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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】変色有効期限インジケータ
(51)【国際特許分類】
   B41J 5/30 20060101AFI20220623BHJP
   G01N 31/22 20060101ALI20220623BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220623BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20220623BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
B41J5/30 B
G01N31/22 121P
B41J2/01 501
B41J2/01 129
B41J3/407
G09F3/02 U
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019033410
(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公開番号】P2019162869
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】15/924,714
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】リン・シー・フーヴァー
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィット・エイ・ヴァンコウウェンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エム・フロム
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ジェイ・ブラッドウェイ
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-307192(JP,A)
【文献】特公昭53-023227(JP,B1)
【文献】特開昭57-104884(JP,A)
【文献】特開2010-101825(JP,A)
【文献】特開2008-076220(JP,A)
【文献】特開2017-057245(JP,A)
【文献】特開2018-004391(JP,A)
【文献】国際公開第2016/183044(WO,A1)
【文献】米国特許第5699326(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0009067(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0161919(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 5/00 - 5/52
B41J 2/01 - 2/215
G04F 1/00 - 5/16
G04F 7/00 - 13/06
B41J 21/00 - 21/18
G01N 31/00 - 31/22
B41J 29/00 - 29/70
B41J 3/01 - 3/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと、
前記メモリと通信するプロセッサであって
変色有効期限インジケータに使用する透過層の数を、前記変色有効期限インジケータの印刷日と受信した有効期限日との間の期間に少なくとも部分的に基づいて、決定することと、
前記期間に少なくとも部分的に基づいて前記変色有効期限インジケータに使用するバリア層の数を決定することと、を行うように構成されている、プロセッサと、
1つ以上のプリンタヘッドであって、
反応層を印刷媒体上に印刷することであって、前記反応層の少なくとも一部は、前記透過層を通って移動するように構成されている、印刷することと、
前記決定された数の透過層と前記決定された数のバリア層とを交互に印刷することと、
反応物質層を印刷することであって、前記反応物質層は、前記反応層が前記決定された数の透過層を通って移動すると、前記反応物質層と前記反応層との間に生じた反応に応答して色が変化するように構成され、前記反応は、前記受信した有効期限日に生じるように構成されている、印刷することと、を行うように構成されている、1つ以上のプリンタヘッドと、を備える、プリンタシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記透過層毎に厚さを決定するように構成され、前記厚さは、前記期間に少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載のプリンタシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記期間に少なくとも部分的に基づいて前記バリア層毎に厚さを決定するように構成されている、請求項1に記載のプリンタシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記決定された透過層の数および前記決定されたバリア層の数に少なくとも部分的に基づいて前記反応層の厚さを決定するように構成されている、請求項1に記載のプリンタシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記バリア層毎に多孔度を決定するように構成されている、請求項1に記載のプリンタシステム。
【請求項6】
前記多孔度は、前記バリア層に含まれる孔のサイズを含む、請求項5に記載のプリンタシステム。
【請求項7】
前記多孔度は、前記バリア層に含まれる孔のパターンを含む、請求項5に記載のプリンタシステム。
【請求項8】
前記多孔度は、前記バリア層に含まれる孔の数を含む、請求項5に記載のプリンタシステム。
【請求項9】
前記透過層を乾燥させるように構成された空気吹き付けシステムおよびヒータのうちの少なくとも一方をさらに備える、請求項1に記載のプリンタシステム。
【請求項10】
前記バリア層を硬化させるように構成された硬化装置をさらに備える、請求項1に記載のプリンタシステム。
【請求項11】
前記硬化装置は、発光ダイオード(LED)紫外線(UV)光源を含む、請求項10に記載のプリンタシステム。
【請求項12】
前記1つ以上のプリンタヘッドは、前記反応層、前記決定された数の透過層、前記決定された数のバリア層、および前記反応物質層の上に保護コーティングを印刷するように構成されている、請求項1に記載のプリンタシステム。
【請求項13】
メモリと、
有効期限日を受信するように構成されたインターフェースと、
前記メモリおよび前記インターフェースと通信するプロセッサであって、
変色有効期限インジケータに使用する透過層の数を、前記変色有効期限インジケータの印刷日と前記受信した有効期限日との間の期間に少なくとも部分的に基づいて、決定することと、
前記期間に少なくとも部分的に基づいて前記透過層毎に厚さを決定することと、
前記期間に少なくとも部分的に基づいて前記変色有効期限インジケータに使用するバリア層の数を決定することと、
前記期間に少なくとも部分的に基づいて前記バリア層毎に厚さを決定することと、
前記バリア層毎に多孔度を決定することと、
前記決定された透過層の数および前記決定されたバリア層の数に少なくとも部分的に基づいて反応層の厚さを決定することと、を行うように構成されている、プロセッサと、 1つ以上のプリンタヘッドであって、
前記反応層を印刷媒体上に印刷することであって、前記反応層の少なくとも一部は、前記透過層を通って移動するように構成されている、印刷することと、
前記決定された数の透過層と前記決定された数のバリア層とを交互に印刷することと、
反応物質層を印刷することであって、前記反応物質層は、前記反応層が前記決定された数の透過層を通って移動すると、前記反応物質層と前記反応層との間に生じた反応に応答して色が変化するように構成され、前記反応は、前記受信した有効期限日に生じるように構成されている、印刷することと、を行うように構成されている、1つ以上のプリンタヘッドと、を備える、プリンタシステム。
【請求項14】
前記多孔度は、各前記バリア層に含まれる、孔のサイズ、孔のパターン、および孔の数を含む、請求項13に記載のプリンタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、製品がその有効期限日に達したことを示すために所定の時間の後にその外観を変えるように構成された有効期限タグまたは他のインジケータを対象とする。
【0002】
多くの消費者向製品は限られた耐用年数を有する。例えば、様々な食品、医薬品、医療機器、化学薬品などは、それらが製造された日から一定期間内に使用されないと、無効および/または危険になることがある。その結果、製品メーカーは予測可能な保存期間を有する製品に有効期限日を含ませることが多い。有効期限日は製品包装または製品ラベルに印刷または刻印することができる。一部の製品では、製品識別番号に基づいて有効期限日にオンラインでアクセスすることもできる。
【0003】
本明細書に記載の実施形態に係る例示的なプリンタシステムは、メモリと、1つ以上のプリンタヘッドと、メモリおよび1つ以上のプリンタヘッドと通信するプロセッサと、を含む。プロセッサは、変色有効期限インジケータに使用する透過層の数を、変色有効期限インジケータの印刷日と受信した有効期限日との間の期間に少なくとも部分的に基づいて、決定するように構成されている。プロセッサはまた、その期間に少なくとも部分的に基づいて変色有効期限インジケータに使用するバリア層の数を決定するように構成されている。1つ以上のプリンタヘッドは、反応層を印刷媒体上に印刷するように構成されており、反応層の少なくとも一部は、透過層を通って移動するように構成されている。1つ以上のプリンタヘッドはまた、決定された数の透過層および決定された数のバリア層を交互に印刷するように構成されている。1つ以上のプリンタヘッドはさらに、反応層が決定された数の透過層を通って移動すると、反応物質層と反応層との間に生じた反応に応答して色が変化するように構成された反応物質層を印刷するように構成されており、その反応は、受信した有効期限日に生じるように構成されている。
【0004】
本明細書に記載の実施形態に係る例示的な方法は、プリンタシステムのインターフェースによって有効期限日を受信することを含む。本方法はまた、プリンタシステムのプロセッサによって、変色有効期限インジケータに使用する透過層の数を、変色有効期限インジケータの印刷日と受信した有効期限日との間の期間に少なくとも部分的に基づいて、決定することを含む。本方法はまた、プロセッサによって、その期間に少なくとも部分的に基づいて変色有効期限インジケータに使用するバリア層の数を決定することを含む。本方法はまた、印刷システムの1つ以上のプリンタヘッドによって反応層を印刷媒体上に印刷することを含む。反応層の少なくとも一部は、透過層を通って移動するように構成されている。本方法はまた、1つ以上のプリンタヘッドによって、決定された数の透過層および決定された数のバリア層を交互に印刷することを含む。本方法はさらに、1つ以上のプリンタヘッドによって、反応層が決定された数の透過層を通って移動すると、反応物質層と反応層との間に生じた反応に応答して色が変化するように構成された反応物質層を印刷することを含む。その反応は、受信した有効期限日に生じるように構成されている。
【0005】
本明細書に記載の実施形態に係る他の例示的なプリンタシステムは、メモリと、インターフェース、1つ以上のプリンタヘッドと、メモリ、インターフェース、および1つ以上のプリンタヘッドと通信するプロセッサと、を含む。インターフェースは、有効期限日を受信するように構成されている。プロセッサは、変色有効期限インジケータに使用する透過層の数を、変色有効期限インジケータの印刷日と受信した有効期限日との間の期間に少なくとも部分的に基づいて、決定するように構成されている。プロセッサはまた、その期間に少なくとも部分的に基づいて透過層毎に厚さを決定するように構成されている。プロセッサはまた、その期間に少なくとも部分的に基づいて変色有効期限インジケータに使用するバリア層の数を決定するように構成されている。プロセッサはさらに、その期間に少なくとも部分的に基づいてバリア層毎に厚さを決定するように構成されている。プロセッサはさらに、バリア層毎に多孔度を決定するように構成されている。プロセッサはさらに、決定された透過層の数および決定されたバリア層の数に少なくとも部分的に基づいて反応層の厚さを決定するように構成されている。1つ以上のプリンタヘッドは、反応層を印刷媒体上に印刷するように構成されており、反応層の少なくとも一部は、透過層を通って移動するように構成されている。1つ以上のプリンタヘッドはまた、決定された数の透過層および決定された数のバリア層を交互に印刷するように構成されている。1つ以上のプリンタヘッドはさらに、反応層が決定された数の透過層を通って移動すると、反応物質層と反応層との間に生じた反応に応答して色が変化するように構成された反応物質層を印刷するように構成されている。その反応は、受信した有効期限日に生じるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】例示的な実施形態に係る変色有効期限インジケータを生成するためにプリンタシステムによって実行される動作を示す流れ図である。
図2】例示的な実施形態に係る変色有効期限インジケータを生成するために使用される印刷媒体の一部を示す図である。
図3】例示的な実施形態に係る変色有効期限インジケータの層を示す側面図である。
図4】例示的な実施形態に係る変色有効期限インジケータの層を示す断面図である。
図5】例示的な実施形態に係る変色有効期限インジケータを生成するように構成されたプリンタシステムを示すブロック図である。
【0007】
上述したように、有効期限日は、製品の耐用年数を示すために製品包装またはラベルに印刷または刻印されることが多い。しかしながら、従来の有効期限日は、製品の底部または製品包装の一部または消費者によって廃棄されるラベルのように、消費者にとって見つけにくい場所に印刷されることが多いので、見つけるのが難しい場合がある。消費者が有効期限日を見つけることができたとしても、その日付自体が小さい印刷物、汚れた印刷物、色あせなどのために消費者にとって読むことは困難である場合がある。これは、消費者にとって、自身が購入した製品がいつその耐用年数の終わりに達したかを知ることを困難にさせている。その結果、消費者は、まだ使用可能な製品を捨てるか、期限切れの製品を使用することになってしまい、健康と安全の問題を引き起こす可能性がある。
【0008】
本明細書において、変色有効期限インジケータを生成するための方法およびシステムを説明する。例示的な実施形態では、変色有効期限インジケータは、所定の期間が過ぎた後に変色をもたらすために印刷材料の交互の層を利用する、印刷された粘着タグの形態をとることができる。具体的には、反応層からの材料は、反応層材料が反応物質層と反応して反応物質層を変色させるまで、1つ以上のバリア層および1つ以上の透過層の材料を通って経時的に移動する。反応層材料が他の層を通って移動するのにかかる時間は、変色反応が特定の有効期限日で起こるように層の厚さおよび数によって制御される。粘着タグは、消費者が粘着タグの色に基づいて製品が期限切れになったかどうかを迅速かつ容易に判断できるように、製品の目立つ部分または見やすい部分に配置することができる。
【0009】
図1は、例示的な実施形態に係る変色有効期限インジケータを生成するためにプリンタシステムによって実行される動作を示す流れ図である。代替の実施形態では、より少ない、追加の、および/または異なる動作を実行してもよい。さらに、流れ図の使用は、実行される動作の順序に関して限定的であることを意味しない。動作100において、プリンタシステムは印刷媒体を受け取る。例示的な実施形態では、印刷媒体は、一旦印刷された粘着タグを容易に取り除きかつ製品に貼り付けることを可能にするワックスが塗られたまたは他の裏材上の粘着タグのロール(またはストリップ)の形態であり得る。印刷媒体は、システムオペレータによってプリンタシステムに供給することができる。
【0010】
図2は、例示的な実施形態に係る変色有効期限インジケータを生成するために使用される印刷媒体200の一部を示す図である。印刷媒体200は、裏材205と複数の粘着タグ210とを含む。裏材205は、粘着タグ210の容易な除去を可能にするワックス紙または他の任意の種類の裏材であり得る。粘着タグ210の各々は、タグが裏材205にくっつくように裏側に接着剤が塗布されている。当技術分野において既知の任意の種類の接着剤(複数可)を使用することができる。接着剤はまた、一旦タグが印刷されると、粘着タグ210を製品に貼り付けることを可能にする。粘着タグは、マイラー、他のプラスチック材料、紙、および/または変色有効期限インジケータを印刷することができる他の任意の材料から作ることができる。図2は4つの粘着タグ210および裏地205を示しているが、印刷媒体200は任意の数の粘着タグ210を含むことができるということを理解されたい。例えば、印刷媒体200は、単一の粘着タグ、5つの粘着タグ、1000個の粘着タグなどを含むことができる。さらに、図2は粘着タグ210を円形として示しているが、正方形、長方形、楕円形、三角形などの任意の他の形状が代替の実施形態において使用されてもよい。
【0011】
図1に戻って参照すると、動作105において、プリンタシステムは製品の有効期限日を受信する。例示的な実施形態では、有効期限日は、タッチスクリーン、キーパッドなどのプリンタシステムのインターフェースを介してシステムオペレータから受信することができる。有効期限日は、プリンタシステムのトランシーバを介してコンピューティングデバイスから受信することもできる。例えば、ユーザ装置は、インターネット、ブルートゥース(登録商標)、またはローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワーク接続を介して有効期限日をプリンタシステムに送信してもよい。有効期限日は、製品の予想される有用で安全な寿命に基づいて、製品の製造元、エンドユーザ、またはその他のエンティティから取得できる。
【0012】
操作110-130において、プリンタシステムは、変色インジケータに含まれるべき層の数、層の厚さ、およびバリア層の多孔度に関する決定を行う。これらの決定は、有効期限日と、透過層とバリア層の印刷に使用されるインク間の特定の相互作用とに基づく。プリンタシステムは、インジケータが色を変更することになるまでの時間に基づいて変色インジケータの最適構成を決定するためのアルゴリズムおよび/またはルックアップテーブルを含むことができる。例えば、プリンタシステムは、特定の厚さおよび多孔度のバリア層を通る、および特定の厚さの透過層を通る反応物質層の吸収速度を定義するパラメータを含むルックアップテーブルを使用することができる。動作110-130は、決定を行うために使用される特定のアルゴリズム(複数可)に基づいて、並行して、連続して、または任意の順序で実行されることができる。
【0013】
動作110において、プリンタシステムは変色インジケータ用の反応層の厚さを決定する。例示的な実施形態では、反応層は、プリントヘッドによって噴射されることが可能である水性酸性流体であり得る。あるいは、反応層は塩基性であってもよい。当技術分野において既知の任意の種類の酸性または塩基性インクを使用してもよい。反応層の厚さは、反応層が通過するべき他の層の数および厚さに部分的に基づいており、それは所望の有効期限日(すなわち、色の変化反応が起こるまでに経過することになる時間)に依存する。より厚い反応層は、より厚いおよび/または多数のバリア層を横断するために典型的に使用され、それはより長い有効期限日に使用されてもよい。同様に、より薄い反応層を使用して、より薄いおよび/またはより少ない数のバリア層を横断することができ、それはより短い有効期限日に使用されてもよい。例示的な実施形態では、反応層の厚さは、約5ミクロン~100ミクロン超で変動し得る。あるいは、他の厚さを使用してもよい。
【0014】
動作115において、プリンタシステムは、変色インジケータ用の透過層の数および厚さを決定する。例示的な実施形態では、透過層はpH中性の水性流体であり得る。透過層の各々は、予測可能な時間にわたって反応層を吸収する印刷可能な層の材料であり得る。前述の反応層が各透過層を通過するのにかかる時間は、透過層の厚さおよび数に部分的に依存し、それらはアルゴリズムおよび/またはルックアップテーブルを使用してプリンタシステムによって決定することができる。例えば、有効期限日が近い(例えば2週間)場合、単一の比較的薄い透過層を使用してもよい。逆に、有効期限日がより長い場合(例えば、18ヶ月)、中程度のまたは大程度の厚さの2つ以上の透過層を使用することができる。例示的な実施形態では、各透過層は、約5ミクロン~30ミクロンの厚さの範囲であり得る。あるいは、他の厚さを使用してもよい。別の例示的な実施形態では、複数の透過層が使用される場合、透過層の各々は同じ厚さを有することができる。代替の実施形態では、所与の変色有効期限インジケータ内の異なる透過層は異なる厚さを有してもよい。
【0015】
動作120において、プリンタシステムは、変色インジケータ用のバリア層の数および厚さを決定する。バリア層の各々は、反応層の輸送を抑制する材料からなる印刷可能な紫外線(UV)硬化性層であり得る。バリア層(複数可)は、透過層に隣接しておよび/または透過層の間に配置することができる。バリア層の数は、使用されることになる透過層の数に基づくことができる。バリア層の厚さは、反応層がバリア層(複数可)を通過することができる速度を制御するために、透過層の厚さおよび/または種類に基づくことができる。一実施形態では、バリア層毎に所定の厚さを使用することができる。例示的な実施形態では、バリア層は約10ミクロン~50ミクロンの厚さの範囲であり得る。あるいは、他の厚さを使用してもよい。別の例示的な実施形態では、複数のバリア層が使用される場合、バリア層の各々は同じ厚さを有することができる。代替の実施形態では、所与の変色有効期限インジケータ内の異なるバリア層は異なる厚さを有してもよい。
【0016】
例示的な実施形態では、各バリア層は、反応層を形成する材料が通過することができる孔を含む。反応層材料の移動がバリア層によって完全に妨げられないように、孔を透過層を形成する材料で充填することができる。動作125において、プリンタシステムは、孔サイズ、孔形状、および/または孔パターンを含むことができるバリア層の多孔度を決定する。例示的な実施形態では、孔パターンは、孔間に等しい間隔を有する均一な分布であり得る。あるいは、不均一分布を使用してもよい。別の例示的な実施形態では、孔は比較的円形とすることができ、直径約5ミクロン~約200ミクロンの範囲であり得る。代替の実施形態では、他の孔サイズを使用してもよい。同様に、正方形、長方形、三角形、楕円形などの他の孔形状を使用することもできる。多孔度は、反応層材料がバリア層の孔を通って次の層に進むのにかかる時間に基づいて決定される。例えば、少数の小さい孔は、大きいおよび/または多数の孔よりも長期間にわたって反応層材料の輸送を妨害することになる。
【0017】
例示的な実施形態では、変色インジケータが2つ以上のバリア層を含む場合、各バリア層の孔は、隣接するバリア層の孔に対してずれていてもよい。例えば、変色インジケータは、反応層に隣接する第1のバリア層、第1のバリア層に(例えば、その上に)隣接する透過層、および透過層に(例えば、その上に)隣接する第2のバリア層を含むことができる。第1のバリア層は、反応層材料が通過する第1の孔パターンを含むことができ、第2のバリア層は、第2のバリア層の孔が第1のバリア層の孔に対してずれているような第2の孔パターンを含むことができる。結果として、反応層材料は、変色インジケータの領域を横方向にわたって、かつ変色インジケータの厚さを垂直に通るように透過層を通過することを強いられる。この構成は、図4を参照してより示されて説明される。
【0018】
動作130において、プリンタシステムは、変色インジケータ用の反応物質層の厚さを決定する。例示的な実施形態では、反応物質層は、反応層からの材料の存在下で反応して色を変えるように構成された透明水性インク層であり得る。一実施形態では、反応層は酸性とすることができ、反応物質層は塩基性であり得る。あるいは、反応層は塩基性であってもよく、反応物質層は酸性であり得る。別の代替の実施形態では、他の任意の種類の材料および/または反応を使用して色を変えることができる。反応物質層の厚さは、反応物質層に使用される材料の種類および/または反応層に使用される材料の種類に基づくことができる。
【0019】
動作135において、プリンタシステムは反応層を印刷媒体上に印刷する。反応層は、操作110で行われた決定に従って印刷される。例示的な実施形態では、プリンタシステムは複数のプリントヘッドを含むことができ、そのうちの少なくとも1つは反応層を印刷するように構成されている。反応層に使用される材料の種類および厚さに応じて、プリンタシステムは1つ以上の層の反応材料を噴射し、次の層を塗布する前に各反応層を硬化および/または加熱乾燥させてもよい。
【0020】
動作140において、プリンタシステムはバリア層を印刷媒体上に印刷する。具体的には、バリア層は、1つ以上のバリア層プリントヘッドを使用して、動作135で印刷された反応層の上に印刷することができる。バリア層は、操作120および125で行われた決定に従って印刷される。動作145において、プリンタシステムはバリア層を硬化させる。バリア層は、UV発光ダイオード(LED)硬化ステーションなどの硬化装置を使用して硬化することができる。あるいは、他の任意の種類の光源を使用してバリア層を硬化させてもよい。
【0021】
動作150において、プリンタシステムは透過層を印刷媒体上に印刷する。具体的には、透過層はバリア層の上に印刷され、バリア層の孔を埋めるように構成されている。いくつかの実施形態では、透過層は、バリア層の印刷前に反応層上に直接印刷されてもよい。透過層は、動作115で行われた決定に従って印刷することができる。動作155において、プリンタシステムは、赤外線(IR)乾燥ステーションなどの乾燥ステーションを使用して透過層を乾燥させる。あるいは、他の任意の熱源を使用してもよい。さらに、プリンタシステムは、空気吹き付けを使用して透過層を乾燥させてもよい。空気吹き付けは、熱源に加えてまたは熱源の代わりに使用することができる。
【0022】
動作160において、プリンタシステムは、動作115および120で行われた決定に基づいて、追加のバリア層および/または透過層を印刷するかどうかに関する決定を行う。追加のバリア層および/または透過層を印刷すると決定した場合、プリンタシステムは動作140および145および/または動作150および155を繰り返すように構成されている。例えば、プリンタシステムは、2つのバリア層と2つの透過層を使用すると適切な時点で色が変化することになると判断してもよい。そのような実施形態では、動作140~155はそれぞれ2回実行される。あるいは、プリンタシステムは、3つの透過層と2つのバリア層を使用すると適切な時点で色が変化することになると判断してもよい。このような実施形態では、動作140および145は2回行われ、動作150および155は3回行われる。
【0023】
プリンタシステムが、それ以上のバリア層または透過層を印刷する必要がないと判断した場合、動作165において、プリンタシステムは反応物質層を印刷媒体上に印刷する。具体的には、反応物質層は、1つ以上の専用プリントヘッドを使用して、最後に印刷されたバリア層または透過層上に印刷される。使用される材料の種類およびその厚さに応じて、プリンタシステムは、動作170において反応物質層を硬化および/または乾燥させてもよい。反応物質層は、反応層材料との化学反応の際に色を変えるように構成されている固体層として印刷することができる。あるいは、反応物質層は、製品の有効期限が切れたことをユーザに知らせるために、反応の結果として現れるパターンまたはテキストとして印刷することができる。例えば、反応物質層は、「この製品は期限切れです、使用しないでください」などのテキストとして印刷することができる。変色反応が起こるまで、テキストをユーザに見せなくすることもできる。
【0024】
別の実施形態では、最後のバリア層をステンシルとして印刷し、固体反応物質層をその上に印刷することができる。反応層が反応物質層と相互作用し、次いで反応層が反応物質層全体に分散するにつれて無着色に変わるので、有効期限日の前にテキストまたは記号を表示することができる。
【0025】
動作175において、プリンタシステムは、他のすべての印刷層の上にpH中性UV硬化性透明保護コーティングを印刷する。保護コーティングを使用してUVシェルを形成することができ、1つ以上の専用プリントヘッドを使用して保護コーティングを印刷することができる。保護コーティングは、変色有効期限インジケータを支持および保護し、熱、太陽光、放射線などの環境条件が変色反応を妨げないように使用される。例示的な実施形態では、保護コーティングは変色インジケータのすべての露出面を覆うように塗布される。使用される材料の種類に応じて、保護コーティングはまた、動作180において硬化および/または乾燥されてもよい。
【0026】
一旦ラベルを印刷すると、それを裏材から取り除いて製品に貼り付けることができる。少なくともいくつかの実施形態では、印刷されたラベルはその目的および予想される結果の表示を伴う。例えば、ラベルが色Aから色Bに変化したときに(AおよびBは任意の色)、製品が期限切れになることをユーザに知らせるために、印刷されたラベルに近接してまたは直接印刷された書面表示を置くことができる。反応物質層がテキストの形態で印刷されている場合、書面表示は、テキストが製品の有効期限切れ時に現れることを示すことができる。代替の実施形態では、そのような表示は含まれていなくてもよい。
【0027】
図3は、例示的な実施形態に係る変色有効期限インジケータ300の層を示す側面図である。変色有効期限インジケータ300は、基材305上に印刷された複数の層を含む。例示的な実施形態では、基材305は、本明細書に記載されている印刷媒体の任意の形態であり得る。変色有効期限インジケータ300は、反応層310、第1のバリア層315、透過層320、第2のバリア層325、反応物質層330、および保護コーティング335を含む。代替の実施形態では、使用される材料の種類および所望の有効期限日に応じて、より少ない、追加の、および/または異なる層が含まれてもよい。例えば、他の実施形態では、第1のバリア層315を代わりに第1の透過層とし、透過層320を代わりにバリア層とし、第2のバリア層325を第2の透過層とすることができる。
【0028】
図4は、例示的な実施形態に係る変色有効期限インジケータ400の層を示す断面図である。変色有効期限インジケータ400は、本明細書に記載されている印刷媒体の任意の形態であり得る基材405上に印刷される。変色有効期限インジケータ400は、反応層410、第1のバリア層415、第1の透過層420、第2のバリア層425、第2の透過層430、第3のバリア層435、第3の透過層440、反応物質層445、および保護コーティング450を含む。代替の実施形態では、有効期限日および使用される材料の種類に応じて、より少ない、追加の、および/または異なる層を使用してもよい。
【0029】
図4に示すように、バリア層(415、425、および435)の各々は、孔が透過層の材料で充填されている多孔質層である。図にも示されているように、第2のバリア層425の孔は、第1のバリア層415の孔に対してずれており、第3のバリア層の孔は、第2のバリア層425の孔に対してずれている。したがって、反応物質層材料は、横方向および垂直方向の両方に(図4の向きに)移動することによって変色有効期限インジケータ400の他の層を通過することを強いられる。反応物質層材料の移動は、図4において矢印で示されている。
【0030】
図5は、例示的な実施形態に係る変色有効期限インジケータを生成するように構成されているプリンタシステム500を示すブロック図である。プリンタシステム500は、メモリ505、プロセッサ510、トランシーバ515、インターフェース520、プリンタヘッド525、ヒータ530、および硬化装置535を含む。代替実施形態では、プリンタシステム500は、より少ない、追加の、および/または異なる構成要素を含み得る。
【0031】
プリンタシステム500のメモリ505を使用して、本明細書に記載の動作を実施するための任意のアルゴリズム、プログラムなどを記憶することができる。メモリ505は、分散させることができ、または単一の場所に置くことができる1つ以上のコンピュータメモリを含むことができ、当技術分野で既知の任意のタイプのコンピュータメモリであり得る。一実施形態では、メモリ505を使用して、指定された有効期限日に基づいて変色有効期限インジケータ用の層の数および層の厚さを決定するためのアルゴリズムを格納することができる。プロセッサ510は、分散させることができ、または単一の場所に置くことができる1つ以上のプロセッサを含むことができ、当技術分野で既知の任意のタイプのプロセッサであり得る。例示的な実施形態では、プロセッサ510を使用して、メモリ505に格納されているか、あるいはプリンタシステム500にアクセス可能な任意のプログラム、アルゴリズム、コンピュータ可読命令などを実行することができる。プロセッサ510はまた、トランシーバ515を制御し、および/またはインターフェース520を介して受信した入力を処理するために使用することができる。
【0032】
トランシーバ515は、当該技術分野で既知の任意の種類のレシーバおよび/または任意の種類のトランスミッタを含むことができる。トランシーバ515は、ネットワークを介してユーザ装置、他のプリンタシステムなどと通信するために使用されることができる。インターフェース520は、ユーザがプリンタシステム500と対話して有効期限日および他の情報を入力することを可能にする。インターフェース520は、タッチスクリーン、ローカルまたはリモートのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)、マウス、キーパッド、スピーカ、マイクロフォン、ディスプレイなどを含むことができる。
【0033】
プリンタヘッド525は、当技術分野で既知の任意のタイプのプリンタヘッドまたはジェットであり得る。例示的な実施形態では、プリンタヘッド525は、反応層の印刷専用の1つ以上のプリンタヘッド、バリア層の印刷専用の1つ以上のプリンタヘッド、透過層の印刷専用の1つ以上のプリンタヘッド、反応物質層の印刷専用の1つ以上のプリンタヘッド、および保護層の印刷専用の1つ以上のプリンタヘッドを含む。
【0034】
ヒータ530は、赤外線ヒータおよび/または空気吹き付けシステム(ファンなど)を含み、透過層が適用された後にそれらを乾燥させるのを助けることができる。あるいは、他の任意の種類の加熱および/または吹き付け部品を使用してもよい。硬化装置535は、変色有効期限インジケータに含まれるバリア層を硬化させるために1つ以上のLEDを利用するUV硬化装置であり得る。あるいは、他の任意の種類の硬化装置を使用してもよい。
【0035】
本明細書に記載の方法およびシステムは、製品供給者によって、および/または製品を購入する消費者などのエンドユーザによって使用され得る。さらに、本明細書に開示されているシステムおよび方法は、主に製品の有効期限インジケータに関して説明されているが、開示されている方法およびシステムはそのように限定されない。例えば、変色有効期限インジケータは、セキュリティクリアランスバッジがいつ期限切れになったかを示すために、クレジットカードがいつ期限切れになったかを示すためになど、他の目的にも使用することができる。
【0036】
用語「例示的」は、本明細書では、例、実例、または例示として役立つことを意味するために使用される。「例示的」として本明細書に記載された任意の態様または設計は、他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると必ずしも解釈されるべきではない。さらに、本開示の目的のために、そして他に特定されない限り、「a」または「an」は「1つ以上」を意味する。
図1
図2
図3
図4
図5