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特許7093936ブレード、3次元積層造形装置、3次元積層造形装置の制御方法および3次元積層造形装置の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】ブレード、3次元積層造形装置、3次元積層造形装置の制御方法および3次元積層造形装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/214 20170101AFI20220624BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20220624BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220624BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220624BHJP
   B29C 64/165 20170101ALI20220624BHJP
   B22F 12/67 20210101ALI20220624BHJP
【FI】
B29C64/214
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/165
B22F12/67
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020508876
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2018013883
(87)【国際公開番号】W WO2019187108
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】391064429
【氏名又は名称】シーメット株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514227988
【氏名又は名称】技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】宮野 英昭
(72)【発明者】
【氏名】大場 好一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸吉
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 光範
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-532433(JP,A)
【文献】特開2015-020328(JP,A)
【文献】特開2002-038201(JP,A)
【文献】特開平09-216292(JP,A)
【文献】特開2006-044194(JP,A)
【文献】特表2009-512579(JP,A)
【文献】特開2001-009921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元積層造形装置において、粉体材料の表面に接触する底面を有し、水平に移動しながら造形台上に敷かれた前記粉体材料の表面をフラットにする第1ブレードであって、前記第1ブレードが移動する移動方向の一方に、前記底面から前記移動方向に延設された突起部を有する第1ブレードと、
前記造形台上に敷かれた前記粉体材料をフラットにしつつ敷かれた前記粉体材料のかさ密度が増すように、前記造形台上を移動する逆台形形状の第2ブレードと、
を有するブレード組であって、
前記第1ブレードは、前記突起部が前記第2ブレードから遠い側に位置するように配置されるブレード組
【請求項2】
2つの前記第1ブレードを有し、
2つの前記第1ブレードは、前記突起部が前記第2ブレードから遠い側に位置するように、前記第2ブレードの両側に配置される請求項1に記載のブレード組。
【請求項3】
前記第1ブレードは、前記突起部と反対側に切欠部をさらに有する請求項1または2に記載のブレード
【請求項4】
前記突起部は、前記底面と鋭角をなす傾斜部を有する請求項1乃至のいずれか1項に記載のブレード
【請求項5】
前記第1ブレードが移動する方向に対して平行な面による前記第1ブレードの断面形状は、ブーツ状である請求項1乃至のいずれか1項に記載のブレード
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のブレードと、
3次元積層造形物の粉体材料を造形台にリコートするリコータと、
前記リコータの動作および前記ブレードの動作を制御する制御手段と、
を備えた3次元積層造形装置。
【請求項7】
請求項に記載の3次元積層造形装置の制御方法であって、
3次元積層造形物の粉体材料を、リコータにより造形台上にリコートするリコートステップと、
前記リコータの動作および記ブレードの動作を制御する制御ステップと、
を含む3次元積層造形装置の制御方法。
【請求項8】
請求項に記載の3次元積層造形装置の制御プログラムであって、
3次元積層造形物の粉体材料を、リコータにより造形台上にリコートするリコートステップと、
前記リコータの動作および記ブレードの動作を制御する制御ステップと、
をコンピュータに実行させる3次元積層造形装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレード、3次元積層造形装置、3次元積層造形装置の制御方法および3次元積層造形装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、移動方向に平行な面から見た断面が矩形のスキージングブレードを用いて粉体材料の表面をフラットにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-241261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、粉体材料の表面をフラットにする際にリコートされた粉体材料が引き摺られ、捲れ上がり、既に造形されている3次元積層造形物を破壊する恐れがあった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るブレードは、
3次元積層造形装置において、粉体材料の表面に接触する底面を有し、水平に移動しながら造形台上に敷かれた前記粉体材料の表面をフラットにする第1ブレードであって、前記第1ブレードが移動する移動方向の一方に、前記底面から前記移動方向に延設された突起部を有する第1ブレードと、
前記造形台上に敷かれた前記粉体材料をフラットにしつつ敷かれた前記粉体材料のかさ密度が増すように、前記造形台上を移動する逆台形形状の第2ブレードと、
を有するブレード組であって、
前記第1ブレードは、前記突起部が前記第2ブレードから遠い側に位置するように配置される
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る3次元積層造形装置は、
記ブレードと、
3次元積層造形物の粉体材料を造形台にリコートするリコータと、
前記リコータの動作および前記ブレードの動作を制御する制御手段と、
を備えた。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る3次元積層造形装置の制御方法は

上記3次元積層造形装置の制御方法であって、
3次元積層造形物の粉体材料を、リコータにより造形台上にリコートするリコートステップと、
前記リコータの動作および記ブレードの動作を制御する制御ステップと、
を含む。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る3次元積層造形装置の制御プログ
ラムは、
上記3次元積層造形装置の制御プログラムであって、
3次元積層造形物の粉体材料を、リコータにより造形台上にリコートするリコートステップと、
前記リコータの動作および記ブレードの動作を制御する制御ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、既に造形されている3次元積層造形物を破壊する恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る3次元積層造形装置の構成を示すブロック図である。
図2A】本発明の第2実施形態に係る3次元積層造形装置の構成の概略を説明する模式図である。
図2B】本発明の第2実施形態に係る3次元積層造形装置の備えるブレードを説明する図である。
図2C】本発明の第2実施形態に係る3次元積層造形装置の備えるブレードによるスキージングを説明する図である。
図2D】本発明の第2実施形態に係る3次元積層造形装置の備えるブレードを説明する斜視図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る3次元積層造形装置の処理手順を説明するフローチャートである。
図4】本発明の第3実施形態に係る3次元積層造形装置について説明する図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る3次元積層造形装置の処理手順を説明するフローチャートである。
図6】本発明の第4実施形態に係る3次元積層造形装置について説明する図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る3次元積層造形装置の処理手順を説明するフローチャートである。
図8】本発明の第5実施形態に係る3次元積層造形装置について説明する図である。
図9】本発明の第5実施形態に係る3次元積層造形装置の処理手順を説明するフローチャートである。
図10】本発明の第6実施形態に係る3次元積層造形装置について説明する図である。
図11】本発明の第6実施形態に係る3次元積層造形装置の処理手順を説明するフローチャートである。
図12】本発明の第7実施形態に係る3次元積層造形装置の備えるブレードの他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明記載する。ただし、以下の実施の形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としてのブレード100について、図1を用いて説明する。ブレード100は、3次元積層造形装置に取り付けられ、造形台上にリコートされた3次元積層造形物の粉体材料をフラットにするために用いられる。
【0014】
図1に示すように、ブレード100は、突起部101を含む。ブレード100は、3次元積層造形装置において、粉体材料110の表面に接触する底面102を有し、水平に移動しながら造形台上に敷かれた粉体材料110の表面をフラットにするためのものである。ブレード100は、ブレード101が移動する移動方向120の少なくとも一方に、底面102から移動方向120に延設された突起部101を有する。
【0015】
本実施形態によれば、既に造形されている3次元積層造形物を破壊する恐れがない。
【0016】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る3次元積層造形装置について、図2A乃至図3を用いて説明する。図2Aは、本実施形態に係る3次元積層造形装置200の構成を説明する模式図である。また、図2Bは、本実施形態に係る3次元積層造形装置200の備えるブレード202を説明する図である。3次元積層造形装置200は、リコータ201、ブレード202、バインダ塗布部203および制御部204を有する。
【0017】
リコータ201は、3次元積層造形物210の粉体材料220を造形台230上にリコートする。リコータ201は、例えば、粉体材料220を貯留するホッパーおよび貯留された粉体材料220を造形台230上にリコートするリコート部材などを含む。3次元積層造形物210の粉体材料220は、例えば、アルミニウム、鉄、銅などの金属粉末や、プラスチック、樹脂などの粉末であるが、これらには限定されない。リコータ201は、移動方向211に対して、造形台230上を往復移動する。
【0018】
ブレード202は、リコータ201により造形台230上にリコートされた粉体材料220をフラットにする部材であり、スキージングブレードなどと呼ばれる。リコータ201からリコートされた粉体材料220は、リコートされたままの状態では、盛り土のように盛り上がった粉体材料220の塊となっている。盛り上がった塊状態の粉体材料220を加工しても所望の形状の3次元積層造形物210は得られない。
【0019】
所望の形状の3次元積層造形物210を得るために、ブレード202は、リコータ201からリコートされた粉体材料220をフラットにしたり、余分にリコートされた粉体材料220を取り除いたりして、1層分の粉体材料層を形成する。ブレード202は、進行方向222(移動方向)に対して、造形台230上を往復移動しながら、粉体材料220をフラットにしたり、取り除いたりしながら、1層分の粉体材料層を形成する。
【0020】
ブレード202は、両方の移動方向(進行方向222)に延設された2つの突起部221を有している。2つの突起部221は、ブレード202の造形台230に近い側(ブレード202の下端側)に設けられている。また、突起部221は、ブレード202の進行方向222に平行な面から見て、ブレード202の両側に設けられている。つまり、ブレード202の進行方向222の一方を前進、他方を後進とした場合、ブレード202は、前進用および後進用の突起部221を有している。
【0021】
ブレード202の底面223は、造形台230または造形台230上にリコートされた粉体材料220と接触する接触面となっており、突起部221は、底面223と鋭角をなす傾斜部224を有している。つまり、底面223と傾斜部224との間の角度225は、鋭角となっている。角度225は、鋭角であればいずれの角度であってもよい。角度225は、例えば、粉体材料220の流動性や粉体材料220の重さなどに応じて決定される。角度225は、例えば、30°である。そして、ブレード202の進行方向222に平行な面によるブレード202の断面形状は、三角フラスコ状の形状となっている。つまり、ブレード202は、胴体部分の土台が広く、上に向かって胴体の幅が徐々に細くなり(傾斜部224)、ある位置からは胴体の幅が一定となるような形状をしている。
【0022】
バインダ塗布部203は、造形台230上に形成された粉体材料層に対して結合剤であるバインダを吹き付けて、塗布する。バインダ塗布部203は、例えば、インクジェットヘッドなどを含んで構成され、インクジェットヘッドからバインダを噴射して粉体材料層にバインダを塗布する。粉体材料220には、薬剤をコーティングしているので、バインダが塗布された部分が固まり、1層分の粉体材料層の造形が完了する。このように、1層分の粉体材料層の造形が完了したら、造形台230をZ軸方向に粉体材料層1層分下降させて、次の粉体材料層の造形を行う。
【0023】
リコータ201による粉体材料220のリコート、ブレード202による粉体材料層の形成、バインダ塗布部203によるバインダの塗布を所定回数繰り返すことにより3次元積層造形物210が造形タンク240内に造形される。
【0024】
制御部204は、リコータ201の動作およびブレード202の動作を制御する。さらに、制御部204は、バインダ塗布部203の動作を制御してもよい。例えば、制御部204は、リコータ201を制御して、造形台230上に所定量の粉体材料220をリコートする。リコータ201により所定量の粉体材料220が、造形台230上にリコートされたら、制御部204は、ブレード202の動作を制御して、余分な粉体材料220を取り除きつつ、造形台230上にリコートされた粉体材料220をフラットにして、粉体材料220の表面250が形成されるようにする。粉体材料220の表面250は、フラットになっている。
【0025】
図2Cは、本実施形態に係る3次元積層造形装置200の備えるブレード202によるスキージングを説明する図である。図2Cに示したように、ブレード202は、左から右へ移動しながら、スキージングをしている。ブレード202は、突起部221の傾斜部224により、粉体材料220を切り取るようにして、あるいは、粉体材料220を削り取るようにして、粉体材料220を取り除く。この場合、ブレード202の突起部221が、リコートされた粉体材料220と表面250との間に潜り込むようにして、進入していく。すなわち、ブレード202の突起部221は、直前にリコートされた粉体材料220(最上層の粉体材料220)とその下にリコートされた粉体材料220(最上層の1つ下の層の粉体材料220)との間に進入する。したがって、ブレード202が、3次元積層造形物210の上部を通過する場合、ブレード202により粉体材料層の粉体材料220が引き摺られることがないので、3次元積層造形物210が破壊されることがない。
【0026】
また、ブレード202の傾斜部224が、バッファとなり、このバッファに粉体材料220が貯まり、粉体材料220を運ぶ役目を果たすので、余分な粉体材料220を効率的に取り除くことができる。なお、ブレード202により取り除かれた材料220は、造形タンク240の端で捨てられる。捨てられた粉体材料220を、回収して再利用してもよい。
【0027】
図2Dは、本実施形態に係る3次元積層造形装置の備えるブレードを説明する斜視図である。図2Dは、造形台230上に敷かれた粉体材料220をブレード202によりスキージしている様子を示しており、ブレード202は、移動方向226、すなわち、紙面上、左から右へ向かって移動している。傾斜部221は、ブレード202の全長に渡って設けられている。つまり、傾斜部221は、移動方向226に垂直な方向であって、表面250に平行な方向に設けられている。
【0028】
ブレード202が通過した側(図2Dの左側)の最上層の粉体材料220の表面250は、フラットになっている。そして、ブレード202がこれから通過する側(図2Dの右側)の最上層の粉体材料220の表面250は、スキージされていないので、フラットにはなっていない。ブレード202により削り取られた粉体材料220は、傾斜部221の上(バッファ)に載せられて、運ばれる。
【0029】
図3は、本実施形態に係る3次元積層造形装置200の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートは、CPU(Central Processing Unit)(不図示)がRAM(Random Access Memory)(不図示)を使用して実行し、図2Aの3次元積層造形装置200の機能構成部を実現する。ステップS301において、3次元積層造形装置200は、粉体材料220を造形台230上にリコートする。ステップS303において、3次元積層造形装置200は、ブレード202を起動する。そして、ブレード202によりリコートされた粉体材料220をスキージして、表面250を形成する。ステップS305において、3次元積層造形装置200は、形成された表面250に結合剤であるバインダーを塗布する。粉体材料220には薬剤がコーティングされているので、バインダーを塗布すれば、粉体材料220は固まる。ステップS309において、3次元積層造形装置200は、3次元積層造形物210の造形が終了したか否かを判断する。造形が終了していないと判断した場合(ステップS309のNO)、3次元積層造形装置200は、ステップS301に戻り、以降のステップを繰り返す。造形が終了したと判断した場合(ステップS309のYES)、3次元積層造形装置200は、処理を終了する。
【0030】
本実施形態によれば、ブレードが突起部を有するので、粉体材料をフラットにする際にリコートされた粉末が引き摺られ、捲れ上がることがない。また、粉末が引き摺られ、捲れ上がることがないので、既に造形された3次元積層造形物が破壊されることなく、余分な粉体材料を効果的に取り除くことができる。また、既に造形された3次元積層造形物が破壊されないので、3次元積層造形物を精度高く造形することができる。
【0031】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る3次元積層造形装置について、図4および図5を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る3次元積層造形装置について説明する図である。本実施形態に係る3次元積層造形装置は、上記第2実施形態と比べると、ブレードを2つ有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0032】
3次元積層造形装置400は、ブレード401、ブレード402および制御部403を有する。ブレード401およびブレード402は、突起部411と突起部421とが互いに外側を向くように配置されている。つまり、ブレード401の突起部411は、進行方向412の方向を向いており、ブレード402の突起部421は、進行方向422の方向を向いている。また、ブレード401およびブレード402は、断面形状がブーツ状の形状となっている。すなわち、ブレード401およびブレード402は、ブーツのつま先部分に相当する位置に突起部411,421が設けられ、ブーツの踵部分に相当する位置には、突起部は設けられていない形状となっている。
【0033】
ブレード401は、図4の右方向をブレード401の進行方向412(前進方向)とした場合、進行方向412側(前進側)に突起部411を有している。同様に、ブレード402は、図4の左方向をブレード402の進行方向422(前進方向)とした場合、進行方向422側(前進側)に突起部411を有している。ブレード401およびブレード402は、後進側には、突起部を有していない。つまり、ブレード401,402は、一方の進行方向412,422のみに延設された突起部411,412を有する。ブレード401は、リコートされた粉体材料220を進行方向412にスキージする場合に使用される。ブレード402は、リコートされた粉体材料220を進行方向422にスキージする場合に使用される。
【0034】
制御部403は、リコータ202(不図示)による粉体材料220のリコートを制御する。さらに、制御部403は、スキージの方向に合わせて使用するブレード401,402を選択して、リコートされた粉体材料220のブレード401,402によるスキージを制御する。
【0035】
ブレード401とブレード402とは、一体となって動作するようになっている。制御部403は、例えば、進行方向412の方向へ粉体材料220をスキージする場合には、ブレード401を用いて粉体材料220をスキージする。ブレード401が表面250上を移動してスキージしている場合、制御部403は、スキージをしないブレード402が、表面250に触れないようにするために、ブレード402が表面250から離れるように浮かせて移動させるように制御する。
【0036】
これとは反対に、ブレード402を用いて進行方向422の方向へ粉体材料220をスキージする場合、制御部403は、スキージをしないブレード401が表面250から離れるように浮かせて移動させるように制御する。
【0037】
なお、制御部403は、例えば、進行方向412にスキージする場合、ブレード401を用いてスキージするが、この場合、制御部403は、ブレード401を表面250から離す量を調整して、取り除く粉体材料220の量を調整する。同様に、制御部403は、例えば、進行方向422にスキージする場合、ブレード402を用いてスキージするが、この場合、制御部403は、ブレード402を表面250から離す量を調整して、取り除く粉体材料220の量を調整する。このように、制御部403は、ブレード401,402を表面250から浮かせる量を調整できるので、スキージする粉体材料220の量を調整することができる。
【0038】
図5は、本実施形態に係る3次元積層造形装置の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートは、CPU(不図示)がRAM(不図示)を使用して実行し、図4の3次元積層造形装置400の機能構成部を実現する。
【0039】
ステップS501において、3次元積層造形装置400は、スキージする方向が前進方向(進行方向412)であるか否かを判断する。前進方向であると判断した場合(ステップS501のYES)、3次元積層造形装置400は、ステップS503へ進む。ステップS503において、3次元積層造形装置400は、前進方向に粉体材料220をスキージするためのブレード401を起動し、粉体材料220をスキージして表面250を形成する。この場合、3次元積層造形装置400は、スキージをしないブレード402が表面250に触れないようにするため、ブレード402を浮かせて移動させるように制御する。
【0040】
前進方向でないと判断した場合(ステップS501のNO)、3次元積層造形装置400は、ステップS505へ進む。ステップS505において、3次元積層造形装置400は、後進方向(進行方向422)に粉体材料220をスキージするためのブレード402を起動し、粉体材料220をスキージして表面250を形成する。この場合、3次元積層造形装置400は、スキージをしないブレード401が表面250に触れないようにするため、ブレード401を浮かせて移動させるように制御する。
【0041】
本実施形態によれば、ブレードを選択できるので、使用していない方のブレードのメンテナンスを行うことができる。また、ブレードを2つ有するので、1つのブレードを小型化することができる。さらに、ブレードが突起部を有するので、既に造形された3次元積層造形物を破壊することなく、余分な粉体材料を効果的に取り除くことができる。また、既に造形された3次元積層造形物が破壊されないので、3次元積層造形物を精度高く造形することができる。
【0042】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態に係る3次元積層造形装置について、図6および図7を用いて説明する。図6は、本実施形態に係る3次元積層造形装置について説明する図である。本実施形態に係る3次元積層造形装置は、上記第2実施形態および第3実施形態と比べると、切欠部を備えたブレードを有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態および第3実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0043】
3次元積層造形装置600は、ブレード601、ブレード602および制御部603を有する。ブレード601は、突起部411の反対側に切欠部612を有する。ブレード601の切欠部612は、進行方向412の反対方向である、ブレード601の内側に設けられている。同様に、ブレード602は、突起部421の反対側に切欠部622を有する。ブレード602の切欠部622は、進行方向422の反対方向である、ブレード602の内側に設けられている。すなわち、ブーツ形状のブレード601,602は、ブーツの踵部分に相当する位置に切欠部612,622を有している。
【0044】
そして、ブレード601およびブレード602は、突起部411および突起部421が互いに外側を向くように配置されている。つまり、ブレード601の突起部411は、進行方向412の方向を向いており、ブレード602の突起部421は、進行方向422の方向を向いている。さらに、ブレード601およびブレード602は、切欠部612および切欠部622が、互いに内側を向くように(対向するように)配置されている。すなわち、ブレード601の切欠部612は、進行方向412とは反対側に設けられており、ブレード602の切欠部622は、進行方向422とは反対側に設けられている。
【0045】
そして、切欠部612,622は、切欠面が斜め下を向いているので、ブレード601,602を動かして、切欠部612,622の切欠面により、粉体材料220をスキージすれば、粉体材料220が下側(表面250側)に押し込まれる。このように、粉体材料220を表面250側に押し込むことができれば、表面250における粉体材料220のかさ密度を増大させることができる。したがって、造形される3次元積層造形物210の造形精度を上げることができる。
【0046】
制御部603は、ブレード601,602の動作を制御して、余分な粉体材料220を取り除く。また、制御部603は、ブレード601,602の動作を制御して、粉体材料220のかさ密度を調整する。例えば、進行方向412側に粉体材料220をスキージする場合、制御部603は、ブレード601の動作を制御して粉体材料220のスキージを行う。
【0047】
ブレード601による粉体材料220のスキージと合わせて、粉体材料220のかさ密度を増やしたい場合は、制御部603は、ブレード601と反対側のブレード602を動かして、切欠部622により、粉体材料220のかさ密度を増大させる。
【0048】
同様に、進行方向422側に粉体材料220をスキージする場合、ブレード602による粉体材料220のスキージと合わせて、粉体材料220のかさ密度を増やしたい場合は、制御部603は、ブレード602と反対側のブレード601を動かす。そして、ブレード601の切欠部612により、粉体材料220のかさ密度を増大させる。
【0049】
図7は、本実施形態に係る3次元積層造形装置の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートは、CPU(不図示)がRAM(不図示)を使用して実行し、図6の3次元積層造形装置600の機能構成部を実現する。
【0050】
ステップS701およびステップS705において、3次元積層造形装置600は、リコートされた粉体材料220のかさ密度の増大が必要か否かを判断する。粉体材料220のかさ密度の増大が必要と判断した場合(ステップS701およびステップS705のYES)、3次元積層造形装置600は、粉体材料220を取り除くようにスキージしているブレード601(ブレード602)とは反対側のブレード602(ブレード601)を起動する。そして、起動したブレード601の切欠部612(ブレード602の切欠部622)により、粉体材料220を下方向に押し込んで、粉体材料220のかさ密度を増大させる。
【0051】
粉体材料220のかさ密度の増大が必要ないと判断した場合(ステップS701およびステップS705のNO)、3次元積層造形装置600は、ステップS305へ進む。
【0052】
本実施形態によれば、ブレードに切欠部を設けたので、粉体材料のかさ密度を増大させることができる。切欠部により粉体材料のかさ密度を増大させることができるので、精度の高い3次元積層造形物を造形することができる。さらに、ブレードが突起部を有するので、既に造形された3次元積層造形物を破壊することなく、余分な粉体材料を効果的に取り除くことができる。また、既に造形された3次元積層造形物が破壊されないので、3次元積層造形物を精度高く造形することができる。
【0053】
[第5実施形態]
次に本発明の第5実施形態に係る3次元積層造形装置について、図8および図9を用いて説明する。図8は、本実施形態に係る3次元積層造形装置について説明する図である。本実施形態に係る3次元積層造形装置は、上記第4実施形態と比べると、逆台形形状のブレードをさらに有する点で異なる。その他の構成および動作は、第4実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0054】
3次元積層造形装置800は、ブレード801をさらに有する。つまり、3次元積層造形装置800は、ブレード401、ブレード402およびブレード801を含むブレード組を備える。ブレード801は、ブレード801の移動方向(進行方向412,422)に対して平行な面による断面形状が、逆台形形状となっている。そして、ブレード801が逆台形形状となっていることにより、ブレード801には、切欠部811,812が形成される。切欠部811,812による切欠面は、斜め下方向を向いている。ブレード801が表面250上を移動することにより、切欠部811,812の切欠面により、粉体材料220が下方向(表面250側)に押し込まれ、表面250の粉体材料220のかさ密度が増大する。
【0055】
制御部803は、ブレード401,402,801の動作を制御して、粉体材料220をスキージしたり、粉体材料220のかさ密度を増大させたりする。
【0056】
図9は、本実施形態に係る3次元積層造形装置の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートは、CPU(不図示)がRAM(不図示)を使用して実行し、図8の3次元積層造形装置800の機能構成部を実現する。
【0057】
ステップS901において、3次元積層造形装置800は、表面250上の粉体材料220のかさ密度を増大させる必要があるか否かを判断する。かさ密度の増大が必要な場合(ステップS901のYES)、3次元積層造形装置800は、ステップS903に進む。ステップS903において、3次元積層造形装置800は、かさ密度増大用のブレード801を起動させ、表面250上を移動させて、粉体材料220のかさ密度を増大させる。かさ密度の増大が必要ない場合(ステップS901のNO)、3次元積層造形装置800は、ステップS305へ進む。
【0058】
本実施形態によれば、切欠部を有するかさ密度増大用のブレードを備えたので、より確実に粉体材料のかさ密度を増大させることができる。切欠部により粉体材料のかさ密度を増大させることができるので、精度の高い3次元積層造形物を造形することができる。さらに、ブレードが突起部を有するので、既に造形された3次元積層造形物を破壊することなく、余分な粉体材料を効果的に取り除くことができる。また、既に造形された3次元積層造形物が破壊されないので、3次元積層造形物を精度高く造形することができる。
【0059】
[第6実施形態]
次に本発明の第6実施形態に係る3次元積層造形装置について、図10および図11を用いて説明する。図10は、本実施形態に係る3次元積層造形装置について説明する図である。本実施形態に係る3次元積層造形装置は、上記第2実施形態乃至第5実施形態と比べると、切欠部を備えるブレードを3つ有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態乃至第5実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0060】
3次元積層造形装置1000は、ブレード601、ブレード602およびブレード801を有する。つまり、3次元積層造形装置1000は、ブレード601、ブレード602およびブレード801を含むブレード組を備える。ブレード601は切欠部612を有し、ブレード602は、切欠部622を有し、ブレード801は、切欠部811,812を有する。3次元積層造形装置1000のブレード601,602,801は、いずれも切欠部612,622,811,812を有している。
【0061】
3次元積層造形装置1000においては、切欠部811と切欠部622との組み合わせ、または、切欠部812と切欠部612との組み合わせにより、粉体材料220のかさ密度を増大させることができる。また、2つの切欠部により粉体材料220を押し込むことができるので、かさ密度の増大量をさらに細かく調整することができる。
【0062】
例えば、進行方向412の方向へブレード601,602,801を移動させる場合、制御部1003は、ブレード601を動作させて、突起部411により余分な粉体材料220を除去することができる。さらに、制御部1003は、ブレード602,801を動作させ、切欠部811および切欠部622により、粉体材料220を押し込んで、表面250上の粉体材料220のかさ密度を増大させることができる。なお、切欠部811および切欠部622のいずれか一方または両方を用いることにより、かさ密度の増大量は、調整可能である。反対側の進行方向422の方向へブレード601,602,801を移動させる場合も同様である。
【0063】
図11は、本実施形態に係る3次元積層造形装置1000の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートは、CPU(不図示)がRAM(不図示)を使用して実行し、図10の3次元積層造形装置1000の機能構成部を実現する。ステップS1101において、3次元積層造形装置1000は、前進方向(進行方向412)用のブレード601または後進方向(進行方向422)用のブレード602を起動して、粉体材料220のかさ密度が増大するように、表面250上を移動させる。ステップS1103において、3次元積層造形装置1000は、逆台形形状のブレード801を起動して、粉体材料220のかさ密度が増大するように、表面250上を移動させる。なお、3次元積層造形装置1000は、ステップS1101およびステップS1103のうちいずれか一方を実行してもよい。
【0064】
本実施形態によれば、2つの切欠部を用いて粉体材料を押し込むことができるので、粉体材料のかさ密度の増大量をさらに細かく調整することができる。切欠部により粉体材料のかさ密度を増大させることができるので、精度の高い3次元積層造形物を造形することができる。さらに、ブレードが突起部を有するので、既に造形された3次元積層造形物を破壊することなく、余分な粉体材料を効果的に取り除くことができる。また、既に造形された3次元積層造形物が破壊されないので、3次元積層造形物を精度高く造形することができる。
【0065】
[第7実施形態]
次に本発明の第7実施形態に係る3次元積層造形装置について、図12を用いて説明する。図12は、本実施形態に係る3次元積層造形装置の備えるブレードの他の例を説明する図である。ブレード1201は、突起部1211を有しており、傾斜部1212が、表面250側(ブレード1201の底面側)に凹むように湾曲している。ブレード1202は、ブレード1202の底面が表面250から離れた突起部1221を有している。突起部1221は、上側の傾斜部1222と下側の傾斜部1223とを有している。ブレード1203は、突起部1231を有しており、突起部1231の傾斜部1232は、表面250とは反対側に膨らむように湾曲している。ブレード1204は、突起部1241を有しており、突起部1241の上側の傾斜部1242は、表面250側に凹むように湾曲している。また、突起部1241の下側(表面250側)の傾斜部1243は、表面250側に凹むように湾曲している。傾斜部1243は、表面250から離れている。
【0066】
また、図12では、ブレード1201,1202,1203,1204は、切欠部を有していないが、ブレード1201,1202,1203,1204に切欠部を設けてもよい。なお、ここで説明したブレード1201,1202,1203,1204は、上記第2実施形態乃至第6実施形態で説明したブレード202,401,402,601,602の代わりに用いてもよい。
【0067】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0068】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12