(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】電気手術器具
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20220623BHJP
A61B 18/18 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B18/18 100
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020202872
(22)【出願日】2020-12-07
(62)【分割の表示】P 2018518605の分割
【原出願日】2016-10-18
【審査請求日】2020-12-16
(32)【優先日】2015-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】モリス,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】バーン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ,デイビッド
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-511190(JP,A)
【文献】特開2005-131173(JP,A)
【文献】特表2015-521873(JP,A)
【文献】特表2012-533379(JP,A)
【文献】特表2010-512214(JP,A)
【文献】特開2004-016309(JP,A)
【文献】特開平03-032661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを生物組織に付与するための電気手術器具であって、前記器具が、
高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを生物組織に付与するための器具先端を備えた遠位部分であって、前記器具先端が第1の導電性要素と第2の導電性要素とを備えた、前記遠位部分と、
内部導電体と前記内部導電体と同軸上の管状外部導電体と前記内部及び外部導電体を分離する誘電材料とを備えた同軸供給ケーブルであって、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを前記遠位部分に伝送するための前記同軸供給ケーブルと、を備え、
前記内部導電体が前記第1の導電性要素に電気的に接続され、前記外部導電体が、前記遠位部分の中心軸周りの、前記同軸供給ケーブルに対する前記遠位部分の回転を可能とする前記遠位部分と前記同軸供給ケーブルとの間の回転可能な接続を通して前記第2の導電性要素に電気的に接続され、
前記器具が、前記遠位部分を前記同軸供給ケーブルに対して回転させるための駆動要素を備え、
前記駆動要素は、前記器具に沿って軸方向に動かされるように構成され、
前記遠位部分は、前記駆動要素が軸方向に動かされるときにこれに沿って前記駆動要素の部分が移動する前記器具先端
上の経路を備え、それにより前記遠位部分を回転させる、電気手術器具。
【請求項2】
前記器具
が管状ハウジングを備え、前記駆動要素が前記管状ハウジング
の全長において延在する、請求項1に記載の電気手術器具。
【請求項3】
前記経路が、隆起した経路、通路または溝である、請求項1に記載の電気手術器具。
【請求項4】
前記経路が、前記遠位部分の中心軸周りの螺旋状経路または渦巻状経路である、請求項3に記載の電気手術器具。
【請求項5】
前記経路は、前記駆動要素が軸方向に動かされるときに前記駆動要素の部分との摺動接触を形成する前記遠位部分のカム表面であり、それにより前記遠位部分を回転させる、請求項3に記載の電気手術器具。
【請求項6】
前記カム表面が隆起部の縁表面であり、または前記遠位部分の中心軸から外方に延びる壁である、請求項5に記載の電気手術器具。
【請求項7】
前記器具は、前記駆動要素が軸方向に動かされるときに前記カム表面が前記駆動要素の遠位端と摺動接触を形成するように構成され、それにより前記遠位部分を回転させる、請求項5または請求項6に記載の電気手術器具。
【請求項8】
前記駆動要素は、前記駆動要素の遠位端が前記経路の遠位端を通過し、前記器具先端の遠位端から突出するように前記軸方向に可動である、請求項3から7のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項9】
前記駆動要素の前記遠位端が前記経路の前記遠位端を通過するときに、前記駆動要素が前記器具先端の側部表面に隣接し、及び/または底部表面に隣接して配置される、請求項8に記載の電気手術器具。
【請求項10】
前記駆動要素は、前記駆動要素が第1の軸方向に動かされるときに前記同軸供給ケーブルに対して前記遠位部分を第1の方向に回転させるためものであり、前記駆動要素は、前記駆動要素が対向する第2の軸方向に動かされるときに前記同軸供給ケーブルに対して前記遠位部分を対向する第2の方向に回転させるためのものである、請求項1または請求項2に記載の電気手術器具。
【請求項11】
高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを生物組織に付与するための電気手術器具であって、前記器具が、
高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを生物組織に付与するための器具先端を備えた遠位部分であって、前記器具先端が第1の導電性要素と第2の導電性要素とを備えた、前記遠位部分と、
内部導電体と前記内部導電体と同軸上の管状外部導電体と前記内部及び外部導電体を分離する誘電材料とを備えた同軸供給ケーブルであって、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを前記遠位部分に伝送するための前記同軸供給ケーブルと、を備え、
前記内部導電体が前記第1の導電性要素に電気的に接続され、前記外部導電体が、前記遠位部分の中心軸周りの、前記同軸供給ケーブルに対する前記遠位部分の回転を可能とする前記遠位部分と前記同軸供給ケーブルとの間の回転可能な接続を通して前記第2の導電性要素に電気的に接続され、
前記器具が、前記遠位部分を前記同軸供給ケーブルに対して回転させるための駆動要素を備え、
前記駆動要素は、前記器具に沿って軸方向に動かされるように構成され、前記駆動要素は、前記駆動要素が第1の軸方向に動かされるときに前記同軸供給ケーブルに対して前記遠位部分を第1の方向に回転させるためのものであり、前記駆動要素は、前記駆動要素が対向する第2の軸方向に動かされるときに前記同軸供給ケーブルに対して前記遠位部分を対向する第2の方向に回転させるためのものであり、
前記駆動要素が螺旋状経路を画定する螺旋形状部を備え、前記遠位部分は、前記駆動要素
が追従部に対して軸方向に動かされるときに前記遠位部分を前記螺旋状経路に回転可能に追従させるための追従部を備えた、電気手術器具。
【請求項12】
前記追従部は、前記駆動要素の前記螺旋形状部が摺動可能に受容される通し通路を有したリングを備える、請求項11に記載の電気手術器具。
【請求項13】
前記追従部が、前記遠位部分に固定された管状スリーブ部分の部分である、請求項11または請求項12に記載の電気手術器具。
【請求項14】
前記駆動要素がロッド、ワイヤー、ケーブル、中空管または針を備えた、請求項1から13のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項15】
前記駆動要素が生物組織に流体を運ぶための針を備えた、請求項1から14のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項16】
前記器具が前記針を収容するための管状針ハウジングを備えた、請求項15に記載の電気手術器具。
【請求項17】
前記器具は、案内溝であってこれを通して前記駆動要素が送られる前記案内溝を有した案内部分を備える、請求項1から12のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項18】
前記器具が管状ハウジングを備え、前記案内部分が前記管状ハウジングに固定された、請求項17に記載の電気手術器具。
【請求項19】
前記器具先端が、その第1の表面における前記第1の導電性要素をその第2の表面における前記第2の導電性要素から分離する誘電材料で形成された平面状本体を備え、前記第2の表面が前記第1の表面に対して対向する方向に面する、請求項1から18のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項20】
前記遠位部分が、前記平面状本体の下側を覆うために取り付けられた保護外殻をさらに備え、
前記保護外殻が、前記平面状本体から外方に面する滑らかに外形化された凸状下部表面を有し、
前記平面状本体がテーパ状遠位縁を有し、
前記平面状本体の前記下側が前記テーパ状遠位縁において前記保護外殻を超えて延びる、請求項19に記載の電気手術器具。
【請求項21】
前記器具先端の長さが実質的にλ/2に等しく、ここにおいて、λは、前記器具先端において所定の周波数を有するマイクロ波周波数エネルギーの波長である、請求項1から20のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項22】
前記器具先端の特性インピーダンスが前記同軸供給ケーブルの特性インピーダンスと実質的に等しく、
前記遠位部分が、前記同軸供給ケーブルの前記特性インピーダンスをマイクロ波周波数エネルギーの所定の周波数で前記器具先端と接触した組織負荷
のインピーダンスに整合するためのインピーダンス整合区分を備え、前記インピーダンス整合区分が、
前記器具先端の近位端に接続された同軸伝達線の長さと、
短絡スタブと、を備えた、請求項1から20のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを生物組織に付与するための電気手術器具に関する。特に、本発明は、器具の器具先端が器具の同軸供給ケーブルに対して回転可能であるような電気手術器具に関する。実施において、本発明は、内視鏡、胃カメラ、ニューロスコープ、腹腔鏡等のような外科検査装置の器具通路を通過されて良い。内視鏡の遠位端における器具先端の回転は、内視鏡の近位端で制御されて良い。
【背景技術】
【0002】
電気手術器具は、生物組織を切除し、または血を凝固させるような目的のために高周波及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを生物組織に伝えるのに用いられる器具である。高周波及び/またはマイクロ波周波数エネルギーは、同軸ケーブル、導波管、マイクロストリップ線のような伝達線を用いて電気手術器具に供給される。
【0003】
外科検査装置の器具通路に沿ってマイクロ波エネルギーをその通路の遠位端における電気手術器具に伝送するために同軸ケーブルを使用することが知られている。そのような同軸供給ケーブルは、通常、中実または可撓性の円筒状内部導電体と、内部導電体周りの誘電材料の管状層と、誘電材料周りの管状外部導電体とを備える。誘電及び/または外部導電体は、多層構造であり得る。
【0004】
電気的接続は、同軸供給ケーブルの内部及び外部導電体と器具先端(本明細書においてエンドエフェクタとも称される)の対応する導電体要素との間に、一本のワイヤーまたは金属箔のような導電体を内部/外部導電体及び対応する導電体要素にはんだ付けすることによって概して形成される。高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーは、このように生物組織への伝達のため同軸供給ケーブルから器具先端へと通信され得る。
【0005】
電気手術器具は、たとえば、胃腸(GI)管における組織の小さな部分を切除または除去するために内視鏡と共に用いられてきた。本文脈において、電気手術器具は、器具先端がGI管との接触へと運ばれ得る内視鏡の遠位端から突出するように内視鏡の器具通路を通過される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、ある電気手術的手続きにおいて、器具先端、たとえば外科検査装置の器具通路を通過された電気手術器具の器具先端を回転させると好適であることに気づいた。概して、そのような電気手術器具は、器具通路の長さに沿って配置されてその遠位端において器具先端で終端する可撓性シャフトを有する。可撓性シャフトは、RF及び/またはマイクロ波エネルギーを伝送するための同軸ケーブルのような機器の構成要素、送り、または器具先端で冷却するための流体、器具先端の可動な部分を駆動するための制御ライン等を運ぶための内腔を画定するスリーブであり得る。
【0007】
ある場合において、器具先端の回転は、電気手術器具全体のその中心軸周りの回転によって実現され得る。しかしながら、特に可撓性シャフトまたは他の構成要素が機器の近位端で固定される場合、電気手術器具全体を回転させるときに器具先端の配向を制御するのは困難となり得る。たとえば、同軸ケーブルの回転は、電気手術的生成器へのその接続によって制限され得る。
【0008】
実施において、器具通路の内部表面とシャフト間の摩擦は、シャフトの回転に抵抗し、これは、シャフトをその軸に沿ってねじらせ得る。したがって、トルクの形成のため1:1の回転を実現するのは不可能となり得る。シャフトによって生じる抵抗は、特に許容差がきつい場合に機器の長さで増加し得る。たとえば、2.6mmの外径を有するシャフトを運ぶ2.8mmの径の器具通路を備えた1.8mの長さの結腸鏡。この効果はシャフトが不規則な断面形状を備える複数の構成要素を運ぶ場合により明白となり得る。
【0009】
本発明者は器具の器具先端(またはエンドエフェクタ)の回転配向が可撓性シャフトの回転配向とは独立して制御され得る電気手術器具において必要があることに気づいた。
【0010】
本発明者は、同軸供給ケーブルと器具の器具先端(またはエンドエフェクタ)との間に回転可能な接続のある電気手術器具であって、同軸供給ケーブルに対する器具先端を回転させるための手段を提供することによって回転可能な接続が同軸供給ケーブルに対する器具先端の回転を可能とする一方でマイクロ波及びRFエネルギー伝達を可能とするように必要な電気的接続を維持する、電気手術器具を提供することによってこれが実現され得ることに気づいた。同軸供給ケーブルが、たとえば可撓性スリーブ内に固定されて含まれて良い。回転させるための手段は、たとえば可撓性スリーブの軸周りに、相対的に器具先端を回転させるために機能し得る。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを生物組織に付与するために提供された電気手術器具があり、器具が、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを生物組織に付与するための器具先端を備えた遠位部分であって、器具先端が第1の導電性要素と第2の導電性要素とを備える遠位部分と、内部導電体と内部導電体と同軸上の管状外部導電体と内部及び外部導電体を分離する誘電材料とを備える同軸供給ケーブルであって、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを遠位部分に伝送するための同軸供給ケーブルと、を備え、内部導電体が第1の導電性要素に電気的に接続され、外部導電体が、同軸供給ケーブルに対する遠位部分の回転を可能とする遠位部分と同軸供給ケーブルとの間の回転可能な接続を通して第2の導電性要素に電気的に接続され、器具が同軸供給ケーブルに対して遠位部分を第1の回転方向に回転させるための駆動器を備える。
【0012】
本発明に係る第1の態様による電気手術器具により、器具先端の回転配向は、(器具先端を備える)遠位部分を同軸供給ケーブルに対して回転させるために駆動器を用いることによって制御され得る。従って、器具先端の回転配向は正確且つ容易に制御され得るものであり、これは電気手術的手続の多くの形式において有利である。
【0013】
器具先端はRF及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを運ぶための任意の適した構成を有して良い。実施形態において器具先端は、RF及び/またはマイクロ波エネルギーを生物組織内へと伝えるために第1の導電性要素及び第2の導電性要素が配置される、平らなへらまたは刃のような固定された形状を有して良い。別の実施形態において、器具先端は、調整可能な形状を有するエンドエフェクタを備えて良い。たとえば、エンドエフェクタは、任意の1つのフォーセップ(すなわち開閉可能な一対の対向する顎部)、ハサミ、格納可能なスネア等であって良い。
【0014】
回転可能な接続は、同軸供給ケーブルに対する遠位部分の回転を可能とする一方で内部導電体と第1の導電性要素との間、及び外部導電体と第2の導電性要素との間の電気的接続を維持する同軸供給ケーブルと遠位部分との間の任意の接続を意味して良い。
【0015】
遠位部分の回転は、遠位部分の中心軸周りの遠位部分の回転を意味する。
同軸供給ケーブルに対する遠位部分の回転は、同軸供給ケーブルを回転させず、またはねじらせないで、すなわち同軸供給ケーブルが静止したまま、遠位部分が回転し得ることを意味する。
【0016】
回転方向は、時計回りまたは反時計回り(逆時計回り)のいずれかを意味して良い。
2つの部分の間の電気的接続は、電気的信号が部分の1つから他の部分へと通信され得ることを意味する。それは2つの部分が直接的に接続されることを意味して良い。あるいは、2つの部分が間接的に接続され、これにより電気的信号が第3の部分を介して2つの部分の間で通信されることを意味して良い。
【0017】
内部導電体は中実であって良い。中実という語は、内部導電体がたとえば単一のワイヤーといった一様な単一部品であることを意味して良い。あるいは、中実という語は、内部導電体が、たとえば編組のような、内部導電体を形成するように共に構成されまたは詰め込まれた複数のワイヤーまたはファイバーから形成されることを意味して良い。
【0018】
あるいは、内部導電体は、たとえば機器の他の構成要素(たとえば制御線)を運ぶための、または流体を運ぶための中央空洞部または通路を有して良い。
【0019】
本願において、遠位という語は、電気手術器具の対向する端部よりも、電気手術器具の器具先端の近くを意味するために用いられ、ここで高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーが電気手術器具内へと入力される。同様に、近位という語は、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーが電気手術器具内へと入力される、電気手術器具の器具先端よりも、電気手術器具の端部の近くを意味するために用いられる。このように、器具先端は電気手術器具の遠位端にあり、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーは、たとえば電気手術器具の対向する近位端において、電気手術的生成器によって電気手術器具内へと入力される。
【0020】
電気手術器具は、手術の間用いられて、高周波またはマイクロ波周波数エネルギーを利用する任意の器具または道具であって良い。本明細書において、高周波(RF)は、10kHzから300MHzの範囲内の安定固定された周波数を意味して良く、マイクロ波エネルギーは300MHzから100GHzの範囲内の安定固定された周波数を有する電磁エネルギーを意味して良い。RFエネルギーは、エネルギーが神経を刺激するのを防ぐために十分に高く、エネルギーが組織を白化させ、または不必要な熱の差を生じさせ、または組織構造への損傷を与えるのを防ぐために十分に低い周波数を有するべきである。RFエネルギーのための好適なスポット周波数は、100kHz、250kHz、400kHz、500kHz、1MHz、5MHzの任意の1つまたは複数を含む。マイクロ波エネルギーのための好適なスポット周波数は、915MHz、2.45GHz、5.8GHz、14.5GHz、24GHzの1つまたは複数を含む。
【0021】
電気手術器具は、たとえば組織または血を切除、除去または凝固するためのものであって良い。
【0022】
本発明に係る第1の態様による電気手術器具は、任意の1つの、または互換性がある限り、以下の選択的特徴の任意の組み合わせを有して良い。
【0023】
電気手術器具は、内視鏡の器具通路を通過するように構成されて良い。たとえば、同軸供給ケーブルの幅は、内視鏡の器具通路の内径より小さくて良い。器具先端の幅は、内視鏡が人の胃腸(GI)管内の位置にあるときに器具通路を通して電気手術器具が近位端からその遠位端へと通過され得るように、器具通路の内径より小さくても良い。同軸供給ケーブルは、こうして3.8mmより小さい、好適には2.8mmより小さい径を有して良
い。
【0024】
電気手術器具が内視鏡の器具通路を通過するように構成される場合、駆動器は、好適には、内視鏡の操作者が内視鏡の遠位端における器具先端の回転を制御できるように、器具通路の近位端の近位の位置からの器具先端の回転の制御を可能とする。駆動器は、このように同軸供給ケーブルの近位端における制御部を含み得る。
【0025】
同軸供給ケーブルは好適には可撓性同軸供給ケーブルであり、これにより同軸供給ケーブルは、たとえば内視鏡の器具通路内において人のGI管内で通過され得る。上述のように、同軸供給ケーブルは、可撓性スリーブ内で提供されて良い。可撓性スリーブは同軸供給ケーブルのための保護外部表面を形成して良い。外部導電体、誘電材料及び内部導電体は、可撓性スリーブ(たとえば、内側の層として)において形成されて良い。この場合、内部導電体は、器具の他の構成要素のための内腔を形成するために好適には空洞である。内部保護層は、中空内部導電体の内部表面において形成されて良い。あるいは、可撓性スリーブは、内部で別の同軸ケーブル(たとえば、Sucoform(登録商標)ケーブル)が運ばれる内腔をそれ自体が画定して良い。たとえば制御線等といった器具の他の構成要素が別の同軸ケーブルと共に並行して通されて良い。可撓性スリーブがそれぞれの構成要素を運ぶための複数の内腔を画定して良い。
【0026】
遠位部分が回転に抵抗する付勢構成要素を含んで良い。このように、同軸供給ケーブルに対して第1の回転方向に遠位部分が回転されるとき、付勢構成要素は、対向する第2の回転方向に遠位部分を回転付勢するように機能する。遠位部分の解放により、したがって回転付勢により最初の回転配向へと戻されて良い。これは、器具の操作を容易とし、器具先端の回転配向が制御され得る正確性も向上させ得る。
【0027】
遠位部分は、同軸供給ケーブルに対して遠位部分が所定の回転位置から第1の回転方向に回転されるときに所定の回転位置へと回転付勢されて良い。
【0028】
所定の回転位置は、たとえば最初の回転位置または配向といった所定の回転配向を意味して良い。
【0029】
遠位部分の回転付勢は、時計回りまたは反時計回り(逆時計回り)方向のいずれかに遠位部分の中心軸周りで回転するように遠位部分が付勢されることを意味する。言い換えれば、遠位部分を回転させるように作用するトルクが遠位部分に付与される。
【0030】
付勢構成要素(本明細書において付勢要素とも称される)は、回転付勢を提供する器具の部品または部分であって良い。付勢要素は圧縮により、または張力により、または捩じりにより、または遠位部分の第1の回転方向の回転による他の変形で作られて良く、このように遠位部分をその最初の位置へと戻すように機能する復元力を提供して良い。付勢要素は回復力がある、または弾性の材料で形成されて良い。
【0031】
付勢要素は、遠位部分が所定の回転位置から第1の回転方向に回転されるときに遠位部分を所定の回転位置へと回転付勢して良い。
【0032】
付勢要素はばねまたは弾性スリーブであって良い。このように、ばねまたは弾性スリーブは、圧縮により、または張力により、または捩じりにより、または遠位部分の第1の回転方向の回転による他の変形で配置されて良い。
【0033】
弾性スリーブは、シリコーンのような回復力があるまたは弾性の材料で形成されたスリーブ、シースまたは管であり得る。弾性スリーブは、遠位部分が所定の回転位置から回転
されるときにそれが捩じりの影響を受けるように遠位部分周りに配置されて良い。
【0034】
ばねは、圧縮ばね、または張力ばね、または捩じりばねであり得る。螺旋状捩じりばねは、その最初の回転配向へと遠位部分を戻すために付勢力を提供するために遠位部分が回転されるときにエネルギーの保存に特に適し得る。螺旋状捩じりばねは、遠位部分が最初の位置から回転されるときに螺旋状捩じりばねが捩じりの影響を受けるように遠位部分周りに配置されて良い。
【0035】
付勢要素は、したがって遠位部分が最初の回転配向から第1の回転方向に回転されるときに遠位部分を最初の回転配向へと戻すために機能する伸縮ばねとなるように考慮され得る。
【0036】
器具は、遠位部分が停止要素に接触するときに対向する第2の回転方向への遠位部分の回転を防ぐように構成された停止要素をさらに備えて良い。こうして、停止要素は、回転付勢が遠位部分を特定の回転位置、たとえば遠位部分の最初の開始回転配向を通過して第2の回転方向へと回転させるのを防ぐことができる。
【0037】
これに向かって遠位部分が付勢される所定の回転位置は、遠位部分の最初の開始回転位置と同じであって良い。こうして、停止要素は、遠位部分が所定の回転位置にあるときに遠位部分を接触させるように構成され得る。
【0038】
あるいは、いくつかの実施形態において、それが最初の開始回転位置にあるときに力が遠位部分をこの位置から回転させるために要求されるように付勢力を生じさせると遠位部分に好適となり得る。この場合において、停止要素は、最初の開始回転位置において遠位部分に接触するように構成されて良く、これは、これに向かって遠位部分が付勢される所定の回転位置とは異なる回転位置であって良い。
【0039】
器具は、同軸供給ケーブルが受容される管状ハウジングをさらに備えて良く、遠位部分は、管状ハウジングの遠位端で回転可能に取り付けられて良い。こうして、遠位部分は、同軸供給ケーブル及び管状ハウジングの両方に対して回転する。回転可能に取り付けられたとは、遠位部分の部分が管状ハウジングの遠位端に受容されること、及び遠位部分が管状ハウジングに対して回転可能であることを意味して良い。管状ハウジングは、上述の可撓性スリーブの、または可撓性スリーブに取り付けられた部分であって良い。管状ハウジング内への流体の浸入を防ぐために、シールが管状ハウジングの遠位端に隣接して形成されて良い。
【0040】
器具は、遠位部分が管状ハウジングの端部から軸方向に動くのを防ぐように構成された軸方向停止部を備えて良い。たとえば、遠位部分は、管状ハウジングの遠位端において固定されたリング内に回転可能に受容されて良く、遠位部分が軸方向に管状ハウジングの遠位端へと動かされるときに、遠位部分が管状ハウジングから取り除かれるのを防ぐようにリングの縁に接触する突出部が遠位部分に提供されて良い。
【0041】
付勢要素は、遠位部分及び管状ハウジングに接続されて良い。このように、付勢要素は、遠位部分が同軸供給ケーブルに対して管状ハウジング内で回転されるときに(たとえば、圧縮、張力または捩じりにより形成されて)変形されて良い。たとえば、付勢要素は、その第1の端部において遠位部分に、その第2の端部において管状ハウジングに接続されて良い。
【0042】
停止要素は管状ハウジングに接続されて良い。従って遠位部分は、遠位部分が停止要素に接触するときに管状ハウジングに対して第2の方向に回転するのを防がれる。
【0043】
遠位部分は、(中実または中空であって良い)第2の内部導電体と第2の内部導電体と同軸の第2の管状外部導電体と第2の内部及び外部導電体を分離する第2の誘電材料とを備える第2の同軸供給ケーブルを備えて良く、第2の同軸供給ケーブルは高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを器具先端に伝送するためのものである。
【0044】
第2の内部導電体は器具先端の第1の導電性要素に電気的に接続されて良く、第2の外部導電体は器具先端の第2の導電性要素に電気的に接続されて良い。この電気的接続は、導電性ワイヤーまたは導電性金属箔及びはんだのような導電性接着部のような導電体を通して実現されて良い。このように、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーは組織への伝達のため、第2の同軸供給ケーブルから器具先端へと伝送され得る。
【0045】
第2の同軸供給ケーブルは、回転可能な接続によって同軸供給ケーブルに接続されて良い。このように器具先端は、第2の同軸供給ケーブルを同軸供給ケーブルに対して回転させることによって同軸供給ケーブルに対して回転可能であって良い。第2の内部導電体は、内部導電体に電気的に接続されて良く、第2の外部導電体は、回転可能な接続を通して外部導電体に電気的に接続されて良い。このように、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーは、第2の同軸供給ケーブルを介して同軸供給ケーブルから器具先端に伝送され得る。
【0046】
第2の内部導電体の近位端は第2の同軸供給ケーブルの近位端から突出して良く、内部導電体の遠位端は同軸供給ケーブルの遠位端から突出して良く、回転可能な接続は、第2の内部導電体の突出する近位端と内部導電体の突出する遠位端とに接触してこれらの間に回転可能な電気的接続を形成する第1の導電性部分と、第2の外部導電体の近位端と外部導電体の遠位端と接触してこれらの間に回転可能な電気的接続を形成する第2の導電性部分と、を備えてよい。
【0047】
このように、第2の同軸供給ケーブルは、回転の間の電気的接続を維持しつつ第1の同軸供給ケーブルに対して回転可能である。
【0048】
第2の内部導電体及び第2の外部導電体は導電性部分に対して回転可能であって良く、及び/または内部導電体及び外部導電体は導電性部分に対して回転可能であって良い。
【0049】
回転可能な電気的接続を維持するように、第2の内部導電体及び第2の外部導電体は導電性部分に対して軸方向に動くのを防がれて良く、及び/または内部導電体及び外部導電体は導電性部分に対して軸方向に動くのを防がれて良い。
【0050】
第1の導電性部分及び/または第2の導電性部分は導電性スリーブであって良い。言い換えれば、第1の導電性部分及び/または第2の導電性部分はたとえば金属で形成された導電性シースまたは管であって良い。導電性スリーブは、内部/外部導電体の端部を包囲し、電気的接続を形成するために内部/外部導電体の端部に接触して良い。
【0051】
導電性スリーブ(複数可)は締まりばめスリーブ(複数可)であって良い。これはスリーブ(複数可)に対する内部/外部導電体の軸方向運動を防いで良い。
【0052】
第2の内部導電体の突出する近位端の径は、第2の内部導電体の主要部分と異なって良く、内部導電体の突出する遠位端の径は内部導電体の主要部分と異なって良い。突出する部分の径は、同軸ケーブルまたは第2の同軸ケーブルと回転結合部との間のインピーダンス不整合を低減するように選択されて良い。周りの誘電性により、突出する部分はそれらの各主要部分より幅広く、またはより狭くて良い。たとえば、同軸ケーブル及び/または
第2の同軸ケーブルは、50Ωの特性インピーダンスを有して良く、内部導電体の突出する遠位端及び/または第2の内部導電体の突出する近位端の厚さは、回転結合部のインピーダンスも実質的に50Ωであるように増加され、または低減されて良い。
【0053】
第2の内部導電体の突出する近位端の径は、内部導電体の突出する遠位端の径と同じであって良く、第2の外部導電体の径は外部導電体の径と同じであって良い。これは同軸供給ケーブルと第2の同軸供給ケーブルとの間のインピーダンス不整合を低減し得る。
【0054】
同軸供給ケーブル及び第2の同軸供給ケーブルは、同軸ケーブルの同じ形式であって良く、たとえば50Ωといった同じインピーダンスを有して良い。
【0055】
いくつかの実施形態において、第1の導電性部分は、第2の内部導電体の突出する近位端及び内部導電体の突出する遠位端に固定されて良く、第2の同軸供給ケーブルの同軸供給ケーブルに対する回転によって弾性的に変形可能であって良い。このように、第1の導電性部分の変形、すなわち第1の導電性部分の捩じりは、遠位部分が同軸供給ケーブルに対して回転されるときに、第1の導電性部分が変形されない最初の回転構成へと遠位部分を戻すように機能する第1の導電性部分によって遠位部分に付与される回転付勢を生じさせ得る。
【0056】
別の構成において、回転可能な接続が可撓性伝達線を備えて良い。可撓性とは、伝達線が変形され、たとえばねじられ得ることを意味する。
【0057】
可撓性伝達線は可撓性ストリップを備えて良い。
可撓性伝達線は可撓性マイクロストリップ伝達線、または可撓性ストリップ線伝達線であって良い。
【0058】
伝達線は、遠位部分が最初の回転配向にあるときに実質的に平面状の伝達線であって良い。
【0059】
伝達線は印刷された伝達線であって良い。
可撓性伝達線は弾性的に回復力があって良い。このように、可撓性伝達線が遠位部分の回転によって変形されるとき、可撓性伝達線は、伝達線が変形されない最初の回転配向へと遠位部分を戻すように機能する付勢力を提供する。可撓性伝達線は、したがって遠位部分が最初の回転配向から回転されるときに遠位部分を最初の回転配向へと戻すための伸縮ばねとして機能する。なお、上述のように分離されたばねは、回転付勢を提供するために提供されて良い。
【0060】
可撓性伝達線は、内部導電体を第1の導電性要素に電気的に接続する第1の導電性経路と外部導電体を第2の導電性要素に電気的に接続する第2の導電性経路とを有して良い。
【0061】
導電性経路は、はんだのような導電性接着部を用いて(ワイヤーまたは金属箔のような別の導体を介し得る)内部/外部導電体及び/または第1/第2の導電性要素に電気的に接続されて良い。
【0062】
可撓性伝達線は、可撓性マイクロ波基板を備えて良い。
可撓性伝達線は、その第1の表面における第1の導電性経路とその対向する第2の表面における第2の導電性経路とを有する可撓性マイクロ波基板を備えて良く、第1の導電性経路は内部導電体を第1の導電性要素に電気的に接続して良く、第2の導電性経路は外部導電体を第2の導電性要素に電気的に接続して良い。このように、同軸供給ケーブルに対する遠位部分の回転の間、電気的接続は可撓性伝達線に亘り適切に維持される。
【0063】
内部導電体の遠位端は同軸供給ケーブルの遠位端から突出して良く、第1の導電性経路は同軸供給ケーブルの突出する遠位端に接続されて良い。接続ははんだのような導電性接着部を用いて実現されて良い。
【0064】
可撓性マイクロ波基板は共に積層される2つの層を備えた積層構造を備えて良く、第1の導電性経路を有する第1の層及び第2の導電性経路を有する第2の層を形成するために2つの層は可撓性マイクロ波基板の遠位端において離されて良い。これは第1及び第2の導電性要素に対する電気的接続の実現に適した方法であり得る。
【0065】
可撓性マイクロ波基板は共に積層される2つの可撓性マイクロ波基板層を備えた積層構造を有して良く、第1の導電性経路を有する第1の可撓性マイクロ波基板と第2の導電性経路を有する第2の可撓性マイクロ波基板とを形成するために2つの可撓性マイクロ波基板層は可撓性マイクロ波基板の遠位端において離されて良い。
【0066】
第1の導電性経路は器具先端の第1の表面において第1の導電性要素に接続されて良く、第2の導電性経路は器具先端の対向する第2の表面において第2の導電性要素に接続されて良い。
【0067】
器具は同軸供給ケーブルに対して遠位部分を回転させるための駆動要素を備えて良く、駆動要素は器具に沿って軸方向に動かされるように構成されて良く、遠位部分は駆動要素の軸方向運動を遠位部分の回転運動へと変換するための接合部を備えて良い。このように、上述の駆動器は近位制御部、駆動要素及び接合部を備えて良い。近位制御部はユーザによってアクセス可能であり、軸方向運動を駆動要素に付与する。軸方向運動は接合部によって遠位部分の回転運動へと変換される。遠位部分を回転させるためのこの技術の利点は、遠位部分の回転配向を正確に制御することが可能であることである。
【0068】
駆動要素は、管状ハウジングを送り下げられて良い。言い換えれば、駆動要素は、管状ハウジングの近位端において操作者によって操作され得るように管状ハウジングの全長に延びて良い。器具が内視鏡の器具通路を通過して下げられる場合、駆動要素は、器具通路の近位端において操作者によって操作され得るように少なくとも器具通路の全長で延びて良い。
【0069】
駆動要素の軸方向運動を遠位部分の回転運動へと変換するための接合部は、駆動要素が軸方向に動かされるときにこれに沿って駆動要素の部分が移動する遠位部分における経路を備えて良く、それにより遠位部分を回転させる。
【0070】
経路は、隆起した経路、通路または溝であって良い。
経路は、遠位部分の中心軸周りの螺旋状経路または渦巻状経路であって良い。言い換えれば、経路は、少なくとも遠位部分の周表面の部分で曲がって良く、少なくとも遠位部分の軸方向長さの部分に沿って延びて良い。
【0071】
経路は遠位部分の周表面で、または周表面周りに配置されて良い。
経路は、駆動要素が軸方向に動かされるときに駆動要素の一部と摺動接触する遠位部分のカム表面であって良く、それにより遠位部分を回転させる。遠位部分の周表面の部分は、カム表面を提供するために取り除かれて良く、または省かれても良い。たとえば、カム通路はカム表面を提供するために遠位部分の表面から取り除かれて良く、または省かれても良い。したがって、駆動要素が遠位部分に向かって軸方向に動かされるとき、遠位部分はカム表面と摺動接触する駆動要素の部分によって回転させられる。
【0072】
カム表面は、遠位部分の中心軸から外方に延びる隆起部または壁の縁表面であって良い。たとえば、遠位部分の周表面の部分は、縁表面を離すために取り除かれ、または省かれて良い。
【0073】
器具は、駆動要素が軸方向に動かされるときにカム表面が駆動要素の遠位端と摺動接触するように構成されて良く、それにより遠位部分を回転させる。したがって、駆動要素が遠位部分に向かって軸方向に動かされるとき、駆動要素の遠位端はカム表面に接触し、駆動要素の遠位端がカム表面に従うように遠位部分を第1の回転方向に回転させる。
【0074】
駆動要素は駆動要素の遠位端が経路の遠位端を通過して器具先端の遠位端から突出するように、軸方向に(遠位部分に向かって)可動であって良い。以下で説明するように、これは、駆動要素が二重の目的、たとえば、流体を器具先端と隣接した組織内へと吐出するための針である場合に特に有利となり得る。
【0075】
一度駆動要素の遠位端が経路の遠位端を通過すると、遠位部分は、駆動要素の遠位端がもう一度経路(またはカム表面)と接触するように、駆動要素が器具に沿って遠位端から軸方向に動かされるまでその現在の回転位置のままで良い。駆動要素の遠位端が経路の遠位端を通過したとき、駆動要素は器具先端のさらなる回転なく遠位部分へと器具に沿って軸方向にさらに配置されて良い。
【0076】
駆動要素の遠位端が経路の遠位端(たとえば、カム表面)を通過するとき、駆動要素は器具先端の側部表面に隣接して、及び/または器具先端の底部表面に隣接して配置されて良い。
【0077】
十分な力が駆動要素において維持されるが、付勢は、遠位部分をその最初の回転配向に戻すことができない。しかしながら、力が駆動要素から取り除かれるとき、付勢は遠位部分をその最初の回転配向に戻して良い。これは、たとえば、駆動要素を遠位端から軸方向に動かすことによって、駆動要素も元の位置に戻し得る。
【0078】
駆動要素は、駆動要素が第1の軸方向に動かされるときに遠位部分を同軸供給ケーブルに対して第1の方向に回転させるためのものであって良く、駆動要素は、駆動要素が対向する第2の軸方向に動かされるときに遠位部分を同軸供給ケーブルに対して対向する第2の方向に回転させるためのものであって良い。このように、時計回り及び反時計回り方向のいずれかへの器具先端の回転は、駆動要素を前方または後方(第1または第2)の軸方向に動かすことによって実現され得る。この場合、器具先端は、駆動要素を軸方向に最初の軸方向位置へと動かすことによって最初の回転配向に戻され得るため、器具先端を元の回転配向へと戻すように機能する付勢手段を有する必要はない。
【0079】
駆動要素は螺旋状経路を画定する螺旋形状部を備えて良く、遠位部分は、駆動要素が追従部に対して軸方向に動かされるときに遠位部分を螺旋状経路に回転可能に追従させるための追従部を備えて良い。このように、駆動要素が軸方向に動かされるときに、追従部は回転して螺旋状経路に追従し、遠位部分を、したがって器具先端を回転させる。追従部が螺旋状経路に追従するためだけに回転でき、駆動要素によって軸方向に配置され得ないように、追従部のいかなる軸方向運動も防ぐために軸方向停止部が提供されて良い。
【0080】
追従部は、駆動要素の螺旋形状部が摺動可能に受容される通し通路を有するリングを備えて良い。たとえば、通し通路は、リングの周上のスロットまたはノッチであって良い。通し通路の形状は、駆動要素が軸方向に配置されるよう、追従部は螺旋状経路に厳密に追従するように、駆動要素の螺旋状部分の断面形状と実質的に同じであって良い。
【0081】
追従部は遠位部分に固定された管状スリーブ部分の部分であって良い。たとえば追従部は、管状スリーブ部分、たとえばスリーブ部分の隣接した近位端と一体で、または固定され、または接続されて良い。管状スリーブ部分は、器具先端、または遠位部分のスカート部のような遠位部分の別の部分に直接固定されて良い。管状スリーブ部分は、スリーブ部分の回転が遠位部分の、したがって器具先端の対応する回転を生じさせるように遠位部分と共に回転する。
【0082】
駆動要素はロッド、ワイヤー、ケーブル、中空管または針を備えて良い。
駆動要素は流体を生物組織に運ぶ/吐出する針を備えて良い。いくつかの知られた電気手術器具は流体を生物組織に運ぶ/吐出するためのそのような針を使用し、したがって別の駆動要素を提供するよりもむしろ駆動要素としてこの針を利用すると有利となり得る。針はしたがって二重の目的であって良い。このように、器具に沿って針を器具先端へと軸方向に動かすことによって、針は、器具先端の配向を変化及び制御するために使用され得る。遠位部分が付勢される場合、器具先端の配向は、器具先端の時計回りまたは反時計回り回転を実現するために針を軸方向(前方または後方)のいずれかに動かすことによって正確に制御され得る。一度針が経路の軸方向端部を通過するポイントへと軸方向に動かされると、針は、器具先端の回転配向に影響することなく組織内へと流体を吐出するために軸方向に動かされ得る。
【0083】
器具は、針を収容するために管状針ハウジングを備えても良い。たとえば、管状針ハウジングは、管状ハウジングを送り下げられて良く、針は次いで管状針ハウジングを送り下げられて良い。
【0084】
器具は、これを通して駆動要素が送られる案内溝を有する案内部分を備えて良い。案内部分は、駆動要素が遠位部分に付与される回転付勢によって側方に動かされるのを防いで良い。案内部分は、軸方向にのみ動かされ得るように駆動要素を制限して良い。たとえば、駆動要素が針である場合、針は、案内溝を通して直接送られて良く、または、針を含む管状針ハウジングは、案内溝を通して送られて良い。
【0085】
案内部分は管状ハウジングに固定されて良い。このように、駆動要素は管状ハウジングに対して軸方向にのみ動かされ得るように制限されて良い。これは、駆動要素が遠位部分を回転させるために使用されるときに側方に動くのを防ぐ。
【0086】
器具先端はその第1の表面における第1の導電性要素をその第2の表面における第2の導電性要素から分離する誘電材料で形成された平面状本体を備えて良く、第2の表面は第1の表面に対して対向する方向に面する。
【0087】
遠位部分は平面状本体の下側を覆うために取り付けられた保護外殻をさらに備え得る。保護外殻は平面状本体から外方に面する滑らかに外径化された凸状下部表面を有して良く、平面状本体はテーパ状遠位縁を有して良く、平面状本体の下側はテーパ状遠位縁において保護外殻を超えて延びて良い。
【0088】
本発明に係る第2の態様によれば、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを生物組織に付与するために提供された電気手術器具があり、器具は、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを生物組織に付与するための器具先端と、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを器具先端に伝送するための同軸供給ケーブルと、同軸供給ケーブルを包囲するためのハウジングと、ハウジングに対する同軸供給ケーブルの回転を可能とするために同軸供給ケーブルとハウジングとの間に配置された複数のベアリングと、を備える。
【0089】
このように、器具先端の回転は、ハウジング内で同軸供給ケーブル全体を回転させることによって、実現され得るものであり、これは複数のベアリングにより可能である。
【0090】
本発明の第2の態様によれば、電気手術器具は、任意の1つの、または互換性がある限り、以下の選択的特徴の任意の組み合わせを有して良い。
【0091】
電気手術器具は、内視鏡の器具通路を通過させるために構成されて良い。このように、器具通路の遠位端における器具先端の回転は、器具通路の近位端で同軸供給ケーブルを回転させることによって実現され得る。
【0092】
ベアリングは、ハウジングに対する同軸供給ケーブルの制御可能な回転を可能とするように同軸供給ケーブルとハウジングとの間の摩擦を十分に低減する任意の機器、構成要素または部分であって良い。たとえば、ベアリングは、ボールベアリング、またはブラシベアリングのような回転要素を含む回転要素ベアリングであって良い。
【0093】
ハウジングの遠位端における、または遠位端近傍の1つと、ハウジングの近位端における、または近位端近傍の1つの、2つのベアリングのみであって良い。あるいは、2つより多いベアリングがあって良い。付加的なベアリングの提供は、特にハウジングが曲げられるときに、同軸供給ケーブルとハウジングとの間の接触部を低減することによって、器具先端の滑らかな回転を確実とするのを支援し得る。
【0094】
本発明に係る第2の態様による電気手術器具の他の特徴は、上述した互換性のある本発明に係る第1の態様の特徴と同じで良い。
【0095】
本発明に係る第1のまたは第2の態様による電気手術器具は任意の1つの、または互換性がある限り、以下の選択的特徴の任意の組み合わせを有して良い。
【0096】
回転可能な区分、すなわち同軸供給ケーブルの遠位端からエネルギーが組織内へと伝送されるポイントまでの区分の電気的長さは、実質的にλ/2を乗じたものに等しく、ここにおいてλは器具先端において所定の周波数を有するマイクロ波周波数エネルギーの波長である。所定の周波数は5.8GHzであって良い。この構成は、挿入損失が無視できる場合、回転可能な区分によって形成される伝達線を不整合に関して効果的に透明に、または不可視にする。この構成は、回転可能な結合部を器具先端から近位に配置する方法として用いられて良い。たとえば、回転可能な結合部は器具先端から後方8cmまでの位置であって良い。この方法において、検査機器の操作による器具通路における最大ひずみが存在する場合、及び制御線が接続され得る場合、範囲の遠位端から外れて維持される。
【0097】
別の実施形態において、器具の遠位端から6cmまたは8cmまたは10cm後方に半波長回転区分が配置されて良く、次いで回転区分のインピーダンスを所定の周波数で生物組織のインピーダンスに整合させるために、器具(たとえば、器具先端またはエンドエフェクタ)の遠位端に(または統合されて)4分の1波長変換器が配置されて良い。
【0098】
別の実施形態において、半波長回転区分は器具(たとえば器具先端またはエンドエフェクタ)の遠位端に(または統合されて)配置されて良い。この構成は、所定の周波数での生物組織のインピーダンスが同軸供給ケーブルの特性インピーダンスと等しいものと想定される。この想定は50Ωのケーブルを用いた血への5.8GHzのエネルギーの伝達のため妥当である。
【0099】
遠位部分は、同軸伝達線の特性インピーダンスを、所定の周波数で器具先端と接触した組織負荷の特性インピーダンスに実質的に整合するインピーダンス変換器を備えて良い。
【0100】
インピーダンス変換器の長さは、
【0101】
【0102】
に実質的に等しくて良く、ここにおいてnはゼロ以上の整数であり、λは所定の周波数でのインピーダンス変換器におけるマイクロ波周波数エネルギーの波長である。
【0103】
遠位部分は、インピーダンス変換器と器具先端の近位端との間の同軸伝達線の区分をさらに備えて良い。
【0104】
あるいは、器具先端の特性インピーダンスは、同軸供給ケーブルの特性インピーダンスに実質的に等しくて良く、遠位部分は、同軸供給ケーブルの特性インピーダンスを、マイクロ波周波数エネルギーの所定の周波数で器具先端と接触した組織負荷のインピーダンスに整合するためのインピーダンス整合区分を備えて良く、インピーダンス整合区分は、器具先端の近位端に接続された同軸伝達線の長さと、短絡スタブと、を備える。
【0105】
上述の本発明に係る態様は、電気手術器具の遠位部分のための回転可能部を示す。いくつかの実施形態において、同軸供給ケーブルの長さに沿った複数の回転可能な結合部を提供すると好適であり得る。
【0106】
本発明に係る実施形態は、添付図を参照しつつ例示のみによりここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【
図1A】本発明に係る実施形態において使用される回転可能な接続の製造方法を示す。
【
図1B】本発明に係る実施形態において使用される回転可能な接続の製造方法を示す。
【
図1C】本発明に係る実施形態において使用される回転可能な接続の製造方法を示す。
【
図1D】本発明に係る実施形態において使用される回転可能な接続の製造方法を示す。
【
図2A】本発明に係るさらなる実施形態において使用されるさらなる回転可能な接続を示す。
【
図2B】本発明に係るさらなる実施形態において使用されるさらなる回転可能な接続を示す。
【
図3A】本発明に係る実施形態による電気手術器具の動作するモデルの様々な構成を示す。
【
図3B】本発明に係る実施形態による電気手術器具の動作するモデルの様々な構成を示す。
【
図4】本発明に係る実施形態による電気手術器具の動作するモデルの様々な構成を示す。
【
図5】本発明に係る実施形態による電気手術器具の動作するモデルの様々な構成を示す。
【
図6】本発明に係る実施形態による器具先端の概略図である。
【
図7】本発明に係るさらなる実施形態による器具先端の概略図である。
【
図8】本発明に係る実施形態による電気手術器具の概略図である。
【
図9】本発明に係る実施形態による電気手術器具の略図である。
【
図10】本発明に係る実施形態による電気手術器具の概略図である。
【
図12】本発明に係るさらなる実施形態による電気手術器具の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0108】
本発明の好適な実施形態の詳細な説明及びさらなる選択的な特徴
図1Aから
図1Dは本発明に係る実施形態において使用される回転可能な接続の製造方法を示す。
【0109】
図1Aから
図1Dにおいて示されるように、回転可能な接続は、同軸供給ケーブル1と第2の同軸供給ケーブル3との間で形成される。同軸供給ケーブル1、3のそれぞれは、中実の円筒状内部導電体と、内部導電体と同軸上で包囲する管状外部導電体と、内部及び外部導電体を分離する誘電材料と、を備える。
【0110】
図1の実施形態において、同軸供給ケーブル1及び第2の同軸供給ケーブル3は、同じ形式の同軸ケーブル、具体的にはSucoform(登録商標)047同軸ケーブルである。この形式の同軸ケーブルにおいて内部導電体は0.31mmの外径を有し、誘電材料層は0.94mmの外径を有し、外部導電体は1.2mmの外径を有する。この形式の同軸ケーブルは50Ωの特性インピーダンスを有する。中心導電体は銀めっきされた銅ワイヤーであり、誘電部はPTFEであり、外部導電体は錫めっきされた銅編組である。
【0111】
当然のことながら、他の実施形態において、別の形式の同軸ケーブルが用いられて良く、及び/または同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルは、異なる径及び/または特性インピーダンスを備えた異なる形式の同軸ケーブルであって良い。
【0112】
図1Bに示されるように、誘電材料及び同軸供給ケーブル1の外部導電体の区分は、同軸供給ケーブル1の遠位端から突出する内部導電体の突出する遠位端5を離すために省かれ、または取り除かれた。同様に、第2の同軸供給ケーブル3の誘電材料及び外部導電体の区分は、同軸供給ケーブル1の近位端から突出する第2の同軸供給ケーブルの内部導電体(第2の内部導電体)の突出する近位端7を離すために省かれまたは取り除かれた。
【0113】
図1A及び
図1Cに示されるように、回転可能な電気的接続は、内部導電体の突出端部5、7に亘り第1の導電性金属スリーブ9を提供することによって同軸供給ケーブル1の内部導電体と第2の同軸供給ケーブル3との間で形成される。第1の導電性金属スリーブ9は、内部導電体の突出端部5、7が金属管において回転可能に受容されて金属管に接触してそれらの間に電気的接続を形成するように選択された径を備えた金属管である。本実施形態において、第1の導電性金属スリーブ9は内部導電体の突出端部5、7に対する締まりばめである。
【0114】
本実施形態において、第1の導電性金属スリーブ9は、0.59mmの外径と2.5mmの長さを有する。当然のことながら、他の実施形態において、これらの寸法は異なって良い。
【0115】
このように、内部導電体及び第2の内部導電体は、それぞれ他方に対して回転可能である一方で、第1の導電性金属スリーブ9によって提供される回転可能な接続のため、電気的接続は、それらの間で維持される。
【0116】
図1A、
図1C及び
図1Dに示されるように、回転可能な電気的接続は、外部導電体1
1、13の端部に亘り第2の導電性金属スリーブ15を提供することによって、同軸供給ケーブル1の外部導電体11と第2の同軸供給ケーブル3の外部導電体13(第2の外部導電体)との間で形成される。
図1Cに示されるように、第2の導電性金属スリーブ15は、それを同軸供給ケーブル1、3の1つに沿って外部導電体11、13の端部に亘りそれが配置されるまで摺動させることによって、外部導電体11、13の端部に亘り配置され得る。
【0117】
第2の導電性金属スリーブ15は、外部導電体11、13の端部が金属管内に回転可能に受容されて金属管に接触してそれらの間に電気的接続を形成するように選択される径を備えた金属管である。本実施形態において、第2の導電性金属スリーブ15は外部導電体11、13の端部に対する締まりばめである。
【0118】
本実施形態において、第2の導電性金属スリーブ15は1.15mmの内径を有する。当然のことながら、他の実施形態において、径は異なって良い。
【0119】
このように、同軸供給ケーブル1及び第2の同軸供給ケーブル3の外部導電体11、13は、それぞれ他方に対して回転可能である一方で、第2の導電性金属スリーブ15によって提供される回転可能な接続のため、電気的接続はそれらの間で維持される。
【0120】
このように、第1及び第2の導電性金属スリーブ11、13の組み合わせは、第2の同軸供給ケーブル3が同軸供給ケーブル1に対して回転されるのを可能とする、同軸供給ケーブル1と第2の同軸供給ケーブル3との間の回転可能な接続を提供する一方で、同軸供給ケーブル1と第2の同軸供給ケーブル3との間の電気的接続を維持する。
【0121】
高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーは、同軸供給ケーブル1から第2の同軸供給ケーブル3へと、第1及び第2の導電性金属スリーブ9、15によって提供される回転可能な電気的接続のため回転可能な接続を通して伝送され得る。
【0122】
第1及び第2の導電性金属スリーブ9、15は、誘電材料として空気を備えた高周波エネルギー及び/またはマイクロ波エネルギーを伝送するための同軸伝達線を形成する。他の実施形態において、誘電フィルター材料が第1及び第2の導電性金属スリーブ9、15の間に提供されて良い。
【0123】
本発明に係る実施形態において、第2の同軸供給ケーブル3が器具先端に接続されて良く、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを同軸供給ケーブル1から器具先端へと伝送して良い。たとえば、器具先端は、第2の内部導電体に電気的に接続された第1の導電性要素及び第2の外部導電体に電気的に接続された第2の導電性要素を有して良い。このように、器具先端は回転可能な接続によって同軸供給ケーブル1に対して回転可能である。電気的接続は、はんだのような導電性接着部によって器具先端の導電性要素または導電体に接続される導電性ワイヤーまたはシートのような導電体で実現されて良い。
【0124】
同軸供給ケーブル1は、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーに供給するための電気手術的生成器に同軸供給ケーブル1を接続するため、その近位端においてコネクターを有して良い。たとえば、コネクターは、従来の同軸ケーブルエンドコネクターであって良い。
【0125】
図1のように空気を第1及び第2の導電性金属スリーブ9、15の間の誘電材料として有することは、同軸供給ケーブル1、3のインピーダンス(複数可)に対する回転結合部の特性インピーダンスを向上させる。同軸供給ケーブル1、3と回転結合部との間のイン
ピーダンス不整合は、いくつかの高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーの反射を生じさせる。したがって、1つの実施形態において、内部導電体の突出端部5、7は、増加された径を有して良く、第1の導電性金属スリーブ9は対応してより大きな内径を有して良い。このように、回転結合のインピーダンスは、同軸供給ケーブル1、4のインピーダンスに近くなるように低減される。理想的には、回転結合部のインピーダンスは、同軸供給ケーブルのインピーダンスと同じであり、たとえば50オームである。
【0126】
図1Aから
図1Dに示された回転結合部の電気的特性がここで説明される。
同軸伝達線の特性インピーダンスZ
0は、概して等式(1)により与えられる。
【0127】
【0128】
ここにおいて、μrは誘電材料の比透磁率であり、εrは誘電材料の比誘電率であり、bは外部導電体の内径であり、aは内部導電体の外径である。比b/aは外部導電体及び内部導電体のそれぞれの半径を用いて得られ得る。
【0129】
回転結合部による高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーの減衰は、等式(2)に与えられる。
【0130】
【0131】
ここにおいて、α
Tは回転結合部の全減衰であり、α
Cは回転結合部における第1及び第2の導電性金属スリーブ9、15による減衰であり、α
dは回転結合部における誘電部(
図1の空気)による減衰である。
【0132】
導電体による減衰は、等式(3)に与えられる。
【0133】
【0134】
ここにおいて、δSは第1及び第2の導電性金属スリーブ9、15内の高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーの表皮厚さであり、εrは比誘電率であり、λ0は自由空間波長であり、bは外部導電体の内径であり、aは内部導電体の外径である。
【0135】
誘電による減衰は等式(4)に与えられる。
【0136】
【0137】
図1に示された実施形態において、第1の導電性金属スリーブ9は0.59mmの外径と2.5mmの長さを有する。第2の導電性金属スリーブ15は1.15mmの内径を有する。
【0138】
第1及び第2の導電性金属スリーブ9、15の間の誘電材料としての空気により、回転結合部の導電体によるインピーダンス及び減衰は、等式(5)及び(6)に与えられる。
【0139】
【0140】
空気で満たされた回転結合部がtanδ=0を有すると仮定すれば、誘電による減衰は、等式(7)に与えられる。
【0141】
【0142】
この特定の実施形態において、これらの等式を2.5mmの第1の導電性金属スリーブ9の特定の長さに関連付けると等式(8)が導かれる。
【0143】
【0144】
等式(8)はスリーブ区分を回転させる2.5mmの長さ内の関連した損失を与える。この計算は特徴線インピーダンスと回転結合との間のいかなる小さなインピーダンス不整合も考慮しない。増加した反射によりわずかな不整合が挿入損失を増加させるが、試験においてこの増加が無視できることが確認されてきた。
【0145】
器具の高周波エネルギー操作の間の金属スリーブ9、15の間の空気の電気的絶縁破壊を防ぐため、絶縁の層が第1及び第2の導電性金属スリーブ9、15の間に提供されて良い。たとえば、絶縁はカプトンテープまたはPTFEであって良い。
【0146】
1つの実施形態において、第1の導電性金属スリーブ9は内部導電体の突出端部5、7に固定されて良い。第1の導電性金属スリーブ9は、弾性変形可能な材料で形成されて良く、これにより第1の導電性金属スリーブ9は、第2の同軸供給ケーブル3が同軸供給ケーブル1に対して回転されるときに弾性変形される(たとえば、捩じり(torsion)によりねじられる(twisted))。このように、第1の導電性金属スリーブ9は、第2の同軸供給ケーブル3に回転付勢力を提供し、それを第1の導電性金属スリーブ9が変形されない最初の回転配向へと戻して良い。このように、第1の導電性金属スリーブ9は伸縮ばねとして機能して良い。
【0147】
当然のことながら、本発明に係る他の実施形態において、異なる形式の回転可能な接続が提供され得る。多くの異なる形式のこうした回転可能な接続が可能である。
図1Aから
図1Dに示された構成の遠位端において電気手術器具の回転を制御するための特定の方法が以下に説明される。
【0148】
図2A及び
図2Bは、本発明に係るさらなる実施形態において使用されるさらなる回転可能な接続を示す。
【0149】
図2A及び
図2Bに示されるように、本実施形態において同軸供給ケーブル1は、可撓性伝達線19によって電気手術器具先端17に接続される。可撓性は、伝達線が、破損されることなく、または永久的に損傷されることなく、たとえばねじられ、または曲げられて、変形され得ることを意味する。たとえば、捩じりによりねじられ得る。
【0150】
可撓性伝達線19は可撓性マイクロ波基板21を備える。たとえば、可撓性マイクロ波基板21はRogers CorporationのRFlexマイクロ波基板であるかもしれない。
【0151】
可撓性伝達線19は同軸供給ケーブル1の内部導電体22を器具先端17の下側において第1の導電性要素23に電気的に接続し、器具先端17の(対向する)上側において外部導電体25を第2の導電性要素27にさらに電気的に接続する。このように、可撓性伝達線19は、器具先端17と接触した組織内への伝達のため、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを器具先端17の同軸供給ケーブル1から第1及び第2の導電性要素23、27へと伝送するように構成される。
【0152】
内部導電体22と第1の導電性要素23との間の電気的接続は、はんだ29のような導電性接着部によって内部導電体21及び第1の導電性要素23に電気的に接続された可撓性伝達線19の長さに沿って形成された第1の導電性経路によって実現される。第1の導電性経路は金属で形成されて良く、可撓性マイクロ波基板21の表面に、たとえば可撓性マイクロ波基板21の下側に印刷されて良い。
【0153】
同様に、外部導電体25と第2の導電性要素27との間の電気的接続は、はんだ29のような導電性接着部によって外部導電体25及び第2の導電性要素27に電気的に接続された可撓性伝達線19の長さに沿って形成された第2の導電性経路31によって実現される。第2の導電性経路31は金属で形成されて良く、可撓性マイクロ波基板21の対向する表面に、たとえば可撓性マイクロ波基板の上側に印刷されて良い。
【0154】
本実施形態において器具先端17は、その第1の表面における第1の導電性要素23をその第2の表面における第2の導電性要素27から分離する誘電材料33で形成された平面状本体を備え、第2の表面は第1の表面に対して対向する方向に面する。
【0155】
第1及び第2の導電性経路は銅で形成されて良い。第1及び第2の導電性経路は可撓性
伝達線に印刷されて良い。
【0156】
図2A及び
図2Bに示された実施形態において、可撓性伝達線19は、器具先端17に隣接した2つの部分19a、19bに分割される。第1の部分19aは、その上方表面における第2の導電性経路31を有し、第2の部分19bは、その底部表面における第1の導電性経路を有する。可撓性伝達線19の分割は、共に積層された材料の2つの層を備える積層された可撓性伝達線19を用いることによって実現されて良く、可撓性伝達線19を
図2に示されたような2つの部分へと分割するように器具先端17に隣接した材料の2つの層を離す。
【0157】
しかしながら、他の実施形態において、可撓性伝達線19はこの方法で分割されない。代わりに可撓性基板において、器具先端におけるそれらの各端子に対して導電性経路を接続するための付加的なコネクター部が提供されて良い。
【0158】
本実施形態において、可撓性伝達線19は、最初の(ねじられない)構成にあるときに実質的に平面状であり、実質的に平らである。可撓性伝達線は可撓性(ねじることができる)ストリップの形式である。
【0159】
可撓性伝達線19は可撓性であるため、器具先端17が同軸供給ケーブル1に対して回転される場合、可撓性伝達線19は変形によって回転を可能とする。特に、可撓性伝達線19は捩じりの影響を受け、器具先端17が同軸供給ケーブル1に対して回転されるときにねじる。このように、可撓性伝達線19は、器具先端17の同軸供給ケーブル1に対する回転を可能とする同軸供給ケーブル1と器具先端17との間の回転可能な接続を構成する一方で、同軸供給ケーブル1の内部/外部導電体22、25と器具先端17の第1/第2の導電性要素23、27との間の電気的接続を維持する。高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーは、器具先端17の同軸供給ケーブルに対する回転の間に同軸供給ケーブル1から器具先端17へと可撓性伝達線19を介してこのように伝送され得る。
【0160】
可撓性伝達線19は弾性的に回復力があって良い。言い換えれば、可撓性伝達線が可撓性伝達線19のねじりによって変形されるとき、可撓性伝達線を元の(たとえば平らな)配向に戻すための付勢力を提供して良い。このように可撓性伝達線19は、器具先端17が最初の位置から回転されるときに、器具先端17を、伝達線が実質的に平らな最初の回転位置に戻すための伸縮ばねとして機能しても良い。
【0161】
可撓性伝達線19は液体が電気的接続または経路と接触するのを防ぐために、コーティング、カバー、または他のシールを有して良い。たとえば可撓性伝達線19は、液体が可撓性伝達線19の電気的接続部または経路と接触するのを防ぐため、その1つまたは複数の表面においてゴム材料またはポリマーのような絶縁材料の層またはコーティングを備えて良い。あるいは、シールは、液体が可撓性伝達線19と接触するのを防ぐために可撓性伝達線19の各軸方向端部に隣接して提供されて良い。
【0162】
いくつかの実施形態において、可撓性伝達線は可撓性マイクロストリップであって良い。そのような実施形態において、可撓性伝達線は基板誘電層によってグランド面から分離された平面状の導体ストリップを備える。マイクロストリップは印刷回路基板技術を用いて製造されて良い。グランド面及び平面状の導体ストリップは、器具先端の第1及び第2の導電性要素のそれぞれ1つにそれぞれ電気的に接続されて良い。そのような実施形態において、平面状の導体ストリップ及びグランド面は、上述のようなコーティング、カバーまたは他のシールによって液体との接触を防がれて良い。上述のように、基板誘電層は、可撓性マイクロストリップの、器具先端の対向する表面における導電性要素に対する電気
的接続を可能とするように器具先端に隣接して分割され得る積層構造であって良い。
【0163】
別の実施形態において、可撓性伝達線は可撓性ストリップ線であって良い。そのような実施形態において可撓性伝達線は、基板誘電層の対向する側においてグランド面の間で挟まれる基板誘電層内に形成される中央導電体を備える。そのような構成は、誘電層によって包囲されるため、中央誘電体が液体との接触を防がれるという利点を有し、したがって、可撓性伝達線と接触する液体を防ぐためのいかなるさらなるバリアの提供も不要となり得る。本構造により、器具先端との電気的接続を形成するとき、グランド面は、可撓性伝達線の遠位端の前の所定の距離で終端され得る。
【0164】
図2A及び
図2Bに示された実施形態において、可撓性伝達線19は同軸供給ケーブル1を器具先端17に直接接続する。しかしながら、これは必須ではない。たとえば、可撓性伝達線19は器具先端から設定し直して良く、可撓性伝達線19をケーブル構成の遠位端における他の部分から離間するために、さらなる同軸伝達線が可撓性伝達線19と器具先端17との間に提供されて良い。しかしながら、器具先端17の回転の適した制御を可能とするように器具先端17の近くに可撓性伝達線19を有すると有利となる。さらに、器具先端17が平面状構造を有する実施形態において、たとえば
図2A及び
図2Bに示されるように、可撓性伝達線19が同軸供給ケーブル1の円形/円筒形の構造を器具先端17の平らな/平面状の構造へと変換するため、同軸供給ケーブル1を器具先端17に直接接続すると可撓性伝達線19において有利となる。
【0165】
当然のことながら、他の実施形態において可撓性伝達線は、
図2A及び
図2Bに示されたもの、または上述のものと異なって良い。重要な特徴は、可撓性伝達線が必要な電気的接続を提供し、同軸供給ケーブルに対する器具先端の回転を可能とすることである。
【0166】
他の実施形態において、
図1Aから
図2Bに示されたものに対し、同軸供給ケーブル1と器具先端との間の異なる形式の回転可能な接続が提供されて良い。重要な特徴は、回転可能な接続が必要な電気的接続を提供し、同軸供給ケーブルに対する器具先端の回転を可能とすることである。
【0167】
同軸供給ケーブルに対する器具先端の回転を生じさせる機構及び器具先端に対する回転付勢を提供するための機構がここで説明される。以下に説明される実施形態において、回転及び付勢機構は共に結合されるが、本発明に係る他の実施形態は、1つのこれらの特定の機構のみ、たとえば、単に回転機構または単に付勢機構のみを有して良い。
【0168】
図3Aから
図5は、本発明に係る実施形態による電気手術器具35のモデルの様々な構成を示す。
図3Aから
図5に示されるように、器具35は、器具先端37と、器具先端37に固定された同軸供給ケーブル39とを備える。実施において器具先端37は、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを器具先端37と接触した生物組織に伝送するための第1及び第2の導電性要素を備える。たとえば、器具先端は
図2Aに示した器具先端のものと類似した構造を有して良い。
【0169】
実施において、同軸供給ケーブル39は、はんだのような導電性接着部によって器具先端37の第1の導電性要素に固定された同軸供給ケーブル39の内部導電体によって、及び、はんだのような導電性接着部によって第2の導電性要素に固定された同軸供給ケーブル39の外部導電体によって、(場合によりワイヤーまたは金属箔のような付加的な導電体を介して)器具先端37に固定される。
【0170】
このように、器具先端37は同軸供給ケーブル39に対して回転できない。
同軸供給ケーブル39(または少なくともいくつかの同軸供給ケーブル39)は、管状
ハウジング41内に受容される。たとえば管状ハウジング41は、可撓性プラスチックまたはポリマー管であって良い。同軸供給ケーブル39は管状ハウジング41に沿って送られて良い。同軸供給ケーブル39は管状ハウジング41に対して回転可能である。言い換えれば、同軸供給ケーブル39は管状ハウジング41に対して固定されない。
図5において、管状ハウジング41は不透明なものとして示され、実際に不透明になる見込みである。
【0171】
器具先端37は管状ハウジング41の遠位端において回転可能に取り付けられる。言い換えれば、器具先端37の部分は、管状ハウジング41の遠位端において受容され、管状ハウジング41に対して回転できる。これは、そこで回転できるように管状ハウジングの遠位端において受容されるように形状化された、その近位端においてシャフトまたはシャンク部を有する器具先端37によって実現されて良い。あるいは、管状部分は、シャフトの部分の外側周りに、または器具先端の脚部周りに固定されて良く、管状部分は、管状ハウジング41の遠位端内に受容され、管状ハウジング41に対して回転できる。
【0172】
このように、器具先端37及び同軸供給ケーブル39の両方は、管状ハウジング41に対して回転可能である器具35の遠位部分を形成する。
【0173】
停止部分は、器具先端が管状ハウジングの遠位端から軸方向に動くのを防ぐために器具先端37に、または管状ハウジング41の遠位端に提供されて良い。シールは、流体の管状ハウジング41内への浸入を防ぐために器具先端37の部分に提供されても良い。たとえば、シールは、管状ハウジング41内に受容される器具先端37のシャフトの部分またはシャンク部に、または周りに提供されて良い。
【0174】
図3Aから
図4に示されるように、管状ハウジング41においてばね43も提供される。ばね43は同軸供給ケーブル39の外側周りに配置される螺旋状捩じりばねである。
【0175】
ばね43の第1の端部は、管状ハウジング41に固定される。本実施形態において、ばね43の第1の端部は、管状ハウジング41の内部表面に固定されたリング部分45に固定されることによって、管状ハウジング41に固定される。ばね43の第2の端部は、器具35の遠位部分に固定される。特に、ばねの第2の端部は、器具35の器具先端37から近位端へ軸方向に延びるスカート部47に接続される。スカート部47は、器具先端37と一体であり、器具先端37と共に回転する。
【0176】
このように、器具先端37、スカート部47及び同軸供給ケーブル39を備える器具35の遠位部分が管状ハウジング41内で
図3Aにおける右に回転される場合、その第1の端部が管状ハウジング41に固定された遠位部分と共にその第2の端部が回転するため、螺旋状捩じりばね43がねじられる。このように、機械的エネルギーが螺旋状捩じりばね43において保存される。この保存された機械的エネルギーは、遠位部分を対向する方向に、すなわち
図3Aの左に回転させるために付勢する、遠位部分における回転付勢力を螺旋状捩じりばね43に生じさせる。
【0177】
このように、螺旋状捩じりばね43は、遠位部分がその回転位置/配向から回転されるときに遠位部分を最初の回転位置/配向へとリセットするための力を提供するリセットばねとして機能する。
【0178】
実際において同軸供給ケーブル39は、回転可能な接続によって
図1Aから
図1Dに示され、上述されたようなさらなる同軸供給ケーブルに接続され、これにより、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーは、さらなる同軸供給ケーブルから同軸供給ケーブル39(したがって器具先端37)に伝送されることができ、これにより、同
軸供給ケーブル39(したがって器具35の遠位部分)は、さらなる同軸供給ケーブルに対して回転され得る。実施において、さらなる同軸供給ケーブルは、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを生成して供給するために電気手術的生成器に接続される。
【0179】
器具は、遠位部分が停止要素に接触するときに特定の回転方向(
図3Aの左へ)の遠位部分の回転を防ぐように構成された停止要素を備える。このように停止要素は、回転付勢が、特定の回転位置、たとえば、遠位部分の最初の開始回転配向を超えて遠位部分を特定の回転方向に回転させるのを防ぐことができる。停止要素及び/またはばね43は、遠位部分が停止要素と接触した最初の位置にあるときに、ばね43が付勢力を遠位部分に付与するように構成されて良い。このように、遠位部分を最初の位置から回転させるために、回転付勢を超えるための力が付与されなければならない。
【0180】
当然のことながら、
図3Aに示されたものに類似した付勢方法が、器具先端と主要同軸供給ケーブル(電気手術的生成器に通常接続される同軸供給ケーブル)との間の回転可能な接続の他の形式と共に用いられて良い。たとえば
図2A及び
図2Bに示され、上述されたように、たとえば
図3Aの同軸供給ケーブル39は、可撓性伝達線と交換され得るものであり、これは主要同軸供給ケーブルに接続される(好適には固定される)。螺旋状捩じりばね43は、次いで可撓性伝達線周りまたは器具35の遠位部分の別の部分周りに配置され得、これにより器具先端が回転されて可撓性伝達線がねじられるときに、同じ付勢効果が実現される。
【0181】
あるいは別の実施形態において、付勢力は、
図1Aから
図2Bと関連して上述したような回転可能な接続の部分によって(たとえば弾性的に回復力がある可撓性伝達線によって)提供されて良く、したがって
図3Aのばね43はこれらの実施形態において省かれて良い(本構成は以下で
図9を参照してより詳細に説明される)。
【0182】
付勢力は、ばね43による代わりに弾性スリーブのような別の弾性要素によって提供されて良い。
【0183】
当然のことながら、さらに別の実施形態において、器具先端における回転付勢力が全く不要、または望まないことがあり得、したがって
図3Aのばね43は、これらの実施形態において省かれても良い。そのような実施形態は、
図10及び
図11と関連して以下で説明される。
【0184】
器具先端37を回転させるための機構がここで説明される。
図3Aにおいて、器具35の操作者によって管状ハウジング41に沿って管状ハウジング41を送り下げられ軸方向に動かされ得るロッド49の形式の駆動要素49を用いて器具先端37が回転される。以下に説明されるように、いくつかの実施形態において、ロッド49は生理食塩水のような流体を器具先端と隣接した組織内へと吐出するための器具の針であって良い。
【0185】
図3Bに最も良く示されるように、器具は、これを通して駆動要素49が送られる案内溝53を有する案内部分51を備える。案内部分51は、駆動要素49が遠位部分に付与される回転付勢によって側方に動かされるのを防ぐ。特に、案内部分51は、案内部分51に対して軸方向にのみ動くことができるように駆動要素49の動作を制限する。本実施形態において、案内部分51は管状ハウジング41の内部表面に固定されて同軸供給ケーブル39を包囲するリングである。
図3Bに示されるように、リングは、これを通して駆動要素49が送られる軸方向案内溝53を有する。このように、駆動要素49はリングに対して軸方向に動くことができるが、案内溝53内に残るように制限されるため、側方に
動けない。
【0186】
軸方向案内溝53は、(完全なリングにならないように)省かれ、または切り離されるリングの区分、または空洞、またはリング内またはリングを通して形成された通路を備え得る。
【0187】
器具35の回転可能な遠位部分は、駆動要素49の軸方向運動を遠位部分の回転運動へと変換するための接合部を備える。
【0188】
本実施形態において、接合部は、器具先端のカム表面を備える。カム表面は、少なくとも器具先端37の外部表面の部分周りに、少なくとも器具先端の長さの部分に沿って螺旋状(または渦巻状)に延びる隆起した螺旋状縁55(または渦巻状縁)である。螺旋状縁55は、(たとえばカム通路を形成するために)器具先端37の外部表面の適切に形状化された部分を切り取りまたは省くことによって形成されて良い。
【0189】
隆起した螺旋状縁55は、駆動要素49の遠位端が隆起した螺旋状縁55に沿って摺動して器具先端37を回転させるように、駆動要素49が器具35に沿って軸方向に器具先端37に向かって動かされるときに、駆動要素49の遠位端56によって接触されるように構成される。
【0190】
いくつかの実施形態において、螺旋状縁55は、駆動要素49の遠位端とのより良い協働(たとえば、受容または係合)のため、通路または溝のような曲がった表面を有して良い。
【0191】
駆動要素49が器具35に沿って軸方向に動かされるとき、駆動要素49の遠位端56は、器具先端37において隆起した螺旋状縁55に接触する。駆動要素49は、案内部分51により、軸方向にのみ自由に動かせる。器具先端37は、たとえば器具先端37の軸方向運動を防ぐさらなる停止部分によって軸方向に動くのを防がれるが、管状ハウジング41内で自由に回転する。このように、隆起した螺旋状縁55に接触して力を付与する駆動要素49の遠位端の動作は、隆起した螺旋状縁55を側方に配置させ、これにより駆動要素49を軸方向に動かして器具先端37を回転させ始めるように隆起した螺旋状縁55に沿って摺動させ続ける。
図3Aにおいて、器具先端は、駆動要素49が器具先端37に向かって軸方向に漸進的に動かされるときに、右に(器具35の近位端の視点から時計回り)回転する。
【0192】
器具先端37が上述のように最初の位置へと付勢される場合、器具先端37の回転は、回転付勢に抗し、付勢要素(たとえばばね43)内にエネルギーを保存させる。このように、力は、器具先端37を回転させ続けるための回転付勢を超えるために駆動要素49において維持されることを必要とし、あるいは、回転付勢は、器具先端37をその最初の回転配向へと戻すために機能し、その結果駆動要素49は、隆起した螺旋状縁55の回転によって器具に沿って軸方向後方に動かされる。
【0193】
器具先端37の回転は、駆動要素49の遠位端が隆起した螺旋状縁55の遠位端を通過するまで駆動要素49の漸進的軸方向移動を継続させる。それから、駆動要素49の器具先端37へと向かうさらなる軸方向運動は、器具先端37のさらなる回転を生じさせない。器具先端37がその最初の位置へと回転付勢される場合、駆動要素49のシャフトにおいて動作する隆起した螺旋状縁55は、器具先端37を回転付勢が回転させるのを案内部分55が防ぐため、側方に動くことができない。このように、回転付勢は、その遠位先端が再び隆起した螺旋状縁55と接触するポイントに駆動要素49が後退されるまで、器具先端37をその最初の回転配向へと戻すように回転させることができない。
【0194】
駆動要素49は生理食塩水のような流体を器具先端37と接触した生物組織内へと吐出させるために用いられる、器具35の針を備えて良い。知られた電気手術器具において、こうした針が管状ハウジング内の管を送り下げられることによって提供されてきた。こうした針は、たとえば器具の遠位端において針の針先端を延ばすようにまたは後退するように、管状ハウジングに沿って軸方向に動かされることができる。このように、針の遠位端は、針の軸方向運動が器具先端の回転を生じさせるために用いられ得るように、上述したような器具先端の螺旋状経路(カム表面)を接触させるために用いられ得る。この二重の目的方式における電気手術器具の存在する針構成要素の利用は、さらなる駆動要素49の提供を不要とし、したがってより簡易且つより効果的な電気手術器具となる。器具先端の配向は、針を用いた吐出プロセスの間、重要でないものとなり得る。吐出は最初に実行されて良く、次いで電気的手術の間に、続く、針の先端が器具先端のカム表面に接触するポイントへの針の後退によって、器具先端の配向が制御されて良い。あるいは、吐出は、電気手術の間の器具先端の回転配向の制御の後に実行されて良い。
【0195】
一度針の遠位端がカム表面の遠位端を通過すると、流体を組織内へと吐出するための針のさらなる軸方向運動は器具先端の配向に影響しない。流体を組織内へと吐出するために使用された後、針は、その先端がカム表面(隆起した螺旋状縁55)と接触するまで後退され得るものであり、針は、次いで器具先端37の時計回り及び反時計回り回転を制御するように軸方向のいずれかに動かされ得る。
【0196】
1つの実施形態において、螺旋状経路(カム表面)は、駆動要素の遠位端が螺旋状経路の遠位端を通過するときに器具先端が器具先端の側部表面及び/または底部表面と隣接して配置された駆動要素と共に配向されるように構成される(たとえばその位置及び/または長さ及び/またはピッチが設定される)。これは、特に駆動要素が上述されたような器具の針である場合に、配置される駆動要素にとって好適な位置となり得る。
【0197】
駆動要素49が器具35に沿って漸進的に後方に後退されるとき、隆起した螺旋状縁55を駆動要素49の遠位端との接触へと押圧する付勢力は、その最初の配向へと戻る前に、器具先端37を対向する方向に漸進的に回転させる。このように、器具先端37の回転配向は、駆動要素49が後退されるときに容易且つ正確に制御されてその最初の位置へと戻され得る。
【0198】
当然のことながら、上述されたものと同じ回転駆動機構が回転可能な接続の異なる形式で、たとえば
図2A及び
図2Bに示され、上述された可撓性伝達線の回転可能な接続を備えて、使用され得る(本構成は
図7を参照して以下に説明される)。さらに、上述された回転駆動機構は、回転付勢の他の形式と共に使用され得る。
【0199】
いくつかの実施形態において、器具先端をその最初の回転配向へと戻すための回転付勢の提供は不要となり得る。代わりに、駆動要素と器具先端との間の相互作用は、その最初の回転配向へと戻る前に、器具先端からの駆動要素の軸方向運動が器具先端を対向する方向に回転させるようであって良い。たとえば、駆動要素は、器具先端に形成される螺旋状通路に受容されて螺旋状通路に沿って(追従する)移動する突出部の形式の追従部を備えて良く、これにより、駆動要素のいずれかの方向の軸方向運動が器具先端の時計回りまたは反時計回り方向への回転を生じさせる。
【0200】
図6及び
図7は、本発明に係る実施形態において使用される器具先端の実施例をより詳細に示す。
図6において、カム表面(隆起した螺旋状縁55)は、露出され、したがって視認可能である。対照的に、
図7において、カム表面(隆起した螺旋状縁55)は、器具先端の外殻内に封入され、したがって視認不可能である。しかしながら、これを通して駆
動要素が器具先端の端部から突出し得る隆起した螺旋状縁55の遠位端における退出穴57は、
図7において視認可能である。退出穴57は、器具先端の側部表面と隣接し、これにより駆動要素(たとえば針)は、器具先端の側部表面と隣接した器具先端から出る。管状ハウジング内への流体の浸入を防ぐために、カム表面及び/または退出穴57に、または周りにシールが提供されて良い。
【0201】
図6及び
図7の両方の実施形態において、器具先端は、上述のように管状ハウジングの遠位端において受容されるための軸方向に延びるシャフトまたはシャンク部59を有する。
【0202】
図8は、本発明に係る実施形態による電気手術器具の概略図である。
図8に示された多くの特徴は詳細に上述されており、したがってそれらの特徴の簡潔な説明のみここで繰り返される。
図8に示された特徴の特定の特性は、
図1から
図7と関連して上述された対応する特徴の特定の特性と同じであって良いことを理解されたい。
【0203】
図8において、器具先端61は、その外部表面の部分に形成されたカム表面(露出した隆起した螺旋状縁63)を備えた
図6に示される構成を有する。
【0204】
器具先端61は、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを器具先端に伝送するために同軸供給ケーブル65に固定される。同軸供給ケーブル65の内部導電体67は、器具先端61の上方表面において第1の導電性要素と接触するように、同軸供給ケーブル65の遠位端から突出する。同様に、同軸供給ケーブル65の外部導電体は、器具先端61の底部表面において第2の導電性要素に接続される。
【0205】
器具先端61及び同軸供給ケーブル65は、理解しやすいように
図8において透明に示される管状ハウジング69内に受容される。
【0206】
器具先端61は、器具先端及び同軸供給ケーブル65が管状ハウジング69に対して回転できるように、管状ハウジング69の遠位端に回転可能に取り付けられる。これは、管状ハウジング69の遠位端において回転可能に受容される器具先端61のシャンク部のシャフトによって実現される。
【0207】
同軸供給ケーブル65は、
図1Aから
図1Dに示されたような回転可能な接続72によってさらなる同軸供給ケーブル71に回転可能に接続され、同軸供給ケーブル65とさらなる同軸供給ケーブル71との間の回転を可能とする一方で、これらの間で高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーの伝送を可能とする。このように、器具先端61及び同軸供給ケーブル65は、管状ハウジング69内でさらなる同軸伝達線71に対して回転され得る。
【0208】
カム表面/隆起した螺旋状縁63は、針73が器具に沿って器具先端61に向かって軸方向に動かされるときに、器具の針73の遠位端によって接触されるように配置される。このように、針の遠位端が隆起した螺旋状縁63に接触して力を付与するように、針73の器具先端61へと向かう軸方向運動は、詳細に上述したような器具先端61の回転を生じさせる。
【0209】
針73は、器具先端61に隣接した組織内へと流体を吐出するために構成される。
針73は、管状ハウジング69に固定される案内リング79内のスロット77に沿って通過する針案内管75内に摺動可能に受容される。案内リング79のスロット77は、管状ハウジング69に対して軸方向にのみ動くことができ、側方には動かせないように、針73の動作を制限する。
【0210】
器具は、たとえばシリコーンで形成された弾性シース81をさらに備え、これは、回転可能な遠位部分と管状ハウジング69とに直接的にまたは間接的に固定される。このように、器具先端61が管状ハウジング69に対して回転されるとき、弾性シースは、張力により運ばれてエネルギーを保存する。
図3A及び
図3Bと関連して詳細に上述したように、弾性シースは、最初の回転配向からそれが回転されるときにこうして最初の回転配向へと戻すように遠位部分(したがって器具先端61)を回転して付勢する伸縮ばねとして機能する。
【0211】
図8において、針73は、針71の遠位端が器具先端の遠位端の遠位となるように、構成に沿って軸方向に動かされた位置で示される。本構成において、器具先端61を回転させるように機能する付勢力は、針73のシャフトが器具先端61の回転を防ぐため、器具先端61の回転を生じさせることができない。
【0212】
図9は本発明に係るさらなる実施形態による電気手術器具の略図である。本実施形態において用いられる器具先端の回転を駆動するための機構は、
図3Aから
図8と同じであり、したがってその説明は繰り返されず、同じ参照符号が用いられる。本実施形態における主な違いは、回転可能な接続が
図2A及び
図2Bに示されたものと同じ(または類似)であることである。言い換えれば、回転可能な接続は、上述の可撓性伝達線19によって器具先端61と同軸供給ケーブル71との間で形成される。
図2A及び
図2Bのように、可撓性伝達線19は、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを同軸供給ケーブル71から器具先端61へと伝送する。
【0213】
可撓性伝達線19は、針が隆起した螺旋状縁/カム表面63と接触して器具先端61を回転させるように器具に沿って軸方向に動かされるときに、可撓性伝達線19がねじられてこのねじりにより機械的エネルギーを保存するように、弾性である。ねじられた可撓性伝達線19は、次いで、その最初の構成へと戻す対向する方向に器具先端61を回転させるように機能する、器具先端61における復元力を提供する。
【0214】
可撓性伝達線19は、したがって器具先端61と同軸供給ケーブル71との間の回転を可能とし、器具先端61が同軸供給ケーブル71に対して最初の位置から回転されるときに器具先端61を最初の回転位置へと戻す伸縮ばねとしても機能する。
【0215】
可撓性伝達ストリップ19はしたがって、
図3Aから
図8に示された実施形態において第2の同軸供給ケーブル及びばねの両方を交換して良い。本実施形態の他の特徴及び対応する利点は、
図3Aから
図8に示された実施形態の他の特徴と同じであって良い。
【0216】
当然のことながら、他の実施形態において、
図9の可撓性伝達線19によって提供される付勢力の代わりにまたはそれに加えて、付勢力を提供するために捩じりばねも可撓性伝達線周りに提供されても良い。
【0217】
図10は、器具の遠位部分の回転を制御するための別の機構を有する実施形態を示す。以下の記載は、主に回転機構に関する。この回転機構は、前述の実施形態と関連して上述された任意の回転可能な接続と結合されて良く、本実施形態は、互換性のある、上述の実施形態の任意の特徴を有して良い。
【0218】
図10に示された実施形態は、主要同軸供給ケーブル83と、実施においてマイクロ波周波数または高周波エネルギーを供給するために生成器に接続される近位端と、を備える。
図10において、主要同軸供給ケーブル83の遠位端85は、何にも接続されない。実施において、主要同軸供給ケーブル83の遠位端85は、前述の実施形態の任意の1つと
関連して上述されたような回転可能な接続によって器具の回転可能な遠位部分に回転可能に接続される。たとえば、主要同軸供給ケーブル83の遠位端85は、
図1Aから
図1Dに示されたような回転可能な接続によって遠位同軸ケーブルに回転可能に接続されて良い。遠位同軸ケーブルは、器具先端及び遠位同軸ケーブルが、(たとえば上述のような)器具の回転可能な遠位部分として回転可能な接続を介して主要同軸供給ケーブル83に対して共に回転可能ように、次いで器具先端に固定されて良い。
【0219】
図10に示された実施形態は、主要同軸供給ケーブル83の遠位端85を包囲する管状スリーブ部分86を有する。実施において、管状スリーブ部分86は、たとえば管状スリーブ部分85が器具の回転可能な遠位部分と共に回転するように器具先端に直接固定された、器具の回転可能な遠位部分に固定される。管状スリーブ部分は、代わりにスカート部または中空円筒部と称されても良い。実施において、スリーブ部分が管状または円筒形状を有することは必須ではない。
【0220】
図10に示された実施形態において器具の遠位部分の回転、したがって器具先端の回転は、以下に説明されるようにスリーブ部分86に結合される軸方向に移動する駆動要素87によってスリーブ部分86の回転を生じさせることによって実現される。駆動要素87は、ロッド状またはケーブル状であり、たとえば液体を、器具先端に隣接した組織内へと吐出するための針であって良い。
【0221】
駆動要素87は、駆動器案内部89(針案内部)による主要同軸供給ケーブル83に対する軸方向以外のいかなる方向への移動も防がれる。駆動器案内部89は、駆動器が摺動可能に受容される軸方向通路またはスロットを有する主要同軸供給ケーブル83(及び/または外部ハウジング)に固定された管状またはリング状部材を備える。このように、駆動要素87は、主要同軸供給ケーブル83に対して軸方向にのみ動かすことができる。
【0222】
駆動要素87は、螺旋状部分91を有し、駆動器は、螺旋形状に形成されまたは曲げられる。螺旋状部分91は主要同軸供給ケーブル83の外部表面周りに配置される。
【0223】
管状スリーブ部分86は、駆動要素87が主要同軸供給ケーブル83に対して軸方向に動かされるときに螺旋状部分91によって画定される螺旋状経路に追従する、その近位端に隣接した追従部93を有する。
図11の拡大図により明確に示されるように、追従部93は、主要同軸供給ケーブル83を包囲してこれを通して駆動要素87の螺旋状部分91が通過する通路またはスロット95を有する、管状スリーブ部分86の内部表面に固定されるリングを備える。
【0224】
管状スリーブ部分は、たとえば1つまたは複数の軸方向停止部によって主要同軸供給ケーブル83に対して軸方向に移動するのを防がれる。したがって、駆動器要素87が軸方向に動かされるとき、追従部93の通路またはスロット95を通る駆動器の螺旋状部分の軸方向運動は、これは軸方向に動くのを防がれ、追従部93の回転を生じさせ、回転の方向は、駆動要素87の運動の軸方向に依存する。追従部93の回転は、それらが共に固定されるため、管状スリーブ部分86の回転を生じさせる。さらに、管状スリーブ部分86の回転は、管状スリーブ部分86がたとえば器具先端に直接固定されることによって器具の遠位端に固定されるため、器具の遠位端の回転を生じさせる。このように、駆動要素87の軸方向運動は器具先端の回転を生じさせ、器具先端の回転の方向は駆動要素87の運動の軸方向に依存する。
【0225】
本実施形態と前述の実施形態との間の重要な違いは、螺旋状部分91と追従部93との間の相互作用が、軸方向のいずれかの駆動要素87の運動が器具先端の回転を生じさせるようであることにある。たとえば、遠位軸方向における駆動要素87の運動は、器具先端
の時計回りの回転を生じさせて良く、一方で近位軸方向における駆動要素87の運動は、器具先端の反時計回り(逆時計回り)回転を生じさせて良く、またはその逆でも良い。
【0226】
このように、本実施形態により、駆動要素87を最初の軸方向位置へと軸方向に戻して動かすことによって器具先端が代わりに最初の回転位置に戻され得るため、駆動要素87の軸方向運動によって一度それが回転されると、器具先端を所定の回転位置に戻すための付勢手段の提供は不要である。言い換えれば、駆動要素87は、器具先端をいずれかの方向に回転させるために使用され得る。
【0227】
適した電気的接続は、たとえば前述の実施形態の任意の1つと関連して上述したような回転可能な接続により、主要同軸供給ケーブル83の遠位端85と器具先端との間の回転可能な接続を提供することによって、回転の間、主要同軸供給ケーブル83と器具先端との間で維持され得る。
【0228】
図10及び
図11に示されるように、
図10及び
図11に示された主要同軸供給ケーブル83、駆動器87及び他の構成要素を封入するために外部シースが存在して良い。
【0229】
本発明に係るさらなる実施形態による電気手術器具は、
図12に示される。
図12の実施形態は、電気手術器具の器具先端の回転を実現するための、前述した実施形態とは異なる機構を有する。
【0230】
図12の実施形態において、電気手術器具先端97は、器具先端97が同軸供給ケーブル99に対して回転できないように、同軸供給ケーブル99の遠位端で固定される。同軸供給ケーブル99の内部及び外部導電体は、たとえば前述の実施形態と関連して上述されたように器具先端97のそれぞれの導電性要素に接続される。
【0231】
同軸供給ケーブル99は、管状ハウジングまたはシース101内に配置される。ベアリング103は、同軸供給ケーブル99がシース101内で回転可能なように、同軸供給ケーブル99とシース101との間に配置される。
図12に示された実施形態において、2つのベアリング103が提供され、シース101の近位端に隣接した1つ及びシース101の遠位端に隣接した1つである。しかしながら、他の実施形態において、ベアリング103は、異なって配置されて良く、及び/またはさらなるベアリング103が提供されて良い。たとえば、付加的なベアリング103を
図12に示されるベアリング103に提供することは、たとえばシース101、およびそれゆえに同軸供給ケーブル99が曲げられるときに、シース101内での同軸供給ケーブル99の滑らかな回転を確実とし得る。さらなるベアリング103の提供がない場合、いくつかの状況において、シース101が曲げられてシース101内での同軸ケーブル99の回転を制限するときに同軸供給ケーブル99がシース101と接触し得ることが可能である。
【0232】
ベアリング103の存在は、同軸供給ケーブル99全体をシース101に対してシース101内で回転させることによって器具先端97がシース101に対して回転され得ることを意味する。ベアリング103として、たとえば、ボールベアリングのような回転要素を含む回転要素ベアリングまたはブラシベアリングといったベアリングの任意の適した形式が使用されて良い。
【0233】
流体のシース101内への浸入を防ぐため、シース101の遠位端と隣接してシールが提供されて良い。
【0234】
ベアリング103は、針が、シース101に沿って送られる器具先端97と隣接した組織内へと流体を吐出させるのを可能とするために、軸方向に配列された部分的周切り取り
部、通路または開口部を有して良い。
【0235】
上述の任意の実施形態において、器具先端は、半波長共鳴器/半波長区分であって良い。言い換えれば、器具先端は実質的にλ/2に等しい長さを有して良く、ここにおいてλは、器具先端において所定の周波数を有するマイクロ波周波数エネルギーの波長である。所定の周波数は5.8GHzであって良い。このように、器具先端は組織負荷のインピーダンスに対して本質的に透過的であって良い。
【0236】
そのような器具先端により、インピーダンス整合区分も、器具先端における組織負荷のインピーダンスを所定の周波数で同軸供給ケーブルのインピーダンスに整合させるために提供されても良い。インピーダンス整合区分は、インピーダンス変換器を備えて良い。インピーダンス変換器の長さは、
【0237】
【0238】
に実質的に等しくて良く、ここにおいてnはゼロ以上の整数であり、λは所定の周波数でのインピーダンス変換器におけるマイクロ波周波数エネルギーの波長である。インピーダンス変換器は組織負荷のインピーダンスの実部を同軸供給ケーブルのインピーダンスの実部に整合して良い。
【0239】
インピーダンス整合区分は、インピーダンス変換器と器具先端の近位端との間の同軸伝達線の区分をさらに備えて良い。同軸伝達線の区分は、組織負荷のインピーダンスの反応(虚)部を効果的に取り除くように構成された長さを有して良い。この場合、インピーダンス変換器は、同軸伝達線の区分によって変更されたときに組織負荷のインピーダンスの実部を同軸供給ケーブルのインピーダンスの実部に整合して良い。
【0240】
同軸伝達線の区分のインピーダンスは、たとえば50オームの同軸供給ケーブルのインピーダンスと同じであって良い。
【0241】
別の構成において、器具先端における組織負荷のインピーダンスの所定の周波数での同軸供給ケーブルのインピーダンスへの整合のため、器具先端の特性インピーダンスが実質的に同軸供給ケーブルの特性インピーダンスに等しくて良い。さらに、遠位部分は、同軸供給ケーブルの特性インピーダンスをマイクロ波周波数エネルギーの所定の周波数で器具先端と接触した組織負荷のインピーダンスへと整合するためのインピーダンス整合区分を備えて良い。インピーダンス整合区分は、器具先端の近位端に接続された同軸伝達線の長さと短絡スタブとを備えて良い。繰り返すと、同軸伝達線の短い長さは、組織負荷のインピーダンスの反応(虚)部成分を本質的に取り除いて良く、短絡スタブは、次いで残りの実部インピーダンスを同軸供給線のインピーダンスに整合して良い。
【0242】
器具先端における組織負荷のインピーダンスを所定の周波数での同軸供給ケーブルのインピーダンスへと整合するための別の構成において、インピーダンス整合は、2つのまたは3つの残りスタブチューナによって実現されて良い。