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特許7093688ブレース固定金具及び該ブレース固定金具を用いた床支持構造
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  • 特許-ブレース固定金具及び該ブレース固定金具を用いた床支持構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】ブレース固定金具及び該ブレース固定金具を用いた床支持構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20220623BHJP
   E04B 5/02 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
E04B1/58 G
E04B5/02 M
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018124534
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020002691
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000177139
【氏名又は名称】三洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】菊川 幸浩
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-194002(JP,A)
【文献】特開2008-214916(JP,A)
【文献】特開2015-063850(JP,A)
【文献】特開2017-089218(JP,A)
【文献】特開2017-206884(JP,A)
【文献】特開2013-032689(JP,A)
【文献】米国特許第7748180(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 5/02
E04B 1/18
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床支持脚に固定するための支持脚取付孔を備えた平板状の支持部と、
該支持部の左右両側辺から、それぞれ略垂直に下方にのびる鉛直面部と、
各鉛直面部の両側辺から、さらに前記支持部における左右方向に沿って、それぞれ外方に並行に伸びる一対のブラケットと
を一体的に形成して成り、
前記ブラケットにブレース取付孔を設け、
各ブラケット間で、少なくとも対向する一対の側面を有するブレース材の前記一対の側面を挟持した状態で、前記ブレース材を前記ブレース取付孔を介して止着具によって一対のブラケットに固定することができるように構成した
ことを特徴とするブレース固定金具。
【請求項2】
各ブラケットに、複数のブレース取付孔をマトリックス状に配置した
ことを特徴とする請求項1に記載のブレース固定金具。
【請求項3】
ブレース固定金具における同側にある左右のブラケットを連結する平板状の補強連結板をさらに備えている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のブレース固定金具。
【請求項4】
基礎面に並設される複数の床支持脚のうち特定の床支持脚と基礎面との間に、ブレース材を取り付ける床支持構造において、
前記床支持脚が、大引材を装着支持するU字状、L字状又は平板状の受け部材と、前記大引材を受け部材と共に支持する支柱部とから成り、前記受け部材と前記支柱部との間に請求項1~3の何れか一項に記載のブレース固定金具から成る上部ブレース固定金具を固定し、
前記基礎面上に、底板部と底板部の両側辺から上方に向けて伸びる一対のブレース取付孔を備えたブラケットを有する下部ブレース固定金具を固定し、
前記上部ブレース固定金具のブラケット間及び前記下部ブレース固定金具のブラケット間で、それぞれ、少なくとも対向する一対の側面を有するブレース材の両端部の前記一対の側面を挟持した状態で、前記ブレース材を、各ブラケットのブレース取付孔を介して止着具によって一対のブラケットに固定して成る
ことを特徴とする床支持構造。
【請求項5】
前記上部ブレース固定金具を、大引材の長手方向に直交する方向に、そのブラケットが位置するよう前記床支持脚に固定し、
前記下部ブレース固定金具を、基礎面上における大引材の長手方向と直交する方向の所定位置に固定して成る
ことを特徴とする請求項4に記載の床支持構造。
【請求項6】
前記上部ブレース固定金具を、大引材の長手方向に沿って、そのブラケットが位置するよう前記床支持脚に固定し、
前記下部ブレース固定金具を、基礎面上における大引材の長手方向と同方向の所定位置に固定して成る
ことを特徴とする請求項4に記載の床支持構造。
【請求項7】
前記下部ブレース固定金具のブラケットの少なくとも一方の側辺と水平面との間の角度が60°以下である
ことを特徴とする請求項4~6の何れか一項に記載の床支持構造。
【請求項8】
前記下部ブレース固定金具のブラケットにおける両側辺と水平面との間の角度が異なる角度である
ことを特徴とする請求項7に記載の床支持構造。
【請求項9】
前記下部ブレース固定金具のブラケットにおける一方の側辺と水平面との間の角度が45°であり、他方の側辺と水平面との間の角度が60°である
ことを特徴とする請求項8に記載の床支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床支持強度を高めるために使用されるブレース材を固定するためのブレース固定金具及び該ブレース固定金具を用いた床支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、床スラブ上に床支持脚を介して大引材を配置し、該大引材に根太材及び床板を設けて成る床支持構造において、支持強度を上げるために、床支持脚間又は床支持脚とスラブとの間に、斜材としてブレース材を設けることが行われている(特許文献1参照)。
特許文献1における床支持構造では、床支持脚の上部及びスラブ上にそれぞれブラケットを設け、これらブラケット間にブレースを設けることにより、床支持強度を上げる構造が開示されている。
この床支持構造では、床支持脚における支柱部を構成する支持ボルトと大引材を弾性支持する受け部材との間に、ブレース固定用のブラケットを設けているため、床板の弾性支持力を低減させることなく、床支持強度を上げることができるという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5112717号公報
【文献】実用新案登録第2600408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した特許文献1においても、そうであるが、従来から斜材として用いるブレース材は、両端に羽子板ボルト等の羽子板状部分を設けて成るブレース材が一般的に使用されている(特許文献2)。
そして、上記したブレース材は、その両端の羽子板状部分を平板から成るブレラケットにボルトで固定することによって使用される。
発明者等は、耐震構造を高める必要性がある現在において、羽子板状部を平板から成るブレケットに固定する従来の床支持構造よりも、さらに支持強度を高めることを目的として鋭意研究を重ね、従来の床支持構造に比べて構造が複雑化することなく、しかも施工が容易でありながら、支持強度をさらに高めることができるブレース固定金具及び該ブレース固定金具を用いた床支持構造を発明するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るブレース固定金具は、床支持脚に固定するための支持脚取付孔を備えた平板状の支持部と、該支持部の左右両側辺から、それぞれ略垂直に下方にのびる鉛直面部と、各鉛直面部の両側辺から、さらに前記支持部における左右方向に沿って、それぞれ外方に並行に伸びる一対のブラケットとを一体的に形成して成り、前記ブラケットにブレース取付孔を設け、各ブラケット間で、少なくとも対向する一対の側面を有するブレース材の前記一対の側面を挟持した状態で、前記ブレース材を前記ブレース取付孔を介して止着具によって一対のブラケットに固定することができるように構成したしたことを特徴とする。
また、上記したブレース固定金具においては、各ブラケットに、複数のブレース取付孔をマトリックス状に配置することができる。
さらに、ブレース固定金具における同側にある左右のブラケットを連結する平板状の補強連結板をさらに設けてもよい。
また、本発明に係る床支持構造は、基礎面に並設される複数の床支持脚のうち特定の床支持脚と基礎面との間に、ブレース材を取り付ける床支持構造において、前記床支持脚が、大引材を装着支持するU字状、L字状又は平板状の受け部材と、前記大引材を受け部材と共に支持する支柱部とから成り、前記受け部材と前記支柱部との間に上記ブレース固定金具から成る上部ブレース固定金具を固定し、前記基礎面上に、底板部と底板部の両側辺から上方に向けて伸びる一対のブレース取付孔を備えたブラケットを有する下部ブレース固定金具を固定し、前記上部ブレース固定金具のブラケット間及び前記下部ブレース固定金具のブラケット間で、それぞれ、少なくとも対向する一対の側面を有するブレース材の両端部の前記一対の側面を挟持した状態で、前記ブレース材を、各ブラケットのブレース取付孔を介して止着具によって一対のブラケットに固定して成ることを特徴とする。
上記した床支持構造では、前記上部ブレース固定金具を、大引材の長手方向に直交する方向に、そのブラケットが位置するよう前記床支持脚に固定し、前記下部ブレース固定金具を、基礎面上における大引材の長手方向と直交する方向の所定位置に固定してもよい。


また、上記床支持構造では、前記上部ブレース固定金具を、大引材の長手方向に沿って、そのブラケットが位置するよう前記床支持脚に固定し、前記下部ブレース固定金具を、基礎面上における大引材の長手方向と同方向の所定位置に固定してもよい。
さらに、上記床支持構造においては、前記下部ブレース固定金具のブラケットの少なくとも一方の側辺と水平面との間の角度が60°以下であり得る。
また、前記下部ブレース固定金具のブラケットにおける両側辺と水平面との間の角度を異なる角度にしてもよい。この場合、例えば、前記下部ブレース固定金具のブラケットにおける一方の側辺と水平面との間の角度が45°であり、他方の側辺と水平面との間の角度が60°であり得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るブレース固定金具は、床支持脚に固定するための支持脚取付孔を備えた平板状の支持部と、該支持部の左右両側辺から、それぞれ略垂直に下方にのびる鉛直面部と、各鉛直面部の両側辺から、さらに前記支持部における左右方向に沿って、それぞれ外方に並行に伸びる一対のブラケットとを一体的に形成して成り、前記ブラケットにブレース取付孔を設け、各ブラケット間で、少なくとも対向する一対の側面を有するブレース材の前記一対の側面を挟持した状態で、前記ブレース材を前記ブレース取付孔を介して止着具によって一対のブラケットに固定することができるように構成しているので、強度の高い角鋼、H形鋼、C形鋼、丸鋼等から成る一対の側面を有する材料をブレース材として使用することが可能になり床の支持強度を上げることができる。また、本発明に係るブレース固定金具は、羽子板部を一枚のブラケットにボルトで固定する場合に比べて、二枚のブラケットでブレース材の一対の側面を挟持した状態で固定することができるので、ブレース材の連結部における強度があがる。さらに、本発明に係るブレース固定金具は、その支持部を平板状に形成し、かつ、支持脚取付孔を設けることにより、床支持脚における大引材の受け部材と支持柱との間に取り付けて使用することができるように構成しているので、受け部材の下方でブレース材を固定することができ、それにより、受け部材が大引材を弾性支持することができるように構成されている場合であっても、その弾性支持力を残したまま床の支持強度を上げることができる。さらにまた、特別な加工をすることなく角鋼等の一対に側面を有する材料をブレース材として使用することが可能になるので、コストを抑えることも可能になる。
また、各ブラケットに、複数のブレース取付孔をマトリックス状に設けることにより、ブレース材をどのような角度でブレース固定金具のブラケット間に配置しても、ブレース取付孔がブレース材の前記側面と対面するように構成しているので、ブレース材を固定する角度を自由に選択することが可能になり、施工が容易になる。
また、ブレース固定金具における同側にある左右のブラケットを連結する平板状の補強連結板をさらに設けることにより、ブレース固定金具におけるブラケットの強度を高めることができる。
本発明に係る床支持構造は、基礎面に並設される複数の床支持脚のうち特定の床支持脚と基礎面との間に、ブレース材を取り付ける床支持構造において、前記床支持脚が、大引材を装着支持するU字状、L字状又は平板状の受け部材と、前記大引材を受け部材と共に支持する支柱部とから成り、前記受け部材と前記支柱部との間に上記ブレース固定金具から成る上部ブレース固定金具を固定し、前記基礎面上に、底板部と底板部の両側辺から上方に向けて伸びる一対のブレース取付孔を備えたブラケットを有する下部ブレース固定金具を固定し、前記上部ブレース固定金具のブラケット間及び前記下部ブレース固定金具のブラケット間で、それぞれ、少なくとも対向する一対の側面を有するブレース材の両端部の前記一対の側面を挟持した状態で、前記ブレース材を、各ブラケットのブレース取付孔を介して止着具によって一対のブラケットに固定して成る。このように、本発明に係る床支持構造は、上部ブレース固定金具と、下部ブレース固定金具が、各々一対のブラケットを備え、各固定金具のブラケット間でブレース材の前記一対の側面を挟持した状態で固定するので、羽子板部を一枚のブラケットにボルト等で固定する場合に比べて、ブレース材の連結部における強度あがる。これに加えて、強度の高い角鋼、H形鋼、C形鋼、丸鋼等から成る一対の側面を有する材料をブレース材として使用することができるので、ブレース材そのものの強度が高いことも相まって、床の支持強度が高くなる。
また、上記床支持構造において、前記上部ブレース固定金具を、大引材の長手方向に直交する方向に、そのブラケットが位置するよう前記床支持脚に固定し、前記下部ブレース固定金具を、基礎面上における大引材の長手方向と直交する方向の所定位置に固定することで、大引材がその長手方向と直交する方向に揺れる振動を防止することができる。
さらに、上記床支持構造において、前記上部ブレース固定金具を、大引材の長手方向に沿って、そのブラケットが位置するよう前記床支持脚に固定し、前記下部ブレース固定金具を、基礎面上における大引材の長手方向と同方向の所定位置に固定することで、大引材がその長手方向に揺れる振動を防止することができる。
さらに、上記床支持構造において、前記下部ブレース固定金具のブラケットの少なくとも一方の側辺と水平面との間の角度を60°以下とすることで、ブレース材を固定する時にブレース材を下部ブレース固定金具のブラケットの傾斜に沿って配置するだけで、ブレース材を一定の角度で配置することが容易になる。これにより施工容易性を非常に高めることが可能になる。
また、前記下部ブレース固定金具のブラケットにおける両側辺と水平面との間の角度を異なる角度にし、例えば、前記下部ブレース固定金具のブラケットにおける一方の側辺と水平面との間の角度を45°とし、他方の側辺と水平面との間の角度を60°とすることで、一つの下部ブレース固定金具を用いて、45°又は60°の角度でブレース材を容易に固定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るブレース固定金具の正面図である。
図2図1に示したブレース固定金具の平面図である。
図3図1に示したブレース固定金具の底面図である。
図4図1に示したブレース固定金具の斜視図である。
図5】本発明に係る床支持構造の一実施例を示す図である。
図6】床支持脚と上部ブレース固定金具の連結部の詳細を示す一部断面拡大図である。
図7】下部ブレース固定金具の正面図である。
図8図7に示したブレース固定金具の平面図である。
図9図7に示したブレース固定金具の底面図である。
図10図7に示したブレース固定金具の斜視図である。
図11図1に示したブレース固定金具と補強連結板とを示す斜視図である。
図12図1に示したブレース固定金具に補強連結板を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に示した一実施例を参照して、本発明に係るブレース固定金具及び該ブレース固定金具を用いた床支持構造の実施の形態を説明していく。
【0009】
図1図4は、本発明に係るブレース固定金具の正面図、平面図、底面図及び斜視図を各々示している。
図面に示すように、この実施例におけるブレース固定金具1は、一枚の鋼板を折り曲げ加工して形成されたものである。
ブレース固定金具1は、平板状の支持部2と、該支持部2の左右両側辺から、それぞれ略垂直に下方にのびる鉛直面部3,3と、各鉛直面部3,3の両側辺から、さらに前記支持部2における左右方向に沿って、それぞれ外方に並行に伸びる一対のブラケット4,4とを折り曲げ加工により一体的に形成して成る。
支持部2には、後述する床支持脚に固定するための支持脚取付孔2aが形成されており、各ブラケット4には、複数(この実施例では9つ)のブレース取付孔5がマトリックス状に形成されている。
一対のブラケット4,4間の距離Tは、ブレース材として使用する少なくとも一対の側面を有する材料における前記一対の側面間の幅に合わせて寸法決めされている。
上記したように構成することにより、ブレース材の一対の側面を一対のブラケット4間で挟んで保持した状態で、該ブレース材を、任意のブレース取付孔5を使用してボルト又はビス等の適当な止着具で一対のブラケット4に固定することができる。ここで、少なくとも一対の側面を有する材料としては、具体的には、例えば、角鋼、H形鋼、C形鋼又は丸鋼等の鋼材が挙げられ、これらの材料は、従来使用されてきた両端に羽子板状部を有するブレース材に比べて、それ自身の強度が高い。また、ブレース材を一対のブラケット4間で挟んで両側から固定することにより、一枚のブラケットに羽子板状部を固定していた従来のブレース材に比べて連結部の支持強度が高くなる。従って、床支持構造全体の支持強度を上げることが可能になる。また、床支持構造の支持強度を上げるために特別な構造のブレース材を使用する必要がなく、一般的な角鋼、H形鋼、C形鋼又は丸鋼等の材料を使用することができるので、コストが上がることがない。
さらに、ブラケット4に複数のブレース取付孔5をマトリックス状に配置することにより、ブレース材がどのような角度で、ブラケット4間に配置されても、必ず少なくとも一つのブレース取付孔5がブレース材と対面するようになるので、ブレース材の取付も容易になる。
【0010】
以下、上記したように構成されたブレース固定金具を上部ブレース固定金具として使用した床支持構造について説明していく。
【0011】
図5は、本発明に係る床支持構造の一実施例を示す図であり、図6は、床支持脚と上部ブレース固定金具の連結部の詳細を示す一部断面拡大図である。
この実施例における床支持構造は、
基礎面としての床スラブ10に併設される複数の床支持脚20と、
これら床支持脚20により下方から支持される複数の大引材11と、
一端が任意の床支持脚20の上部に固定され、他端が床スラブ10に固定されるブレース材12と、
前記ブレース材12を床支持脚20に固定するための上部ブレース固定金具1と、
前記ブレース材12を床スラブ10に固定するための下部ブレース固定金具30と
を備えている。
前記大引材12の上には根太材13が配置され、根太材13の上には床板(図示せず)が敷設されている。
尚、この実施例で使用されるブレース材も、少なくとも一対の側面を有する材料であり、これは例えば、角鋼、H形鋼、C形鋼又は丸鋼等から成る。
【0012】
上記床支持脚20は、
筒状の支持台21、該支持台21の上部に取り付けられる連結部材22及び該連結部材22に略垂直方向に立てて固定される支持ボルト23から成る支柱部24と、
支持ボルト23の上部に固定される受け部材25と、
受け部材25に設けられた弾性部材26と、
ボルト及びナットとから成る締結具27と
を有する。
前記締結具27は、受け部材25に大引材11を嵌めた後に、受け部材25の両側板の上部を締結する部材である。
前記支持台21は、鋼製の筒体から成り、その下端部には平板状の台座部28が設けられている。
【0013】
前記受け部材25は、この実施例ではU字状に形成されており、その底板部25aの中央部分には、バーリング加工により下方に筒状に突出する突孔部25bが形成され、該突孔部25bの内側には、上記支持ボルト23が螺合可能なネジ溝が形成されている。前記突孔部25bの突出部分の長さは、好ましくは、上部ブレース固定金具1の支持部2の厚さと同じか、それより短くされる。
【0014】
上部ブレース固定金具1は、上記したように構成された床支持脚20における受け部材25の下方に固定される。
具体的には、上部ブレース固定金具1は、その支持部2が上側に位置する状態で、支持部2の支持脚取付孔2a内に、前記受け部材25の突孔部25bを嵌入させ、床支持脚20の支持ボルト23の上端部を前記突孔部25bに螺合し、ワッシャー(符号なし)を介して締結ナット29で締結することにより、受け部材25の裏面に固定される。
【0015】
次に、床スラブ10に固定される下部ブレース固定部材30について説明していく。
図7図10は、床スラブ10に固定される下部ブレース固定金具の正面図、平面図、底面図及び斜視図を各々示している。
図面に示すように、下部ブレース固定金具30は、床スラブ10に固定される底板部31と、底板部31の前後方向両側辺から上方に伸びる一対のフランジ部32と、各フランジ部32の左右方向略中央付近から、右斜め上方に向けてさらに伸びる一対のブラケット33とを折り曲げ加工により一体成形したものである。
前記各ブラケット33は、その右側辺33aと水平線Hとの間の角度αが45°となり、その左側辺33bと水平線Hとの角度βが60°となるように形成されており、各ブラケット33には、複数(本実施例では3つ)のブレース取付孔34が形成されている。
さらに、底板部31にも、複数(本実施例では3つ)の取付孔31aが形成されており、この取付孔31aを介して、下部ブレース固定金具30は床スラブ10にボルトやビス等の適当な止着具で固定される。
上記したように構成された下部ブレース固定金具30は、そのブラケット33における右側辺33aと水平線Hとの間の角度αを45°とし、左側辺33bと水平線Hとの間の角度βを60°としているので、ブレース材を、例えば、右側辺33aに沿って配置してブラケット33に固定した場合には、ブレース材を床スラブ10に対して45°の角度で固定することが可能になり、左側辺33bに沿って配置してブラケット33に固定すれば、ブレース材を床スラブ10に対して60°の角度で固定することができる。これら45°及び60°は、斜材としてのブレース材の配置角度に適した角度である。従って、上記したように構成された下部ブレース固定金具30によれば、予め下部ブレース固定金具30の床スラブ10に対する固定位置を決めておくだけで、簡単にブレース材を好ましい角度で取り付けることが可能になり、施工が著しく容易になる。尚、この下部ブレース固定金具30におけるブラケット33の両側辺と水平線との角度は、任意に設定することができ、例えば、右側辺及び左側辺とも水平線に対して同じ角度であってもよく、また、45°及び60°以外の角度の組み合せであってもよい。具体的には、例えば、一方の側辺と水平線との間の角度を30°になるようにブラケット33を形成してもよい。
【0016】
上記したように床支持脚20に固定された上部ブレース固定金具1のブラケット4間と、床スラブ10に固定された下部ブレース固定金具30のブラケット33間とに、その側面12aが挟持されるようにブレース材12の上端部及び下端部を配置した状態で、ブレース取付孔5,34を介してボルト又はビス等の適当な止着具によりブラケット4及び33にブレース材12が固定される。これにより、ブレース材12は、その上端及び下端において、その両側面12aが一対のブラケット4及び33間に挟まれた状態で固定されることになる。
【0017】
上記した実施例では、上部ブレース固定金具1は、大引材11の長手方向に対して直交する方向に、そのブラケット4が位置するように、床支持脚20に固定されており、これにより、大引材11がその長手方向と直交する方向に揺れる振動を防止することができる。
【0018】
上部ブレース固定金具1の固定方向は、本実施例に限定されることなく、例えば、大引材11の長手方向に沿った方向に、そのブラケット4が位置するように、床支持脚20に固定してもよく、このように固定することにより、大引材11がその長手方向に揺れる振動を防止することができる。
また、上記した実施例では、上部ブレース固定金具1のブラケット4に9つのブレース取付孔5がマトリックス状に設けられているが、この構成は本実施例に限定されることなく、ブレース取付孔5の数は任意に設定することができる。
さらにまた、上記した実施例では、ブレース固定金具1及び下部ブレース固定金具30を折り曲げ加工により成形した例を説明しているが、ブレース固定金具1及び下部ブレース固定金具30の製造方法は、本実施例に限定されることなく、例えば、ブレース材を挟持するブラケット等を溶接加工で形成する等、任意の他の製造方法が用いられ得る。
また、上記した実施例では、床支持脚における大引材を支持する受け部材をU字形に形成した例を示しているが、床支持脚の構成は本実施例に限定されることなく任意の構成でよく、例えば、前記受け部材をL字状又は平板状に構成してもよい。
【0019】
さらにまた、上部ブレース固定金具1は、図11及び図12に示すように、同じ側に位置する左右のブラケット4,4を連結する平板状の補強連結板6,6を有し得る。この補強連結板6は、上部ブレース固定金具1に装着した時に、そのブラケット4に形成されたブレース取付孔5と対面する位置にブレース取付孔7を有する。
これにより、これら補強連結板6と共に、ブレース材12がブラケット4に固定されることになる。
このように左右のブラケット4,4を補強連結板6に固定することにより上部ブレース固定金具1の強度が上がり、結果として、ブレース材12の支持強度も高くなる。
【符号の説明】
【0020】
1 ブレース固定金具(上部)
2 支持部
2a 支持脚取付孔
3 鉛直面部
4 ブラケット
5 ブレース取付孔
6 連結補強痛い
7 ブレース取付孔

10 床スラブ
11 大引材
12 ブレース材
12a ブレース材の側面

20 床支持脚
21 支持台
22 連結部材
23 支持ボルト
24 支柱部

25 受け部材
25a 底板部
25b 突孔部
26 弾性部材
27 締結具
28 台座部
29 締結ナット

30 ブレース固定金具(下部)
31 底板部
31a 取付孔
32 フランジ部
33 ブラケット
33a 右側辺
33b 左側辺
34 ブレース取付孔

T ブラケット間の距離
α ブラケット部33の右側辺33aと水平線Hとの間の角度
β ブラケット部33の左側辺33aと水平線Hとの間の角度
H 水平線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12