(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】蓋構造体及び蓋付タンク
(51)【国際特許分類】
B65D 45/32 20060101AFI20220623BHJP
B65D 90/62 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
B65D45/32 100
B65D90/62 A
(21)【出願番号】P 2019036552
(22)【出願日】2019-02-28
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】北岡 俊男
(72)【発明者】
【氏名】西 剛志
(72)【発明者】
【氏名】横野 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】西尾 隼人
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-087189(JP,A)
【文献】特開2000-128277(JP,A)
【文献】特開2005-083437(JP,A)
【文献】特開2010-083622(JP,A)
【文献】特表2014-528899(JP,A)
【文献】実開昭61-014290(JP,U)
【文献】特開2016-055256(JP,A)
【文献】特開2003-276798(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0001053(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 45/32
B65D 90/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間と外部空間とを連通する開口を備えたタンクに装着される蓋構造体であって、
前記開口の外部空間側に設けられる基体を有し、
前記基体が前記タンクの前記開口に通じる開口部を有し、
該基体に装着されて前記開口部を塞ぐ蓋体を備え、
該蓋体と前記基体とがヒンジを介して接続されており、
該蓋体及び前記基体には、前記蓋体を前記基体に装着する際に互いに対向するように配される基体フランジ部と蓋フランジ部とがそれぞれ備えられ、
前記基体フランジ部と前記蓋フランジ部とのそれぞれがフェルール形状を有し、
前記基体フランジ部に前記蓋フランジ部を固定して前記蓋体を前記基体に装着するためのフェルールクランプがさらに備えられている蓋構造体。
【請求項2】
内部空間と外部空間とを連通する開口を備えたタンクに装着される蓋構造体であって、
前記開口の外部空間側に設けられる基体を有し、
前記基体が前記タンクの前記開口に通じる開口部を有し、
該基体に装着されて前記開口部を塞ぐ蓋体を備え、
該蓋体及び前記基体には、前記蓋体を前記基体に装着する際に互いに対向するように配される基体フランジ部と蓋フランジ部とがそれぞれ備えられ、
前記基体フランジ部と前記蓋フランジ部とのそれぞれがフェルール形状を有し、
前記基体フランジ部に前記蓋フランジ部を固定して前記蓋体を前記基体に装着するためのフェルールクランプがさらに備えられ、
前記タンクが、収容物を収容するタンク本体と、該タンク本体より管状に延びる管状部とを有し、該管状部の先端に前記開口が設けられ、且つ、少なくとも前記管状部にはグラスライニングが施されており、
前記基体が該管状部に装着されるよう構成されている蓋構造体。
【請求項3】
前記基体は、
前記タンクの前記開口から該基体の前記開口部までの連通路を構成する扁平筒状の基体本体部と、
該基体本体部の前記開口部より径方向外向きに延びる前記基体フランジ部とを有し、
該基体フランジ部と前記基体本体部とがそれぞれ別の部材で構成されている請求項1
又は2記載の蓋構造体。
【請求項4】
前記基体本体部は、少なくとも前記開口部を構成する部位がフッ素樹脂製又はシリコン樹脂製である請求項
3記載の蓋構造体。
【請求項5】
前記基体が前記管状部に装着される分割フランジをさらに有する請求項
2記載の蓋構造体。
【請求項6】
前記蓋体は、
前記開口部を塞ぐために前記開口部に対向するように配される蓋板と、
該蓋板に外部空間側から当接され、前記蓋板の外周縁部において前記蓋板を保持するフレームとを備えており、
前記蓋板で塞がれた前記開口部を外部空間側から視認し得るように前記蓋板がガラス板によって構成されており、且つ、
該開口部の全体を外部空間側から視認し得るように前記ガラス板が前記開口部よりも大きく、前記フレームが前記ガラス板を保持する箇所が前記開口部よりも径方向外側である請求項1乃至5の何れか1項に記載の蓋構造体。
【請求項7】
内部空間と外部空間とを連通する開口を備えたタンクと、前記開口の外部空間側に装着される蓋構造体とを備えた蓋付タンクであって、
前記蓋構造体は、
前記開口の外部空間側に装着された基体を有し、
前記基体が前記開口に通じる開口部を有し、
該基体に装着されて前記開口部を塞ぐ蓋体をさらに有し、
該蓋体と前記基体とがヒンジを介して接続されており、
該蓋体及び前記基体が、前記蓋体を前記基体に装着する際に互いに対向するように配される基体フランジ部と蓋フランジ部とをそれぞれ有し、
前記基体フランジ部と前記蓋フランジ部とのそれぞれがフェルール形状を有し、
前記基体フランジ部に前記蓋フランジ部を固定して前記蓋体を前記基体に装着するためのフェルールクランプをさらに備えている蓋付タンク。
【請求項8】
内部空間と外部空間とを連通する開口を備えたタンクと、前記開口の外部空間側に装着される蓋構造体とを備えた蓋付タンクであって、
前記タンクが、収容物を収容するタンク本体と、該タンク本体より管状に延びる管状部とを有し、該管状部の先端に前記開口が設けられ、且つ、少なくとも前記管状部にはグラスライニングが施されており、
前記蓋構造体は、
前記開口の外部空間側に装着された基体を有し、
該基体が前記管状部に装着されており、
前記基体が前記開口に通じる開口部を有し、
該基体に装着されて前記開口部を塞ぐ蓋体をさらに有し、
該蓋体及び前記基体が、前記蓋体を前記基体に装着する際に互いに対向するように配される基体フランジ部と蓋フランジ部とをそれぞれ有し、
前記基体フランジ部と前記蓋フランジ部とのそれぞれがフェルール形状を有し、
前記基体フランジ部に前記蓋フランジ部を固定して前記蓋体を前記基体に装着するためのフェルールクランプをさらに備えている蓋付タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋構造体及び蓋付タンクに関し、より詳しくは、内部空間と外部空間とを連通する開口を備えたタンクに装着される蓋構造体と、該蓋構造体を備えた蓋付タンクとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体や液体などの流動体を収容するためのタンクとして種々の形態のものが用いられている。
この種のタンクは、収容物を単に収容するだけでなく、複数の材料を混合するための攪拌装置や材料を熱や薬剤で反応させるための反応装置などにも用いられている。
【0003】
上記のような用途では、収容物の混合の程度を確認すべく収容物のサンプリングを行ったり、一部の材料をタンク内に後から添加したりできるように開口を有するタンクが用いられたりしている。
このような開口が開放状態のままではタンク内への異物の混入を許す原因ともなりかねないため、上記のような場合には、前記開口の一部を塞いだり、或いは、前記開口を完全に塞いだりするための蓋構造体が装着され、該蓋構造体と前記タンクとで蓋付タンクを構成させるようなことが行われている。
このような蓋付タンクに関し、例えば、下記特許文献1には、複数のクランプで蓋をタンク開口部に固定するように構成された蓋付タンクが開示されている(段落0029など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に示されているように従来の蓋付タンクは、蓋体で塞ぐ開口の周囲にフランジ構造を形成させるなどした上で複数のボルトやクランプで蓋体の固定が行われているため開閉にともなう操作が煩雑であるという問題を有している。
そこで、本発明では、このような問題を解決すべく開閉容易な蓋構造体を提供し、ひいては蓋付タンクの開閉操作を容易にさせることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明は、
内部空間と外部空間とを連通する開口を備えたタンクに装着される蓋構造体であって、
前記開口の外部空間側に設けられる基体を有し、
前記基体が前記タンクの前記開口に通じる開口部を有し、
該基体に装着されて前記開口部を塞ぐ蓋体を備え、
該蓋体及び前記基体には、前記蓋体を前記基体に装着する際に互いに対向するように配される基体フランジ部と蓋フランジ部とがそれぞれ備えられ、
前記基体フランジ部と前記蓋フランジ部とのそれぞれがフェルール形状を有し、
前記基体フランジ部に前記蓋フランジ部を固定して前記蓋体を前記基体に装着するためのフェルールクランプがさらに備えられている蓋構造体、
を提供する。
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明は、また、
内部空間と外部空間とを連通する開口を備えたタンクと、前記開口の外部空間側に装着される蓋構造体とを備えた蓋付タンクであって、
前記蓋構造体は、
前記開口の外部空間側に装着された基体を有し、
前記基体が前記開口に通じる開口部を有し、
該基体に装着されて前記開口部を塞ぐ蓋体をさらに有し、
該蓋体及び前記基体が、前記蓋体を前記基体に装着する際に互いに対向するように配される基体フランジ部と蓋フランジ部とをそれぞれ有し、
前記基体フランジ部と前記蓋フランジ部とのそれぞれがフェルール形状を有し、
前記基体フランジ部に前記蓋フランジ部を固定して前記蓋体を前記基体に装着するためのフェルールクランプをさらに備えている蓋付タンク、
を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フェルールクランプでの開閉が可能な蓋構造体や、該蓋構造体を備えた蓋付タンクが提供されるため、開閉容易な蓋構造体や蓋付タンクが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る蓋付タンクを示した概略正面図。
【
図2a】第1実施形態に係る蓋構造体の概略上面図。
【
図2b】第1実施形態に係る蓋構造体の概略断面図(
図2aのA-A線矢視断面図)。
【
図3a】第2実施形態に係る蓋構造体の概略上面図。
【
図3b】第2実施形態に係る蓋構造体の概略断面図(
図3aのB-B線矢視断面図)。
【
図5a】第3実施形態に係る蓋構造体の概略上面図。
【
図5b】第3実施形態に係る蓋構造体の概略断面図(
図5aのC-C線矢視断面図)。
【
図6a】第4実施形態に係る蓋構造体の概略上面図。
【
図6b】第4実施形態に係る蓋構造体の概略断面図(
図6aのD-D線矢視断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における蓋付タンクを示したもので、以下においては、本実施形態の蓋付タンク1がグラスライニングの施されたグラスライニング容器である場合を例にして本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
まず、蓋付タンク1について説明する。
本実施形態の蓋付タンク1は、タンク10と、蓋構造体20とを備えている。
前記タンク10は、内部空間と外部空間とを連通する開口を有している。
即ち、前記タンク10は、収容物を混合したりする際に混合の程度を確認すべく収容物のサンプリングを行ったり、一部の材料をタンク内に後から添加したりできるように開口を有している
前記蓋構造体20は、前記タンク10の開口を塞ぐための蓋体と、該蓋体を前記タンク10に装着する際のベースとなる基体とを備えている。
【0012】
前記タンク10は、収容スペースを画定するタンク本体11が、上下に分割可能になって備えられており、下方部分が有底筒状となっている。
該タンク本体11の下部には、タンク10の底となる底壁部11aと、該底壁部11aの外周縁より筒状になって立ち上がる周側壁部11bとが備えられている。
前記タンク本体11の上部は、前記周側壁部11bの上部開口を上方から閉塞するように設けられた天壁部11cを備えている。
本実施形態の前記タンク10は、該天壁部11cから上方に延びる管状部12をさらに有している。
【0013】
本実施形態における前記周側壁部11bは、30cm以上の内径(直径)を有する円筒状である。
前記周側壁部11bの内径は、通常、3m以下とされる。
なお、本実施形態のタンク10は、その形状や大きさが特に限定されるものではなく、前記周側壁部11bが45cm以上の内径を有する円筒状であっても、60m以上の内径を有する円筒状であってもよい。
前記周側壁部11bは、角筒状などであってもよい。
本実形態のタンク10は、縦型である必要はなく横型であってもよい。
本実施形態のタンク10は、通常、前記タンク本体の容量が100L以上100kL以下とされ得る。
【0014】
本実施形態における前記タンク10は、上下方向に貫通する貫通孔が前記天壁部11cに形成され、該貫通孔から前記タンク10の外部空間側に管状となって延びる前記管状部12を有している。
前記タンク10は、前記周側壁部11bの中心部を通って垂直方向に延びる中心軸CLに対して並行するように上方に延びる第1管状部12aと、前記中心軸に対して傾斜して上方に延びる第2管状部12bとを備えている。
前記第1管状部12a及び前記第2管状部12bは、水平方向における位置が前記中心軸CLと前記周側壁部11bとの間に位置するように配されている。
前記第2管状部12bは、前記第1管状部12aとは前記中心軸CLを介して反対側となる位置に設けられ、上方に向かうに従って前記中心軸CLから離れるように傾斜した状態で備えられている。
【0015】
前記第1管状部12aと前記第2管状部12bとのそれぞれは、上端部と下端部とが開口しており、前記下端部は前記天壁部11cの内面において開口している。
即ち、前記タンク10は、その内部空間と外部空間とを連通状態にさせる開口を前記第1管状部12aと前記第2管状部12bとの上端部に備えている。
【0016】
本実施形態の前記タンク本体11は、前記底壁部11aと前記周側壁部11bとが一体不可分となった一体成形品であり、鋼製容器の内表面及び外表面にグラスライニングが施されて形成されている。
本実施形態では、前記天壁部11c、前記第1管状部12a、及び、前記第2管状部12bが一体不可分となった一体成形品であり、該一体成形品は、前記タンク本体11の下部と同様にグラスライニングが施された鋼製品である。
【0017】
本実施形態の前記タンク10は、前記底壁部11aと前記周側壁部11bとの一体成形品である有底筒状の容器に前記天壁部11cと前記管状部12との一体成形品である蓋が施された状態となっており、前記天壁部11cの外周縁部が前記周側壁部11bの上端部に複数のクランプ50で固定されることによって形成されている。
【0018】
本実施形態の前記第1管状部12aは、前記天壁部11cから管状に延びる管体(以下、「第1管本体12a1」ともいう)と、該第1管本体12a1の上端部より径方向外向きに延びるフランジ(以下、「第1管フランジ12a2」ともいう)とを備えている。
本実施形態の前記第2管状部12bは、前記天壁部11cから管状に延びる管体(以下、「第2管本体12b1」ともいう)と、該第2管本体12b1の上端部より径方向外向きに延びるフランジ(以下、「第2管フランジ12b2」ともいう)とを備えている。
本実施形態の前記管体(12a1,12b1)は、いずれも円筒状で前記フランジ(12a2,12b2)はいずれも円環状である。
【0019】
本実施形態における前記第1管状部12aには、前記第1管フランジ12a2と対向するフランジを有する配管30が接続されている。
本実施形態における前記第1管フランジ12a2は、前記配管30のフランジ(以下「配管フランジ31」ともいう)とともに継手構造体を構成している。
【0020】
本実施形態における前記第2管状部12bには、前記蓋構造体20が装着されている。
【0021】
以下に、
図2a、
図2bなどを参照しつつ、蓋構造体に係る第1の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る前記蓋構造体20は、前記第2管本体12b1の先端部における前記開口の外部空間側に装着されて当該蓋構造体20のベースとなる基体210を備えている。
前記蓋構造体20は、前記基体210とともに該基体210に装着される蓋体220を備えている。
本実施形態の前記基体210と前記蓋体220とのそれぞれには後段において詳述するようにフェルール形状を有するフランジ部が備えられており、前記基体210に対する前記蓋体220の固定をフェルールクランプによって実施し得るように構成されている。
【0022】
前記蓋構造体20の前記基体210は、前記内部空間から前記外部空間への連通路を構成し、該連通路の出口となる開口部210aを備えている。
本実施形態での前記基体210は、扁平な円筒状となった基体本体部211を有し、該基体本体部211の一端側に前記開口部210aを有しており、該開口部210aより径方向外向きに延びる基体フランジ部212をさらに有している。
即ち、本実施形態における前記基体フランジ部212は円環状である。
【0023】
前記蓋構造体20は、前記のように前記基体210とともに当該蓋構造体20を構成する蓋体220をさらに有している。
前記蓋体220は、前記基体210の前記開口部210aを開閉自在に閉塞するために前記蓋構造体20に備えられている。
前記蓋体220は、前記開口部210aの一部又は全体を塞ぐように設けられており、本実施形態においては前記開口部全体を塞ぐように設けられている。
本実施形態での前記蓋体220は、前記基体に当接されて前記開口部210aを閉塞する蓋本体部221と、前記開口部210aを閉塞状態にする際に前記基体フランジ部212に対向するように配される蓋フランジ部222とを有している。
前記蓋構造体20は、さらにフェルールクランプ230とガスケット240とを有している。
【0024】
前記蓋構造体20についてさらに詳細に説明する。
尚、以下の蓋構造体の説明においては、前記連通路を通じて内部空間から外部空間へと向かう方向を第1方向と称し、該第1方向とは逆向きとなる方向(タンク内に向かう方向)を第2方向と称することがある。
また、以下においては、前記第1方向のことを上方と称し、前記第2方向のことを下方と称することがある。
さらに、以下においては、前記第1方向や前記第2方向に直交する平面に沿って前記第2管状部12bの中心軸から離れる方向や前記中心軸に向かう方向のことを径方向と称することがある。
そして、以下においては、前記中心軸から離れる方向を外方や外向きなどと称し、前記中心軸に向かう方向を内方や内向きなどと称することがある。
また、以下においては、前記中心軸周りに周回する方向のことを周方向と称することがある。
【0025】
本実施形態の前記蓋構造体20は、前記開口の外部空間側に前記基体210を装着することによって前記連通路が形成されるように構成されており、前記装着によって前記タンク10の内部空間から外部空間に向かう前記第1方向において前記開口に続く前記連通路が形成されるように構成されている。
【0026】
本実施形態の前記蓋構造体20は、前記基体210に対して前記蓋体220が装着されることによって前記蓋体220で前記開口部210aが閉塞状態となるように構成されている。
即ち、本実施形態の前記蓋構造体20は、前記基体210に対して前記蓋体220が装着されることによって前記連通路を通じた内部空間と外部空間との連通を阻止し得るように構成されている。
【0027】
本実施形態の前記蓋構造体20は、前記基体210に対する前記蓋体220の装着を解除することによって前記開口部210aが開放状態となるように構成されている。
即ち、本実施形態の前記蓋構造体20は、前記基体210に対する前記蓋体220の装着が解除されることによって前記連通路による内部空間と外部空間との連通が確保され得るように構成されている。
【0028】
前記基体フランジ部212の外周縁に沿った輪郭形状は円形で、前記蓋フランジ部222の外周縁に沿った輪郭形状は円形であり、該蓋フランジ部222と前記基体フランジ部212とのそれぞれは、前記蓋体220で前記開口部210aを閉塞した状態において前記輪郭形状が揃った状態となるように形成されている。
そして、本実施形態における前記基体210への前記蓋体220の装着には、フェルールフランジとフェルールクランプとによる締結手段が利用されている。
【0029】
前記基体フランジ部212と前記蓋フランジ部222とのそれぞれは、フェルール形状を有し、フェルールフランジ構造となっている。
即ち、前記蓋構造体20は、前記蓋体220で前記開口部210aを閉塞した状態において前記基体フランジ部212と前記蓋フランジ部222とを合わせた形状が算盤玉形状となるように形成されている。
【0030】
より詳しく述べると前記蓋体220で前記開口部210aを閉塞した状態において互いに対向した配置となる前記基体フランジ部212の上面側と前記蓋フランジ部222の下面側とは、前記基体210と前記蓋体220との接合面を含む仮想平面VPに対して、それぞれは平行するように形成されているが、前記接合面とは反対側となる前記基体フランジ部212の下面側と前記蓋フランジ部222の上面側とのそれぞれは仮想平面VPに対して傾斜する傾斜面となっている。
【0031】
前記基体フランジ部212の傾斜面は、径方向外側に向けて先上りするように傾斜しており、前記蓋フランジ部222の傾斜面は、径方向外側に向けて先下がりするように傾斜している。
言い換えると前記基体フランジ部212の傾斜面及び前記蓋フランジ部222の傾斜面は、それぞれ径方向外側に向かうに従って前記接合面に近づくように構成されている。
【0032】
本実施形態における前記フェルールクランプ230は、円環状となって閉じた第1状態と、円環を開いた第2状態とに切り替え可能であるとともに、前記第1状態においては更に周長を変更し得るように構成されている。
前記フェルールクランプ230は、周長を変更するための締付具231を備えている。
より詳しく説明すると、前記フェルールクランプ230は、前記蓋体220で前記開口部210aを閉塞した状態において前記基体フランジ部212及び前記蓋フランジ部222の外周に巻掛け得る長さを有し、前記接合面に対して垂直方向に見た際に前記基体フランジ部212や前記蓋フランジ部222の外周縁が描く円形よりも径大な円形状に配置可能であるとともに前記締付具231によって径を縮小し得るように構成されている。
【0033】
前記フェルールクランプ230は、前記締付具231によって径を縮小する方向に応力が加えられた際に該応力を前記基体フランジ部212の傾斜面と前記蓋フランジ部222の傾斜面とのそれぞれに対して径方向内向きの応力として伝達し得るように構成されている。
そして、本実施形態における前記蓋構造体20は、前記基体フランジ部212の傾斜面と前記蓋フランジ部222の傾斜面とのそれぞれに対して外側から内側に向けて力が加えられることによって前記基体210と前記蓋体220とが接近する方向に前記力が作用し、これによって前記開口部210aを高い気密性で封止し得るように構成されている。
【0034】
本実施形態における前記蓋構造体20は、フェルールクランプ230の締め付けと締め付け解除とによって開口部210aの開閉を実施でき、複数のボルトナットなどでタンクへの蓋体の取り付けが行われている従来のものに比べて開閉操作が簡便である。
尚、蓋体の外周部に周方向に間隔を設けて配置した複数のボルトナットで当該蓋体をタンクに取り付ける場合、各ボルトナットの締め付け力を調整することで蓋体とタンクとの間に作用する圧力にバラツキが生じないようにすることができる。
一方で、フェルールクランプ230を用いる場合は、そのような部分的な圧力の調整を行うことが難しい。
しかしながら本実施形態においては、後述するように前記基体フランジ部212や前記蓋フランジ部222がリング状の別部材となっている。
より詳しくは、前記基体フランジ部212は、基体本体部211に外嵌されたリング状の別部材で構成され、前記蓋フランジ部222は、蓋板と別部材となったリング状の部材で構成されている。
そのために、フェルールクランプ230とこれらの傾斜面との接触圧力が場所によって異なる状況が生じたとしてもリング状の部材と蓋板や基体本体部211との間では縁が切れた状態となっているため、リング状の部材から蓋板や基体本体部211への圧力の伝播に際して圧力のバラツキが緩和され易い。
即ち、本実施形態においては、基体本体部211と蓋板との当接圧力が周方向において均等化され易い。
しかも、前記基体210においては、後述するようにリング状の部材に加えられた力が分割フランジを介して基体本体部211へと伝播されるように構成されているため、フェルールクランプ230と前記傾斜面との間に発生する圧力が周方向においてバラツキを生じたとしても基体本体部211と蓋板との当接圧力にはバラツキが生じ難い。
【0035】
ここで前記蓋構造体20を構成する前記基体210と前記蓋体220とのそれぞれについて説明する。
本実施形態における前記基体210は、内壁面によって前記連通路を画定する扁平筒状(リング状)の基体本体部211と、該基体本体部211に外嵌されて前記基体フランジ部212を構成する円環形状のテーパーリング212xとを備えている。
本実施形態における前記基体210では、前記フェルールフランジ構造となっている前記テーパーリング212xが、前記基体本体部211とは別部材となっている。
【0036】
本実施形態における前記基体本体部211は、樹脂リング211xによって構成されている。
本実施形態における前記樹脂リング211xは、特にその材質が限定されるべきものではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)などのフッ素樹脂が用いられてなる成形品とすることができる。
本実施形態における前記樹脂リング211xは、シリコン樹脂が用いられてなる成形品であってもよい。
【0037】
フッ素樹脂製の前記樹脂リング211xやシリコン樹脂製の前記樹脂リング211xは、他の一般的な樹脂を用いた場合に比べて優れた耐熱性と耐薬品性とを発揮し得る点において好適である。
前記樹脂リング211xは、耐摩耗性、硬度(弾性率)、破壊強度などの諸物性の調整を目的として、フッ素樹脂やシリコン樹脂などの樹脂とともにガラスファイバーやタルクなどの無機フィラーを含有してもよい。
前記樹脂リング211xは、顔料などのその他の添加剤を適宜含有してもよい。
【0038】
前記樹脂リング211xは、扁平な円筒形となっている。
前記樹脂リング211xの両端面の内の第1端面211aは、前記蓋体220に当接される面であり、その内周縁によって前記開口部210aを画定している。
本実施形態の前記樹脂リング211xは、前記第1端面211aとは逆の第2端面211bの側が平坦形状であるのに対して前記第1端面211aの側には、前記開口部210aを画定している内周縁と、外周縁との間を通って前記開口部210aの周りを周回する溝211dが設けられている。
該樹脂リング211xは、前記第2管フランジ12b2に対応した径を有し、前記第2端面211bを全周に亘って前記第2管フランジ12b2に面接触させ得る形状を有している
前記蓋構造体20の大きさは、前記溝211dに収容されたシーリング材としてOリングSLをさらに備えている。
【0039】
前記OリングSLは、ゴムなどの弾性体で構成されており、溝211dに収容させた状態において上端側の一部が溝211dからはみ出す形状を有している。
前記OリングSLは、蓋体220で開口部210aを閉塞させる際には、蓋板による押圧力で弾性変形して溝内に収容されるよう形成されている。
即ち、前記樹脂リング211xは、第1端面211aが前記蓋体220に当接される際により強く前記蓋体220に当接されて前記蓋体220との間に強固なシール面を構成し得るように備えられている。
【0040】
前記樹脂リング211xは、下方外側の角部において外向きに突出する凸部211cが設けられている。
前記凸部211cは、樹脂リング211xの第2端面211bの外周縁部を周回するように設けられ全周に亘って設けられている。
【0041】
前記樹脂リング211xに外嵌される前記テーパーリング212xの両面の内の第1面は、前記樹脂リング211xの第1端面211aとともに前記蓋体220に当接される面であり、前記仮想平面VPに対して平行となっている。
前記テーパーリング212xの第1面とは逆側の第2面は、前記フェルールクランプ230によって内向きに応力が加えられる前記傾斜面となっている。
前記テーパーリング212xは、特にその材質が限定されるべきものではないが、金属製であることが好ましく、ステンレススチール製であることが好ましい。
該テーパーリング212xが金属製であることで、該テーパーリング212xがセラミックス製やグラスライニング品であるような場合に比べて前記第1面や前記第2面を精密に加工し易くなるという効果を奏する。
【0042】
本実施形態における前記テーパーリング212xの第2面側の内側の角部には前記樹脂リング211xの凸部211cに対応した形状を有する段差212x1が形成されている。
該段差212x1は、前記樹脂リング211xの凸部211cと係合し、前記樹脂リング211xに外嵌した際に前記樹脂リング211xの第1端面211aが必要以上に前記第1面よりも突出しないように設けられている。
【0043】
本実施形態における前記基体210は、前記基体フランジ部212とは別に分割フランジ213xによって構成された分割フランジ部213をさらに有している。
前記分割フランジは、複数の分割片によって構成されており、該分割片が合体して円環状となるように構成されている。
本実施形態における前記基体210は、該分割フランジ213xによって前記タンク10の前記天壁部11cから管状となって上方に延びる前記第2管状部12bに着脱自在に装着し得るように構成されている。
前記分割フランジ213xは、前記のように分割されていない状態において円環状となるように構成されており、その内径が前記第2管状部12bの前記第2管本体12b1よりも径大で、且つ、前記第2管状部12bの前記第2管フランジ12b2よりも径小となるように構成されている。
即ち、本実施形態における前記基体210は、分割フランジ213xのみによって前記第2管状部12bに固定され得るようにはなっておらず、該分割フランジ213xは前記第2管状部12bの外周面と当該分割フランジ213xの内周面との間に遊び(クリアランス)を設けて嵌まるように構成されている。
【0044】
本実施形態の前記基体210は、前記第2管状部12bに対して遊嵌させた状態となった前記分割フランジ部213と前記基体フランジ部212とを連結する連結具として連結ボルト214をさらに備えている。
該連結ボルト214は、前記分割フランジ部213と前記基体フランジ部212との間に距離を設けてこれらを連結するとともにこれらの間の距離を調整し得るように設けられている。
従って、本実施形態の前記基体210は、前記分割フランジ部213と前記基体フランジ部212との間にタンク10の第2管フランジ12b2を挟み込んで前記第2管状部12bに固定されるべく構成されている。
【0045】
本実施形態の前記基体210は、前記開口部210aの開閉のために前記分割フランジ213xを脱着させる必要性はない。
そのため、本実施形態の前記基体210は、前記分割フランジ213xで前記第2管本体12b1に対して直接的に固定させるようにしても前記第2管本体12b1に頻繁に締め付け力を加えたり締め付け力を解除したりする必要性はない。
しかし、内外両面にグラスライニングが施されている前記第2管本体12b1に対して強い締め付け力を作用させることは好ましいことではなく、前記分割フランジ213xは、上記のようにして前記第2管状部12bに遊嵌させることが好ましい。
【0046】
本実施形態における前記蓋構造体20は、前記第2管本体12b1から前記開口部210aへと至るまでの間に高い気密性を保たせ得るように第2管フランジ12b2に対応した大きさを有する円環状の前記ガスケット240を介して前記基体210が前記第2管状部12bに装着されている。
即ち、本実施形態における前記蓋構造体20は、前記タンク10の前記第2管状部12bに設けられた第2管フランジ12b2の上面と前記樹脂リング211xの第2端面212bとの間に介挿された状態で前記ガスケット240が備えられている。
【0047】
本実施形態における前記蓋構造体20は、上面視(第2方向視)において前記第2管フランジ12b2、前記ガスケット240、及び、前記樹脂リング211xよりも外側にはみ出した部分を有する前記分割フランジ213xが用いられ、これらの外側で前記分割フランジ213xと前記基体フランジ部212とが複数の前記連結ボルト214で連結されている。
本実施形態における前記連結ボルト214は、前記開口部210aの周りを周回する方向(周方向)に等間隔で配されている。
そして、本実施形態における前記蓋構造体20では、前記連結ボルト214を締め付けると前記分割フランジ213xが前記第2管フランジ12b2に係合して当該分割フランジ213xの側から前記テーパーリング212xに向けて接近することができなくなるとともに前記テーパーリング212xを前記第2管フランジ12b2に接近させるように前記連結ボルト214の締め付け力が作用することになる。
【0048】
本実施形態において前記基体フランジ部212を構成する前記テーパーリング212xは、前記の通り前記樹脂リング211xの凸部211cと係合する段差212x1を有する。
従って、本実施形態における前記蓋構造体20は、さらに前記連結ボルト214を締め付けると前記テーパーリング212xを前記第2管フランジ12b2に接近させるように発生させた力が前記段差212x1における係合を通じて前記樹脂リング211xに伝達され、前記樹脂リング211xと前記第2管フランジ12b2との間に介挿された前記ガスケット240への圧縮力として機能する。
【0049】
本実施形態の前記基体210は、上記のようにして前記第2管状部12bに強固に固定され得る。
【0050】
前記基体210とともに前記蓋構造体20を構成する前記蓋体220は、前記タンク10の内部空間から外部空間に向けた方向において前記基体210の基体本体部211の延長線上に位置する蓋本体部221と、該蓋本体部221に外嵌されて前記蓋フランジ部222を構成する円環形状のテーパーリング222xとを備えている。
本実施形態における前記蓋体220では、少なくとも前記フェルールフランジ構造となっている前記テーパーリング222xは、前記蓋本体部221と別部材となっている。
【0051】
前記蓋体220は、前記基体本体部211の開口を外部空間の側から閉塞して、前記基体210の前記開口部210aを閉塞状態にするためのする蓋板221aと、該蓋板221aの外周縁部を保持する円環状のフレーム221bとを備えている。
前記蓋本体部221は、前記フレーム221bとは反対側(内部空間側)より前記蓋板221aに当接され前記フレーム221bとともに前記蓋板221aを保持するための金属製リング221xをさらに備えている。
【0052】
本実施形態における前記フレーム221bは、前記蓋板221aの外周縁部に外部空間の側から当接され、当該蓋板221aの外周縁部において前記蓋板221aを保持すべく内周縁に沿った内側輪郭形状が前記蓋板221aよりも小さい。
前記金属製リング221xは、平面視における大きさが前記フレーム221bと共通した円環状であり、前記フレーム221bとの間に前記蓋板221aの外周縁部を所定幅を設けて挟み込むように構成されている。
【0053】
本実施形態の前記蓋体220は、前記蓋板221aと前記蓋本体部221との間に介挿された円環状の蓋体ガスケット224をさらに備えている。
本実施形態の前記蓋体220は、前記フレーム221bと前記金属製リング221xとを連結する連結具を備えており、該連結具として複数の連結ボルト226を備えている。
前記連結ボルト226は、外周に螺子山の形成された軸部と、該軸部よりも太い頭部とを有し、前記頭部を前記軸部の一端側に備えている。
前記フレーム221bは、前記連結ボルト226の頭部を収容可能な大きさとなった複数の凹部221rを有している。
前記凹部221rは、前記フレーム221bの上方に開口するように形成されており、該凹部221rの底には前記連結ボルト226の軸部よりも太く頭部よりも細い貫通孔(図示せず)が形成されている。
前記フレーム221bと前記蓋本体部221との連結は、前記頭部を前記フレーム221bの貫通孔の周囲に係止させるとともに前記軸部の先端部を前記金属製リング221xに設けた螺子穴と螺合させることによって行われている。
【0054】
本実施形態の前記蓋体220での前記蓋本体部221の一部を構成する金属製リング221xは、特にその材質が限定されるべきものではないが、例えば、前記タンク10と同様にグラスライニングが施された鋼製品とすることができる。
本実施形態の前記金属製リング221xは、扁平な円筒形となっている。
前記金属製リング221xの両端面の内の第1端面221xaは、前記基体210の前記第1端面211aや前記OリングSLに当接されて環状のシール面を構成すべく設けられている。
本実施形態の前記金属製リング221xでの前記第1端面221xaとは逆側の第2端面221xbは、前記蓋体ガスケット224が当接される面となっている。
【0055】
本実施形態の前記金属製リング221xの外周縁部には、前記第1端面221xaの側に外向きに突出した凸部221x1を有している。
【0056】
前記金属製リング221xに外嵌される前記テーパーリング222xは、その両面の内の第1面が前記金属製リング221xの第1端面221xaとともに前記基体210に当接される面となっており、前記仮想平面VPに対して平行となるように形成されている。
前記テーパーリング222xの第1面とは逆側の第2面は、前記フェルールクランプ230によって内向きに応力が加えられる前記傾斜面となっている。
前記テーパーリング222xは、基体210のテーパーリング212x(以下、「第1テーパーリング」ともいう)と同様に特にその材質が限定されるべきものではないが、金属製であることが好ましく、ステンレススチール製であることが好ましい。
第1テーパーリング212xと同様に蓋体側の前記テーパーリング222x(以下、「第2テーパーリング」ともいう)が金属製であることで、当該第2テーパーリング222xがセラミックス製であるような場合に比べて前記第1面や前記第2面を精密に加工し易くなるという効果を奏する。
【0057】
本実施形態の前記第2テーパーリング222xは、前記第1テーパーリング212xと同様に内周側の角部に段差222cが形成されている。
前記第2テーパーリング222xは、第1面側の内周縁部に前記段差222cが形成されている。
前記段差222cは、他の部位よりも前記第1方向(上方)に向けて一段下がった状態となって形成され、金属製リング221xの前記凸部221x1と係合するよう形成されている。
【0058】
本実施形態の前記蓋体220は、前記フェルールクランプ230で前記基体210に装着された際に、当該フェルールクランプ230に加わる締め付け力が前記第2テーパーリング222xに加わって当該第2テーパーリング222xを下方へ移動させる力となり、該力が前記段差222cで前記金属製リング221xへと伝達される。
そして、前記蓋体220は、基体210の樹脂リング211xに当接するよう配置された前記金属製リング221xが下向きに押圧されることで樹脂リング211xとの間に良好なシール性を発揮することとなる。
【0059】
このとき、ガスケット240、樹脂リング211x、金属製リング221x、及び、蓋体ガスケット224などともに前記蓋板221aは、タンク内の収容物が付着する状況で前記蓋体220を構成している。
そのため、前記蓋板221aは、耐食性や耐熱性に優れた材質であることが好ましい。
前記蓋板221aは、外部空間側より内部空間を視認可能とすべくガラス板などで構成させることができる。
【0060】
このことで、タンク内に対して何らかのアクセスが必要になったことを前記ガラス板を通じていち早く確認することができるようになる。
【0061】
本実施形態の前記蓋構造体20は、前記基体210に一端部が接続された第1アームH1と前記蓋体220に一端部が接続された第2アームH2とが他端部どうしで連結され、且つ、該連結されている箇所を軸にして前記第1アームH1と前記第2アームH2とが軸周りに回動自在となっているヒンジHを介して前記基体210と前記蓋体220とが接続されている。
【0062】
前記第1アームH1の前記一端部は、前記分割フランジ部213に固定されており、前記第2アームH2の前記一端部は、前記蓋フランジ部222、前記蓋本体部221、及び、前記フレーム221bの内の1以上に固定されている。
前記第1アームH1は、側面視における形状がL字状となっており、前記基体210での固定箇所より前記開口部210aの径方向外側に向けて延びる外向部と、該外向部の外方端部より上方に向けて延びる上向部とを備えている。
即ち、前記第1アームH1は、フック形状となっている。
本実施形態における前記第1アームH1は、前記フェルールクランプ230の取り付けられる基体フランジ部212よりもタンク側に固定されているため、前記フェルールクランプ230を緩めてフェルール継手構造を解除した際に前記フェルールクランプ230が不用意に落下してしまうことを抑制することができる。
【0063】
本実施形態の前記蓋体220は、上記のようなことからタンク内への急なアクセスが必要になって前記開口部210aの閉塞を解除した状態においても脱落することがない。
【0064】
上記のように本実施形態における前記蓋構造体20は、内部空間と外部空間とを連通する開口を備えたタンクに装着される蓋構造体であって、前記開口の外部空間側に設けられる基体210を有し、前記基体210が前記タンク10の前記開口に通じる開口部210aを有し、該基体210に装着されて前記開口部210aを塞ぐ蓋体220を備え、該蓋体220及び前記基体210には、前記蓋体220を前記基体210に装着する際に互いに対向するように配される基体フランジ部212と蓋フランジ部222とがそれぞれ備えられ、前記基体フランジ部212と前記蓋フランジ部222とのそれぞれがフェルール形状を有し、前記基体フランジ部212に前記蓋フランジ部222を固定して前記蓋体を前記基体に装着するためのフェルールクランプ230がさらに備えられている。
【0065】
本実施形態における前記蓋構造体20は、上記のようにフェルールクランプ230の締め付けによって前記基体210に前記蓋体220を固定し得るように構成されているとともに前記フェルールクランプ230の締め付け解除によって前記固定を解除し得るように構成されているため簡便な操作によって前記開口部210aの開閉を実施し得る。
【0066】
本実施形態においては、フェルールフランジ構造を高い寸法精度で形成させ易い点において、前記基体210は、前記タンク10の前記開口から該基体210の前記開口部210aまでの連通路を構成する扁平筒状の基体本体部211と、該基体本体部211の前記開口部210aより径方向外向きに延びる前記基体フランジ部212とを有し、該基体フランジ部212と前記基体本体部211とがそれぞれ別の部材で構成されているが、前記基体フランジ部212と前記基体本体部211とは必ずしも別部材でなく一体成形品であってもよい。
【0067】
本実施形態においては、シール面を構成する前記基体本体部211の先端部に対して優れた加工性を賦与し得るとともに優れた耐熱性や耐薬品性を発揮させ得る点において、前記基体本体部211は、少なくとも前記開口部210aを構成する部分がフッ素樹脂製又はシリコン樹脂製となっているが、基体本体部211の材質は特にこれらに限定されるものではない。
【0068】
本実施形態においては、高温での熱処理によって歪みが生じやすく、思い通りの寸法精度を発揮させ難いグラスライニング製品に対しても装着容易であることから、装着する相手材としてグラスライニング製のタンクを例示している。
より具体的には、本実施形態においては、前記タンク10が、収容物を収容するタンク本体11と、該タンク本体11より管状に延びる管状部12を有し、該管状部12の先端に前記開口が設けられ、且つ、少なくとも前記管状部12にはグラスライニングが施されており、前記基体210が該管状部12に装着されるよう構成されている蓋構造体20を例示している。
しかしながら、本実施形態の蓋構造体20の装着されるタンク10は、必ずしもグラスライニング製でなくてもよい。
【0069】
本実施形態においては、前記管状部に対する脱着が容易である点において前記基体210が前記管状部12に装着される分割フランジ213xをさらに有し、該分割フランジ213xによって前記基体210が前記管状部に装着されるような態様を例示しているが本実施形態の蓋構造体は、分割フランジを有していなくてもよい。
【0070】
即ち、本実施形態の蓋構造体20や蓋付タンク1は、上記例示のものに何等限定されるものではない。
この点に関し、以下に他の実施の形態について説明する。
【0071】
(第2実施形態)
図3a、
図3bは、第2実施形態に係る蓋構造体20を示した図である。
この第2実施形態の蓋構造体20は、蓋体220の部分が第1実施形態と異なっているだけで、それ以外は第1実施形態と共通している。
前記の第1実施形態では、前記開口部210aを閉塞状態にさせる際に基体本体部211の樹脂リング211xとともにシール面を構成する蓋本体部221の部材として金属製リング221xが採用されていたが、この第2実施形態に係る蓋構造体20は、
図3a、
図3bに示すように金属製リング221xが採用されていない。
【0072】
ここで
図4には、第2実施形態の蓋構造体20を分解した状態が示されている。
この
図4からもわかるように、第2実施形態に係る蓋構造体20は、第1実施形態に係る蓋構造体20に比べて構造がシンプルで軽量化が容易になっている。
【0073】
第1実施形態に係る蓋構造体20では、前記フレーム221bの上方に開口するように形成された凹部221rに前記連結ボルト226の頭部を収容し、当該連結ボルト226でフレーム221bと金属製リング221xとを連結してこれらの間に蓋板221aを挟み込んで固定していたが、第2実施形態に係る蓋構造体20は、テーパーリング222xの内径を蓋板221aの外径よりも一回り大きくしてテーパーリング222xの内側に前記蓋板221aを収容させるようにしている。
しかも、第2実施形態に係る蓋構造体20は、テーパーリング222xの下面側の内側の角部に内側へと突出した凸部222x1を設け前記フレーム221bが当接される側(外部空間側)とは反対側(内部空間側)から前記凸部222x1を前記蓋板221aの外周縁部に当接させて当該蓋板221aを支持させるようにしている。
そして、第2実施形態に係る蓋構造体20は、フレーム221bとテーパーリング222xとを連結ボルト226で固定し、フレーム221bの内周縁部と前記テーパーリング222xの内周縁部と前記蓋板221aの外周縁部を挟み込んで当該蓋板221aをこれらで保持させるようにしている。
【0074】
第2実施形態に係る蓋構造体20での前記フレーム221bと前記テーパーリング222xとの固定には、前記フレーム221bにボルト頭部を収容するための凹部221rを設けず単に連結ボルト226の軸部が挿通可能な貫通孔を形成し、前記頭部をフレーム221bの上面よりも上方に突出させている。
従って、第2実施形態に係る蓋構造体20は、フレーム221bの厚さを第1実施形態よりも薄くすることができるため、蓋構造体20の軽量化を図ることができる。
【0075】
第1実施形態においては蓋板221aよりも上方に位置する前記フレーム221bにおいて凹部221rを設けたことから、この蓋板221aよりも上方部分での前記フレーム221bの径方向における幅を凹部221rの大きさ以上に確保する必要がある。
一方で、第2実施形態に係る蓋構造体20では、連結ボルトの軸部を挿通可能な貫通孔のみを設ければよいことから径方向におけるフレーム221bの形成幅を小さくすることができる。
そのことにより、フレーム221bの内側の開口面積を大きく確保することができ、蓋板221aをガラス板とする場合に、内部を視認させ易くすることができる。
【0076】
第2実施形態に係る蓋構造体20は、蓋板221aが直接的に基体側の樹脂リング211xに当接されている。
この第2実施形態に係る蓋構造体20では、蓋板221aが開口部210aの全体を覆うように樹脂リング211xに当接されているため、蓋板221aをガラス板とすることで内部空間に対する良好な視認性が第1実施形態に比べて確保され易い。
【0077】
第2実施形態に係る蓋体220は、前記開口部210aを塞ぐために前記開口部210aに対向するように配される蓋板221aと、該蓋板221aに外部空間側から当接され、前記蓋板221aの外周縁部において前記蓋板221aを保持するフレーム221bとを備えており、前記蓋板221aで塞がれた前記開口部210aを外部空間側から視認し得るように前記蓋板221aがガラス板によって構成されており、且つ、該開口部210aの全体を外部空間側から視認し得るように前記ガラス板が前記開口部210aよりも大きく、前記フレーム221bが前記ガラス板を保持する箇所が前記開口部210aよりも径方向外側である。
そのため、前記蓋体220には、内部空間に対する良好な視認性が発揮され得る。
【0078】
第2実施形態に係る蓋体220は、ガラス板と樹脂リング211xとの当接状況が外部空間側から把握し易く、異物の噛み込みなどによってシールが不十分になったとしてもいち早く気付くことができるようになっている。
【0079】
このような観点から、前記蓋板221aをガラス板とする際には、前記OリングSLまでもが視認できるようにフレーム221bの大きさを調整することが好ましい。
但し、フレーム221bによる蓋板221aの保持が、前記OリングSLを収容した溝211dよりも外側で行われると、前記OリングSLと前記ガラス板(蓋板221a)との間に圧力を作用しにくくなるため、フレーム221bによるガラス板の保持は前記溝211dの外周縁よりも内側に達する範囲までとされることが好ましく、前記溝211dを完全に多いながらも前記ガラス板を通して斜めに見れば前記溝211dが確認できる範囲とすることがより好ましい。
【0080】
次いで、蓋構造体20に係るさらに別の態様について説明する。
(第3実施形態)
前記フレーム221bの固定は、例えば、
図5a、
図5bに示すように前記フレーム221bの側ではなく、当該フレーム221bを固定する相手側に前記連結ボルト226’の頭部が来るようにしてもよい。
図5a、
図5bは、第3実施形態に係る蓋構造体20を示したもので蓋体220の部分だけが第1実施形態と異なっている点については第2実施形態と同じである。
【0081】
この第3実施形態に係る蓋構造体20は、前記フレーム221bの下面側に連結ボルト226’の軸部の先端と螺合可能な螺子穴を設け、テーパーリング222xの方に連結ボルト226’の頭部を係止させている。
そのことにより、第3実施形態に係る蓋構造体20は、前記フレーム221bの上面が平坦面となるので、当該蓋構造体20を清掃容易なものとすることができる。
即ち、第1実施形態に係るフレーム221bのように凹部を形成したり、第2実施形態に係るフレーム221bのように連結ボルト226の頭部を突出させたりすると埃などがたまり易くなり、付着物が生じたときも拭き取り難いのに対し、第3実施形態に係るフレーム221bは、付着物や溜まった埃などを拭き取り易くなっている。
【0082】
(第4実施形態)
フレーム221bの上面が平坦面で清掃容易となっている点については、
図6a、
図6bに示した蓋構造体20にも共通している。
図6a、
図6bは、第4実施形態に係る蓋構造体20を示したもので、該蓋構造体20での蓋体220は、これまでの実施形態におけるテーパーリング222xとフレーム221bとが一体化した形状となっている点でこれまでの実施形態に係る蓋構造体20と相違している。
即ち、第4実施形態に係る蓋構造体20では、フレーム221bがその外周縁部にフェルールフランジ構造を有している。
【0083】
第4実施形態に係る蓋構造体20では、一面側に蓋板221aよりも一回り大きく開口した蓋板収容凹部221bx’を前記フレーム221b’が有しており、前記フレーム221b’は、該蓋板収容凹部221bx’の底部中央(収容方向での底部の中央)に貫通孔221b1’が備えられ、前記蓋板収容凹部221bx’に収容した蓋板221aの中央部を他面側に露出させるよう形成されているとともに前記蓋板収容凹部221bx’の外周部より径方向外向きに延びるフランジ部221by’を有し、該フランジ部221by’が前記基体フランジ部212とともにフェルール継手構造を形成可能なフェルール形状を備えている。
【0084】
第4実施形態に係る蓋構造体20での前記フレーム221b’は、前記貫通孔221b1’が前記開口部210aよりも一回り大きく、前記蓋板221aをガラス板としたときに外部空間側から前記貫通孔221b1’を通じて前記開口部210aの全体が視認できるように構成されている。
また、前記フレーム221b’は、内部空間側から前記ガラス板の外周縁部に係合させて前記ガラス板を前記蓋板収容凹部内に保持させるための係止具227を内部空間側に装着可能となっている。
【0085】
この実施形態においては、蓋構造体20をよりシンプルな構成とすることができる。
しかも、これまでの実施形態では、テーパーリング222xとフレーム221bとの間に隙間などが形成されることがあり、該隙間に埃などが蓄積される可能性があるが、この実施形態に係る蓋構造体20では、そのような隙間の形成を回避できるため埃の付着を防ぐことができる。
【0086】
第4実施形態に係る蓋構造体20は、前記締付具231を緩めてフェルールクランプ230を外した際に当該フェルールクランプ230を載置するための受け器をさらに有している。
第4実施形態に係る蓋構造体20の受け器は、フェルールクランプ230よりもタンク側に位置して、径方向外向きに突出するように設けられた複数の突片250で構成されている。
該突片250は、突出方向先端部が上方に折り曲げられているとともに突出方向基端部が軸に固定されて当該軸周りに回動可能となっている。
さらに、前記突片250は、前記回動によって、第2方向視においてフェルールクランプ230よりも外側に突出した第1の状態(250A)と、フェルールクランプ230よりも内側に格納された第2の状態(250B)とを採り得るように構成されている。
該第2の状態(250B)では、前記突片250の少なくとも一部が、好ましくは全部がフェルールクランプ230よりも内側に格納される。
そのため、前記突片250は、必要に応じて格納できるため、受け器として利用しない時に周辺で作業をしている作業者の衣服などに不用意に引っ掛かってしまうことを抑制することができる。
【0087】
上記のようなことからも本発明の蓋構造体は、開閉操作を容易に実施することができる。
しかも、本発明の蓋付タンクには優れたメンテナンス性が発揮され得る。
【0088】
尚、蓋構造体20や蓋付タンク1の具体的な態様に関しては、上記のような特定の例示に何等限定されるものではなく各種の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0089】
1:蓋付タンク、10:タンク、11:タンク本体、11a:底壁部、11b:周側壁部、11c:天壁部、12:管状部、20:蓋構造体、50:クランプ、210:基体、210a:開口部、211:基体本体部、211c:凸部、211d:溝、211x:樹脂リング、212:基体フランジ部、212x:テーパーリング、212x1:段差、213:分割フランジ部、213x:分割フランジ、214:連結ボルト、220:蓋体、221:蓋本体部、221a:蓋板、221b:フレーム、221x:金属製リング、221x1:凸部、222:蓋フランジ部、222c:段差、222x:テーパーリング、224:蓋体ガスケット、226:連結ボルト、230:フェルールクランプ、231:締付具、240:ガスケット、CL:中心軸、H:ヒンジ、SL:Oリング、VP:仮想平面