(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/04 20060101AFI20220624BHJP
A47L 9/02 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
A47L9/04 A
A47L9/02 D
(21)【出願番号】P 2018007510
(22)【出願日】2018-01-19
【審査請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100130074
【氏名又は名称】中村 繁元
(72)【発明者】
【氏名】小崎 浩正
(72)【発明者】
【氏名】吉田 知弘
(72)【発明者】
【氏名】竹内 章員
(72)【発明者】
【氏名】木野 徳智
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-068654(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0272121(US,A1)
【文献】実開昭61-137342(JP,U)
【文献】実開昭52-016767(JP,U)
【文献】実開平01-062748(JP,U)
【文献】特開平07-265233(JP,A)
【文献】特開2007-167254(JP,A)
【文献】米国特許第04279095(US,A)
【文献】実開昭54-078270(JP,U)
【文献】実開昭64-033956(JP,U)
【文献】登録実用新案第3200339(JP,U)
【文献】米国特許第06134746(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/04
A47L 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機と集塵室とを備えた掃除機本体と、
前記掃除機本体に固定されると共に、一端が前記集塵室に連通し、他端の少なくとも先端部近傍が細管形状であって、弾性部材からなる吸引管と、
前記掃除機本体に備えられた持ち手と、
前記吸引管の開口近傍に配置され、軸受により回転自在に支持された回転清掃体と、
を有し、
使用者が前記持ち手を把持して前記掃除機本体を往復移動させることによって清掃を行う電気掃除機において、
前記掃除機本体への吸引は、前記吸引管
の開口からのみ吸引可能であって、
前記吸引管の開口は、清掃時の往路の進行方向側の側面に被清掃面に対して傾斜角を有するように設けられた往路側傾斜開口部と、清掃時の復路の進行方向側の側面に被清掃面に対して傾斜角を有するように設けられた復路側傾斜開口部と、を備えており、
前記回転清掃体は、被清掃面から
前記復路側傾斜開口部に向けて
下から上へと近づく方向に回転することを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
回転清掃体の少なくとも三方を囲むように、弾性部材からなる飛散防止手段が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
往路側傾斜開口部の開口面積は、
復路側傾斜開口部の開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項
1又は2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
吸引管は、掃除機本体と弾性部材からなる弾性体により連結され、回転清掃体より突出可能であると共に、
前記弾性体によって、前記吸引管の先端は、被清掃面側に付勢されていることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
回転清掃体は、回転軸を有し、該回転軸の長手方向中央部が軸受によって軸支されていることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵室と電動送風機とを備えた掃除機本体と、吸引管とを有し、被清掃面に付着している塵埃等を吸引除去する為の電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被清掃面に付着している塵埃等を吸引除去する為に複数の吸引管を備えた電気掃除機が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の電気掃除機は、吸引管を使用しており、吸引管は開口面積が小さいことから、サッシの溝又はソファーの隙間等の比較的狭い清掃箇所のゴミを効率良く吸い込み掃除できる特徴を備えていた。その一方で、フロアマット等の毛足の長い毛材の中間部に付着している砂等の塵埃を掻き出すことは容易ではなかった。
【0004】
上記課題を解決するため、特許文献2に記載の電気掃除機が開発されている。この電気掃除機は、吸込口の前方に回転清掃体を備え、後方に吸引管を備える構成となっており、回転清掃体によって、フロアマット等の毛足の長い毛材の中間部に付着している砂等の塵埃を掻き出すことができるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】登録実用新案第3200339号公報
【文献】実公昭55-34031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2に記載の電気掃除機は、フロアマット等の毛足の長い毛材の深部に付着した塵埃の除去は吸引管からの吸引力に頼らざるを得ず、吸込口の開口面積が大きいことから、例えば自動車等に備えられている出力の小さい電源を使用する場合において、吸引管における十分な吸引力を確保することが難しいという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、狭い清掃箇所を効率よく掃除でき、フロアマット等の毛足の長い毛材の深部に付着している塵埃を掻き出し効率よく吸引できると共に、自動車等に備えられている出力の小さい電源を使用する場合においても塵埃を吸引するための十分な吸引力を確保し、高い清掃効果を発揮することができる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の電気掃除機の発明は、電動送風機と集塵室とを備えた掃除機本体と、前記掃除機本体に固定されると共に、一端が前記集塵室に連通し、他端の少なくとも先端部近傍が細管形状であって、弾性部材からなる吸引管と、前記掃除機本体に備えられた持ち手と、前記吸引管の開口近傍に配置され、軸受により回転自在に支持された回転清掃体と、を有し、使用者が前記持ち手を把持して前記掃除機本体を往復移動させることによって清掃を行う電気掃除機において、前記掃除機本体への吸引は、前記吸引管の開口からのみ吸引可能であって、前記吸引管の開口は、清掃時の往路の進行方向側の側面に被清掃面に対して傾斜角を有するように設けられた往路側傾斜開口部と、清掃時の復路の進行方向側の側面に被清掃面に対して傾斜角を有するように設けられた復路側傾斜開口部と、を備えており、前記回転清掃体は、被清掃面から前記復路側傾斜開口部に向けて下から上へと近づく方向に回転することを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明では、掃除機本体への吸引を吸引管の開口からのみ吸引可能としたので、自動車等に備えられている出力の小さい電源を使用する場合においても塵埃を吸引するための十分な吸引力を確保することができる。また、回転清掃体を吸引管の開口近傍に配置すると共に、被清掃面から復路側傾斜開口部に向けて下から上へと近づく方向に回転するようにしたので、フロアマット等の毛足の長い毛材の深部に付着している塵埃を掻き出すことができると共に、掻き出された塵埃を効率よく吸引管によって吸引することができる。また、小石等の大きな塵埃を前方の吸引管であらかじめ除去することができるので、後方の回転清掃体で大きな塵埃を飛散させることが少なく、安全性を高くすることができる。また、往路側の吸引管がフロアマット等の毛足の長い毛材を押し倒し又はかき分けることで、復路側の回転清掃体がより深部まで侵入し付着している塵埃を掻き出すことができるため、清掃効率を高くすることができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の電気掃除機の発明において、回転清掃体の少なくとも三方を囲むように、弾性部材からなる飛散防止手段が設置されていることを特徴としている。したがって、回転清掃体で掻き出した塵埃の周囲への飛散を防止することができるので安全性を高くすることができると共に、吸引管が吸い残した塵埃を掻き集めることができ、清掃効率を高くすることができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2の電気掃除機の発明において、往路側傾斜開口部の開口面積は、復路側傾斜開口部の開口面積よりも大きいことを特徴としている。したがって、掃除機本体を傾けて使用した場合でも、吸引管の往路側傾斜開口部と復路側傾斜開口部が被清掃面に臨むため、塵埃を吸引することができる。また、掃除機本体の往復移動時に、吸引管が塵埃を引きずること無く吸引することができる。さらに、吸引管の傾斜開口部は、往路側から小石等の大きな塵埃を吸引し、復路側から砂等の小さな塵埃を吸引することができるので、過度に開口面積を広げること無く清掃効率を高めることができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1~3のいずれかの電気掃除機の発明において、吸引管は、掃除機本体と弾性部材からなる弾性体により連結され、回転清掃体より突出可能であると共に、前記弾性体によって、前記吸引管の先端は、被清掃面側に付勢されていることを特徴としている。したがって、掃除機本体を被清掃面に対して垂直な方向から被清掃面側に傾けて使用した場合でも吸引管の先端を被清掃面に当接させることができるので、操作性を良好にすることができると共に、清掃効率を高めることができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1~4のいずれかの電気掃除機の発明において、回転清掃体は、回転軸を有し、該回転軸の長手方向中央部が軸受によって軸支されていることを特徴としている。したがって、回転清掃体の長手方向の両端部を被清掃面に当接させることができ、自動車内等の狭い箇所の清掃時において、隙間や壁際等に回転清掃体を寄せることができるので、清掃範囲を広げることができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の電気掃除機の発明は、出力の小さい電源を使用する場合においても塵埃を吸引するための十分な吸引力を確保することができる。また、フロアマット等の毛足の長い毛材の深部に付着している塵埃を掻き出すことができると共に、掻き出された塵埃を効率よく吸引管によって吸引することができる。また、請求項1~3の発明は、安全性を高くすることができると共に、清掃効率を高くすることができる。
【0016】
また、請求項4の発明は、電気掃除機の操作性を高めることができると共に、清掃効率を高くすることができる。さらに、請求項5の発明は、自動車内等の狭い箇所の清掃時において、隙間や壁際等に回転清掃体を寄せることができるので、清掃範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る電気掃除機の第1実施形態を示す斜視図
【
図2】(a)第1実施形態の電気掃除機の正面図(b)同底面図
【
図5】(a)~(e)吸引管の先端部の形状の実施例を示す正面図
【
図6】本発明に係る電気掃除機の第2実施形態を示す斜視図
【
図8】第2実施形態の電気掃除機の掃除機本体を傾斜させた場合を示す断面図
【
図9】第2実施形態の電気掃除機の弾性体を圧縮させた状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明に係る電気掃除機の第1実施形態を示す斜視図であり、
図2(a)は、同正面図、
図2(b)は、同底面図である。また、
図3は、第1実施形態の電気掃除機の部分断面図である。これらの図を用いて本発明に係る電気掃除機の第1実施形態を以下に説明する。
【0020】
第1実施形態の電気掃除機10は、電動送風機2と集塵室3とを備えた掃除機本体1と、掃除機本体1に固定されると共に、一端が集塵室3に連通し、他端の少なくとも先端部近傍が細管形状であって、弾性部材からなる複数の吸引管5、5・・と、この複数の吸引管5、5・・の開口近傍に配置され、軸受6aにより回転自在に支持された回転清掃体6とを有している。
【0021】
電源スイッチ1aは、掃除機本体1に備えられた持ち手1bに設置されており、電動送風機2は電源に接続される電源コード2aから電気が供給され、電源スイッチ1aのON及びOFFにより起動及び停止がなされる。また、集塵室3は外部から内部の塵埃が視認可能となるよう透明部材で出来ており、フィルタ4を備えている。
【0022】
回転清掃体6は、回転軸6bを有しており、回転軸6bにはブラシ又はブレード6cが固定されている。また、回転軸6bの長手方向中央部が軸受6aによって軸支されている。また、
図3に示すように、モータ9は、モータカバー9a内に設置されており、モータ9の回転力はプーリー11aに架けられているタイミングベルト11bを介して回転軸6bに伝えられる。そして、電源スイッチ1aのON及びOFFにより回転清掃体6の回転及び停止がなされる構成としている。ここで、軸受6aを回転軸6bの長手方向中央部に配置したことにより、回転清掃体6の長手方向の両端部を被清掃面に当接させることができ、自動車内等の狭い箇所の清掃時において、隙間や壁際等に回転清掃体を寄せることができるので、清掃範囲を広げることができる。尚、軸受を回転清掃体6の両端部に設置した場合も本発明に含まれる。
【0023】
回転清掃体6の周囲には、回転清掃体6の少なくとも三方を囲むように、弾性部材からなる飛散防止手段7が設置されている。飛散防止手段7は、回転清掃体6で掻き出した塵埃の周囲への飛散を防止することができるので安全性を高くすることができると共に、吸引管5が吸い残した塵埃を掻き集めることができ、清掃効率を高くすることができる。また、飛散防止手段7には複数のスリット7a、7a・・が形成されており、このスリット7aによって飛散防止手段7の変形を容易にしている。第1実施形態の飛散防止手段7は、ブレード状のものを示しているが、ブラシ状であってもよい。また、飛散防止手段7の被清掃面と接触する先端部は、直線状に限定されず、波形状、山形状、のこぎり刃形状等の種々の形状を選択することもできる。また、飛散防止手段7は、三方を一つの部材で囲むことも可能であるが、掃除機本体1を被清掃面に対して垂直方向から傾斜させて使用する場合の変形を考慮すると、各方面に対して各々別体の飛散防止手段7を設置するのが好ましい。
【0024】
掃除機本体1への吸引は、吸引管5からのみ吸引可能な構成としている。これにより、自動車等に備えられている出力の小さい電源を使用する場合においても塵埃を吸引するための十分な吸引力を確保することができる。
【0025】
また、回転清掃体6は、吸引管5の開口近傍に配置されていると共に、被清掃面から吸引管5の開口方向に向けて回転する構成としている。これにより、フロアマット等の毛足の長い毛材の深部に付着している塵埃を掻き出すことができると共に、掻き出された塵埃を効率よく吸引管によって吸引することができる。
【0026】
図4(a)は、
図2のA-A断面図であり、電気掃除機の進行方向が白抜き矢印で示す往路時の場合を図示しており、
図4(b)も
図2のA-A断面図であり、電気掃除機の進行方向が白抜き矢印で示す復路時の場合を図示している。これらの図を用いて第1実施形態の電気掃除機の清掃動作について以下に説明する。
【0027】
吸引管5は清掃時に往路側となるよう配置され、復路側に回転清掃体6が配置されている。したがって、小石等の大きな塵埃を前方の吸引管5であらかじめ除去することができるので、後方の回転清掃体6で大きな塵埃を飛散させることが少なく、安全性を高くすることができる。また、往路側の吸引管がフロアマット等の毛足の長い毛材を押し倒し又はかき分けることで、復路側の回転清掃体がより深部まで侵入し付着している塵埃を掻き出すことができるため、清掃効率を高くすることができる。尚、回転清掃体6は矢印で示すように図面上の時計回りに回転しており、被清掃面C上の小石や砂、汚泥、食べかす等の塵埃、及びフロアマット等の毛足の長い毛材の深部に付着している様々な塵埃を掻き出し、吸引管5に直接的に誘導することができる。
【0028】
吸引管5の先端部は、清掃時の往路側と復路側に各々被清掃面Cに対して傾斜角を有する傾斜開口部5a、5bを備えており、往路側の傾斜開口部5aの開口面積は、復路側の傾斜開口部5bの開口面積よりも大きくしている。したがって、掃除機本体1を傾けて使用した場合でも、吸引管5の傾斜開口部5a、5bが被清掃面Cに臨むため、塵埃を吸引することができる。
【0029】
また、掃除機本体1の往復移動時に、吸引管5が塵埃を引きずること無く吸引することができる。さらに、吸引管5の傾斜開口部5a、5bは、往路側から小石等の大きな塵埃を吸引し、復路側から砂等の小さな塵埃を吸引することができるので、過度に開口面積を広げること無く清掃効率を高めることができる。尚、本第1実施形態では吸引管5が傾斜開口部5a、5bを有しているが、開口部が傾斜していない場合も被清掃面Cとの間にクリアランスがあれば塵埃を吸引することができ、本発明の構成に含まれる。
【0030】
ここで、往路側の吸引管5の傾斜開口部5aの高さ(吸引管5の長手方向の長さ)は、吸引力との関係から4mm~20mmの範囲で適宜選択することができ、特に靴底の隙間に挟まる直径8mm程度の小石を吸引することができる高さが好ましい。また、復路側の傾斜開口部5bの高さ(吸引管5の長手方向の長さ)も2mm~10mmの範囲で適宜選択することが可能であるが、回転清掃体6が掻き出した小さな小石や砂を効率よく吸引するため4mm程度の高さが好ましい。さらにまた、吸引管5の内径は傾斜開口部5aの高さと同一又はそれより大きく設計することで、往路側から吸引した小石を管内で詰まらせることなく、スムーズに吸引することができる。
【0031】
ここで、復路側の吸引管5の傾斜開口部5bで吸引される塵埃は、回転清掃体6により飛ばされた小石や砂等の塵埃であって飛散防止手段7により受け止められた塵埃や、飛散防止手段7により掻き集められた塵埃と、往路時に吸引管5で吸い取れなかった塵埃が含まれる。また、吸引管5を被清掃面Cに強く押し付けると、吸引管5の傾斜開口部5bが回転清掃体6側に近づくように変形すると共に、開口部がより回転清掃体6側に向くため、小石や砂等の塵埃を傾斜開口部5bに更に誘導することができる。
【0032】
図5(a)~(e)は、吸引管の先端部の形状の実施例を示す正面図である。
図5(a)に示す先端部が三角形状の吸引管15は、毛足の長い被清掃面に内在する砂等の塵埃を掻き出すのに好適である。また、
図5(b)に示す先端部が丸形状の吸引管25は、被清掃面との摩擦抵抗を低減させることができるので、電気掃除機の操作性を向上させることができる。また、
図5(c)に示す先端部がのこぎり刃形状の吸引管35は、ブラシのように砂等の塵埃を掻き出すことができる。また、
図5(d)に示す先端部にスリットを有する吸引管45は、開口面積が小さい為、吸引力を維持することができると共に、柔軟に砂等の塵埃を吸引することができる。また、
図5(e)に示す先端部の一方側に切欠き部を有する吸引管55は、高さと幅の大きな塵埃を吸引することができる。
【0033】
図6は、本発明に係る電気掃除機の第2実施形態を示す斜視図であり、
図7は、
図6のB-B断面図である。これらの図を用いて本発明に係る電気掃除機の第2実施形態を以下に説明する。
【0034】
第2実施形態の電気掃除機20は、複数の吸引管12、12・・が内部が空洞のホルダー13に固定されており、ホルダー13の内部で複数の吸引管12、12・・の内部が連通している。また、ホルダー13と集塵室16は、蛇腹が形成されて伸縮可能な吸引通路14によって連通している。したがって、吸引管12に吸引された塵埃は、ホルダー13及び吸引通路14を介して集塵室16へと運ばれる構成としている。
【0035】
ホルダー13は、2本の細筒18b、18bの一端に固定されており、細筒の18b、18bの他端は、太筒18a、18aの内部に挿入されている。そして、太筒18a、18aの一端は掃除機本体19に固定されており、細筒の18b、18bと太筒18a、18aの外側にはバネからなる弾性体17が設置されている。したがって、弾性体17によって吸引管12、12・・の先端は被清掃面側に付勢する構成としている。尚、バネに替えて例えば伸縮可能なゴムなど他の弾性部材を使用することもできる。
【0036】
また、弾性体17と吸引管12、12・・の可動範囲を規制するため、各々に連結するホルダー13を軸受6aに対して一定範囲で可動するよう、別部材でホルダー13と軸受6aと連結させてもよい。その他、太筒18a、18aの内周面端部及び細筒18b、18bの外周面端部に突起を設け、弾性体17が伸長する際に互いに抜け留めとなるよう設計することで可動範囲を規制することもできる。
【0037】
図7において、ホルダー13は吸引管12を弾性体17により可動させる基台として設けられているが、回転清掃体6の往路側を覆うよう配置することで、掻き出した塵埃の飛散を防止する役割も果たす。また、ホルダー13に代えて結束バンドや接着剤等の固定手段により吸引管12を固定させてもよく、吸引管12、12・・・を隙間なく隣接させることで、より往路側への塵埃の飛散を防止し、安全性を高めることができる。
【0038】
図8は、第2実施形態の電気掃除機の掃除機本体を、被清掃面に対して垂直方向から45度傾斜させた場合を示す断面図である。この状態では、回転清掃体6は被清掃面Cに当接しつつ回転しており、吸引管12は、弾性体17が伸縮することで傾斜開口部21bが被清掃面に臨むようにして被清掃面側に付勢している。また、飛散防止手段7は、大きく変形することとなるので、各方面に対して各々別体の飛散防止手段7を設置するのが好ましい。さらにまた、使用者の実際の操作範囲及び弾性体の耐久性の観点から、付勢可能な掃除機本体の傾斜角度は垂直方向から45度程度が望ましいが、それ以上に付勢可能な設計としても本発明に含まれる。かかる場合は、吸引管の開口が回転清掃体からより離れることで吸引効率が低下するため、回転清掃体又は軸受を中心として吸引管が回動する機構とすることにより解決される。以上より、掃除機本体を被清掃面に対して垂直な方向から被清掃面側に傾けて使用した場合でも吸引管の先端を被清掃面に当接させることができるので、操作性を良好にすることができると共に、清掃効率を高めることができる。
【0039】
図9は、第2実施形態の電気掃除機の弾性体を圧縮させた状態を示す断面図である。この状態では弾性体17は圧縮されており、細筒18bは太筒18aの内部に収容された状態となっている。また、吸引通路14は、蛇腹にて形成されているので、伸縮することができる。そして、
図9に示すように、吸引通路14を往路側に配置することによって、回転清掃体6の長手方向の両端部を壁際まで寄せることが可能となる。また、吸引通路14を掃除機本体19の側面側に配置した場合には、往路側に在る被清掃面Cに付着している砂や小石を視認し易くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る電気掃除機は、被清掃面に付着している塵埃等を吸引除去する為の清掃具として利用される。
【符号の説明】
【0041】
1、19 掃除機本体
1a 電源スイッチ
1b 持ち手
2 電動送風機
2a 電源コード
3、16 集塵室
4 フィルタ
5、12、15、25、35、45、55 吸引管
5a、5b、21a、21b 傾斜開口部
6 回転清掃体
6a 軸受
6b 回転軸
6c ブラシ又はブレード
7 飛散防止手段
7a スリット
9 モータ
9a モータカバー
10、20 電気掃除機
11a プーリー
11b タイミングベルト
13 ホルダー
14 吸引通路
17 弾性体
18a 太筒
18b 細筒