面図である。
図3図2の回転搬送装置の下部を示す拡大図である。
図4図2の回転搬送装置の下部を他の方向から見た拡大図である。
図5】実施形態のリミットスイッチおよびドッグの取付状態を示す説明図である。
図6】実施形態の停止位置制御装置を示すブロック図である。
図7】実施形態の停止位置制御装置の計測ルーチンを示すフローチャートである。
図8】実施形態の停止位置制御装置におけるリセット制御ルーチンを示すフローチャートである。
図9】実施形態の停止位置制御装置における停止位置制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態に係る回転搬送装置1aの停止位置制御装置30を備えた乾燥装置1について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は実施形態の回転搬送装置1aを適用する乾燥装置1を示す概略水平断面図である。図2図1の乾燥装置1を示す概略正面図である。なお、以下の実施形態は、例えば加熱炉において、加熱する搬送物として塗装後のワークを乾燥させる乾燥装置に適用した例を示している。
【0017】
図1に示すように、乾燥装置1は、熱風発生部2と、熱風供給部3と、ワーク乾燥部4と、熱風吸引部6とを備える。熱風発生部2は、バーナ2aを有し、このバーナ2aを用いて熱風を発生させる。熱風供給部3は、熱風発生部2で発生させた熱風をワーク乾燥部4に供給する。ワーク乾燥部4では、熱風供給部3から供給された熱風を搬送物としてのワーク5に吹き付けてワーク5を乾燥させる。熱風供給部3は、ワーク乾燥部4の上部においてジェット噴流用の熱風供給路3aに接続される。熱風吸引部6は、ワーク乾燥部4でワーク5を乾燥した後の熱風を吸引して熱風発生部2に戻す。
【0018】
ワーク乾燥部4は、図1および図2に示すように、例えば、上下方向に10段のワーク乾燥室10が設置されている。なお、ワーク乾燥室10は、10段に限られるものではない。これらのワーク乾燥室10は、それぞれ全体形状が横断面略円形に形成され、周壁部11を形成している。この周壁部11には、スライド扉12と、2つの点検扉13が設けられている。スライド扉12は、水平方向にスライド可能に構成されている。このスライド扉12を開いたときにワーク乾燥室10内から乾燥後のワーク5を搬出した後、ワーク乾燥室10内に乾燥前のワーク5を搬入する。ワーク5は、図示しない搬出搬入装置を用いて搬出操作および搬入操作が行われる。
【0019】
10段のワーク乾燥室10内には、それぞれ円形の回転板15が設置されている。これらの回転板15は、上下方向に一定の間隔をあけて互いに平行に固定されている。これらの回転板15は、タクト運転によってワーク5を同時に回転搬送させる。
【0020】
10段のワーク乾燥室10内は、例えば図示しないがそれぞれ時計廻り(回転)方向に1から10のゾーンに10分割して区切られている。本実施形態では、スライド扉12のワーク5の搬出搬入部を10分割された第10ゾーンと設定する。本実施形態では、ワーク乾燥室10内の1から10のゾーンに対応し、回転板15が周方向に例えば10分割に区切られており、この分割された各部にワーク5が載置される。
【0021】
熱風供給路3aは、上下10段の最上段のワーク乾燥室10上に延びた円筒状の熱風供給ダクト7に接続されている。この熱風供給ダクト7は、上下10段のワーク乾燥室10の上下方向に延びている。熱風供給ダクト7の外周側には、各ワーク乾燥室10において複数のジェットノズル16が取り付けられている。これにより、熱風供給路3aから供給された熱風は、熱風供給ダクト7を通して各ワーク乾燥室10の複数のジェットノズル16からワーク5に吹き付けられる。
【0022】
各ジェットノズル16は、ワーク乾燥室10内におけるワーク搬送方向の上流側の1番目のゾーンから5番目のゾーンにわたって設置されている。回転板15の回転に伴って回転移動したワーク5がジェットノズル16の設置ゾーンに到達すると、熱風供給ダクト7を通して複数のジェットノズル16から熱風がワーク5に吹き付けられ、ワーク5は乾燥される。
【0023】
上下10段のワーク乾燥室10には、それぞれ第8ゾーンおよび第9ゾーンに対応する回転板15の外周側の位置に熱風吹き出し部8が設置されている。これらの熱風吹き出し部8は、熱風供給路3aに接続されている。そのため、ワーク5は、ワーク乾燥室10内においてジェットノズル16の設置位置の1番目のゾーンから5番目のゾーン以外に、6番目のゾーンから10番目のゾーンまでも高温の状態が維持される。
【0024】
次に、回転板15の駆動機構について説明する。
【0025】
図3図2の回転搬送装置1aの下部を示す拡大図である。図4図2の回転搬送装置1aの下部を他の方向から見た拡大図である。図5は実施形態のリミットスイッチおよびドッグの取付状態を示す説明図である。
【0026】
図3および図4に示すように、駆動モータ17の出力軸17aには、ピンギヤ18が固定され、このピンギヤ18と噛み合うピンホイール19が10段のワーク乾燥室10の下部に設置された回転床板14に固定されている。10段のワーク乾燥室10内の全ての回転板15は、上下方向に固定されている。駆動モータ17には、減速機が取り付けられ、所定の回転速度に減速されている。これら回転床板14、回転板15、駆動モータ17、ピンギヤ18、およびピンホイール19は、本実施形態の回転搬送装置1aを構成する。本実施形態では、駆動モータ17に例えばインバータモータが用いられている。
【0027】
したがって、駆動モータ17を駆動することで、ピンギヤ18、ピンホイール19、回転床板14を介して10段のワーク乾燥室10内の全ての回転板15が同時に回転する。同様に、駆動モータ17の駆動を停止すると、ピンギヤ18、ピンホイール19、回転床板14を介して10段のワーク乾燥室10内の全ての回転板15が同時に停止する。
【0028】
回転板15の下方には、回転床板14が設けられている。回転床板14の底面側には、回転床板14とともに回転する複数の範囲逸脱検出用ドッグ22が同じ円周上に設けられている。ここで、範囲逸脱検出用ドッグ22は、被検出体として機能する。
【0029】
具体的には、回転床板14の底面側には、図5に示すように円板状に形成されたドッグ取付板21が固定されている。このドッグ取付板21の底面には、周方向に沿って等間隔で10個の範囲逸脱検出用ドッグ22が設置されている。ドッグ取付板21は、タクト運転による回転板15の回転に伴って回転板15と同一の角度の円周上を回転する。なお、範囲逸脱検出用ドッグ22は、タクト運転における回転と停止からなる各タクトサイクルに応じて、周方向に沿って等間隔に配置されている。タクトサイクルは、1タクトにおけるサイクルである。
【0030】
10個の範囲逸脱検出用ドッグ22は、停止タクト、すなわち1タクト駆動後の回転が停止した状態において、範囲逸脱検出用リミットスイッチ(以下、範囲逸脱検出用LSと記す)23と接触することで、一定角度の円周上を回転移動したことを検出する。換言すれば、回転が停止した状態において、範囲逸脱検出用ドッグ22が範囲逸脱検出用LS23と接触していることで、1タクトに対して予め設定された移動範囲を回転移動したことが検出される。
【0031】
なお、範囲逸脱検出用LS23は、回転検出部として機能する。また、回転検出部は、後述するパルス検出部として機能するロータリーエンコーダ27からのパルスを用いて接触状態を検出するものではない。
【0032】
範囲逸脱検出用LS23は、複数の範囲逸脱検出用ドッグ22のうちの1つの範囲逸脱検出用ドッグ22との接触状態を検知する。ここでは、範囲逸脱検出用LS23は、範囲逸脱検出用ドッグ22と直接接触することで接触状態を検知する。すなわち、この組み合わせの場合は、接触式の検出となる。
【0033】
この場合における接触状態とは、範囲逸脱検出用ドッグ22が範囲逸脱検出用LS23に接触している状態を意味する。範囲逸脱検出用LS23が範囲逸脱検出用ドッグ22の移動方向に幅に有する構成の場合には、接触状態は、その幅に亘って維持される。この接触状態を維持する、範囲逸脱検出用LS23の幅に亘る分を含めた範囲が1タクトにおいて予め設定された移動範囲となる。
【0034】
ここで、10個の範囲逸脱検出用ドッグ22のうちの1つが範囲逸脱検出用LS23と接触していない場合には、円周上を一定角度回転していないか、あるいは円周上を一定角度を超えて回転したことを示している。なお、一定角度とは、1タクトにおいて予め設定された移動範囲に相当する角度である。すなわち、範囲逸脱検出用LS23は、1タクトにおいて予め設定された移動範囲を逸脱して移動したか否かを検出する。
【0035】
ここで、本実施形態では、回転検出部として、接触式の範囲逸脱検出用LS23を用いているが、これに限らず、例えば、光電センサ、近接スイッチ(近接センサ)、レーザーセンサ等のセンサを用いてもよい。すなわち、回転検出部は、例えば、範囲逸脱検出用ドッグ22と範囲逸脱検出用LS23とからなるセンサのように、それぞれが接触して検知する接触センサで構成されてもよい。また、回転検出部は、例えば、被対象物を非接触で検知する、光電センサ、近接スイッチ、レーザーセンサなどの非接触センサで構成されてもよい。
【0036】
なお、非接触式の回転検出部においても、後述するパルス検出部として機能するロータリーエンコーダ27からのパルスを用いて接触状態を検出するものではない。
【0037】
回転検出部として、非接触センサである光電センサやレーザーセンサを使用した場合における接触状態とは、投光部から出射された光が被検出体である範囲逸脱検出用ドッグ22に当たり、投光部からの光の少なくとも一部が反射または遮断されている状態をいう。すなわち、この場合における接触状態とは、範囲逸脱検出用ドッグ22の少なくとも一部を検知している状態をいう。
【0038】
また、近接スイッチには、例えば、誘導形近接スイッチ、静電容量形近接スイッチ、超音波形近接スイッチなどがある。非接触センサである近接スイッチを使用した場合における接触状態とは、範囲逸脱検出用ドッグ22の少なくとも一部を検知している状態をいう。
【0039】
回転板15の下方には、回転床板14が設けられている。回転床板14の底面側には、回転床板14とともに回転する1つのリセット検出用ドッグ24が範囲逸脱検出用ドッグ22と異なる同心円上に設けられている。ここで、リセット検出用ドッグ24は、第2の被検出体として機能する。
【0040】
具体的には、ドッグ取付板21の底面には、10個の範囲逸脱検出用ドッグ22と同心円上であって、半径方向外側に1つのリセット検出用ドッグ24が設置されている。リセット検出用ドッグ24は、10個の範囲逸脱検出用ドッグ22のうちの1つの範囲逸脱検出用ドッグ22と同一の半径方向に設置されている。
【0041】
リセット検出用ドッグ24は、タクト運転により回転板15が1回転した時に、リセット用リミットスイッチ(以下、リセット用LSと記す)25と接触する。そして、リセット用LS25がリセット検出用ドッグ24との接触を検知することで、タクト運転により回転板15が1回転移動したことが検出される。リセット用LS25は、例えば、リセット検出用ドッグ24と同一円周上に設けられる。なお、リセット用LS25は、第2の回転検出部として機能する。
【0042】
ここで、本実施形態では、回転検出部として、接触式のリセット用LS25を用いているが、これに限らず、例えば、光電センサ、近接スイッチ(近接センサ)、レーザーセンサなどの非接触式のセンサを用いてもよい。なお、各センサの構成については、前述したとおりである。
【0043】
ドッグ取付板21の中心軸20には、エンコーダ伝動ギヤ26が設置されている。実際には、中心軸20には、図示しない複数の部材を介してエンコーダ伝動ギヤ26が連結されている。したがって、中心軸20を中心として回転板15が回転すると、ドッグ取付板21および図示しない複数の部材を介してエンコーダ伝動ギヤ26が回転する。このエンコーダ伝動ギヤ26は、パルス検出部としてのロータリーエンコーダ27のギヤ27aと噛み合っている。
【0044】
これにより、駆動モータ17を駆動させると、ピンギヤ18、ピンホイール19、回転板15、およびドッグ取付板21等を介してエンコーダ伝動ギヤ26が回転する。そして、エンコーダ伝動ギヤ26は、ロータリーエンコーダ27のギヤ27aと噛み合っていることから、ロータリーエンコーダ27のギヤ27aが回転し、ロータリーエンコーダ27が駆動モータ17の回転角を検出し、パルス信号として出力する。
【0045】
ここで、本実施形態では、パルス検出部としてのロータリーエンコーダ27を用いた例について説明するが、これ以外にレゾルバーを用いてもよい。
【0046】
なお、駆動モータ17を駆動する前(始動前)に、回転板15が回転方向に対して正方向または逆方向に回転移動する場合がある。この場合にもエンコーダ伝動ギヤ26は回転し、その回転角をロータリーエンコーダ27が検出する。
【0047】
図6は実施形態の停止位置制御装置30を示すブロック図である。
【0048】
図6に示すように、停止位置制御装置30は、例えば加熱炉の制御盤に設置されている。停止位置制御装置30は、上記ロータリーエンコーダ27と、タッチパネルやキーボード等の入力部31と、上記範囲逸脱検出用LS23と、上記リセット用LS25と、制御装置32と、タイマー33と、警報装置34と、を備えている。
【0049】
制御装置32は、処理プログラムが実行する処理内容として、すなわち機能的に、インバータ回路部35と、計数部36と、パルス数記憶部としての記憶部37と、判定部38と、回転パルス数出力部39と、リセット制御部40とを備えている。
【0050】
制御装置32は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成された制御装置である。このうち、上記ROMは、電源を切断しても記憶内容を保持する必要のあるデータやプログラムを記憶する。上記RAMは、データを一時的に格納する。上記CPUは、ROM等に記憶されたプログラム等に従って処理を実行する。
【0051】
ロータリーエンコーダ27は、上述したように駆動モータ17の回転角を検出し、この回転角をパルス信号として制御装置32内の計数部36に出力する。
【0052】
インバータ回路部35は、駆動モータ17に対して、判定部38からの情報に基づいて減速指令や停止命令に係る信号を出力する。なお、インバータ回路部35は、モータ制御部として機能する。本実施形態の乾燥装置1は、搬送物としてのワーク5を搬送する場合、ワーク5は、回転板15に載置した状態で搬送される。そのため、回転板15が急に始動したり停止したりすると、ワーク5は搬入した元の位置から移動することとなる。
【0053】
本実施形態では、これを防止するため、インバータ回路部35により駆動モータ17の回転速度を制御し、急な始動や停止を防止してワーク5を元の位置から移動しないようにしている。具体的には、回転板15の回転速度を徐々に上昇させ、回転速度を徐々に低下させて停止している。なお、インバータ回路部35が駆動モータ17に対して出力する減速指令に係る出力は、急な回転の停止を防止するためのものである。
【0054】
入力部31は、例えば、1タクト当たりのパルス数を設定する。すなわち、回転板15の始動から1回転するまでの各タクト停止位置の数を、1タクト当たりのパルス数で乗算することにより、回転板15の1回転のパルス数を設定する。入力部31は、入力により設定された情報を、例えば、記憶部37などに出力する。
【0055】
具体的には、本実施形態では、例えばワーク乾燥室10の回転板15が始動から1タクトずつ10タクト回転し、計1回転するまでのパルス数を設定する。その停止角度は、加算方式を用いており、1回転(1周)で360°になるようにしている。例えば、10タクト停止する場合、36°、72°、108°、146°…のような角度で停止する。その場合の1タクトのパルス数を例えば1000パルスとすると、停止角度が36°の場合は1000パルス、72°の場合は2000パルス、108°の場合は3000パルス、146°の場合は4000パルスと順次加算される。そして、計1回転(360°回転)するまでのパルス数は、10000パルスとなる。なお、1回転するまでのパルス数は、例えばピンギヤ18とピンホイール19とのギヤ比等に基づいて設定される。
【0056】
入力部31は、タイマー33にてタクトタイムを設定する。入力部31は、インバータ回路部35が駆動モータ17に対して減速指令と停止指令を出力する際のそれぞれのパルス数を記憶部37に出力する。
【0057】
計数部36は、ロータリーエンコーダ27により検出された駆動モータ17の回転角をパルスの数として計数する。また、計数部36は、例えば、始動前に、回転板15が正規の回転方向に対して、正方向に移動した回転角または逆方向に移動した回転角をパルスの数として計数する。
【0058】
計数部36は、各タクトサイクルにおけるパルス数や、回転板15が1回転するまでの積算パルス数を計数する。
【0059】
記憶部37は、入力部31により入力された1タクトずつのパルス数の設定値と、計数部36により計数された1タクトずつのパルス数の計測値と、回転板15が始動から1回転したときのパルス数の設定値と、回転板15が始動から1回転したときのパルス数の計測値を記憶する。記憶部37は、インバータ回路部35が駆動モータ17に対して減速指令と停止指令を出力する際のそれぞれのパルス数を記憶する。なお、記憶部37が記憶する情報は、これらに限られない。
【0060】
判定部38は、記憶部37に記憶された1タクトの回転移動で設定されたパルス数と、実際に1タクトの回転移動で計数されたパルス数とを比較判定する。
【0061】
判定部38は、実際の1タクトの回転移動で停止した場合、範囲逸脱検出用LS23が範囲逸脱検出用ドッグ22に接触しているか否かを判定し、接触していない場合には、回転板15が円周上を一定角度回転していないか、あるいは円周上を一定角度を超えて回転したと判定する。つまり、接触していない場合として、例えば、1タクトの回転移動でのパルス数が予め設定された1タクトのパルス数より数十パルス少ないか、あるいは数十パルス多い場合などが例示される。
【0062】
接触している場合は、予め設定された1タクト分の設定パルス数で停止しているか、あるいは1タクト分の設定パルス数より数パルス少ないか多い場合である。1タクト分の設定パルス数より数パルス少ないか多い場合には、パルス数が設定範囲内であるとする。ここで、範囲逸脱検出用LS23に対する範囲逸脱検出用ドッグ22の接触状態によっては、上記のように1タクト分の設定パルス数より数パルス少ないか多い場合が発生する。なお、例えば、停止時に回転板15が回転方向とは逆方向に、例えば、1または2パルス程度に相当する回転を生じることがある。この場合が、設定パルス数より数パルス少ない場合となる。
【0063】
ここで、停止タクトにおけるタクト停止位置におけるパルス数は、1タクトとして設定したパルス数からずれることがある。そのため、前述したように、範囲逸脱検出用ドッグ22が範囲逸脱検出用LS23に接触している範囲を設定範囲内として許容している。すなわち、回転板15の回転方向における範囲逸脱検出用LS23の周方向幅に亘る分を許容範囲とし、予め設定された1タクトの設定パルス数からのずれを許容している。予め設定された1タクトの設定パルス数からの許容ずれ範囲は、例えば、±5パルス程度である。すなわち、範囲逸脱検出用ドッグ22が範囲逸脱検出用LS23に接触している範囲において、予め設定された1タクトの設定パルス数からずれたパルス数を許容ずれ範囲とて許容する。
【0064】
また、判定部38は、計数部36で計数されたパルス数が減速指令や停止指令を出力するパルス数であるか否かの判定も行う。さらに、判定部38は、一つのタクトサイクルにおいてタクトタイムを経過したか否かの判定も行う。
【0065】
回転パルス数出力部39は、始動前に、回転板15が正規の回転方向に対して、正方向または逆方向に回転移動する場合でも、次のタクトサイクルにおいて到達すべくパルス数に係る信号を駆動モータ17に出力する。換言すると、回転パルス数出力部39は、次のタクトサイクル始動前に、次の1タクトにおけるタクト停止位置に対応するパルス数まで駆動するための信号を駆動モータ17に出力する。ここで、回転パルス数出力部39は、記憶部37に記憶された次の1タクトにおけるタクト停止位置に対応するパルス数を参照し、そのパルス数まで駆動させるための信号を駆動モータ17に出力する。
【0066】
具体的には、例えば、前述したように、1タクトのパルス数を1000パルスとした場合において、初回の1タクトにおけるタクト停止位置に対応するパルス数が998パルスであったとする。この場合、回転パルス数出力部39は、第2回の1タクト始動前に、第2回の1タクトにおけるタクト停止位置に対応するパルス数が2000パルスとなる位置まで回転移動させるための信号を駆動モータ17に出力する。
【0067】
また、例えば、1タクトのパルス数を1000パルスとした場合において、初回の1タクトにおけるタクト停止位置に対応するパルス数が1002パルスであったとする。この場合、回転パルス数出力部39は、第2回の1タクト始動前に、第2回の1タクトにおけるタクト停止位置に対応するパルス数が2000パルスとなる位置まで回転移動させるための信号を駆動モータ17に出力する。
【0068】
リセット制御部40は、リセット用LS25が回転板15の1回転を検出したとき、計数部36にリセット信号を出力することにより、計数された1回転分のパルス数をリセットする。
【0069】
タイマー33は、タクトタイムの時間を計測する。すなわち、タイマー33は、1タクトの開始からの時間を計測する。タイマー33において計測された時間は、例えば、逐一記憶部37に記憶される。
【0070】
また、各タクトサイクルにおけるタクトタイムは、例えば、入力部31において入力され、記憶部37に記憶される。タクトタイムは、例えば、図示しないロボットを用いて10段のワーク乾燥室10の各スライド扉12を開けてから乾燥後のワーク5を搬出し、上下10段のワーク乾燥室10内に乾燥前のワーク5を搬入し、各スライド扉12を閉じるまでの時間に設定されている。
【0071】
警報装置34は、例えば、加熱炉の制御盤に設置されたスピーカやディスプレイで構成される。判定部38は、範囲逸脱検出用LS23が範囲逸脱検出用ドッグ22に接触しているか否かを判定し、接触していない場合、警報装置34は、判定部38からの制御指令信号を取得する。警報装置34は、その制御指令信号により警報音や警報メッセージ等を出力して作業員等に1タクトでの回転板15の回転移動が設定範囲を著しく逸脱している旨を報知する。
【0072】
次に、本実施形態の乾燥装置1の作用について説明する。
【0073】
まず、停止位置制御装置30からの運転指令により駆動モータ17が回転を開始する。この回転駆動力は、駆動モータ17の出力軸に固定されたピンギヤ18を介してピンホイール19に伝達される。
【0074】
ピンホイール19は、10段のワーク乾燥室10の下部の回転床板14に固定されていることから、10段のワーク乾燥室10内のそれぞれの回転板15が回転する。すると、回転床板14には、ドッグ取付板21が固定されていることから、ドッグ取付板21も同様に回転する。
【0075】
ドッグ取付板21は、中心軸20や、図示しない複数の部材を介してエンコーダ伝動ギヤ26が連結されていることから、エンコーダ伝動ギヤ26が回転する。このエンコーダ伝動ギヤ26とロータリーエンコーダ27のギヤ27aとが噛み合っているので、ロータリーエンコーダ27が駆動モータ17の回転角を検出する。
【0076】
停止位置制御装置30は、検出された回転角を演算し、インバータ回路部35により予め設定された設定角度(設定パルス数)で減速を開始し、予め設定された設定角度(設定パルス数)で停止を指令する。
【0077】
次に、本実施形態の停止位置制御装置30の作用について説明する。
【0078】
図7は、実施形態の停止位置制御装置30の計測ルーチンを示すフローチャートである。図8は、実施形態の停止位置制御装置30におけるリセット制御ルーチンを示すフローチャートである。図9は、実施形態の停止位置制御装置30における停止位置制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0079】
図7に示す計測ルーチンがメインルーチンであり、図8および図9に示すルーチンがサブルーチンである。これらのルーチンは、同時に実行される。
【0080】
図7に示す計測ルーチンについて説明する。
【0081】
まず、ロータリーエンコーダ27は、駆動モータ17の回転角をパルス信号として出力し、制御装置32内の計数部36に入力する(ステップS1)。計数部36に入力したパルス信号は、計数部36でパルス数が計数される(ステップS2)。
【0082】
次いで、記憶部37は、計数部36により計数された1タクトずつのパルス数の計測値を記憶するとともに、順次加算して蓄積する。記憶部37は、回転板15の始動から10タクト分回転移動して加算して蓄積したパルス数、すなわち回転板15が1回転したときのパルス数の計測値を記憶する(ステップS3)。
【0083】
回転板15が1回転したとき、リセット用LS25にリセット検出用ドッグ24が接触することで、リセット制御部40から計数部36にリセット信号が出力される(ステップS4;Yes)。
【0084】
リセット用LS25にリセット検出用ドッグ24が接触せず、リセット制御部40から計数部36にリセット信号が出力されない場合(ステップS4;No)には、ステップS1のパルス信号入力処理に戻る。
【0085】
計数部36にリセット信号が出力された場合(ステップS4;Yes)は、ステップS5に移行する。ステップS5では、計数部36は、回転板15が1回転したときのパルス数の計測値を0に戻す。すなわち、計数部36は、10タクト分回転移動することで順次加算され、例えば10000パルスに蓄積されたパルス数を0に戻す。
【0086】
次に、図8に示すリセット制御ルーチンについて説明する。
【0087】
まず、計数部36は、ロータリーエンコーダ27により検出された駆動モータ17の回転角をパルス数として読み出す(ステップS11)。
【0088】
次に、リセット制御部40は、リセット用LS25の検出信号を読み出す(ステップS12)。
【0089】
リセット制御部40は、リセット用LS25の検出信号に基づいて、リセット用LS25がオンしたか否かを判定する(ステップS12)。
【0090】
ステップS12の判定で、リセット用LS25がオンしていないと判定した場合(ステップS12のNo)には、ステップS11に戻り、ステップS11の処理を実行する。
【0091】
ステップS12の判定で、リセット用LS25がオンしたと判定した場合(ステップS12のYes)には、リセット制御部40は、計数部36にパルス数の最新データのリセットを指令する(ステップS14)。これによって、計数部36において計数されたパルス数の計数値が0となる。
【0092】
続いて、判定部38は、記憶部37に記憶された設定回転数に係る入力情報を参照し、回転搬送終了か否かを判定する(ステップS15)。ここで、例えば、停止位置制御装置30(乾燥装置1)の駆動前に、回転させる回数は、設定回転数として入力部31において入力される。そして、その入力された情報は、記憶部37で記憶される。例えば、1回転に係る情報が入力された場合には、判定部38は、1回転後、回転搬送終了と判定する。また、例えば、2回転に係る情報が入力された場合には、判定部38は、1回転後、回転搬送終了ではないと判定し、2回転後、回転搬送終了と判定する。
【0093】
ステップS15において、回転搬送終了であると判定した場合(ステップS15のYes)には、リセット制御ルーチンを終了する。
【0094】
ステップS15において、回転搬送終了ではないと判定した場合(ステップS15のNo)には、ステップS11に戻り、ステップS11の処理を実行する。
【0095】
次に、図9に示す停止位置制御ルーチンについて説明する。
【0096】
まず、計数部36は、ロータリーエンコーダ27により検出された駆動モータ17の回転角をパルス数として読み出す(ステップS21)。
【0097】
判定部38は、記憶部37に記憶された現在のタクトサイクルにおける減速指令に係るパルス数を参照して、計数部36で読み出されたパルス数が減速開始のパルス数であるか否かを判定する(ステップS22)。
【0098】
ステップS22において、計数部36で読み出されたパルス数が減速開始のパルス数でないと判定した場合(ステップS22のNo)には、ステップS21に戻り、ステップS21の処理を実行する。
【0099】
ステップS22において、計数部36で読み出されたパルス数が減速開始のパルス数であると判定した場合(ステップS22のYes)には、判定部38は、インバータ回路部35に減速命令に係る信号を出力する(ステップS23)。インバータ回路部35は、減速命令に係る信号に基づいて、駆動モータ17に減速信号を出力する(ステップS23)。これによって、回転板15の回転速度は減速する。
【0100】
続いて、計数部36は、ロータリーエンコーダ27により検出された駆動モータ17の回転角をパルス数として読み出す(ステップS24)。
【0101】
判定部38は、記憶部37に記憶された現在のタクトサイクルにおける1タクト分の設定パルス数、すなわち停止指令に係るパルス数を参照して、計数部36で読み出されたパルス数が1タクト分の設定パルス数であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0102】
ステップS25において、計数部36で読み出されたパルス数が1タクト分の設定パルス数でないと判定した場合(ステップS25のNo)には、ステップS24に戻り、ステップS24の処理を実行する。
【0103】
ステップS25において、計数部36で読み出されたパルス数が1タクト分の設定パルス数であると判定した場合(ステップS25のYes)には、判定部38は、タクト毎に決められた回転位置(停止角度位置)で停止するように、インバータ回路部35に停止命令に係る信号を出力する(ステップS26)。インバータ回路部35は、停止命令に係る信号に基づいて、駆動モータ17に停止信号を出力する(ステップS26)。これによって、回転板15の回転は停止する。
【0104】
回転板15の回転が停止した後、判定部38は、範囲逸脱検出用LS23からの検出信号を読み出す(ステップS27)。
【0105】
判定部38は、範囲逸脱検出用LS23からの検出信号に基づいて、範囲逸脱検出用ドッグ22が範囲逸脱検出用LS23に接触しているか否かを判定する(ステップS28)。
【0106】
ステップS28の判定で、範囲逸脱検出用ドッグ22が範囲逸脱検出用LS23に接触していないと判定した場合(ステップS28のNo)には、判定部38は、警報装置34に警報を発するための信号を出力する(ステップS29)。そして、警報装置34は、警報を発するための信号に基づいて警報を発する(ステップS29)。
【0107】
なお、範囲逸脱検出用ドッグ22が範囲逸脱検出用LS23に接触していない場合、1タクトでの回転移動が設定範囲を著しく逸脱していることになる。
【0108】
続いて、判定部38は、インバータ回路部35に強制停止に係る信号を出力する(ステップS30)。インバータ回路部35は、強制停止に係る信号に基づいて、駆動モータ17に強制停止に係る信号を出力する(ステップS30)。そして、停止位置制御ルーチンは終了する。
【0109】
なお、ステップS26の停止処理によって回転板15の回転は停止しているが、ステップS30における強制停止処理によって、例えば、駆動モータ17の電源系統などが遮断され、駆動モータ17を駆動できない状態とする。そのため、停止位置制御装置30(乾燥装置1)は、駆動不可能な強制停止状態となる。また、ステップS30の処理は、ステップS29の処理と同時に実行されてもよい。
【0110】
すなわち、ステップS30の処理は、ステップS28の判定で、範囲逸脱検出用ドッグ22が範囲逸脱検出用LS23に接触していないと判定した場合(ステップS28のNo)に、ステップS29の処理とともに実行されてもよい。
【0111】
ステップS28の判定で、範囲逸脱検出用ドッグ22が範囲逸脱検出用LS23に接触していると判定した場合(ステップS28のYes)には、判定部38は、その接触状態に係る情報を回転パルス数出力部39に出力する(ステップS31)。回転パルス数出力部39は、その情報に基づいて、次のタクトサイクルの1タクトにおけるタクト停止位置に対応するパルス数まで駆動させるための信号を駆動モータ17に出力する(ステップS31)。
【0112】
すなわち、ステップS31の処理によって、次の1タクト始動前に、次の1タクトにおけるタクト停止位置に対応するパルス数となるまで回転移動させるための信号を駆動モータ17に出力する。
【0113】
なお、前述したように、例えば、今回のタクト停止位置に対応する実際のパルス数が、今回停止すべくタクト停止位置に対応する設定パルス数から数パルスずれている場合であっても、回転パルス数出力部39は、次の1タクト始動前に、次の1タクトにおけるタクト停止位置に対応するパルス数となるまで回転移動させるための信号を駆動モータ17に出力する。
【0114】
続いて、判定部38は、記憶部37に記憶された現在のタクトサイクルのタクトタイムを参照し、記憶部37に記憶されたタイマー33において計測された時間が、現在のタクトサイクルのタクトタイムを経過したか否かを判定する(ステップS32)。
【0115】
ステップS32の判定で、現在のタクトサイクルのタクトタイムを経過していないと判定した場合(ステップS32のNo)には、再度ステップS32の判定を繰り返す。
【0116】
ステップS32の判定で、現在のタクトサイクルのタクトタイムを経過したと判定した場合(ステップS32のYes)には、判定部38は、インバータ回路部35に駆動モータ17の駆動を再開するための信号を出力する(ステップS33)。これによって、回転板15は、回転し、次のタクトサイクルにおけるタクト運転が開始される。
【0117】
そして、次のタクトサイクルにおけるステップS21からの処理が実行される。
【0118】
ところで、始動前に回転板15が正規の回転方向に対して逆方向に戻る方向に回転移動する場合がある。この場合、最初の1タクトの回転移動での停止位置が予め設定された1タクトのパルス数より少ない位置で停止することになる。
【0119】
また、始動前に回転板15が正規の回転方向に対して、正方向に回転移動する場合がある。この場合、最初の1タクトの回転移動での停止位置が予め設定された1タクトのパルス数より多い位置で停止することになる。
【0120】
本実施形態では、このような始動前に、正規の回転方向に対して、逆方向または正方向の回転移動が生じた場合であっても、回転パルス数出力部39は、次の1タクト始動前に、次の1タクトにおけるタクト停止位置に対応するパルス数となるまで回転移動させるための信号を駆動モータ17に出力している。そのため、例えば、最初の1タクトで設定パルス数に対して数パルスのずれを有して停止したとしても、次のタクトサイクルにおいてそのずれを修正することができる。
【0121】
これによって、複数のタクトサイクルを繰り返す運転状況においても、各タクトサイクルで生じたタクト停止位置におけるパルス数のずれは、蓄積されない。
【0122】
なお、本実施形態では、ロータリーエンコーダ27の故障の検出も行っている。具体的には、駆動モータ17の停止(出力なしおよび運転中信号なし)時に、ある一定時間ごとに監視し、ロータリーエンコーダ27からパルス信号が出力されている場合は、駆動モータ17が停止しているにも関わらず、ロータリーエンコーダ27が作動していることになる。これを検知することで、ロータリーエンコーダ27の故障を判断することができる。
【0123】
その一方で、駆動モータ17の運転(出力ありおよび運転中信号あり)時に、ある一定時間ごとに監視し、ロータリーエンコーダ27からパルス信号が出力されない場合は、駆動モータ17が駆動しているにも関わらず、ロータリーエンコーダ27が作動していないことになる。これを検知することで、ロータリーエンコーダ27の故障を判断することができる。これらの場合には、回転搬送装置1a全体の駆動を停止し、警報装置34から警報を発する。
【0124】
このように本実施形態によれば、リセット用LS25が回転搬送装置1aの1回転を検出したときに計数部36により計数されたパルス数をリセット制御部40がリセットする制御を行う。これによって、次の1回転の開始時には、計数されたパルス数を0とすることができ、次の1回転において設定された正規の停止位置に停止させることができる。そのため、各タクトサイクルにおいて回転板15の停止位置の位置ずれを防止することが可能になる。
【0125】
また、回転板15の停止位置の位置ずれを防止することが可能であることから、回転板15とともに回転する停止位置を検出するセンサの取付位置を微調整する必要がなくなり、センサの位置調整作業を容易に行うことができる。
【0126】
そして、本実施形態によれば、1タクトでのタクト停止位置の設定を変更する場合でも、回転停止角度をパルス数に基づいて設定することができるため、停止位置の設定作業が極めて容易になる。
【0127】
また、本実施形態では、複数の範囲逸脱検出用ドッグ22を備える場合においても、一つの範囲逸脱検出用LS23で構成することができる。これによって、センサの設置作業を容易にするとともに、製造コストも削減することができる。
【0128】
さらに、本実施形態では、判定部38からの信号に基づいて、インバータ回路部35が駆動モータ17に対して、所定のパルス数において減速指令と停止指令を出力することにより、ワーク5を正規の位置に維持することができる。
【0129】
ここで、従来では、停止前の減速開始を減速用センサでドッグ等を検出して、減速指令をインバータ回路部に出力する必要があった。しかし、本実施形態では、減速指令をロータリーエンコーダ27から出力されるパルス信号を用いるため、減速用センサが不要になる。
【0130】
本実施形態では、タクト運転での回転搬送装置1aの停止位置が予め設定した設定範囲を超えた場合に警報装置34が警報を発するため、作業員等にとって停止位置が設定範囲を超えたことを容易に認識することができる。
【0131】
なお、上記実施形態では、回転搬送装置1aの停止位置制御装置30を備えた乾燥装置1について説明したが、この乾燥装置1に限らず、本実施の形態の停止位置制御装置30は、冷却装置、洗浄装置等、回転平面上においてタクト運転で回転搬送する回転搬送装置を備えるものであれば適用可能である。
【0132】
また、上記実施形態では、1回転のうちの停止タクトの数を10に設定した例について説明したが、これに限られない。停止タクトの数は、例えば、1以上で、360°が割り切れる数に設定すればよい。
【0133】
また、上記実施形態では、無接点のロジックシーケンスを用いた場合について説明したが、これに限らず有接点のリレーシーケンス等を用いた場合でも同様の効果が得られる。
【0134】
さらに、上述した制御装置の他、当該制御装置を構成要素とするシステム、当該制御装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の記録媒体、制御を行う方法など、種々の形態で本実施形態を実現することもできる。
【0135】
また、制御装置が実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
【0136】
さらに、上記実施形態では、駆動モータ17としてインバータモータを用い、インバータ回路部35と組み合わせた例について説明したが、これに限定することなく、例えばサーボモータとサーボアンプを組み合わせたものを用いてもよい。
【0137】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0138】
1…乾燥装置、1a…回転搬送装置、2…熱風発生部、2a…バーナ、3…熱風供給部、3a…熱風供給路、4…ワーク乾燥部、5…ワーク(搬送物)、6…熱風吸引部、7…熱風供給ダクト、8…熱風吹き出し部、10…ワーク乾燥室、11…側壁部、12…スライド扉、13…点検扉、15…回転板、16…ジェットノズル、17…駆動モータ、18…ピンギヤ、19…ピンホイール、20…中心軸、21…ドッグ取付板、22…範囲逸脱検出用ドッグ、23…範囲逸脱検出用LS(回転検出部)、24…リセット検出用ドッグ、25…リセット用LS(回転検出部)、26…エンコーダ伝動ギヤ、27…ロータリーエンコーダ(パルス検出部)、27a…ギヤ、30…停止位置制御装置、31…入力部、32…制御装置、33…タイマー、34…警報装置、35…インバータ回路部、36…計数部、37…記憶部(パルス数記憶部)、38…判定部、39…回転パルス数出力部、40…リセット制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9