(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】長尺体カバー固定具
(51)【国際特許分類】
F16L 3/00 20060101AFI20220623BHJP
F16L 3/23 20060101ALI20220623BHJP
F16L 57/00 20060101ALN20220623BHJP
【FI】
F16L3/00 D
F16L3/23
F16L57/00 A
(21)【出願番号】P 2019149778
(22)【出願日】2019-08-19
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2019075470
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】池辺 竜司
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-331077(JP,A)
【文献】特開2006-333621(JP,A)
【文献】特開平11-223293(JP,A)
【文献】実開昭61-193289(JP,U)
【文献】特開平11-101389(JP,A)
【文献】特開2012-246966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0252336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/00
F16L 3/23
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺体を沿わせて配置させる固定対象物の表面に、前記長尺体の延びる方向で間隔をおいて複数が配置され、前記長尺体を覆う長尺体カバーを保持することで、前記長尺体カバーを前記固定対象物の表面から浮かせて設置できる長尺体カバー固定具であって、
前記長尺体カバー固定具は、前記固定対象物に対して固定される基部と、
前記基部よりも前記固定対象物から離れた側に位置し、前記長尺体カバーを前記固定対象物の表面から離す脚部と、
前記脚部よりも前記固定対象物から離れた側に
、設置する前記長尺体カバーと前記脚部とに挟まれるように位置し、前記長尺体カバーを固定部材により固定する台座部と、を備え、
前記固定部材は前記台座部とは別体であって、かつ、前記長尺体カバーを固定する際に前記台座部に対して取り付けられ、
前記脚部は、前記基部よりも、前記固定対象物の表面に沿う方向であって、前記長尺体の延びる方向に対する直交方向での幅方向寸法が小さく形成されており、
前記基部のうち前記脚部に覆われない部分には、前記固定対象物に対してねじ込むことのできるねじが貫通する貫通穴が形成されている、長尺体カバー固定具。
【請求項2】
前記固定部材は、前記台座部に差し込まれることで前記固定がなされる差込部材であり、
前記台座部は、前記長尺体カバーにおいて前記固定対象物に近い側の背面に当接するカバー支持面と、差し込まれた前記差込部材を外れないように保持できる差込部材保持部と、を備える、請求項1に記載の長尺体カバー固定具。
【請求項3】
前記カバー支持面には、前記差込部材を前記台座部に差し込む際に当該差込部材を受容する差込部材用凹部が形成されている、請求項2に記載の長尺体カバー固定具。
【請求項4】
前記差込部材用凹部は、前記長尺体の延びる方向に沿って延びる溝である、請求項3に記載の長尺体カバー固定具。
【請求項5】
前記台座部の、前記幅方向の両端部から延長して形成され、前記長尺体カバーを外方から挟むカバー保持部を更に備え、
前記カバー保持部は、先端に内方に突出した爪部を備える、請求項1~4のいずれかに記載の長尺体カバー固定具。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の長尺体カバー固定具と、前記長尺体カバーの内面に沿って設けられる内側補強部材とを備え、
前記内側補強部材は、前記長尺体カバーよりも硬質な材料により形成されていて、前記固定部材により前記長尺体カバー固定具に固定される、長尺体カバー固定具セット。
【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載の長尺体カバー固定具と、前記長尺体カバーの外周に沿って取り付けられる、帯状の脱落防止部とを備え、
前記長尺体カバー固定具は、前記台座部の、前記幅方向の両端部から延長して形成され、前記長尺体カバーを外方から挟むカバー保持部を備え、
前記カバー保持部の内面に、前記脱落防止部が差し込まれて嵌合される凹溝が形成されている、長尺体カバー固定具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコン配管等の長尺体を覆って保護する長尺体カバーを建物の壁面等に固定する際に用いる長尺体カバー固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長尺体カバー固定具として、例えば特許文献1に記載の構成が提案されている。特許文献1に記載の長尺体カバー固定具は、長尺体カバーにおけるカバー本体部を把持する本体固定部と、カバー本体部に係止される蓋部材を把持する蓋部材固定部とからなる。そして、本体固定部は躯体(建築物)側への取付け部を備え、蓋部材固定部の両端部と本体固定部の両端部とを各端部別に連結する連結部を各両端部に備えている。
【0003】
しかし、この構成では、長尺体カバーにおけるカバー本体部は本体固定部により把持されているに過ぎない。このため、施工中にカバー本体部が長尺体カバー固定具から外れてしまうことがあって、スムーズな施工ができない場合があった。このため、施工性について改良の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、施工性の良い長尺体カバー固定具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、長尺体を沿わせて配置させる固定対象物に対して固定される基部と、前記基部よりも前記固定対象物から離れた側に位置し、前記長尺体を前記固定対象物の表面から離す脚部と、前記脚部よりも前記固定対象物から離れた側に位置し、前記長尺体を覆う長尺体カバーを固定部材により固定する台座部と、を備える、長尺体カバー固定具である。
【0007】
この構成によれば、カバーを固定部材により台座部に固定できる。このため、施工中にカバーが台座部から外れてしまうことがない。
【0008】
また、前記固定部材は、前記台座部に差し込まれることで前記固定がなされる差込部材であり、前記台座部は、前記長尺体カバーにおいて前記固定対象物に近い側の背面に当接するカバー支持面と、差し込まれた前記差込部材を外れないように保持できる差込部材保持部と、を備えることもできる。
【0009】
この構成によれば、固定部材が差込部材であることにより、固定部材を台座部へ簡単に固定できる。また、カバー支持面によりカバーを確実に保持できる。また、差込部材保持部により差込部材を確実に保持できる。
【0010】
また、前記カバー支持面には、前記差込部材を前記台座部に差し込む際に当該差込部材を受容する差込部材用凹部が形成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、長尺体カバーを貫通した差込部材を差込部材用凹部に導いて受容できるので、差込部材が幅方向にずれてしまいにくい。また、差込部材の先端がカバー支持面上で滑ることを抑制できるため作業性が良い。
【0012】
また、前記差込部材用凹部は、前記長尺体の延びる方向に沿って延びる溝であってもよい。
【0013】
この構成によれば、長尺体の延びる方向での自由度をもって差込部材を台座部に差し込むことができるので、作業性が良い。
【0014】
また、前記台座部の、前記固定対象物の表面に沿う方向であって、前記長尺体の延びる方向に対する直交方向の両端部から延長して形成され、前記長尺体カバーを外方から挟むカバー保持部を更に備えることもできる。
【0015】
この構成によれば、カバー保持部がカバーを挟んで保持するため、固定部材によりカバーを台座部に固定する前の状態でカバーを台座部に仮止めできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、施工中にカバーが台座部から外れてしまうことがない。このため、施工性の良い長尺体カバー固定具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る長尺体カバー固定具の適用例であって、長尺体がエアコンの冷媒配管等である場合を示す斜視図である。
【
図2】前記長尺体カバー固定具の使用例であって、構造物の表面に、長尺体カバー、ウォールコーナー、端末部材と共に設けられた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図2におけるIII-III矢視での拡大断面図である。
【
図5】前記長尺体カバー固定具を示す斜視図である。
【
図6】前記長尺体カバー固定具を、長尺体カバー、脱落防止部(脱落防止バンド)、差込部材(タッピンねじ)、内側補強部材と共に示す分解斜視図である。
【
図7】前記長尺体カバー固定具に対して、長尺体カバーにおけるベース部を仮止めした状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るウォールコーナーを示す底面図である。
【
図9】前記ウォールコーナーを構造物に取付けた状態を示す拡大縦断面図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に係る長尺体カバー固定具を示す斜視図である。
【
図11】本発明の他の実施形態に係る長尺体カバー固定具を示す正面図である。
【
図12】本発明の他の実施形態に係る長尺体カバー固定具を示す斜視図である。
【
図13】(a)は、本発明の一実施形態に係る長尺体カバー固定具の使用例であって、長尺体カバー、ウォールコーナー、端末部材を組み合わせた状態を示す斜視図である。(b)は前記状態を示す正面図である。
【
図14】(a)は前記状態を示す背面図である。(b)は同平面図である。
【
図15】(a)は前記状態を示す底面図である。(b)は同右側面図である。
【
図16】(a)は
図13(a)の13A-13A部の拡大図である。(b)は
図13(b)の13E-13E部における13B-13B拡大断面図である。
【
図17】(a)は
図13(b)の13C-13C拡大断面図である。(b)は
図13(b)の13D-13D拡大断面図である。
【
図18】(a)は前記長尺体カバー固定具を示す斜視図である。(b)は同正面図である。(c)は同平面図である。(d)は同底面図である。
【
図19】(a)は前記長尺体カバー固定具を示す右側面図である。(b)は
図18(c)の18A-18A拡大断面図である。
【
図20】(a)は本発明の他の実施形態に係る長尺体カバー固定具を示す斜視図である。(b)は同正面図である。(c)は同平面図である。(d)は同底面図である。
【
図21】(a)は前記長尺体カバー固定具を示す右側面図である。(b)は
図20(c)の20A-20A拡大断面図である。(c)は前記長尺体カバー固定具の適用例であって、長尺体がエアコンの冷媒配管等である場合を示す斜視図である。
【
図22】(a)は本発明の他の実施形態に係る長尺体カバー固定具を示す斜視図である。(b)は同正面図である。(c)は同平面図である。(d)は同底面図である。
【
図23】(a)は前記長尺体カバー固定具を示す右側面図である。(b)は
図22(c)の22A-22A拡大断面図である。(c)は前記長尺体カバー固定具の適用例であって、長尺体がエアコンの冷媒配管等である場合を示す斜視図である。
【
図24】(a)本発明の一実施形態に係るウォールコーナーを示す斜視図である。(b)は同正面図である。(c)は同平面図である。(d)は同底面図である。
【
図25】(a)は前記ウォールコーナーを示す右側面図である。(b)は同左側面図である。(c)は
図24(c)の24A-24A拡大断面図である。
【
図26】(a)本発明の他の実施形態に係るウォールコーナーを示す斜視図である。(b)は同正面図である。(c)は同平面図である。(d)は同底面図である。
【
図27】(a)は前記ウォールコーナーを示す右側面図である。(b)は同左側面図である。(c)は
図26(c)の26A-26A拡大断面図である。(d)は前記ウォールコーナーの適用例であって、長尺体がエアコンの冷媒配管等である場合を示す斜視図である。
【
図28】(a)本発明の他の実施形態に係るウォールコーナーを示す斜視図である。(b)は同正面図である。(c)は同平面図である。(d)は同底面図である。
【
図29】(a)は前記ウォールコーナーを示す右側面図である。(b)は同左側面図である。(c)は
図28(c)の28A-28A拡大断面図である。(d)は前記ウォールコーナーの適用例であって、長尺体がエアコンの冷媒配管等である場合を示す斜視図である。
【
図30】前記脱落防止部(脱落防止バンド)の他の形態を示す斜視図である。
【
図31】前記脱落防止部(脱落防止バンド)の他の形態を長尺体カバー固定具及び長尺体カバーに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図32】(a)は本発明の他の実施形態に係る長尺体カバー固定具を示す斜視図である。(b)は同正面図である。(c)は同平面図である。(d)は同底面図である。
【
図33】(a)は前記長尺体カバー固定具を示す右側面図である。(b)は
図32(c)の32A-32A拡大断面図である。(c)は前記長尺体カバー固定具の適用例であって、長尺体がエアコンの冷媒配管等である場合を示す斜視図である。
【
図34】(a)本発明の他の実施形態に係るウォールコーナーを示す斜視図である。(b)は同正面図である。(c)は同平面図である。(d)は同底面図である。
【
図35】(a)は前記ウォールコーナーを示す右側面図である。(b)は同左側面図である。(c)は
図34(c)の34A-34A拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る長尺体カバー固定具1につき、一実施形態を取り上げて説明を行う。なお、
図13~
図29、
図32~
図35は、本実施形態及び他の実施形態の各部(組み合わせ、単体)を示す斜視図及び六面図である。なお、六面図につき、対称にあらわれる図については図示を省略している。
【0019】
以下の説明において用いる方向の表現は、
図1に示す、構造物Wへの長尺体カバー固定具1の設置時における方向についてである。また、以下の説明において用いる「幅方向」とは、構造物W(建築物等)の表面に沿う方向であって、かつ、長尺体Pの延びる方向(長手方向)に対する直交方向である。本実施形態では、構造物Wの表面に向かって見た場合の左右方向に該当する。ただし、長尺体P、長尺体カバー固定具1、長尺体カバー2の設置方向は
図1に示す方向に限定されるものではない。
【0020】
本実施形態の長尺体カバー固定具1は、
図1に示すように、固定対象物としての構造物Wの表面(建築物等の壁面)に固定される。構造物Wの表面は例えば平面であって、以下ではその形態を前提として説明しているが、湾曲面や凹凸面等であってもよい。この長尺体カバー固定具1は、構造物Wの表面に沿って配置される長尺体P(例えば、
図3に断面形状を示したように、エアコンの室内機と室外機Aを結んで、両者間で冷媒の流通を行う冷媒配管やエアコンの室内機の排水を流すドレンホース)を外部から覆う、筒状の長尺体カバー2(一般には「ダクト」とも呼ばれる)を保持する。これにより、長尺体カバー2の内部に位置する長尺体Pも保持される。
【0021】
長尺体Pは、例えばエアコンの室内機が設置された構造物Wの内部から構造物Wの表面に出され、構造物Wの表面から所定距離分浮いた状態で、構造物Wの表面に沿って配置される(
図1、
図2には長尺体P自体は示していない)。本実施形態の長尺体Pは、構造物Wの表面に出た部分で略垂直方向に曲げられ、構造物Wの表面に対して平行であり、下方へ直線方向に延びるように配置され、例えばエアコンの室外機Aまで至る。ただし、長尺体Pの構造物Wに対する配置はこれに限定されず、構造物Wの表面に対する距離が長手方向で変化してもよいし、構造物Wの表面に対する平面視で湾曲していてもよい。
【0022】
長尺体カバー2は、
図3に示すように、構造物Wに近い側に位置するベース部21と、構造物Wから遠い側に位置し、ベース部21に組み合わせられる覆い部22を備える。長尺体カバー2は樹脂製であり、例えば押し出し成型によって形成されている。ベース部21と覆い部22の組み合わせは、例えば
図3に示されるような嵌合によってなされる。ベース部21の幅方向中央における内面からは凸条221が突出している。この凸条221により、ベース部21の長手方向における曲げ強度が向上する。また、
図3に示すように凸条221に長尺体Pを沿わせることで、長尺体カバー2の内部において長尺体Pを安定的に配置できる。
【0023】
本実施形態の長尺体カバー固定具1は、
図3及び
図5に示すように、設置時に構造物Wの表面に近い側から離れた側に向かう順に、基部11、脚部12、台座部13を備える。本実施形態の長尺体カバー固定具1は樹脂製であって、各部が一体形成されている。本実施形態の長尺体カバー固定具1は中実に形成されているが、部分的に中空とすることもできる。また、
図1に示す長尺体カバー固定具1の設置時における上下寸法は、例えば構造物Wへの配置間隔によって適宜決定できる。本実施形態の基部11、脚部12、台座部13の組み合わせは、長尺体Pの延びる方向から見た場合、横倒しの略H字状となっている。
【0024】
基部11は、構造物Wに対して固定される部分である。
図3に示すように、基部11の底面111が構造物Wの表面に当接する。基部11のうち、構造物Wへの設置時に構造物Wの表面に対して平面視した場合、脚部12に覆われていない部分には、基部11における厚み方向または高さ方向(構造物Wへの設置時に構造物Wの表面に対する法線方向、または、基部11の底面111に対する法線方向)に貫通穴112が形成されている。この貫通穴112には、構造物Wに対してねじ込むことのできるねじが貫通する。ねじは、例えばタッピン(タッピング)ねじを用いることができる。
【0025】
脚部12は、長尺体Pを構造物Wの表面から離すために、基部11に隣接して設けられた部分である。脚部12は、基部11よりも幅方向寸法が小さく形成されている。ただし、基部11の幅方向寸法は特に限定されておらず、構造物Wへの設置時の安定性を考慮して種々に設定できる。よって、例えば脚部12の幅方向寸法と一致していてもよいし、幅方向の一方だけが脚部12から突出する寸法であってもよい。また、脚部12の高さ寸法は種々に設定でき、
図20、
図21に示すように高さ寸法を大きくすることもできる。
【0026】
台座部13は、長尺体カバー2を固定部材6(
図6参照)により固定するために、脚部12に隣接して設けられた部分である。台座部13は、脚部12よりも幅方向寸法が大きく形成されている。ただしこれに限定されず、例えば、長尺体カバー固定具1を、後述の端末部材5を支持する固定具1Aとして用いる場合、
図10に示すように、台座部13が脚部12と同幅であってもよい。
【0027】
ここで、前記固定部材6は、台座部13に差し込まれることで長尺体カバー2の固定がなされる差込部材61である。差込部材61の差し込み方向は、本実施形態では構造物Wの表面に対する法線方向であって、かつ、当該表面に近づく側の方向である。差込部材61としては、例えば、螺合部材(具体的には、ねじ、特に、ねじ込みより軸部を対象物に食い込ませることのできるタッピンねじや木ねじ)、または、打込部材(具体的には、打撃により軸部等を対象物に食い込ませることのできる釘やステープル)等の、台座部13に埋め込むことのできる部材(金具)が挙げられる。この差込部材61は、埋め込み後に対象物に対して働く摩擦により、埋め込み状態が保たれる。
【0028】
台座部13は、長尺体カバー2において構造物Wに近い側の背面(設置時に構造物Wの表面に対向する面)に当接する面であるカバー支持面131と、差し込まれた差込部材61を外れないように保持できる差込部材保持部132を備える。長尺体カバー2の背面は、本実施形態ではベース部21に属している。カバー支持面131は、長尺体カバー2(ベース部21)における外周面の形状に略一致した形状の面を有している。本実施形態では、カバー支持面131の幅方向中央部が、構造物Wの表面と平行な平面であって、幅方向両端部において、構造物Wの表面から離れるように反り上がった湾曲面とされている。カバー支持面131と長尺体カバー2(ベース部21)における外周面の形状が略一致していることにより、両者を大きな隙間のないように略当接させることができる。また、カバー支持面131が構造物Wの表面と平行な平面を有することから、カバー支持面131に対して法線方向となるように差込部材61を台座部13に差し込むことが可能なので、作業者が差込部材61の差し込み作業を行いやすい。
【0029】
差込部材保持部132は、差し込まれた差込部材61を外れないように保持できる部分である。前記保持は、差込部材61が例えばねじ(具体的にはタッピンねじ)である場合には、ねじ山を有する軸部が差込部材保持部132に埋め込まれることでなされる。この場合、差込部材保持部132にねじ山が食い込むことで、タッピンねじを外れないように保持できる。また、差込部材61が釘である場合もねじの場合と同様で、軸部が差込部材保持部132に埋め込まれる。この場合、差込部材保持部132と軸部との摩擦により、釘を外れないように保持できる。なお、差込部材61の軸部は、長尺体カバー固定具1に差し込まれた状態で、台座部13の差込部材保持部132を超えて脚部12まで達していてもよい。
【0030】
以上のように構成された長尺体カバー固定具1によると、長尺体カバー2を固定部材6により台座部13に固定できる。このため、施工中に長尺体カバー2が台座部13から外れてしまうことがない。また、固定部材6が差込部材61であることにより、固定部材6を台座部13へ簡単に固定できる。また、カバー支持面131に長尺体カバー2の背面を当接させることで、長尺体カバー2を確実に保持して固定部材6を台座部13へ簡単に固定できる。また、差込部材保持部132により差込部材61を確実に保持できる。よって、施工性が良好である。
【0031】
台座部13におけるカバー支持面131には、差込部材61を台座部13に差し込む際に、当該差込部材61を受容する差込部材用凹部133が形成されている。この構成によると、長尺体カバー2を貫通した差込部材61を、カバー支持面131における表面から一段低くなっている差込部材用凹部133に導いて受容できるので、カバー支持面131が均一な平坦面である場合に比べ、差込部材61が幅方向にずれてしまいにくい。従って、差込部材61の差し込み後にカバー支持面131に対して長尺体カバー2がずれて固定されてしまうことを避けられる。また、差込部材61の先端がカバー支持面131上で滑ることを抑制できるため作業性が良い。
【0032】
差込部材用凹部133は、構造物Wへの長尺体カバー固定具1の設置時において、長尺体Pの延びる方向(本実施形態では上下方向)に沿って延びる溝である。この構成によると、溝の長手方向での自由度をもって差込部材61を台座部13に差し込むことができるので、厳密な位置合わせが不要であることから作業性が良い。
【0033】
台座部13における幅方向両側であって、基部11に形成された貫通穴112に一致する位置には工具用貫通穴134が形成されている。なお、前記「一致」とは、構造物Wの表面の法線方向で一致することである。工具用貫通穴134には、基部11を構造物に固定する際に、工具の一部(例えばドライバーの軸部)を貫通させられる。このため、長尺体カバー固定具1が本実施形態のように、基部11に対して台座部13が覆うような形態であったとしても、工具を斜めに位置させることなく、構造物Wの表面の法線方向からの作業が簡単にできる。
【0034】
本実施形態の長尺体カバー固定具1は、カバー保持部14を更に備える。カバー保持部14は、台座部13の、構造物Wの表面に沿う方向であって、長尺体Pの延びる方向に対する直交方向、つまり、長尺体カバー2の幅方向における両端部から延長して形成された部分である。カバー保持部14は台座部13と一体に形成されている。このカバー保持部14は、先端に内方に突出した爪部143を備えており、長尺体カバー2(具体的にはベース部21)を外方から挟む。この構成によると、カバー保持部14が長尺体カバー2を挟んで保持するため、固定部材6により長尺体カバー2を台座部13に固定する前の状態で、長尺体カバー2を台座部13に仮止めできる。このため、
図7に示すように、長尺体カバー2(ベース部21)を長尺体カバー固定具1に仮止めした状態で、作業者が長尺体カバー2から手を離して、例えば、固定部材6(差込部材61)を準備することができる。このため、作業者による作業がスムーズになる。
【0035】
台座部13のカバー支持面131とカバー保持部14の内面141は、本実施形態では、
図5に示すように一連の湾曲面を形成している。この一連の湾曲面は、長尺体カバー2(ベース部21)における外周面の形状に略一致した形状の面である。一連の湾曲面と長尺体カバー2(ベース部21)における外周面の形状が一致していることにより、
図3に示すように、両者を大きな隙間のないように略当接させることができる。また、台座部13とカバー保持部14が一まとまりの形態になることから、美観上優れている。
【0036】
カバー保持部14には、脱落防止部としての脱落防止バンド3が取り付けられるバンド取付部142が設けられている。脱落防止バンド3は、
図6に示すように、長尺体カバー固定具1とは別体に形成された帯状で、2箇所の湾曲部を有する略U字形に形成されており、
図1及び
図2に示すように、長尺体カバー2の外周に沿って取り付けられる。本実施形態の脱落防止バンド3は板金製で、後述する凸部31を含めて一体に形成されている。なお、脱落防止バンド3の材質は特に限定されず、例えば樹脂製であってもよい。バンド取付部142は、
図5に示すように、カバー保持部14の内面に、設置時に構造物Wの表面に対する法線方向に沿ってまっすぐ形成された凹溝である。この凹溝は広溝1421と狭溝1422の二段の溝で形成されている。広溝1421の幅寸法は、脱落防止バンド3の幅寸法と略同一(詳しくは、広溝1421の幅寸法がわずかに大きい)である。狭溝1422は、広溝1421の幅方向中央に形成された、広溝1421よりも幅が狭く、かつ、深さの大きい溝である。狭溝1422の幅寸法は、脱落防止バンド3における凸部31の幅寸法と略同一(詳しくは、狭溝1422の幅寸法がわずかに大きい)である。このバンド取付部142に脱落防止バンド3が差し込まれる。差し込まれた状態で、バンド取付部142(凹溝)における下端部1423と脱落防止バンド3の両端部に形成された凸部31とは嵌合し、脱落防止バンド3が容易に抜けないようにされる。
【0037】
長尺体カバー固定具1に脱落防止バンド3が取り付けられることで、長尺体カバー2における、長尺体カバー固定具1の台座部13とカバー保持部14に接する部分以外が脱落防止バンド3によって保持される。このため、例えば強風を受けて、長尺体カバー2の覆い部22がベース部21から外れてしまう事態を抑制できる。
【0038】
ここで、脱落防止部(本実施形態の脱落防止バンド3)につき、更に説明する。脱落防止部を設けることの背景について簡単に説明する。長尺体カバー2を構造物Wの表面から浮かして設置すると、構造物Wの表面に沿って吹く風が長尺体カバー2を挟んで通り抜ける。この際、長尺体カバー2における構造物Wの表面に近い側と遠い側との間で気圧差が生じることで長尺体カバー2が振動する場合があって、騒音発生(ビビリ音など)や長尺体カバー2が脱落するおそれがあった。脱落防止部は、この問題に対応するため設けられている。ここで、基部11、脚部12、台座部13を備える長尺体カバー固定具1と脱落防止部とが組み合わされたものが長尺体カバー固定具セットである。
【0039】
脱落防止バンド3は長尺体カバー固定具1に固定される。本実施形態の脱落防止バンド3はカバー保持部14に固定される。ただしこれに限定されず、基部11、脚部12、台座部13のいずれかに固定することもできる。脱落防止バンド3は長尺体カバー2の外周面に当接する。この当接は、全面的な当接であることは要さず、長尺体カバー2の外周面のうち少なくとも一部に当接していればよい。長尺体カバー固定具1に固定される脱落防止バンド3が長尺体カバー2の外周面に当接することで、壁面に沿って吹く風により生じる気圧差に対抗できる。
【0040】
また、長尺体カバー固定具1と脱落防止バンド3の一方には係合部、他方には被係合部が形成されている。本実施形態の脱落防止バンド3には、係合部として凸部31が形成されている。この凸部31は、前記略U字形の両端部において外方に突出している。これに対応し、カバー保持部14のバンド取付部142における内面には、被係合部として凹部が形成されている。本実施形態における凹部は、凹溝であるバンド取付部142における下端部1423の更に下方において、カバー保持部14の厚み方向に貫通した貫通穴1424である。長尺体カバー固定具1と脱落防止バンド3を係合することにより、凸部31と凹部(貫通穴1424)とを容易に固定できる。本実施形態の脱落防止バンド3は、バンド取付部142に差し込まれることで係合状態となる。このように、差し込みだけで脱落防止バンド3を取り付け完了できる。よって、差し込み時の作業性が良い。また、まっすぐ延びる凹溝とされたバンド取付部142に対し、幅寸法が略同一である帯状の脱落防止バンド3が誘導される。この誘導に関し、広溝1421によって脱落防止バンド3の本体が誘導され、狭溝1422によって脱落防止バンド3の凸部31が誘導され、その結果、凸部31がバンド取付部142における下端部1423に係合することで抜けなくなる。なお、脱落防止部(脱落防止バンド3)は、別体であるねじ等の取付具による取り付けがなされるものであってもよい。
【0041】
そして、脱落防止バンド3の有する弾性により、長尺体カバー固定具1への取り付けに伴い係合部または被係合部が移動することで両者が嵌合状態となる。本実施形態では、係合部としての凸部31が被係合部としての凹部(貫通穴1424)に対して、凸部31が凹部(貫通穴1424)に一致した際に外方に移動する。凹凸嵌合により係合することから、係合のための構成を簡単にできる。また、脱落防止バンド3自体が有する弾性を利用するので、嵌合させるための別手段が不要である。本実施形態の脱落防止バンド3は板金製であるから、全体が弾性を有する。ただしこれに限らず、脱落防止部(脱落防止バンド3)の先端部等、一部だけが弾性を有する部分であってもよい。
【0042】
本実施形態の凸部31は、板金の折り曲げにより形成される。脱落防止バンド3における凸部31は、バンド取付部142への差し込み方向(構造物Wの表面に近づく方向)に対して斜め後方に延びるように形成されている。この形状は、凸部31における板金の折り曲げ方により実現される。このように凸部31が形成されていることから、脱落防止バンド3の差し込み方向に対して凸部31の延びる方向が鋭角で交差するので、差し込みの際の抵抗が低減されることにより、差し込みが容易である。そして差し込んだ後には、脱落防止バンド3における凸部31の突出寸法が最も大きい位置で凹部(貫通穴1424)の縁部(バンド取付部142における下端部1423)に対して係合することから、脱落防止バンド3がバンド取付部142から抜けてしまいにくい。
【0043】
脱落防止部の他の形態の一例を
図30、
図31に示す。
図30に示す脱落防止部(脱落防止バンド3)は、前記実施形態の脱落防止バンド3よりも幅広で、
図31に示すように、長尺体カバー固定具1におけるカバー保持部14と略同幅とされている。この脱落防止バンド3は、内面に凸部32が形成されており、カバー保持部14に形成された凹部144に対し嵌合する(
図31参照)。
【0044】
脱落防止部は、本実施形態の脱落防止バンド3のようなバンド状のものに限らず種々の形態とできる。また、脱落防止部が長尺体カバー2の外周形状よりも一回り大きく形成されることもできる。こうすることで、製造誤差等により長尺体カバー2に比べて脱落防止部の方が小さくなっていて、現場で取り付けられないことや、現場で無理に嵌めなければならないような事態を防止できる。なお、一回り大きく形成されていても、長尺体カバー2に対して部分的な当接がされれば、機能上大きな問題は生じない。
【0045】
なお、本発明においてカバー保持部14は必須ではなく、例えば
図10に示すように設けないこともできる。また、カバー保持部14と同様、台座部13の、長尺体カバー2の幅方向における両端部から延長して形成された部分ではあるものの、長尺体カバー2(具体的にはベース部21)を外方から挟まずに、長尺体カバー2の外方に位置するだけのカバー側方部を形成することもできる(図示はしない)。このカバー側方部には、脱落防止部としての脱落防止バンド3が固定されることができる。また、カバー保持部14やカバー側方部の高さ寸法については、本実施形態のものに限定されず、種々に変更できる。
【0046】
また、本実施形態では、長尺体カバー2の上端部に接続されるウォールコーナー4が用いられている。このウォールコーナー4は、長尺体Pにおいて、構造物Wの内部から表面に出されて方向転換された部分を覆う部材であって、
図1及び
図2に示す外観を有している。
【0047】
ウォールコーナー4の、構造物Wへの設置時において構造物Wの表面に対向する面には、
図8に示すように、長尺体Pが通過する空間を囲むようにして、溝状のコーキング凹部41が形成されている。このコーキング凹部41にコーキング材を充填することにより、ウォールコーナー4と構造物Wの間で防水処理を行うことができる。また、作業者はコーキング凹部41に沿ってコーキング材を充填していけばよいので、コーキング作業の際の作業性が良好である。
【0048】
ウォールコーナー4には更に、
図9に示すように、前記コーキング凹部41から、構造物Wへの設置時において、構造物Wの表面に沿っており長尺体Pが通過する空間とは反対側に延びる鍔部42が形成されている。この鍔部42は、構造物Wへの設置時において構造物Wの表面から離れた位置に設けられる。構造物Wの表面と鍔部42との間に形成される空間にコーキング材を充填することで、前記コーキング凹部41に充填されたコーキング材の防水効果をより高めることができる。また、構造物Wの表面と鍔部42との間に形成される空間は、径方向断面で四角形状の空間となる。このため、コーキング材を断面四角形状に充填できる。このため、例えば断面三角形状とされたコーキング材よりも防水のために働く体積を大きくできるため耐久性に優れる。また、作業者は鍔部42に沿ってコーキング材を充填していけばよいので、コーキング作業の際の作業性が良好である。
【0049】
ウォールコーナー4と構造物Wの表面との間に、ウォールコーナー4とは別部材であって、枠状とされたウォールコーナー用スペーサ(図示しない)を設けることもできる。ちなみに、長尺体カバー固定具1における基部11と構造物Wの表面との間にも、長尺体カバー固定具1とは別部材であって、板状の長尺体カバー固定具用スペーサ(図示しない)を設けることもできる。各スペーサの有する厚み分、構造物Wの表面からウォールコーナー4または長尺体カバー2までの距離を大きくすることができる。このため、所望の位置関係に長尺体Pを配置させられる。
【0050】
また、
図6に示すように、長尺体カバー2の内面に沿う内側補強部材7を設けることもできる。この内側補強部材7は、長尺体カバー2よりも硬質でかつ弾性を有する材料、例えば金属板により形成されていて、長尺体カバー固定具1に一致する部分において、長尺体カバー2(ベース部21)の背面の反対側である内面に沿う形状とされている。本実施形態では、長尺体カバー固定具1における台座部13及びカバー保持部14の内面に、長尺体カバー2(ベース部21)越しで沿う形状(略同一形状)とされている。ただし、内側補強部材7を長尺体カバー固定具1と関係のない形状(例えば平ワッシャのような形状)とすることもできる。内側補強部材7には、ベース部21の凸条221に一致させるため、長尺体カバー2の内面に沿わせた場合における長手方向に沿う段部71が形成されている。内側補強部材7には例えば貫通穴72が設けられている。本実施形態では段部71に設けられている。この貫通穴72に差込部材61を通すことで、共締めにより内側補強部材7が長尺体カバー固定具1に固定される。固定状態では、段部71がベース部21の凸条221に嵌ることになるため、特に長尺体カバー2(ベース部21)に対して内側補強部材7がずれることを抑制しつつ固定できる。この内側補強部材7も、長尺体カバー固定具1及び脱落防止部(本実施形態の脱落防止バンド3)と共に、前記長尺体カバー固定具セットに含まれる。
【0051】
内側補強部材7を設けることで、長尺体カバー2が長尺体カバー固定具1と内側補強部材7で挟まれるため、長尺体カバー固定具1に対して長尺体カバー2を確実に固定できる。また、内側補強部材7は板状であって、長尺体カバー2の内面に沿う湾曲形状を有している。そして、本実施形態の内側補強部材7は金属板からなっている。このため、内側補強部材7にて前記湾曲形状がたわむように変形することにより、変形時の復元力が長尺体カバー2に対しての押し付け力になるため、長尺体カバー2に外力がかかっても、内側補強部材7が確実に長尺体カバー2を押さえられる。内側補強部材7は金属板に限られず、弾性を有する種々の板状体により形成できる。また、例えば長尺体カバー2の内部空間に余裕を持たせられる場合には、内側補強部材7をブロック状体とすることもできる。また、例えば、差込部材61として鍔付きのねじを用いた場合、鍔部分を内側補強部材7として機能させることもできる。
【0052】
また、長尺体カバー2の端末部分には、
図4に示すように、長尺体Pが長手方向に貫通する部分以外の横断面を絞る端末部材5を取り付けることもできる。長尺体カバー固定具1を、この端末部材5を支持する固定具1Aとして用いる場合には、例えば
図4または
図10に示す形状とでき、カバー保持部14は不要である。また、台座部13のカバー支持面131を平坦面とすることができる。なお、
図10に示した形態では、台座部13に端末部材5の固定用のねじを取り付けるための凹部135が形成されている。
【0053】
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0054】
例えば、前記実施形態の長尺体カバー固定具1は樹脂製で、各部が一体形成されていた。しかしこれに限定されない。長尺体カバー固定具1の材質は、全部または一部を金属製とすることもできる。また、各部が別個に形成されていて、例えば
図11に示すように、各部が組み合わされて構成されることもできる。この場合、例えば脚部12を面で当接する複数部材から構成しておき、積み木状に積むことで、構造物Wの表面からの高さを調整可能とできる。また、
図12に示すように、脚部12をねじにより結合する複数部材121~123から構成しておき、各部材の使用数量及びねじ込み度合を調整することで、構造物Wの表面からの高さを調整可能とすることもできる。
【0055】
また、カバー支持面131に差込部材用凹部133が形成されず、単なる平坦面や湾曲面とすることもできる。また、前記実施形態では、カバー支持面131において長尺体Pの延びる方向の全長にわたって溝が形成されていた。しかしこれに限られず、カバー支持面131において長尺体Pの延びる方向の一部にだけ溝が形成されていてもよい。また、差込部材用凹部133が形成される場合であっても、溝状ではなく、円形状または多角形状の有底穴とされていてもよい。更に、脚部12及び基部11まで達する貫通穴であってもよい。更に、差込部材用凹部133が複数形成される場合には、長尺体Pの延びる方向に沿って飛び飛びに配置してもよい。
【0056】
また、ウォールコーナー4の形状は前記実施形態のものに限定されない。例えば、前記実施形態では、
図2に示すように背面側に湾曲面を有していたが、背面側形状は特に限定されず、例えば平面を有していてもよい(
図26、
図27参照)。また、背面側には例えば、エアコンの室内機に接続する換気口を設けることもできる。また、ウォールコーナー4における長尺体カバー2との接続部分の、設置時における上下方向寸法も特に限定されない。また、コーキング凹部41または鍔部42も種々の形状としてよい。特にコーキング凹部41に関しては、例えば、上部の所定範囲については
図8に示した湾曲形状と同じであって、他の範囲については異なる形状であってもよい(
図28、
図29参照)。また、コーキング凹部41が全周ではなく部分的に設けられていてもよい。
【0057】
また固定部材6は、前記実施形態における差込部材61以外の部材であってもよい。例えば、クランプ、針金、結束バンド、粘着テープ等の、台座部13への差し込みをすることなく固定がなされる部材(金具)であってもよい。
【0058】
また、前記実施形態では、長尺体カバー2は台座部13にて固定部材6により固定されていた。しかしこれに限られず、カバー保持部14にて固定されることもできる。ただしこの場合、固定部材6として差込部材61を用いると、長尺体カバー2の側方から差し込む作業を行う必要があるので、作業性がやや低下する。また、固定部材6が長尺体カバー2の側部に露出してしまうため、美観の面でもやや劣る。しかし例えば、長尺体カバー2の設置個所の周囲の状況によってそうせざるを得ない場合にはこの形態を採用してもよい。
【0059】
また、台座部13のカバー支持面131とカバー保持部の内面は、前記実施形態では一連の湾曲面を形成していた。しかしこれに限られず、台座部13のカバー支持面131とカバー保持部の内面がそれぞれ平面であり各面が屈曲した関係にあってもよい(
図22、
図23参照)。特に、このような形状の長尺体カバー固定具1は、断面形状が多角形状の長尺体カバー2を固定するのに適している。
【0060】
また、長尺体カバー2内に複数の長尺体Pを配置する場合、長尺体カバー2内において複数の長尺体Pをバンド等で結束してもよい。更に、当該バンド等を長尺体カバー2に対してねじ止め等によって固定してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 長尺体カバー固定具
11 基部
12 脚部
13 台座部
131 カバー支持面
132 差込部材保持部
133 差込部材用凹部
14 カバー保持部
2 長尺体カバー
6 固定部材
61 差込部材
P 長尺体
W 固定対象物、構造物