(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-22
(45)【発行日】2022-06-30
(54)【発明の名称】切り替え可能な正浸透システム及びそのプロセス
(51)【国際特許分類】
B01D 61/00 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
B01D61/00 500
(21)【出願番号】P 2020130637
(22)【出願日】2020-07-31
(62)【分割の表示】P 2018526976の分割
【原出願日】2015-09-17
【審査請求日】2020-08-28
(32)【優先日】2015-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518049267
【氏名又は名称】フォーワード ウォーター テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Forward Water Technologies Inc.
【住所又は居所原語表記】1086 Modeland Road, Sarnia,Ontario,Canada
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レセンデス ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ホランド エイミー マリー
(72)【発明者】
【氏名】クラーク ティモシー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】マリアンピライ ブライアン アーネスト
(72)【発明者】
【氏名】デュモント ロバート ハロルド ジーン
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/043669(WO,A1)
【文献】カナダ国特許出願公開第02891474(CA,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性フィードストリームを処理するためのプロセスであって、
60から70wt%
までの
間のドロー溶質濃度を有する水性ドロー溶液を用いる正浸透を含み、前記ドロー溶質は、イオン化したトリメチルアミンと対イオンを含み、
前記水性フィードストリームが、≧5wt%の総溶解固形
分を含む、プロセス。
【請求項2】
前記正浸透が、
a.水を選択的に透過させる半透膜の一方の側部に前記水性フィードストリームを導入することと、
b.前記半透膜の他方の側部に前記水性ドロー溶液を導入することと、
c.濃フィードストリーム及び希薄ドロー溶液を形成するべく水が前記水性フィードストリームから前記半透膜を通して前記水性ドロー溶液へ流れることを可能にすることと、
を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
a.前記希薄ドロー溶液から前記ドロー溶質を分離することと、
b.前記分離されたドロー溶質から前記水性ドロー溶液を再構成することと、
をさらに含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記プロセスが、
i)閉じたプロセス、
ii)継続的にサイクルされるプロセス、又は
iii)これらの組み合わせ、
である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記希薄ドロー溶液から前記ドロー溶質を分離することが、逆浸透、揮発、加熱、フラッシングガス、真空又は部分真空、攪拌、又はこれらの任意の組み合わせを含むか、あるいは前記水性ドロー溶液を再構成することが、
a.トリメチルアミンの水性溶液にイオン化トリガを導入すること、
b.イオン化トリガの水性溶液にトリメチルアミンを導入すること、
c.水性溶液にトリメチルアミンとイオン化トリガを同時に導入すること、又は
d.これらの任意の組み合わせ、
を含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項6】
(i)前記水性フィードストリームが、5から30wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から25wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から20wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から15wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から10wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に6から10wt%までの間の総溶解固形分を含み、且つ前記総溶解固形分が、金属酸化物、鉱物、一価のイオン、二価のイオン、三価のイオン、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る、
(ii)前記水性フィードストリームが≦20℃の温度である、又は代替的に0から15℃までの間、又は代替的に0から10℃までの間、又は代替的に0から5℃までの間、又は代替的に3から5℃までの間の温度である、
(iii)前記水性フィードストリームが≧30℃から≦60℃までの間の温度である、又は代替的に30から60℃までの間、又は代替的に30~50℃、又は代替的に30~40℃、又は代替的に30~35℃の温度である、
(iv)前記水性フィードストリームが酸性のpHを有する、又は代替的にpH≦6、又は代替的に≦5、又は代替的に≦3を有する、
(v)前記水性フィードストリームが塩基性のpHを有する、又は代替的にpH≧8、又は代替的に≧9、又は代替的に≧11を有する、
(vi)有機分を含む、あるいは
(vi
i)懸濁物質を含む、
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記水性フィードストリームの有機分が、懸濁又は可溶化した有機化合物、炭水化物、多糖類、タンパク質、藻類、ウィルス、植物質、動物質、又はこれらの任意の組み合わせを含む
、請求項
6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記水性フィードストリームが、硬水、プロセス水、随伴水、フローバック水、廃水、又はこれらの任意の組み合わせである、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記水性フィードストリームが、
(i)有機分、(ii)懸濁物質
、又は(iii)有機分および懸濁物質の両方を含む、複合フィードストリームである、請求項1~請求項
8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
正浸透システムであって、
60から70wt%
までの
間のドロー溶質濃度を有する水性ドロー溶液と、前記ドロー溶質は、イオン化したトリメチルアミンと対イオンを含み、
少なくとも1つの正浸透要素と、
を備え、前記少なくとも1つの正浸透要素は、
第1の側部及び第2の側部を有する、水を選択的に透過させる半透膜と、
水性フィードストリームを膜の第1の側部と流体連通させるための少なくとも1つのポートであって、前記水性フィードストリームが、≧5wt%の総溶解固形
分を含むものであるポートと、
水性ドロー溶液を膜の第2の側部と流体連通させるための少なくとも1つのポートと、
を備え、水が、濃フィードストリーム及び希釈されたドロー溶液を形成するべくフィードストリームから半透膜を通して水性ドロー溶液へ流れる、
正浸透システム。
【請求項11】
a.希薄ドロー溶液からドロー溶質又はイオン化していない形態のドロー溶質を分離するための手段と、
b.分離されたドロー溶質又はイオン化していない形態のドロー溶質から水性ドロー溶液を再構成するための手段と、
を備える、水性ドロー溶液を再生させるためのシステムをさらに備える、請求項
10に記載の正浸透システム。
【請求項12】
前記正浸透システムが、
i)閉じている、
ii)継続的にサイクルされる、又は
iii)これらの組み合わせ、
である、請求項
10又は請求項
11に記載の正浸透システム。
【請求項13】
前記希薄ドロー溶液からドロー溶質を分離するための手段が、逆浸透システム、揮発、加熱、フラッシングガス、真空又は部分真空、攪拌、又はこれらの任意の組み合わせである、あるいは前記分離されたドロー溶質又はイオン化していない形態のドロー溶質から水性ドロー溶液を再構成するための手段が、
a.トリメチルアミンの水性溶液にイオン化トリガを導入するための手段、
b.イオン化トリガの水性溶液にトリメチルアミンを導入するための手段、
c.水性溶液にトリメチルアミンとイオン化トリガを同時に導入するための手段、又は
d.これらの任意の組み合わせ、
を含む、請求項
11に記載の正浸透システム。
【請求項14】
(i)前記フィードストリームが、5から30wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から25wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から20wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から15wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から10wt%までの間、又は代替的に6から10wt%までの間の総溶解固形分を含み、且つ前記総溶解固形分が、金属酸化物、鉱物、一価のイオン、二価のイオン、三価のイオン、又はこれらの組み合わせを含む、
(ii)前記フィードストリームが、0から15℃までの間、又は代替的に0から10℃までの間、又は代替的に0から5℃までの間、又は代替的に3から5℃までの間の温度である、
(iii)前記フィードストリームが、30から60℃までの間、又は代替的に30~50℃、又は代替的に30~40℃、又は代替的に30~35℃の温度である、
(iv)前記フィードストリームが、pH≦6、又は代替的に≦5、又は代替的に≦3を有する、
(v)前記フィードストリームが、pH≧8、又は代替的に≧9、又は代替的に≧11を有する、
(vi)前記フィードストリームが懸濁又は可溶化した有機化合物、炭水化物、多糖類、タンパク質、藻類、ウィルス、植物質、動物質、又はこれらの任意の組み合わせから選ばれる有機分を含む、あるいは
(vii)前記フィードストリームが懸濁物質を含む、
請求項
10~請求項
13のいずれか一項に記載の正浸透システム。
【請求項15】
前記フィードストリームが、硬水、プロセス水、随伴水、フローバック水、廃水、又はこれらの任意の組み合わせである、請求項
10~請求項
14のいずれか一項に記載の正浸透システム。
【請求項16】
前記フィードストリームが
(i)有機分、(ii)懸濁物質
、又は(iii)有機分および懸濁物質の両方を含む、複合フィードストリームである、請求項
10~請求項
15のいずれか一項に記載の正浸透システム。
【請求項17】
正浸透プロセスのためのドロー溶液であって、水と、ドロー溶質とを含み、前記ドロー溶質がイオン化したトリメチルアミンと、イオン化したトリメチルアミンの対イオンとして作用するのに適した濃度の陰イオン種とを含み、
前記ドロー溶質の濃度が60から70wt%までの間である、ドロー溶液。
【請求項18】
前記陰イオン種が、炭酸塩、重炭酸塩、又はこれらの組み合わせであり、前記陰イオン種の発生源がCO
2ガスである、請求項
17に記載のドロー溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、水処理システムの分野に関する。より具体的には、本出願は、切り替え可能な正浸透システムと、関連する組成物及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業が直面している課題は、工業プロセスによって生じた廃水の浄化又は処分である。例えば、石油・ガス産業での掘削及び水圧破砕は、随伴水を生じ、これは処理するのが難しいことがあり、発展中の処分制約に直面している。随伴水は、石油又はガスの生産中に表面に運ばれる、地下層からの水である。例えば、シェールガスの生産は、地域によって、生産されるガス百万立方フィートあたりおよそ25~1000ガロン(gal/MMcf)の随伴水を生じることがある[Shaffer,D.L.ら,Environ.Sci.Technol.2013,47,9569-9583]。
【0003】
このような随伴水は、飲用に通常許容されるよりも高濃度の総溶解固形分(TDS)又は表面に排出された水をしばしば含有し、例えば、一部の随伴水は8000~360000mg/LのTDS範囲を有し、一方、或る水質基準はたったの500mg/Lを許容する。さらに、随伴水は、石油・ガス回収プロセスで使用した化学物質を含有することがあり、これは結果的に、低い又は高いpH、高い有機分、又は比較的高濃度の懸濁物質を有する随伴水を生じることがある[R.L.McGinnisら,Desalination,2013,312,67-74;Shaffer,D.L.ら,Environ.Sci.Technol.2013,47,9569-9583]。
【0004】
一般的に採用される廃水処分方法は、深坑井注入を含み、これは、廃水を輸送し、以前に掘削された坑井へ注入することを含む。このような処分方法は、費用がかさむことがあり、例えば、カナダ西部のMontney Shaleからの随伴水の処分コストは、およそ$50/m3である[Paktinat,J.ら,Canadian Society for Unconventional Gas/Society of Petroleum Engineers,149272,2011]。深坑井処分に関連したいくつかの危険もあり、例えば、このような処分方法は、既存の断層線に圧力をかけることで、「人工」地震を誘発することがある。アメリカ地質調査所(USGS)によって報告されたように、1970年から2000までの間に毎年平均20回の地震が観察されたことに比べて、2010年から2013年までの間に毎年平均100回の地震が発生しており、これは水圧破砕及び深坑井注入を通じた廃棄物処分の増加と関連があることが見出されている[2015年6月12日にアクセス時の、http://time.com/84225/fracking-and-earthquake-link/、2015年6月12日にアクセス時の、http://www.cbc.ca/news/canada/calgary/earthquake-hazard-linked-with-deep-well-injection-in-alberta-1.2751963、2015年6月12にアクセス時の、http://www.usgs.gov/blogs/features/usgs_top_story/man-made-earthquakes/]。
【0005】
処分方法の代替として、現在採用されている廃水を浄化するための方法は、蒸留(例えば、機械的蒸気圧縮「MVC」)、結晶化、逆浸透、及び正浸透を含む。MVCは、高い塩分濃度の随伴水から水を蒸発させるために開ループのヒートポンプを用いる蒸発技術である。このような蒸発技術は本質的にエネルギー集約型であり、MVCユニットは、60℃で動作することができるが、それらの特異的なエネルギー消費は、14kWh/m3留出物(例えば、600m3留出物/日でエネルギー消費13.6kWh/m3留出物、及び随伴水からの留出物の回収率30%)に近いことがある[Shaffer,D.L.ら,Environ.Sci.Technol.2013,47,9569-9583]。対照的に、結晶化は、水の完全な蒸発に関係した蒸発による廃水浄化プロセスであり、これは結果的に固体塩を生じ、したがって液体排出ゼロの浄化プロセスを提供する。しかしながら、結晶化は、その高い機械的/熱エネルギー要件に部分的に起因して、費用がかさむ浄化方法としばしば考えられる。
【0006】
逆浸透(RO)は、システムの固有の浸透圧差に打ち勝つように水圧をかけることによって溶媒(例えば、廃水)を高溶質濃度の領域(フィード溶液)から半透過性の塩排除膜を通して低溶質濃度の領域へ強制する、膜に基づく分離プロセスである。一般に、必要とされる水圧は高く(≧50atm)、その結果、ROからのエネルギー消費はMVCと同等であり得る。ROの性能は、膜ファウリングと、フィード溶液濃度に関する70000mg/L TDSの高圧動作限界によってさらに低下する[Shaffer,D.L.ら,Environ.Sci.Technol.2013,47,9569-9583;Stone,M.L.ら,Desalination,2013,312,124-129]。
【0007】
対照的に、正浸透(FO)は、別の膜に基づく分離プロセスであり、他の水浄化方法に代わる、より低いコスト、より低い圧力を提供する。FOは、塩排除半透膜の一方の側部のフィード溶液(例えば、廃水)と、膜の他方の側部の高濃度のドロー溶質を含有するドロー溶液との間の固有の浸透圧の差の結果としての、水の自発的に半透膜を渡る移動によって動作する。浸透圧が膜の両側で平衡になると、水の移動が止まる。希釈されたドロー溶液中の水からドロー溶質を分離することによって清浄水を得ることができる。
【0008】
希釈されたドロー溶液からのドロー溶質の除去によるFOシステムからの水の分離を容易にするべく、切り替え可能な及び/又は熱分解性のドロー溶質が開発されてきた。
【0009】
PCT出願のPCT/CA2011/050075で説明されるように、Jessopらは、最初のイオン強度と増加したイオン強度との間で切り替え可能である、切り替え可能な水組成物及び関連するシステムを開発しており、この組成物は、水と、切り替え可能なアミン添加剤を含む。プロトン化させるのに十分に塩基性の少なくとも1つの窒素を含むアミン添加剤は、水とイオン化トリガ(例えば、CO2)の存在下でアンモニウム塩に可逆的に変換され、これにより、水のイオン強度及び浸透圧を増加させることができる。イオン系を減圧、熱、及び/又はフラッシングガス(例えば、空気、窒素)に曝すことにより、アミン添加剤が脱プロトン化され、水がその最初のイオン強度に戻ることになる。脱プロトン化された添加剤は、通常、そのイオン対の相手と比べて水からより容易に分離可能である。そのイオン強度及び浸透圧を可逆的に増加させる能力と、水から切り替え可能な添加剤を除去可能であることを含む、切り替え可能な水組成物の固有の特徴は、この組成物を、FOドロー溶液としての使用に特に良く適するものにする。
【0010】
Neffによって米国特許US3130156で及び後にMcGinnisによって(例えば、米国特許US7560029参照)説明されたように、熱分解性のアンモニアベースのドロー溶液を含むFOシステムも開発されている。これらのアンモニアベースのFOシステムは、アンモニアを水の存在下でCO2に曝してアンモニウム塩を生成することによって生じた比較的高い浸透圧のドロー溶液を組み入れている。このようなFOシステムからの水の分離は、希釈されたドロー溶液のアンモニウム塩をそれらの成分ガスに分解し、これらのガスを水から分離することによって可能であると言われている。しかしながら、Jessopらによって説明されたように、アンモニアベースのドロー溶液に関係するプロセスは、アミンベースのドロー溶液に関係するプロセスよりもエネルギー集約型であり、例えば、NH4
+塩の脱プロトン化は、比較できるNR3H+系に関するたったの36.9kJ/molに対して52.3kJ/molのエネルギー入力を必要とする[Mucci,A.;Domain,R.;Benoit,R.L.Can.J.Chem.1980,58,953-958]。
【0011】
より最近では、Ikedaら、Elimelechら、及びForward Water Technologiesが、トリメチルアミン(TMA)ベースのドロー溶液を含むFOシステムを説明している[例えば、PCT出願のPCT/JP2011/072261、及びBoo,C.,Journal of Membrane Science,2015,473,302-309参照]。TMAは、中性の形態と、水の存在下でイオン化トリガ(例えば、酸性ガス)に曝したときのイオン化した形態との間で切り替えることができるアミン添加剤であり、したがって、Jessopらによって最初に説明された切り替え可能な浸透強度を有する溶液を提供するのに有用である。アンモニアのように、TMAは、周囲温度及び圧力では気体であり、したがって、イオン化したTMA塩を含む溶液に減圧、熱、又はフラッシングガスを適用することにより、これはTMAガスを含めてその構成成分に戻ることになり、これにより、溶液からのTMAの除去が容易になる。したがって、アンモニアベースのFOシステムと同様に、TMAベースのFOシステムは、アンモニアベースのシステムよりも低いエネルギー要件でドロー溶液から水を分離するための簡便な手段を提供する。
【0012】
Ikedaらは、0.1~3.5wt%のTDSを含有するフィード溶液でそれらのイオン化したTMAベースのFOシステムの使用を実証し、一方、Elimelechらは、ドロー溶質としてのTMAの使用性を単に実証するのにフィード溶液として脱イオン水だけを用いた。両グループは、それらのFOシステムにおいてかなり希薄ドロー溶液、すなわち、<26wt%(Ikedaら)及び11wt%(Elimelechら)のイオン化したTMAを採用した。Ikedaら及びElimelechらによって行われた研究は、淡水のフィードストリーム又は海水にほぼ等しい塩濃度を有するフィードストリームでFOシステムのドロー溶液中の切り替え可能な薬剤としてのイオン化したTMAの使用を実証した。これらの研究で用いられたフィードストリームは、ROシステムで容易に採用される。しかしながら、前述のように、ROシステムは、フィード溶液に関する70000mg/L TDSの高圧動作限界を有し、より濃縮されたフィードストリームは、一般にROを用いて処理することができず、代替的な処理方法を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
アンモニアベースのFOシステムよりも低いエネルギーで動作し、水からドロー溶質を分離する簡便な方法を提供し、ROシステムによる他の方法では処理することができない高TDSを有する工業プロセス廃水などのフィード溶液の浄化に有用なFOシステムが依然として必要とされている。
【0014】
上記の情報は、本発明に関連している可能性があると出願人が考える公知の情報を提示する目的で提供される。上記の情報のいずれも本発明に対する従来技術を構成することの自認は必ずしも意図しておらず、自認と解釈されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本出願の目的は、切り替え可能な正浸透システム及びそのプロセスを提供することである。
【0016】
本出願の一態様によれば、水性フィードストリームを処理するためのプロセスであって、≧20wt%のドロー溶質濃度を有する水性ドロー溶液を用いる正浸透を含み、ドロー溶質は、イオン化したトリメチルアミンと対イオンを含み、フィードストリームが、(i)≧5wt%の総溶解固形分を含む、(ii)≦20℃の温度である、(iii)≧30℃から≦60℃までの間の温度である、(iv)酸性のpH又は塩基性のpHを有する、(v)有機分を含む、(vi)懸濁物質を含む、又は(vii)i)~vi)の2つ以上の任意の組み合わせである、プロセスが提供される。
【0017】
一実施形態によれば、正浸透を含むプロセスであって、正浸透が、a)水を選択的に透過させる半透膜の一方の側部にフィードストリームを導入することと、b)半透膜の他方の側部にドロー溶液を導入することと、c)濃フィード溶液及び希薄ドロー溶液を形成するべく水がフィード溶液から半透膜を通してドロー溶液へ流れることを可能にすることとを含む、プロセスが提供される。
【0018】
別の実施形態によれば、正浸透が、d)希薄ドロー溶液からドロー溶質を分離することと、e)分離されたドロー溶質から濃ドロー溶液を再構成することをさらに含む、正浸透を含むプロセスが提供される。
【0019】
別の実施形態によれば、希薄ドロー溶液からドロー溶質を分離することが、逆浸透、揮発、加熱、フラッシングガス、真空又は部分真空、攪拌、又はこれらの任意の組み合わせを含む、プロセスが提供される。
【0020】
別の実施形態によれば、濃ドロー溶液を再構成することが、a)トリメチルアミンの水性溶液に二酸化炭素などのイオン化トリガを導入すること、b)二酸化炭素などのイオン化トリガの水性溶液にトリメチルアミンを導入すること、c)水性溶液にトリメチルアミンと二酸化炭素などのイオン化トリガを同時に導入すること、又はd)これらの任意の組み合わせを含む、プロセスが提供される。
【0021】
別の実施形態によれば、プロセスが、i)閉じたプロセス、ii)継続的にサイクルされるプロセス、又はiii)これらの組み合わせである、プロセスが提供される。
【0022】
別の実施形態によれば、フィード溶液が、5から30wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から25wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から20wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から15wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から10wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に6から10wt%までの間の総溶解固形分を含む、プロセスが提供される。
【0023】
別の実施形態によれば、総溶解固形分が、金属酸化物、鉱物、一価のイオン、二価のイオン、三価のイオン、又はこれらの任意の組み合わせを含む、プロセスが提供される。
【0024】
別の実施形態によれば、フィード溶液が、0から15℃までの間、又は代替的に0から10℃までの間、又は代替的に0から5℃までの間、又は代替的に3から5℃までの間の温度である、プロセスが提供される。
【0025】
別の実施形態によれば、フィード溶液が、30から60℃までの間、又は代替的に30~50℃、又は代替的に30~40℃、又は代替的に30~35℃の温度である、プロセスが提供される。
【0026】
別の実施形態によれば、フィード溶液が、pH≦6、又は代替的に≦5、又は代替的に≦3を有する、プロセスが提供される。別の実施形態によれば、フィード溶液が、pH≧8、又は代替的に≧9、又は代替的に≧11を有する、プロセスが提供される。
【0027】
別の実施形態によれば、フィード溶液の有機分が、懸濁又は可溶化した有機化合物、炭水化物、多糖類、タンパク質、藻類、ウィルス、植物質、動物質、又はこれらの任意の組み合わせを含む、プロセスが提供される。
【0028】
別の実施形態によれば、フィード溶液が懸濁物質を含む、プロセスが提供される。
【0029】
別の実施形態によれば、フィード溶液が、硬水、プロセス水、随伴水、フローバック水、廃水、又はこれらの任意の組み合わせである、プロセスが提供される。
【0030】
別の実施形態によれば、ドロー溶液が、≧30wt%から飽和までの間、又は代替的に30から70wt%までの間、又は代替的に30から60wt%までの間、又は代替的に30から50wt%までの間、又は代替的に30から40wt%までの間のドロー溶質濃度を有する、プロセスが提供される。別の実施形態によれば、ドロー溶液が、30から40wt%までの間、又は代替的に60から70wt%までの間のドロー溶質濃度を有する、プロセスが提供される。
【0031】
別の実施形態によれば、フィードストリームが、≧5wt%の総溶解固形分と、(i)有機分、(ii)懸濁物質、又は(iii)有機分と懸濁物質との両方を含む、複合フィードストリームである、プロセスが提供される。
【0032】
本出願の別の態様によれば、正浸透システムであって、(i)≧20wt%のドロー溶質濃度を有する水性ドロー溶液と、ドロー溶質は、イオン化したトリメチルアミンと対イオンを含み、(i)少なくとも1つの正浸透要素と、を備え、少なくとも1つの正浸透要素は、第1の側部及び第2の側部を有する、水を選択的に透過させる半透膜と、フィード溶液を膜の第1の側部と流体連通させるための少なくとも1つのポートと、ドロー溶液を膜の第2の側部と流体連通させるための少なくとも1つのポートとを備え、水が、濃フィード溶液及び希釈されたドロー溶液を形成するべくフィード溶液から半透膜を通してドロー溶液へ流れる、システムが提供される。
【0033】
一実施形態によれば、a)希薄ドロー溶液からドロー溶質又はイオン化していない形態のドロー溶質を分離するための手段と、b)分離されたドロー溶質又はイオン化していない形態のドロー溶質からドロー溶液を再構成するための手段とを備えるドロー溶液を再生させるためのシステムをさらに備える、システムが提供される。
【0034】
別の実施形態によれば、希薄ドロー溶液からドロー溶質を分離するための手段が、逆浸透システム、揮発、加熱、フラッシングガス、真空又は部分真空、攪拌、又はこれらの任意の組み合わせを含む、システムが提供される。
【0035】
別の実施形態によれば、分離されたドロー溶質又はイオン化していない形態のドロー溶質からドロー溶液を再構成するための手段が、a)トリメチルアミンの水性溶液に二酸化炭素などのイオン化トリガを導入するための手段、b)二酸化炭素などのイオン化トリガの水性溶液にトリメチルアミンを導入するための手段、c)水性溶液にトリメチルアミンと二酸化炭素などのイオン化トリガを同時に導入するための手段、又はd)これらの任意の組み合わせを含む、システムが提供される。
【0036】
別の実施形態によれば、システムが、(i)閉じている、(ii)継続的にサイクルされる、又は(iii)これらの組み合わせである、システムが提供される。
【0037】
別の実施形態によれば、フィード溶液が、5から30wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から25wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から20wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から15wt%までの間の総溶解固形分、又は代替的に5から10wt%までの間、又は代替的に6から10wt%までの間の総溶解固形分を含む、システムが提供される。
【0038】
別の実施形態によれば、総溶解固形分が、金属酸化物、鉱物、一価のイオン、二価のイオン、三価のイオン、又はこれらの組み合わせを含む、システムが提供される。
【0039】
別の実施形態によれば、フィード溶液が、0から15℃までの間、又は代替的に0から10℃までの間、又は代替的に0から5℃までの間、又は代替的に3から5℃までの間の温度である、システムが提供される。
【0040】
別の実施形態によれば、フィード溶液が、30から60℃までの間、又は代替的に30~50℃、又は代替的に30~40℃、又は代替的に30~35℃の温度である、システムが提供される。
【0041】
別の実施形態によれば、フィード溶液が、pH≦6、又は代替的に≦5、又は代替的に≦3を有する、システムが提供される。別の実施形態によれば、フィード溶液が、pH≧8、又は代替的に≧9、又は代替的に≧10を有する、システムが提供される。
【0042】
別の実施形態によれば、フィード溶液が有機分を含む、システムが提供される。別の実施形態によれば、有機分が、懸濁又は可溶化した有機化合物、炭水化物、多糖類、タンパク質、藻類、ウィルス、植物質、動物質、又はこれらの任意の組み合わせを含む、システムが提供される。
【0043】
別の実施形態によれば、フィード溶液が懸濁物質を含む、システムが提供される。
【0044】
別の実施形態によれば、フィード溶液が、硬水、プロセス水、随伴水、フローバック水、廃水、又はこれらの任意の組み合わせである、システムが提供される。
【0045】
別の実施形態によれば、ドロー溶液が、≧30wt%から飽和までの間、又は代替的に30から70wt%までの間、又は代替的に30から60wt%までの間、又は代替的に30から50wt%までの間、又は代替的に30から40wt%までの間のドロー溶質濃度を有する、システムが提供される。別の実施形態によれば、ドロー溶液が、30から40wt%までの間、又は代替的に60から70wt%までの間のドロー溶質濃度を有する、システムが提供される。
【0046】
別の実施形態によれば、フィードストリームが、≧5wt%の総溶解固形分と、(i)有機分、(ii)懸濁物質、又は(iii)有機分と懸濁物質との両方を含む、複合フィードストリームである、システムが提供される。
【0047】
本出願の別の態様によれば、(i)水と、(ii)≧20wt%の濃度のイオン化したトリメチルアミンと、(iii)イオン化したトリメチルアミンの対イオンとして作用するのに適した濃度の陰イオン種とを含む、正浸透プロセスのためのドロー溶液が提供される。
【0048】
一実施形態によれば、イオン化したトリメチルアミンが、≧30wt%から飽和までの間、又は代替的に30から70wt%までの間、又は代替的に30から60wt%までの間、又は代替的に30から50wt%までの間、又は代替的に30から40wt%までの間の濃度で存在する、ドロー溶液が提供される。
【0049】
別の実施形態によれば、陰イオン種が、炭酸塩、重炭酸塩、又はこれらの組み合わせである、ドロー溶液が提供される。
【0050】
別の実施形態によれば、陰イオン種の発生源がCO2ガスである、ドロー溶液が提供される。
【0051】
本出願並びにその他の態様及びさらなる特徴のより良い理解のために、付属の図面及び表と併せて用いられることになる以下の説明への参照がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1A】本明細書で説明され用いられる正浸透(FO)フローセルの例を示す図である。
【
図1B】イオン化したトリメチルアミンのガスクロマトグラフィ-水素炎イオン型検出器(GC-FID)分析の検量線である。
【
図1C】イオン化したトリメチルアミンのフーリエ変換赤外分光法(FT-IR)分析の検量線である。
【
図2】時間(3時間)及び種々のフィード溶液濃度に対する66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液の質量の変化を描いているグラフである。
【
図3】時間(3時間)に対する33wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液の質量の変化を描いているグラフである。
【
図4】3wt%のNaClフィード溶液を装備したフローセルにおける、時間(24時間)に対する33wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液の、28日間にわたる24時間動作に基づく質量の変化を描いているグラフである。
【
図5】33wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液及び3wt%のNaClフィード溶液を装備した本明細書で説明されるFOフローセルにより得られる28日間にわたる動作の最初の1時間に基づく流束を描いているグラフである。
【
図6】33wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液及び3wt%のNaClフィード溶液を装備した本明細書で説明されるFOフローセルにより得られる28日間にわたる動作の次の1時間後の計算された逆塩流束量を描いているグラフである。
【
図7】種々の濃度のNaCl又はNaCl/CaCl
2を含有するフィード溶液(前記NaCl/CaCl
2を含有するフィード溶液は、%総溶解固形分;%TDSで示される)を装備したFOフローセルにおける、時間(3時間)に対する33wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液の質量の変化を描いているグラフである。
【
図8】種々の濃度のNaCl/CaCl
2を含有するフィード溶液(前記NaCl/CaCl
2を含有するフィード溶液は、%TDSで示される)を装備したFOフローセルにおける、時間(3時間)に対する66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液の質量の変化を描いているグラフである。
【
図9】フィード溶液の温度を変えた状態での、6wt%TDSのフィード溶液(FS)を装備したFOフローセルにおける、時間(3時間)に対する66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液の質量の変化を描いているグラフである。
【
図10】フィード溶液とドロー溶液(DS)との両方の温度を変えた状態での、6wt%TDSのフィード溶液(FS)を装備したFOフローセルにおける、時間(3時間)に対する66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液の質量の変化を描いているグラフである。
【
図11】フィード溶液のpHを変えた状態での、6wt%TDSのフィード溶液(FS)を装備したFOフローセルにおける、時間(3時間)に対する33wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液の質量の変化を描いているグラフである。
【
図12】本明細書で説明され用いられるイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液の再構成のための装置構成の例示的な限定ではない例の図である。
【
図13】低塩の水性フィード溶液(<1wt%TDS)を装備したFOフローセルにおける、時間(3時間)に対する66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液の質量の変化の対照実験を描いているグラフである。
【
図14】トリメチルアミンのFT-IR分析のための検量線である。
【
図15】より大規模のFOフローセルにおける、時間(1時間)に対する12.5wt%のNaClドロー溶液及び3wt%のNaClフィード溶液の質量の変化を描いているグラフである。
【
図16】より大規模のFOフローセルにおける、時間(1時間)に対する33wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液及び3wt%のNaClフィード溶液の質量の変化を描いているグラフである。
【
図17】本明細書で説明され用いられる希釈されたドロー溶液からイオン化したトリメチルアミン及び対イオンをドロー溶質として除去するための装置構成の例示的な限定ではない例の図である。
【
図18】ドロー溶液からのドロー溶質の除去におけるスパージングガス及びそれらの効果の比較を描いているグラフである。
【
図19】本明細書で説明され用いられるより大規模のFOフローセルの例示的な限定ではない例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
表1Aは、NaClフィード溶液及び66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したフローセルからの、各ランの最初の1時間に関して計算された流束(LMH)値を示す。
【0054】
表1Bは、トリメチルアミンの分析のためのFT-IR検量線データを示す。
【0055】
表1Cは、イオン化したトリメチルアミンの分析のためのFT-IR検量線データを示す。
【0056】
表2は、NaClフィード溶液及び66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したフローセルに関する、GC-FIDによって計算した場合のフィード溶液中に存在するwt%トリメチルアミンの逆塩流束値を示す。
【0057】
表3は、NaClフィード溶液及び33wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したフローセルに関する、GC-FIDによって計算した場合のフィード溶液中に存在するwt%トリメチルアミンの逆塩流束値を示す。
【0058】
表4は、25℃でのNaCl又はNaCl/CaCl2を含有するフィード溶液(NaCl/CaCl2を含有するフィード溶液は、%総溶解固形分;%TDSで示される)を装備したFOフローセルに関する、フローセル動作の最初の1時間の計算された流束値(LMH)を示す。
【0059】
表5は、NaCl又はNaCl/CaCl2を含有するフィード溶液(NaCl/CaCl2を含有するフィード溶液は、%総溶解固形分;%TDSで示される)を装備したFOフローセルに関する、FT-IRによって計算した場合のフィード溶液中に存在するwt%イオン化したトリメチルアミンの逆塩流束値を示す。
【0060】
表6は、フィード溶液の温度を変えた状態での、6wt%TDSのフィード溶液及び66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したFOフローセルに関する、フローセル動作の最初の1時間の計算された流束値(LMH)を示す。
【0061】
表7は、フィード溶液の温度を変えた状態での、6wt%TDSのフィード溶液及び66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したFOフローセルに関する、FT-IRによって計算した場合のフィード溶液中に存在するwt%イオン化したトリメチルアミンの逆塩流束値を示す。
【0062】
表8は、フィード溶液及びドロー溶液の温度を変えた状態での、6wt%TDSのフィード溶液及び66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したFOフローセルに関する、FT-IRによって計算した場合のフィード溶液中に存在するwt%イオン化したトリメチルアミンの逆塩流束値を示す。
【0063】
表9は、フィード溶液のpHを変えた状態での、6wt%TDSのフィード溶液及び33wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したFOフローセルに関する、フローセル動作の最初の1時間の計算された流束値(LMH)を示す。
【0064】
表10は、フィード溶液のpHを変えた状態での、6wt%TDSのフィード溶液及び33wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したFOフローセルに関する、FT-IRによって計算した場合のフィード溶液中に存在するwt%イオン化したトリメチルアミンの逆塩流束値を示す。
【0065】
表11は、<1wt%TDS廃水のフィード溶液及び66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したFOフローセルに関する、フローセル動作の最初の1時間の計算された流束値(LMH)と、FT-IRによって計算した場合のフィード溶液中に存在するwt%イオン化したトリメチルアミンの逆塩流束値を示す。
【0066】
表12は、FO処理前の採掘尾鉱サンプルのCaduceanからの最初の誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-OES)分析を示す。
【0067】
表13は、66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したFOフローセルにおける、FO処理後の採掘尾鉱サンプルのCaduceanからのICP-OES分析を示す。
【0068】
表14は、採掘尾鉱フィード溶液及び66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したFOフローセルに関する、フローセル動作の最初の1時間の計算された流束値(LMH)を示す。
【0069】
表15は、48時間にわたる、採掘尾鉱フィード溶液及び66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したFOフローセルに関する、FT-IRによって計算した場合のフィード溶液中に存在するwt%イオン化したトリメチルアミンの逆塩流束(逆塩流束)値を示す。
【0070】
表16は、FO処理前及びFO処理後の、受け入れた濃縮都市下水分析からの選択パラメータの分析を示す。
【0071】
表17は、FO処理前及びFO処理後の、随伴廃水サンプルからの選択パラメータの分析を示す。
【0072】
表18は、FO処理前及びFO処理後の、随伴廃水サンプルのCaduceanからのICP-OES分析を示す。
【0073】
表19は、フローバック廃水のフィード溶液及び66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したFOフローセルに関する、フローセル動作の最初の1時間の計算された流束値(LMH)を示す。
【0074】
表20は、FO処理前及びFO処理後の、フローバック廃水に関する選択パラメータの分析を示す。
【0075】
表21は、FO処理前及びFO処理後の、受け入れたフローバック廃水のICP-OES分析を示す。
【0076】
表22は、中空繊維モジュール膜を装備したFOフローセルを用いる、FO処理されるシミュレートされた及び受け入れたフィード溶液とイオン化したTMAドロー溶液のパラメータ及び結果を示す。
【0077】
表23は、二酸化炭素の種々の動圧の下での50mLの45%TMAのカーボネーションに関する最高温度を示す図である。
【0078】
表24は、大規模のFOフローセルにおける、12.5wt%のNaClドロー溶液及び3wt%のNaClフィード溶液を装備したFOフローセルに関する、フローセル動作の最初の1時間の計算された流束値(LMH)と、FT-IRによって計算した場合のフィード溶液中に存在するwt%イオン化したトリメチルアミンの逆塩流束値を示す。
【0079】
表25は、ICP-OES分析によって求めた場合の、FO処理される汽水、脱油水、及び弱酸性陽イオン交換処理されたプロセス水に関して計算された%TDS阻止率を示す。
【0080】
他に定めのない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語及び科学用語は、この発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味をもつ。
【0081】
本明細書及び請求項で用いられる場合の単数形(「a」「an」及び「the」)は、文脈上他の意味に明白に規定される場合を除き、複数形の言及を含む。
【0082】
本明細書で用いられる場合の「備える、含む(comprising)」という用語は、以下のリストが、網羅的なものではなく、任意の他のさらなる適切なアイテム、例えば、1つ又は複数のさらなる特徴、コンポーネント、及び/又は成分を適宜含む又は含まない場合があることを意味すると理解される。
【0083】
「切り替えられる」という用語は、物理的特性、特に、イオン強度が変更されていることを意味する。「切り替え可能」は、物理的特性の第1の組を有する第1の状態(本出願では、これは所与のイオン強度の第1の状態を指す)から物理的特性の第2の組を有する第2の状態(すなわち、より高いイオン強度の状態)に変換することができることを意味する。「トリガ」は、物理的特性、例えば、イオン強度の変化を生じる条件の変化(例えば、ガスの導入又は除去、温度の変化)である。「可逆」という用語は、反応が、反応条件に応じてどちらかの方向(逆方向又は順方向)に進むことができることを意味する。
【0084】
「炭酸水」又は「CO2水溶液」は、CO2が溶解している水の溶液を意味する。「CO2飽和水」は、CO2がその温度で最大限に溶解している水の溶液を意味する。
【0085】
本明細書で用いられる場合の「二酸化炭素を実質的に含有しないガス」は、該ガスが溶液からのCO2の除去に干渉するには不十分なCO2含有量を有することを意味する。いくつかの用途に関して、空気は、CO2を実質的に含有しないガスであり得る。未処理の空気、すなわち、CO2含有量が自然起源の空気から変化していない空気が上手く採用される場合があり、これはコストの削減を提供するであろう。例えば、いくつかの状況において、空気中に存在するおよそ0.04体積%のCO2は、空気が溶液からCO2を除去するのに用いられるトリガとなって切り替えをもたらすことができるように添加剤を切り替えられた形態に維持するには不十分であることから、空気はCO2を実質的に含有しないガスであり得る。同様に「CO2、CS2、又はCOSを実質的に含有しないガス」は、溶液からのCO2、CS2、又はCOSの除去に干渉するには不十分なCO2、CS2、又はCOS成分を有する。
【0086】
本明細書で用いられる場合の「添加剤」は、正浸透のための切り替え可能なドロー溶液に用いられる場合のトリメチルアミンを指すのに用いられる場合がある。トリメチルアミン添加剤を含む水性溶液がトリガを受けるときに、添加剤は、2つの状態、すなわち、窒素が三価であり荷電していない、イオン化していない状態と、窒素がプロトン化されることにより正に荷電した窒素原子となる、イオン化した状態との間で可逆的に切り替える。本明細書での便宜のため、荷電していない又は非イオンの形態の添加剤は概して明記されないのに対して、イオンの形態が概して明記される。
【0087】
本明細書で用いられる場合の「イオン化したトリメチルアミン」という用語は、プロトン化した又は荷電したトリメチルアミンを指し、この場合、トリメチルアミンは、水/水性溶液の存在下で、限定はされないがCO2、COS、及び/又はCS2などの酸性ガスに曝すことによってプロトン化されている又は荷電している。
【0088】
イオン化した形態のトリメチルアミンは、本明細書で「アンモニウム塩」とも呼ばれる。イオン化したトリメチルアミンが水又は水性溶液の存在下で酸性ガスCO2に曝すことによって形成されるときに、イオンの形態のトリメチルアミンは、炭酸塩と重炭酸塩との両方を含む。その結果、ドロー溶液は、本明細書では、イオン化したトリメチルアミンと呼ばれるが、イオン化トリガがCO2のとき、ドロー溶液は、イオン化したトリメチルアミンの炭酸塩と重炭酸塩との混合物を含有することになることを理解されたい。この出願で提供される実施例では炭酸(水/水性溶液中のCO2)が言及され用いられるが、トリメチルアミンの窒素はまた、水/水性溶液中のCS2及び水/水性溶液中のCOSによってプロトン化されるであろう。したがって、この用語は、窒素の塩基性度を表すことを意図しており、3つの例示的なトリガガス(CO2、CS2、又はCOS)のうちのどれが用いられるかを示すことを意図していない。
【0089】
当業者にはすぐに分かるように、いくつかのプロトン化反応が完了することになるので、トリメチルアミン添加剤が本明細書で「プロトン化されている」とされるときには、化合物の分子のすべて又はその大部分がプロトン化されていることを意味する。例えば、分子の約90%よりも多く、又は約95%よりも多く、又は約95%が炭酸によってプロトン化される。
【0090】
「イオン」は、正又は負に荷電したイオン、すなわち、荷電した分子の形態を含んでいる又はこれに関係している又はこれを生じていることを意味する。「非イオン」は、実質的に形式電荷を有さない分子を含むことを意味する。非イオンは、どの種類のイオンも存在しないことを示さず、むしろ、かなりの量の塩基性窒素がプロトン化していない状態にあることを示す。本明細書で用いられる場合の「塩」は、正及び負に荷電したイオンから形成された正味電荷を有さない化合物である。
【0091】
溶液の「イオン強度」は、溶液中のイオンの濃度の尺度である。水に溶解したイオン化合物(すなわち、塩)は、イオンへ解離し、溶液のイオン強度を増加させることになる。溶液中に溶解したイオンの全濃度は、異なる化合物の解離又は溶解性などの溶液の重要な特性に影響することになる。溶液のイオン強度Iは、溶液中に存在するすべてのイオンの濃度の関数であり、通常、式(A)によって与えられる。
【0092】
【数1】
ここで、cは、イオンiのモル濃度、単位はmol/dm
3であり、zは、該イオンの電荷数であり、溶液中に溶解したすべてのイオンの総和がとられる。
【0093】
非理想溶液では、体積は加法的ではなく、それゆえ、イオン強度は重量モル濃度(mol/kg H2O)の観点で計算することが好ましい。したがって、イオン強度は、式(B)によって与えられることができる。
【0094】
【数2】
ここで、mは、イオンiの重量モル濃度、単位はmol/kg H
2Oであり、zは、式(A)に関して定義した通りである。
【0095】
「ICP-OES」という用語は、本明細書では、誘導結合プラズマ発光分光分析を指すのに用いられ、これは微量金属の検出のために用いられる技術である。
【0096】
本明細書で用いられる場合の、水圧破砕(又は「フラッキング」)からの廃水を言及するときの、「フローバック水」という用語は、水圧破砕手順が完了し、圧力が解放された後に、表面に戻る水を指す。この水は、圧力の解放後に坑井を上方へ流れて表面に出る塩、ゲル化剤、及び過剰のプロパントを含む。掘削及びフラクチャリングの完了後に、天然ガスと共に水が生じ、その一部は戻ったフラクチャリング流体であり、その一部は天然の地層水であり、この組み合わせが「随伴水」と呼ばれる。
【0097】
本明細書で用いられる場合の「酸性」は、<7、例えば、<7から6までの間のpH、又はpH≦6、又は代替的に≦5、又は代替的に≦3のpHを指す。本明細書で用いられる場合の「塩基性」は、>7、例えば、>7から8までの間のpH、又はpH≧8、又は代替的に≧9、又は代替的に≧11のpHを指す。本明細書で用いられる場合の「高い酸性」は、pH≦3を指し、本明細書で用いられる場合の「高い塩基性」は、pH≧11を指す。
【0098】
本明細書で用いられる場合の「有機分」は、限定はされないが、有機化合物(例えば、炭化水素、アルコール、エステル、脂肪酸、有機酸など)、タンパク質、炭水化物、多糖類、植物質、藻類、ウィルス、生体細胞など、又はこれらの任意の組み合わせなどのフィード溶液の炭素ベースの構成成分を指す。
【0099】
本出願は、正浸透のためのシステム(又は装置)及びプロセスを提供する。システム及びプロセスは、例えば、通常処理するのが困難な又は脱水するのが困難な高い総溶解固形分(TDS)を有する塩水などのフィードストリームの処理に有用である。システムは、海水又は汽水の脱塩による淡水の生産にも用いることができる。システム及びプロセスは、廃水、プロセス水、又は他の産業水性溶液(廃棄物又はプロセスのいずれかにおける)の部分脱水に有用である。浸透は、廃水/プロセス水/産業水性溶液を濃縮し、直接リサイクル又は廃棄する、若しくはリサイクル又は処分のためにさらに精製又は処理することができる精製水ストリームを生成する。一実施形態では、精製水ストリームは、≦3.5wt%の総溶解固形分(TDS)を含む。別の実施形態では、精製水ストリームは、≦1wt%のTDSを含み、さらに別の実施形態では、精製水ストリームは、≦0.5wt%のTDSを含む。一実施形態では、精製水ストリームは、総溶解固形分の重量パーセントを精製水ストリームの最終用途に適した濃度にさらに減少させるべくさらなる処理及び/又はポリッシングを受ける。
【0100】
前述のように、イオン化したトリメチルアミンは正浸透のためのドロー溶液に上手く用いられてきた(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、国際PCT出願のPCT/CA2011/050777参照)。高濃度のイオン化したトリメチルアミン(すなわち、>20~30重量%)は、高TDS廃水の正浸透処理における効果的なドロー溶質成分として用いることができることが現在見出されている。「高TDS」という用語は、本明細書では、海水(およそ3重量%又は3.5重量%)よりも高い、溶解した固体の濃度を指すのに用いられる。逆浸透などの現在の技術は、およそ3%を超える塩濃度のフィードストリームを脱水することができないので、これらのフィードストリームは処理するのが難しい。結晶化又は蒸留などの他の技術が利用可能ではあるが、前述のように、それらは大量のエネルギーを使用し、これは費用がかさみ、環境面で有害である可能性がある。
【0101】
本出願の正浸透装置は、正浸透プロセスによって分離、濃縮、濾過などを行う任意の装置を指す。したがって、正浸透装置は、高い浸透圧のドロー溶液と(ドロー溶液との関係において)より低い浸透圧のフィードストリームとの間の浸透圧差を人工的に生み出すことによりフィードストリームから水を移動させてドロー溶液を希釈する方法を行うのに有用な装置である。正浸透装置又はプロセスの生成物は、ドロー溶液の希釈から生じた水、又は結果として生じる濃縮されたフィードストリーム、又はその両方とすることができる。
【0102】
1つの例示的な実施形態では、本発明の正浸透装置及びプロセスは、廃水(限定はされないが、フラッキングからの随伴水又はフローバック水、都市下水、産業廃水、採掘廃水など)、プロセス水又は他の産業水性溶液(廃棄物又はプロセスのいずれかにおける)の部分的脱水に有用である。正浸透は、入力廃水/プロセス水/産業水性フィードストリームを濃縮し、直接リサイクル又は廃棄する、若しくはリサイクル又は処分のためにさらに精製又はポリッシング又は処理することができる精製された又は部分的に精製された水のストリームを生成する。随意的に、精製水は、その最終使用(例えば、環境規制)によって設定又は規定される場合の物理的特徴(塩濃度レベルなど)を有する飲用水又は農業用水又は他の精製水を生成するべくさらに精製又はポリッシングされる。いくつかの代替では、結果的に生じる濃縮されたフィードストリームは、製品として用いる又は有用な成分を分離するべくさらに処理することができる。
【0103】
特定の実施形態では、本発明の正浸透装置又はシステムは、入力フィードストリームと接触するように構成された半透膜と連通する濃ドロー溶液から本質的になる。装置は、入力フィードストリームを受け入れるための、及びフィードストリームからの水が膜を通ってドロー溶液に移動するのを容易にするべく、フィードストリームを、半透膜を越える又は渡るように流すための種々の手段を備えることができる。
【0104】
濃ドロー溶液
本発明の正浸透装置又はシステム及びプロセスで用いられる濃ドロー溶液は、処理又は脱水されるべきフィードストリームよりも高い浸透圧を提供するのに適した濃度の、イオン化したTMA及び対イオンであるドロー溶質を含む。対イオンは、そのイオン化した又は荷電した形態での水への溶解性と、その水から容易に除去される荷電していない形態に変換する及びドロー溶質の再形成のために荷電した形態に再変換する能力に基づいて選択される。好ましくは、荷電していない形態の対イオンは、周囲温度以下では揮発性であり、したがって、正浸透プロセスから形成された希薄ドロー溶液中の水から容易に分離することができる。
【0105】
或る実施形態では、対イオンは、CO2、CS2、又はCOSなどの酸性ガスから形成される。好ましくは、対イオンを生成するのに用いられる酸性ガスはCO2である。この場合、ドロー溶質は、イオン化したTMAと、炭酸塩対イオン、重炭酸塩対イオン、又は炭酸塩対イオンと重炭酸塩対イオンとの混合物を含む。
【0106】
濃ドロー溶液中のドロー溶質の濃度は、少なくとも20重量%である。代替的に、ドロー溶質の濃度は、少なくとも30重量%、又は約20重量%~約75重量%、又は約30重量%~約70重量%である。特定の実施形態において、濃ドロー溶液中のドロー溶質の濃度は、およそ30重量%又はおよそ67重量%である。ドロー溶質の適切な濃度の選択は、フィードストリームの総溶解固形分(「TDS」)濃度に部分的に基づく。濃ドロー溶液中のドロー溶質の濃度を求める際に考慮に入れられる他の因子は、例えば、膜を渡る所望の流束流量、システムの動作温度、及びシステムの動作圧力を含む。
【0107】
フィードストリーム
本発明の正浸透装置及びプロセスは、処理するのが通常は難しいフィードストリームの処理又は脱水の際に特に有用である。このようなフィードストリームは、高いTDS、高い酸性度又は高い塩基性度、低い温度、有機分の存在、及び/又は懸濁物質の存在によって特徴付けられるものを含むがこれに限定されない。特定の実施形態では、正浸透装置及びプロセスは、≧5wt%の総溶解固形分を含む、≦20℃の温度又は≧30℃から≦50℃までの間の温度である、酸性のpH又は塩基性のpHを有する、有機分を含む、及び/又は懸濁物質を含む、フィードストリームの処理に有用である。
【0108】
以下の実施例に示すように、本発明の正浸透装置及びシステムは、総溶解固形分が高い濃ドロー溶液を用いてフィードストリームを処理又は脱水する際に効果的である。これは、例えば、20重量%以上のドロー溶質を含むドロー溶液を用いる際の増加した粘度から予想される難しさに反している。例示的な結果を、以前に採用されたTMAベースの正浸透システムと比較して以下の表にまとめる:
【0109】
【0110】
【0111】
aFujifilmのCDSに関して、TMA:CO2のモル比は1:0.71(TMAが過剰)であるが、これは、CO3
2-を有している可能性を示し、単位換算を行うときにドロー溶液は主にTMAH-HCO3として存在するとみなされる;bTDSは、97wt%のNaClと3wt%のCaCl2を含む;cこの数値は、膜要素及び液体の流量に応じて変化する;d石油・ガスのプロセス水のTDSは、主としてNaClからなる;eフィード溶液とドロー溶液の組み合わせによる。
【0112】
特に価値があるのは、本発明の正浸透システム及びプロセスは、最小限の前処理で又は前処理なしに複合廃棄物ストリームを処理する際に有用である。これらの複合廃棄物ストリームは、高いTDS濃度と、例えば、懸濁物質及び/又は有機物質(例えば、有機化合物、細菌など)を含む他の成分の存在によって特徴付けられる。
【0113】
膜
本明細書で説明される正浸透装置又はシステム及びプロセスは、水を透過させる半透膜を備える。半透膜は、塩を透過させない又は最小限に透過させる。当該技術分野では公知のように、半透膜を製造するのに種々の材料を用いることができ、本発明の装置及びプロセスに用いるのに適した市販の膜が存在する。適切な膜の選択は、入力フィードストリームの性質及び/又は精製水出力の必要とされる特徴に部分的に依存することになる。
【0114】
一実施形態では、半透膜は、0~14のpH範囲内のpH許容値を備え、別の実施形態では、半透膜は、2~13のpH範囲内のpH許容値を備える。一実施形態では、フィード溶液が脱イオン水であり、ドロー溶液が3wt%の溶質濃度を有するときに、半透膜は≧33LMHの流束を備え、別の実施形態では、フィード溶液が脱イオン水であり、ドロー溶液が3wt%の溶質濃度を有するときに、半透膜は≦33LMHの流束を備える。
【0115】
一実施形態では、半透膜は、≦0.1mol/m2hの逆塩流束を備え、別の実施形態では、半透膜は、≧0.1mol/m2hの逆塩流束を備える。一実施形態では、半透膜は、≧80%の、又は代替的に94から99.9%までの間、又は代替的に≧99.9%のTDS阻止率を備える。
【0116】
別の実施形態では、半透膜は、-10~70℃の範囲内のフィード溶液温度許容値を備え、別の実施形態では、半透膜は、0~60℃の範囲内、又は代替的に3~50℃の範囲内、又は代替的に3~35℃の範囲内のフィード溶液温度許容値を備える。
【0117】
これらの結果及び以下の実施例でのさらなる結果で実証されるように、本発明のシステムは、正浸透を用いて処理するのが通常は難しいフィードストリームを処理する際に特に有用である。
【0118】
本明細書で説明される本発明のより良い理解を得るために以下の実施例が記載される。これらの実施例は、単に例示する目的のものであることを理解されたい。したがって、それらはこの発明の範囲を多少なりとも限定するものではない。
【実施例】
【0119】
実施例1:NaClフィード溶液での正浸透
材料:
トリメチルアミンは、Sigma Aldrichからおよそ40~45wt%の水に溶けた溶液として購入し、そのまま使用した。Coleman機器グレード二酸化炭素(99.99%)は、Air Liquideから購入した。脱イオン水(18MΩ・cm)は、Elga Purelab Pulseシステムを用いて供給した。所与の濃度の塩化ナトリウムのストックフィード溶液は、塩化ナトリウムを脱イオン水に溶かすことによって前もって調製した。3つの異なる市販膜供給業者から、それぞれ様々な厚さの、すなわち、0.07mm(TCM-1)、0.15mm(TCM-2)、及び0.09mm(TCM-3)の複合薄膜(TCM)を入手した。膜は、テストのためにカットし(直径4cm)、使用前に最低でも30分間、脱イオン水に浸すことによって調整した。湿潤したら、すべての膜は、テストの期間中、脱イオン水中に保存した。
【0120】
溶液:
Parr Instrument Companyからの5000 Multiple Reactor Systemを用いて、50mLのトリメチルアミン水溶液を75mL高圧ガス反応器内で9barの二酸化炭素圧力でカーボネーションすることによって、およそ66wt%のイオン化したトリメチルアミンのストックドロー溶液を作製した。
【0121】
本明細書及び以下で説明されるストックドロー溶液は40~45wt%の概算濃度の購入したTMA水溶液から作製されるので、すべての本明細書で報告されるイオン化したTMAの濃度も概算であり、TMA水溶液の濃度に応じて、およそ5wt%変動する場合があることに留意されたい。
【0122】
装置と分析:
この及び他の実験に用いられる正浸透フローセルが
図1Aに描かれる。フローセルは、(i)フィード溶液及びドロー溶液を循環させるためのポンプと、(ii)それを通して溶液が循環される膜カートリッジと、(iii)フィード溶液及びドロー溶液を収容する別々のリザーバと、(iv)時間に伴う質量変化を測定するためにその上にリザーバが置かれる別々の天秤と、(v)全体を通した接続チューブとを備えるものであった。
【0123】
FOフローセル内で、
図1Aに示されるように、フィード溶液は、フィードリザーバからポンプを通って膜の活性/阻止側を越えてフィードリザーバに戻るように循環され、同時に、ドロー溶液は、ドローリザーバからポンプを通って膜の支持側を越えてドローリザーバに戻るように循環され、フィード溶液とドロー溶液が同時に膜を通過する際に、水がフィード溶液から膜を渡ってドロー溶液へ移動し、リザーバは、時間に伴う溶液の質量変化をコンピュータにより記録するために天秤の上に置かれた。各フローセルのランに関して、質量変化データは、LabVIEW2012ソフトウェア(National Instruments)を備えるコンピュータに結合されたMettler Toledo PG2002-S天秤を用いて収集した。
【0124】
Agilent CP-volamineカラム(30m×0.32mm ID)を装備した、FID検出器に結合されたVarian 450-GCを用いて、GC-FIDクロマトグラムを収集した。GC分析の温度プロファイルは、最初の温度75℃に10分間保持され、その後、5℃/分で95℃に昇温され2分間保持された。キャリアガスとしてヘリウムを、注入スプリット比20:1で5mL/minで用いた。定量のための内標準としてイソプロパノールを用いた。GC-FID分析のための水性フィード溶液サンプルは、10mLメスフラスコの中で1mLの溶液を10μLのイソプロパノールと組み合わせ、メタノールで10mLに希釈することによって作製した。イオン化したトリメチルアミンの定量は、トリメチルアミンのピーク及びイソプロパノールのピークの面積を積分し、次いで、
図1Bに示された検量線と比較することによって行った。
【0125】
体積:
それぞれの溶液の体積は、正浸透フローセルの全体にわたる溶液の流れを容易にする又はフローセルがより長時間にわたってランすることを可能にするのに必要とされるチューブの浸漬を確実にするためだけ変化させたことに留意されたい。
【0126】
流束の計算:
流束は、次式を用いて計算した:
流束=[膜を渡るように駆動された水の体積(L)]/[膜の面積(m2)]/[単位時間(時間)]
【0127】
流束値は、動作の最初の1時間にわたって常に測定され報告された。FOフローランは、時間の経過に伴う膜の安定性、時間の経過に伴う逆塩流束の変化、及びフィード溶液の全体の%減少を判定するために、しばしば1時間よりも長い間、循環しているままにした。
【0128】
計算を容易にするために、TCM-1の製造業者によって提供されたスプレッドシートを用いた。計算に関する他のオプションは、時間に対するフィード溶液又はドロー溶液の質量の変化をグラフにすること、質量の変化の傾きを膜面積で割ること、及び単位をL/m2/hに変換することを含む。
【0129】
イオン化したトリメチルアミンのFT-IRの検量線作成:
イオン化したトリメチルアミンを分析するべくフーリエ変換赤外(FT-IR)検量線を引くために、種々の濃度のおよそ2滴の各標準溶液をATR-FT-IRセンサ(Agilent Cary 630 Ft-IR)上に滴下した。得られたスペクトルから水のスペクトルを差し引いた。1365cm
-1を中心とした1440~1300cm
-1の曲線下面積を記録し、次式を提供するべく検量線を引いた(表1C及び
図1C参照):
wt%イオン化したトリメチルアミン=[面積]/2.6994
【0130】
好気性条件下での正浸透のための代表的なフローセル手順:
調整された膜を、膜の活性/阻止層がフィード溶液の方に向けられた状態で、フローセルに装填した。セルを、膜のフィード溶液側とドロー溶液側との両方において脱イオン水100mLずつで3回フラッシュした。フィード溶液及びドロー溶液のリザーバとしてガラスボトル(250mL)を用いた。好気性条件下でセルをランするために、ボトルを空気に対して開放されたままにした。塩化ナトリウムのストックフィード溶液(3、9、及び15wt%)と66wt%のイオン化したトリメチルアミンを前述のように調製し使用した。各塩濃度で各膜に関して繰返しランを行った(フィード溶液/ドロー溶液の組み合わせにつき2回のラン)。ランの完了を時間の長さによって判定し、一部の最初のランは3時間であり、一方、他のランは6時間であった。
【0131】
塩溶液(200mL)をフィード溶液ボトルに装填し、66wt%のイオン化したトリメチルアミン水溶液(100mL)をドロー溶液ボトルに装填した。チューブを、ボトルの側部又は底部に触れないように各溶液の中に下した。LabViewソフトウェアでデータ収集を開始し、それに続いて循環ポンプ及びタイマを開始した。30秒後に、天秤で風袋引きをし、このときよりも前のどのデータポイントも分析から除外した。1時間単位で、ポンプを止め、GC-FID(1mL)又はFT-IR分析(<0.2mL)のためにシリンジでフィード溶液からサンプルを採取した。
【0132】
二酸化炭素環境下での正浸透のための代表的なフローセル手順:
調整された膜を、活性/阻止層がフィード溶液の方に向けられた状態で、フローセルに装填した。セルを、フィード溶液側とドロー溶液側との両方において脱イオン水100mLずつで3回フラッシュした。フィード溶液及びドロー溶液のリザーバとして250mLのガラスボトルを用いた。塩化ナトリウムのストック溶液(3、9、及び15wt%)と66wt%のイオン化したトリメチルアミンを前述のように調製し使用した。各塩濃度で各膜に関して繰返しランを行った。
【0133】
セルを一定のCO2雰囲気下におくために、250mLボトルのキャップをテフロン(登録商標)ライナで作製した。チューブがライナを通って溶液の中に入ることができるようにするためにライナに孔をあけた。CO2が針を通って各ボトルの中へ及びバブラーを経由して各ボトルの外へ流れるようにするために、3つのラインを有するガスマニホルドを用いた。気体トリメチルアミンがラインを逆流してCO2を汚染しないようにするために、各ライン上に逆止め弁を配置した。チューブを溶液に浸した状態で各ボトルを各ランの前に数秒間CO2でパージした。
【0134】
200mLの塩溶液をフィード溶液ボトルに装填し、100mLの66wt%のイオン化したトリメチルアミン水溶液をドロー溶液ボトルに装填した。チューブを、ボトルの側部又は底部に触れないように各溶液の中に下した。LabViewソフトウェアでデータ収集を開始し、それに続いて循環ポンプ及びタイマを開始した。30秒後に、天秤で風袋引きをし、このときよりも前のどのデータポイントも分析から除外した。1時間単位で、ポンプを止め、GC-FID(1mL)又はFT-IR分析(<0.2mL)のためにシリンジでフィード溶液からサンプルを採取した。
【0135】
結果と考察:
ストックNaClフィード溶液、イオン化したトリメチルアミンのドロー溶液、及び3つの商業的供給業者からの膜(膜TCM-1、TCM-2、及びTCM-3)を装備したフローセルを採用する正浸透システムを調べた。表1参照。
【0136】
表1に略述したように、TCM-1膜、3wt%のNaClフィード溶液、及び66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したフローセルから、26L/m
2h(LMH)の流束が測定された。26LMHの流束値は、ROシステムに関して一般に55~80barの圧力が必要とされ、本明細書で説明されるFOシステムが約1barの周囲圧力で動作していたことを考慮に入れて、報告された逆浸透(RO)海水脱塩流束値(30~40LMH)と比較できるものであったことが観察された。予想通りに、各ランの最初の60分にわたって計算される場合の流束値は、フィード溶液の塩分濃度が増加するのに伴い減少した(
図2参照)。18wt%の塩化ナトリウム及びブラインの高い塩分濃度のフィード溶液も、TCM-1膜を装備したFOフローセルを用いて処理された。フィード溶液から膜を渡ってドロー溶液への流束は、18wt%のNaCl及びブラインに関してそれぞれ9.1LMH及び4.6LMHの値と観察された。これは、本明細書で説明されるFOシステムは、高い塩分濃度の溶液を脱水することに適用可能であり得ることを示唆した。
【0137】
逆塩流束と呼ばれる、ドロー溶液から膜を横断してフィード溶液へ流れたイオン化したトリメチルアミンの量を、GC-FIDでの遊離したトリメチルアミン(TMA)の存在に関するテスト又はFT-IRでのイオン化したTMAの存在に関するテストのいずれかによるGC-FID分析(表2参照)又はFT-IR分析によって求めた。ドロー溶質が膜を渡ってフィード溶液へ移動する際の<1%のイオン化したトリメチルアミンでのドロー溶質の逆塩流束は概して小さかった。
【0138】
TCM-2膜又はTCM-3膜を用いるときに、流束は概してより低く、ドロー溶質の逆塩流束は概してより高かったことが観察された。理論に拘束されることを望むものではないが、これは、TCM-1膜の安定性が、TCM-2膜又はTCM-3膜の安定性よりも相対的に高いことを示していると考えられた。それにもかかわらず、どの場合にも、フィード溶液の顕著な濃縮が存在したという点で有効なFOが観察された。
【0139】
およそ33wt%のイオン化したトリメチルアミン溶液を、FOドロー溶液としての使用に関して評価した。ドロー溶質の低減された濃度は、正浸透プロセス後に除去する必要があるドロー溶質がより少ないという利点を提供し得ると考えられた。したがって、フローセルに、それぞれTCM-1又はTCM-2膜、3wt%のNaClフィード溶液、及び33wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備させ、ランした(
図3参照)。
【0140】
TCM-1膜を装備したフローセルに関して、測定された流束は、ドロー溶液の希釈に伴い顕著には減少しなかったことが観察され、例えば、66wt%のドロー溶液では26.1LMHの流束であり、これに対し、33wt%のドロー溶液では20.0LMHの流束であった。さらに、<0.5%で逆塩流束の%は低いままであったことが観察された(表3参照)。
【0141】
システムの長期の性能安定性を調べるために、TCM-1膜、3wt%のNaClフィード溶液、及び33wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備したFOフローセルを連続28日間ランした。フィード溶液とドロー溶液との両方は、24時間毎にリフレッシュされ、一方、膜は変更されなかった。フィード溶液及びドロー溶液の質量の変化を絶えずモニタリングし、その質量の変化を時間に対してプロットし、28日の間にかなり一貫した傾向を示した(
図4参照)。平均すると、システムに関する記録された流束値は18.9LMHであり、28日間にわたって流束の実質的な減少は観察されなかった(
図5参照)。
【0142】
2時間の動作後のフィード溶液へのドロー溶質の逆塩流束の量をGC-FID分析によって求めた(
図6参照)。28日間にわたって、各時間間隔での逆塩流束の量は大きく変化しないままであり(平均0.028wt%又は280ppm)、したがって、膜の劣化がほとんど或いは全く起こっていないと考えられた。
【0143】
実施例2:廃水での正浸透
廃水は、製造又は処理中にあらゆる原材料、中間生成物、最終製品、副産物、又は廃棄物と直接接触することになる、又はその生産又は使用から生じるあらゆる水としてアメリカ合衆国環境保護庁によって定義され、したがって、廃水又はプロセス水は、発生源に応じて組成が異なることがある。一般に、プロセス水は、海水よりも、より高濃度の総溶解固形分(TDS)及び有機分を含有する。プロセス水をフィード溶液としてシミュレートするために、二価の塩である塩化カルシウムを組み入れることによって高TDS溶液を調製した。NaClとCaCl2との比は97:3に設定した。すなわち、6wt%TDSのフィード溶液が、5.82%NaCl及び0.18%CaCl2を含み、10wt%TDSフィード溶液が、9.7%のNaCl及び0.3%のCaCl2を含むようにした。
【0144】
6%TDS及び10%TDSの両方のフィード溶液を、正浸透フローセルにおいて、33wt%及び66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液と共に用いた(
図7及び
図8)。
【0145】
実験方法:
およそ66wt%のイオン化したトリメチルアミンのストック溶液は、45wt%のトリメチルアミン水溶液溶液を2Lずつ、1ガロンのステンレス鋼Chemineer反応器内で、10barで30分間、カーボネーションすることによって作製した。結果的に得られるストック溶液は、「濃ドロー溶液」と呼ばれる。33wt%のイオン化したトリメチルアミンの溶液は、濃ドロー溶液を半分に希釈することによって作製した。6%総溶解固形分(5.82%塩化ナトリウム、0.18%塩化カルシウム、94%脱イオン水)及び10%総溶解固形分(9.7%塩化ナトリウム、0.3%塩化カルシウム、90%脱イオン水)を含むストックフィード溶液を、必要な量の塩を適切な量の脱イオン水に溶かすことによって調製した。
【0146】
調整されたTCM-1膜を、活性/阻止層がフィード溶液の方に向けられた状態で、フローセルに装填した。セルを、膜のフィード溶液側とドロー溶液側との両方において脱イオン水100mLずつで3回フラッシュした。フィード溶液及びドロー溶液を収容するためのリザーバとしてガラスボトル(250mL)を用いた。各フィード/ドローの組み合わせに関して3時間の繰返しランを行った。
【0147】
高TDSの塩溶液(200mL)をフィード溶液ボトルに装填し、ドロー溶液(100mL)をドロー溶液ボトルに装填した。チューブを、溶液が入っているボトルの側部又は底部に触れないように各溶液の中に下した。LabViewソフトウェアでデータ収集を開始し、それに続いて循環ポンプ及びタイマを開始した。30秒後に、その上に溶液ボトルが置かれた天秤で風袋引きをし、このときよりも前に収集されたどのデータポイントも分析から除外した(実施例1、
図1A参照)。1時間単位で、ポンプを止め、逆塩流束の分析のためにシリンジでフィード溶液からサンプルを採取した。逆塩流束量は、Agilent Technologiesから購入したCary 630 FT-IR分光器を用いてFT-IR分析によって求め、データ分析は、既知量のトリメチルアミン塩で作成した検量線を用いてMicroLabソフトウェアで行った(実施例1、
図1C参照)。
【0148】
結果と考察:
実際のプロセス廃水をシミュレートするために、このような水はカルシウム塩などの二価の塩を含有することが知られているので、カルシウムイオンをストックフィード溶液に組み入れた。しかしながら、カルシウムは、FOシステムでの石灰スケールの形成につながることがあり、これは膜の故障にも寄与することがあることが知られている。本明細書で説明されるFOシステムに関して、カルシウムイオンの導入は、それらが二価のカチオンであることに起因して流束の減少をもたらすこともあると考えられた。このような二価の化学種のイオン-イオン相互作用及び水和球(hydration sphere)は、一価の系(例えば、NaCl)内で起こるものとは異なることがある。
【0149】
表4に示されるように、TCM-1膜、66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液、及び6wt%TDSのフィード溶液を装備したフローセルにおいて、17LMHの流束が達成された。10wt%TDSフィード溶液がフローセル内にあったときに流束は顕著には減少しなかったことが観察された(15.0LMH)。予想通りに、33wt%のドロー溶液から観察された流束は、66wt%の溶液のときの流束よりも全体的に低く、ドロー溶液のより低いイオン強度をもたらした。
【0150】
6wt%TDSのフィード溶液の流束は、6wt%NaCl系に関して観察された流束よりも僅かに低かったことが観察され、66wt%ドロー溶液のときには17LMHに対して20LMHであった。これは、CaCl2の添加が溶液中に3つのイオン種(1つのCa+と2つのCl-)を生成し、それゆえ、このフィード溶液は当量パーセントのNaClフィード溶液のイオン強度よりも高いイオン強度を有し、結果として、フィード溶液のイオン強度とドロー溶液のイオン強度との間により少ない差が存在したためであると思われる。
【0151】
図7及び
図8に示されるように、FOによるフィード溶液の脱水中にドロー溶液の質量が増加する速度は、フィード溶液の塩濃度が増加するのに伴い減少した(3、6、及び/又は9wt%NaClフィード溶液に関する前述の結果が、比較のために
図7及び
図8に含まれることに留意されたい)。
【0152】
フィード溶液へのドロー溶質の逆塩流束を、FT-IR分光法によって1時間毎にモニタリングした(表5参照)。より高濃度(33wt%に対して66wt%)のドロー溶液を用いたときにより大きい度合いの逆塩流束が生じたことが観察された。これは、ドロー溶液の希釈性の結果としてより少ないアミンがフローセルの膜に干渉し、したがって、逆塩流束のポテンシャルが減少することに起因すると考えられた。さらに、フィード溶液のTDSが増加するのに伴い、ドロー溶質の逆塩流束の量が減少したことが観察され、例えば、180分後に、10wt%TDSのフィード溶液及び66wt%のドロー溶液を装備したフローセルに関する0.024wt%と比べて、6wt%TDSのフィード溶液及び66wt%のドロー溶液を装備したフローセルに関して0.064wt%の逆塩流束が観察された(表5参照)。これは、フィード溶液のイオン強度、したがって、ドロー溶質のクロスフローへの干渉の増加に起因すると考えられた。
【0153】
全体として、本明細書で説明されるFOフローセルのフィード溶液へのCaCl2の組み入れは、結果的に、66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を用いるシステムに関して測定された場合の流束値の顕著な減少をもたらさなかったことが観察された。さらに、各ランの間にFOフローセル内で観察される顕著な石灰スケールの堆積はなかった。FOシステムでのより高濃度のドロー溶液の使用は、シミュレートされたプロセス水サンプルを上手く脱水した。
【0154】
実施例3:フィード溶液の温度の変化
フィード溶液の温度は、例えば、FOフローセルが配置される地域、フィードストリームの発生源(例えば、工業プロセス水は、プロセスに応じてより高い又は低い温度であり得る)、及びFOフローセルにフィード溶液を導入する前の前処理ステップを含む、いくつかの因子に依存することになることが理解される。イオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を含む本明細書で説明されるFOフローセルに対するあらゆる温度の影響を評価するために、フィード溶液の温度を変化させ、フィード溶液とドロー溶液との両方の温度を別々に変化させた。
【0155】
温度の影響を調べるために、フローセルに、イオン化したトリメチルアミンのドロー溶液、高TDSフィード溶液、45℃の推奨最高動作温度を有するTCM-1膜を装備させた。その結果、最低温度及び最高温度は、それぞれ、3~5℃及び30~35℃に設定した。
【0156】
実験方法:
66wt%のイオン化したトリメチルアミンを含むストックドロー溶液と、6wt%総溶解固形分(5.82%塩化ナトリウム及び0.18%塩化カルシウム)を含むストックフィード溶液を前述のように調製した。
【0157】
膜は、前述のように調整し、活性/阻止層がフィード溶液の方に向けられた状態で、フローセルに装填した。システムを、膜のフィード溶液側とドロー溶液側との両方において脱イオン水でフラッシュした。フィード溶液及びドロー溶液のリザーバとしてジャケット付ビーカー(500mL)を用いた。温度制御は、ジャケット付ビーカーにヒータ/チラーを取り付け、フィード溶液及びドロー溶液の中にコイルを通すことによって行った。溶液は、FOランの開始前に30分間、所望の温度に平衡させた。各温度値に関して繰返しランを行った。
【0158】
塩溶液(250mL)をフィード溶液のリザーバに装填し、66wt%のイオン化したトリメチルアミン水溶液(150mL)をドロー溶液のリザーバに装填した。チューブを、リザーバの側部又は底部に触れないように各溶液の中に下した。LabViewソフトウェアでデータ収集を開始し、それに続いて循環ポンプ及びタイマを開始した。30秒後に、その上に溶液が配置された天秤で風袋引きをし、このときよりも前のどのデータポイントも分析から除外した(実施例1、
図1A参照)。1時間単位で、ポンプを止め、逆塩流束の分析のためにシリンジでフィード溶液からサンプルを採取した。逆塩流束量は、Agilent Technologiesから購入したCary 630 FT-IR分光器を用いてFT-IR分析によって求め、データ分析は、MicroLabソフトウェアで行った(実施例1、
図1C参照)。
【0159】
結果と考察:
TCM-1膜の推奨動作温度は最高45℃であり、さらに、膜は、湿潤したら、凍結しないようにした。選択された膜の劣化が全体的な結果に影響を及ぼさないようにするために、ドロー溶液及び/又はフィード溶液の温度範囲は、3~5℃から30~35℃までの間となるように選択した。
【0160】
最初の実験は、フィード溶液の温度だけを変化させることを含み、後の実験は、フィード溶液とドロー溶液との両方の温度を変化させた。より高い温度では、フィード溶液及びドロー溶液に関して、より良好な溶質の溶解と膜での混合が存在することが予想された。これは、膜の表面及び/又は膜自体の内部での内部濃度分極の形成を減少させることになり、結果的により高い流束値をもたらす可能性があると考えられた。濃度分極、すなわち、内部濃度分極(ICP)又は外部濃度分極(ECP)のいずれかは、膜の中又は周りの濃度勾配の形成から生じる。それらは、膜にわたる実効浸透圧の差を減少させ、これはより低い流束を意味する。さらに、より低い温度では、CO2の溶解性が増加し、その結果、より低い温度は、イオン化したドロー溶質とイオン化していないドロー溶質との間の平衡の維持を容易にすることが予想され、この場合、イオン化した溶質が有利であった。これは、結果的に、フィード溶液へのドロー溶質の逆塩流束の減少をもたらす可能性があると考えられた。一方の溶液の温度だけが変化するときに、膜にわたる温度勾配が生じ得ることも理解された。
【0161】
フィード溶液の温度が上昇するときに、より大量の水が膜を渡って輸送されたことが観察され、温度の低下は、輸送される水の質量を減少させた(
図9参照)。測定された流束値では、この傾向は、流束の35℃で28LMHへの増加及び5℃で14LMHへの減少としてさらに確認され、この場合、室温で観察された典型的な流束値は、17から19LMHまでの間であった(表6参照)。より高い温度で観察される流束の増加は、フィード溶液の蒸発によって僅かに影響される可能性がある。
【0162】
フィード溶液へのドロー溶質の逆塩流束を、FT-IR分光法によって1時間毎に測定した(表7参照)。フィード溶液の温度が低下するのに伴い、観察された逆塩流束の僅かな減少が存在した。フィード溶液の温度が上昇したときに、観察された逆塩流束は、室温で観察されたときと同様の大きさであった。これは、逆塩流束に対する温度の全体的な影響が小さいことを示唆した。
【0163】
フィード溶液とドロー溶液との両方の温度を変化させたさらなる実験を行った。しかしながら、ドロー溶液の温度の変化は、膜の表面での混合とCO2溶解性に影響し得ると考えられ、これは温度に反比例し、より高い温度は、イオン化したトリメチルアミンのドロー溶質と平衡に存在するトリメチルアミンの蒸発を容易にし得るとも考えられた。
【0164】
両方の溶液の温度が増加したときに、ガスの発生(例えば、溶液から出る泡)の視覚的に観察された増加と共に、ドロー溶液の質量の最初の減少が観察された(
図10)。これは、温度、潜在的に、トリメチルアミンの蒸発の増加に伴う、CO
2溶解性の減少の結果と考えられた。流束値を、フローセル動作の最初の1時間にわたるフィード溶液の質量の減少に基づいて求めた(表6参照)。溶液がより低温のときに流束の減少、すなわち、室温での19LMHから5℃で15LMHへの減少が観察された。溶液がより高温のときに流束の増加、すなわち、室温での19LMHから35℃で24LMHへの増加が観察された。
【0165】
フィード溶液とドロー溶液との両方の温度が変化するときに、フィード溶液へのドロー溶質の逆塩流束のより大きい変化が観察された(表8参照)。より低い温度では、逆塩流束は、室温で観察されたときのほぼ半分であり、より高い温度では、逆塩流束は、およそ10%増加した。
【0166】
FOフローセルが温度の変動にどのように応答するのかを調べるために、それぞれ3~5℃及び30~35℃の下限温度及び上限温度を選択した。測定した流束及び逆塩流束値に関して観察された変化がほんのわずかであったことは、イオン化したトリメチルアミンをドロー溶質として装備した本明細書で説明されるFOフローセルを、広い温度範囲で上手く採用することができるという点で堅牢であることを実証する。しかしながら、CO2の溶解を促進し、イオン化したトリメチルアミンの高い濃度を維持するためには、ドロー溶液は、動作中に室温以下に維持されるのが最良であると考えられた。
【0167】
実施例4:フィード溶液のpHの変化
廃水のpHも、その発生源(例えば、岩石層、工業プロセス)に応じて変化することがある。イオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備した本明細書で説明されるFOフローセルに対するpHの影響を調べるために、様々なpHの廃水をシミュレートするべく水酸化ナトリウムと塩酸を用いて様々なpHのフィード溶液を調製した。最初のpHが6.5の、6wt%総溶解固形分(5.82%NaCl、0.18%CaCl
2)を含むストック溶液を使用し、そのpHを、pH3、5、8、及び10のフィード溶液を得るべく調節した(
図11参照)。水酸化ナトリウム及び塩酸の添加は、総溶解固形分の量を顕著に増加させることは予想されなかった。
【0168】
実験方法:
33wt%及び66wt%のイオン化したトリメチルアミンのストック溶液を前述のように作製した。6wt%総溶解固形分(5.82%塩化ナトリウム及び0.18%塩化カルシウム)を含むストック溶液を前述のように調製し、固体水酸化ナトリウム又は1M塩酸の添加を通じてpHを調節した。
【0169】
前述のように調整された膜を、活性/阻止層がフィード溶液の方に向けられた状態で、フローセルに装填した。フローセルを、膜のフィード溶液側とドロー溶液側との両方において脱イオン水100mLずつで3回フラッシュした。フィード溶液及びドロー溶液のリザーバとしてガラスボトル(250mL)を用いた。各pH値に関して繰返しランを行った。
【0170】
pH調節された塩溶液(200mL)をフィード溶液ボトルに装填し、33wt%のイオン化したトリメチルアミン水溶液(100mL)をドロー溶液ボトルに装填した。チューブを、ボトルの側部又は底部に触れないように各溶液の中に下した。LabViewソフトウェアでデータ収集を開始し、それに続いて循環ポンプ及びタイマを開始した。30秒後に、その上に溶液が配置された天秤で風袋引きをし、このときよりも前のデータポイントは分析から除外した(実施例1、
図1A参照)。1時間単位で、ポンプを止め、逆塩流束の分析のためにシリンジでフィード溶液からサンプルを採取した。逆塩流束量は、Agilent Technologiesから購入したCary 630 FT-IR分光器を用いてFT-IR分析によって求め、データ分析は、MicroLabソフトウェアで行った(実施例1、
図1C参照)。
【0171】
結果と考察:
本明細書で説明されるFOフローセルに対するフィード溶液のpHの影響を調べるために、2~11の推奨動作pHを有するTCM-1膜を選択した。フィード溶液のpHは3から10まで変化させた。
【0172】
フィード溶液は、6.5のベースラインpHを有し、33wt%のイオン化したトリメチルアミンをドロー溶液として用いるときに11.0LMHの平均流束を生じることが判った。表9にまとめたように、フィード溶液のpHの変化は、ドロー溶液の質量の変化と一致してすべてのpH値に関して流束の増加をもたらしたことが観察された(
図11参照)。pH調節された各フィード溶液は、3時間のFOラン後に6から6.5までの間のpHに戻ったことが観察された。これは、フィード溶液へのドロー溶質の逆塩流束に起因しており、この場合、イオン化したトリメチルアミンは既知の緩衝系として作用していたと考えられた。
【0173】
フィード溶液へのドロー溶質の逆塩流束を、FT-IR分光法によって1時間毎にモニタリングした(表10参照)。最初の6wt%TDS溶液は6.5のpHを有していたことが観察され、pHが6.5から変化する際に逆塩流束が増加し、最高の逆塩流束は、研究されたpH範囲の上限及び下限での溶液から観察される。
【0174】
実施例5:石油・ガス廃水の処理
イオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を装備した本明細書で説明されるFOフローセルの1つの用途は、石油・ガス産業からの廃水の浄化である。本発明のFOシステムのこの適用を実証するために、石油・ガス産業からのプロセス水のサンプルを入手し、本明細書で説明されるFOフローセルによって脱水されるべきフィード溶液として用いた。
【0175】
実験方法:
66wt%のイオン化したトリメチルアミンのストック溶液は、45wt%のトリメチルアミン水溶液溶液を2Lずつ、1ガロンのステンレス鋼Chemineer反応器内で、10barで30分間、カーボネーションすることによって作製した。
【0176】
テストのために3種類のプロセス水、すなわち、(i)汽水、(ii)軟化処理前の、脱油されたスキミング後の水、(脱油された水は、地下帯水層からのプロセス水である)、及び(iii)軟化処理後の、弱酸性陽イオン交換水、(弱酸性陽イオン交換により処理した、地下帯水層からの脱油された水)を入手した。各廃水サンプルは、<1wt%のTDSを含んでいた。
【0177】
調整されたTCM-1膜を、活性/阻止層がフィード溶液の方に向けられた状態で、フローセルに装填した。セルを、膜のフィード溶液側とドロー溶液側との両方において脱イオン水100mLずつで3回フラッシュした。フィード溶液及びドロー溶液を収容するためのリザーバとしてガラスボトル(250mL)を用いた。各フィード/ドローの組み合わせに関して3時間にわたって二回ずつランを行った。
【0178】
プロセス水(200mL)をフィード溶液ボトルに装填し、ドロー溶液(100~150mL)をドロー溶液ボトルに装填した。チューブを、溶液が入っているボトルの側部又は底部に触れないように各溶液の中に下した。LabViewソフトウェアでデータ収集を開始し、それに続いて循環ポンプ及びタイマを開始した(実施例1、
図1A参照)。30秒後に、その上に溶液ボトルが置かれた天秤で風袋引きをし、このときよりも前に収集されたどのデータポイントも分析から除外した。1時間単位で、ポンプを止め、逆塩流束の分析のためにシリンジでフィード溶液からサンプルを採取した。逆塩流束量は、Agilent Technologiesから購入したCary 630 FT-IR分光器を用いてFT-IR分析によって求め、データ分析は、MicroLabソフトウェアで行った(実施例1、
図1C参照)。ICP-OES分析が、Queen’s University Analytical Services Unit(QASU,Kingston,ON)によって行われた。表25参照。
【0179】
結果と考察:
スチーム補助重力排油法(SAG-D)プロセス水の3つのサンプル、すなわち、(i)汽水(汽水)、(ii)軟化前の脱油された水(脱油水)、及び(iii)弱酸性陽イオン交換カラムを用いて軟化された水(WAC)は、カナダの石油・ガス会社から得られた。サンプルは、アクティブなSAG-Dシステムから得られ、それらの全懸濁物質濃度から比較的難しいフィード溶液を代表するものであった。前述のように、廃水をフィード溶液として、66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液と共に用いて小規模のFO実験を行い、3時間の連続動作後に、質量の50~60%の減少が再現可能に観察された。これは34~36L/m2hの流束に対応し、典型的な脱塩条件下で海水をフィードストリームとして用いて観察されたRO流束値と比較できることがわかった[2015年3月13日にアクセス時の、http://www.gewater.com/products/industrial-membranes.html、2015年3月13日にアクセス時の、http://www.lgwatersolutions.com/]。
【0180】
図13及び表11を参照すると、本明細書で説明されるFOシステムがフィード溶液を脱水し続けたことが実証され、システムがより長くランしている場合に脱水作用の顕著な減少が観察されないならば、前述のフィード溶液のさらなる濃縮を達成することもできると考えられた。フィード溶液へのドロー溶質の逆塩流束は、シミュレートされた溶液(上記の実施例参照)を用いるときに観察されたものよりも僅かにより高かった。これは、フィード溶液がより低いTDSを含んでおり、したがって、より低いイオン強度を有し、膜を渡るドロー溶質の拡散を概してより起こしやすかったためであると思われた。ICPによって求めた場合に>94%のTDS阻止率%が観察された(表25)。
【0181】
実施例6:採掘尾鉱
採掘水サンプルの作製:
より泥に良く似ていた「乾燥」尾鉱のサンプルは、カナダの採掘組織から受け入れた。水性サンプルを作製するために、採掘スラリーを模擬するべく尾鉱固体(250g)を水(750mL)と組み合わせて25wt%の固体サンプルを得た。次いで、水性サンプルを、オーバーヘッドスターラ(4ブレードプロペラ)で650rpmで24時間攪拌した。固体を除去するために0.5ミクロンフィルタを用いてこれらのサンプルを濾過することが供給業者によって(それらの現在の慣習に基づいて)推奨されたが、入手の都合により、エクストラファイン濾紙を用いた(Whatman#5=2.5um)。この手順は、テストのために十分な量の水を作製するべく2回行った。
【0182】
バッチサンプル#1: 251.58gの泥+751.75gのDI水=合計1003.33g(25.07wt%、導電率=340uS/cm、pH=3.75)
【0183】
バッチサンプル#2: 303.32gの泥+910.29gのDI水=合計1213.61g(24.99wt%、導電率=393uS/cm、pH=4)
【0184】
バッチサンプル#2をバッチサンプル#1に加え、組み合わせた後の導電率を測定した(実験誤差の範囲内で、340及び393μSが比較できると考えられたことに留意されたい)。
【0185】
水中66wt%のイオン化したトリメチルアミンを含有するドロー溶液は、Chemineer反応器を用いて水中約45wt%のトリメチルアミンを2Lずつのバッチでカーボネーションすることによって作製した。結果的に得られるイオン化したトリメチルアミンのストック溶液は、ガラスボトルの中で密閉保存した。
【0186】
TCM-1膜は、乾燥状態で送付され、どちらが活性側であるかが記されていた。使用前に、膜を、その孔を開くべく脱イオン水の中に少なくとも30分間浸した。浸漬後に、膜は、水の中に保存することで湿った状態に保った。必要に応じて、円形の膜(直径4cm)を前述の膜のシートからカットし、使用の前に最低でも30分間浸漬させた。膜は、セルの周りの液体の漏れを最小にするべくフローセルの膜カートリッジ内に入れられたOリング内に嵌るようにカットした(実施例1、
図1A参照)。
【0187】
正浸透フローセル:
正浸透(FO)フローセルを、次いで、実施例1及び
図1Aで説明したように水中66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液(500mL)、バッチサンプルフィード溶液(500mL)、及びTCM-1膜を用いて構成した。
【0188】
FOフローセルを空気の下でランし、フィード溶液とドロー溶液の質量の変化が平坦域に達するまでランを続けた。再現性を判定するべくFOランの繰返しのトライアルを行った。結果として生じる希釈されたドロー溶液からのドロー溶質の除去は、溶液を85℃の金属ヒートン(Radleys製、溶液温度約70℃)(2Lフラスコ)内で加熱しながら溶液に窒素をバブリングすることによって達成された。生じる水の損失が最小限であるように、ドロー溶液が入っているフラスコの出口に凝縮器を取り付けた。
【0189】
Caduceonによって外部分析が行われた(表12及び表13参照)。
【0190】
第1のFOラン後に、分析を可能にするために、フィード溶液は、分析のために十分な溶液にするのに3倍希釈を必要とした(40mLの濃フィード溶液を120mLに希釈した)。
【0191】
元の水性サンプル中の固形分の判定:
より泥に良く似ていた「乾燥」尾鉱のサンプルを、2.5um濾紙に通して濾過し、ブフナー漏斗内で夜通し重力により乾燥させた。最初の質量は100.25gと記録され、夜通しの乾燥後の質量は82.13gと記録され、これは18.12g(18%)の質量損失に相当した。サンプルをより泥に良く似たものにする尾鉱中のどの液体も揮発性の性質のものであると考えられ、夜通しの乾燥後に濾過フラスコ内に残っている液体はなかった。
【0192】
結果と考察:
採掘尾鉱サンプルは、正浸透のためのイオン化したトリメチルアミンのドロー溶質を用いて上手く処理された。23から25LMHまでの間の流束値と、フィード溶液の質量の60~90%の減少が、66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を用いて達成された(表14参照)。ドロー溶質の逆塩流束(逆塩流束)は、48時間のテスト後に比較的高いことが分かったが、これは、循環しないバッチシステム(例えば、フィード溶液及びドロー溶液の各体積のユニットがFO膜を1回だけ通るシステム)ではより低いことが予想される。表15参照。本明細書で用いられ説明されるFOセルは、カナダの環境省の容認可能なヒ素レベルの25ppmと比べて比較的高いヒ素阻止率(回収した水中で<1ppm)を実証した(表12及び表13参照)。この実施例は、処理するのが通常は困難な採掘からの廃棄物ストリームの処理における、イオン化したトリメチルアミンのドロー溶質でのFOシステムの使用の成功を実証した。
【0193】
実施例7:都市下水の処理
66wt%のイオン化したトリメチルアミンのストック溶液は、45wt%のトリメチルアミン水溶液溶液を2Lずつ、1ガロンのステンレス鋼Chemineer反応器内で、10barで30分間、カーボネーションすることによって作製した。濃縮都市下水(中国から)は、中国の廃水処理会社から受け入れた。廃水の最初のpH及び導電率は、それぞれ6.99及び10.8mS/cmであり、フィード溶液は、前処理されなかった。前述のように調整されたTCM-1膜(実施例1参照)を、それらの活性/阻止層がフィード溶液の方に向けられた状態でFOフローセルに装填した。セルを、膜のフィード溶液側とドロー溶液側との両方において脱イオン水100mLずつで3回フラッシュした。フィード溶液及びドロー溶液を収容するためのリザーバとしてガラスボトル(500mL)を用いた。フィード溶液及びドロー溶液の質量の変化が平坦域に達するまで各ランを実施し、二回ずつ行った。
【0194】
廃水(500mL)をフィード溶液ボトルに装填し、ドロー溶液(200mL)をドロー溶液ボトルに装填した。チューブを、溶液が入っているボトルの側部又は底部に触れないように各溶液の中に下した。LabViewソフトウェアでデータ収集を開始し、それに続いて循環ポンプ及びタイマを開始した。30秒後に、その上に溶液ボトルが置かれた天秤で風袋引きをし、このときよりも前に収集されたどのデータポイントも分析から除外した(実施例1、
図1A参照)。周期的に、ポンプを止め、逆塩流束の分析のためにシリンジでフィード溶液からサンプルを採取した。逆塩流束量は、Agilent Technologiesから購入したCary 630 FT-IR分光器を用いてFT-IR分析によって求め、データ分析は、MicroLabソフトウェアで行った(実施例1、
図1C参照)。
【0195】
結果と考察:
本明細書で説明されるFOフローセル及びプロセスを用いて、どのような前処理も使用せずに、フィード溶液及び/又はそこから分離された水に関して、廃水の質量(約60%)、導電率、及び全リン含有量(ICP-OESによって測定した場合)の減少が達成された(表16参照)。さらに、35LMHの平均流束値は、RO海水脱塩流束値(30~40LMH)と比較できることが分かった。化学的酸素要求量(COD)は、ドロー溶質の除去後に高いままであったが、COD値は、サンプル中の有機物の濃度(例えば、回収した水中の残留ドロー溶質の量)に依存する。理論に拘束されることを望むものではないが、FO回収水から残留ドロー溶質を除去するためのさらなる処理ステップが、したがって、より低いCODをもたらすと予想される。
【0196】
この実施例は、現在利用可能な方法を用いて処理するのが難しい又は高価である、濃縮都市下水の処理における、ドロー溶液をイオン化したトリメチルアミンのドロー溶質と共に組み入れている本発明のFOシステムの使用の成功を実証する。
【0197】
実施例8:フラッキング作業からの随伴水及びフローバック水の処理
66wt%のイオン化したトリメチルアミンのストック溶液は、45wt%のトリメチルアミン水溶液溶液を2Lずつ、1ガロンのステンレス鋼Chemineer反応器内で、10barで30分間、カーボネーションすることによって作製した。
【0198】
随伴廃水は、それぞれ6.47及び191mS/cmの最初のpH及び導電率を有するカナダのフラッキング作業(西部のアルバータ州)から受け入れたものであり、最初のTDSはおよそ19wt%であった。
【0199】
第1の最初のFOランは、フィード溶液の前処理なしに行った。次いで、さらなるランを、濾過され軟化されたフィード溶液のサンプルを用いて行った。濾過は、エクストラファイン(Whatman#5)の濾紙を用いて行った。pHをモニタリングしながらフィード溶液の軟化を行い、攪拌しながら、濾過したフィード溶液にNaOH(3.3mg/mL)を加え、30分間の攪拌後に、溶液を再び濾過し、次いで、溶液に炭酸ナトリウム(15.4mg/mL)を加え、さらに30分間攪拌し、次いで、前述の結果として生じる溶液を濾過し、HClで中和させた。正浸透はまた、炭酸ナトリウムだけで軟化させ、その後、濾過し、HClで中和させたサンプル、又は炭酸ナトリウムを加えただけのサンプルを用いて行われた。
【0200】
フローバックフィード溶液もカナダのフラッキング作業から得られ(導電率=130.4mS/cm、pH=6.38)、粗目の濾紙による濾過後に処理した。溶液の最初のTDSは、約13wt%であった。
【0201】
調整された膜(実施例1参照)を、膜の活性/阻止層がフィード溶液の方に向けられた状態でFOフローセルに装填した。セルを、膜のフィード溶液側とドロー溶液側との両方において脱イオン水100mLずつで3回フラッシュした。フィード溶液及びドロー溶液を収容するためのリザーバとしてガラスボトル(250又は500mL)を用いた。各ランは、平衡に達するようにし、二回ずつ行った。
【0202】
随伴水又はフローバック水(200又は500mL)をフィード溶液ボトルに装填し、濃ドロー溶液(200又は500mL)をドロー溶液ボトルに装填した。チューブを、溶液が入っているボトルの側部又は底部に触れないように各溶液の中に下した。LabViewソフトウェアでデータ収集を開始し、それに続いて循環ポンプ及びタイマを開始した。30秒後に、その上に溶液ボトルが置かれた天秤で風袋引きをし、このときよりも前に収集されたどのデータポイントも分析から除外した(実施例1、
図1A参照)。周期的に、ポンプを止め、逆塩流束の分析のためにシリンジでフィード溶液からサンプルを採取した。逆塩流束量は、Agilent Technologiesから購入したCary 630 FT-IR分光器を用いてFT-IR分析によって求め、データ分析は、MicroLabソフトウェアで行った(実施例1、
図1C参照)。
【0203】
結果と考察:
随伴廃水のフィード溶液に関して、それぞれスケーリングにつながることもある高いカルシウム含有量を有していたことが分かり、したがって、軟化が必要であった。本明細書で説明されるFOフローセルの使用は、随伴水系に関して、フィード溶液の質量のおよそ20%の全体的な減少につながることが分かり、流束は、TCM-1膜ではおよそ9LMHと計算された。随伴水の処理のために採用される標準的な軟化方法により、濃フィード溶液中の沈殿を回避した。ドロー溶質の除去後に回収された水は、(独自の処理要件のためにフラックオペレータによって要求される場合の)所望の4000ppmを下回り、TDSの99.9%の阻止率を表した(表17参照)。ICP-OESの結果は、FO処理後のフィード溶液中の元素の濃度を示した(表18参照)。
【0204】
フローバック水のFO処理は、およそ15LMHの流束と共に、フィード溶液の質量の40%の減少を示した(表19参照)。ドロー溶液の除去後に回収された水は、所望の4000ppmを優に下回り、TDSの99.6%の阻止率を表した(表20参照)。ICP-OESの結果は、FO処理後のフィード溶液中の元素の濃度を示した(表21参照)。%TOC阻止率は、所望よりも低かったが、この値は、サンプル中の有機物の濃度(例えば、回収した水中の残留ドロー溶質の量)に依存する。表20参照。理論に拘束されることを望むものではないが、FO回収水中の残留ドロー溶質を減少させ、したがって、より高い%TOC阻止率を呈するように、システムを容易に最適化することができると見込まれる。
【0205】
実施例9:中空繊維モジュールを膜として用いるFOの分析
第4の商業的膜供給業者によって提供された2種類の中空繊維膜モジュール(HFM-1及びHFM-2)を、シミュレートされたフィード溶液及びイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を用いて評価した。一般に、中空繊維膜では、小さいモジュールフットプリントで比較的より高い膜表面積を得ることができる。
【0206】
実験方法:
HFM-1モジュール及びHFM-2モジュールは中空繊維システムであり、この場合、フィード溶液は繊維の外部を流れ(活性層がフィード溶液に面する)、ドロー溶液は繊維の内部を流れる。外部のフィード溶液は、内部のドロー溶液よりも高い流量で流れなければならない。フィード溶液に関して1L/minの流量が用いられ、ドロー溶液に関して5~7mL/minの流量が用いられることが提案された。膜へのドロー溶液の入口は、繊維が破断しないように2barよりも低く保たれる必要がある。ドロー溶液の出口は、ドロー溶液の中に固体が形成される場合に備えてドロー溶液のリザーバとは別個のバケツに向けられた。
【0207】
膜は、フィード溶液とドロー溶液が互いに向流に流れるように構成した。これは、ほとんどの濃ドロー溶液がほとんどの濃フィード溶液と接触し(注:ドロー溶液は、依然としてフィード溶液よりも濃厚であった)、膜を渡る水の移動の効率を最大にすることを意味する。あらゆる貯留溶液を除去するべく膜をDI水でフラッシュし、この状態で膜は送付され得る。次いで、データ収集を開始する前にシステムを適切なフィード溶液及びドロー溶液でリンスした。データ収集は、LabViewソフトウェアを用いて行った。
【0208】
HFM-1膜を、i)3wt%のNaClフィード溶液(1000g)と34.5wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液(1500g)、及びii)15wt%のNaClフィード溶液と約66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液、及びiii)炭酸ナトリウムで軟化したカナダのフラッキング作業からの随伴水と約66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液、及びiv)カナダのフラッキングからのフローバック水と約66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を用いて調べた。ドロー溶液の入口での圧力は、0.6から0.9barまでの間に維持した。各フローセルシステムを、3時間から6時間までの間にわたってランした。HFM-1モジュールの膜面積は0.062m2であった。
【0209】
HFM-2モジュールを、3wt%のNaClフィード溶液と34.5wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を用いて調べた。ドロー溶液の入口での圧力は、およそ0.7barに維持した。HFM-2モジュールの膜面積は0.089m2であった。
【0210】
膜の%NaCl阻止率の判定は、120℃におよそ6時間にわたって加熱することによりドロー溶液サンプルから水とアミンを除去した後に残っている残留固体を測定することによって達成された。フィード溶液へのドロー溶質の逆塩流束を、FT-IRによりモニタリングした(実施例1、
図1C参照)。
【0211】
結果と考察:
2種類の中空繊維膜モジュール、すなわち、HFM-1モジュール及びHFM-2モジュールを調べた。両方のモジュールを、3wt%のNaClフィード溶液及び34.5wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を用いてテストした。
【0212】
上記の条件下でHFM-1モジュールを含むFOフローセルで5つのランを行い(表22参照)、第1のトライアルは、3wt%のフィード溶液で160分間ランし(HFM-1-T1)、第2のトライアルは、15wt%のフィード溶液で160分間ランし(HFM-1-T2)、第3のトライアルは、3wt%のフィード溶液で350分にわたってランし(HFM-1-T3)、第4のトライアルは、軟化した随伴水でランし(HFM-1-T4)、及び第5のトライアルは、フローバック水でランした(HFM-1-T5)。最初の3時間にわたって、HFM-1-T3は、HFM-1-T1と類似していた(同様のフィード溶液及びドロー溶液であるため比較できる)。約6時間後に、HFM-1-T3のフィード溶液は、約88%濃縮されたが、ドロー溶質の逆塩流束(wt% イオン化したTMA、表22)は、3時間のランの間に観察されたものよりも相対的に高く、これはフィード溶液の濃度に起因して予想される。6時間のラン後の逆塩流束(RSF)は、3時間のラン後に達成された逆塩流束と比較できるものであった。
【0213】
第4のトライアルに関して、約66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を用いて、濾過され、炭酸ナトリウムで軟化されている随伴水の脱水をテストするのにHFM-1-T4、HFM-1モジュールを用いた。モジュールは、観察され前述されているものと類似した高い塩阻止率を維持した。流束の減少は、随伴水が、シミュレートされたNaClフィード溶液よりも高いTDSを有するためであると思われた。
【0214】
第5のトライアルに関して、約66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を用いてフローバック水の脱水をテストするのにHFM-1-T5、HFM-1モジュールを用いた。モジュールは、観察され前述されたものと類似した高い塩阻止率及び体積減少を維持した。流束の減少は、フローバック水が、シミュレートされたNaClフィード溶液よりも高いTDSを有するためであると思われた。
【0215】
1つのトライアルランを、上記の条件下でHFM-2モジュールを含むFOフローセルと3wt%のフィード溶液で180分間行った(表22参照)。流束と%NaCl阻止率は、3時間にわたるフィード溶液の質量の79%の減少により、HFM-1トライアルと比較できるものであることが分かった。同様に、逆塩流束(RSF)は所望よりも僅かに高く、理論に拘束されることを望むものではないが、これは、トライアルの持続時間にわたるpHの不安定性の表れであり得ると考えられた。しかしながら、HFM-2又はHFM-1膜トライアルに関してpHの修正は行わなかった。
【0216】
実施例10:ドロー溶質の除去
材料と装置:
本明細書で説明されるドロー溶液からアンモニウムベースのドロー溶質を除去するための手段を調べるために、以下の材料及び/又は装置が必要であった。
i.5Lの断熱型のジャケット付反応器
ii.反応器を加熱するための循環ヒータ
iii.スパージガスのための熱源
iv.脱気される溶液のための加熱されるリザーバ(ホットプレート/2Lの四口フラスコ)
v.循環ポンプ(Fisher Scientific(商標)バリアブルフローケミカルトランスファーポンプ)
vi.反応器の頂部に溶液を注入するためのスプレーノズル
vii.表面積を提供するべく反応器の中に詰め込んだステンレススチールウール(SSウール)
viii.スパージガス(圧縮空気)
ix.反応器の外へ強制されるTMAを取り込むためのトラップ
【0217】
動作条件:
上記の構成で使用される条件は以下の通りであった。
x.断熱型の反応器及びチューブ
xi.循環ヒータの設定:75℃
xii.空気ヒータの設定:75℃
xiii.ホットプレートの設定:70℃
xiv.ポンプ速度の設定:5、高速
xv.空気流の設定:5
【0218】
動作方法:
800mLの脱イオン水を入れた2Lの四口丸底フラスコを温度プローブ付きのヒートンの中に入れ、70℃に加熱した。前記丸底フラスコに、ここから水を引き出してスプレーノズル付きのカラムの頂部へ送るべく小型の循環ポンプを接続し、水は、次いで、カラムを下方へ流れ、丸底フラスコに戻った(
図17参照)。
【0219】
水が循環した後で、すべての熱源をオンにし、設定温度に達するようにし、1時間安定させ、その結果、反応器の内部温度を70℃と記録した。
【0220】
温度が安定した後で、分液漏斗を用いて200mlの濃ドロー溶液を丸底フラスコに加え、濃ドロー溶液を800mLのDI水に加えることによって、希薄ドロー溶液を表し得る希釈物を得た。さらに、加熱中のTMAの損失を防ぐために、既に加熱された水に濃ドロー溶液を加えた。水とドロー溶液を十分に混合した後で、開始点を確立するために最初の読取値を「0分」でとった。その後、1時間単位で、丸底フラスコから一定分量を採取し、ドロー溶質の濃度を求めるべくFT-IRによって分析した(実施例1、
図1C参照)。
【0221】
結果と考察:
本明細書で説明されるフローセルを用いて正浸透が完了すると、低TDSの水を生成するべく希釈されたドロー溶液からイオン化したトリメチルアミンのドロー溶質を除去する必要があることが理解された。前述のように(例えば、PCT出願のPCT/CA2011/050777参照)、イオン化した切り替え可能な添加剤は、中程度の加熱(50℃)で及び/又は窒素又は空気などの不活性スパージングガスの使用により「オフに切り替える」、すなわちイオン化していない状態にすることができる。
【0222】
イオン化していない形態の切り替え可能な添加剤及びドロー溶質は、周囲条件下では気体のトリメチルアミンであるため、中程度の加熱又はスパージングは、ドロー溶液からCO2だけでなくイオン化していないドロー溶質も除去し、水を生成し得ることが予想された。したがって、溶液からTMAベースのドロー溶質を効率よく除去する方法が考えられた。
【0223】
したがって、ドロー溶質の除去のためのリットル規模のシステムを調べた。ドロー溶液からのガスの除去を最大にするために、加熱される高い表面積がシステムに組み入れられる必要があると認識され、したがって、5Lのジャケット付カラムにステンレススチールウールを詰めた。ドロー溶質の分解によりTMA及びCO2ガスが遊離する際の前記カラムからの気体蒸気の移動を容易にするためにスパージガスを用いた。システムは、50℃から70℃までの間でランし、70℃を上回るどのランもTMA及びCO2と共に水の実質的な損失を示した。このシステムは、3時間以内の循環で<0.1wt%の残留ドロー溶質を上手く達成することができ、これにより、希薄ドロー溶液からのドロー溶質の効果的な除去を実証した。
【0224】
実施例11:ドロー溶質の除去のためのスパージングガスの比較
66wt%のイオン化したTMA(100mL)を2Lの三口丸底フラスコの中で脱イオン水(100mL)で希釈した。フラスコの1つの口を温度プローブに接続し、第2の口を流量計に接続されたガス分散チューブ(「c」フリット多孔)に接続し、第3の口を氷/塩水浴中で冷却された別の二口丸底フラスコ(250mL)に接続した。250mLフラスコの第2の口を排気として換気フードの後方へ向けられた1本のチューブに接続した。
【0225】
トライアルを3つの異なる温度で、すなわち、46℃、56℃、及び70℃でランした。各温度に関して、1つのトライアルは窒素ガスを用いて行い、別のトライアルは二酸化炭素を用いて行った。46℃でのトライアルに関して、ガスの流量(FR)は4標準立方フィート/hであり、より高い温度に関して、ガスの流量は8標準立方フィート/時間であった。各トライアルは1時間の長さであり、サンプルは、0、5、10、15、20、25、30、40、50、及び60分でパスツールピペットを用いて採取した。イオン化したTMA濃度を求めるべく各サンプルに対してFT-IRを行った(実施例1、
図1C参照)。
【0226】
結果と考察:
いくつかの温度でのイオン化したトリメチルアミンの除去のためのスパージングガスとしてのN
2対CO
2の使用を調べた。スパージングガスとしてのCO
2の使用は、ドロー溶液の再生中にガスを分離する必要性を軽減することが想像された。全体として、N
2は、イオン化したトリメチルアミンを除去することにおいてCO
2よりも良好に機能するように見え、より低い温度では、イオン化したトリメチルアミンの濃度が最初に増加したため、CO
2は吸収されているように見えた。N
2を分散させた70℃ランに関して、イオン化したトリメチルアミンの残りのwt%は0.5wt%であり、CO
2を分散させた溶液に関しては、これは3.3wt%であった(
図18参照)。
【0227】
実施例12:ドロー溶液の再構成
イオン化したトリメチルアミンをドロー溶液として装備した本明細書で説明されるフローセルを採用するFOシステムは、閉ループシステムとなるように設計することができる。閉ループシステムは、FOフローセルに用いるための新鮮な濃ドロー溶液を生成するべく希薄ドロー溶液から除去されたTMA及びCO2ガスが継続的にリサイクルされることになるので、コスト及び無駄な材料(例えば、ドロー溶質)が最小となるであろう。このようなシステムは、閉ループの連続したシステムとなるであろう。
【0228】
材料:
トリメチルアミンは、Sigma Aldrichから45wt%の水に溶けた溶液として購入し、そのまま使用した。Coleman機器グレード二酸化炭素(99.99%)は、Air Liquideから購入した。重水は、Cambridge Isotopes Laboratoriesから購入し、そのまま使用した。
【0229】
装置と分析:
75mLの圧力容器と星(十字)形攪拌子を用いてParr 5000 Series Multiple Reactor Systemを用いてカーボネーションを行った。バッフル及び1つのプロペラを装備した1ガロンのChemineer反応容器内で大規模なカーボネーションを行った。
【0230】
Varian MR400分光器を用いて1H NMRスペクトルを取得した。溶液中のTMAを表す重要な化学シフトは、D2Oにおいて2.23ppmと識別され、イオン化したトリメチルアミンを表す化学シフトは、D2Oにおいて2.87ppmであった。TMAとイオン化したトリメチルアミンとの混合物に関して、NMRスペクトルでさらなるブロードなピークが観察され、この場合、化学シフトは、TMAとイオン化したトリメチルアミンとの比に応じて、D2Oにおいて2.23から2.87ppmまでの間の範囲である。TMAとイオン化したTMAとの比と、このブロードなピークとの間の関係性に絞り込むために検量線は引かなかった。理論に拘束されることを望むものではないが、ブロードなピークは、TMAとイオン化したTMAとの間の平衡を示していると考えられた。
【0231】
以下で概説する実験での使用の前に、イオン化したトリメチルアミンのストック溶液を、TMAのカーボネーションにより作製し、数日間保存した。
【0232】
手順:
45wt%のTMA水溶液(1mL)及びCO2(5又は9bar、静圧)を用いて、TMAにCO2を導入し、導入したCO2圧が系内で均等になるのにどれぐらいの時間がかかるかを測定することを含む、圧力低下の観察を行った。
【0233】
1、5、又は9barの動的CO2圧に加圧された45wt%のTMA水溶液(50mL)を用いて、系内で最高温度に達するのにかかった時間を測定することにより、温度上昇の観察を行った。サンプルの一定分量を、報告された時間(以下参照)で採取し、1H NMR分光法によって分析した。
【0234】
600rpmで攪拌しながら30分間にわたって10barの動的CO2圧に加圧された45wt%のTMA水溶液(2~2.5L)を用いて大規模なカーボネーションを行った。30分後に、CO2の流れを止め、反応器を、容器の温度が40℃以下に戻るまで、その圧力で3.5時間保った。
【0235】
結果と考察:
TMAの水への溶解性は高く(飽和時45wt%)、一方、CO2の溶解性は低い(飽和時<1%)ため、反対に又は同時に添加をするのではなく、二酸化炭素をTMA溶液に添加した。したがって、この溶解性の差に起因して、水中のCO2の溶解(及びその後の重炭酸塩への変換)は律速段階であり、したがって研究(以下参照)の対象となると考えられた。
【0236】
イオン化したトリメチルアミンを生成するための水中のTMAとCO2の反応は発熱性であることが観察され、したがって、反応の発熱による最高温度に達するのに要した時間を求めた(表23参照)。溶液の一定分量を、(前述のように)CO2で加圧された50mLの45wt%TMA水溶液から周期的に採取し、概算変換を求めるべく1H NMR分光法によって分析した。
【0237】
1barのCO2圧の下で、反応混合物の温度は、3時間にわたって4℃上昇し、そこでさらなる3時間にわたって一定のままであった。この時点で一定分量を採取し、1H NMR分光法によって分析し、より高い圧力が必要であったことを意味する非常に小さいTMAのカーボネーションが実際に起こったことが明らかとなった。
【0238】
5barのCO2圧の下で、混合物の温度は、1時間後に12℃上昇し、5時間後に室温に戻った。2時間後の反応混合物の1H NMR分析は、TMAのカーボネーションが本質的に完了したことを示し、これは1barでの同じプロセスに対するカーボネーションの反応速度の向上を示した。
【0239】
9barのCO2圧の下で、温度は25分以内に21℃上昇した。この時点で採取された一定分量の1H NMR分析は、TMAのカーボネーションが本質的に完了したことを明らかに示した。
【0240】
より産業上代表的な規模での再構成率をさらに研究するために、システムを10barのCO
2圧の下で2~2.5LのTMAにスケールアップし、TMAのカーボネーションは、
図12に示された構成を用いておよそ30分後に本質的に完了した。
【0241】
これらの研究は、閉ループの連続したFOシステムに用いるのに適した条件下で、FOで用いるためのドロー溶液を再生させるためのドロー溶液成分の効果的な再構成を実証した。
【0242】
実施例13:より大規模の正浸透手順
材料:
トリメチルアミンは、Sigma Aldrichから45wt%の水に溶けた溶液として購入し、そのまま使用した。塩化ナトリウムは、VWRから購入した。Coleman機器グレード二酸化炭素(99.99%)は、Air Liquideから購入した。脱イオン水(18MΩ・cm)は、Elga Purelab Pulseシステムを用いて供給した。塩化ナトリウム溶液を所望の濃度で調製した。
【0243】
より大規模のFOユニットパーツリスト:
・ 材料の適合性:トリメチルアミンは真鍮又はPS=ポリスチレンと適合しなかったため、ステンレス鋼、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はポリプロピレン(PP);バイトン及びブチルゴムも時間と共に劣化する場合がある
・ 膜要素:TCM-1カスタムPFOユニット(0.42m
2の膜面積)
・ 膜での圧力を0.5barよりも低く保つための4つの圧力計又は圧力センサ(Swagelok PGI-63C-PG15-LAOX)
・ 構成の要件に応じて2又は4つのリザーバ(Uline S-19418)
・ 4~5L/minの最大流量を与える2つの可変速度ポンプ(Icon Process Controls NEMA-4X:Emec Prius電動膜ポンプ、フロアマウント、手動ベント付きPVCヘッド、バイトンOリング、PTFE膜、セラミックボール、NEMAモータマウント、Expoxyコーティングされたアルミニウムフレーム、手動ストローク調整、5bar(70PSI)で520LPHの定格、DCモータ、3/4HP、90VDC、56Cフレーム、モータと速度コントローラとの間の配線、Liquid Tite NEMA 4Xエンクロージャ、モータ速度コントローラ用のマウンティングプレート、304SS(上記は、ポンプの製造の形式、モデル、及び材料を提供する))
・ 流量を求めるのに必要であれば2つの流量計(流量計及びコントローラ、Icon Process Controls IPC32100ILCAN、IPC3210038CAN、IPC8050CAN、IPC399001CAN、及び電源、Omega PSR-24L:0.3LPM~3.8LPMの流量及び全流量範囲を示すLCDコントローラを備えた1/2” Signet Low Flow、流量計、PVDF Body、NPT Ends(上記は、メータの製造の形式、モデル、及び材料を提供する))
・ 2又は4つの秤(フィード溶液及びドロー溶液の質量を測定するのに適切なサイズ)
・構成に応じて2つの圧力逃がし弁(Swagelok KCB1C0A2A5P20000)
・ チューブ及び弁(Rona、Home Depot、CanadianTire、Lowesなどのハードウェアストアから購入したHDPEプラスチックチューブ及びコネクタ)
・ 必要に応じてリザーバ間で切り替えるための三方弁(McMaster Carr 4467K43)
・ より大規模のFOユニットの構成に関しては
図19参照。
【0244】
代表的なより大規模のFOラン:
塩化ナトリウム溶液(20kg)をフィード溶液のリザーバに装填した。イオン化したトリメチルアミン溶液(20kg)をドロー溶液のリザーバに装填した。ドロー溶液を約0.5L/minの流量でポンピングしながら、フィード溶液のポンピングを、最初に約0.5L/minの遅い流量で開始した。次いで、フィード溶液の流量を約2L/minの所望の流量に増加させ、それに続いてドロー溶液の流量を約2L/minに増加させた。フィードリザーバ及びドローリザーバの下の秤で風袋引きをし、タイマを開始した。質量の読取値を所望の時間間隔で記録した。流束を、テストの最初の30分に基づいて求めた(特定のFOランの詳細については表24、
図15、及び
図16参照)。
【0245】
代表的なより大規模の塩化ナトリウムのラン:
3wt%塩化ナトリウム溶液(20kg)をフィード溶液のリザーバに装填した。12.5wt%塩化ナトリウム溶液(20kg)をドロー溶液のリザーバに装填した。ドロー溶液を約0.5L/minの流量でポンピングしながら、フィード溶液のポンピングを、最初に約0.5L/minの遅い流量で開始した。次いで、フィード溶液の流量を約2L/minの所望の流量に増加させ、それに続いてドロー溶液の流量を約2L/minに増加させた。フィードリザーバ及びドローリザーバの下の秤で風袋引きをし、タイマを開始した。質量の読取値を所望の時間間隔で記録した。流束を、テストの最初の30分に基づいて求めた(特定のFOランの詳細については表24、
図15、及び
図16参照)。
【0246】
結果と考察:
イオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を用いるときに観察されることが予想された浸透圧の差を模擬するべく塩化ナトリウムのフィード溶液を用いてFOフローセルを最初にランした。12.5wt%のNaCl溶液は、33wt%のイオン化したトリメチルアミンと同様の浸透圧を有し、したがって、3wt%のNaClフィード溶液及び12.5wt%のNaClドロー溶液を用いるときに得られる流束は、3wt%のフィード溶液及び33wt%のイオン化したトリメチルアミン溶液を用いるときに得られる流束と比較できるはずである。1つのランは、この仮定を確認するために実際のイオン化したトリメチルアミン溶液を用いて行った。
【0247】
実施例14:約66wt%のイオン化したトリメチルアミンのドロー溶液を用いるグリコール/水混合物の脱水
実験方法:
水サンプルを、本明細書で説明されるFOフローセル内でフィード溶液として用いる前に有色の汚染物質を除去するべく活性炭に通して濾過した。濾過した水サンプル(200mL)をフィード溶液ボトルに装填し、濃ドロー溶液(100mL)をドロー溶液ボトルに装填した。チューブを、溶液が入っているボトルの側部又は底部に触れないように各溶液の中に下した。LabViewソフトウェアでデータ収集を開始し、それに続いて循環ポンプ及びタイマを開始した。30秒後に、その上に溶液ボトルが置かれた天秤で風袋引きをし、このときよりも前に収集されたどのデータポイントも分析から除外した(例えば、実施例1、
図1A参照)。
【0248】
結果と考察:
グリコール/水混合物を分離する際の産業上関連のある問題を克服するべく正浸透の使用を調べた。本明細書で前述したFOフローセル内でドロー溶液として約66wt%のイオン化したトリメチルアミン及びフィード溶液としてグリコール/水混合物(Fielding Chemicalsから得られた)を用いて、6.1L/m2/hの流束が得られた。低い流束値は期待されなかったが、グリコールは溶液の浸透圧に寄与することがあり、したがって、期待されるよりも低い流束値に寄与する因子であり得る。
【0249】
実施例15:トリメチルアミン及び溶液中のイオン化したトリメチルアミンの分析のためのFT-IRの検量線作成
標準溶液の調製:
トリメチルアミン水溶液(45wt%)は、Sigma-Aldrichから購入した(cat#92262)。この溶液の希釈は、分析のために適切な濃度を与えるべく脱イオン水を用いて行った。
【0250】
イオン化したトリメチルアミン水溶液(66wt%)は、2Lずつの45wt%トリメチルアミン水溶液を、1ガロンのChemineer高圧反応器構成内で、600rpmで攪拌しながら9barで最低でも30分間、カーボネーションすることによって作製した。この溶液の希釈は、分析に適した濃度を与えるべく脱イオン水を用いて行った。
【0251】
トリメチルアミンのFT-IRの検量線作成:
ATR-FT-IR(Agilent Cary 630 FT-IRベンチトップ分光器)を用いて、およそ2滴の各標準溶液をセンサ上に滴下した。結果的に得られたスペクトルから水のスペクトルを差し引いた。1265cm
-1を中心とした1290~1240cm
-1の曲線下面積を記録し、検量線を引いた。この場合、wt%TMA=[面積]/0.1847であった(表1B及び
図14参照)。
【0252】
イオン化したトリメチルアミンのFT-IRの検量線作成:
ATR-FT-IRを用いて、およそ2滴の各標準溶液をセンサ上に滴下した。結果的に得られたスペクトルから水のスペクトルを差し引いた。1365cm
-1を中心とした1440~1300cm
-1の曲線下面積を記録し、検量線を引いた。この場合、wt%イオン化したトリメチルアミン=[面積]/2.6994であった(表1C及び
図1C参照)。
【表2】
【0253】
【0254】
【0255】
【0256】
【0257】
【0258】
【0259】
【0260】
【0261】
【0262】
【0263】
【0264】
【0265】
【0266】
【0267】
【0268】
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
【0273】
【0274】
【0275】
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】
【0280】
【0281】
【0282】
本明細書に記載のすべての刊行物、特許、及び特許出願は、この発明が属する技術分野の当業者のスキルのレベルを示し、本明細書は、各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれるように具体的に個々に示された場合と同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0283】
本発明はこのように説明されており、本発明が様々に変化し得ることは明白であろう。このようなバリエーションは、本発明の精神及び範囲からの逸脱とみなされず、当業者に明白であろうすべてのこのような修正は、以下の請求項の範囲内に含まれることを意図される。
【0284】
排他的特性又は特権が特許請求される本発明の実施形態は、以下のように定められる。