(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】什器
(51)【国際特許分類】
A47B 13/02 20060101AFI20220623BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20220623BHJP
A47B 97/00 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
A47B13/02
A47B13/00 Z
A47B97/00 M
A47B13/00 B
(21)【出願番号】P 2018022302
(22)【出願日】2018-02-09
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】内野 学
(72)【発明者】
【氏名】北田 一彦
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-267653(JP,A)
【文献】特開2004-324671(JP,A)
【文献】特開2011-177586(JP,A)
【文献】特開2015-104584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0255957(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 13/02
A47B 13/00
A47B 97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに第一方向に離間して床面上に立設された一対の脚体と、
前記一対の脚体により下方から支持された天板と、
前記一対の脚体間に架設され、前記第一方向に沿って延びる取付け部が設けられた補強部材と、
前記一対の脚体間の前記床面上に立設され、前記取付け部の前記第一方向に沿う
任意の位置に選択的に取付けられる固定部を有し、前記補強部材を下方から支持する補助脚体と、
を備え
、
前記固定部は、前記第一方向に沿って延びる上部補強部材及び連結金具を有し、
前記上部補強部材及び前記連結金具は、前記取付け部を上下方向に挟み込む什器。
【請求項2】
前記補助脚体は、前記床面に沿うとともに前記第一方向に直交する第二方向において、前記補強部材の範囲内に配置されている
請求項1に記載の什器。
【請求項3】
前記補強部材は、前記一対の脚体間に、前記床面に沿うとともに前記第一方向に直交する第二方向に互いに間隔を空けて架設された第一補強片及び第二補強片を有し、
前記第一補強片と前記第二補強片との間に、配線が挿通される第一配線挿通空間が形成されている請求項1
又は2に記載の什器。
【請求項4】
前記第一補強片の下端部、及び前記第二補強片の下端部に、前記取付け部がそれぞれ設けられている
請求項3に記載の什器。
【請求項5】
前記補助脚体は、前記第二方向に互いに間隔を空けて配置された第一補助片及び第二補助片を有し、
前記第一補助片と前記第二補助片との間に、前記配線が挿通され、前記第一配線挿通空間に連通する第二配線挿通空間が形成されている請求項
3又は4に記載の什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィス等の執務空間では、執務効率を向上させるために執務作業面を形成する天板が設けられた什器が多く使用されている。什器をこのように構成することにより、使用する物品(特には電子機器や書類等)を天板上に載置して執務を行うことができるため、執務効率を向上させることができる。
【0003】
この種の什器では、床面上に互いに左右方向(第一方向)に離間して脚体を立設するとともに、一対の脚体間に天板及び補強部材を架設させた構成が一般的である(例えば、特許文献1及び2参照)。什器をこのように構成することにより、什器を簡易的かつ安価に構成することができる。また、一対の脚体間の距離を長くすることによって、一つの什器を複数の執務者が天板上の左右方向に沿う外縁部に沿って並んで使用することができる。そして、什器全体としてのコストを低く抑えることができる。さらに、この構造の什器では、脚体が左右方向の端部のみに設けられ、左右方向の中間部に配設されない。このため、この什器は、什器の下肢空間(天板よりも下方かつ床面よりも上方の空間)を広く確保することができるというメリットも有している。
【0004】
ただし、これらの構造の什器では、一対の脚体と、一対の脚体間に架設された天板及び補強部材によって什器全体が支持される。このため、一対の脚体間の距離が長くなればなるほど、脚体、天板、及び補強部材自体の強度や互いの連結強度を高める必要があり、構造の複雑化や製造コストの増大の原因となる場合がある。
【0005】
こうした問題に対応するため、一対の脚体間において、天板の下方を左右方向に移動自在なワゴンを用いて天板を下方から支持する什器が発明されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3の什器によれば、所望の位置にワゴンを配して天板を支持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4855900号公報
【文献】特許第5209523号公報
【文献】特許第5052358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3の什器では、左右方向において、ワゴンを配置したい位置と、一対の脚体及び補強部材を補強したい位置とが異なり、ワゴンを配置したい位置を優先する場合には、一対の脚体及び補強部材を所望の位置で補強できないという問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、第一方向の位置を変更可能に一対の脚体及び補強部材を補強することができる什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の什器は、互いに第一方向に離間して床面上に立設された一対の脚体と、前記一対の脚体により下方から支持された天板と、前記一対の脚体間に架設され、前記第一方向に沿って延びる取付け部が設けられた補強部材と、前記一対の脚体間の前記床面上に立設され、前記取付け部の前記第一方向に沿う任意の位置に選択的に取付けられる固定部を有し、前記補強部材を下方から支持する補助脚体と、を備え、前記固定部は、前記第一方向に沿って延びる上部補強部材及び連結金具を有し、前記上部補強部材及び前記連結金具は、前記取付け部を上下方向に挟み込むことを特徴としている。
この発明によれば、床面上に立設される補助脚体の固定部は、取付け部の第一方向に沿ういずれかの位置に選択的に取付けられるため、補助脚体により、第一方向の位置を変更可能に一対の脚体及び補強部材を補強することができる。
【0012】
また、上記の什器において、前記補助脚体は、前記床面に沿うとともに前記第一方向に直交する第二方向において、前記補強部材の範囲内に配置されていてもよい。
この発明によれば、執務者が使用しない空間に補助脚体を配置することができるため、、下肢空間を広く確保し、什器を使用する際の使い勝手を向上させることができる。
【0013】
また、上記の什器において、前記補強部材は、前記一対の脚体間に、前記床面に沿うとともに前記第一方向に直交する第二方向に互いに間隔を空けて架設された第一補強片及び第二補強片を有し、前記第一補強片と前記第二補強片との間に、配線が挿通される第一配線挿通空間が形成されていてもよい。
この発明によれば、什器で使用する電子機器の配線を、執務者が使用しない補強部材の第一配線挿通空間内に納めることができ、什器としての使い勝手を良好にすることができる。
【0014】
また、上記の什器において、前記第一補強片の下端部、及び前記第二補強片の下端部に、前記取付け部がそれぞれ設けられていてもよい。
この発明によれば、補強部材における補助脚体に近い部分に取付け部が設けられるため、補助脚体を補強部材に簡易的かつ安価な構成で取付けることができる。
【0015】
また、上記の什器において、前記補助脚体は、前記第二方向に互いに間隔を空けて配置された第一補助片及び第二補助片を有し、前記第一補助片と前記第二補助片との間に、前記配線が挿通され、前記第一配線挿通空間に連通する第二配線挿通空間が形成されてもよい。
この発明によれば、電子機器の配線を、第一配線挿通空間内を通して、執務者が使用しない補助脚体の第二配線挿通空間内に納め、床面により近い場所まで引き回すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の什器によれば、第一方向の位置を変更可能に一対の脚体及び補強部材を補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】
図1中のIII-III線に相当する断面図である。
【
図9】同補助脚体の要部を平面視した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る什器の一実施形態を、
図1から
図9を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の什器1は、互いに左右方向(第一方向)Xに離間して配置された一対の脚体11と、一対の脚体11により下方から支持された天板21と、一対の脚体11間に架設された補強部材31と、補強部材31を下方から支持する補助脚体66と、を備えている。
【0019】
脚体11は、左右方向Xが厚さ方向となる板状に形成されている。脚体11は、左右方向Xに見たときに、矩形状に形成されている。脚体11は、床面F上に立設されている。
本実施形態では、一対の脚体11の間に、中間脚体16が配置されている。中間脚体16は、上下方向Zに延びる脚本体部17と、脚本体部17の上端部に固定された横梁部18と、を備えている。なお、什器1は中間脚体16を備えなくてもよい。
脚本体部17は柱状に形成され、床面F上に立設されている。横梁部18は、脚本体部17の上端部から前後方向(第二方向)Yの一方側及び他方側にそれぞれ延びている。なお、前後方向Yは、床面Fに沿うとともに左右方向Xに直交する方向であり、補強部材31の幅方向である。
横梁部18の前後方向Yの中央部が、脚本体部17の上端部に固定されている。
【0020】
天板21は、上下方向Zに見た平面視で左右方向Xに長い矩形状に形成されている。天板21は、4枚の天板片22~25が格子状に配置されて構成されている。天板片22~25は、平面視で左右方向Xに長い矩形状に形成されている。天板片22~25の下面には、図示しないナットが埋め込まれている。
天板片22,23は、左右方向Xに隙間を空けずに並べて配置されている。天板片24,25は、左右方向Xに隙間を空けずに並べて配置されている。天板片22と天板片24とは、前後方向Yに隙間S1を空けて並べて配置されている。天板片23と天板片25とは、前後方向Yに隙間S1を空けて並べて配置されている。
天板片22~25は、図示しないボルトを天板片22~25のナットに嵌め合わせることにより、一対の脚体11、及び中間脚体16の横梁部18に固定されている。
【0021】
補強部材31の前後方向Yの長さは、天板21の前後方向Yの長さよりも短い。補強部材31は、第一補強部材32Aと、第二補強部材32Bと、を備えている。
第一補強部材32Aは、一対の脚体11の一方である脚体11Aと中間脚体16との間に架設されている。第二補強部材32Bは、一対の脚体11の他方である脚体11Bと中間脚体16との間に架設されている。補強部材32A,32Bは、一対の脚体11間に中間脚体16を介して架設されている。
【0022】
本実施形態では、第一補強部材32Aの構成と第二補強部材32Bの構成とは、互いに同一である。このため、第一補強部材32Aの構成を、数字、又は数字及び英小文字に英大文字「A」を付加することで示す。第二補強部材32Bのうち第一補強部材32Aに対応する構成を、第一補強部材32Aと同一の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「B」を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。例えば、第一補強部材32Aの後述する支持体34Aと第二補強部材32Bの後述する支持体34Bとは、互いに同一の構成である。後述する第一支持脚67A、第二支持脚67B等についても同様である。
【0023】
図3に示すように、第一補強部材32Aは、互いに前後方向Yに離間して配置された一対の支持体34A,35Aを備えている。支持体34Aは、支持体35Aよりも前後方向Yの一方である前方に配置されている。支持体34Aは、第一補強片37Aと、内向き折曲り片38Aと、上片39Aと、支持片40Aと、を備えている。
第一補強片37Aは、前後方向Yが厚さ方向となる板状に形成されている。第一補強片37Aは、脚体11Aと中間脚体16との間に架設されている。
内向き折曲り片38Aは、第一補強片37Aの左右方向Xの各端部にそれぞれ形成されている。内向き折曲り片38Aは、取付けねじ42Aにより中間脚体16及び脚体11に固定されている。
【0024】
上片39Aは、第一補強片37Aの上端部から後方に向かって延びている。上片39Aは、天板片22における後方(隙間S1側)の外縁部の下面に接触している。すなわち、本実施形態では、第一補強部材32Aは天板片22,24を下方から支持している。なお、第一補強部材32Aは天板片22,24から下方に離間していてもよい。
支持片40Aは、第一補強片37Aの下端部に設けられている。支持片40Aは、第一補強片37Aの下端部から後方に向かって延びるとともに、後端部を上方に向かって折り曲げられ、さらに上端部を前方に向かって折り曲げられている。支持片40Aにおいて、後方に向かって延びる長さは、前方に向かって折り曲げられる長さよりも長い。支持片40Aは、前方が開口するコ字状に形成されている。
第一補強片37A、上片39A、及び支持片40Aのそれぞれは、左右方向Xの所定の範囲にわたって延びている。支持片40Aにより構成される取付け部41Aは、レール状に形成され、左右方向Xに沿って延びている。取付け部41Aの左右方向Xに沿ういずれかの位置には、補助脚体66が取付けられる。取付け部41Aは、第一補強片37Aの下端部に設けられている。
【0025】
支持体35Aは、支持体34Aの第一補強片37A、内向き折曲り片38A、上片39A、支持片40Aと同様に構成された第二補強片44A、内向き折曲り片45A、上片46A、支持片47Aを備えている。前後方向Yに直交し、隙間S1を通る基準面P1に対して、第二補強片44A、内向き折曲り片45A、上片46A、支持片47Aは、第一補強片37A、内向き折曲り片38A、上片39A、支持片40Aと面対称に形成されている。
内向き折曲り片45Aは、取付けねじ49Aにより中間脚体16及び脚体11に固定されている。支持片47Aにより構成される取付け部48Aは、左右方向Xに沿って延びている。取付け部48Aは、第二補強片44Aの下端部に設けられている。
【0026】
第二補強片44A及び第一補強片37Aは、前後方向Yに互いに間隔を空けて配置されている。第一補強片37Aと第二補強片44Aとの間に、什器1で使用する図示しない電子機器の配線Cが挿通される第一配線挿通空間S3が形成されている。
同様に、上片46A及び上片39A、支持片47A及び支持片40Aのそれぞれは、前後方向Yに互いに間隔を空けて配置されている。
【0027】
支持体34A,35Aの支持片40A,47Aには、
図3及び
図4に示す配線トレー52が載置されている。配線トレー52は、硬質の合成樹脂材等で形成されている。配線トレー52は、載置板53と、上向き片54と、下向き片55と、落ち止め片56と、を備えている。
載置板53は、平面視で左右方向Xに長い矩形状に形成されている。載置板53には、載置板53を上下方向Zに貫通する小孔53aが複数形成されている。上向き片54は、載置板53の前後方向Yの各端部から上方に向かって突出している。下向き片55は、載置板53の前後方向Yの各端部から下方に向かって突出している。
一対の下向き片55間の前後方向Yの距離は、一対の上向き片54の前後方向Yの外側の距離よりも長い。一対の下向き片55の前後方向Yの外側の距離は、支持片40A,47A間の前後方向Yの距離よりも長く、補強片37A,44A間の前後方向Yの距離よりも短い。
【0028】
落ち止め片56は、載置板53の左右方向Xの各端部から、上方及び下方に向かってそれぞれ突出している。落ち止め片56には、什器1で使用する図示しない電子機器の配線Cを左右方向Xに導出させる切欠き56aが形成されている。
【0029】
このように構成された配線トレー52は、第一補強部材32Aの補強片37A,44A間に納まる。また、配線トレー52の一対の上向き片54を、別の配線トレー52の一対の下向き片55で前後方向Yのに挟むことにより、上下方向Zに積み重ねられた複数の配線トレー52を倒れにくくすることができる。
【0030】
図3に示すように、天板片22と天板片24との間の隙間S1等には、平板状のカバー部材59が取付けられている。カバー部材59は、カバー部材59の左右方向Xの各端部において、支持ブラケット60により支持されている。より詳しく説明すると、支持ブラケット60の上端部には、一対の支軸61の端部が固定されている。一対の支軸61は、左右方向Xに延び、前後方向Yに互いに間隔を空けて配置されている。
支持ブラケット60は、第一補強部材32Aの左右方向Xの各端部に取付けねじ62により固定されている。
【0031】
カバー部材59に形成された係合溝59aは、支軸61に係合する。カバー部材59は、支軸61に係合溝59aが係合した状態で、支軸61周りに
図3中に二点鎖線で示すように回転可能である。
【0032】
図1及び
図5に示すように、補助脚体66は、一対の脚体11間の床面F上に立設され、補強部材31の取付け部41A,48Aに取付けられている。以下では、補強部材31の第一補強部材32Aに取付けられている補助脚体66について説明するが、第二補強部材32Bに取付けられている補助脚体66についても同様である。
図6から
図8に示すように、補助脚体66は、第一支持脚67Aと、第二支持脚67Bと、上部補強部材68と、下部補強部材69と、連結金具70と、を備えている。なお、
図6及び
図7では、連結金具70を示していない。
第一支持脚67Aは、第一補助片73Aと、支持片74A,75Aと、を備えている。
第一補助片73Aは、前後方向Yに見たときに上下方向Zに長い矩形の板状に形成されている。
支持片74Aは、第一補助片73Aの左右方向Xの一方である右側の端部に設けられている。支持片74Aは、第一補助片73Aの右端部から後方に向かって延びるとともに、後端部を左側に向かって折り曲げられ、さらに左端部を前方に向かって折り曲げられている。支持片74Aにおいて、後方に向かって延びる長さは、前方に向かって折り曲げられている長さよりも長い。支持片74Aは、前方が開口するコ字状に形成されている。
支持片74Aにおける後方を向く面には、係合部76Aが2つ固定されている。なお、
図8では係合部76A,76Bを簡略化して示している。
【0033】
図9に示すように、係合部76Aは、小径部76aAと、小径部76aAよりも外径が大きい大径部76bAと、を備えている。例えば、小径部76aA及び大径部76bAは、円筒状に形成されている。小径部76aA及び大径部76bAは、同軸上に配置されている。小径部76aAは支持片74Aよりも後方に配置され、大径部76bAは小径部76aAよりも後方に配置されている。小径部76aAと大径部76bAとの間には、小径部76aAの全周にわたって段部が形成されている。
図8に示すように、2つの係合部76Aは、支持片74Aに上下方向Zに互いに間隔を空けて配置されている。
【0034】
支持片75Aは、左右方向Xに直交する基準面に対して支持片74Aと面対称に形成されている。すなわち、支持片75Aは、第一補助片73Aの左端部に設けられている。支持片75Aは、第一補助片73Aの左端部から後方に向かって延びるとともに、後端部を右側に向かって折り曲げられ、さらに右端部を前方に向かって折り曲げられている。支持片75Aは、前方が開口するコ字状に形成されている。
支持片75Aにおける後方を向く面には、係合部76Aが2つ固定されている(不図示)。
【0035】
図6から
図8に示すように、第二支持脚67Bは、第一支持脚67Aの第一補助片73A、支持片74A,75Aと同様に構成された、第二補助片73B、支持片74B,75Bを備えている。支持片74B,75Bにおける前方を向く面には、係合部76Bがそれぞれ2つ固定されている。
図5に示すように、第二補助片73B及び第一補助片73Aは、前後方向Yに互いに間隔を空けて配置されている。第一補助片73Aと第二補助片73Bとの間には、配線Cが挿通され、第一配線挿通空間S3に連通する第二配線挿通空間S4が形成されている。すなわち、配線トレー52上の配線Cを、第一配線挿通空間S3から第二配線挿通空間S4を通して、床面Fにより近い場所まで引き回すことができる。
第一支持脚67A及び第二支持脚67Bは、前後方向Yに互いに間隔を空けて配置されている。
【0036】
図7に示すように、上部補強部材68は、平面視で前後方向Yに長い矩形の板状に形成されている。
図7及び
図8に示すように、上部補強部材68の右側及び左側の外縁部における前後方向Yの中央部には、切欠き68aがそれぞれ形成されている。切欠き68aは、第一支持脚67Aと第二支持脚67Bとを配置する間隔に対応して形成されている。上部補強部材68には、上部補強部材68を上下方向Zに貫通する貫通孔68bが形成されている。
上部補強部材68は、支持脚67A,67Bの上端部に溶接等により固定されている。
図5に示すように、上部補強部材68は、支持片40A,47Aに、支持片40A,47Aの下方から接触している。
【0037】
図8に示すように、下部補強部材69は、貫通孔68b以外は、上部補強部材68と同様に構成されている。下部補強部材69の右側及び左側の外縁部における前後方向Yの中央部には、切欠き69aがそれぞれ形成されている。下部補強部材69の前後方向Yの端部には、下部補強部材69の高さを調節するためのアジャスタ77がそれぞれ固定されている。
下部補強部材69は、支持脚67A,67Bの下端部に溶接等により固定されている。
【0038】
図5及び
図8に示すように、連結金具70は、金具本体80と、連結片81と、ナット82と、を備えている。
金具本体80は、左右方向Xに見たときに下方が開口するコ字状に形成されている。金具本体80は、支持片40A,47Aに前後方向Yに係合している(
図5参照)。
連結片81は、金具本体80における基準面P1側の下端部から前後方向Yに沿って基準面P1側に突出している。
ナット82は、連結片81に固定されている。ナット82は、上部補強部材68の貫通孔68bに対応する位置に配置されている。
【0039】
ナット82には、上部補強部材68の貫通孔68bに挿入したボルト83が、上部補強部材68の下方から嵌め合わせられている。なお、上部補強部材68、連結金具70、及びボルト83で、補強部材31の取付け部41A,48Aの左右方向Xに沿ういずれかの位置に選択的に補助脚体66を取付ける固定部84を構成する。
ボルト83がナット82に向かって締め込まれていることにより、連結金具70の金具本体80及び上部補強部材68で、第一補強部材32Aの支持片40A,47Aを上下方向Zに挟み込んでいる。こうして、第一補強部材32Aに補助脚体66が取付けられている。
【0040】
図6から
図8に示すように、本実施形態では、支持脚67A,67Bにおいて、支持片74A,74Bの間、支持片75A,75Bの間の一部は、カバー87A,87Bにより塞がれている。
カバー87Aは、カバー本体88Aと、支持片89A,90Aと、を備えている。カバー本体88Aは、左右方向Xに見たときに上下方向Zに長い矩形の板状に形成されている。カバー本体88Aの上方及び下方の外縁部における前後方向Yの中央部には、切欠き88aAがそれぞれ形成されている。
支持片89Aは、カバー本体88Aの前端部から左側に向かって突出している。支持片89Aには、被係合部89aAが2つ形成されている。被係合部89aAは、支持片89Aの左端部から右側に向かって所定の長さ延び、さらにその右端部から上方に向かって所定の長さ延びている。被係合部89aAは、第一支持脚67Aの支持片74Aに設けられた係合部76Aに対応して形成されている。
【0041】
同様に、図示はしないが、支持片90Aには、第二支持脚67Bの支持片74Bに設けられた係合部76Bに対応した被係合部90aAが2つ形成されている。
図9に示すように、カバー87Aの被係合部89aAに、第一支持脚67Aの係合部76Aの小径部76aAが係合する。同様に、カバー87Aの被係合部90aAに、第二支持脚67Bの係合部76Bの小径部が係合する。こうして、支持脚67A,67Bにカバー87Aが取付けられている。
【0042】
図8に示すように、カバー87Bは、カバー87Aのカバー本体88A、支持片89A,90Aと同様に構成されたカバー本体88B、支持片89B,90Bを備えている。
カバー87A,87Bは、第二配線挿通空間S4を左右方向Xに挟むように配置されている。
【0043】
図5に示すように補助脚体66は、前後方向Yにおいて、補強部材31の範囲内に配置されている。すなわち、補助脚体66の前後方向Yの長さは、補強部材31の第一補強部材32Aの前後方向Yの長さと同等か、第一補強部材32Aの前後方向Yの長さよりもわずかに短い。
補助脚体66の前後方向Yの長さがこのように設定されているため、執務者が使用しない第一補強部材32Aの下方の空間に補助脚体66を配置することができる。従って、執務者の下肢空間を広く確保し、什器1を使用する際の使い勝手が向上する。
【0044】
以上のように構成された什器1において、第一補強部材32Aに対して補助脚体66が取付けらている左右方向Xの位置を変更するには、以下に説明する工程を行う。
まず、補助脚体66において、支持脚67A,67Bに対してカバー87Aを上方に移動させ、さらに右側に移動させる。こうして、カバー87Aの被係合部89aA,90aAと支持脚67A,67Bの係合部76A,76Bとの係合を解除し、補助脚体66からカバー87Aを取外す。
補助脚体66のボルト83をナット82とは反対側に向かって回転させて、ボルト83を緩める。アジャスタ77により補助脚体66の高さを適宜調節し、補助脚体66の左右方向Xの位置を変更する。
【0045】
ボルト83をナット82に向かって締め込み、これまで補助脚体66が取付けられていた取付け部41A,48Aの左右方向Xに沿う位置とは異なる、取付け部41A,48Aの左右方向Xに沿う位置に補助脚体66を取付ける。
支持脚67A,67Bに対してカバー87Aを左側に移動させ、さらに下方に移動させる。こうして、カバー87Aの被係合部89aA,90aAと支持脚67A,67Bの係合部76A,76Bとを係合させる。こうして、支持脚67A,67Bにカバー87Aを取付ける。
このように、カバー87A,87Bは支持脚67A,67Bに着脱可能である。
以上の工程を行うことにより、第一補強部材32Aに対して補助脚体66が取付けられている左右方向Xの位置が変更される。
【0046】
なお、本実施形態の什器1では、什器1の強度を補強する目的でワゴンを用いる必要がない。このため、左右方向Xにおいてワゴンを配置したい位置と、一対の脚体11及び補強部材31を補助脚体66により補強したい位置とが異なるという問題が生じることがない。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の什器1によれば、床面F上に立設される補助脚体66の固定部84は、取付け部41A,48Aの左右方向Xに沿ういずれかの位置に選択的に取付けられるため、補助脚体66により、左右方向Xの位置を変更可能に一対の脚体11及び補強部材31を補強することができる。
【0048】
補助脚体66は、前後方向Yにおいて補強部材31の範囲内に配置されている。このため、執務者が使用しない空間に補助脚体66を配置することができる。従って、下肢空間を広く確保し、什器1を使用する際の使い勝手を向上させることができる。
補強部材31の第一補強片37Aと第二補強片44Aとの間に、第一配線挿通空間S3が形成されている。これにより、什器1で使用する電子機器の配線Cを執務者が使用しない補強部材31の第一配線挿通空間S3内に納めることができ、什器1としての使い勝手を良好にすることができる。
【0049】
補強片37A,44Aの下端部に、取付け部41A,48Aが設けられている。補強部材31における補助脚体66に近い部分に取付け部41A,48Aが設けられるため、補助脚体66を補強部材31に簡易的かつ安価な構成で取付けることができる。
補助脚体66の第一補助片73Aと第二補助片73Bとの間に、第二配線挿通空間S4が形成されている。従って、電子機器の配線Cを、第一配線挿通空間S1内を通して、執務者が使用しない補助脚体66の第二配線挿通空間S4内に納め、床面Fにより近い場所まで引き回すことができる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、補強部材31に、取付け部41A,48Aが左右方向Xに沿って延びているとした。しかし、取付け部は、補強部材31に左右方向Xに沿う互いに異なる複数の位置に設けられてもよい。この場合、例えば、補強部材に左右方向Xに沿って、複数のナット(取付け部)を互いに異なる位置に設ける。補助脚体に挿入したボルト(固定部)を複数のナットのいずれか1つに選択的に取付けることにより、補強部材に補助脚体が取付けられる。
このように構成することにより、床面F上に立設される補助脚体66のボルトは、左右方向Xに沿って配置された複数のナットのいずれか1つに選択的に取付けられるため、補助脚体66により、左右方向Xの位置を変更可能に一対の脚体11及び補強部材31を補強することができる。
【0051】
補助脚体66の前後方向Yの長さは、補強部材31の前後方向Yの長さよりも長くてもよい。取付け部41A,48Aは、補強片37A,44Aにおける上下方向Zの中間部や上端部に設けられてもよい。補強部材及び補助脚体が、中実に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 什器
11 脚体
21 天板
31 補強部材
37A 第一補強片
41A,48A 取付け部
44A 第二補強片
66 補助脚体
73A 第一補助片
73B 第二補助片
84 固定部
C 配線
F 床面
S3 第一配線挿通空間
S4 第二配線挿通空間
X 左右方向(第一方向)
Y 前後方向(第二方向)