特許 7093662 便器装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-06-22

(45)【発行日】2022-06-30

(54)【発明の名称】便器装置

(51)【国際特許分類】

   E03D 11/02 20060101AFI20220623BHJP

【ＦＩ】

E03D11/02 Z

【請求項の数】 4

(21)【出願番号】P 2018068535

(22)【出願日】2018-03-30

(65)【公開番号】P2019178549

(43)【公開日】2019-10-17

【審査請求日】2021-01-27

(73)【特許権者】

【識別番号】504163612

【氏名又は名称】株式会社ＬＩＸＩＬ

(74)【代理人】

【識別番号】100105924

【弁理士】

【氏名又は名称】森下 賢樹

(72)【発明者】

【氏名】古閑 一樹

(72)【発明者】

【氏名】渡邊 弘明

(72)【発明者】

【氏名】佐々木 智也

(72)【発明者】

【氏名】伊藤 綱基

(72)【発明者】

【氏名】若松 篤史

【審査官】七字 ひろみ

(56)【参考文献】

【文献】特開２００８－３０３７１３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１７－２１８７８９（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平０６－２８７９８９（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許出願公開第２０１５／０１７６２６４（ＵＳ，Ａ１）

【文献】特開平９－２５６５７（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ０３Ｄ １／００－１３／００

Ａ４７Ｋ １３／００－１７／０２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

前部に便鉢部を設けた便器本体と、機能部品を収容し、後部に配設されたケーシングと、を備える便器装置において、
前記便鉢部の後方において左右に延びるように設けられており、前記便鉢部のリム部の上面から立ち上がり、前記ケーシングの側と前記便鉢部の側とを隔てる隔壁部と、
前記便鉢部のリム部に載せ置かれ、開閉可能に支持された便座と、
を備え、
前記便座を開状態としたときに、前記隔壁部の前面が露出し、
前記隔壁部は陶器製であり、
前記ケーシングは樹脂製であり、
前記隔壁部の上に前記ケーシングが配置されており、前記便座は前記ケーシングに取り付けられていることを特徴とする便器装置。

【請求項2】

前記隔壁部は、左右における端部から後方へ延びる側壁部を有することを特徴とする請求項１に記載の便器装置。

【請求項3】

前記隔壁部は、前記便器本体の左右の全幅に亘って設けられていることを特徴とする請求項１または２に記載の便器装置。

【請求項4】

前記隔壁部は、前記便器本体と一体的に成形されていることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の便器装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、便器装置に関する。

【背景技術】

【0002】

便器装置は、後部に洗浄水供給装置等の機能部品を収容したケーシングを設け、後部側に設けた左右方向を軸方向とするヒンジ軸によって、便蓋および便座を回動可能に支持している。便器装置は、手動または電動で便座を回動させることによって開閉させて使用される。

【0003】

例えば、特許文献１に記載された便器装置は、便器本体に固定されるケーシングに対し便蓋及び便座がヒンジを介して回動自在に連結されている。ケーシングの前部には、その前部の両端部に対して中央部が凹んだ曲成部が形成され、ケーシングの前部が便器本体の開口に突出しないようにしている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【文献】特開２００８－２１２７１０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

特許文献１に記載された便器装置は、ケーシングの前部の中央部が凹んでいることでケーシングの前部が汚れることを防止するが、ケーシングと、便器本体のリム部の上面との隙間に水や汚れが付着してしまうという問題点があった。

【0006】

本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、機能部品を配置するケーシングと、便器本体のリム部の上面との間に水や汚れが付着することを抑制できる便器装置を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明に係る便器装置は、前部に便鉢部を設けた便器本体と、機能部品を収容し、後部に配設されたケーシングと、を備える便器装置において、前記便鉢部の後方において左右に延びるように設けられており、前記便鉢部のリブ部の上面から立ち上がり、前記ケーシングの側と前記便鉢部の側とを隔てる隔壁部を備えることを特徴とする。

【発明の効果】

【0008】

本発明によれば、機能部品を配置するケーシングと、便器本体のリム部の上面との間に水や汚れが付着することを抑制できる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】実施形態に係る便器装置の外観を示す斜視図である。

【図2】便蓋を開状態とした便器装置の外観を示す斜視図である。

【図3】便蓋および便座を開状態とした便器装置の外観を示す斜視図である。

【図4】カバー、便蓋および便座を取り外した便器装置の外観を示す斜視図である。

【図5】便器本体の外観を示す斜視図である。

【図6】便蓋および便座を開状態とした便器装置の正面図である。

【図7】便蓋および便座を開状態とした便器装置の側面図である。

【図8】図６に示すＡ－Ａ線による便器装置の断面図である。

【図9】図６に示すＡ－Ａ線による便座を閉状態とした便器装置の断面図である。

【図10】開状態における便座を伝う水の流下について説明するための模式図である。

【図11】変形例に係る便器本体の外観を示す斜視図である。

【図12】別の変形例に係る便器本体の外観を示す斜視図である。

【図13】更に別の変形例に係る便器本体の外観を示す斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図１から図１３を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。

【0011】

図１は実施形態に係る便器装置１００の外観を示す斜視図である。図２は便蓋４を開状態とした便器装置１００の外観を示す斜視図であり、図３は便蓋４および便座５を開状態とした便器装置１００の外観を示す斜視図である。便器装置１００は、便器本体１、ケーシング２、カバー３、便蓋４および便座５等を備える。便器本体１は、前端Ｆ側に便鉢部１１、便鉢部１１後方の後部に部品配置部１２および隔壁部１３を有する。以下の説明において、便器装置１００について左右方向は、便器装置１００の前後方向に対して直交する水平方向であり、左および右は、前端Ｆ側から便器装置１００を見て定義されているものとする。

【0012】

便鉢部１１は、汚物を受けるための鉢状の受け面１１ａ、および受け面１１ａの上部開口の周囲に形成されたリム部１１ｂを有し、リム部１１ｂの上面１１ｃに便座５が載せ置かれる。受け面１１ａには、例えば、前端Ｆから見て左上部の後方から前方へ向けて洗浄水が吐出される。受け面１１ａに吐出された洗浄水は、受け面１１ａに沿って一方向に旋回しつつ下方へ流下して受け面１１ａを洗い流し、受け面１１ａの底に接続される排水路（図示略）から汚物とともに排出される。

【0013】

吐出される洗浄水は、便座５の底面５１ｂ（図３参照）にも注がれて底面５１ｂを洗浄するようにした場合、底面５１ｂに洗浄水が付着する可能性がある。また、吐出される洗浄水が底面５１ｂには注がれず、専ら受け面１１ａを洗浄するように構成されている場合にも、洗浄水の一部が飛散して底面５１ｂに付着することが考えられる。

【0014】

部品配置部１２は、上端部１２ａの高さが便鉢部１１のリム部１１ｂとほぼ同じであり、上端部１２ａにはケーシング２が載せ置かれる。ケーシング２には、不図示の複数の機能部品が収容される。機能部品には、例えば、便器洗浄装置や、洗浄水供給装置、着座者の局部を洗浄する局部洗浄装置、便座５を暖める便座暖房装置、便鉢部１１内へ温風を送出する送風装置、および洗浄泡供給装置等が含まれる。

【0015】

図４はカバー３、便蓋４および便座５を取り外した便器装置１００の外観を示す斜視図であり、図５は便器本体１の外観を示す斜視図である。隔壁部１３は、便器本体１の後部におけるリム部１１ｂの上面１１ｃから上方へ立ち上がるように設けられている。隔壁部１３は、前壁部１３ａ、側壁部１３ｂおよび後壁部１３ｃを備える。前壁部１３ａは、便鉢部１１の後方においてリム部１１ｂを挟んで左右方向に延びる。前壁部１３ａは、両側部分１３ｄは、中央部側から左右の外方向へ向かうにつれて前方へ向かうように傾斜している。前壁部１３ａは、両側部分１３ｄを前方へ傾斜させずに、左右方向にほぼ直線状となるように設けてもよい。

【0016】

前壁部１３ａは、リム部１１ｂの上面１１ｃに連続して形成されており、リム部１１ｂより高く、ケーシング２およびその内部に収容される機能部品の側と、便鉢部１１の側とを隔てる。前壁部１３ａの前面１４ａは、前方に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面となっている。また前壁部１３ａの前面１４ａに連続する便鉢部１１の後部におけるリム部１１ｂの上面１１ｃも、前方に向かうにつれて下方に緩く傾斜する傾斜面としておくとよい。前壁部１３ａの前面１４ａ、および前面１４ａに連続する便鉢部１１の後部におけるリム部１１ｂの上面１１ｃは、便座５が開状態のときに、前方へ露出している（図３参照）。

【0017】

側壁部１３ｂは、前壁部１３ａの左右の端部から後方へ延びる。後壁部１３ｃは、左右方向に延び、左右の側壁部１３ｂそれぞれの後部側の端部に連続している。後壁部１３ｃの後方側の表面は、便器本体１と面一としてある。隔壁部１３は、リム部１１ｂと一体的に成形されていることが好ましく、例えば陶器製であるとよい。

【0018】

ケーシング２は、例えば樹脂製であり、箱状または皿状等をなし、上述のような機能部品を収容して構成されている。ケーシング２は、前後方向の幅が便器本体１の後端部から便鉢部１１の後縁部付近に亘っており、左右方向の幅が便器本体１の左右方向の全幅に亘っている。ケーシング２は、機能部品を配置するための底板や側板等が隔壁部１３によって囲繞された空間に上方から挿入されるようにして設けられている。ケーシング２は、周縁部２ａで部品配置部１２の上端部１２ａに載せ置かれる。またケーシング２は、隔壁部１３の上端部に載せ置くようにしてもよい。

【0019】

カバー３は、天板３ａおよび側板３ｂを備え、ケーシング２の上方および上部の側面を覆う。カバー３は、ケーシング２に対して着脱可能である。天板３ａは、後方側の角が丸みを帯びた平面視矩形状をなす。側板３ｂは、天板３ａの側辺から下方に延びるように、天板３ａの左右および後部に形成されている。天板３ａの前端辺３ｃは、左右方向に延びる直線状となっている。

【0020】

便蓋４および便座５の後部は、便器本体１側としてのケーシング２に設けられたヒンジ部（図示略）に左右方向の軸まわりに回動可能に支持されている。便蓋４および便座５は、開状態としたときに、ケーシング２の前方において起立した状態となって停止する。

【0021】

便蓋４は、便座５および便器本体１の便鉢部１１を覆う平板状の天板４ａ、並びに便座５の前方および左右の側方を覆う側板４ｂを備える。天板４ａは、便鉢部１１を覆うべく、前部側が半円状および後部側が矩形状をなし、後端辺４ｃが左右方向に延びる直線状としてある。

【0022】

カバー３の天板３ａは、前端辺３ｃが便蓋４の天板４ａの後端辺４ｃに僅かな隙間を空けて突き合わされており、上面が便蓋４の天板４ａと面一としてある。また、天板３ａの前端辺３ｃおよび天板４ａの後端辺４ｃは、ともに平面視において直線状となっている。カバー３の天板３ａは、便蓋のヒンジ部の上方を覆っており、埃や水等が該ヒンジ部に侵入し、堆積することを抑制する。

【0023】

図１を参照し、カバー３の側板３ｂの前端辺は、便蓋４の側板４ｂの後端辺に僅かな隙間を空けて突き合わされており、側板３ｂおよび側板４ｂの外面は面一としてある。またカバー３の側板３ｂの前端辺は、便蓋４の側板４ｂの後端辺と高さ方向の長さ寸法が同一であり、カバー３および便蓋４について視覚的な一体感を与えている。

【0024】

便座５は、座部５１および基端部５２を有し、ケーシング２側のヒンジ部（図示略）によって回動可能に支持されている。座部５１は、便鉢部１１における受け面１１ａの上部開口に対応する孔を有する円環板状に形成されており、座面部５１ａに使用者が着座し、底面５１ｂがリム部１１ｂに対向して接触する。底面５１ｂの周縁部には、開状態（起立状態）の便座５において前方へ張り出すように、前記孔の形状に対応する円環状に形成された水返部５４が設けられている。また水返部５４は、便座５を開状態（起立状態）としたときに、最下端が左右方向の中央に位置している。水返部５４は、便座５を閉状態とするとリム部１１ｂに接触し、水返部５４の外側へ洗浄水が流出することを防ぐように機能する。水返部５４は、便座５の底面５１ｂを形成する部材と一体的に成形したものであってもよいし、弾力性のある樹脂製のパッキンを底面５１ｂに接着等によって固定したものであってもよい。

【0025】

図６は便蓋４および便座５を開状態とした便器装置１００の正面図である。図６５において示す矢印のように、底面５１ｂを伝って流下する水は、水返部５４によって左右方向の外側から中央に向かい、底面５１ｂの後部５１ｃに集まる。

【0026】

基端部５２は、表面５２ａが座面部５１ａに連なるように形成されている。また基端部５２は、左右方向の中央部において底面５１ｂ側に膨らみを持たせて内部に機能部品を収容する空間を形成した収容部５３を有する。収容部５３の底面５３ｂは、座部５１の底面５１ｂと面一となっている。収容部５３の底面５３ｂの後側の隅部５３ｃは、円弧状に丸みを帯びた形状としてある。

【0027】

図７は便蓋４および便座５を開状態とした便器装置１００の側面図であり、図８は図６に示すＡ－Ａ線による便器装置１００の断面図であり、図９は図６に示すＡ－Ａ線による便座５を閉状態とした便器装置１００の断面図である。便座５の底面５１ｂおよび収容部５３の底面５３ｂ（隅部５３ｃを含む）は、便座５が開状態のときに、便鉢部１１の受け面１１ａにおける後部傾斜面１１ｄの上方に位置している。便座５が閉状態のときに、便座５の後部における底面５３ｂから後側面は、リム部１１ｂの上面１１ｃから前壁部１３ａの前面１４ａに添うよう配置される。

【0028】

収容部５３は、例えば局部洗浄装置等の一部を収容する。局部洗浄装置は、座部５ａの中央方向へ前進し、収容部５３の内部へ後退するノズル６１ａを有し、収容部５３の内部には、ノズル６１ａを前進および後退させる駆動機構６１が収容されるようにする。ノズル６１ａに洗浄水を供給する局部洗浄装置の洗浄水供給部等の本体部（図示略）は、ケーシング２の内部に設けられている。ノズル６１ａには、局部洗浄装置の洗浄水供給部から洗浄水を供給するための配管が接続されており、駆動機構６１には本体部側から電気信号線が接続されている。

【0029】

便座５の座面部５１ａ、および座面部５１ａに連なる基端部５２の表面５２ａは、便座５が開状態のときに、ケーシング２より前方に位置している。また、便座５の座面部５１ａ、および座面部５１ａに連なる基端部５２の表面５２ａは、便器本体１のリム部１１ｂの上面１１ｃに連続して形成された隔壁部１３の前壁部１３ａにおける前面１４ａの上または前面１４ａよりも前方に位置している。

【0030】

次に実施形態に係る便器装置１００の作用について説明する。図１０は、開状態における便座５を伝う水の流下について説明するための模式図である。尚、図１０は図８に示す断面図に相当している。

【0031】

上述の図６に基づいて説明したとおり、底面５１ｂを伝って流下する水は、水返部５４によって左右方向の外側から中央に向かい、底面５１ｂの後部５１ｃに集まる。後部５１ｃに集まった水は、水返部５４における左右方向の中央部を乗り越えて流下する。便座５が開状態のときに水返部５４が収容部５３よりも前方に張り出していれば、水返部５４を乗り越えた水は、便鉢部１１の受け面１１ａにおける後部傾斜面１１ｄに滴下する。

【0032】

また、便座５が開状態のときに水返部５４が収容部５３よりも前方に張り出していない場合には、水返部５４を乗り越えた水は収容部５３の底面５３ｂへ流れ出す。収容部５３の底面５３ｂの隅部５３ｃは、丸みを帯びており、図７に矢印で指示する隅部の一端Ｐから他端Ｑにかけて、面法線方向が次第に前方から下方向へ変化する。したがって、収容部５３の底面５３ｂへ流れ出した水は、底面５３ｂを伝って流下し、隅部５３ｃにおける一端Ｐから他端Ｑの間で、便鉢部１１の受け面１１ａにおける後部傾斜面１１ｄに滴下する。便器装置１００は、開状態の便座５の底面５１ｂを伝って流下する水を、便鉢部１１の受け面１１ａにおける後部傾斜面１１ｄに滴下させる。これにより、便器装置１００は、便鉢部１１の後方の部分、即ち便鉢部１１後方のリム部１１ｂにおける上面１１ｃ等の便器本体１の上面や、カバー３、ケーシング２への水の付着を抑制することができる。尚、便座５と便器本体１との位置関係に応じて、便座５から便鉢部１１の後部におけるリム部１１ｂの上面１１ｃに水が滴下するものであってもよい。この場合でも、便鉢部１１の後部におけるリム部１１ｂの上面１１ｃにおける左右方向の中央に水が滴下するので、左右方向に広がって水が滴下することが抑制される。また、便器装置１００は、隔壁部１３の前壁部１３ａによってケーシング２の側と便鉢部１１の側とが隔てられているので、リム部１１ｂの上面１１ｃに滴下した水や前方から飛散してきた水が、ケーシング２の側に前方から降りかかり難く、ケーシング２とリム部１１ｂの上面１１ｃとの間に水や汚れが付着することを抑制することができる。

【0033】

さらに他端Ｑを超えて後方へ流れた水は、隔壁部１３における前壁部１３ａの前面１４ａ、および前面１４ａに連続する便鉢部１１の後部におけるリム部１１ｂの上面１１ｃに滴下する。また、座面部５１ａおよび基端部５２の表面５２ａを伝って流下する水は、隔壁部１３における前壁部１３ａの前面１４ａ、および前面１４ａに連続する便鉢部１１の後部におけるリム部１１ｂの上面１１ｃに滴下する。

【0034】

前壁部１３ａの前面１４ａは、前方に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面となっており、前面１４ａに滴下した水や前方から飛散してきた水は、リム部１１ｂの上面１１ｃへ流下する。また前壁部１３ａの前面１４ａに連続する便鉢部１１の後部におけるリム部１１ｂの上面１１ｃが、前方に向かうにつれて下方に緩く傾斜する傾斜面としてあれば、リム部１１ｂの上面１１ｃを伝って、便鉢部１１の後部傾斜面１１ｄへと流れ落ちる。

【0035】

前壁部１３ａの前面１４ａ、および前面１４ａに連続する便鉢部１１の後部におけるリム部１１ｂの上面１１ｃに流れ落ちた水は、該前面１４ａおよび該上面１１ｃに留まった場合にも、前方へ露出しているため、布で拭うなどして容易に清掃することができる。リム部１１ｂの上面１１ｃと開状態の便座５との隙間は、手指および布の厚さが入る程度、例えば３ｃｍあれば清掃性が良好となり、便座５を回動可能に支持するヒンジ部の高さおよび便座５の後端面の配置に依存して３～１０数ｃｍ程度の隙間を設けることができる。また、隔壁部１３をリム部１１ｂと一体的に成形された陶器製とすることによって、清掃性が更に良好となる。

【0036】

便座５は全体として、開状態において、隔壁部１３の前方に設けられている。便器装置１００は、機能部品を収容するケーシング２が便座５の後方に位置し、前壁部１３ａによってケーシング２の側と便鉢部１１の側とを隔てている。このため、便器装置１００は、機能部品およびケーシング２に水が前方から降りかかり難く、ケーシング２とリム部１１ｂの上面１１ｃとの間に水や汚れが付着することが抑制される。

【0037】

便座５に収容部５３を設け、機能部品の一部を収容部５３に配設することによって、ケーシング２に配設する機能部品を削減することができる。これにより、ケーシング２は、コンパクト化することができ、便器装置１００における便鉢部１１および便座５の後部への配置が容易になる。

【0038】

便座５の収容部５３は、便座５の後部における基端部５２の中央部分に、底面５１ｂ側へ膨らむように設けられており、便座５の内部に機能部品の一部を配設することができる。

【0039】

隔壁部１３は、前壁部１３ａに連続する左右の側壁部１３ｂおよび後壁部１３ｃを有しており、側壁部１３ｂおよび後壁部１３ｃによってケーシング２内への左右方向および後方からの埃や異物の侵入を抑制することができる。また、隔壁部１３は、側壁部１３ｂおよび後壁部１３ｃを有することで、剛性および強度が高まり、便器本体１と一体的に成形される陶器製とする場合には、焼成工程における変形を抑制することができる。

【0040】

（変形例）
図１１は、変形例に係る便器本体１の外観を示す斜視図である。この変形例に係る便器本体１は、隔壁部１３を前壁部１３ａで構成し、側壁部１３ｂおよび後壁部１３ｃが設けられていない。便器装置１００は、隔壁部１３の前壁部１３ａによってケーシング２の側と便鉢部１１の側とが隔てられるので、リム部１１ｂの上面１１ｃに滴下した水や前方から飛散してきた水が、ケーシング２に前方から降りかかり難く、ケーシング２とリム部１１ｂの上面１１ｃとの間に水や汚れが付着することを抑制することができる。

【0041】

図１２は、別の変形例に係る便器本体１の外観を示す斜視図である。この変形例に係る便器本体１は、隔壁部１３を前壁部１３ａおよび左右の側壁部１３ｂで構成し、後壁部１３ｃが設けられていない。便器装置１００は、図１１に示した変形例に加えて、側壁部１３ｂを有することで、ケーシング２内への左右方向からの埃や異物の侵入を抑制することができる。また隔壁部１３は、側壁部１３ｂを有することで、剛性および強度が高まり、便器本体１と一体的に成形される陶器製とする場合には、焼成工程における変形を抑制することができる。

【0042】

図１３は、更に別の変形例に係る便器本体１の外観を示す斜視図である。この変形例に係る便器本体１は、隔壁部１３を前壁部１３ａ、左右の側壁部１３ｂおよび後壁部１３ｃで構成している。また、隔壁部１３は、便器本体１の左右の全幅に亘って設けられており、左右の側壁部１３ｂの外表面は、便器本体１の下方における表面と面一としてあり、図５等において示した便器本体１の後部における上端部１２ａが形成されない。上端部１２ａには、隙間を通って侵入してきた埃や異物が堆積する蓋然性があるが、左右の側壁部１３ｂの外表面を便器本体１の下方における表面と面一とすることで、埃や異物が堆積する箇所を少なくすることができる。また、左右の側壁部１３ｂの外表面を便器本体１の下方における表面と面一とすることで、表面を容易に布で拭うことができ、清掃性が良くなる。

【0043】

上述の実施形態においては、ケーシング２の前側の一部が隔壁部１３の前壁部１３ａの上方に被さっている例が示されているが（図８参照）、ケーシング２が隔壁部１３の前壁部１３ａの上方に被さることなく、前壁部１３ａの後方に位置していてもよい。また、ケーシング２は、前壁部分を有して該前壁部分によって隔壁部１３の前壁部１３ａにおける上部の前面側を覆うように構成されていてもよい。

【0044】

次に、実施形態および変形例に係る便器装置１００の特徴を説明する。
本発明の実施形態および変形例に係る便器装置１００は、前部に便鉢部１１を設けた便器本体１と、機能部品を収容し、後部に配設されたケーシング２と、を備える。便器装置１００は、便鉢部１１の後方において左右に延びるように設けられており、便鉢部１１のリム部１１ｂの上面１１ｃから立ち上がり、ケーシング２の側と便鉢部１１の側とを隔てる隔壁部１３を備える。これにより、便器装置１００は、リム部１１ｂに滴下した水や前方から飛散してきた水が、ケーシング２に前方から降りかかり難く、ケーシング２とリム部１１ｂの上面１１ｃとの間に水や汚れが付着することを抑制することができる。

【0045】

また隔壁部１３の前壁部１３ａは、左右における端部から後方へ延びる側壁部１３ｂを有する。これにより、便器装置１００は、ケーシング２内への左右方向からの埃や異物の侵入を抑制し、更に隔壁部１３の剛性および強度が高まる。

【0046】

また隔壁部１３は、便器本体１の左右の全幅に亘って設けられている。これにより、便器装置１００は、埃や異物が堆積する箇所を少なくすることができる。

【0047】

また便器装置１００は、便鉢部１１のリム部１１ｂに載せ置かれ、開閉可能に支持された便座５を備え、便座５を開状態としたときに、隔壁部１３の前面１４ａが露出する。これにより、便器装置１００は、隔壁部１３の前面１４ａおよび便鉢部１１の後部のリム部１１ｂを布で拭うなどして容易に清掃することができる。

【0048】

また隔壁部１３は、便器本体１と一体的に成形されている。これにより、便器装置１００は、隔壁部１３の前面１４ａおよび便鉢部１１の後部のリム部１１ｂにおける清掃性が更に良好となる。

【0049】

以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。

【符号の説明】

【0050】

１ 便器本体、 １１ 便鉢部、 １１ｂ リム部、 １３ 隔壁部、
１３ｂ 側壁部、 ２ ケーシング、 ５ 便座、 １００ 便器装置。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】