(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】果汁含有低アルコール飲料、果汁含有低アルコール飲料ベース、果汁含有低アルコール飲料の製造方法、及び、果汁含有低アルコール飲料の香味向上方法
(51)【国際特許分類】
C12G 3/06 20060101AFI20220623BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20220623BHJP
【FI】
C12G3/06
A23L33/10
(21)【出願番号】P 2018026460
(22)【出願日】2018-02-16
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高澄 耕次
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-299473(JP,A)
【文献】特開2017-131134(JP,A)
【文献】特開2017-131132(JP,A)
【文献】特開2009-225740(JP,A)
【文献】特開2016-124833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12G 3/06
A23L 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール度数が1%以上4.5%未満である果汁含有低アルコール飲料であって、
甘味度が25g/L以下であり、R-リナロールの含有量が
0.4~10mg/Lであり、オクタナールの含有量が0.06~
0.5mg/Lである果汁含有低アルコール飲料。
【請求項2】
前記果汁の由来となる果実が柑橘類果実である請求項1に記載の果汁含有低アルコール飲料。
【請求項3】
果汁含有低アルコール飲料ベースのアルコール度数をA%とし、甘味度をSg/Lとし、R-リナロールの含有量をXmg/Lとし、オクタナールの含有量をYmg/Lとし、希釈倍率をD倍とした場合において、
A/Dが1以上4.5未満であり、S/Dが25以下であり、X/Dが
0.4~10であり、Y/Dが0.06~
0.5である果汁含有低アルコール飲料ベース。
【請求項4】
果汁含有低アルコール飲料の製造方法であって、
アルコール度数を1%以上4.5%未満とし、甘味度を25g/L以下とし、R-リナロールの含有量を
0.4~10mg/Lとし、オクタナールの含有量を0.06~
0.5mg/Lとする工程を含む果汁含有低アルコール飲料の製造方法。
【請求項5】
アルコール度数が1%以上4.5%未満である果汁含有低アルコール飲料のえぐみを低減するとともに後に残る甘味を抑制する香味向上方法であって、
前記果汁含有低アルコール飲料の甘味度を25g/L以下とし、R-リナロールの含有量を
0.4~10mg/Lとし、オクタナールの含有量を0.06~
0.5mg/Lとする果汁含有低アルコール飲料の香味向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果汁含有低アルコール飲料、果汁含有低アルコール飲料ベース、果汁含有低アルコール飲料の製造方法、及び、果汁含有低アルコール飲料の香味向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコール飲料の中でも低アルコール飲料は、お酒に弱い消費者や、適度に酔いたいと考える消費者等からの需要があるため、アルコール飲料の市場において一定のシェアを獲得している。
そして、低アルコール飲料に関し、より市場のニーズに合致した商品を創出すべく、様々な研究開発が進められている。
【0003】
例えば、低アルコール飲料として、特許文献1には、アルコール度数が1.0%以上3.0%未満である飲料であって、Na+及びK+を含有し、Na+/K+のモル比が0.5~60であり、Na+濃度が0.03~1.1g/Lであり、炭酸を含有する飲料が記載されている。
そして、特許文献1には、低アルコール飲料において酒らしい味わいを増強させることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているような低アルコール飲料に果汁を含有させて果汁含有低アルコール飲料とした場合、アルコール度数が高い飲料と比較すると、果汁に基づく「えぐみ」(より詳細には、果汁の酸味からくる「えぐみ」)を強く感じてしまうことを本発明者は確認した。
【0006】
そこで、本発明者は、果汁含有低アルコール飲料の「えぐみ」を低減させるべく、飲料の甘味度を上昇させることを検討した。しかしながら、果汁含有低アルコール飲料の甘味度を上昇させると、「えぐみ」は低減できるものの、強い甘さが後に残ってしまい、その結果、食事の際の飲料としてそぐわない飲料となってしまうことがわかった。
【0007】
そこで、本発明は、えぐみが低減しているとともに後に残る甘味が抑制された果汁含有低アルコール飲料、果汁含有低アルコール飲料ベース、果汁含有低アルコール飲料の製造方法、及び、果汁含有低アルコール飲料の香味向上方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、果汁含有低アルコール飲料について、果汁に基づく「えぐみ」を低減させるだけでなく、後に残る甘味を抑制させるため、様々な物質や特性に焦点をあてて数多くの実験を行った。その結果、甘味度、R-リナロール、オクタナールに着目し、これらの数値や含有量を所定範囲とすることにより、前記した課題を解決できることを見出し、本発明を創出した。
【0009】
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)アルコール度数が1%以上4.5%未満である果汁含有低アルコール飲料であって、甘味度が25g/L以下であり、R-リナロールの含有量が0.4~10mg/Lであり、オクタナールの含有量が0.06~0.5mg/Lである果汁含有低アルコール飲料。
(2)前記果汁の由来となる果実が柑橘類果実である前記1に記載の果汁含有低アルコール飲料。
(3)果汁含有低アルコール飲料ベースのアルコール度数をA%とし、甘味度をSg/Lとし、R-リナロールの含有量をXmg/Lとし、オクタナールの含有量をYmg/Lとし、希釈倍率をD倍とした場合において、A/Dが1以上4.5未満であり、S/Dが25以下であり、X/Dが0.4~10であり、Y/Dが0.06~0.5である果汁含有低アルコール飲料ベース。
(4)果汁含有低アルコール飲料の製造方法であって、アルコール度数を1%以上4.5%未満とし、甘味度を25g/L以下とし、R-リナロールの含有量を0.4~10mg/Lとし、オクタナールの含有量を0.06~0.5mg/Lとする工程を含む果汁含有低アルコール飲料の製造方法。
(5)アルコール度数が1%以上4.5%未満である果汁含有低アルコール飲料のえぐみを低減するとともに後に残る甘味を抑制する香味向上方法であって、前記果汁含有低アルコール飲料の甘味度を25g/L以下とし、R-リナロールの含有量を0.4~10mg/Lとし、オクタナールの含有量を0.06~0.5mg/Lとする果汁含有低アルコール飲料の香味向上方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る果汁含有低アルコール飲料は、甘味度の数値やR-リナロールとオクタナールとの含有量が所定範囲に特定されていることから、えぐみが低減しているとともに後に残る甘味が抑制されている。
本発明に係る果汁含有低アルコール飲料ベースは、A/D、S/D、X/D、Y/Dの値が所定範囲に特定されていることから、希釈後の果汁含有低アルコール飲料は、えぐみが低減しているとともに後に残る甘味が抑制されている。
【0011】
本発明に係る果汁含有低アルコール飲料の製造方法は、アルコール度数、甘味度、R-リナロールとオクタナールとの含有量を所定範囲とする工程を含むことから、えぐみが低減しているとともに後に残る甘味が抑制された果汁含有低アルコール飲料を製造することができる。
【0012】
本発明に係る果汁含有低アルコール飲料の香味向上方法は、甘味度の数値やR-リナロールとオクタナールとの含有量を所定範囲とすることから、えぐみを低減するとともに後に残る甘味を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る果汁含有低アルコール飲料、果汁含有低アルコール飲料ベース、果汁含有低アルコール飲料の製造方法、果汁含有低アルコール飲料ベースの製造方法、及び、果汁含有低アルコール飲料の香味向上方法を実施するための形態(本実施形態)について説明する。
【0014】
[果汁含有低アルコール飲料]
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料は、所定の甘味度があるとともに、R-リナロールと、オクタナールと、果汁と、アルコールと、を含有する。また、本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料は、発泡性であってもよい。
以下、果汁含有低アルコール飲料を構成する各成分等について説明する。
【0015】
(甘味度)
甘味度は、甘味の強さを客観的に示す尺度である。
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料では、甘味度を上昇させることによって、果汁に基づくえぐみを低減できるものの、後に残る甘味が強くなってしまう。よって、後記するR-リナロールとオクタナールとが相乗的に作用して奏する効果を考慮しつつ、えぐみを低減できるだけでなく後に残る甘味を抑制できるように、この甘味度を調製する必要がある。
【0016】
甘味度は、25g/L以下が好ましく、20g/L以下がより好ましく、15g/L以下がさらに好ましく、10g/L以下が特に好ましい。甘味度が所定値以下であることにより、後記するR-リナロールとオクタナールとが相乗的に作用して奏する効果と相まって、えぐみを低減させるとともに後に残る甘味を抑制することができる。
なお、甘味度の下限値は特に限定されないものの、えぐみをより確実に低減させるために、2g/L以上が好ましく、4g/L以上がより好ましく、6g/L以上がさらに好ましい。
【0017】
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料の甘味度は、「甘味度(g/L)」=「飲料1L中の所定甘味物質の含有量(g/L)」×「所定甘味物質の相対甘味度」により算出することができる。
ここで、「所定甘味物質の相対甘味度」とは、20℃でのショ糖(スクロース)の甘味度を1とした場合における所定甘味物質の相対的な甘味の強さである。よって、果汁含有低アルコール飲料の「甘味度」とは、「ショ糖の甘味度を1としたときの甘味度」や「ショ糖換算した甘味物質の含有量」と言い換えることもできる。
【0018】
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料に含有される甘味物質としては、特に限定されないものの、例えば、相対甘味度が0.05以上の物質であり、具体的には、以下の物質が挙げられる。なお、以下の各甘味物質の名称後の括弧内の数値は、各甘味物質の相対甘味度である。
甘味物質として、例えば、スクロース(1)、グルコース(0.69)、フラクトース(1.30)、ガラクトース(0.32)、ラクトース(0.2)、イソマルトース(0.4)、ソルビトール(0.6)、マルチトール(0.8)、キシリトール(0.83)、マンニトール(0.5)、グリシン(0.9)、D-トリプトファン(35)、アスパルテーム(200)、ネオテーム(10000)、サッカリンNa(500)、アセスルファムK(200)、サイクラミン酸Na(55)、スクラロース(600)、ステビオシド(150)、グリチルリチン(300)、アリテーム(2000)、ソーマチン(2000)、モネリン(3000)、リゾチーム(20)が挙げられる。
なお、甘味物質とは、飲料中に含有される全ての甘味物質を示すことから、当然、果汁等に由来するものも含まれる。また、飲料中に含有される甘味物質は1種類でも2種類以上でもよい。
【0019】
例えば、果汁含有低アルコール飲料のグルコースの含有量が10g/Lであり、フラクトースの含有量が5g/Lであり、スクロースの含有量が3g/Lである場合、当該飲料の甘味度は、グルコースに基づく甘味度「6.9g/L」(=10g/L×0.69)と、フラクトースに基づく甘味度「6.5g/L」(=5g/L×1.30)と、スクロースに基づく甘味度「3g/L」(=3g/L×1)とを足し合わせて、「16.4g/L」と算出することができる。
なお、果汁含有低アルコール飲料中の甘味物質の含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフ(HPLC)や、高速液体クロマトグラフ-質量分析装置(HPLC-MS)を用いて測定することができる。
【0020】
(R-リナロール)
R-リナロール(R-linalool)は、化学式C10H18Oで示されるモノテルペンアルコールに属する化合物である。
このR-リナロールは、所定の甘味度となっている果汁含有低アルコール飲料において、後記するオクタナールと相乗的に作用することにより、えぐみを低減させるだけでなく後に残る甘味を抑制することができる。
【0021】
R-リナロールの含有量は、0.2mg/L以上であるのが好ましく、0.4mg/L以上であるのがより好ましく、0.6mg/L以上であるのがさらに好ましく、0.8mg/L以上であるのが特に好ましい。R-リナロールの含有量が所定値以上であることにより、果汁含有低アルコール飲料のえぐみを低減させるだけでなく後に残る甘味を抑制できるとともに、香味の果実感(特にレモン感)を強めることもできる。
R-リナロールの含有量は、10mg/L以下であるのが好ましく、8mg/L以下であるのがより好ましく、6mg/L以下であるのがさらに好ましく、4mg/L以下であるのが特に好ましい。R-リナロールの含有量が所定値以下であることにより、果汁含有低アルコール飲料のえぐみの低減効果と後に残る甘味の抑制効果とをしっかりと発揮させることができるとともに、香味の果実感(特にレモン感)を十分に感じる状態とすることができる。
【0022】
なお、R-リナロールの含有量は、SPME-GC-MS法により測定することができる。具体的には、20mLのヘッドスペースバイアルに8mLのサンプル及び8μLの内部標準液(100mg/Lのリナロール‐d3 エタノール溶液)を添加し、密栓した。密栓したバイアルを50℃で15分間振盪した後、SPME用ファイバー(Polydimethylsiloxane/Divynylbenzene 65μm:スペルコ社製)をバイアル中のヘッドスペースに露出させる。50℃で30分間揮発性成分をファイバーに吸着させた後、注入口で3分間脱着させGC/MSにより分析する。
【0023】
GC/MS分析の測定条件は以下のとおりである。
・分析機器:7890A GC、5975C MSD(Agilent Technologies)
・カラム:RT‐BetaDEXse、30m(長さ)×0.25mm(内径)、0.25μm(膜厚)(RESTEK)
・注入モード:スプリット 10:1
・流量:1mL/分(定流量)
・注入口温度:270℃
・オーブン温度:40℃(3分)→2℃/分→104℃(0分:達温)→20℃/分→220℃(10分)
・MS検出器:SIM m/z 121及び136(R-リナロール)、124及び139(リナロール‐d3)
【0024】
上述のSPME-GC-MS法においては、試料にR‐リナロール標準液を別途添加して作成した検量線を使用する標準添加法により測定することが好ましい。また、夾雑物質の影響を受ける場合、及び/又は感度が不足する場合には、ファイバーの種類、吸着温度、吸着時間及びカラムの種類からなる群より選択される1以上の条件を適宜変更すること、及び/又は、GC/MS/MS又は2次元GC-MSを使用することが好ましい。
また、リナロール‐d3にはR-リナロールが少量含まれる場合があるので、無視できるように内部標準の添加量を調整する。内部標準に由来するR-リナロール含有量が無視できない量存在する場合は、内部標準に由来するR-リナロール含有量の濃度を試料の濃度から差し引けばよい。
【0025】
(オクタナール)
オクタナール(Octanal)は、化学式C8H16Oで示される鎖状の有機化合物である。
このオクタナールは、所定の甘味度となっている果汁含有低アルコール飲料において、前記したR-リナロールと相乗的に作用することにより、えぐみを低減させるだけでなく後に残る甘味を抑制することができる。
【0026】
オクタナールの含有量は、0.06mg/L以上であるのが好ましく、0.08mg/L以上であるのがより好ましく、0.10mg/L以上であるのがさらに好ましく、0.12mg/L以上であるのが特に好ましい。オクタナールの含有量が所定値以上であることにより、果汁含有低アルコール飲料のえぐみを低減させるだけでなく後に残る甘味を抑制できるとともに、香味の果実感(特にレモン感)を強めることもできる。
オクタナールの含有量は、10mg/L以下であるのが好ましく、8mg/L以下であるのがより好ましく、6mg/L以下であるのがさらに好ましく、4mg/L以下であるのが特に好ましい。オクタナールの含有量が所定値以下であることにより、果汁含有低アルコール飲料のえぐみの低減効果と後に残る甘味の抑制効果とをしっかりと発揮させることができるとともに、香味の果実感(特にレモン感)を十分に感じる状態とすることができる。
【0027】
なお、オクタナール含有量は、溶媒抽出-GC/MS/MS法により測定することができる。具体的には、あらかじめ3gのNaClを入れた50mLのガラス遠沈管に10mLのサンプル、20mLのジクロロメタン及び100μLの内部標準液(100mg/Lのリナロール‐d3 10%エタノール溶液)を添加し、15分間振とうして抽出する。遠心して2層に分離した後、ジクロロメタン相を回収して硫酸ナトリウムで脱水し、このうち10mLを窒素気流下0.5mlまで濃縮したものをGC/MS/MSにより分析する。
【0028】
GC/MS/MSの分析の測定条件は以下のとおりである。
・分析機器:7890A GC、7000B GC/MS/MS(Agilent Technologies)
・カラム:InertCap Pure‐WAX、30m(長さ)×0.25mm(内径)、0.25μm(膜厚)(GLサイエンス)
・注入モード:スプリットレス注入
・注入量:1μL
・流量:1mL/分(定流量)
・注入口温度:240℃
・オーブン温度:40℃(3分)→5℃/分→250℃(10分:達温)
・MS検出器:MRM条件は以下のとおり
【0029】
上述の溶媒抽出-GC/MS/MS法においては、試料にオクタナール標準液を別途添加して作成した検量線を使用する標準添加法により測定することが好ましい。また、夾雑物質の影響を受ける場合は、カラムの種類や長さ、オーブンの温度プログラムからなる群より選択される1以上の条件を適宜変更すること、及び/又は、2次元GC-MSを使用することが好ましい。
【0030】
(アルコール)
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料は、アルコールを含有している。
アルコールは飲用することができるアルコールであればよく、本発明の所望の効果が阻害されない範囲であれば、種類、製法、原料などに限定されることがないが、蒸留酒又は醸造酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー、ラム等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。醸造酒としては、例えば、ビール、発泡酒、果実酒、甘味果実酒、清酒などを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、前記した様々な酒類に果実等を漬け込んだ浸漬酒を使用してもよい。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
【0031】
(アルコール度数)
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料のアルコール度数は、1%(v/v%)以上であるのが好ましく、1.5%以上であるのがより好ましく、2%以上であるのがさらに好ましい。アルコール度数が所定値以上であることにより、アルコール飲料として好適な香味となる。
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料のアルコール度数は、4.5%(v/v%)未満であるのが好ましく、4.0%以下であるのがより好ましく、3.5%未満であるのがさらに好ましく、3.0%以下であるのが特に好ましい。アルコール度数が所定値以下であることにより、お酒に弱い消費者等に適した飲料となるとともに、本発明の課題(えぐみ)がより明確化する。
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)3清酒3-4アルコール分(振動式密度計・ガスクロマトグラフ分析法)に基づいて測定することができる。
【0032】
(果汁)
果汁は、果実を搾った汁である。そして、果汁の由来となる果実は、特に限定されず、本発明の所望の効果が阻害されない範囲において、食用のものであれば、いずれの果実も使用できる。
例えば、果汁の由来となる果実としては、柑橘類に属する果実(適宜「柑橘類果実」という)である、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、ライム、イヨカン、ウンシュウミカン、カボス、キシュウミカン、キノット、コウジ、サンボウカン、シトロン、ジャバラ、スダチ、ダイダイ、タチバナ、タンゴール、ナツミカン、ハッサク、ハナユズ、ヒュウガナツ、ヒラミレモン(シークヮーサー)、ブンタン、ポンカン(マンダリンオレンジ)、ユズ等や、これらの柑橘類果実以外にも、セイヨウリンゴ(いわゆるリンゴ)、エゾノコリンゴ、カイドウズミ、ハナカイドウ、イヌリンゴ(ヒメリンゴ)、マルバカイドウ、ノカイドウ、ズミ(コリンゴ、コナシ)、オオウラジロノキ、ブドウ、イチゴ、モモ、メロン、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ、パッションフルーツ、ウメ、ナシ、アンズ、スモモ、キウイフルーツ、カシス、ブルーベリー、ラズベリー等が挙げられる。
なお、果汁の由来となる果実は、本発明の課題(えぐみ)がより明確化するとともに、R-リナロール及びオクタナールの香味と相性が良いという理由から、柑橘類果実が好ましく、柑橘類果実の中でも酸味が強い香酸柑橘類果実(レモン、ライム、カボス、スダチ、ダイダイ、ヒラミレモン、ユズ等)がより好ましく、レモンが特に好ましい。
【0033】
果汁は、例えば、濃縮果汁、還元果汁、ストレート果汁といった各種果汁、果実ピューレ(火を通した果実あるいは生の果実をすりつぶしたり裏ごししたりした半液体状のもの)、これらの希釈液、濃縮液、混合液などを用いることができる。
また、果汁は、1種類の果実を原料としてもよいし、2種類以上の果実を原料としてもよい。
【0034】
果汁の含有量は、果汁率換算で0.05%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、1%以上がさらに好ましく、2%以上がかなり好ましく、3%以上が特に好ましい。果汁の含有量が所定値以上であることにより、飲料の果実感を増強させて香味をより果汁飲料らしい香味とすることができるとともに、本発明の課題(えぐみ)がより明確となる。
果汁の含有量は、果汁率換算で50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましく、7%以下がかなり好ましく、6%以下が特に好ましい。果汁の含有量が所定値以下であることにより、原料原価の上昇を抑制することができる。
【0035】
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料の果汁の含有量(果汁率換算)は、「含有量(果汁率換算)%(詳細には、w/v%)」=「飲料100mL中への果汁配合量(g)」×「濃縮倍率」/100mL×100により算出することとする。
ここで、「濃縮倍率」(ストレート果汁を100%としたときの果汁の相対的濃縮倍率)を算出するにあたり、JAS規格に準ずるものとし、果汁に加えられた糖類、はちみつ等の糖用屈折計示度を除くものとする。
詳細には、ストレート果汁の糖用屈折計示度あるいは酸度の値は、JAS規格である果実飲料の日本農林規格(平成28年2月24日農林水産省告示第489号)において、各果実に固有の基準値が定められている(別表3において「糖用屈折計示度の基準(Bx)」、別表4において「酸度の基準(%)」)。したがって、使用する果汁の糖用屈折計示度あるいは酸度を測定し、その果実に固有の糖用屈折計示度あるいは酸度の基準値で割れば、果汁の濃縮倍率を求めることができる。
【0036】
例えば、果実飲料の日本農林規格(平成28年2月24日農林水産省告示第489号)の別表4によるとレモンの基準酸度は4.5%であるから、酸度が9.0%のレモン果汁は、2倍濃縮のレモン果汁となる。この2倍濃縮のレモン果汁を、飲料100mL中にZg配合した場合、この飲料におけるレモン果汁の含有量(果汁率換算)は、「Zg×2(濃縮倍率)/100mL×100」によって算出することができる。
【0037】
(発泡性)
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料は、非発泡性のものでも、発泡性のものでもよい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm2以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm2未満であることをいう。
【0038】
(その他)
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、食物繊維など(以下、適宜「添加剤」という)を添加することもできる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを用いることができる。酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、リン酸などを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。
そして、前記した甘味物質、R-リナロール、オクタナール、アルコール、果汁、添加物は、一般に市販されているものを使用することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料は、甘味度の数値やR-リナロールとオクタナールとの含有量が所定範囲に特定されていることから、えぐみが低減しているとともに後に残る甘味が抑制されている。
【0040】
[果汁含有低アルコール飲料ベース]
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料ベースは、後記する割り材で希釈されることにより前記の果汁含有低アルコール飲料とすることができる。
なお、本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料ベースは、消費者や飲食店などに提供されるに際して、飲料ベースの状態(RTS:Ready To Serve)で提供された後に割り材で希釈されてもよいし、飲料ベースを割り材で希釈した後に飲料の状態(RTD:Ready To Drink)で提供されてもよい。
【0041】
以下、本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料ベースを説明するに際して、前記の果汁含有低アルコール飲料と共通する構成については説明を省略し、相違する構成(特に数値等)を中心に説明する。
【0042】
(甘味度)
果汁含有低アルコール飲料ベースの甘味度をSg/Lとし、希釈倍率をD倍とした場合、S/Dは、25以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましく、10以下が特に好ましい。また、S/Dは、2以上が好ましく、4以上がより好ましく、6以上がさらに好ましい。
【0043】
(R-リナロール)
果汁含有低アルコール飲料ベースのR-リナロールの含有量をXmg/Lとし、希釈倍率をD倍とした場合、X/Dは、0.2以上であるのが好ましく、0.4以上であるのがより好ましく、0.6以上であるのがさらに好ましく、0.8以上であるのが特に好ましい。また、X/Dは、10以下であるのが好ましく、8以下であるのがより好ましく、6以下であるのがさらに好ましく、4以下であるのが特に好ましい。
【0044】
(オクタナール)
果汁含有低アルコール飲料ベースのオクタナールの含有量をYmg/Lとし、希釈倍率をD倍とした場合、Y/Dは、0.06以上であるのが好ましく、0.08以上であるのがより好ましく、0.10以上であるのがさらに好ましく、0.12以上であるのが特に好ましい。また、Y/Dは、10以下であるのが好ましく、8以下であるのがより好ましく、6以下であるのがさらに好ましく、4以下であるのが特に好ましい。
【0045】
(アルコール度数)
果汁含有低アルコール飲料ベースのアルコール度数をA%とし、希釈倍率をD倍とした場合、A/Dは、1以上であるのが好ましく、1.5以上であるのがより好ましく、2以上であるのがさらに好ましい。また、A/Dは、4.5未満であるのが好ましく、4.0以下であるのがより好ましく、3.5未満であるのがさらに好ましく、3.0以下であるのが特に好ましい。
【0046】
(果汁)
果汁含有低アルコール飲料ベースの果汁の含有量(果汁率換算)をF%とし、希釈倍率をD倍とした場合、F/Dは、0.05以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、1以上がさらに好ましく、2以上がかなり好ましく、3以上が特に好ましい。また、F/Dは、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、15以下がさらに好ましく、7以下がかなり好ましく、6以下が特に好ましい。
【0047】
(割り材)
割り材とは、本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料ベースの希釈に用いるものである。
割り材は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で選択すればよく、例えば、水、炭酸水、お湯、氷、果汁、果汁入り飲料、牛乳、茶、アルコール等を挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、割り材を用いた希釈は、本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料ベースが1.2~20倍、好ましくは1.5~10倍、さらに好ましくは2~5倍となるように実施すればよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料ベース(希釈倍率:D倍用)は、A/D、S/D、X/D、Y/Dの値が所定範囲に特定されていることから、希釈後の果汁含有低アルコール飲料は、えぐみが低減しているとともに後に残る甘味が抑制されている。
【0049】
[容器詰め果汁含有低アルコール飲料、及び、容器詰め果汁含有低アルコール飲料ベース]
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料、及び、果汁含有低アルコール飲料ベースは、各種容器に入れて提供することができる。各種容器に果汁含有低アルコール飲料、又は、果汁含有低アルコール飲料ベースを詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
また、各種容器に果汁含有低アルコール飲料ベースを詰める場合は、その容器に、前記した割り材等によって希釈して飲んでもよい旨の表示(例えば、希釈倍率等)を付してもよい。
【0050】
[果汁含有低アルコール飲料、及び、果汁含有低アルコール飲料ベースの製造方法]
次に、本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料、及び、果汁含有低アルコール飲料ベースの製造方法を説明する。
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料、及び、果汁含有低アルコール飲料ベースの製造方法は、混合工程と、後処理工程と、を含む。
【0051】
混合工程では、混合タンクに、水、甘味物質、R-リナロール、オクタナール、飲用アルコール、果汁、添加剤などを適宜投入して混合後液を製造する。
この混合工程において、甘味度、R-リナロール、オクタナール、アルコール度数、果汁、A/D、S/D、X/D、Y/D等が前記した所定範囲の数値や量となるように各原料を混合し、調整すればよい。
【0052】
そして、後処理工程では、例えば、殺菌、容器への充填などの処理を必要に応じて選択的に行う。
なお、後処理工程の殺菌処理は、処理速度等の観点から、チューブ式殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。そして、後処理工程での各処理の順序は特に限定されない。
【0053】
なお、混合工程及び後処理工程にて行われる各処理は、RTD、RTS飲料などを製造するために一般的に用いられている設備にて行うことができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料の製造方法は、アルコール度数、甘味度、R-リナロールとオクタナールとの含有量を所定範囲とする工程を含むことから、えぐみが低減しているとともに後に残る甘味が抑制された果汁含有低アルコール飲料を製造することができる。
また、本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料ベースの製造方法は、A/D、S/D、X/D、Y/Dの値を所定範囲とする工程を含むことから、希釈後の果汁含有低アルコール飲料について、えぐみが低減しているとともに後に残る甘味が抑制された果汁含有低アルコール飲料ベースを製造することができる。
【0055】
(果汁含有低アルコール飲料の香味向上方法)
次に、本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料の香味向上方法を説明する。
本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料の香味向上方法は、アルコール度数が1%以上4.5%未満である果汁含有低アルコール飲料について、甘味度、R-リナロールの含有量、オクタナールの含有量を所定範囲とすることによって、えぐみを低減するとともに後に残る甘味を抑制する方法である。
なお、各成分の含有量等については、前記した「果汁含有低アルコール飲料」において説明した内容と同じである。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る果汁含有低アルコール飲料の香味向上方法は、甘味度の数値やR-リナロールとオクタナールとの含有量を所定範囲とすることから、えぐみを低減するとともに後に残る甘味を抑制することができる。
【実施例】
【0057】
次に、本発明の要件を満たす実施例とそうでない比較例とを例示して、本発明について説明する。
【0058】
[サンプルの準備]
表に示す含有量となるように、原料用アルコール、レモンジュース(ポッカサッポロ株式会社、お酒にプラス レモン)、ショ糖、難消化性デキストリン(市販品)、R-リナロール(市販品)、オクタナール(市販品)、水、炭酸水を混合してサンプルを準備した。
なお、サンプルの20℃におけるガス圧は0.7kg/cm2であり、サンプルの果汁の含有量(果汁率換算)は5%であった。
【0059】
[試験内容]
前記の方法により製造した各サンプルについて、訓練された識別能力のあるパネル3名が下記評価基準に則って「えぐみ」、「後に残る甘味」、「レモン感」について、1~7点の7段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、全ての評価は、サンプルを飲んで評価した。
【0060】
(えぐみ:評価基準)
えぐみの評価については、「えぐみが非常に強い」場合を7点、「えぐみが全くない」場合を1点として7段階で評価した。そして、えぐみについては、点数が低いほど低減されており、好ましいと判断できる。
なお、えぐみの評価は、表1~4に示すサンプル全てに対して評価を行った。
【0061】
(後に残る甘味:評価基準)
後に残る甘味の評価については、「後に残る甘味が非常に強い」場合を7点、「後に残る甘味が全くない」場合を1点として7段階で評価した。そして、後に残る甘味については、点数が低いほど抑制されており、好ましいと判断できる。
なお、後に残る甘味の評価は、表2~4に示すサンプルに対して評価を行った。
【0062】
(レモン感:評価基準)
レモン感の評価については、「レモン感が非常に強い」場合を最高点の7点、「レモン感が全くない」場合を最低点の1点として7段階で評価した。そして、レモン感については、点数が高いほど果実感(レモン感)を感じられる飲料となっており、好ましいと判断できる。
なお、レモン感の評価は、表3、4に示すサンプルに対して評価を行った。
【0063】
表1~4に、各サンプルの配合等を示すとともに、各評価の結果を示す。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
(結果の検討)
サンプル1-1~1-4の結果から、アルコール度数が低くなれば低くなる程、えぐみが明確に感じられるようになってしまうことが確認できた。
【0069】
サンプル2-1~2-4の結果から、甘味度が上昇するに伴い、えぐみは低減できるものの、後に残る甘味が強くなってしまうことが確認できた。
【0070】
サンプル3-1の結果から、甘味度が所定範囲であっても、R-リナロール、オクタナールの含有量が所定範囲となっていなければ、えぐみの低減効果と後に残る甘味の抑制効果とを同時に発揮することができないことが確認できた。
サンプル3-2~3-7の結果から、甘味度とオクタナールの含有量が所定範囲となる場合において、さらに、R-リナロールの含有量が所定範囲となれば、えぐみの低減効果と後に残る甘味の抑制効果を同時に発揮できるとともに、レモン感も十分強くなることが確認できた。
【0071】
サンプル4-1~4-5の結果から、甘味度とR-リナロールの含有量が所定範囲となる場合において、さらに、オクタナールの含有量が所定範囲となれば、えぐみの低減効果と後に残る甘味の抑制効果を同時に発揮できるとともに、レモン感も十分強くなることが確認できた。