(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】インクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
(21)【出願番号】P 2018068039
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】武本 和大
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-149624(JP,A)
【文献】特開2013-067092(JP,A)
【文献】特開2017-065063(JP,A)
【文献】特開2010-234681(JP,A)
【文献】特開2013-132758(JP,A)
【文献】特開2011-068065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0273502(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105856886(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される印刷媒体にインクを吐出して画像を印刷する
複数のインクジェットヘッドと、
搬送される印刷媒体に同期して回転するローラと、
前記ローラの回転角度に応じてパルス信号を出力するエンコーダと、
前記エンコーダの出力パルス信号に基づき、印刷動作時の前記
各インクジェットヘッドによるインクの吐出タイミングを制御する制御部とを備え、
複数の前記インクジェットヘッドには、それぞれ異なる色のインクを吐出する複数の前記インクジェットヘッドが含まれ、
前記制御部は、
印刷媒体の搬送方向に沿って配置される複数のドットを含むテストパターンを
、それぞれ異なる色のインクを吐出する複数の前記インクジェットヘッド
のそれぞれに、それぞれ異なる色のインクを吐出する複数の前記インクジェットヘッドがそれぞれ印刷するテストパターン間で対応関係にあるドットの前記搬送方向における位置が理想的には同じになるように印刷させ、
印刷されたテストパターンを読み取って生成された読取画像データに基づき、印刷されたテストパターンの各ドットの位置を検出し、それぞれ異なる色のインクを吐出する複数の前記インクジェットヘッドにより印刷されたテストパターン
間のドットの位置
関係に基づき、前記ローラの偏芯情報を算出する偏芯情報取得処理を行い、
印刷動作時において、前記偏芯情報取得処理で算出した前記偏芯情報に基づき、前記エンコーダの出力パルス信号に基づく前記
各インクジェットヘッドによるインクの吐出タイミングを補正することを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
搬送される印刷媒体にインクを吐出して画像を印刷するインクジェットヘッドと、
搬送される印刷媒体に同期して回転する複数のローラと、
複数の前記ローラのうちのいずれかに設置され、前記ローラの回転角度に応じてパルス信号を出力するエンコーダと、
前記エンコーダの出力パルス信号に基づき、印刷動作時の前記インクジェットヘッドによるインクの吐出タイミングを制御する制御部とを備え、
前記エンコーダが設置された前記ローラは、他の前記ローラとは異なる外径を有し、
前記制御部は、
印刷媒体の搬送方向に沿って配置される複数のドットを含むテストパターンを前記インクジェットヘッドに印刷させ、
印刷されたテストパターンの前記搬送方向における互いに隣接するドット間の距離を示すドット間距離データを生成し、生成したドット間距離データから
前記エンコーダが設置された
前記ローラの回転周波数成分を抽出し、抽出した回転周波数成分に基づき、前記
エンコーダが設置された前記ローラの偏芯情報を算出する
偏芯情報取得処理を行い、
印刷動作時において、前記偏芯情報取得処理で算出した前記偏芯情報に基づき、前記エンコーダの出力パルス信号に基づく前記インクジェットヘッドによるインクの吐出タイミングを補正することを特徴とす
るインクジェット印刷装置。
【請求項3】
搬送される印刷媒体にインクを吐出して画像を印刷する複数のインクジェットヘッドと、
搬送される印刷媒体に同期して回転する複数のローラと、
複数の前記ローラのうちのいずれかに設置され、前記ローラの回転角度に応じてパルス信号を出力するエンコーダと、
前記エンコーダの出力パルス信号に基づき、印刷動作時の前記各インクジェットヘッドによるインクの吐出タイミングを制御する制御部とを備え、
前記エンコーダが設置された前記ローラは、他の前記ローラとは異なる外径を有し、
前記制御部は、
複数の前記インクジェットヘッドのうちの少なくとも一部の複数の前記インクジェットヘッドのそれぞれに、印刷媒体の搬送方向に沿って配置される複数のドットを含むテストパターンを印刷させ、
互いに異なる
前記インクジェットヘッドにより印刷されたテストパターン間のドットの位置関係を示す位置関係データを生成し、生成した位置関係データから前記エンコーダが設置された前記ローラの回転周波数成分を抽出し、抽出した回転周波数成分に基づき、前記
エンコーダが設置された前記ローラの偏芯情報を算出する
偏芯情報取得処理を行い、
印刷動作時において、前記偏芯情報取得処理で算出した前記偏芯情報に基づき、前記エンコーダの出力パルス信号に基づく前記各インクジェットヘッドによるインクの吐出タイミングを補正することを特徴とす
るインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドから印刷媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体を搬送しつつ、インクジェットヘッドからインクを吐出して印刷媒体に印刷を行うインクジェット印刷装置が知られている。
【0003】
また、このようなインクジェット印刷装置において、印刷媒体に同期して回転するローラに設置されたエンコーダの出力パルス信号に基づき、インクジェットヘッドにおけるインクの吐出タイミングを制御することが知られている。
【0004】
ここで、エンコーダが設置されたローラに偏芯があると、ローラの回転角度に対して印刷媒体の搬送量にばらつきが生じる。このため、エンコーダの出力パルス信号に基づきインクの吐出タイミングを制御すると、インクの着弾位置が目的の位置からずれる「着弾ずれ」が生じる。インクの着弾ずれは、印刷画質の低下を招く。
【0005】
これに対し、特許文献1では、記録媒体を搬送する搬送ベルトが巻回されるローラに設置されたエンコーダの出力パルス信号に基づきインクの吐出タイミングを制御するインクジェット印刷装置において、レーザドップラ速度計で搬送ベルトの速度を測定する。そして、その測定データからローラの偏芯成分をローラプロファイルデータとして算出し、このローラプロファイルデータを用いて、インクの吐出のタイミングを補正している。これにより、特許文献1の技術では、エンコーダが設置されたローラの偏芯によるインクの着弾ずれを軽減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術では、エンコーダが設置されたローラやエンコーダを交換した場合、改めて搬送ベルトの速度測定を行い、ローラプロファイルデータを取得する必要がある。したがって、インクジェット印刷装置が設置されたユーザ先において、ローラやエンコーダを交換した場合に、レーザドップラ速度計のような大型で高価な測定器をユーザ先まで運ぶ必要がある。このため、ローラプロファイルデータを取得する処理を行ってインクの着弾ずれを軽減可能とすることは容易ではない。
【0008】
ローラとエンコーダとをユニット化した構成であれば、そのユニットの製造時にローラプロファイルデータを取得することができる。この構成では、ローラやエンコーダの交換が必要になった場合、ユニットを交換し、ユニットの製造時に取得したローラプロファイルデータをインクジェット印刷装置に記憶させることで、ローラの偏芯によるインクの着弾ずれを軽減可能とすることができる。
【0009】
しかしながら、この場合、交換する必要がない部品まで交換することで、部品の無駄が生じることがある。例えば、交換が必要な部品がローラのみである場合でも、ユニットを交換するため、エンコーダまで交換することになり、エンコーダが無駄になる。
【0010】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、部品の無駄を抑えつつ、容易にインクの着弾ずれを軽減可能とすることができるインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のインクジェット印刷装置は、搬送される印刷媒体にインクを吐出して画像を印刷するインクジェットヘッドと、搬送される印刷媒体に同期して回転するローラと、前記ローラの回転角度に応じてパルス信号を出力するエンコーダと、前記エンコーダの出力パルス信号に基づき、印刷動作時の前記インクジェットヘッドによるインクの吐出タイミングを制御する制御部とを備え、前記制御部は、印刷媒体の搬送方向に沿って配置される複数のドットを含むテストパターンを前記インクジェットヘッドに印刷させ、印刷されたテストパターンにおけるドットの位置に基づき、前記ローラの偏芯情報を算出する偏芯情報取得処理を行い、印刷動作時において、前記偏芯情報取得処理で算出した前記偏芯情報に基づき、前記エンコーダの出力パルス信号に基づく前記インクジェットヘッドによるインクの吐出タイミングを補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のインクジェット印刷装置によれば、部品の無駄を抑えつつ、容易にインクの着弾ずれを軽減可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係るインクジェット印刷装置を備えた印刷システムの概略構成図である。
【
図2】
図1に示す印刷システムにおけるインクジェット印刷装置の印刷部の平面図である。
【
図3】
図2に示す印刷部が備えるヘッドモジュールのノズル面を示す図である。
【
図4】
図1に示す印刷システムの制御ブロック図である。
【
図5】第1実施形態における偏芯情報取得処理のフローチャートである。
【
図6】第1実施形態におけるテストパターンを示す図である。
【
図7】印刷されたテストパターンのドットの位置検出の説明図である。
【
図9】ドット間距離データに対するフーリエ変換の結果の一例を示す図である。
【
図10】ドット間距離データから抽出されたエンコーダローラの回転周波数成分の一例を示す図である。
【
図11】エンコーダローラの基準状態の説明図である。
【
図12】エンコーダローラが回転する様子を示す図である。
【
図13】第2実施形態における偏芯情報取得処理のフローチャートである。
【
図14】第2実施形態におけるテストパターンを示す図である。
【
図15】ドットずれ量データの一例を示す図である。
【
図16】ドットずれ量データから抽出されたエンコーダローラの回転周波数成分の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0015】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷装置を備えた印刷システムの概略構成図である。
図2は、
図1に示す印刷システムにおけるインクジェット印刷装置の印刷部の平面図である。
図3は、
図2に示す印刷部が備えるヘッドモジュールのノズル面を示す図である。
図4は、
図1に示す印刷システムの制御ブロック図である。以下の説明において、
図1の紙面に直交する方向を前後方向とする。また、
図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0017】
図1、
図4に示すように、第1実施形態に係る印刷システム1は、巻出装置2と、インクジェット印刷装置3と、巻取装置4とを備える。
【0018】
巻出装置2は、フィルム、紙等からなる長尺状の印刷媒体であるウェブWをインクジェット印刷装置3へ巻き出す。巻出装置2は、ウェブロール支持軸11と、ブレーキ12と、巻出装置制御部13とを備える。
【0019】
ウェブロール支持軸11は、ウェブロール16を回転可能に支持する。ウェブロール16は、ウェブWがロール状に巻かれたものである。
【0020】
ブレーキ12は、ウェブロール支持軸11にブレーキをかける。これにより、ウェブロール16と後述するインクジェット印刷装置3の搬送ローラ42との間のウェブWに張力が付与される。
【0021】
巻出装置制御部13は、ブレーキ12を制御する。巻出装置制御部13は、CPU、メモリ、ハードディスク等を備えて構成される。
【0022】
インクジェット印刷装置3は、ウェブロール16から巻き出されたウェブWを搬送しつつ、ウェブWに画像を印刷する。インクジェット印刷装置3は、搬送部21と、エンコーダ22A,22Bと、印刷部23A,23Bと、印刷装置制御部(制御部)24とを備える。なお、エンコーダ22A,22B等の符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0023】
搬送部21は、ウェブロール16から巻き出されたウェブWを巻取装置4へ向けて搬送する。搬送部21は、エンコーダローラ31A,31Bと、ガイドローラ32~39と、20本のヘッド下ローラ40と、蛇行制御部41と、一対の搬送ローラ42と、搬送モータ43とを備える。
【0024】
ここで、エンコーダローラ31A,31B、ガイドローラ32~39、ヘッド下ローラ40、搬送ローラ42、および後述する蛇行制御部41の蛇行制御ローラ46,47により、搬送部21におけるウェブWの搬送経路が形成される。
【0025】
エンコーダローラ31A,31Bは、それぞれウェブWの搬送方向における印刷部23A,23Bの上流側近傍においてウェブWをガイドするローラであって、それぞれエンコーダ22A,22Bが設置されたローラである。エンコーダローラ31A,31Bは、搬送されるウェブWに従動回転(同期して回転)する。エンコーダローラ31A,31Bは、他のローラであるガイドローラ32~39、ヘッド下ローラ40、搬送ローラ42、および蛇行制御ローラ46,47のすべてに対して異なる外径を有する。また、エンコーダローラ31A,31Bは、互いに異なる外径を有する。
【0026】
ガイドローラ32~39は、インクジェット印刷装置3内で搬送されるウェブWをガイドするローラである。ガイドローラ32~39は、搬送されるウェブWに従動回転(同期して回転)する。
【0027】
ガイドローラ32は、インクジェット印刷装置3の下部の左端部に配置されている。ガイドローラ33は、ガイドローラ32と後述する蛇行制御部41の蛇行制御ローラ46との間に配置されている。ガイドローラ34は、後述する蛇行制御部41の蛇行制御ローラ47の左方のやや上方であって、エンコーダローラ31Aの下方の位置に配置されている。ガイドローラ35は、エンコーダローラ31A,31B間において、エンコーダローラ31Aとほぼ同じ高さで、印刷部23Aの下流側近傍に配置されている。
【0028】
ガイドローラ36は、エンコーダローラ31Bとほぼ同じ高さで、印刷部23Bの下流側近傍に配置されている。ガイドローラ37は、ガイドローラ36の右下方に配置されている。ガイドローラ38は、ガイドローラ37のやや右側の下方に配置されている。ガイドローラ39は、ガイドローラ38の右方において、インクジェット印刷装置3の下部の右端部に配置されている。
【0029】
ヘッド下ローラ40は、エンコーダローラ31Aとガイドローラ35との間、およびエンコーダローラ31Bとガイドローラ36との間において、後述するヘッドユニット51の下でウェブWを支持する。エンコーダローラ31Aとガイドローラ35との間、およびエンコーダローラ31Bとガイドローラ36との間に、それぞれ10本ずつのヘッド下ローラ40が配置されている。そして、ヘッド下ローラ40は、各ヘッドユニット51の直下に2本ずつ配置されている。ヘッド下ローラ40は、搬送されるウェブWに従動回転(同期して回転)する。
【0030】
蛇行制御部42は、ウェブWの幅方向(前後方向)における位置の変動である蛇行を補正するものである。蛇行制御部42は、蛇行制御ローラ46,47を備える。
【0031】
蛇行制御ローラ46,47は、ウェブWをガイドするとともに、ウェブWの蛇行を補正するためのローラである。蛇行制御ローラ46,47は、搬送されるウェブWに従動回転(同期して回転)する。蛇行制御ローラ46,47は、図示しないモータにより、左右方向から見てウェブWの幅方向に対して傾くように回動することで、ウェブWを幅方向に移動させて蛇行を補正する。蛇行制御ローラ46は、ガイドローラ33の右方に配置されている。蛇行制御ローラ47は、蛇行制御ローラ46の上方に配置されている。
【0032】
一対の搬送ローラ42は、巻取装置4へ向けてウェブWを搬送する。一対の搬送ローラ42は、搬送モータ43により回転駆動される一方の搬送ローラ42と、一方の搬送ローラ42に従動回転する他方の搬送ローラ42とにより、ウェブWをニップしつつ搬送する。このため、一対の搬送ローラ42は、搬送されるウェブWに同期して回転するものといえる。一対の搬送ローラ42は、ガイドローラ38,39間に配置されている。
【0033】
搬送モータ43は、一方の搬送ローラ42を回転駆動させる。
【0034】
エンコーダ22A,22Bは、それぞれエンコーダローラ31A,31Bに設置され、エンコーダローラ31A,31Bの回転角度に応じて、所定の回転角度ごとにパルス信号(A相信号、B相信号)を出力する。また、エンコーダ22A,22Bは、それぞれエンコーダローラ31A,31Bの1回転を示す基準信号であるZ相信号を出力する。
【0035】
印刷部23Aは、ウェブWの表面に画像を印刷する。印刷部23Aは、エンコーダローラ31Aとガイドローラ35との間のウェブWの上方近傍に配置されている。印刷部23Aは、ヘッドユニット51K,51C,51M,51Y,51Pを備える。
【0036】
ヘッドユニット51K,51C,51M,51Y,51Pは、それぞれインクジェットヘッド56K,56C,56M,56Y,56Pを有する。ヘッドユニット51K,51C,51M,51Y,51Pは、ウェブWの搬送方向である副走査方向(左右方向)に並列して配置されている。
【0037】
インクジェットヘッド56K,56C,56M,56Y,56Pは、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、予備インク色のインクをウェブWに吐出して画像を印刷する。予備インク色としては、レッド、ライトシアン等が用いられる。インクジェットヘッド56K,56C,56M,56Y,56Pは、吐出するインクの色が異なる以外は同様の構成である。
【0038】
インクジェットヘッド56は、10個のヘッドモジュール61を有する。10個のヘッドモジュール61は、千鳥配置されている。すなわち、インクジェットヘッド56において、前後方向(主走査方向)に沿って配列された10個のヘッドモジュール61が、左右方向(副走査方向)における位置を交互にずらして配置されている。
【0039】
ヘッドモジュール61は、
図3に示すように、2列のノズル列62を有する。2列のノズル列62は、それぞれ前後方向に所定ピッチで配置された複数のノズル63を有する。2列のノズル列62におけるノズル63の前後方向における位置は、互いに半ピッチ分だけずれている。
【0040】
ノズル63は、ヘッドモジュール61のウェブWに対向する面(下面)であるノズル面61aに開口し、搬送されるウェブWにインクを吐出する。
【0041】
印刷部23Bは、ウェブWの裏面に画像を印刷する。印刷部23Bは、印刷部23Aの下方において、エンコーダローラ31Bとガイドローラ36との間のウェブWの上方近傍に配置されている。印刷部23Bは、印刷部23Aと同様に、ヘッドユニット51K,51C,51M,51Y,51Pを備える。
【0042】
印刷部23Bは、印刷部23Aを左右反転した構成である。印刷部23Bは、左右反転されている以外は、印刷部23Aと同様の構成である。
【0043】
印刷装置制御部24は、インクジェット印刷装置3の各部の動作を制御する。印刷装置制御部24は、CPU、メモリ、ハードディスク等を備えて構成される。
【0044】
印刷装置制御部24は、印刷動作において、搬送ローラ42を駆動させてウェブWを搬送させつつ、印刷部23A,23Bの各インクジェットヘッド56からインクを吐出させてウェブWに画像を印刷させる。
【0045】
この印刷動作時において、印刷装置制御部24は、エンコーダ22Aの出力パルス信号に基づき、印刷部23Aの各インクジェットヘッド56におけるインクの吐出タイミングを制御する。また、印刷装置制御部24は、エンコーダ22Bの出力パルス信号に基づき、印刷部23Bの各インクジェットヘッド56におけるインクの吐出タイミングを制御する。
【0046】
また、印刷装置制御部24は、印刷動作時において、偏芯情報取得処理により事前に算出したエンコーダローラ31の偏芯情報に基づき、エンコーダ22の出力パルス信号に基づくインクジェットヘッド56によるインクの吐出タイミングを補正する。
【0047】
偏芯情報取得処理において、印刷装置制御部24は、ウェブWの搬送方向(副走査方向)に沿って配置される複数のドットを含む偏芯情報取得用のテストパターンをインクジェットヘッド56に印刷させる。そして、印刷装置制御部24は、印刷されたテストパターンにおけるドットの位置に基づき、エンコーダローラ31の偏芯情報を算出する。偏芯情報取得処理の詳細は後述する。
【0048】
巻取装置4は、インクジェット印刷装置3で印刷されたウェブWを巻き取る。巻取装置4は、巻取軸71と、巻取モータ72と、巻取装置制御部73とを備える。
【0049】
巻取軸71は、ウェブWを巻き取って保持する。
【0050】
巻取モータ72は、巻取軸71を
図1における時計回り方向に回転させる。巻取軸71の回転により、ウェブWが巻取軸71に巻き取られる。
【0051】
巻取装置制御部73は、巻取モータ72の駆動を制御する。巻取装置制御部73は、CPU、メモリ、ハードディスク等を備えて構成される。
【0052】
次に、印刷システム1における偏芯情報取得処理について説明する。
【0053】
偏芯情報取得処理は、エンコーダローラ31の偏芯に起因するインクの着弾ずれを軽減するためのインクの吐出タイミングの補正に用いる偏芯情報を取得するための処理である。
【0054】
偏芯情報としては、偏芯量zと、Z相基準の偏芯位相θとが算出される。偏芯量zは、エンコーダローラ31の中心と回転中心との間の距離である(
図11参照)。Z相基準の偏芯位相θは、エンコーダ22がZ相信号を出力するタイミングにおけるエンコーダローラ31の、基準状態からの回転角度である(
図12参照)。
【0055】
偏芯情報取得処理は、インクジェット印刷装置3の製品出荷前の製造工程や、エンコーダ22やエンコーダローラ31の交換時において行われる。
【0056】
図5は、第1実施形態における偏芯情報取得処理のフローチャートである。偏芯情報取得処理は、エンコーダローラ31A,31Bのそれぞれに対して行われるが、ここでは、エンコーダローラ31Aの偏芯情報を取得する処理として説明する。
【0057】
図5のステップS1において、印刷装置制御部24は、印刷部23Aにより単色で偏芯情報取得用のテストパターンを印刷させる。
【0058】
テストパターンの印刷を行う際、まず、印刷装置制御部24は、ウェブWの搬送を開始させる。ウェブWの搬送を開始させるために、印刷装置制御部24は、搬送モータ43により搬送ローラ42の駆動を開始させるとともに、巻出装置制御部13および巻取装置制御部73にウェブWの搬送開始を指示する。ウェブWの搬送開始が指示されると、巻出装置制御部13はブレーキ12にブレーキ力の出力を開始させ、巻取装置制御部73は巻取モータ72により巻取軸71の駆動を開始させる。
【0059】
これにより、ウェブWのウェブロール16からの巻き出しおよび搬送が開始される。ブレーキ12によりウェブロール支持軸11にブレーキがかけられることで、ウェブロール16と搬送ローラ42との間においてウェブWに張力が付与されつつ、ウェブWが搬送される。ウェブWの搬送が開始されると、エンコーダローラ31が回転し始めるのに応じて、エンコーダ22からのパルス信号の出力が開始される。
【0060】
ウェブWの搬送開始後、印刷装置制御部24は、ウェブWの搬送速度が所定の印刷搬送速度Vまで加速されると、印刷搬送速度Vでの定速搬送へ移行させる搬送制御を行う。
【0061】
ウェブWの印刷搬送速度Vでの定速搬送が開始された後、印刷装置制御部24は、印刷部23Aのいずれかのインクジェットヘッド56により、偏芯情報取得用のテストパターンをウェブWに印刷させる。ここでは、インクジェットヘッド56Kによりテストパターンを印刷させるものとする。
【0062】
具体的には、印刷装置制御部24は、エンコーダ22Aから出力されたZ相信号を検出したタイミングにおいて、印刷部23Aのインクジェットヘッド56Kの副走査方向(左右方向)において同じ位置にある複数のノズル63から、インクを吐出させる。このZ相信号をトリガとするインク吐出が、テストパターンの印刷における最初のインク吐出である。また、印刷装置制御部24は、このZ相信号をトリガとして最初のインク吐出を行ったタイミングから、エンコーダ22Aの出力パルス数(A相信号またはB相信号のパルス数)のカウントを開始する。
【0063】
この後、印刷装置制御部24は、エンコーダ22Aの出力パルス信号(A相信号またはB相信号)に基づき、所定の吐出パルス数dPごとのタイミングで、上述の最初のインク吐出を行った各ノズル63からインクを吐出させる。すなわち、印刷装置制御部24は、エンコーダ22Aの出力パルス数のカウント値であるパルスカウント値nが吐出パルス数dPだけ増加するごとに、上述の最初のインク吐出を行った各ノズル63からインクを吐出させる。
【0064】
これにより、
図6に示すように、主走査方向および副走査方向に沿って配置される複数のドットDからなるテストパターンがウェブWに印刷される。所定回数分のタイミングでのインク吐出を行うと、テストパターンの印刷が終了する。テストパターンの印刷が終了すると、印刷装置制御部24は、ウェブWの搬送を終了させる。
【0065】
図5に戻り、ステップS2において、印刷装置制御部24は、ウェブWに印刷されたテストパターンにおけるドットDの位置を検出する。
【0066】
ここで、テストパターンの印刷画像は、図示しない画像読取装置により読み取られ、読取画像データが生成される。画像読取装置は、インクジェット印刷装置3の外部の装置であってもよいし、インクジェット印刷装置3に設けられていてもよい。
【0067】
印刷装置制御部24は、テストパターンの読取画像データを画像読取装置から取得する。そして、印刷装置制御部24は、読取画像データに基づき、各ドットDの位置を検出する。
【0068】
具体的には、印刷装置制御部24は、
図7に示すような、読取画像データにおいてドットDを構成する各画素の濃度を算出する。ここで、
図7における各マス目が、読取画像データにおける画素を示す。そして、印刷装置制御部24は、算出した各画素の濃度に基づき、ドットDの重心位置Gの座標を、当該ドットDの位置として算出する。このようにドットDの位置を算出することで、画像読取装置の読取解像度に対して高精度なドット位置検出を行うことができる。
【0069】
図5に戻り、ステップS3において、印刷装置制御部24は、ステップS2で検出した各ドットDの位置に基づき、ドット間距離データを生成する。ドット間距離データは、副走査方向における互いに隣接するドットD間の距離であるドット間距離Y(m)を示すデータである。ドット間距離Y(m)は、
図6に示すように、パルスカウント値n=mの吐出タイミングで吐出されたインクによるドットDと、その次の吐出タイミング(n=m+dPとなるタイミング)で吐出されたインクによるドットDとの間の距離である。
【0070】
具体的には、印刷装置制御部24は、ステップS2で検出した各ドットDの副走査方向における位置に基づき、各ドット間距離Y(m)を算出する。ここで、各ドットDの副走査方向における位置としては、主走査方向に沿って並ぶ複数のドットDの副走査方向における位置の平均を算出して用いればよい。また、任意の1つのノズル63から吐出されたインクにより形成された各ドットDの副走査方向における位置を用いて、各ドット間距離Y(m)を算出してもよい。
【0071】
そして、印刷装置制御部24は、
図8に示すような、ドット間距離Y(m)を示すデータを、ドット間距離データとして生成する。
【0072】
ここで、ドット間距離Y(m)は、理想的には一定となる。しかし、実際には、
図8のように、ドット間距離Y(m)は変動する。ドット間距離Y(m)が変動する要因の1つとして、エンコーダローラ31Aの偏芯がある。また、ドット間距離データには、エンコーダローラ31A以外のローラの偏芯や、ウェブWのローラに対する滑り等の、他の要因によるドット間距離Y(m)の変動も含まれる。
【0073】
これに対し、偏芯情報取得処理では、エンコーダローラ31Aの偏芯情報を取得するため、
図5のステップS4において、印刷装置制御部24は、ドット間距離データからエンコーダローラ31Aの回転周波数成分を抽出する。
【0074】
具体的には、まず、印刷装置制御部24は、ドット間距離データに対してフーリエ変換を行う。これにより、
図9のような結果が得られる。次いで、印刷装置制御部24は、フーリエ変換の結果から、エンコーダローラ31Aの回転周波数以外の周波数を削除する。そして、印刷装置制御部24は、エンコーダローラ31Aの回転周波数以外の周波数を削除したデータに対して逆フーリエ変換を行う。これにより、
図10に示すような、エンコーダローラ31Aの回転周波数成分が得られる。
【0075】
なお、バンドパスフィルタにより、ドット間距離データからエンコーダローラ31Aの回転周波数成分を抽出するようにしてもよい。
【0076】
エンコーダローラ31Aの回転周波数は、ウェブWの搬送速度(印刷搬送速度V)と、エンコーダローラ31Aの外径とから求められる。前述のように、エンコーダローラ31Aは、他のすべてのローラとは異なる外径を有するため、他のすべてのローラとは異なる回転周波数を有する。このため、ドット間距離データからエンコーダローラ31Aの回転周波数成分のみを抽出できる。
【0077】
図5に戻り、ステップS5において、印刷装置制御部24は、ステップS4で抽出したエンコーダローラ31Aの回転周波数成分に基づき、エンコーダローラ31Aの偏芯量zおよびZ相基準の偏芯位相θを算出する。
【0078】
ここで、偏芯量zおよびZ相基準の偏芯位相θを算出するために、ドット間距離Y(m)が変動する要因が1つのエンコーダローラ31の偏芯のみである場合のドット間距離Y(m)を表す理論式を用いる。
【0079】
このドット間距離Y(m)を表す理論式について説明する。
【0080】
図11に示すように、エンコーダローラ31のウェブWが巻き掛けられている円弧部分の頂点Tpにおける接線Ltと、エンコーダローラ31の中心Cと回転中心Crとを通る中心線Lcとが平行になっている状態を、エンコーダローラ31の基準状態とする。
図11において、点E1と点E2との間の円弧部分が、エンコーダローラ31のウェブWが巻き掛けられている円弧部分である。
【0081】
また、エンコーダローラ31の半径をr、実効半径をr´とする。実効半径r´は、接線Ltに直交する方向における頂点Tpと回転中心Crとの間の距離である。
図11に示す基準状態では、エンコーダローラ31の半径rと実効半径r´とは等しい。
【0082】
ウェブWの搬送中において、エンコーダローラ31は、回転中心Crを中心として、
図12のように回転する。
図12は、エンコーダローラ31が回転する様子を、45度の回転ごとに示している。
図12の最上段におけるエンコーダローラ31は、
図11と同じ基準状態である。
図12のように、上から2段目の状態になったタイミングでエンコーダ22がZ相信号を出力したとすると、上から2段目の状態における、最上段の基準状態からのエンコーダローラ31の回転角度が、Z相基準の偏芯位相θである。この場合、Z相基準の偏芯位相θ=45度(=π/4[rad])である。
【0083】
図6のテストパターンを印刷する際に回転するエンコーダローラ31の、パルスカウント値nのタイミングにおける実効半径r´(n)は、下記の式(1)で表される。
【0084】
【0085】
ここで、Pは、エンコーダローラ31の1回転分のエンコーダ22の出力パルス数である。
【0086】
ドット間距離Y(m)は、連続するインクの吐出タイミング間で実際にウェブWが搬送される距離として、下記の式(2)で表される。
【0087】
【0088】
式(1)、式(2)から、下記の式(3)が得られる。
【0089】
【0090】
式(3)を解いて変形すると、下記の式(4)が得られる。
【0091】
【0092】
上記の式(4)が、ドット間距離Y(m)を表す理論式である。
【0093】
ここで、前述の
図5のステップS4において抽出したエンコーダローラ31Aの回転周波数成分のデータから、その振幅および位相が得られる。
【0094】
これに対し、式(4)における「2zsin(πdP/P)」が振幅に相当し、式(4)におけるsin(πdP/P+2πm/P+θ)の「πdP/P+2πm/P+θ」が位相に相当する。
【0095】
そこで、印刷装置制御部24は、
図5のステップS5において、式(4)における振幅と、ステップS4で抽出したエンコーダローラ31Aの回転周波数成分の振幅とを対比して、エンコーダローラ31Aの偏芯量zを算出する。また、印刷装置制御部24は、式(4)における位相と、ステップS4で抽出したエンコーダローラ31Aの回転周波数成分の位相とを対比して、エンコーダローラ31AのZ相基準の偏芯位相θを算出する。
【0096】
偏芯量zおよびZ相基準の偏芯位相θを算出すると、印刷装置制御部24は、それらの値を記憶して、偏芯情報取得処理を終了する。
【0097】
上述の偏芯情報取得処理の説明では、エンコーダローラ31Aの偏芯情報を取得する処理として説明したが、印刷装置制御部24は、エンコーダローラ31Bについても同様の偏芯情報取得処理を実施する。
【0098】
次に、印刷システム1の印刷動作について説明する。
【0099】
印刷を行う際、印刷装置制御部24は、ウェブWを印刷搬送速度Vで搬送させる。そして、印刷装置制御部24は、印刷ジョブに基づき、印刷部23A,23Bの各インクジェットヘッド56のノズル63からインクを吐出させてウェブWに画像を印刷させる。
【0100】
この際、印刷装置制御部24は、エンコーダ22Aの出力パルス信号に基づき、印刷部23Aの各インクジェットヘッド56におけるインクの吐出タイミングを制御する。また、印刷装置制御部24は、エンコーダ22Bの出力パルス信号に基づき、印刷部23Bの各インクジェットヘッド56におけるインクの吐出タイミングを制御する。
【0101】
この際、印刷装置制御部24は、エンコーダローラ31の偏芯情報(偏芯量zおよびZ相基準の偏芯位相θ)に基づき、エンコーダ22の出力パルス信号に基づくインクジェットヘッド56によるインクの吐出タイミングの補正を行う。
【0102】
具体的には、印刷装置制御部24は、エンコーダ22の出力パルス信号のパルスごとに、偏芯情報(偏芯量zおよびZ相基準の偏芯位相θ)を用いて、式(4)の第1項である「2zsin(πdP/P)sin(πdP/P+2πm/P+θ)」におけるdPを1とし、mを当該パルスまでのZ相信号の出力タイミングからのパルス数に置き換えた値を算出する。この値は、当該パルスの1パルス分のウェブWの搬送量の、エンコーダローラ31の偏芯によるずれ量を示すものである。印刷装置制御部24は、この算出したウェブWの搬送量のずれ量に応じてパルス幅を補正することで、インクの吐出タイミングを補正する。これにより、インクの着弾ずれが軽減される。
【0103】
印刷ジョブに基づく印刷が終了すると、印刷装置制御部24は、ウェブWの搬送を終了させる。これにより、印刷動作が終了となる。
【0104】
以上説明したように、インクジェット印刷装置3では、印刷装置制御部24は、偏芯情報取得処理において、インクジェットヘッド56により、偏芯情報取得用のテストパターンをウェブWに印刷させる。また、印刷装置制御部24は、印刷されたテストパターンにおけるドットDの位置に基づき、エンコーダローラ31の偏芯情報を算出する。そして、印刷装置制御部24は、印刷動作時において、エンコーダローラ31の偏芯情報に基づき、エンコーダ22の出力パルス信号に基づくインクジェットヘッド56によるインクの吐出タイミングを補正する。
【0105】
ここで、本実施形態とは異なり、ウェブWの移動速度を測定器で測定すれば、その測定結果を用いて、エンコーダローラ31の偏芯に起因する着弾ずれを軽減するためのインクの吐出タイミングの補正を行うことが可能である。しかし、この方法では、ウェブWの速度測定を行うために、レーザドップラ速度計のような大型の測定器を用いる必要がある。これに対し、本実施形態のインクジェット印刷装置3では、大型の測定器を用いる必要はないため、容易にインクの着弾ずれを軽減可能である。
【0106】
また、エンコーダローラ31とエンコーダ22とをユニット化して事前に偏芯情報を取得しておくことをしなくても、エンコーダローラ31やエンコーダ22を交換した際に、インクジェット印刷装置3においてエンコーダローラ31の偏芯情報を取得できる。このため、エンコーダローラ31とエンコーダ22とをユニット化した場合のような、交換の必要がない部品であるエンコーダローラ31やエンコーダ22まで交換してしまう無駄を抑えることができる。
【0107】
したがって、インクジェット印刷装置3によれば、部品の無駄を抑えつつ、容易にインクの着弾ずれを軽減可能とすることができる。
【0108】
また、インクジェット印刷装置3では、エンコーダローラ31A,31Bは、それぞれ他のすべてのローラとは異なる外径を有する。印刷装置制御部24は、偏芯情報取得処理において、ドット間距離データからエンコーダローラ31A,31Bの回転周波数成分を抽出し、抽出した回転周波数成分に基づき、偏芯情報を算出する。これにより、エンコーダローラ31A,31B以外のローラの偏芯等の、エンコーダローラ31A,31Bの偏芯以外の要因をドット間距離データから除去し、エンコーダローラ31A,31Bの偏芯情報を高精度で算出できる。
【0109】
[第2実施形態]
次に、上述した第1実施形態の偏芯情報取得処理を変更した第2実施形態について説明する。
【0110】
第2実施形態では、偏芯情報取得処理において、印刷装置制御部24は、印刷部23A,23Bのそれぞれにおいて2つのインクジェットヘッド56で偏芯情報取得用のテストパターンをウェブWに印刷させる。そして、印刷装置制御部24は、2つのインクジェットヘッド56により印刷されたテストパターン間のドットの位置関係に基づき、偏芯情報を算出する。
【0111】
第2実施形態における偏芯情報取得処理について、
図13のフローチャートを参照して説明する。第1実施形態と同様に、偏芯情報取得処理は、エンコーダローラ31A,31Bのそれぞれに対して行われるが、ここでは、エンコーダローラ31Aの偏芯情報を取得する処理として説明する。
【0112】
図13のステップS11において、印刷装置制御部24は、印刷部23Aの2つのインクジェットヘッド56により、2色で偏芯情報取得用のテストパターンを印刷させる。
【0113】
テストパターンの印刷を行う際、印刷装置制御部24は、ウェブWを印刷搬送速度Vで搬送させる。そして、印刷装置制御部24は、印刷部23Aの2つインクジェットヘッド56により、偏芯情報取得用のテストパターンをウェブWに印刷させる。ここでは、インクジェットヘッド56K,56Cによりテストパターンを印刷させるものとする。
【0114】
具体的には、印刷装置制御部24は、エンコーダ22Aから出力されたZ相信号を検出したタイミングにおいて、印刷部23Aのインクジェットヘッド56Kの副走査方向において同じ位置にある複数のノズル63から、インクを吐出させる。このZ相信号をトリガとするインク吐出が、インクジェットヘッド56Kによるテストパターンの印刷における最初のインク吐出である。また、印刷装置制御部24は、このZ相信号をトリガとしてインクジェットヘッド56Kによる最初のインク吐出を行ったタイミングから、エンコーダ22Aの出力パルス数のカウントを開始する。
【0115】
この後、印刷装置制御部24は、エンコーダ22Aの出力パルス信号に基づき、吐出パルス数dPごとのタイミングで、インクジェットヘッド56Kにおける上述の最初のインク吐出を行った各ノズル63からインクを吐出させる。
【0116】
また、印刷装置制御部24は、パルスカウント値n=PL/πRとなったタイミングで、インクジェットヘッド56Cの副走査方向において同じ位置にある複数のノズル63から、インクを吐出させる。このn=PL/πRのタイミングでのインク吐出が、インクジェットヘッド56Cによるテストパターンの印刷における最初のインク吐出である。この際、印刷装置制御部24は、インクジェットヘッド56Cにおいてインクを吐出させる各ノズル63は、インクジェットヘッド56Kがインクを吐出したノズル63に対し、主走査方向において異なる位置にあるノズル63とする。ここで、Lは、印刷部23における互いに隣接するインクジェットヘッド56間の搬送経路上の距離である。Rはエンコーダローラ31の外径である。
【0117】
この後、印刷装置制御部24は、エンコーダ22Aの出力パルス信号に基づき、吐出パルス数dPごとのタイミングで、インクジェットヘッド56Cにおける上述の最初のインク吐出を行った各ノズル63からインクを吐出させる。これにより、インクジェットヘッド56Kにおける各吐出タイミングに対し、それぞれ(PL/πR)パルス後の各タイミングで、インクジェットヘッド56Cにおけるインク吐出が行われる。
【0118】
インクジェットヘッド56Cにおける吐出タイミングを上述のように設定するのは、副走査方向におけるブラックのインクの着弾位置とシアンのインクの着弾位置とが、理想的には同じ位置となるようにするためである。
【0119】
上述のようにインクジェットヘッド56K,56Cからインクを吐出させることで、
図14に示すように、複数のブラックのドットDkからなるテストパターンと、複数のシアンのドットDcからなるテストパターンとがウェブWに印刷される。ドットDk,Dcは、それぞれ主走査方向および副走査方向に沿って配置されている。インクジェットヘッド56K,56Cにおいてそれぞれ所定回数分のタイミングでのインク吐出を行うと、テストパターンの印刷が終了する。テストパターンの印刷が終了すると、印刷装置制御部24は、ウェブWの搬送を終了させる。
【0120】
図13に戻り、ステップS12において、印刷装置制御部24は、ウェブWに印刷されたテストパターンにおけるドットDk,Dcの位置を検出する。このドットDk,Dcの位置の検出は、第1実施形態で説明したドットDの位置の検出と同様の処理により行われる。
【0121】
次いで、ステップS13において、印刷装置制御部24は、ステップS12で検出した各ドットDの位置に基づき、ドットずれ量データ(位置関係データ)を生成する。ドットずれ量データは、インクジェットヘッド56K,56Cによりそれぞれ印刷されたテストパターンの間で対応するドットDk,Dc間の位置関係を示すドットずれ量ΔY(m)のデータである。
【0122】
ドットずれ量ΔY(m)は、
図14に示すように、パルスカウント値n=mの吐出タイミングで吐出されたブラックのインクによるドットDkと、当該ドットDkと対応関係にあるシアンのドットDcとの間の副走査方向における距離である。ここで、ドットDkと対応関係にあるドットDcは、当該ドットDkを形成したブラックのインクの吐出タイミングに対し、(PL/πR)パルス後のタイミングで吐出されたシアンのインクにより形成されたものである。
【0123】
具体的には、印刷装置制御部24は、ステップS12で検出した各ドットDk,Dcの副走査方向における位置に基づき、各ドットずれ量ΔY(m)を算出する。ここで、各ドットDkの副走査方向における位置としては、主走査方向に沿って並ぶ複数のドットDkの副走査方向における位置の平均を算出して用いればよい。ドットDcについても同様である。また、インクジェットヘッド56Kの任意の1つのノズル63から吐出されたインクにより形成された各ドットDkの副走査方向における位置と、インクジェットヘッド56Cの任意の1つのノズル63から吐出されたインクにより形成された各ドットDcの副走査方向における位置とを用いて、各ドットずれ量ΔY(m)を算出してもよい。
【0124】
そして、印刷装置制御部24は、
図15に示すような、ドットずれ量ΔY(m)を示すデータを、ドットずれ量データとして生成する。
【0125】
ここで、ドットずれ量ΔY(m)は、理想的には0となる。前述のように、テストパターンの印刷時において、インクジェットヘッド56Kにおける各吐出タイミングに対して(PL/πR)パルス後のタイミングでインクジェットヘッド56Cからインクを吐出させるからである。しかし、実際には、
図15のように、ドットずれ量ΔY(m)は変動する。ドットずれ量ΔY(m)が変動するのは、第1実施形態で用いたドット間距離Y(m)が変動するのと同様の理由による。
【0126】
すなわち、ドットずれ量データには、エンコーダローラ31Aの偏芯によるドットずれ量ΔY(m)の変動に加えて、他のローラの偏芯等の、他の要因によるドットずれ量ΔY(m)の変動も含まれる。
【0127】
そこで、
図13のステップS14において、印刷装置制御部24は、ドットずれ量データからエンコーダローラ31Aの回転周波数成分を抽出する。ドットずれ量データからのエンコーダローラ31Aの回転周波数成分の抽出は、第1実施形態で説明した、ドット間距離データからのエンコーダローラ31Aの回転周波数成分の抽出と同様の処理により行われる。
【0128】
すなわち、印刷装置制御部24は、ドットずれ量データに対してフーリエ変換を行い、その結果から、エンコーダローラ31Aの回転周波数以外の周波数を削除する。そして、印刷装置制御部24は、エンコーダローラ31Aの回転周波数以外の周波数を削除したデータに対して逆フーリエ変換を行う。これにより、
図16に示すような、エンコーダローラ31Aの回転周波数成分が得られる。
【0129】
なお、バンドパスフィルタにより、ドットずれ量データからエンコーダローラ31Aの回転周波数成分を抽出するようにしてもよい。
【0130】
図13に戻り、ステップS15において、印刷装置制御部24は、ステップS14で抽出したエンコーダローラ31Aの回転周波数成分に基づき、エンコーダローラ31Aの偏芯量zおよびZ相基準の偏芯位相θを算出する。
【0131】
ここで、偏芯量zおよびZ相基準の偏芯位相θを算出するために、ドットずれ量ΔY(m)が変動する要因が1つのエンコーダローラ31の偏芯のみである場合のドットずれ量ΔY(m)を表す理論式を用いる。
【0132】
このドットずれ量ΔY(m)を表す理論式について説明する。
【0133】
ドットずれ量ΔY(m)は、テストパターンを印刷する2つのインクジェットヘッド56間におけるウェブWの実際の搬送量と理想的な搬送量との差として、下記の式(5)により表される。ここで、テストパターンを印刷する2つのインクジェットヘッド56は、
図14の例のテストパターンを印刷するインクジェットヘッド56K,56Cのように、互いに隣接する2つのインクジェットヘッド56であるとする。
【0134】
【0135】
式(1)、式(5)から、から、下記の式(6)が得られる。
【0136】
【0137】
式(6)を解いて変形すると、下記の式(7)が得られる。
【0138】
【0139】
上記の式(7)が、ドットずれ量ΔY(m)を表す理論式である。
【0140】
2つのインクジェットヘッド56間におけるウェブWの実際の搬送量が理想的な搬送量より大きい場合に、式(7)で算出されるドットずれ量ΔY(m)が正の値となる。
図14の例では、ドットDcがドットDkに対して左側にずれている場合、式(7)で算出されるドットずれ量ΔY(m)は正の値となる。ドットDcがドットDkに対して右側にずれている場合は、式(7)で算出されるドットずれ量ΔY(m)は負の値となる。
【0141】
ここで、前述の
図13のステップS14において抽出したエンコーダローラ31Aの回転周波数成分のデータから、その振幅および位相が得られる。
【0142】
これに対し、式(7)における「2zsin(L/R)」が振幅に相当し、sin(L/R+2πm/P+θ)の「L/R+2πm/P+θ」が位相に相当する。
【0143】
そこで、印刷装置制御部24は、
図13のステップS15において、式(7)における振幅と、ステップS14で抽出したエンコーダローラ31Aの回転周波数成分の振幅とを対比して、エンコーダローラ31Aの偏芯量zを算出する。また、印刷装置制御部24は、式(7)における位相と、ステップS14で抽出したエンコーダローラ31Aの回転周波数成分の位相とを対比して、エンコーダローラ31AのZ相基準の偏芯位相θを算出する。
【0144】
偏芯量zおよびZ相基準の偏芯位相θを算出すると、印刷装置制御部24は、それらの値を記憶して、偏芯情報取得処理を終了する。
【0145】
上述の偏芯情報取得処理の説明では、エンコーダローラ31Aの偏芯情報を取得する処理として説明したが、印刷装置制御部24は、エンコーダローラ31Bについても同様の偏芯情報取得処理を実施する。
【0146】
印刷動作時において、エンコーダローラ31の偏芯情報(偏芯量zおよびZ相基準の偏芯位相θ)に基づき、インクジェットヘッド56によるインクの吐出タイミングの補正を行うこと、およびその方法は、第1実施形態と同様である。
【0147】
以上説明したように、第2実施形態では、印刷装置制御部24は、偏芯情報取得処理において、印刷部23A,23Bのそれぞれにおいて2つのインクジェットヘッド56で偏芯情報取得用のテストパターンをウェブWに印刷させる。そして、印刷装置制御部24は、2つのインクジェットヘッド56により印刷されたテストパターン間のドットの位置関係に基づき、偏芯情報を算出する。そして、印刷装置制御部24は、印刷動作時において、エンコーダローラ31の偏芯情報に基づき、エンコーダ22の出力パルス信号に基づくインクジェットヘッド56によるインクの吐出タイミングを補正する。
【0148】
このような第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、部品の無駄を抑えつつ、容易にインクの着弾ずれを軽減可能とすることができる。
【0149】
また、第2実施形態では、印刷装置制御部24は、偏芯情報取得処理において、ドットずれ量データからエンコーダローラ31A,31Bの回転周波数成分を抽出し、抽出した回転周波数成分に基づき、偏芯情報を算出する。これにより、エンコーダローラ31A,31B以外のローラの偏芯等の、エンコーダローラ31A,31Bの偏芯以外の要因をドットずれ量データから除去し、エンコーダローラ31A,31Bの偏芯情報を高精度で算出できる。
【0150】
[その他の実施形態]
上述のように、本発明は第1および第2実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0151】
上述した第1および第2実施形態では、印刷媒体として長尺状のウェブWを用い、搬送されるウェブWに従動回転するエンコーダローラ31にエンコーダ22が設置されているインクジェット印刷装置3を示した。しかし、印刷媒体はウェブに限らず、エンコーダが設置されるローラはウェブに従動回転するものに限らない。エンコーダが設置されるローラは、搬送される印刷媒体に同期して回転するものであればよい。
【0152】
例えば、印刷媒体として用いるカット紙を搬送ベルトにより搬送する搬送機構を有し、搬送ベルトに従動回転するローラに設置されたエンコーダの出力パルス信号に基づき、インクの吐出タイミングを制御するインクジェット印刷装置にも本発明は適用可能である。このようなインクジェット印刷装置でも、エンコーダが設置されたローラは、搬送される印刷媒体に同期して回転するものといえる。
【0153】
また、上述した第2実施形態では、2つのインクジェットヘッド56が印刷するテストパターン間で対応関係にあるドットの副走査方向における位置が理想的には同じになるようにテストパターンの印刷を行った。そして、2つのインクジェットヘッド56で印刷されたテストパターン間で対応関係にあるドット間の副走査方向における距離であるドットずれ量を用いて、偏芯情報を算出した。しかし、これに限らず、テストパターン間のドットの位置関係に基づいて偏芯情報を算出するものであればよい。
【0154】
また、上述した第2実施形態では、エンコーダ22に対応する印刷部23の2つのインクジェットヘッド56により、偏芯情報取得用のテストパターンを印刷させる例を示した。しかし、3つ以上のインクジェットヘッド56によりテストパターンを印刷させてもよい。印刷部23の少なくとも一部の複数のインクジェットヘッド56によりテストパターンを印刷させるものであればよい。3つ以上のインクジェットヘッド56によりテストパターンを印刷させる場合、例えば、2つのインクジェットヘッド56により印刷されたテストパターン間のドットの位置関係に基づき偏芯情報を算出する処理を、インクジェットヘッド56の組み合わせが異なる複数の組について行い、それぞれの組から得られた偏芯情報の平均を採用するようにすることができる。
【0155】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0156】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0157】
(付記1)
搬送される印刷媒体にインクを吐出して画像を印刷するインクジェットヘッドと、
搬送される印刷媒体に同期して回転するローラと、
前記ローラの回転角度に応じてパルス信号を出力するエンコーダと、
前記エンコーダの出力パルス信号に基づき、印刷動作時の前記インクジェットヘッドによるインクの吐出タイミングを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
印刷媒体の搬送方向に沿って配置される複数のドットを含むテストパターンを前記インクジェットヘッドに印刷させ、印刷されたテストパターンにおけるドットの位置に基づき、前記ローラの偏芯情報を算出する偏芯情報取得処理を行い、
印刷動作時において、前記偏芯情報取得処理で算出した前記偏芯情報に基づき、前記エンコーダの出力パルス信号に基づく前記インクジェットヘッドによるインクの吐出タイミングを補正することを特徴とするインクジェット印刷装置。
【0158】
(付記2)
搬送される印刷媒体に同期して回転する前記ローラを複数備え、
前記エンコーダは、複数の前記ローラのうちのいずれかに設置されており、
前記エンコーダが設置された前記ローラは、他の前記ローラとは異なる外径を有し、
前記制御部は、
前記偏芯情報取得処理において、印刷されたテストパターンの前記搬送方向における互いに隣接するドット間の距離を示すドット間距離データを生成し、生成したドット間距離データからエンコーダが設置されたローラの回転周波数成分を抽出し、抽出した回転周波数成分に基づき、前記偏芯情報を算出することを特徴とする付記1に記載のインクジェット印刷装置。
【0159】
(付記3)
前記インクジェットヘッドを複数備え、
前記制御部は、前記偏芯情報取得処理において、複数の前記インクジェットヘッドのうちの少なくとも一部の複数の前記インクジェットヘッドによりテストパターンを印刷させ、互いに異なる前記インクジェットヘッドにより印刷されたテストパターン間のドットの位置関係に基づき、前記偏芯情報を算出することを特徴とする付記1に記載のインクジェット印刷装置。
【0160】
(付記4)
搬送される印刷媒体に同期して回転する前記ローラを複数備え、
前記エンコーダは、複数の前記ローラのうちのいずれかに設置されており、
前記エンコーダが設置された前記ローラは、他の前記ローラとは異なる外径を有し、
前記制御部は、偏芯情報取得処理において、互いに異なるインクジェットヘッドにより印刷されたテストパターン間のドットの位置関係を示す位置関係データを生成し、生成した位置関係データから前記エンコーダが設置された前記ローラの回転周波数成分を抽出し、抽出した回転周波数成分に基づき、前記偏芯情報を算出することを特徴とする付記3に記載のインクジェット印刷装置。
【符号の説明】
【0161】
1 印刷システム
2 巻出装置
3 インクジェット印刷装置
4 巻取装置
21 搬送部
22,22A,22B エンコーダ
23,23A,23B 印刷部
24 印刷装置制御部
31,31A,31B エンコーダローラ
51,51K,51C,51M,51Y,51P ヘッドユニット
56,56K,56C,56M,56Y,56P インクジェットヘッド