(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】血液透析治療のための自己完結型治療ユニット
(51)【国際特許分類】
A61M 1/14 20060101AFI20220624BHJP
A61M 1/16 20060101ALI20220624BHJP
A61G 12/00 20060101ALI20220624BHJP
E04H 3/08 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
A61M1/14 100
A61M1/16 173
A61G12/00 U
E04H3/08 C
(21)【出願番号】P 2018545654
(86)(22)【出願日】2017-07-04
(86)【国際出願番号】 CH2017000070
(87)【国際公開番号】W WO2018006184
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-06-26
(32)【優先日】2016-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】518306090
【氏名又は名称】ヘモ プラス エスエーアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ゴティエ,アンリ
(72)【発明者】
【氏名】ティラッティ,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】コーティアド,フィリップ
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0290151(US,A1)
【文献】特開2014-230680(JP,A)
【文献】特開昭57-025860(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0010883(US,A1)
【文献】国際公開第2016/077466(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14
A61M 1/16
A61G 12/00
E04H 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一人の患者を血液透析によって治療するための治療ユニット(10,200)であって、前記
治療ユニット(10,200)は、透析ジェネレータが設けられる少なくとも1つのケアユニットを備え、前記透析ジェネレータは、前記少なくとも一人の患者に適合される治療溶液を調製するようになっており、前記治療溶液は、固体水溶性化合物から形成される少なくとも1つの濃縮物の血液透析水による希釈によって調製され、前記固体化合物は、少なくとも、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、及び、塩化マグネシウム(MgCl2)を含む、
前記治療ユニット(10,200)において、
前記治療ユニット(10,200)は、ほぼ同じ態様で形成されて内部に、個々に、又は、組み合わせて並列配置される複数の基本モジュールをグループ化する
ハウジング構造体に
配置されて、
前記ハウジング構造体は前記複数の基本モジュールのための支持体であり、前記少なくとも一人の患者の血液透析治療のためのケアに割り当てられる第1のサービス室(
250)、患者の受け入れ、患者の管理上のフォローアップ、患者の医学的フォローアップを確保するようにそれぞれ配置される専用室、及び、濃縮物の調製及び貯蔵、ケアルームで使用される流体の調製及び制御、及び/又は、患者の治療により生成される残留廃棄物及び流出物の再処理及び/又は処分のための第2の技術室(
210)を形成
し、
前記治療ユニット(10)は、前記ケアルームが前記ハウジング構造体のほぼ中央に配置され、前記ハウジング構造体は、一方では、患者待合室、管理形方式室、医療ケアルームとして配置されるように組み立てられる第1の専用室を構成する基本モジュールの第1の組と、濃縮物溶液貯蔵室、水処理室、医薬品貯蔵室、電気エネルギー管理室、及び、廃棄物処理/処分室として配置されるように組み立てられる第2の専用室を構成する基本モジュールの第2の組とを備えることを特徴とする治療ユニット(10、200)。
【請求項2】
血液透析治療のための少なくとも1つの
前記ケアルームは、少なくとも1つの基本モジュール内に装着されるとともに、一組の技術的治療構成要素と関連付けられる患者治療用の少なくとも1つのシート又はベッドを収容し、前記技術的構成要素は、前記少なくとも1つの濃縮物を希釈してそれを治療されるべき前記患者に適合させることによって治療溶液を調製するようになっている血液透析ジェネレータ、電力供給ネットワークに接続するための装置、データ処理ネットワークに接続するための装置、血液透析水供給源に接続するための装置、血液透析濃縮物供給源に接続するための装置、及び、廃棄物収集装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の治療ユニット(10)。
【請求項3】
前記血液透析ジェネレータは、所定の品質の血液透析濃縮物と所定量の血液透析水とを取り込むことによって特定の患者に適合される溶液を生成するとともに、これらの成分を混合させて調製し、前記特定の患者に適合される前記溶液を治療の全体にわたって注入するようになっていることを特徴とする請求項2に記載の治療ユニット(10)。
【請求項4】
血液透析治療のための前記ケアルームは、2つの場所を有するとともに、二人の患者を同時に治療するために2つの治療シート又はベッドを収容し、前記シート又はベッドのそれぞれが一組の技術的治療構成要素に関連付けられることを特徴とする請求項2に記載の治療ユニット(10)。
【請求項5】
各基本モジュールが硬質フレームを備えることができ、前記硬質フレームには閉鎖壁及び/又は分離壁が装着され、前記硬質フレームは、その上側部分に、技術的構成要素を収容するための空きスペースを備えることを特徴とする請求項2に記載の治療ユニット(10)。
【請求項6】
前記空きスペースは、少なくとも1つの浄化空気供給ダクト、及び、少なくとも1つの外気排出ダクト、並びに、治療室内で空調を確保するための加熱又は冷却液のための循環回路を収容することを特徴とする請求項5に記載の治療ユニット(10)。
【請求項7】
血液透析治療のための前記ケアルームは、他の患者及び/又は介護者を保護するために医学的予防措置を必要とする特定の汚染を伴う患者の治療に割り当てられる少なくとも1つの基本モジュールを備え、前記基本モジュールが安全なアクセスを有することを特徴とする請求項1に記載の治療ユニット(10)。
【請求項8】
閉鎖壁及び/又は分離壁が装着される硬質フレームが金属フレームであり、前記閉鎖壁及び/又は分離壁が不浸透性仕上げ材料で覆われる断熱複合材料パネルから形成されることを特徴とする請求項1に記載の治療ユニット(10)。
【請求項9】
並列配置された基本モジュールの硬質フレームは、各専用室がその機能に適合される表面を有するように組み付けられ、閉鎖壁及び/又は分離壁は、前記硬質フレームに装着されて、前記専用室に割り当てられる機能に適合される前記表面を幾何学的に画定することを特徴とする請求項1に記載の治療ユニット(10)。
【請求項10】
前記基本モジュールのそれぞれは、前記ケアルーム及び前記専用室の上部で自由スペースを画定する二重天井を備え、前記自由スペースがチャネル及び/又は技術的ダクトのために使用されることを特徴とする請求項1又は5に記載の治療ユニット(10)。
【請求項11】
前記技術室(210)は、原材料を受け入れて蓄えるための手段(211)、除去ユニット(212)、計量手段(213)、患者の治療溶液のための調製ユニット(214)、濾過ユニット(215)、及び、濃縮物を貯留するようになっている容器を充填するためのユニット(216)を備えることを特徴とする請求項1に記載の治療ユニット(200)。
【請求項12】
前記技術室(210)が治療室(250)
内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の治療ユニット(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の患者を同時に又は連続的に血液透析によって治療するための治療センターであって、前記センターが透析ジェネレータを具備する少なくとも1つのケアユニットを備え、前記透析ジェネレータが前記複数の患者のうちの前記患者のそれぞれに適合される治療溶液を調製するようになっており、前記治療溶液が固体水溶性化合物から形成される少なくとも1つの濃縮物の血液透析水による希釈によって調製され、前記固体化合物が、少なくとも、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、及び、塩化マグネシウム(MgCl2)を含む、治療センターに関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析患者治療センターは、しばしば、この治療に割り当てられる部門の形態で病院又は診療所に組み込まれる。これらの部門が病院に応じて異なって構造化され、また、管理組織及び患者の医学的フォローアップが個別的に設計されなければならないように思われる。更に、関与する医療センターに応じて、利用できるスペースは可変であり、そのため、基本製品の貯蔵、濃縮物から血液透析溶液を調製するようになっている水の処理、廃棄物の処理及び処分などの付帯的なサービスは、それらの多様化に起因して分散され、それにより、治療フォローアップ及び患者安全性の両方が複雑になる。
【0003】
現在、血液透析による患者の治療は、透析患者が通常は週に少なくとも2回治療されるとともに治療介入が数カ月或いは更には数年にわたって、しばしば一生涯にわたってほぼ同じ方法で行なわれるため、長期にわたる反復的なプロセスである。このことは、あらゆる治療が治療前、治療中、及び、治療後にほぼ同じ作業、同じ調製、同じ制御を必要とし、それにより、プロセスの合理化及び設備の標準化がいずれも、作業を簡略化するため、作業をより良く制御して監視するため、患者の安全性を確保するため、及び、全ての患者の最新記録を常に有するべく患者のそれぞれの医療記録をより良く構成して仕上げるために役立つことが明らかであることを意味する。
【0004】
大規模医療センターでは、多くの疾患が治療され、そのため、様々な職務に対応する様々な部門の要求を満たすべく付帯的なサービスが幅広く多様化されなければならない。時として大規模センターから遠く離れて位置され得るより小さい部門では、治療を確保するために必要とされるインフラの全体を現場で持つことへの関心が認識される。これは、特に、収益性及び効率のために局所的な濃縮物生成が推奨される或いは更には課される小規模センターとは異なり、中央濃縮物生成ユニットにより供給される大規模センターで行なわれる血液透析治療において当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、設置場所、デモグラフィック、及び、局所的に利用できる手段の地理的な位置にしたがって、患者治療領域自体のサイズに関して柔軟性を維持しつつ任意の場所で再現され得る、この治療に完全に適合されるモデルである血液透析患者治療のためのケアセンターを実現することによってこれらの目標に達することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るケアセンターは、理想的には、血液透析患者治療のための濃縮物の生成ユニットの周囲に多かれ少なかれ位置される領域に設置されるほぼ同一のケアセンターのグループに属する。この概念は、治療センターの供給を簡略化してかなり合理化できるようにして、治療を安価に且つ安全にする一方で、ケアユニットの要求に基づく規則的な供給、及び、輸送と関連するリスクを減らすことができる流通を確保する。また、この概念は、ケアセンターが既存の病院又は診療施設を必要としない限りにおいてケアセンターを患者のより近傍にもたらすことができるようにする。ケアセンターの自律性は、該ケアセンターを特定の医学的状態をもたない既存の建物の外側又は内側に位置付けることができるようにする。
【0007】
それにもかかわらず、より小さいユニットの場合、又は、それらのユニットが濃縮物生成センターからかなり離れている場合には、現場で必要とされる濃縮物を生成するために統合されたサービスをケアセンター内に配置できる。
【0008】
このため、この発明は、前述の問題の全てに対する解決策を与えることができる治療センターを実現することを提供する。
【0009】
この目的は、前文で規定される発明であって、前記治療センターが、ほぼ同じ態様で形成されて内部に、個々に、又は、組み合わせて並列配置される複数の基本モジュールをグループ化するホスト構造体に組み込まれて、前記複数の患者の血液透析治療のための少なくとも1つのケアルームと、患者の受け入れ、患者の管理上のフォローアップ、患者の医学的フォローアップ、濃縮物の貯蔵、前記ケアルームで使用される流体の調製及び制御、及び/又は、患者の治療により生成される残留廃棄物及び流出物の再処理及び/又は処分を確保するようにそれぞれ配置される専用室とを形成することを特徴とする発明に係る治療センターによって達成される。
【0010】
好ましい実施形態によれば、ケアユニットは、少なくとも1つの基本モジュール内に装着されるとともに一組の技術的治療構成要素と関連付けられる患者治療用の少なくとも1つのシート又はベッドを収容する血液透析治療のためのケアルームを含み、技術的構成要素は、血液透析ジェネレータ、電力供給ネットワークに接続するための装置、データ処理ネットワークに接続するための装置、血液透析水供給源に接続するための装置、血液透析濃縮物供給源に接続するための装置、及び、廃棄物収集装置を含む。
【0011】
前記血液透析ジェネレータは、好ましくは、所定の品質の少なくとも1つの血液透析濃縮物と所定量の血液透析水とを取り込むことによって特定の患者に適合される溶液を生成するとともに、これらの成分を混合させて調製し、前記特定の患者に適合される前記溶液を治療の全体にわたって注入するようになっている。
【0012】
特に有利な方法において、血液透析治療のための前記ケアルームは、2つの場所を有するとともに、二人の患者を同時に治療するために互いに対向して配置される2つの治療シート又はベッドを収容し、前記シート又はベッドのそれぞれが一組の技術的治療構成要素に関連付けられる。
【0013】
ケアユニットの輸送及び装着の両方を確保するために、各基本モジュールが硬質フレームを備えることができ、硬質フレームには閉鎖壁及び/又は分離壁が装着され、前記硬質フレームは、その上側部分に、技術的構成要素を収容するための空きスペースを備える。
【0014】
前記空きスペースは、好ましくは、少なくとも1つの浄化空気供給ダクト、及び、少なくとも1つの外気排出ダクト、並びに、前記治療室内で空調を確保するための加熱又は冷却液のための循環回路を収容する。
【0015】
好ましい実施形態によれば、前記ケアルームが前記ホスト構造体のほぼ中央に配置され、ホスト構造体は、一方では、患者待合室、管理形方式室、医療ケアルームとして配置されるように組み立てられる第1の専用室を構成する基本モジュールの第1の組と、濃縮物溶液貯蔵室、水処理室、医薬品貯蔵室、電気エネルギー管理室、及び、廃棄物処理/処分室として配置されるように組み立てられる第2の専用室を構成する基本モジュールの第2の組とを備える。
【0016】
血液透析治療のための前記ケアルームは、他の患者及び/又は介護者を保護するために医学的予防措置を必要とする特定の汚染を伴う患者の治療に割り当てられる少なくとも1つの基本モジュールを備え、前記基本モジュールが安全なアクセスを有する。
【0017】
閉鎖壁及び/又は分離壁が装着される前記硬質フレームが金属フレームであり、また、前記閉鎖壁及び/又は分離壁が不浸透性仕上げ材料で覆われる断熱複合材料パネルから形成される。
【0018】
並列配置された基本モジュールの硬質フレームは、好ましくは各専用室がその機能に適合される表面を有するように組み付けられ、また、閉鎖壁及び/又は分離壁は、前記硬質フレームに装着されて、前記専用室に割り当てられる機能に適合される前記表面を幾何学的に画定する。
【0019】
基本モジュールのそれぞれは、ケアルーム及び専用室の上部で前記自由スペースを画定する二重天井を備え、前記自由スペースがチャネル及び/又は技術的ダクトのために使用される。
【0020】
前記技術室は、好適には、少なくとも、原材料を受け入れて蓄えるための手段、除去ユニット、計量手段、患者の治療溶液のための調製ユニット、濾過ユニット、及び、濃縮物を貯留するようになっている容器を充填するためのユニットを備える。
【0021】
本発明及びその利点は、添付図面に関連して非限定的な例として与えられる実施形態の以下の説明においてより良く明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る血液透析ケアユニットの一実施形態を表わす概略的な一般的概念図である。
【
図2A】典型的なモジュールにおけるこのモジュールの外壁を形成する壁及び硬質フレームの形態を示す部分断面図を表わす。
【
図2B】典型的なモジュールにおけるこのモジュールの外壁を形成する壁及び硬質フレームの形態を示す部分断面図を表わす。
【
図3】本発明に係るケアユニットのための基本的なケアルームの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図4】専用の治療製品生成サービスと組み合わされる血液透析の動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~
図3、特に
図1を参照すると、後述する血液透析患者治療のためのセンター10は、ほぼ同じ態様で形成される複数の基本モジュール12をグループ化するハウジング構造体11に組み込まれる。
図2A及び
図2Bには基本モジュール12が更に詳しく表わされる。これらの基本モジュールは、それらの幅又はそれらの長さに沿って並置されるとともに、一方では、患者の血液透析治療のための1つ又は複数のケアルームを形成し、他方では、患者の受け入れ、患者の管理上のフォローアップ、患者の医学的フォローアップ、原材料の保管、患者に適合される治療溶液の個々の調製、前記ケアルームで使用される流体の調製及び制御、及び/又は、特に患者の前記治療によって生成される残留廃棄物及び流出物の再処理及び/又は処分を確保するべくそれぞれ配置される専用室を形成するように個別に又は組み合わせて内側に配置され得る。
【0024】
ケアルーム20は、好適には、1つ又は複数の基本モジュール12内に配置される個々の又は二重のセルから形成される。これらの基本モジュール12は、治療センターの場所、設置用地の地形、及び/又は、地域の個体群及び状況に関連するデータにしたがったニーズに適合され得る。
【0025】
図1は、複数の基本モジュール12のための支持体としての機能を果たす平坦プレート上に装着されることが好ましいハウジング構造体11と呼ばれる略長方形状を有する建物を構成する血液透析患者治療センター10を表わす。基本モジュール12は、好適には、平行六面体形状を有するボックス又はコンテナ(
図2A及び
図2B参照)等であり、その寸法は、依然として高効率を保ちつつ簡単な輸送及び費用効率が高いレイアウトを可能にするように且つ必要とされる設備の全ての個別形態又はグループ形態での設置を可能にするように適合される。この設備は、一方では、患者を治療するようになっている少なくとも1つのケアルーム20或いは患者の治療前、治療中、又は、治療後に不可欠な1つ又は複数の補助的機能に適した構成要素をグループ化するようになっている少なくとも1つの専用室30を形成するように意図されて設計される。
【0026】
治療ユニット10は、全体として、1つ又は複数の基本ケアセル21により成るケアルーム20から形成される中央セクションの周囲に配置される。基本ケアセル21は、図示されており、
図3を参照して詳しく説明される。図示の例において、ケアルーム20は、特定の予防措置を必要とする患者、特に、介護者及び/又は他の患者に伝染して汚染するリスクがある危険なウイルスにより汚染された患者に割り当てられる少なくとも1つの区画を備える。
【0027】
ケアルームへのアクセスは、受け入れ領域で受け入れスタッフにより既に受け入れられてしまった患者のために手配される。受け入れ領域は、患者の行政管理、すなわち、登録、予約を担うべく且つ患者を待合室14へ案内するべく編成される。その後、患者は、ケアルーム内での治療シーケンスの開始前に場合により必要とされる全ての予備的な医療ステップが実行されるようにするべく、必要な医学分析を行なって医学的フォローアップを確保するようになっている医療部門15によって引き継がれる。
【0028】
介護者のための様々な領域、例えば、着替え室及び準備室16、社員食堂又は会社レストラン17、及び、患者が着替えて患者上着等を着用できるようにするための補助室18、患者が自分達の治療後に所定の期間にわたってとどまる衛生設備室19及び不可欠な化粧室40なども、ケアルーム12の前の受け入れ領域13付近に設置される。
【0029】
患者は、医療部門により行われる決定にしたがって基本ケアセル21のうちの1つ又はケアルーム20の特別の区画40のうちの1つで治療される。治療溶液の調製、流体及び温度の制御、電気エネルギー供給、透析水の供給及び処理、流体製品及び医薬品の在庫管理は、センター10の他のセクションで、好ましくは、先に規定された様々な機能のために特に設けられる部屋内に設置される、互いに結合されて組み合わされる基本モジュール12内に設置される専用室30でまとめられる。基本モジュール12の結合及び組み合わせは、必要なスペースをそれらがそれらの機能を果たすことができるように分離可能にする分離壁を設置するによって行なわれる。サービス室と見なすこともできる前記専用室の全体は、好適には、受け入れサービス及び医療患者調製サービスに関してケアルーム20の他方側に配置される。
【0030】
専用室30の一般名の下でグループ化される部屋のうちでは、以下を挙げることができる。
【0031】
水処理手段を備える部屋31a;
ケアユニット10の十分な自律性を確保するために処理済みの水を蓄えるための部屋31b;
血液透析ジェネレータにより希釈されて全ての血液透析治療のためのベースとして使用されるようになっている濃縮物ストックをグループ化する部屋32;
治療前、治療中、又は、治療後に患者により使用される可能性が高い医薬品を蓄えるための部屋33;
管理のための部屋34、及び、電力供給ネットワークに障害がある場合には、電気エネルギーの生成のための部屋34;
特に設置物及び設備の洗浄及び消毒のための化学物質を蓄えるための部屋35;
治療により生成される廃棄物を処理する及び/又は不活性化する及び/又は排除するための部屋36
設備メンテナンスを確保するべく技術部品を保管するための部屋。
【0032】
外部に位置されるという特殊性を有する付加的な専用室30内に安全目的で電気エネルギー生成ユニットを装着できる。同じことが、浄化空気生成ユニット、特に暖房及び/又は空調のための加熱流体又は冷却流体をニーズにしたがって生成するための熱交換装置に当てはまる。この設備は、ケースに応じて、治療センター10のハウジング構造体11から分離される付加的な基本モジュール内に装着され得る。
【0033】
図2A及び
図2Bは基本モジュール12を表わし、
図2Aに関しては長手方向断面斜視図であり、
図2Bに関しては一端が開放している。基本モジュール12は、例えば亜鉛めっき鋼等を材料とするプロファイルを成して製造される金属梁62で作られる硬質フレーム61を備える平行六面体形状を有するコンテナ60として実質的に設計され、硬質フレーム61には、一方では、齧歯動物予防鋼板64bと関連付けられる木製の床又は振動コンクリート等を材料とするプレート64aの形態を成す底部63が装着され、他方では、好ましくは平坦な亜鉛めっき鋼板から形成される天井66が装着される。このとき、ユニット10のニーズにしたがって、基本モジュールを独立に又は計画されたレイアウトにより課されるニーズにしたがって設置され得る他の同一の基本モジュール及び閉鎖壁68及び分離壁と組み合わせて使用することができる。基本モジュール12の屋根は、雨水の流出を確保するように湾曲されるとともに天井66の亜鉛めっき鋼板67に対してスペース70を残すように配置される亜鉛めっき鋼板69で覆われる。このスペース70には、断熱材料、例えば200mm程度の厚さのグラスウール又は任意の他の適した断熱材料が充填される。
【0034】
基本モジュール12が天井66の亜鉛めっき鋼板67と共に技術的プレナム71aを画定する平行パネルの形態を成す吊天井71を備えることに留意しなければならず、技術的プレナム71aは、強制空気循環ネットワーク、電気配線回路、空調などの様々な設備のために使用され得る。側壁は、好適には、耐候性保護外層73、例えばポリウレタンフォームなどの断熱材料で作られる1つ又は複数の中間層、及び、クリーンルームに適している内部コーティングを伴う多層パネル72から形成される。一般的な方法で、内部コーティングの全て、より具体的にはケアルーム又はセンシティブルームに対応する内部コーティング74の全ては、クリーンルームのコーティングに適した材料から形成される。
【0035】
図3は、基本モジュール12内に配置される少なくとも1つの基本ケアセル21から形成されるケアルーム20の一実施形態を示す。このケアルームは、実際には、二重ケアルーム、すなわち、二人の患者を同時に受け入れて治療するようになっているケアルームである。この目的のため、ケアルームは、モジュール12の2つの長手方向端部に配置される互いに対向するベッド又はアームチェアであってもよい2つの治療シート80を備える。これらの治療シートは、患者のそれぞれのプライバシーを尊重するために除去可能なカーテン又はスクリーン(図示せず)によって分離され得る。血液透析ジェネレータ81は前記シート80のそれぞれに関連付けられる。治療中に使用されるエネルギー、通信データ、及び、液体を一方では透析ジェネレータへ他方ではこの治療中に必要とされる全ての器具へ供給できるようにするために、技術的な流体分配トラフ82及びケーブルトラフ83が各シートの背後に装着される。トラフ82は、好適には、一方では調整空気吹き出し回路84a及びこの調整空気のための戻し回路84bを含む。トラフ82は、血液透析水供給源83a、透析濃縮物供給源83b、血液透析液排出用の血液透析液出口パイプ83cを更に含む。配線トラフ83は、透析ジェネレータ81及びシート80の電気設備のための電気供給ケーブルを含む。シート80及び血液透析ジェネレータを電子制御データ管理センターに接続するための通信ケーブルも前記配線トラフ83内に収容される。血液透析ジェネレータには、供給ポート82aで血液透析水が、供給ポート82bで或いは5リットル又は10リットルのキャニスタにより濃縮物が供給されるようになっており、それにより、濃縮物を患者に適合されるように例えばネットワークのそれとは異なるようにすることができる。トラフ82は、適切なダクト(図示せず)によって吊天井に配置される空気吹き出しダクト84及び戻しグリル86と連通できる可能性を更に有する。この目的のため、トラフ82は、空気供給ダクト84aと空気再生用の戻しダクト84bとを含む。ニーズにしたがって空気を冷却又は加熱してそれを吊天井に配置される調整空気出口グリル88を通じて排出できるようにするために、冷却又は加熱水回路85が吊天井内に配置される。
【0036】
また、吊天井71がケアルーム20内に空気供給ダクト84a及び戻しダクト84bを収容する前記空きスペースを形成できるようにすることに留意されたい。冷却又は加熱水循環回路85がケアルーム20内の雰囲気を冷却又は加熱できるようにする。調整空気出口グリル87が吊天井71の閉鎖プレートに配置される。照明86が吊天井71の閉鎖プレートに配置される。
【0037】
図4は、治療製品の調製を可能にする構造と患者の治療及びフォローアップのために適合される構造との両方を含むより小型の又は遠隔の血液透析患者治療ユニットに適合するための概念の進展を示す。この目的のため、概略的に示される装置200は、製品調製及び患者ケアにそれぞれ割り当てられる2つのユニット210,250から構成される。製品調製ユニット210は、原材料を受けて蓄えるための手段211、除去ユニット212、計量部213、調製設備214、濾過ユニット215、濃縮物を蓄えるようになっているキャニスタのための充填ユニット216を備える。濃縮物は、例えば5リットル及び10リットルの容量を有するキャニスタ内又は800リットル又は1000リットルのタンク内に蓄えられ得る。
【0038】
これらのサービスと共に、物品を使用後のそれらの再利用を考慮して調整するための貯蔵手段217が設けられてもよい。分析研究室218は、調製物質の品質を確保するべくこの設備を完結させる。精製水調製ユニット219がユニット210に組み込まれる。空気処理手段220を設けることもできる。それらはケアユニット250だけでなく製品調製ユニット210にも割り当てられ得る。
【0039】
ケアユニット250は、主に、例えばスクリーン又は内部間仕切りを備える共通の室であるケアルーム252に直接に結合される透析ジェネレータ251を備える。ケアルーム252には、カーテン又はスクリーンにより分離される個々の治療アームチェアが設けられる。特別な又は深刻なケースのために幾つかの個々のベッドが設けられてもよい。患者を受け入れて患者をセンター内で案内するために受け入れ構造体253がケアルーム252の入口に位置される。医師のための診察室254が受け入れ構造体253に取り付けられる。患者のための更衣室255が受け入れ構造体253に取り付けられる。流出物中和のための技術室256及び廃棄物焼却のための技術室257がケアルーム252の出口に位置される。透析ジェネレータ251は、分析結果を考慮に入れて患者にしたがって治療製品を適合させるために透析濃縮物貯蔵手段217と精製水調製ユニット219に対して直接に接続される。
【0040】
本発明は、記載された実施形態の例に限定されず、特定の予期し得る発展にしたがって又は特定のニーズにしたがって異なる態様を与えることができる。ケアルームの寸法、そのレイアウト、特に治療アームチェアの配置又は様々な付帯的サービスに割り当てられる専用室の配置は、現地のニーズ又は利用可能性にしたがって変更されてもよい。しかしながら、これらの変更の範囲は、当業者に明らかな変形に限定される。特に、技術的なトラフ82は、各モジュールの寸法を有して部分的なセクションに形成され得る、又は、高電圧電流及び低電圧電流のための様々な配線回路、流体ネットワーク、及び、調整空油回路用のダクトを受けるためにモジュール間でプラグ接続を伴う幾つかのモジュールの寸法を有することができる。