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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】フィルタ及びフィルタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/01 20060101AFI20220624BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20220624BHJP
   B01D 39/12 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
B01D29/04 510C
B01D29/04 520Z
B01D29/04 530A
B01D46/10 A
B01D39/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021068412
(22)【出願日】2021-04-14
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】591012200
【氏名又は名称】株式会社東海理機
(73)【特許権者】
【識別番号】521158794
【氏名又は名称】株式会社名濃
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉原 美沙
(72)【発明者】
【氏名】杉本 昌文
(72)【発明者】
【氏名】牧野 継聖
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正二
(72)【発明者】
【氏名】高橋 完
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-103112(JP,A)
【文献】特開平11-333228(JP,A)
【文献】特開平09-047614(JP,A)
【文献】特開昭63-147512(JP,A)
【文献】特開昭63-059326(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0078711(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0314781(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D27/00-39/20
B01D46/00-46/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過部と、前記濾過部を取り囲む枠状のシール部とを有するフィルタであって、
金属メッシュにより構成されたシート状の第1部分と、
前記金属メッシュにより構成され、前記第1部分の縁に連なるとともに前記第1部分に折り畳まれたシート状の第2部分と、を含み、
前記第1部分は、前記濾過部と、前記シール部を構成する第1周縁部と、を有しており、
前記第2部分は、前記濾過部に対応する部分に設けられた貫通孔と、前記シール部を構成する第2周縁部と、を有している、
フィルタ。
【請求項2】
前記第2部分は、前記金属メッシュが複数回折り畳まれることにより構成されている、
請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記濾過部は、前記シール部に対して前記貫通孔とは反対側に向かって突出している、
請求項1または請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記第1部分における前記第2部分が連なる縁とは反対側には、折り返されるとともに前記第2部分を覆う折り返し部が設けられている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項5】
断面円弧状である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項6】
濾過部と、前記濾過部を取り囲む枠状のシール部とを有するフィルタを製造する方法であって、
シート状の金属メッシュの第1部分と前記第1部分に連なる第2部分とのうち前記第2部分の中央部に貫通孔を形成する工程と、
前記第2部分を前記第1部分に折り畳む工程と、を備える、
フィルタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ及びフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体に含まれる異物を除去する除去装置が知られている。特許文献1には、冷媒配管用のゴミ除去装置(以下、除去装置)が記載されている。この除去装置は、端部に拡管部を有する第1の配管と、第1の配管の拡管部に挿入して接合される第2の配管と、第1の配管の拡管部内において第2の配管の端面に対向するとともに拡管部の内壁に当接する定着部と、定着部に固着されたフィルタとを備えている。特許文献1に記載のフィルタが、異物を除去する濾過部として機能する。また、定着部が、第1の配管の拡径部と濾過部との間に位置し、拡径部と濾過部との間をシールするシール部として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平3-10172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の除去装置に用いられるフィルタの場合、メッシュ状の濾過部に対して別部材のシール部を固着する必要がある。このため、フィルタの製造が煩雑となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのフィルタは、濾過部と、前記濾過部を取り囲む枠状のシール部とを有するフィルタであって、金属メッシュにより構成されたシート状の第1部分と、前記金属メッシュにより構成され、前記第1部分の縁に連なるとともに前記第1部分に折り畳まれたシート状の第2部分と、を含み、前記第1部分は、前記濾過部と、前記シール部を構成する第1周縁部と、を有しており、前記第2部分は、前記濾過部に対応する部分に設けられた貫通孔と、前記シール部を構成する第2周縁部と、を有している。
【0006】
同構成によれば、フィルタのシール部は、いずれもシート状の金属メッシュの一部である第1部分と第2部分とを折り畳むことによって構成されている。このため、シール部の厚さの位置によるばらつきを低減できる。
【0007】
また、上記構成によれば、金属メッシュの第2部分に貫通孔を形成する工程と、金属メッシュの第2部分を第1部分に折り畳む工程とによってフィルタが形成される。このため、順送プレス加工によってフィルタを容易に形成することが可能となる。
【0008】
したがって、シール性の良好なフィルタを容易に形成することができる。
上記フィルタにおいて、前記第2部分は、前記金属メッシュが複数回折り畳まれることにより構成されていることが好ましい。
【0009】
同構成によれば、金属メッシュの厚さが小さい場合であっても、当該金属メッシュを複数回折り畳むことによって第2部分の厚みを確保することができる。したがって、シール部のシール性を高めることができる。
【0010】
上記フィルタにおいて、前記濾過部は、前記シール部に対して前記貫通孔とは反対側に向かって突出していることが好ましい。
同構成によれば、フィルタが取り付けられるクリップ本体の貫通孔などにフィルタの濾過部を係合することで、クリップ本体に対するフィルタの位置決めをすることができる。したがって、フィルタに位置決め片などを別途設けなくて済む。
【0011】
上記フィルタにおいて、前記第1部分における前記第2部分が連なる縁とは反対側には、折り返されるとともに前記第2部分を覆う折り返し部が設けられていることが好ましい。
【0012】
同構成によれば、第1部分の折り返し部によって、第1部分から第2部分が剥離することを抑制することができる。
上記フィルタにおいて、断面円弧状であることが好ましい。
【0013】
同構成によれば、配管の周壁に沿わせた状態でフィルタを配置することができる。これにより、周壁を貫通する開口部を通じて配管の内部から外部に流出する流体に含まれる異物をフィルタによって除去することができる。
【0014】
上記課題を達成するためのフィルタの製造方法は、濾過部と、前記濾過部を取り囲む枠状のシール部とを有するフィルタを製造する方法であって、シート状の金属メッシュの第1部分と前記第1部分に連なる第2部分とのうち前記第2部分の中央部に貫通孔を形成する工程と、前記第2部分を前記第1部分に折り畳む工程と、を備える。
【0015】
同方法によれば、金属メッシュの第2部分に貫通孔を形成する工程と、第2部分を第1部分に折り畳む工程とによってフィルタが形成される。このため、順送プレス加工によってフィルタを容易に形成することが可能となる。
【0016】
また、こうして形成されるフィルタのシール部は、いずれも金属メッシュの一部であるシート状の第1部分と第2部分とを折り畳むことによって構成されている。したがって、シール部の厚さの位置によるばらつきを低減できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シール性の良好なフィルタを容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】クリップが取り付けられた状態の配管の斜視図。
図2】クリップ及び配管の分解斜視図。
図3】クリップ本体及びフィルタの分解斜視図。
図4】フィルタの断面図。
図5】(a)~(c)は、フィルタの製造工程を順に示す平面図。
図6】(a)~(c)は、フィルタの製造工程を順に示す平面図。
図7】(a)~(c)は、フィルタの製造工程を順に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1図7を参照して、一実施形態のフィルタ及びフィルタの製造方法について説明する。
図1図3に示すように、本実施形態のフィルタ20は、クリップ本体11と共にフィルタ付きクリップ(以下、クリップ10)を構成している。
【0020】
クリップ10は、液体などの流体が流通する流路を構成する配管90の周壁91に対して自身の弾性変形を利用して取り付けられるとともに、周壁91を貫通する開口部92を覆う。
【0021】
<配管90>
図1及び図2に示すように、配管90は、円筒状である。開口部92は、配管90の軸線方向に対して長い正面視長方形状である。
【0022】
<クリップ10>
図1図3に示すように、クリップ10は、貫通孔13を有するクリップ本体11と、クリップ本体11に保持されるとともに貫通孔13を覆うシート状のフィルタ20とを備えている。
【0023】
<クリップ本体11>
図1図3に示すように、クリップ本体11は、金属板材からなり、配管90の軸線方向に沿って延在するとともに、断面C字状に湾曲している。
【0024】
なお、以降において、クリップ本体11の延在方向、すなわち配管90の軸線方向を単に軸線方向Aとして説明する。また、クリップ本体11の周方向、すなわち配管90の周方向を単に周方向Cとして説明する。
【0025】
図3に示すように、クリップ本体11は、円弧部11a、一対の外側屈曲部11b、一対の内側屈曲部11c、及び一対のガイド部11dを有している。
円弧部11aは、配管90の周壁91の外周面に沿った断面円弧状である。円弧部11aは、周方向Cにおいて開口部92の両縁部よりも外側まで延びている。
【0026】
図1図3に示すように、円弧部11aには、貫通孔13が形成されている。貫通孔13は、クリップ本体11をその厚さ方向に貫通している。貫通孔13は、軸線方向Aに対して長い正面視長方形状である。すなわち、貫通孔13の長辺及び短辺は、それぞれ軸線方向A及び周方向Cに沿って延びている。貫通孔13の外形寸法は、配管90の開口部92の外形寸法よりもわずかに大きい。
【0027】
図3に示すように、一対の外側屈曲部11bは、円弧部11aの周方向Cの両側にそれぞれ連なっている。外側屈曲部11bは、外周側に向かって突出するように屈曲している。外側屈曲部11bと配管90の周壁91との間には、隙間が形成されている(図1参照)。
【0028】
一対の内側屈曲部11cは、一対の外側屈曲部11bにおいて円弧部11aとは反対側にそれぞれ連なっている。内側屈曲部11cは、内周側に向かって突出するように屈曲している。内側屈曲部11cは、配管90の周壁91に対して圧接している(図1参照)。
【0029】
一対のガイド部11dは、一対の内側屈曲部11cにおいて外側屈曲部11bとは反対側にそれぞれ連なるとともにクリップ本体11の周方向Cの端部を構成している。ガイド部11dの同士の間隔は、外周側ほど大きい。
【0030】
<フィルタ20>
図3及び図4に示すように、フィルタ20は、貫通孔13を覆う濾過部21と、濾過部21を取り囲む枠状のシール部22とを有している。フィルタ20は、クリップ本体11の内面に沿う断面円弧状である。
【0031】
濾過部21は、軸線方向Aに対して長い正面視長方形状である。すなわち、濾過部21の長辺及び短辺は、それぞれ軸線方向A及び周方向Cに沿って延びている。濾過部21の外形寸法は、クリップ本体11の貫通孔13の外形寸法よりもわずかに小さい。
【0032】
シール部22の外形は、軸線方向Aに対して長い平面視長方形状である。すなわち、シール部22の長辺及び短辺は、それぞれ軸線方向A及び周方向Cに沿って延びている。
図4に示すように、フィルタ20は、金属メッシュMにより構成されたシート状の第1部分30と、金属メッシュMにより構成され、第1部分30の縁32に連なるとともに第1部分30に折り畳まれたシート状の第2部分40とを含んでいる。本実施形態の金属メッシュMは、例えば金属細線の織物である。
【0033】
第1部分30は、濾過部21と、シール部22を構成する第1周縁部31とを有している。
第2部分40は、濾過部21に対応する部分に設けられた貫通孔42と、シール部22を構成する第2周縁部41とを有している。第2部分40は、金属メッシュMが複数回折り畳まれることにより構成されている。本実施形態の第2部分40は、3層構造である。
【0034】
濾過部21の外周面は、シール部22の外周面よりも外周側に突出している。すなわち、濾過部21は、シール部22に対して貫通孔42とは反対側に向かって突出している。濾過部21がクリップ本体11の貫通孔13に挿入されて係合することにより、軸線方向A及び周方向Cの双方について、クリップ本体11に対するフィルタ20の変位が規制されている。
【0035】
濾過部21の内周面とシール部22とによって凹部23が形成されている。
第1部分30における第2部分40が連なる縁32とは反対側には、折り返されるとともに第2部分40を覆う折り返し部33が設けられている。
【0036】
シール部22の厚さは、クリップ10が配管90の周壁91に取り付けられた状態において、クリップ本体11と周壁91とによってシール部22が圧接される大きさに設定されている。なお、シール部22の厚さは、例えば濾過部21の厚さの3~5倍に設定されることが好ましい。本実施形態のシール部22は、1層の第1周縁部31と、3層の第2周縁部41とからなる4層構造である。したがって、シール部22の厚さは、濾過部21の厚さの4倍である。
【0037】
こうしたクリップ10が取り付けられた配管90においては、配管90内を流通する液体の一部が、開口部92及びフィルタ20を通じて外部に流れるようになる。このとき、液体に含まれる異物は、濾過部21によって捕捉されて液体から除去される。また、捕捉された異物は、凹部23内に収容される。
【0038】
次に、図5図7を参照して、本実施形態のフィルタ20の製造方法について説明する。
図5(a)に示すように、フィルタ20の素材である金属メッシュMは、略長方形のシート状である。本実施形態では、金属メッシュMを、金属メッシュMの長辺方向に間欠的に送るとともに図示しないプレス装置によって順送プレス加工を行うことでフィルタ20を製造する。
【0039】
なお、以降において、金属メッシュMの長辺方向及び短辺方向を単に送り方向L及び幅方向Wとして説明する。
金属メッシュMは、送り方向Lに連なる第1部分30Aと第2部分40Aとを有している。第1部分30Aの幅方向Wの両側には、パイロット孔35aを有するパイロット部35が突設されている。図示しないパイロットピンをパイロット孔35aに挿通した状態で送り方向Lに移動させることで、金属メッシュMが後工程に送られる。
【0040】
図5(a)及び図5(b)に示すように、まず、第2部分40Aのうち送り方向Lにおいて第1部分30Aとは反対側の部分40aを折り畳む。この折り畳まれる部分40aの送り方向Lの長さは、第2部分40Aの送り方向Lの長さの3分の1である。
【0041】
また、第1部分30Aの中央部に濾過部21を形成する。これにより、第1周縁部31及び濾過部21を有する第1部分30が形成される。
図5(b)及び図5(c)に示すように、次に、第2部分40Bの上記折り畳まれて2層になった部分40bを折り畳む。この折り畳まれる部分40bの送り方向Lの長さは、第2部分40Bの送り方向L全体の長さの半分である。これにより、第2部分40Cは3層となる。
【0042】
図5(c)及び図6(a)に示すように、次に、第2部分40Cの中央部に貫通孔42を形成する。これにより、第2周縁部41及び貫通孔42を有する第2部分40が形成される。
【0043】
図6(a)及び図6(b)に示すように、次に、第1部分30と第2部分40との境界線である第1部分30の縁32を折り線として第2部分40を第1部分30に折り畳む。このとき、第1部分30における上記縁32とは反対側には、第2部分40に重なり合わない余剰部33Aが形成される。
【0044】
図6(c)に示すように、次に、第2部分40を覆うように余剰部33Aを折り返すことにより、折り返し部33が形成される。これにより、第1部分30の第1周縁部31、第2部分40の第2周縁部41、及び折り返し部33によってシール部22が形成される。
【0045】
図7(a)に示すように、次に、シール部22の送り方向Lの両側を湾曲させる。
図7(b)に示すように、次に、シール部22の送り方向Lの中央部及び濾過部21を湾曲させる。なお、シール部22及び濾過部21を図7(b)に示す形状まで一度に湾曲させるようにしてもよい。
【0046】
図7(c)に示すように、最後に、第1部分30からパイロット部35を切除することにより、フィルタ20が形成される。
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0047】
フィルタ20のシール部22は、いずれもシート状の金属メッシュMの一部である第1部分30と第2部分40とを折り畳むことによって構成されている。このため、シール部22の厚さの位置によるばらつきを低減できる(以上、作用1)。
【0048】
また、金属メッシュMの第2部分40に貫通孔42を形成する工程と、金属メッシュMの第2部分40を第1部分30に折り畳む工程とによってフィルタ20が形成される。このため、順送プレス加工によってフィルタ20を容易に形成することが可能となる(以上、作用2)。
【0049】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)フィルタ20は、金属メッシュMにより構成されたシート状の第1部分30と、金属メッシュMにより構成され、第1部分30の縁32に連なるとともに第1部分30に折り畳まれたシート状の第2部分40とを含む。第1部分30は、濾過部21と、シール部22を構成する第1周縁部31とを有している。第2部分40は、濾過部21に対応する部分に設けられた貫通孔42と、シール部22を構成する第2周縁部41とを有している。
【0050】
こうした構成によれば、上記作用1及び作用2を奏することから、シール性の良好なフィルタ20を容易に形成することができる。
(2)金属メッシュMの厚さが小さい場合であっても、金属メッシュMを複数回折り畳むことによって第2部分40の厚みを確保することができる。したがって、シール部22のシール性を高めることができる。
【0051】
(3)フィルタ20が取り付けられるクリップ本体11の貫通孔13にフィルタ20の濾過部21を係合することで、クリップ本体11に対するフィルタ20の位置決めをすることができる。したがって、フィルタ20に位置決め片などを別途設けなくて済む。
【0052】
(4)第1部分30の折り返し部33によって、第1部分30から第2部分40が剥離することを抑制することができる。
(5)フィルタ20が断面円弧状であるため、配管90の周壁91に沿わせた状態でフィルタ20を配置することができる。これにより、周壁91を貫通する開口部92を通じて配管90の内部から外部に流出する流体に含まれる異物をフィルタ20によって除去することができる。
【0053】
(6)フィルタ20を製造する方法は、シート状の金属メッシュMの第1部分30と第1部分30に連なる第2部分40Cとのうち第2部分40Cの中央部に貫通孔42を形成する工程と、第2部分40を第1部分30に折り畳む工程とを備える。
【0054】
こうした方法によれば、上記作用(1)及び作用(2)を奏することから、上記効果(1)を奏することができる。
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0055】
・フィルタ20は、断面円弧状に限定されず、平板状であってもよい。この場合、フィルタ20は、クリップ本体11と共にクリップ10を構成するものに限定されず、例えば流路を構成する2つの配管のフランジ同士の間に挟まれて用いられるものであってもよい。
【0056】
・第1部分30から第2部分40が剥離しないのであれば、折り返し部33を省略することもできる。
・濾過部21は、シール部22に対して貫通孔42とは反対側に向かって突出していなくてもよい。この場合、濾過部21は、第1周縁部31と面一となる。
【0057】
・上記実施形態では、第2部分40が3層構造の構成について例示したが、第2部分40は、1層構造または2層構造であってもよいし、4層以上の構造であってもよい。
・上記実施形態では、第1部分30が1層構造の構成について例示したが、2層以上の構造であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…クリップ
11…クリップ本体
11a…円弧部
11b…外側屈曲部
11c…内側屈曲部
11d…ガイド部
13…貫通孔
20…フィルタ
21…濾過部
22…シール部
23…凹部
30,30A…第1部分
31…第1周縁部
32…縁
33…折り返し部
33A…余剰部
35…パイロット片
35a…パイロット孔
40,40A,40B,40C…第2部分
41…第2周縁部
42…貫通孔
90…配管
91…周壁
92…開口部
【要約】
【課題】シール性の良好なフィルタを容易に形成することができる。
【解決手段】フィルタ20は、濾過部21と、濾過部21を取り囲む枠状のシール部22とを有する。フィルタ20は、金属メッシュにより構成されたシート状の第1部分30と、金属メッシュにより構成され、第1部分30の縁32に連なるとともに第1部分30に折り畳まれたシート状の第2部分40とを含む。第1部分30は、濾過部21と、シール部22を構成する第1周縁部31とを有している。第2部分40は、濾過部21に対応する部分に設けられた貫通孔42と、シール部22を構成する第2周縁部41とを有している。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7