(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】流体サンプルアナライザ
(51)【国際特許分類】
G01N 21/49 20060101AFI20220623BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
G01N21/49 Z
G01N37/00 101
(21)【出願番号】P 2018560960
(86)(22)【出願日】2017-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2017061682
(87)【国際公開番号】W WO2017202643
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-15
(32)【優先日】2016-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】321002824
【氏名又は名称】シーメンス ヘルシニアーズ ネイザランド ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ファン レーネン,アレクサンデル
(72)【発明者】
【氏名】ファン ロースマレン,マルキュス ヘンドリキュス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ダンメ,ヘンドリク シーボルト
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-004752(JP,A)
【文献】特開2005-172533(JP,A)
【文献】特開2005-172532(JP,A)
【文献】特開2004-150805(JP,A)
【文献】特開平10-197526(JP,A)
【文献】国際公開第2009/112038(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2006/0216195(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/958
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプル分析に用いるデバイスであって、
上部と、
基部とを有し、
前記上部は、前記基部に隣接して配置され、その間に流体受容領域を確成するように構成され、
前記上部は、貫通した開口部を有し、前記流体受容領域と流体連結でき、
前記基部は、流体受容面と、前記流体受容面の少なくとも一部から延在する放射線窓とを有し、
前記デバイスは、前記上部が前記基部に隣接して配置されると、前記開口部を通して供給される流体サンプルが、中間膜を使用しなくても、前記流体受容面上、流体受容領域中を横方向に動かされるように構成され、
前記デバイスはさらに
放射線受光領域を有しており、
前記放射線受光領域は放射線の少なくとも1つの波長に対して少なくとも部分的に反射的であり、前記上部が前記基部に隣接して配置されたとき、前記流体受容領域の少なくとも一部が放射線受光領域と前記流体受容面との間に来るように配置され
る、
デバイス。
【請求項2】
前記開口部の中心は、前記上部の底面に実質的に垂直な第1軸を確定し、
前記放射線受光領域の中心は、前記上部の底面に実質的に垂直な第2軸を確定し、
前記上部が前記基部に隣接して配置されているとき、第1軸の第2軸からの距離は、第1軸の前記開口部の内縁からの距離より大きい、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記上部の底面の領域は、前記放射線受光領域を確定する、
請求項1ないし2いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項4】
前記流体受容領域は、流体サンプルの横方向の動きが、少なくとも部分的に毛細管力により生じるように構成される、請求項1ないし3いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記流体受容領域は、流体サンプルの横方向の動きが、少なくとも部分的に吸引作用により、能動的なポンプを使用せずに、生じるように構成される、
請求項1ないし4いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記上部の底面に、及び/又は前記基部の上面にサンプルコンテナが設けられ、前記流体受容領域が、前記上部の底面と、前記基部の上面と、前記サンプルコンテナとにより確成される側面が実質的に平行なボリュームである、請求項1ないし5いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記開口部は円形である、請求項1ないし6いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記開口部の幅は長さより長い、請求項1ないし6いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記開口部は、サンプル送達デバイスの断面積に実質的に一致する断面積を有する、
請求項1ないし8いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記流体受容面は面積を有し、前記開口部は前記流体受容面の面積より実質的に小さい断面積を有する、請求項1ないし9いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
流体サンプル分析に用いるシステムであって、
放射線源と、
請求項1ないし9いずれか一項に記載の流体サンプル分析に用いるデバイスと、
放射線検出器と、
処理部とを有し、
前記放射線源は放射線を供給するよう構成され、
前記放射線検出器は、前記放射線受光領域から反射された放射線を検出するように構成される、
前記処理部は、前記放射線受光領域から反射された放射線から求めた反射率値に基づき、前記デバイス内の流体サンプルの存在を判定するように構成される、
システム。
【請求項12】
前記反射率値は、サンプルが前記デバイスに供給されていないときの放射線の強度と、サンプルが前記デバイスに供給されているときの検出される放射線の強度とに基づいて決定される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
流体サンプル分析に用いる方法であって、
a) 流体デバイスの基部に隣接して前記流体デバイスの上部を配置して、その間に流体受容領域を画定するステップであって、前記上部には、前記流体受容領域に流体接続された貫通した開口部が設けられ、前記基部には、前記流体受容領域に隣接する放射線窓が設けられる、ステップと、
b) 前記開口部を通して流体サンプルを供給するステップと、
c) 前記上部と前記基部との間に中間膜を使用せずに前記流体受容領域において前記流体サンプルを横方向に動かすステップと、
d) 前記流体受容領域に放射線を放射するステップと、
e) 前記流体デバイスにより反射される放射線を検出するステップと、
f) 検出される放射線に基づく測定される反射率値に基づいて前記流体サンプルの存在を判定するステップとを含む、
方法。
【請求項14】
前記上部の底面の領域は、前記放射線の波長に少なくとも部分的に反射的である放射線
受光領域を確定する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1ないし12いずれか一項に記載のデバイスまたはシステムを制御するコンピュータプログラムであって、前記デバイスまたはシステムのプロセッサにより実行されると、前記プロセッサに請求項13ないし14いずれか一項に記載の方法の各ステップを実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体サンプル分析に使用するデバイス、流体サンプル分析システム、および流体サンプル分析に使用する方法、ならびにコンピュータプログラム要素およびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
流体サンプル分析は、その中に流体サンプルが供給される使い捨てカートリッジと、診断テストのためにカートリッジが挿入されるアナライザとを使用して実行される。試験のために、カートリッジをアナライザに挿入し、サンプル流体をカートリッジのサンプルインターフェースに加える。サンプルがカートリッジに充填された後、アナライザが測定を開始する。フィルタリング膜がカートリッジ内に設けられている。これはフィルタリング機能を有し、ウィッキング(wicking)によりサンプルを測定ゾーンに移送する。サンプル分析を開始する前に、液体サンプルが実際にカートリッジに入っているかどうかを確認するための事前チェックが行われる。サンプルが添加されたかどうかを検出するために、血液または血漿による膜の濡れが用いられる。サンプルが存在することの検出は、膜の色の変化および/または湿潤時の膜の反射率の変化の目視検査による。アナライザが予備チェックを行うと、フィルタリング膜から反射された光の検出によってサンプルの検出が行われ、フィルタリング膜は、血液が膜内に取り込まれたときに光学特性が変化する。膜がない場合、サンプル流体が測定ゾーンに移されないだけでなく、サンプルが存在するか否かを示す予備検査のための反射光が不十分である。
【0003】
特許文献1には、向上した検出感度を有するマイクロ流体デバイスおよびシステムであって、特に吸光度などの非蛍光発生検出方法に使用するためのものが記載されている。流体の存在は、マイクロ流体チャネル内で直接検出される。
しかし、サンプルが存在し、サンプルが分析に利用可能であることを検出する必要性が依然として存在する可能性がある。
先行特許文献2は、第1と第2の対向する面を有するマイクロ流体デバイスと、光検出器と、検出チャネルセクションを有するフローチャネルと、検出チャネルセクションの一部および検出チャネルセクションへの透明窓を有する開口セクションとを有するマイクロ流体システムを開示している。
先行特許文献3は、サンプル液体をテストするデバイスを開示し、サンプル液体はチャネルの平坦側に毛細管力で層状に流れ、水溶性及び/又は反応性の試薬を有し、サンプル液体の反応ボリュームを確定する反応領域を完全に満たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7670559B2号明細書
【文献】国際出願公開第2009/112038A2号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0216195A1号明細書
【発明の概要】
【0005】
流体サンプル分析技術を改善することには利点がある。
【0006】
本発明の目的は、独立請求項の主題により達成され、さらに別の実施形態は従属請求項に記載されている。留意点として、本発明の以下の記載された態様は、流体サンプル分析、流体サンプル分析のためのシステム、および流体サンプル分析における使用のための方法、ならびにコンピュータプログラム要素およびコンピュータ可読媒体にも適用される。
【0007】
第1の態様によると、流体サンプル分析に用いるデバイスが提供される。該デバイスは、
- 上部と、
- 基部とを有する。
前記上部は、前記基部に隣接して配置され、その間に流体受容領域を確成するように構成される。上部は、貫通開口部を有し、流体受容領域と流体連結できるようになっている。基部は流体受容面を有する。放射線窓が流体受容面の少なくとも一部から延在する。前記デバイスは、前記上部が前記基部に隣接して配置されると、前記開口部を通して供給される流体サンプルが、中間膜を使用しなくても、前記流体受容面上、流体受容領域中を横方向に動かされるように構成される。前記デバイスはさらに、放射線の少なくとも1つの波長に対して少なくとも部分的に反射的であり、前記上部が前記基部に隣接して配置されたとき、前記流体受容領域の少なくとも一部が前記放射線受光領域と前記流体受容面との間に来るように配置される放射線受光領域を有する。
【0008】
このようにして、基部の底面に入射し、放射線受光領域で受光され反射された放射線は、デバイス内の流体サンプルの存在を判定するために使用可能である。また、流体サンプルの存在は、デバイスに入るすべての放射線の吸収をもたらし、このようにして、検出される放射線の欠如を使用して、デバイス内の流体サンプルの存在を示すことができる。
【0009】
このようにして、流体サンプルは、サンプルがデバイス内に供給される孔の中で検出されず、デバイスハウジング自体からの放射線反射の低減により検出される。流体サンプルがデバイスハウジングに広がり、それを覆うことができ、光の反射を阻止するからである。したがって、サンプルが検出されるだけでなく、サンプルが必然的にデバイス内に流入し、それにより、例えば毛細管チャネルを介して流体がデバイスの分析ゾーンに流れることを可能にする特性を有するとみなすことができる。以下では、「流体サンプル」は「流体サンプル」を意味し、逆も同様である。
【0010】
このようにして、サンプル分析のための通常のデバイスで使用される膜またはフィルターは必要とされない。これは、膜が必要とされないのでデバイスを安価にすることができることを意味する。これはまた、膜の濡れおよび吸収が必要でないので、より小さいサンプル体積を使用できることを意味する。また、これにより、サンプルが存在するかどうかを示すのにかかる時間がより早くなる。さらに、デバイス(カートリッジ)に加えられたサンプルが少なすぎるため、デバイスによる測定が失敗する可能性が低くなる。
【0011】
換言すると、基部と上部との間に流体ゾーンが設けられ、流体が基部の流体受容面を通って流れ、この流体ゾーン内には中間フィルターまたは膜は存在しない。放射線は、この流体ゾーンを通って(部分的に)透過され、反射放射線受容領域から反射される。これは、デバイスの上部の底またはトップであってもよく、またはデバイスの上部の上に配置された反射層であってもよい。サンプルが存在しない場合の検出放射線の強度は、サンプルが存在する場合のそれとは異なり、サンプルが存在する場合には強度が減少する。サンプルがデバイスに供給されたときに検出される放射線の強度は、サブサンプルがすべての確率で分析のために利用可能となる領域に正しく流れたという点で、サンプルがデバイス内に存在することを決定するために使用される反射率値を提供するために使用される。
【0012】
一例では、前記開口部の中心は、前記上部の底面に実質的に垂直な第1軸を確定する。また、前記放射線受光領域の中心は、前記上部の底面に実質的に垂直な第2軸を確定する。前記上部が前記基部に隣接して配置されているとき、第1軸の第2軸からの距離は、第1軸の前記開口部の内縁からの距離より大きい。
【0013】
このようにして、基部に入って孔を出る放射線の吸収を介してサンプルの存在を検出する標準的なシステムを使用することができるが、孔のサイズは、放射線がデバイスから放射され、デバイスの内部で反射され、デバイスの放射線源と同じ側で検出されるようになっている。
【0014】
また、実質的な反射表面領域は開口部から離れて設けられ、流体サンプルが流入することができる領域を介して放射線が往復伝搬することができるようになり、それによって反射信号の強度を増加させ、それによってフィルタリング膜を省略可能になる。
【0015】
一例によれば、上部の底面の領域は、放射線受光領域を確定する。
【0016】
これは、上部および底部に加えて別個の反射構成要素が必要とされないので、単純化されたより費用効率の高いデバイスをもたらす。
【0017】
一例では、流体受容領域は、流体サンプルの横方向の動きが、少なくとも部分的に毛細管力により生じるように構成される。
【0018】
このようにして、膜の濡れにより流体サンプルを拡散させる中間膜は必要とされない。むしろ、流体サンプルは、例えば(少なくとも部分的に)毛細管作用の下で広がる。これはまた、サンプルボリュームが大きくなり過ぎないことを意味する。
【0019】
一例では、流体受容領域は、流体サンプルの横方向の動きが、少なくとも部分的にアクティブポンプの使用無しに吸引アクションにより生じるように構成される。
【0020】
このようにして、膜の濡れにより流体サンプルを拡散させる中間膜は必要とされない。むしろ、流体サンプルは、例えば(少なくとも部分的に)吸引作用の下で広がる。これはまた、サンプルボリュームが大きくなり過ぎないことを意味する。さらに、流体サンプルの横方向運動が大きくなり、流体運動をより制御することができる。
【0021】
一例では、前記上部の底面に、及び/又は前記基部の上面にサンプルコンテナが設けられ、前記流体受容領域が、前記上部の底面と、前記基部の上面と、前記サンプルコンテナとにより確成される側面が実質的に平行なボリュームである。
【0022】
このようにして、デバイスに供給されるサンプルのボリュームは、そのボリュームを満たすのに必要なボリュームと一致することができ、そのボリュームをサンプル流体で満たすことにより、そのボリュームを通る放射線の最大減衰量となる。これは、すべての放射線経路が、各光線経路について流体サンプルの最大経路長を2回横切るからである。
【0023】
一例では、開口部は円形である。
【0024】
このように、円形はサンプルの送達中心(centre of delivery)を制限し、送達中心が毛細管チャネルの側に生じないようにして、毛細管チャネルの軸に沿って正しい位置に生じるようにする。
【0025】
一例によれば、開口部は幅が長さより大きい。
【0026】
このように、形状はサンプルの送達中心(centre of delivery)を制限し、送達中心が毛細管チャネルの側に生じないようにして、毛細管チャネルの軸に沿った位置に生じるようにする。
【0027】
一例では、開口部は、サンプル送達デバイスの断面積に実質的に一致する断面積を有する。
このようにして、サンプル送達デバイスを開口部に挿入することができるが、サンプルの送達の中心は正しい位置で生じる。
【0028】
一例によれば、流体受容面は面積を有し、開口部は流体受容面の面積より実質的に小さい。
【0029】
このようにして、流体サンプルの存在を示す反射率値の検出は、流体が比較的自由に横方向に移動していることも示し、分析に適していると予想される。例えば、このような流体はまた、毛細管チャネルに沿って分析ゾーンに移動することも予想される。
【0030】
第2の態様では、流体サンプル分析のためのシステムが提供される。該システムは、
- 放射線源と、
- 第1の態様による流体サンプル分析に用いるデバイスと、
- 光検出器と、
- 処理部とを有する。
放射線源は放射線を供給するように構成される。放射線検出器は、放射線受光領域から反射された放射線を検出するように構成される。処理部は、放射線受光領域から反射された放射線から求めた反射値に基づき、デバイス内の流体サンプルの存在を判定するように構成される。
【0031】
このようにして、流体サンプルの分析に先立って、サンプルがデバイス内に存在し、サンプルが分析される準備ができているという判定がなされ得る。
【0032】
一例では、反射率値は、サンプルがデバイスに供給されていない場合の放射強度と、サンプルがデバイスに供給されている場合の検出された放射強度とに基づいて決定される。
【0033】
第3の態様によれば、流体サンプル分析に用いる方法が提供される。該方法は、
a) 流体デバイスの基部に隣接する前記流体デバイスの上部を配置して、その間に流体受容領域を画定することであって、前記上部には、前記流体受容領域に流体接続された貫通開口部が設けられ、前記底部には、前記流体受容領域に隣接する放射線窓が設けられる、ことと、
b) 前記開口部を通して流体サンプルを供給することと、
c) 前記上部と前記基部との間に中間膜を使用せずに前記流体受容領域において前記流体サンプルを横方向に動かすことと、
d) 前記流体受容面に放射線を放射することと、
e)前記デバイスにより反射される放射線を検出することと、
f) 検出される放射線に基づく測定される反射率値に基づいて前記流体サンプルの存在を判定することとを含む。
【0034】
一例では、前記上部の底面の領域は、前記放射線の波長に少なくとも部分的に反射的である放射線受光領域を確定する。
【0035】
他の態様によれば、前述したようなデバイスを制御するためのコンピュータプログラム要素が提供され、コンピュータプログラム要素が処理部によって実行されると、前述の方法ステップを実行するように適合される。
【0036】
別の態様によれば、前述のコンピュータ要素を格納したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0037】
好都合なことに、上記態様のいずれかによって提供される利点は、他の態様のすべてに等しく適用され、その逆も同様である。
【0038】
上記の態様および例は、以下に説明する実施形態から明らかであり、これらの実施形態を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
以下の図面を参照して、例示的な実施形態を以下に説明する。
【
図1】流体サンプル分析に用いるためのデバイスの例を示す概略的セットアップである。
【
図2】流体サンプル分析に用いるためのデバイスの例を示す概略的セットアップである。
【
図3】流体サンプル分析システムの例を示す概略的セットアップである。
【
図4】流体サンプル分析で使用する方法の例を示す図である。
【
図5】流体サンプル分析に用いるためのシステムの例を示す概略的セットアップおよび図的記述である。
【
図6】流体サンプル分析に用いるためのデバイスの例を示す概略的セットアップである。
【
図7】流体サンプル分析に用いるためのデバイスの例の部分を示す図的記述である。
【
図8】流体サンプル分析に用いるデバイスの例の様々なトップパーツを示す図的記述である。
【
図9】流体サンプル分析に用いるためのデバイスの例の基部を示す図的記述である。
【
図10】デバイスの反射率の測定可能な変化の例を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1と
図2は、流体サンプル分析で用いるデバイス10を示す。デバイス10は上部20と基部30とを有する。上部20は、基部30に隣接して配置され、その間に流体受容領域100を確成するように構成される。上部20は、貫通開口部24を有し、流体受容領域と流体連結できるようになっている。流体サンプルは
図1に示されていないが、
図6に見ることができる。基部30は、流体受容面34と、流体受容面34の少なくとも一部から延在する放射線窓36とを有する。上部20が基部30に隣接して配置されると、デバイス10は、開口部24を通して供給される流体サンプルが、中間膜を使用しなくても、流体受容面34上を流体受容領域中を横方向に動かされるように構成される。本デバイスはさらに、放射線の少なくとも1つの波長を少なくとも部分的に反射する放射線受光領域40を有する。放射線受光領域40の配置は、上部20が基部30に隣接して配置されたとき、流体受容領域の少なくとも一部が放射線受光領域と流体受容面34との間にあるようになっている。
【0041】
一例では、流体サンプルの横方向の動きは流体サンプルの拡散を含む。一例では、流体サンプルは、流体受容面に供給されるので、流体受容領域中で広がり、流体サンプルが、最初に受けられた流体受容面の部分にほとんど又は完全に広がるようになる。
【0042】
一例では、流体サンプルの横方向の動きは、流体サンプルの変位を含む。言い換えると、流体サンプルは流体受容領域において横方向に液滴(平になった及び/又は長く伸びた液滴)として動くことができる。
【0043】
一例では、流体サンプルは血液である。一例では、流体サンプルは血清である。一例では、流体サンプルは尿である。一例では、流体サンプルは汚れを含む水である。
【0044】
一例では、貫通開口部は面積が5mm2である。一例では、貫通開口部は面積が1mm2である。一例では、貫通開口部は面積が2mm2である。一例では、貫通開口部は面積が25mm2である。一例では、貫通開口部は面積が1mm2未満である。貫通開口部は、必要に応じて円形、楕円形、四角形、正方形、またはその他の任意の形状であり得る。
【0045】
一例では、流体受容面は、面積が貫通開口部の面積の2倍ないし3倍である。
【0046】
一例では、貫通流体受容面は、面積が25mm2である。一例では、貫通流体受容面は、面積が100mm2である。一例では、貫通流体受容面は、面積が1mm2である。一例では、貫通流体受容面は面積が1mm2未満である。しかし、かかる状況では、貫通開口部の断面積は、流体受容面の面積より小さいという点で、非常に小さくなければならない。流体受容面は任意の形状であってもよく、例えば、円形、楕円形、四角形または必要に応じて任意の形状であってもよい。
【0047】
一例では、少なくとも1つの波長は流体サンプルに応じて選択される。この方法では、サンプルを通るときに吸収が大きい放射線を使用することができる。これにより、検出されるために流体サンプルが動く流体受容面の面積は小さくてもよくなり、流体受容面の設定されたサイズに対して、吸収が大きくなることにより、反射の変化が大きくなり、信号対雑音比が高くなる。
【0048】
一例では、サンプルが無いとき、第1の放射線信号が測定でき、サンプルがあり、デバイス内に正しくあるとき、(異なる)第2の信号が測定でき、これによりデバイス内にサンプルがあるか判定することができる。第2の放射線信号は、放射線が全部吸収されたことを示すヌル信号であってもよい。言い換えると、本デバイスの流体サンプルの有無による光反射特性の変化は、サンプルの検出と、分析測定がもっともらしいとの判定とに使用される。分析測定が可能であるのは、流体が流体受容面上を流れさせる特性を有するためであり、これはまた、流体が例えば毛細管チャネルを介して測定領域に流入する可能性が高いことも意味する。
【0049】
一例によれば、開口部24の中心は、上部20の底面22に実質的に垂直な第1軸50を確定する。また、放射線受光領域40の中心42は、上部20の底面22に実質的に垂直な第2軸60を確定する。上部20が基部30に隣接して配置されている場合、第1軸の第2軸からの距離70は、第1軸の開口部の内縁からの距離80より大きい。
【0050】
一例によれば、上部20の底面22の領域は、放射線受光領域40を確定する。
【0051】
一例では、毛細管チャネルは、基部の上面または上部の底面内を、開口部の領域に近いこれらの面内の位置から分析ゾーンまで通っている。毛細管チャネルは流体サンプルの一部を分析ゾーンに運ぶように構成されている。一例では、放射線受光領域は、開口部の分析ゾーンに向かう側に、上部の底面にある。このように、流体サンプルの検出は、流体が毛細管チャネルの方向に流れ、それゆえサンプル分析が成功する確率が高くなることを示す。
【0052】
一例によれば、流体受容領域100は、流体サンプルの横方向の動きが、少なくとも部分的に毛細管力により生じるように構成される。
【0053】
一例では、上部の底面と基部の上面との間のスペーシングは、分析される流体に依存する。例えば、血液の場合のスペーシングは、尿の場合のスペーシングとは異なり、かかるスペーシングは毛細管作用下の流体の流れが必要に応じたものになるように決定される。一例では、上部の底面と基部の上面との間のスペーシングは0.05mmである。一例では、上部の底面と基部の上面との間のスペーシングは0.1mmである。一例では、上部の底面と基部の上面との間のスペーシングは、1mm、2mmまたはこれらの値の間の任意の値であり得る。幾つかの場合には、スペーシングは0.05mm未満であってもよく、他の場合には、2mmより大きくてもよい。
【0054】
一例では、上部の底面は、上部の底面をわたるサンプルの流れが大きく抑止されないように構成される。
【0055】
一例では、上部の底面は実質的に平坦である。
【0056】
一例では、上部の底面は疎水性である。
【0057】
一例では、基部の上面は、基部の上面をわたるサンプルの流れが大きく抑止されないように構成される。一例では、基部の上面は実質的に平坦である。一例では、基部の上面は疎水性である。
【0058】
一例では、基部の上面の一部は実質的に平坦である。
【0059】
一例では、基部の上面の一部は疎水性である。
【0060】
このように、サンプルは、より効果的に、より短い時間で広がることができ、より少ない容量しか必要としない。底面がボトムパートの上面に十分近いところに配置されると、さらに毛細管作用により流体のより効果的な拡散が生じる。これは、上部の底面もまた平坦である場合にさらに助けられる。
【0061】
一例によれば、流体受容領域は、流体サンプルの横方向の動きが、少なくとも部分的に、吸引作用により、能動的なポンプを使用せずに生じるように構成される。言い換えると、本デバイスは、流体サンプルが、能動的なポンプ無しに、(スルーホールの中心軸に対して)横方向に吸引されるように構成される。
【0062】
一例では、上部の底面に流体ガイドが設けられ、スルーホールの中心軸からの流体の吸引アクションを可能にする。一例では、ボトムパートの上面に流体ガイドが設けられ、スルーホールの中心軸からの流体の吸引アクションを可能にする。一例では、その面上または面内にモールドされたマイクログローブとして流体ガードが形成される。このように、流体の動きを大きくして、毛細管作用により生じる動きを増強または置換するのに加え、(例えば、流体ガイドを通る)吸引アクションを使用して流体フローをより良く鮮魚することができる。このように、流れを大きくし毛細管チャネルに向けて、反応チャンバーに導く。これは、より少ない流体をデバイスに適用すればよいことを意味する。
【0063】
一例では、上部の底面は親水性である。一例では、基部の上面は親水性である。上部及び/又は基部の面を、その面にデポジットできる親水性物質やVitrostealthなどの物質の適用により、親水性化(hydrophilize)することができる。一方または両方が親水性化されている場合の表面間のスペーシングは、0.05mm、0.1mm、1mm、2mmまたはこれらの数字より大きくても小さくても、またはこれらの数字の間でもよい。どちらの面も親水性化されていない場合に関しては、一方または両方の面が親水性化されたときに、必要な流体の横方向の動きを提供するため、具体的に流体サンプルに対して表面間のスペーシングを変更する必要があり得る。
【0064】
このように、表面間の距離が小さい(<~1mm)場合、毛細管力がサンプルの横方向の動きを生じる主要なメカニズムになり得る(例えば、拡散)。表面間の距離がより大きくなると、それにより毛細管力が減少するので、上部または基部の親水性を使用して、十分なサンプルの横方向の動き(例えば、拡散)を可能にすることができる。これは、デザインが柔軟になり、分析するサンプルに応じて、デバイスの表面間の距離を異ならせ、必要に応じて流体サンプルを毛細管作用及び/又は吸引アクションで横方向に動かすために用いることができることを意味する。
【0065】
一例では、放射線受光領域は、第1の放射線の少なくとも1つの波長に対して、反射的であるように構成される。一例では、放射線受光領域は、可視光の範囲すなわち白色などの波長範囲にわたり、反射的に構成される。
【0066】
これは反射信号が増加することを意味し、流体の存否間で絶対的な信号の変化が増加することを意味し、信号対雑音比の向上につながる。
【0067】
一例では、放射線受光領域は白色に色づけされる。これは、信号を大きくする非常に費用効率の高い手段を提供する。
【0068】
一例では、放射線は放射線ビームの第1のサブセットであり、第2の放射線は放射線ビームの第2のサブセットを構成し、第2の放射線は実質的に同時に開口部を通って伝わるように構成される。放射線は放射線受光領域で受けられ反射されるように構成されるからである。
【0069】
これは、デバイスが、放射線をサンプル開口部供給ホールを通してサンプルの存否を判定する既存の分析システムで使用できることを意味する。
【0070】
一例によれば、上部20の底面22に、及び/又は基部と30の上面32にサンプルコンテナ110が設けられ、流体受容領域が、上部の底面と、基部の上面と、サンプルコンテナとにより確成される側面が実質的に平行なボリュームであるようにする。
【0071】
一例では、サンプルコンテナは通気リングである。一例では、通気リングはほぼ完全なリングまたはアニュラス(annulus)を形成し、サンプル分析ゾーンにつながる毛細管チャネルのためのギャップを有する。毛細管チャネルは、上部の底面または基部の上面に形成される。
【0072】
一例では、サンプルコンテナは蹄鉄形状であり、流体が流れられる開口部を有するアニュラスである。
【0073】
一例では、サンプルコンテナは上部の底面にあり、上部の開口部の周りに配置された突起である。
【0074】
一例では、デバイスが閉じられている場合、第1の軸は毛細管チャネルと実質的に整合され、一例では、毛細管チャネルの一端と実質的に整合されている。この例では、整合とは、上部が基部に隣接して配置されているとき、2つの軸が実際に実質的に互いに直交する場合、第1の軸が毛細管チャネルの軸を二等分することを意味する。
【0075】
一例では、開口部は楕円形であり、楕円形の長軸が毛細管チャネルの軸と実質的に平行になるように構成される。このように、楕円形はサンプルの送達中心(centre of delivery)を制限し、送達中心が毛細管チャネルの側に生じないようにする。
【0076】
一例では、サンプルコンテナは、開口部の面積より大きい基部の上面の面積を確定する。
【0077】
一例では、上部の底面は、基部の上面に隣接して配置され、第1の軸は、サンプル封じ込め手段により確定される領域の中心にセンタリングされる。第1の軸をサンプル封じ込め手段の内縁から離している距離は、第1の軸を開口部の内縁から離している距離より大きい。
【0078】
一例によれば、開口部24は円形である。
【0079】
一例によれば、開口部24は幅が長さより大きい。
【0080】
一例では、開口部は楕円形である。
【0081】
一例では、貫通開口部は上部を通り抜ける深さを有し、開口部の幅は十分小さく、その深さにより流体サンプルの毛細管吸引が生じる。上部の上面または外面の貫通開口部を取り囲む突起は、必要な深さを提供するように構成でき、ピペットのガイドを支援するために使用することもできる。さらにまた、突起によるか、又は上部自体の厚みにより設けられ、スルーホールの深さ又は高さを大きくしたので、流体が開口部に戻ることなく、デバイスへの流体サンプルの供給レートを増やすことができる。供給レートの増加により、流体サンプルを横方向に動かすのに使える圧力が生まれる。
【0082】
一例によれば、開口部24は、サンプル送達デバイスの断面積に実質的に一致する断面積を有する。
【0083】
一例によれば、流体受容面34は面積を有し、開口部24は流体受容面の面積より実質的に小さい断面積を有する。
【0084】
一例では、色素をサンプルに添加し、サンプルにおける光の吸収を増加させることもできる。
【0085】
一例では、塩または色素をサンプルに添加することができ、これにより光の吸収を増加させるが、所定時間の限界を超えると、放射線の吸収が停止する。このように、サンプルが存在しない場合には、第1の検出光強度が判定され、光吸収色素を有するサンプルがデバイス内に流入すると、第2の光強度が判定される。これはヌル信号であってもよい。次いで、色素が吸収しなくなると、光強度は増加する。このように、サンプルの存在をよりロバストに判定できる。
【0086】
図3は流体サンプル分析用のシステム200を示す。システム200は、放射線源210と、
図1及び/又は
図2を参照して説明した流体サンプル分析に用いるデバイス10と、放射線検出器220と、処理部230とを有する。放射線源210は放射線を供給するように構成される。放射線検出器220は、放射線受光領域40から反射された放射線を検出するように構成される。処理部230は、放射線受光領域から反射された放射線から求めた反射値に基づき、デバイス内の流体サンプルの存在を判定するように構成される。
【0087】
一例では、デバイスが空であると分かっている時に判定されたベースライン放射線強度値を、サンプルがデバイスに供給された時に判定された強度値と比較することができる。これらの強度間の比を用いて、測定反射値を提供でき、これを用いて流体サンプルの存在を判定することができる。一例では、流体サンプルがデバイス内で横方向に流れるにつれて、検出される放射線の強度は空のデバイスに関連するレベルから始まり、サンプルが流体受容面を通って流れるにつれ徐々に低下し、放射線受光領域がサンプルによって覆われている(サンプルが介在している)ことを示す安定レベルになる。このように、サンプルの存在を判定する適切な反射値を選択することができる。
【0088】
一例では、放射線源を出る放射線の強度を、反射値を提供するために検出される放射線の強度と比較できる。この反射率値は、デバイス内に流体サンプルが存在するか否かに応じて変化し、上記の場合と同様に、デバイス内の流体サンプルの存在を示すために使用することができる。換言すれば、事前の強度測定は、サンプルが存在すると予想されるときに行われる強度測定に対して参照される必要はない。
【0089】
一例によれば、反射率値は、サンプルがデバイスに供給されていない場合の放射線強度と、サンプルがデバイスに供給されている場合の検出された放射線強度とに基づいて決定される。
【0090】
一例では、サンプルがデバイスに供給されていない場合の放射線強度は、所定値を含む。一例では、サンプルがデバイスに供給されていない場合の放射線強度は、検出された強度を含む。一例では、サンプルがデバイスに供給されていない場合の放射線強度は、例えば計算された値を含む。
【0091】
一例では、放射線源の出射オリフィスは第1軸上に配置される。
【0092】
図4は、その基本ステップにおいて流体サンプル分析で用いる方法300を示す。該方法は次のステップを含む。
【0093】
ステップa)とも呼ばれる配置ステップ310において、流体デバイスの基部に隣接して前記流体デバイスの上部を配置して、その間に流体受容領域を画定し、前記上部には、前記流体受容領域に流体接続された貫通開口部が設けられ、前記底部には、前記流体受容領域に隣接する放射線窓が設けられる。
【0094】
ステップb)とも呼ばれる供給ステップ320において、流体サンプルが前記開口部を通して供給される。
【0095】
ステップc)とも呼ばれる移動ステップ330において、前記上部と前記基部との間に中間膜を使用せずに前記流体受容領域において、前記流体サンプルが横方向に動かされる。
【0096】
ステップd)とも呼ばれる移動ステップ340において、流体受容領域に放射線が放射される。
【0097】
ステップe)とも呼ばれる検出ステップ350において、前記デバイスにより反射される放射線が検出される。
【0098】
ステップf)とも呼ばれる判定ステップ360において、検出される放射線に基づく測定される反射率値に基づいて、前記流体サンプルの存在が判定される。
【0099】
一例では、前記上部の底面の領域は、前記放射線の波長に少なくとも部分的に反射的である放射線受光領域を確定する。
【0100】
一実施例では、前記開口部の中心は、前記上部の底面に実質的に垂直な第1軸を確定し、前記放射線受光領域の中心は、前記上部の底面に実質的に垂直な第2軸を確定し、前記上部が前記基部に隣接して配置されているとき、第1軸の第2軸からの距離は、第1軸の前記開口部の内縁からの距離より大きい。
【0101】
一例では、前記基部の上面の少なくとも一部は前記流体サンプルを受容するように構成される。
【0102】
一例では、放射線受光領域は、第1の放射線の少なくとも1つの波長に対して、非常に反射的であるように構成される。
【0103】
一例では、前記放射線受光領域は白色に色づけされている。
【0104】
一例では、前記流体受容領域は、流体サンプルの横方向の動きが、少なくとも部分的に毛細管力により生じるように構成される。
【0105】
一例では、放射線は放射線ビームの第1のサブセットであり、前記放射線ビームの第2のサブセットは、前記放射線ビームの第1のサブセットが前記デバイスによって反射されるように構成されているのと実質的に同時に前記開口部を通って透過されるように構成されている。
【0106】
一例では、前記上部の底面に、及び/又は前記基部の上面にサンプルコンテナが設けられ、前記流体受容領域が、前記上部の底面と、前記基部の上面と、前記サンプルコンテナとにより確成される側面が実質的に平行なボリュームである。
【0107】
一例では、開口部は円形である。
【0108】
一例によれば、開口部は幅が長さより大きい。
【0109】
一例によれば、開口部は、サンプル送達デバイスの断面積に実質的に一致する断面積を有する。
【0110】
一例によれば、流体受容面は面積を有し、開口部は流体受容面の面積より実質的に小さい。
【0111】
図5は、右側に、アナライザの表示と共に流体サンプル分析に使用するための、カートリッジとも呼ばれるデバイスの概略図を示し、左側に、アナライザに挿入されたカートリッジを示す。この例では、分析される流体サンプルは血液である。しかし、血液を分析する前に、サンプルが実際にカートリッジ内にあり、分析のために適切に配置されているかどうかを確認する必要がある。血液サンプル(図示せず)は、シリンジまたはピペットを用いてカートリッジ血液ハウジング(カバーまたは上部とも呼ばれる)内の血液ハウジング開口部を通してカートリッジに供給される。血液サンプルは、カートリッジ基部受容プラットフォーム(基部)に受け入れられる。上部は基部から離間し、血液サンプルが毛細管作用により上部と基部との間を横方向に広がるようになっている。上部および基部の対向する表面は、その間を血液が流れるが、毛細管作用下での流れを容易にするために、滑らかかつ含水性(hydroscopic)である。血液は毛細管チャネルに流れ、毛細管チャネルは分析のために血液サンプルの一部を反応チャンバーに移す。サンプルが存在するかどうかを決定するため、デバイス(カートリッジ)をアナライザに挿入する。このアナライザは、光源(LED)および光センサを含むカートリッジプラットフォームを有する。LEDは白色光LEDであるが、青色、赤色、または緑色のLEDでもよく、レーザー光源でもよい。緑色の光は、血液がサンプルの場合に特に効果的である。血液が緑色の放射線を吸収するからである。デバイスの基部は、LEDによって放出される放射線に対して部分的に透明である。LEDからの光は、基部を通過し、基部と上部との間の隙間を横切り、上部の下面で反射され、再び上部と基部との間の隙間を横切り、再び基部を通り、光センサ(フォトダイオード)によって検出される。血液ハウジング(上部)の開口部はサンプル注入口を形成し、サンプルは上記のように毛細管作用により横方向に広がり、流体が流体受容面を形成する基部の上面を通って移動する。上記の光伝搬経路は、光が、流体受容面を通って進み、放射線受光領域で上部の底面で反射され、再び流体受容面を通って進み、そうする時に、流体サンプルが浩学領域を2回通ることを意味する。サンプルが無ければ、放射線の検出強度はベースラインの検出値を形成する。サンプルは、デバイスに供給されるとき、毛細管作用により、基部と上部との間を放射線が通る領域にサンプルが流れた(または動いた)場合、検出強度は散乱および吸収損失により低下する。ベースライン強度値を比較して、反射率値を求め、これを用いてサンプルの存否を判定することができる。上記の例では、サンプルは、ピペットまたは毛細管により、デバイスの上部の開口部を通して供給される。しかし、一例では、上部の上面は、その中に、開口部につながったマイクロ流体チャネルを有し、これを用いて流体サンプルを開口部へ、及びデバイスに輸送する。流体サンプルはデバイスに入り、上記の通り、毛細管作用の下、上部の底面と基部の上面との間を流れる。サンプル検出に関して、アナライザの例は次のように動作する。LEDがパルス状(オン/オフ)の放射線を提供する。検出器はこれらのパルスを両方とも測定し、その差分を決定する。この信号差分はサンプルを加えると変化する。オン/オフパルスは、背景光が誤トリガーとなることを防止するために比較される。例えば、レーザーを用いてセンサに照射する場合、検出器はオンフェーズとオフフェーズの両方でこの強度を測定し、差分は測定しない。
【0112】
図6は、サンプルが有る場合と無い場合のデバイスを示す拡大図である。図示したように、サンプルが無い場合、サンプルが供給される孔は小さいので、放射線源からの放射線はデバイス内でじゃまされずに反射され、検出されることができる。
【0113】
しかし、孔が小さくても、サンプルは、基部と血液ハウジング(上部)との間を毛細管作用により流れ、吸収と散乱のプロセスにより反射を妨げる。信号の低下は、サンプルの存在を示すために使用できる。
【0114】
また、毛細管チャネルはサンプルの一部を分析用の反応チャンバーに送るために使用されるので、このようなサンプルの検出は、サンプルが毛細管チャネルを流れた可能性が高いことも意味する。毛細管チャネルは基部の片側に延在し(
図7および
図9を参照)、放射線はデバイスのこの側で反射および検出される。カートリッジ(デバイス)において、血液ハウジング(上部)のサンプル開口部の直径は小さく(既存デバイスのそれよりも小さく)、血液ハウジング(上部)による反射光への寄与が大きくなる。さらにまた、上部と基部は互いに配置され、小さい開口部を通して供給される流体サンプルが基部と上部との間の毛細管作用により横方向に拡散または変位される。流体サンプルは、カートリッジ(デバイス)がアナライザに取り付けられたとき、基部の下に配置されるセパレートのアナライザにある光源及び検出器の間を放射線が伝搬する領域に拡散する。放射線は基部を通って伝搬し、上部の底面で反射され、また基部を通って検出器に伝搬される。流体サンプルが拡散する表面は、反射信号をじゃまするには十分に大きく、サンプルが無いデバイスとサンプルが有るデバイスとの間の信号に変化を生じ、これは中間フィルタリング膜を必要とせずに実現できる。実際、血液サンプルをカートリッジに加えることにより、血液サンプルが基部と血液ハウジング(上部)との間の領域を満たし、それにより反射光量を変化させ、加えられたサンプルの検出を可能にする。
【0115】
図7は、流体サンプル分析で使用するデバイスの構成部品を示す図である。フィルタハウジングが上部を形成し、この図では大きな開口部を有し、そのためこの上部は
図8に示す上部B1、B2、C1、C2またはDのうち1つと置き換えられる。
図7において、濃い円盤は膜またはフィルターであり、今は使用しない。血液プラットフォーム基部(基部)も図示し、血液プラットフォームラミネートと血液プラットフォームRFIDも図示した。上記の通り、フィルタリング膜は本デバイスでは使用しない。既存のデバイスでは、この膜はフィルタリング機能を有し、この膜を血液または血清で濡らして、サンプルが加えられたか検出するために使用する。かかる既存デバイスにおける検出は、濡れた時のその膜の反射率の変化及び/又は色の変化の検出に基づく。既存デバイスでは、フィルタリング膜を用いるので、少なくとも35μLのサンプルが必要である。既存デバイスにおけるこの大量サンプルの必要性により3つの効果が生じる:1)全血サンプルを使用する(すなわち、血液細胞を含む)場合、サンプルボリュームの一部(血液細胞、これはサンプルボリュームの55%になり得る)が、膜のフィルタリング機能のためその膜を通り抜けられない;
2)サンプルをフィルタリングするとき、孔が血液細胞で満たされるにつれ膜が詰まり始め、カートリッジ注入口の毛細管圧力が低下し、カートリッジの充填速度が遅くなる。
【0116】
3)膜がスポンジとして機能し、サンプル流体の大部分を吸収してしまい、カートリッジに放出しない。
【0117】
ここで、本デバイスはフィルターを必要としないようにデザインされており、本デバイスにおいて、膜を取り去ることにより、サンプルをフィルターし、カートリッジが満たされるのを遅くし、サンプルボリュームの大部分を吸収してしまう膜は無い。それゆえ、膜が無い本デバイスでは、カートリッジ(デバイス)を満たすために3μLしか必要ないことが分かる。このようにサンプルボリュームが減少するので、患者からはより少ないサンプルボリュームを取ればよく、これは利用性の観点から望ましい。また、膜が無い本デバイスデザインは、システムの運用性のロバスト性を増加させる。デバイスに供給されるサンプルが少な過ぎる可能性が最小化されるからである。膜を取り除くその他の利点は、カートリッジが満たされる時間が速くなることであり、これは分析結果が出るまでの時間を短縮するために用いることができる。膜が有る既存のカートリッジは、満たすのに約80秒かかるが、膜が無い本デバイスデザインでは、これは約30秒に短縮できる。ポイント・オブ・ケア検査の場合、リードタイムが短くサンプルボリュームが小さいことは重要である。
【0118】
図8は、流体サンプル分析で使用するデバイスの複数の上部を示す図である。イメージAは、上記の通り、フィルタリング膜と使用する既存デザインの前後を示す。イメージB1、B2、C1、C2及びDは、本デバイスの上部の例の前後を示し、これらはフィルタリング膜が必要ないようにデザインされている。上部B1とB2は、サンプルを供給するのに用いられる、言い換えるとサンプル適用デバイスを誘導及びフィットするのに用いられる、ピペットのサイズに合った小さい円形開口部を有する。上部B1とB2の外側部分は、開口部の周りに、ピペットの誘導を助け、吸引毛細管作用の生成を提供する隆起ドームを有し、流体サンプルが供給される圧力を増加させ、サンプルが供給されるときにデバイスから逆流しないようにすることを可能にする。開口部サイズが小さいこと、及び上部の下側に大きな反射面を設けて、毛細管作用によりサンプルが動ける領域を通って放射線を前後に向けることができることは、サンプルがサンプル注入口の中心に、毛細管チャネル(
図9に示す)の注入口の正しい位置に供給される。小さなサイズの開口部はまた、サンプルが開口部内で中央に供給されることを意味し、したがって流体受容面上に均等に広がり、正しい量の流体を加えて通気リング(
図9に示す)までスペースを満たし、ベントリングに流入することはない。イメージB2に示した上部の下側に、流体をより良好に閉じ込めるために、馬蹄形の閉じ込め突起が設けられている。蹄鉄型の開口部は毛細管チャネルの方向にある。デザインDは、ピペットをより容易に挿入できるように、デザインB1およびB2より少し大きい開口部を有し、他のサンプル適用方法(例えば、毛細管やピペットではなくディスペンサ)とのインターフェースを可能としている。デザインC1およびC2は、B1およびB2より少し大きい開口部を有するが、サンプル適用デバイスにちょうどフィットするようにではなく、それを誘導する(楕円形状の長軸に沿って向き付ける)ために楕円形の開口部の形状である。楕円の長軸は毛細管チャネルの方向であり、デザインC2はC1より小さい楕円を有し、通気リングにサンプルを加えないようになっている。デザインDのより小さい孔は、上述のように反射率を増加させることに加えて、サンプルが反応チャンバーに移送されないために、デバイスが満たされないことを緩和するために、分析のためにサンプルを反応チャンバーに移送する注入口毛細管チャネルに近いサンプルの適用を保証する。
【0119】
図9は、フィルタリング膜を必要としない、流体分析用デバイスの基部を示す。このデバイスの上部(図示せず)は、基部上に配置され、上部の開口部が蹄鉄形状通気リング上にセンタリングされる。毛細管駆動チャネルは、サンプル注入口に供給されるサンプルを、反応チャンバーと参照チャンバーとを有する分析セクションに送る。2つの反応チャンバーは、サンプル流体で満たされ、サンプル流体の分析がなされる。ピペット(または毛細管)を用いて、デバイスの上部の開口部を通してサンプル注入口へサンプルを移送または供給する。毛細管の先端はサンプル注入口に向けられる。サンプル流体は、カートリッジ(デバイス)の充填を可能にするサンプル注入口と接触しなければならないからである。デザインC1およびC2(
図8参照)は、サンプルがサンプル注入口の左右に適用されることを防止する楕円型開口部を有する。そうして、カートリッジに流体サンプルを適用する場合に毛細管(ピペット)の位置への一定の案内を提供する。このように、横方向の不整合が防止され、サンプル注入口での毛細管チャネルの軸に沿ってある程度前進および後退運動が提供される。小さな円形の穴を有するデザインBおよびD(
図8参照)は、再び不整合を低減し、ピペットまたは毛細管はまた、前方または後方の位置で、また注入口に対して側方にも案内される。空気の通気をする通気リングが設けられる。これは注入口における空気泡の形成を防止する。このような空気泡はカートリッジへの充填を妨げることがある。また通気リングは、その中に確定される流体受容面内に流体を制限する役にも立つ。これは、
図8に示した上部B2の底面に示した突起と同様である。供給される流体サンプルが多すぎると、サンプルが通気リングに流れ込み、空気の通気能力が犠牲になる。上部B2の底面の突起はこれを防止する役に立つ。しかし、理想的には、適用される流体サンプルが、基部と血液ハウジング(上部)との間の通気リングの制約により制約されたスペースに充填される。
【0120】
デバイス(カートリッジ)がアナライザのカートリッジプラットフォーム上に配置された場合(
図5)、カートリッジプラットフォームは、
図9に示すように基部の下にある。光源からの放射線は、通気リングにより確定された領域内の基部を通る。これは、光源により放射された放射線には透明または少なくとも部分的に透明である。この放射線は、伝搬して、デバイスの上部の下面にある放射線受光領域で反射され、再び通気リングにより確定される領域内の基部を通る。この放射線伝搬経路は、
図9に示すように、通気リングにより確定される領域の右手側に向かい、通気リングの開口部に向かい、毛細管チャネルの方向である。このように、毛細管作用下における基部と上部との間を動いた流体の検出は、流体が毛細管駆動チャネルの方向に流れているだけでなく、流れたこと、それゆえそのチャネルを分析ゾーンまで送られた可能性が高いことを意味する。しかし、放射線は通気リング内に確定される他の領域に向けることもできる。通気リングの制約内の基部の表面は平坦であり、材料は疎水性である。これは、血液サンプルが基部に留まらず、毛細管作用下で基部と上部との間を流れることができることを意味する。これは、表面の「平坦度」が意味するものを定義し、このことは、表面が流体の流れまたは動きを大きく阻害する粗さを有しないことを意味する。同様に、流体サンプルが流れる領域に対応するカートリッジ(デバイス)の上部の底面は平坦であり、材料は疎水性である。これにより、サンプルの流れまたは移動が助長され、放射線受光面が上部の下側のこの平坦領域内にあり、これにより表面の反射率が向上または増加する。例えば、材料は疎水性に分類される必要はなく、流体サンプルの流れまたは動きを許せばよい。表面の反射率は、放射線受光面にわたり、その領域が白色されていればさらに増加する。これは、反射率を増加させる非常にコスト効率の良い方法であるが、ミラー領域または光源の波長に特に調整された反射率を有する領域など、反射率を高める他の手段を使用することもできる。
【0121】
図10は、異なるサイズの貫通開口部を有するデバイスの反射率変化を示す。使用された検出器は標準的なCCDであったが、CMOS検出器のような別の標準検出器であってもよい。
図10に示すような反射率の変化は、デバイス内の血液を含む、デバイスの異なる構成要素の寄与を表す。これは、5%の反射率の変化が、明らかに検出可能な変化として測定可能であり、これは、血液の面積を約5mm
2増加させる、流体受容領域上での血液の動きと同等であり得ることを示す。しかし、この試験では、血液はそれぞれの場合に流体受容領域の半分しかカバーしていなかったので、2.5mm
2の領域にわたる血液の移動は明らかに検出可能な5%の反射率変化をもたらす。実際、1%の反射率変化が可能であり、約0.5mm
2の流体受容領域にわたる血液の動きに等しい。
【0122】
上記の説明では、血液流体サンプルについて説明したが、尿、血漿、水(汚染物質を含む)などの他の流体サンプルにも使用でき、メラトニン、ジャズ材料、HNL検出などのアッセイにも使用できる。デバイスの上部と基部との間の間隔は、必要に応じて毛細管作用の下でこれらの部分の間を流体が流れるように、分析される流体の種類に応じて調整することができる。
【0123】
別の例示的な実施形態では、コンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム要素が、先の実施形態の1つによる方法ステップを実行するように構成されることを特徴とする適切なシステムを制御するために提供される。
【0124】
コンピュータプログラム要素は、コンピュータユニットに記憶されてもよい。コンピュータユニットも一実施形態の一部であってもよい。このコンピューティングユニットは、上記の方法のステップを実行するまたは実行を誘起するように構成され得る。さらに、上記のデバイスの構成要素を動作させるように構成されていてもよい。コンピューティングユニットは、自動的に動作し、及び/またはユーザの命令を実行するように構成されている。コンピュータプログラムはデータプロセッサのワーキングメモリにロードされる。データプロセッサは、前述の実施形態の1つによる方法を実行するように構成されている。
【0125】
本発明のこの実施形態は、初めから本発明を用いるコンピュータプログラムと、アップデートにより本発明を用いるプログラムになる既存のプログラムとの両方をカバーする。
【0126】
さらにまた、コンピュータプログラム要素は、上記の方法の実施形態の手順を満たす必要なすべてのステップを提供できる。
【0127】
本発明のさらに別の一実施形態によると、CD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能媒体が提供され、そのコンピュータ読み取り可能媒体は、前のセクションで説明したコンピュータプログラム要素を記憶したものである。
【0128】
コンピュータプログラムは、光記憶媒体や他のハードウェアとともに、またはその一部として供給される固体媒体などの適切な媒体に記憶及び/または配布することができ、インターネットや有線または無線の電気通信システムなどを介して他の形式で配信することもできる。
【0129】
しかし、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブ等のネットワーク上で提供されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリにダウンロードされてもよい。本発明のさらにべつの実施形態では、コンピュータプログラム要素をダウンロードできるようにする媒体が提供され、そのコンピュータプログラム要素は本発明の上記の実施形態の一つによる方法を実行するように構成されている。
【0130】
留意すべき点として、本発明の実施形態を、異なる主題を参照して説明する。具体的に、一部の実施形態を方法の請求項を参照して説明し、他の一部の実施形態をデバイスの請求項を参照して説明する。しかし、本技術分野の当業者は、上記の説明と以下の説明から、特に断らないかぎり、一種類の主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる複数の主題に関係する特徴の間の任意の組み合わせも本出願で開示されていると考えられることが分かるであろう。しかし、すべての特徴は組み合わせて、特徴の単なる和以上のシナジー効果を提供することができる。
【0131】
図面と上記の説明に詳しく示し本発明を説明したが、かかる例示と説明は例であり限定ではない。本発明は開示した実施形態には限定されない。請求項に記載した発明を実施する際、図面、本開示、及び従属項を研究して、開示した実施形態のその他のバリエーションを、当業者は理解して実施することができるであろう。
【0132】
請求項において、「有する(comprising)」という用語は他の要素やステップを排除するものではなく、「1つの(「a」または「an」)」という表現は複数ある場合を排除するものではない。単一のプロセッサまたはその他のアイテムが請求項に記載した複数のユニットの機能を満たすこともできる。相異なる従属クレームに手段が記載されているからといって、その手段を組み合わせて有利に使用することができないということではない。請求項に含まれる参照符号は、その請求項の範囲を限定するものと解してはならない。