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特許7094022一時的に疎水性のマトリックス材料処理、材料、キット、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】一時的に疎水性のマトリックス材料処理、材料、キット、および方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/587 20120101AFI20220624BHJP
   D04H 1/413 20120101ALI20220624BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
D04H1/587
D04H1/413
G01N33/543 521
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019501938
(86)(22)【出願日】2017-07-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 US2017042239
(87)【国際公開番号】W WO2018013986
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-07-14
(31)【優先権主張番号】62/362,813
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516340238
【氏名又は名称】リア ダイアグノスティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,べサニー
(72)【発明者】
【氏名】クチュリエ,アンナ
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-115368(JP,A)
【文献】特表2007-513345(JP,A)
【文献】国際公開第2015/181056(WO,A1)
【文献】特開2011-183613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00-18/04
G01N33/543
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合剤および疎水性ナノ粒子コーティングを含む、処理された水分散性および生分解性マトリックス材料であって
前記疎水性ナノ粒子コーティングは、水および疎水性ナノ粒子から本質的になり、前記疎水性ナノ粒子は、前記マトリックス材料の少なくとも一部へ浸透し、
前記マトリックス材料は、織られているまたは不織ウェブ材料であり、かつ、成形可能であり、濡れたときに3次元形状を形成するように操作でき、この形状は乾燥したときに変形に対して抵抗性であるように硬質であり、前記マトリックス材料は、3次元形状に配置される、処理されたマトリックス材料。
【請求項2】
前記処理されたマトリックス材料が、水分散性および/または生分解性セルロース系不織ウェブ、または電界紡糸ファイバーから構成される水分散性および/または生分解性不織マトリックスを含む、請求項1に記載の処理されたマトリックス材料。
【請求項3】
前記結合剤が、デンプンを含む、請求項1に記載の処理されたマトリックス材料。
【請求項4】
前記疎水性ナノ粒子が、非フッ素化二酸化ケイ素を含む、請求項1に記載の処理されたマトリックス材料。
【請求項5】
前記マトリックス材料が、特定の機能または能力を提供するための試薬を含めることによって診断アッセイを実施するように適合された診断デバイスに含まれ、ここで、前記試薬は、標的特異的診断試薬、リガンド診断試薬および/または診断制御試薬である、請求項4に記載の処理されたマトリックス材料。
【請求項6】
前記マトリックス材料が、2つの側面を有する材料のシートを含み、前記疎水性ナノ粒子が前記マトリックス材料の少なくとも一部へ浸透して、前記マトリックス材料の1つの側面に一時的な膜バッキングを提供し、前記試薬は、前記一時的な膜バッキングの反対のマトリックス材料の側面に適用される、請求項に記載の処理されたマトリックス材料。
【請求項7】
前記処理されたマトリックス材料が、一時的に硬質であり、かつ、1分超の尿との接触の後に硬質なままであるよう適合される、請求項1に記載の処理されたマトリックス材料。
【請求項8】
前記処理されたマトリックス材料が、一時的に硬質であり、かつ、所定の時間の尿との接触の後に硬質なままであるよう適合される、請求項1に記載の処理されたマトリックス材料。
【請求項9】
前記所定の時間が、1分~10分の間である、請求項8に記載の処理されたマトリックス材料。
【請求項10】
前記結合剤が、ナノセルロースを含む、請求項に記載の処理されたマトリックス材料。
【請求項11】
結合剤および疎水性ナノ粒子コーティングを含む、処理された水分散性マトリックス材料であって、
乾燥したコーティングされたマトリックス材料は、成形可能であり、濡れたときに3次元形状を形成するように操作でき、この形状は乾燥したときに変形に対して抵抗性であるように硬質であり、
前記マトリックス材料は、診断アッセイを実施するように適合された診断デバイスに含まれ、
前記処理されたマトリックス材料は、一時的に硬質であり、かつ、所定の時間の尿との接触の後に硬質なままであるよう適合される、処理された水分散性マトリックス材料。
【請求項12】
前記所定の時間が、1分~10分の間である、請求項11に記載の処理されたマトリックス材料。
【請求項13】
前記所定の時間が、1分超である、請求項11に記載の処理されたマトリックス材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月15日出願の米国仮特許出願第62/362,813号の優先権を主張する。その出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
背景
セルロース系不織材料は、吸収性があり、軟質あり、水などの溶液に曝されるとすぐに分散する。本発明者らは、浸水時にセルロース系材料が最初は水をはじき構造を保持するが、時間が経つにつれて水を吸収し分散するように、これらおよび類似の分散性、可溶性または生分解性材料を適合させて、例えば、一時的な疎水性(temporary hydrophobicity)を与える必要性を確認している。しかしながら、このような材料へのコーティングは、得られたまたはコーティングされた材料の剛性、疎水性、および分散特性を変える可能性がある。本明細書に示された解決策は、当技術分野におけるこれらおよび他の要求に取り組んでいる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
ある特定の頻度の高い実施形態では、結合剤および疎水性ナノ粒子コーティングを含む、水分散性および/または生分解性(任意選択で不織)マトリックス材料が提供されている。
【0004】
また、頻度の高い実施形態では、結合剤、疎水性ナノ粒子コーティング、および脱イオン水を含む、(任意選択で不織)マトリックスコーティング溶液が提供されている。
【0005】
ある特定の頻度の高い実施形態では、露出面を含み、露出面の接触角が90°より大きい、水分散性および/または生分解性(任意選択で不織)マトリックス材料が提供されている。
【0006】
ある特定の実施形態では、(任意選択で不織)マトリックス材料は、複数の繊維から構成され(comprised of)、複数の繊維の少なくとも1つは、疎水性ナノ粒子でコーティングされている。
【0007】
頻度の高い実施形態では、(任意選択で不織)マトリックス材料は、複数の繊維から構成され、複数の繊維の少なくとも1つは、結合剤および疎水性ナノ粒子でコーティングされている。またしばしば、(任意選択で不織)マトリックス材料は、水分散性および/または生分解性マトリックス材料を含む。多くの場合、水分散性および/または生分解性マトリックス材料は、HYDRASPUN(登録商標)(Suominen Corporation PLC、フィンランド)、HYDRASPUN PLUS、SOFTFLUSH、NBOND、または他のセルロース系不織材料を含む1つまたは複数の群から選択される。
【0008】
頻度の高い実施形態では、結合剤は、可溶性炭水化物材料、例えばデンプンを含む。また、ある特定の実施形態では、結合剤は、ゼラチン、絹、または大豆を含む。ある特定の実施形態では、結合剤は、別の可溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、水溶性ポリアクリルアミド、キサンタンガム(xanthum gum)、ペクチン、キトサン、デキストラン、セルロース、および/またはその誘導体を含む。またしばしば、疎水性ナノ粒子は、二酸化ケイ素、例えば、非フッ素化(non-fluoronated)二酸化ケイ素を含む。ある特定の実施形態では、疎水性ナノ粒子は、スチレン粒子、例えば酸化マンガンポリスチレン、酸化亜鉛ポリスチレンなどを含む。また、ある特定の実施形態では、疎水性ナノ粒子は、炭酸カルシウムを含む。また、ある特定の実施形態では、疎水性ナノ粒子は、シリカナノコーティングを含む。
【0009】
ある特定の頻度の高い実施形態では、結合剤は、デンプンを含み、疎水性ナノ粒子は、二酸化ケイ素を含み、水分散性および/または生分解性マトリックス材料は、HYDRASPUN、HYDRASPUN Plus、HYDRASPUN Essential、SOFTFLUSH、およびNBONDを含む1つまたは複数の群から選択される。
【0010】
多くの場合、水分散性および/または生分解性(任意選択で不織)マトリックス材料は、複数層(multiple layers)を含み、複数層の各層は、水に溶解する結合剤を用いて複数層の別の層に接着されている。ある特定の実施形態では、(任意選択で不織)マトリックス材料は、複数層を含み、複数層の各層は、ステープルなし付着(stapleless attachment)を使用して複数層の別の層に付着されている。
【0011】
頻度の高い実施形態では、接触角は、150°または約150°である。またしばしば、接触角は、90°~180°の間である。しばしば包含される実施形態では、接触角は、90°~150°の間である。
【0012】
頻度の高い実施形態では、(任意選択で不織)マトリックス材料は、液体が疎水性ナノ粒子コーティングを通過してマトリックス材料まで達することを可能にするように適合された穿孔(perforation)を含む。
【0013】
しばしば包含される実施形態では、マトリックス材料は、1分超(over 1 minute)水に曝すと水中に分散する。
【0014】
水分散性および/または生分解性(任意選択で不織)マトリックス材料はまた、しばしばフラッシ可能な消費者製品(flushable consumer product)を含む。多くの場合、消費者製品は、診断試薬(diagnostic test)、包装、使用説明書(instruction)、廃棄物処理装置(waste disposal device)、製品型、容器、ハウジング、またはタブレットを含む。
【0015】
水分散性および/または生分解性(任意選択で不織)マトリックス材料とマトリックスコーティング溶液を接触させて処理されたマトリックス材料を作成すること、ならびに処理されたマトリックス材料を乾燥させて硬質の水分散性および/または生分解性(任意選択で不織)マトリックス材料を形成することを含む、硬質の水分散性および/または生分解性(任意選択で不織)マトリックス材料を形成する方法を包含する、方法も提供されている。溶液の接触、しばしば接触は、マトリックス材料の浸水(submersing)または噴霧、グラビアロール/シリンダー、マトリックス材料のスロットコーティングを含み、
浸漬材料および過剰溶液は、ローラー(すなわち、ディップおよびニップ)または他の方法で絞り出される。しばしば包含される実施形態では、形成された硬質の水分散性および/または生分解性(任意選択で不織)マトリックス材料は、露出面を含み、露出面の接触角は、90°より大きい。
【0016】
(任意選択で不織)マトリックス材料の複数層を含有する硬質の水分散性および/または生分解性(任意選択で不織)マトリックス材料を形成する方法も提供されており、例えば、複数層のそれぞれを互いに接触させること、ならびに複数層の1つまたは複数の層と請求項8の溶液を接触させて処理された多層マトリックス材料(multi-layer matrix material)を作成することならびに処理された多層マトリックス材料を乾燥させて硬質の水分散性および/または生分解性(任意選択で不織)マトリックス材料を形成することを含む。しばしば包含される実施形態では、形成された硬質で多層の水分散性および/または生分解性(任意選択で不織)マトリックス材料は、露出面を含み、露出面の接触角は、90°より大きい。
【0017】
複数層の1つまたは複数の層は、しばしば溶液と接触させてから複数層のそれぞれと互いに接触させる。あるいは、複数層の1つまたは複数の層は、複数層のそれぞれを互いに接触させた後に溶液としばしば接触させてもよい。
【0018】
ある特定の実施形態では、一時的な膜バッキング(temporary membrane backing)がマトリックス材料にもたらされる。しばしばこのような実施形態では、疎水性ナノ粒子の塗布が、マトリックス材料にもたらされ、マトリックス材料の少なくとも一部(例えば、20%~約80%)、しばしばマトリックス材料の50%または約50%への浸透が可能になる。ある特定の実施形態では、試薬が一時的な膜バッキングを含有するマトリックス材料に塗布される。
【0019】
ある特定の実施形態では、(任意選択で不織)マトリックス材料および疎水性ナノ粒子を含むキットが提供されている。
【0020】
添付図と併せて本開示の種々の例示的な実施形態の以下のより詳細な説明を参照すると、これらおよび他の実施形態、特徴、および利点は、当業者に明らかになるであろう。
【0021】
当業者は、以下に記載される図面が単に例示目的であることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、例示的な積層ワークフロー図を示す。
図2図2は、別の例示的な積層ワークフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
種々の実施形態の詳細な説明
開示を明確にするために、かつ限定する目的ではなく、種々の実施形態の詳細な説明を以下のいくつかの小項に分割する。
【0024】
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての科学技術用語は、本発明が属する当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。本明細書で引用する全ての特許、出願、出願公開、他の刊行物は、参照によりその全体を組み込む。本節に記載された定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、出願公開および他の刊行物に記載された定義に反するか、または矛盾する場合は、本節に記載された定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義より優先する。
【0025】
本明細書では、「a」または「an」は、「少なくとも1つ(at least one)」または「1つまたは複数(one or more)」を表す。
【0026】
本明細書では、用語「および/または(and/or)」は、「および(and)」を表すことができ、「または(or)」を表すことができ、「排他的論理和(exclusive-or)」を表すことができ、「1つ(one)」を表すことができ、「いくつか、ただし全部ではない(some, but not all)」を表すことができ、「どちらもない(neither)」を表すことができ、かつ/または「両方(both)」を表すこともできる。
【0027】
本明細書では、用語「分散性」は、材料繊維または塊が剥離または分離することが可能であり、その結果元のシートよりも小さな小片に分解することを表す。剥離は一般に、材料が溶液になる、例えば、水溶性ポリマーが水に溶解する、溶解などの状態の変化と比較して、散乱または分離の物理的変化である。明確にするために、材料は、繊維を分散させずにより大きな材料のより小さな塊に分解する場合、分散性となり得る。
【0028】
本明細書では、用語「可溶性」は、従来の意味を有する。言い換えれば、「可溶性」は、特定の材料が別の物質、例えば水、流体試料、または別の流体に溶解する能力を意味する。
【0029】
本明細書では、語句「繊維状不織複合構造」は、微粒子を含むまたは含まない個々の繊維またはフィラメントが、識別可能な繰り返しではなく、中間に入れられた構造を意味する。例えば、繊維状不織ウェブなどの不織構造は、例えば、メルトブロー法および溶融紡糸法、スパンボンド法、ボンデッドカーデッドウェブ法、水流交絡法、プレス法、電界紡糸法などを含む、当業者に周知の種々のプロセスにより、過去に形成されてきた。このような構造はしばしば、本明細書において一般に「不織」または「不織マトリックス」と呼ばれる。
【0030】
本明細書では、語句「マトリックス材料」には、水溶性、水分散性、生分解性、堆肥化可能な、および/またはフラッシ可能な材料が含まれる。マトリックス材料は、不織構造、多孔質構造、半多孔質構造、ゲル、固体、半固体、または他の構造を含んでいてよい。
【0031】
本明細書では、語句「水分散性」は、水性環境に配置した場合に、(時間が経つにつれて)より小さい小片または繊維にばらばらになる材料(しばしば不織繊維状材料)を意味する。構造がばらばらになって分散すると、それはリサイクリングプロセス、例えば、腐敗および都市下水処理システムにおいて処理可能である。望むなら、繊維状不織構造は、より水分散性にすることができ、または分散を迅速にすることができる。分散のための実際の時間は変化し、使用目的プロファイルに基づいて事前に決定され得る。水分散性材料はまた、生分解性であってもよい。
【0032】
本明細書では、「生分解性」は、細菌または他の生物、自然のプロセス、または他の生物学的因子または手段によって分解されることが可能な材料を意味する。生分解性材料はまた、水分散性であってもよい。
【0033】
本明細書では、「フラッシ可能(な)」は、例えば、現在の“Guidelines for Assessing the Flushability of Disposable Nonwoven Products,” Third Edition, August 2013、INDA and EDANA、または別の現在業界で認められているフラッシ可能性標準、ガイドライン、勧告、要件、もしくは目的に記載されているような、INDAおよび/またはEDANAのフラッシ可能性ガイドラインに合格する材料を意味する。
【0034】
本明細書では、「吸収性」は、流体を吸収する能力または傾向を意味する。特定のいずれかの理論に拘泥するものではないが、吸収性材料は、それを通る流体の吸上に抵抗する傾向がある。
【0035】
本明細書では、「硬質」は、変形、曲げ、折れ目またはその他の方法で形状が崩れることなく形態を保持する能力を意味する。硬質の材料は、形状を形成するように操作できるように成形可能であってよく(例えば、濡れたとき)、かつこの形状は特定の条件下で変形に対して抵抗性がある(例えば、乾燥したとき)。硬質の材料は、加えられた力に応じて、所与の長さにわたって柔軟性が低い場合がある。硬質の材料は、様々な程度の剛性を有し得る。
【0036】
本明細書では、「ナノ粒子」は、基本的な分子または化学部分または粒子の実際の物理的寸法に限定されずに記述子として使用される。そういうものとして、そして例えば、疎水性ナノ粒子などのナノ粒子は、マイクロスケールおよびナノスケールで測定可能であり得る。本明細書における「疎水性ナノ粒子」への言及は、特に定義されない限り、具体的には、例えば疎水性ナノ粒子を含有する疎水性コーティングまたは疎水性溶液を含む。非限定的な例示的な疎水性ナノ粒子には、二酸化ケイ素、非フッ素化二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、シリカナノコーティング、およびスチレン粒子、例えば酸化マンガンポリスチレン、酸化亜鉛ポリスチレンなどが含まれる。明確にするために、二酸化ケイ素は、フッ素化および非フッ素化形態を意味することを表す。
【0037】
本開示の他の特徴および利点は、以下の説明および参照図面から明白であろう。本革新はしばしば、例示的な実施形態によってさらに説明される。実施例は、単に特定の実施形態を参照として本革新を例示するために提供するものである。図面は必ずしも正確な縮尺ではなく、選択された実施形態を示し、本開示の範囲を制限するものではない。これらの実例は、本革新の特定の観点を例示するが、開示された革新の範囲の限界を示したり、制限したりするものではない。詳細な説明は、一例として例示されており、本開示の範囲を限定するものではない。
【0038】
本明細書において企図されている水分散性または可溶性マトリックス材料は、例えば、一貫した環境的に持続可能な製造プロセスおよび使用プロトコルを提供する。特に、頻度の高い実施形態では、水分散性または可溶性マトリックス材料は、企図されたデバイスの複数の構成要素/態様を構成するために利用される。
【0039】
水分散性マトリックスとして本明細書で企図されている1つの例示的な材料は、HYDRASPUN(登録商標)と呼ばれる不織布材料、またはその関連製品である。特定の動作原理のいずれにも拘泥するものではないが、現在企図されている方法およびデバイスで利用されるこの材料の特徴は、水分散への高められた抵抗である。言い換えれば、この材料は、吸収剤であり、また吸収剤として特徴付けることができる。ある特定の実施形態では、不織布材料は、約10重量%未満の含水量を含む。ある特定の実施形態では、水分散性または可溶性マトリックス材料は、例えば、セルロースパルプ繊維の内層、水溶性または水分散性ポリマーの前記連続フィラメントの上層および水溶性または水分散性ポリマーの前記連続フィラメントの下層を有する乾燥した三層材料を含む。他の水分散性または可溶性マトリックス材料が、例えば、米国特許第4,309,469号、第4,419,403号、第5,952,251号、および/または第8,668,808号で企図および記載されている。SOFTFLUSH(登録商標)(Jacob Holm & Sons AG)およびNBOND(登録商標)(Hangzhou Nbond Nonwoven Co., Ltd. Corp.)は、水分散性および/または生分解性マトリックス材料の追加の例である。
【0040】
本明細書では、用語「マトリックス材料」(非合成マトリックス材料、水分散性または可溶性マトリックス材料、水分散性マトリックスサンドイッチ材料などを含む)は、ニトロセルロースおよびニトロセルロース材料を除外する。最も頻繁には、このマトリックス材料は、フラッシ可能な、水分散性、生分解性、および/または可溶性マトリックス材料、例えば不織ウェブ材料を含む。用語「マトリックス材料」はまた、コーティングまたは積層で処理されたかどうかにかかわらず、材料を意味するものである。
【0041】
述べたように、アッセイデバイスまたはデバイス構成要素として使用するために本明細書で企図されるフラッシ可能なまたは水分散性不織材料は、一般に吸収性材料である。さらに、このような材料はまた、しばしば支持体を使用して、特定の方法でそれらを方向付けることなく、通常の使用条件(例えば、中流デバイスとしての使用)に耐えるのに十分な剛性をしばしば欠く。逆に、そのような材料が他の材料で支持されている場合(例えば、サンドイッチされた材料、積層、またはコーティング)、それらの材料は、分散を開始するのに十分に濡れるようになるデバイスの能力をしばしば妨げる。例えば、材料は、分散を開始するために水が積層またはコーティングの中に入るまたは中を通過するのにかかる追加の時間に応じて、延長時間にわたってデバイスを水面上に浮遊させることがある。フラッシ可能性基準に合格できないことを含めて、そのような遅延分散に対する欠点は重大である。
【0042】
そのように、水分散を可能にしながら、本明細書において企図されているものなどの不織材料を強化するための改善された方法および材料が、本明細書において企図および説明されている。例えば、結合および積層の両方のために、不織布を強化するのに適した一時的な疎水性水性コーティングを作成し、同時にそれを最終的に水中に分散させることも可能にする技術が提供されている。水溶液またはコーティングは多くの場合、一時的な疎水性バリアとして、またしばしば結合剤として働く。複数層の不織材料、例えばセルロース系不織布(例えば、80%セルロース、20%レーヨンまたはリヨセル)は、長期間にわたって一緒に固定でき、水性コーティング/浸水および圧力の適用によってのみ、種々の用途を可能にする。
【0043】
ある特定の実施形態では、非接着性付着が不織マトリックス材料の複数層の間に提供されている。例えば、ステープルなしステープル技術によって提供される付着手段を使用したステープルなし付着は、接着剤なしで不織マトリックス材料の複数層を組み合わせるまたは付着させるための1つの例示的な実施形態として使用される。ステープルなしステープル技術の一例は、Kokuyo Co. Ltd.(東成区、大阪、日本)から入手可能なハリナックスステープラー、または類似のものである。このようなステープラーは、比較的小規模に作動し、ステープルなし付着技術への一般的な言及のためだけに提供されているが、それに対する言及は、ステープルなしのマトリックス層付着(他の追加の機械的付着を含む)または接着剤を意味する以外は、非限定的なものである。ステープルなし付着技術は、例えば、スタンピングおよびロールツーロール操作によって大規模および/または連続製造に拡張可能であると本明細書において特に企図されている。簡単にするために、このような技術は、本明細書においてステープルなしステープラーまたはステープルなし付着と呼ばれる。操作の特定の理論いずれかに拘泥するものではないが、ステープルなしステープラーは、異物をマトリックスに導入せずにそれ自体と合わせるために不織布の性質を使用するように作用する。この点に関しては、不織マトリックス布の繊維の小折り目(mini fold)または湿式後相互作用(post-wet-laid interaction)は、一緒にステープルで留められるのと類似の方法で、マトリックス材料の2つ以上の層の間に導入されて、層を混合/付着させる。この技術は、本明細書に記載されるように疎水性ナノ粒子で処理された、または処理されるであろう2層のマトリックス材料を付着させるためにしばしば使用される。このような実施形態では、完全にフラッシ可能な、さもなければ環境に優しいハウジングまたは構造は、単純にマトリックス材料自体を使用して作成される。単独型なのでこの技術は水分散性製品によく適しているが、本発明者らは、この技術が、複数層の水分散性マトリックス材料の組み合わせを必要とするまたは利益を得る水分散性製品の商業生産に容易に適応できることを見出した。
【0044】
既存の方法は、超疎水性バリアを作成することに重点を置いている。これらのタイプのバリアおよびそれらを達成するために必要な化合物は、それらが水に分散できないようにし、および/またはフラッシ可能性ガイドラインに合格できないようにする。実際には、この一般的な技術分野における革新は、完全に反対の分野に偏っている:(1)バリアなし、急速溶解バリア、または液体に曝されると急速に崩壊するバリア(例えば、MonoSol、など);あるいは(2)液体をはじき、崩壊しないように設計されているもの(例えば、おむつに使用される吸収性不織布)。いくつかの湿式セルロース系不織布は、吸収性およびフラッシ可能性の両方になるように設計されているが、それらは布様であり、寸法形状を保持するための剛性または強度を欠いている。示されたコーティングおよび積層プロセスは、柔軟な水分散性不織布を、寸法を保持および形成し得る材料に変換する。さらに、不織布は、一般にフラッシ可能性試験および標準に合格できないと見なされている。フラッシ可能性も望まれる場合、シンク試験に関連した追加の課題が生じる。現在説明されている革新が、これらの課題に対処する。
【0045】
ある特定の実施形態における本開示のコーティングされたマトリックス材料は、水中での溶解を促進するための材料の物理的操作を含む。このような実施形態では、マトリックス材料に穿孔、例えば部分穿孔、または穿孔線がもたらされる。多くの場合、穿孔または縦筋(score line)は、デバイスが水に曝され、任意選択で撹拌されたときに作成される折り目または折り目線を画定するように適合されている。穿孔は、疎水性ナノ粒子の堆積後に最も頻繁にもたらされる。ある特定の実施形態では、このような穿孔または穿孔線は、使用後にデバイスに導入される。ある特定の関連する実施形態では、デバイスは、穿孔または穿孔線を導入するために、使用者によって折り畳まれ、または操作されている。特定の原理のいずれにも拘泥するものではないが、疎水性ナノ粒子を貫通する穿孔は、穿孔点でマトリックス材料への水または他の溶解溶液(曝されたとき)のより迅速な侵入を可能にする、得られたコーティングの破断をもたらす。このより迅速な水または他の溶解溶液の侵入は、疎水性ナノ粒子で処理されたマトリックスの一部より前に、穿孔点でマトリックスの破壊の開始をもたらす。このより迅速な水の侵入は、穿孔点でマトリックスの弱化をもたらして、その点でマトリックスの折り畳みを可能にする。明確にするために、これに関連する折り目は、マトリックスのより柔軟な領域、曲がりまたは水に最初に曝されたときに減少したもしくは弱められた構造的完全性の他の領域を含む。マトリックス全体が濡れて弱くなる一方で、穿孔は穿孔点でより迅速な弱化を可能にする。多くの場合、穿孔は、マトリックス材料中に穿孔線または複数の穿孔線の形態でもたらされる。穿孔線は、マトリックスの使用目的に適した方法でもたらされる。例えば、トイレでフラッシすることを意図した診断の実施形態では、穿孔線(1本もしくは複数本または複数の穿孔線を含む)は、マトリックスのフラッシ可能性を高めるためにもたらされてもよい。この穿孔線の構造はしばしば、マトリックス中の1つまたは複数の折り目をもたらして、その予め折り畳んだ状態に対してマトリックスの全体の大きさを減少させる。
【0046】
例示的な水性コーティング/積層溶液は、補強剤および結合剤(例えば、デンプンまたは別の水溶性ポリマー)、疎水性ナノ粒子(例えば、とりわけ二酸化ケイ素、TiO2、銀ナノ粒子、他の金属酸化物)、および脱イオン(DI)水の混合物を含む。脱イオン水は、別の適当な溶媒で置換されてもよく、その溶媒は多くの場合、エタノールまたは他のアルコールなどの特定の環境条件に曝されたときに平均から急速な蒸発が可能である。溶液を作製する場合、ナノ粒子分散液は、例えば、所定の希釈度でデンプン溶液に混合される。結合剤およびナノ粒子は、適用すると、マトリックス材料の繊維と結合する。操作の特定の理論いずれかに拘泥するものではないが、材料は、マトリックス材料内の空間を充填する。結合剤は、例えば、マトリックス材料中の繊維を結合し硬化し;ナノ粒子(例えば、SiO2)は、マトリックス材料周囲の表面張力を変え、得られた材料をナノスケールではるかに「より粗く」する。ナノテクスチャにおけるこの変化は、それらがマトリックス材料と接触するときに水/液体の接触角が大きくなるように作用する。最も頻度の高い実施形態は、環境に優しく、生分解性であり、あるいは米国食品医薬品局、欧州委員会、または欧州食品安全局によって一般に安全と認められる(GRAS:Generally Recognized as Safe)の指定を受けているナノ粒子(および/または他の成分)を有する水性コーティング/積層溶液を含む。
【0047】
接触角は、従来液体を通して測定される、液体-蒸気界面が固体表面と交わる角度である。それは、ヤング方程式によって液体による固体表面の湿潤性を定量化する。一般に、接触角を増大させるナノ粒子溶液またはコーティングは、企図されているマトリックス材料と一緒に本明細書で使用することが企図されている。ある特定の頻度の高い実施形態では、コーティング/積層溶液は、150°または約150°の接触角をもたらす。多くの場合、コーティング/積層溶液は、例えば、150°以上の、超疎水性を特徴とする接触角をもたらす。また多くの場合、コーティング/積層溶液は、例えば、90°~150°の間の、超疎水性を特徴とする接触角をもたらす。マトリックスは、それらの表面の少なくとも一部に90°よりも大きい接触角を有する繊維の全部または一部を含み得る。ある特定の実施形態では、マトリックスは、繊維を含み、その一部は疎水性または超疎水性を特徴とし、繊維の別の部分は、親水性として特徴付けられる。
【0048】
実際に、水性コーティング/溶液を混合すると、例えば:噴霧堆積、浸水、またはロール積層によって、積層プロセスが行なわれる。1つの例示的製造プロセスにおいて、溶液と合わせたマトリックス材料の吸収特性は、接着力を得るために追加の接着剤または熱を加える必要なく、圧力だけを用いてマトリックス材料層を一緒に結合させる。一般に、本明細書に記載されたコーティング/積層溶液で処理されたマトリックス材料は、処理されたマトリックスまたは処理されたマトリックス材料であると考えられている。
【0049】
浸水法は、マトリックス材料の層またはシートを積み重ね、それらを例示的なコーティング/積層溶液に浸し、続いて硬化させることを含む。1つの例示的なプロセスでは、以下のステップを使用する:
1)溶液を混合する;
2)湿式セルロース系不織布の少なくとも1つ(または複数)のウェブを揃え、溶液中に浸す;
3)不織材料の(1つまたは複数の)ウェブを溶液から取り出し、過剰溶液を例えば、スクイジーによって除去する;
4)今回積層された材料を、乾燥させる;
a)24時間周囲硬化時間:または
b)乾燥は、例えば、150℃までの高温を用いて任意選択で促進することができる。
【0050】
ロール積層を使用して、マトリックス材料をコーティング/積層溶液に含浸させることもできる。1つの例示的なプロセスでは、機械、例えばLabline(例えば、GeMaTa Spa Divisione Rollmac、Trissino、ITから入手可能なモデル750または800)、Kinematic Matrtix 6500、IMS マイクロ波乾燥機、赤外線乾燥機、または類似の機械を利用して、ロールツーロール積層を行う。一般に、プロセスは、水性コーティングおよび積層、ロールツーロールを含む。1つの例示的なプロセスでは、以下のステップを使用している:
1)溶液を混合する;
2)2層、または任意の所望の数(1+)の不織布が可能になるように機械にねじを切り、設定する;
3)不織布のウェブと接触する;
a)次のいずれかによって(水性)コーティングを塗布する:浸漬/ディップ、ナイフ、グラビアロール/シリンダー、噴霧、スロットコーティング、印刷;または
b)ウェブを個々にコーティングし、次いで一緒に乾燥させる;
4)今回積層された材料は、そのままにして乾燥させる;
a)ウェブを、150℃までの温度下で加速乾燥オーブンに通過させる;または
b)24時間周囲硬化時間。
【0051】
図1は、第1のマトリックス材料(10)にコーティング溶液(12)を堆積(13)させ、ローラーを用いて追加のマトリックス材料(11)をコーティングされた第1のマトリックス材料と接触させ、熱源(15)を用いて接触させたマトリックス材料を乾燥させてコーティングされたマトリックス材料(16)を作成することを含む、1つの例示的な積層プロセスを示す。コーティング溶液は、しばしば疎水性ナノ粒子溶液を含む。コーティングされたマトリックス材料(16)は、ナノ層コーティングを含む。
【0052】
図2は、第1のマトリックス材料(10)を追加のマトリックス材料(11)と接触させ、接触させたマトリックス材料をコーティング溶液(12)中に浸し、熱源(15)を用いて接触させたマトリックス材料を乾燥させて、コーティングされたマトリックス材料(19)を作成することを含む、別の例示的な積層プロセスを示す。コーティング溶液は、しばしば疎水性ナノ粒子溶液を含む。コーティングされたマトリックス材料(19)は、ナノ層コーティングを含む。
【0053】
ある特定の実施形態では、上記プロセスは、マトリックス切断または適合、エンボス加工、試薬(例えば、抗体)の結合親和性を増大させるためのマトリックス材料のさらなる処理、沈下性を増大または向上させるためのさらなる処理、および/または試薬適用/統合など他のプロセスステップ(これは任意選択のステップであってもなくてもよい)を含めて、連続製造ラインでマトリックスを調製し、デバイスを組み立てるように適合されている。
【0054】
ある特定の実施形態では、マトリックス材料は、単一の非層状材料である。このような実施形態では、マトリックス材料は、浸水、ロール積層または別の方法によって同様に処理された増大した厚さを有する。また、ある特定の実施形態では、複数の異なるマトリックス材料を積層し、一緒に結合する。このような実施形態では、異なるマトリックス材料は、別々に積層してもよく、または浸水、ロール積層または別の方法によって一緒に積層してもよい。
【0055】
前処理された繊維から構成されるマトリックス材料を利用することも企図されている。このような実施形態では、マトリックス材料を形成している繊維を処理または形成して、ある程度まで疎水性にする。マトリックスを含む不織ウェブを形成する従来の方法は、例えば、疎水性(hybrophobic)繊維の全部または一部から形成された、または別の方法で形成された繊維を用いる電界紡糸などの他の方法に加えて、企図されている(例えば、米国特許出願公開第20140170402号に記載されている)。ある特定の実施形態では、未処理の繊維のバッチを前処理された疎水性繊維のバッチと混合して、不織マトリックスを作成する。未処理の繊維対前処理された繊維の比率は、例えば50/50の比率で変わり得る。90/10(未処理/前処理)~10/90(未処理/前処理)の比率も企図されている。
【0056】
ある特定の実施形態では、処理されたマトリックス材料を調製し、調製後に穴(例えば、本明細書で論じた穿孔)を導入するが、処理されたマトリックス材料は、溶解/分散を向上させ、かつ/または沈下および分散のタイミングを短縮する。穴は、クリーンカット法およびシールドカット法を含む任意の公知の手段によって導入することができる。クリーンカットは、カットが個々の繊維を通って導入されるようなカットであり、したがってカット領域の内面および未処理の表面(すなわち、コーティング/積層溶液を含有しない表面)を環境に曝すことを意味する。シールドカットは、カットが個々の繊維を通って導入されるようなカットであるが、カット表面は、例えば、それらがコーティング/積層溶液で被覆されている、ヒートシールされているなどのため、繊維の内面が環境に曝されないようにシールされていることを意味する。熱、光、および/または化学系切断法に加えて、打ち抜きによるまたはその他の鋭利な器具を用いた機械的切断を含む、従来の切断法が企図されている。デボス加工も使用でき、そのパターンは、特定の領域のマトリックス材料の表面に導入されて(例えば、プレスもしくは別の方法または手段を通して)、美的な質感をもたらし、穿孔または穴を導入することによって疎水性を減少させ、デボスされた材料の領域における分散の可能性を増加させる。
【0057】
述べたように、結合剤は、本明細書に記載された例示的なコーティング/積層溶液の成分を形成する。他の水溶性ポリマーを使用してもよいが、デンプンは、最も頻繁な結合剤である。デンプン型を含む可溶性炭水化物などの、任意の種々の炭水化物型または水溶性ポリマーを使用することができる。本方法および溶液によって疎水性ナノ粒子が含まれる場合、約75%までの炭水化物を含む、種々の濃度の炭水化物または他の水溶性ポリマーは、現在記載されている積層溶液に使用することができる。より高濃度の炭水化物を含むことは、得られた処理されたマトリックス材料の剛性、試薬結合、および/または分散特性に影響を及ぼす。
【0058】
マトリックス材料は、疎水性ナノ粒子による処理と関係なく処理して、種々の目的のいずれかにその使用を可能にすることができる。このような実施形態では、マトリックスは、同様にまたは追加的に疎水性ナノ粒子で処理することもできる。このような実施形態では、マトリックス材料は、ロールツーロールウェブフォーマットで提供されてもよく、そこではマトリックス材料のウェブは、複数の処理ステーションを通って進められ、リール/スプールに巻き取られる。1つの例示的なステーションまたはステーションのセットは、バッファー/共役体/試薬適用ステーションを含み、それは、例えば、ポンプ(例えば、シリンジポンプまたは測定された量の流体を供給するための別のメカニズム)および1種または複数のディスペンサーヘッド(例えば、2、3、4、5、またはそれ以上のディスペンサー)を使用してマトリックス材料に所定量の液体を導入する。複数の空間的に分離されたディスペンサーは、吸収を容易にし、試薬損失およびマトリックス内の液体の意図しない広がりを減少させるために必要な領域にわたってマトリックスに十分な量の液体を導入することをしばしば可能にする。別の例示的なステーション、またはステーションのセットは、試験ライン/制御ライン/試薬ステーションを含み、それは、例えば、ポンプ(例えば、シリンジポンプまたは測定された量の流体を供給するための別のメカニズム)および1種または複数のディスペンサーヘッド(例えば、2、3、4、5、またはそれ以上のディスペンサー)を使用してマトリックス材料に所定量の液体を導入する。別の例示的なステーション、またはステーションのセットは、1つまたは複数(1、2、3、4、またはそれ以上)の乾燥機、例えば乾燥塔、マイクロ波乾燥機、赤外線乾燥機などを含む乾燥ステーションを含む。乾燥ステーションは、試薬分配ステーションの一方または両方の後に含めることができる。ある特定の実施形態では、マトリックス材料は、1つまたは複数の処理ステーションを通って進む前にその使用目的に合うように予め成形または予めカットされている。類似のプロセスが、同様にバッチフォーマットで提供されてもよく、そこでは各処理ステーションは統合または分離されてもよく、マトリックス材料は1つの処理ステーションから次へとばらばらで移動される。
【0059】
ある特定の実施形態では、リガンド、結合パートナー、または共役対メンバー(例えば、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、グルタルアルデヒド(guteraldehyde))を利用して、マトリックス上に試薬を堆積させる。例えば、ストレプトアビジンまたはアビジンは、マトリックス上に堆積され、抗体などのビオチン化された(または他の結合メンバー対)標的特異的試薬は、アビジンまたはストレプトアビジンが堆積されるマトリックス上の位置に適用または導入される。このような実施形態では、例えば、第1の結合パートナーメンバーは、特定の位置(例えば、試薬ライン、試験ライン、制御ラインなど)でマトリックス上の所定の位置に堆積および乾燥、固定され、または他の方法で確立される。その後、ビオチン化試薬は、マトリックスに保持されている結合対の他のメンバーに導入される。このような実施形態では、多くの場合、高度に定義された試験ラインまたは制御ラインが確立されており、それによってマトリックスのより広い部分にわたる標的特異的試薬の広がりが減少する。ビオチンおよびアビジンまたはストレプトアビジンに加えて、他の結合成分は、それだけには限らないが、例として、グルタルアルデヒド(gluteraldehyde)、炭水化物およびレクチン、相補的ヌクレオチド配列、相補的ペプチド配列、エフェクターおよびレセプター分子、酵素補因子および酵素、酵素阻害剤および酵素、ペプチド配列およびその配列またはタンパク質全体に特異的な抗体、ポリマー酸および塩基、染料およびタンパク質結合剤、ペプチドおよび特定のタンパク質結合剤(例えば、リボヌクレアーゼ、S-ペプチドおよびリボヌクレアーゼS-タンパク質)、金属およびそれらのキレート剤などを含む。さらに、結合成分は、元の結合成分メンバーの類似体であるメンバー、例えば分析物類似体または組換え技術もしくは分子工学によって作製された結合成分メンバーを含むことができる。1つの例示的な実施形態では、マトリックス材料は、3mg/mlのストレプトアビジンで縞をつけている。マトリックスは、乾燥しているか、乾燥することが可能である。次いで、ストレプトアビジンの縞をつけたマトリックス材料は、ビオチン化抗体(GAMC、PabTなど)で再度縞をつける。別の例示的な実施形態では、抗体は、グルタルアルデヒドと反応させ、次いでマトリックス材料上に縞を付ける。
【0060】
また、ある特定の実施形態では、試薬は、インクジェットまたはエアゾール印刷技術を用いてマトリックスに堆積させる。この技術は、本明細書で論じた1つまたは複数の処理ステーションに利用することができる。例えば、インクジェット型プリンター、例えばDimatix Materials Printer(DMP-2850;Fujifilm、米国カリフォルニア州Santa Clara)、EPSON Stylus C88+などは、抗体などの試薬をマトリックス材料に堆積させるために使用される。試験および制御ラインは、この件では、個々または同時に堆積させることができる。試薬は、印刷後に別々に固定化(例えば、光固定化)してもよい。ある特定の実施形態では、上述したように、結合対のメンバーと共役した試薬は、予め堆積させた(任意選択でインクジェット印刷を使用)結合対の反対側のメンバーに印刷および固定化される。
【0061】
ある特定の実施形態では、ナノセルロース溶液を、マトリックス材料に塗布する。ナノセルロースは、ナノセルロースビーズ、繊維、ナノフィラメント、および/またはナノ結晶などの形態であってよく;多くの場合、溶液に懸濁されている。操作の特定の理論いずれかに拘泥するものではないが、ナノセルロース溶液は、マトリックスに塗布され、不織布などのマトリックス材料の繊維マトリックス内に吸収される。マトリックス材料は、一般に、例示的な目的のために本明細書ではしばしば孔径と呼ばれるものを有するであろう。不織材料では、孔径は基本的に、隣接する繊維または繊維群内およびそれらの間の孔面積である。ナノセルロース繊維は、不織マトリックスの孔内に埋め込んで、ギャップを満たし、全体の孔径を小さくする。ナノセルロース溶液は、試料が適用されたときにナノセルロース繊維またはビーズが移動性をもつように、試料に可溶性であり得る。あるいは、ナノセルロースは、試料が適用されたときにそれが直ぐに可溶化しないように、マトリックス材料への最初の適用後に結合され得るが、不織マトリックス材料が分散するにつれてそうなるであろう。
【0062】
多くの場合、ナノセルロース溶液は、マトリックス材料に塗布してから、試薬を適用する。ある特定の実施形態では、試薬をナノセルロース溶液(またはナノセルロースビーズまたは繊維)と合わせ、単一溶液として塗布する。ナノセルロースの堆積から生じる孔径の減少により、試薬が結合、乾燥またはその他の方法でマトリックス内に保持されるための領域が減少する。このような実施形態では、試薬は、未処理のマトリックス材料の一部に対して減少しているマトリックス材料の領域または範囲に限定される。それによって、より正確な試薬堆積がもたらされ、しばしば試薬の量および/または濃度が減少し得る。
【0063】
特定の領域に限定される特定の機能または能力を提供するために試薬による処理を必要とするマトリックス(例えば、アッセイに使用するためのマトリックス、指示を提供するために使用されるマトリックス、機能を提供するために使用されるマトリックスなど)を含む、ある特定の実施形態では、マトリックスは、特定の機能または能力をもたらすための試薬で処理されていないけれども疎水性コーティングで処理されているマトリックスに対して、しばしば濃度または量が減少した疎水性コーティングで処理することができる。このような実施形態では、インクジェットまたはエアゾール印刷技術は、そのようなコーティングを提供するためにしばしば使用される。このような実施形態では、疎水性ナノ粒子の塗布は、マトリックス材料に行なわれ、マトリックス材料の少なくとも一部に浸透することが可能になる(例えば、20%~約80%;最も頻繁には約40%~60%、または約50%)。このプロセスは、本明細書でマトリックス材料のための一時的な膜バッキング(または単に膜バッキング)として呼ばれているものを提供する。バッキングは、本明細書で論じられるように、処理の位置でマトリックス材料に一時的な疎水性を提供するという点において一時的なものである。その後、試薬(本明細書に記載されているものなど)は、疎水性コーティング前処理マトリックス材料に導入される。ある特定の実施形態では、標的特異的試薬、リガンド試薬、制御試薬、バッファー、または診断アッセイのための他の試薬は、マトリックス材料を疎水性コーティングで前処理した後、マトリックス材料と接触させる。
【0064】
ある特定の頻度の高い実施形態では、マトリックス材料(例えば、不織マトリックス材料のウェブを含む)は、疎水性ナノ粒子コーティングで片面がコーティングされており、反対側では、マトリックス材料は未処理のままであるか、または処理されているか、または診断薬もしくは標的特異的試薬などの試薬を含む。このような実施形態では、インクジェットまたはエアゾール印刷技術は、このようなコーティングをもたらすためにしばしば使用される。多くの場合、マトリックス材料は、試薬の適用前に疎水性ナノ粒子コーティングでコーティングされ、疎水性ナノ粒子コーティングは、試薬を適用する前に乾燥させる。このような実施形態では、マトリックス材料は、疎水性ナノ粒子でコーティングされたマトリックス材料の側面が折り畳まれたマトリックス材料の外側に置かれてハウジングとして作用するように、しばしば折り畳まれるかまたはその他の方法で操作され、試薬を含む側面は折り畳まれたマトリックス材料の内側にある。ステープルなし付着は、マトリックス材料の(1つまたは複数を含む)開放端または自由端を互いにまたは別のデバイスまたは材料に付着させるために利用され得る。このような実施形態は、物理的配置において同層状であってよく、またはペーパークラフト型の装飾または機能的な配置または形状を含む、任意の種々の3次元形状で提供され得る。このようにして形成したマトリックスは、何かのための容器を提供してもよく、または種々の一時的製品(診断アッセイを含む)のいずれかにおいて使用してもよい。このような実施形態では、マトリックス材料の片面への疎水性ナノ粒子コーティングは、しばしば膜バッキングを含むが、本明細書に記載された追加の実施形態にしばしば等しく適用可能である。このような配置では、マトリックス材料の片面だけが疎水性ナノ粒子コーティングを含み、したがって一時的な疎水性を有するが、マトリックス材料の反対側は、未処理のままであり(または低下した濃度の疎水性ナノ粒子コーティングを含む)、したがって一時的に疎水性ではない。折り畳まれたとき、または適切に配置されたとき、水は、マトリックス材料の親水性(または処理された非疎水性ナノ粒子)部分に接近できない。穿孔は、本明細書に記載されたように、疎水性コーティングを通ってマトリックス材料中に適切にもたらされて、疎水性コーティングを通過する水の侵入を容易にすることができる。
【0065】
いくつかの例示的なコーティング/積層溶液は、例えば、マトリックス材料に塗布するために以下に記載する。例えば、不織材料は、複数の層のHYDRASPUN(登録商標)(Suominen)、SOFTFLUSH(登録商標)(Jacob Holm & Sons AG)、NBOND(登録商標)(Hangzhou NBond Nonwoven Co.,Ltd. Corp.)、または別のマトリックス材料であってよい。一実施形態では、HYDRASPUN(登録商標)は、60GSMであり、およびコーティングで完全に飽和している。
【0066】
容量によるコーティング配合物:
【0067】
【表1-1】
【0068】
【表1-2】
【0069】
最も頻度の高い実施形態では、低濃度の疎水性ナノ粒子が溶液に含まれている。高濃度のそのような疎水性ナノ粒子は、意図した効果の逆になり、処理されたマトリックス材料の濡れの代わりに浮遊を引き起こす可能性がある。この点に関しては、処理溶液の50%以下の濃度でフラッシ可能な実施形態に含まれる場合、疎水性ナノ粒子テキスタイルコーティングまたはテキスタイルシールドは、フラッシ可能性の認証のためのシンクテストに快適に合格することが確認されている。多くの場合、疎水性ナノ粒子テキスタイルコーティングまたはテキスタイルシールドは、フラッシ可能な実施形態に含まれる場合、処理溶液の15%または約15%~50%または約50%の濃度で提供される。また多くの場合、濃度は30%または約30%~40%または約40%である。また多くの場合、濃度は15%または約15%~40%または約40%である。また多くの場合、濃度は15%または約15%~30%または約30%である。また多くの場合、濃度は15%または約15%~20%または約20%である。また多くの場合、濃度は20%または約20%~30%または約30%である。また多くの場合、濃度は31%または約31%~35%または約35%である。また多くの場合、濃度は40%または約40%~50%または約50%である。また、ある特定の実施形態では、濃度は、処理溶液の15%以下である。疎水性ナノ粒子の相対濃度および水分散性および/または生分解性マトリックス材料の性質は、しばしばマトリックス材料に(一時的な)疎水性を付与するための処理溶液の量および濃度を決定付ける。そのように、フラッシ可能な実施形態に含まれていた場合、疎水性ナノ粒子テキスタイルコーティングまたはテキスタイルシールドは、疎水性ナノ粒子が処理溶液中高希釈で提供される場合に処理溶液の50%を超える濃度で提供されてもよい。例えば、マトリックス材料と疎水性ナノ粒子の同時押出によって、および/または適切な水分散性ポリマーの選択およびマトリックスの生成、例えば、電界紡糸または他のポリマー系不織マトリックス生成手段によって、マトリックス材料にその他の方法で一時的な疎水性が与えられている場合、別々の処理溶液が必要とされないことがあることを指摘することも有用である。本発明者らは、疎水性ナノ粒子溶液の減少した濃度を利用することによって、疎水性は、積層が一時的にだけ疎水性になり、使用に耐えるのに十分な程度にまで低下し、水を吸収して沈む前に(例えば)20分まで浸水することを予想外に発見した。
【0070】
液体ガラスまたは高度液体ガラス技術は、疎水性ナノ粒子コーティングまたはナノ層コーティングとして、またはその中にも使用され得る。ある特定の実施形態では、液体ガラスは、硬化して、不活性で、無害で、環境にやさしく、非アレルギー性であり、そして毒性のないナノ層コーティングを形成する。追加の例示的なナノ層コーティングは、とりわけ、CCM GmbH、Diepenbrioch、ドイツから入手可能なコーティング625、629、680、683、685、687、689、691、692、695、697、7685、7689から形成されるかまたはそれを含有し得る。
【0071】
分散性は、溶液のデンプン濃度に大きく依存する。本発明者らは、予想外にも、処理溶液の約50%にデンプンを希釈することが、所望の剛性と水中に分散する能力との間のバランスをもたらすことを発見した。例えば、以下の表は、以下の溶液を用いた積層の分散性を示す:
・50%デンプン/45%疎水性ナノ粒子溶液/5%脱イオン水
・50%デンプン/40%疎水性ナノ粒子溶液/10%脱イオン水
・58.5%デンプン/31.5%疎水性ナノ粒子溶液/10%脱イオン水
・50%デンプン/31.5%疎水性ナノ粒子溶液/18.5%脱イオン水
・50%デンプン/31.5%疎水性ナノ粒子溶液/18.5%脱イオン水
・55%デンプン/31.5%疎水性ナノ粒子溶液/13.5%脱イオン水
・50部デンプン/23部疎水性ナノ粒子溶液/脱イオン水で希釈
【0072】
本発明者らによりまた、疎水性ナノ粒子溶液の濃度を低くすると、しばしば分散性が増大することが観察された。分散性は、使用したデンプンの量にも依存する。希釈しなかった場合、材料はスロッシュボックス分散性試験に合格するかもしれないししないかもしれない。しかし、デンプン濃度が減少するにつれて、分散性は増加する。
【0073】
本開示は、処理されたマトリックス材料の種々の使用について企図している。例えば、1つのタイプの使用は、フラッシ可能な妊娠検査またはハウジングなどの種々の診断用途に使用するためのデバイスを含む。特に、コーティング/積層プロセスおよび材料は、他のデバイスまたは製品に有用であり、その場合環境にやさしい硬質でありながら、水分散性またはフラッシ可能な材料が望ましい。本明細書の他の箇所に記載されているように、この剛性は、所定の時間または時間範囲にわたって、および/または特定の温度で、特定の流体(例えば、水)または水分に曝されない限り、それは硬質なままである(または同じ種類の未処理のマトリックス材料に対して硬質である)という点で一時的なものとして特徴付けることができる。このように曝した後、処理されたマトリックス材料の溶解または分散が起こる。妊娠検査の場合、それが中流またはディップスティック型試験であろうとなかろうと、それが尿と接触すると、尿がマトリックス材料の下層の繊維と接触するためにコーティングに浸透し始めた場合、溶解または分散プロセスが始まる。けれども、この最初の接触の後、デバイスはある期間硬質なままである。このプロセスは継続し、デバイスが、例えば処分のためにトイレに投げ込まれた場合、強化される。追加の非限定的な使用例およびデバイスが企図されており、いくつかの選択肢が列挙されているが、これは完全なリストであることを意図していない。多くの他の用途のうち、ペット廃棄物スクープ、成形包装、フラッシ可能な使用説明書、フラッシ可能なタンポンアプリケータが、本明細書で企図されている積層マトリックス材料のために企図されている。
【0074】
本発明のデバイスおよび方法に有用である、水に自然に溶けるコーティング材料は、例えば、水などの流体に一定期間曝された後には、可溶性であることが好ましい。ある特定の実施形態では、溶解度および溶解を促進する接触時間は、約10分までである。ある特定の実施形態では、溶解度および溶解を促進する接触時間は、約5~10分である。ある特定の実施形態では、溶解度および溶解を促進する接触時間は、約1~10分である。ある特定の実施形態では、溶解度および溶解を促進する接触時間は、約1~5分である。
【0075】
ある特定の実施形態では、添加剤(excipient)(例えば、水、酸、塩基、塩、アルコール、エステル、エーテル、ポリマー、脂質など)は、本明細書で企図されるデバイスの材料の溶解、水分散または生分解を強化または促進するために、接触、提供、または利用することができる(「溶解または分散添加剤」)。溶解または分散添加剤は、液体、固体、粉末、顆粒状、気体状、または他の形態であり得る。そのように、溶解または分散添加剤は、液体などの流体に懸濁または溶解させた溶解剤または分散剤であり得る。ある特定の実施形態では、溶解または分散添加剤は、マトリックスの繊維(複数の繊維を含む)中に埋め込まれ、マトリックス材料の成分として含まれ、マトリックス材料中に埋め込まれ、そうでなければマトリックス材料中に組み込まれる。また多くの場合、溶解または分散添加剤は、マトリックス材料と分けて提供され、廃棄時のマトリックス材料の接触の前またはそれと同時にマトリックス材料と接触する。ある特定の実施形態では、溶解または分散添加剤は、水分散性および/または生分解性マトリックス材料から構成されるデバイス中またはそれを用いて放出可能な方法で提供される。
【0076】
ある特定の実施形態では、マトリックス材料は、溶解または分散添加剤の添加後に、水分散性、フラッシ可能、生分解性、および/または堆肥化可能になる。このような実施形態では、少ない頻度で、マトリックス材料は、それが溶解または分散添加剤と接触する(そして反応を開始し、または反応する)まで、水分散性、フラッシ可能、生分解性、および/または堆肥化可能ではない。
【0077】
ある特定の実施形態では、貯蔵寿命の測定、予測および決定は、当技術分野で公知の技術、例えば、Woo et al., "Shelf-Life Prediction Methods and Applications," Med. Plastics & Biomat. Mag. (March 1996)に詳述されている技術を用いて行われる。ある特定の実施形態では、コーティング/積層溶液のpHは、処理されたマトリックス材料の貯蔵寿命を延ばすために調整されている。例えば、コーティング/積層溶液のpHはしばしば、酸性、例えば、pH約3~5になるように調整されている。貯蔵寿命を延ばす他の方法も頻繁に使用することができ、ただし例えば、溶解/分散時間を増加させ、またはそのような時間を著しく増加させることによって、それらは処理されたマトリックス材料の溶解/分散特性に干渉しない。マトリックス材料を診断アッセイなどのアッセイに利用しようとする場合、そのような貯蔵寿命を延ばす方法は、それらがアッセイに不活性であるか、そうでなければアッセイに干渉しないように選択される。
【0078】
コーティングおよび処理はまた、所望の用途に基づいて、溶解速度、粘度、層の厚さ、および気孔率など特定の性能特性のためにしばしば配合される。例えば、コーティングは、マトリックス材料との結合、接着、またはマトリックス材料内への統合に基づいてしばしば選択される。コーティングはまた、他の理由の中でも、目的の分析物、使用者のタイプ、所望の分析物識別感度に基づいて所定の溶解速度を提供するようにしばしば選択される。
【0079】
本開示の処理されたマトリックス材料は、種々の構成およびレイアウトで、かつ/または非限定的な様々な用途および目的のために提供される。現在記載されている材料および方法は、本明細書で一時的または一時的な製品と呼ばれるものの種々の作成をもたらす。これらは、例えば、プラスチック成形品、フレームまたはハウジングの構造的完全性を有する製品である。けれども、これらの一時的製品が水または別の自然または環境刺激(溶解または分散添加剤を含んでまたは含まずに)に一定期間曝され、下にあるマトリックス材料が濡れると、それらは軟化し、トイレでまたはコンポストとしての処分などの環境にやさしい方法で処分され得る。このような製品は、しばしば水分散性および/または生分解性である。このような製品では、マトリックス材料は、疎水性ナノ粒子を含む本明細書に記載されたコーティングなどの一時的な疎水性コーティングの使用と共に使用される。
【0080】
一時的製品のいくつかの例には、とりわけ、包装、創傷被覆材、診断器具(人間用、獣医用)、ペット用品消耗品、病院および/または環境施設用製品、トイレトレーニング用アクセサリー、一時的構造物が含まれる。包装のいくつかの例には、プラスチックカセットケース、段ボールの代替品、プラスチックの代替品などが含まれる。診断器具のいくつかの例には、ラテラルフロー、バーティカルフロー、およびディップスティック診断器具、子犬のおしっこパッド診断器具、猫用トイレ、キティリター(プリティーリター参照)などが含まれる。ペット用品消耗品のいくつかの例には、ゴミ収集用のスクープおよびゴミまたはトレーニングパッド;外出先での水入れ(折りたたみ式、使い捨て式など);ケージ、キャリアライナー;掃除用スクラブブラシ/石鹸を含有する手袋などが含まれる。病院および/または環境施設製品のいくつかの例には、洗濯用バッグ、尿石除去剤、ベッドパン、ベッドパッド、病院用マスク、使い捨て衛生フィルター、HVACフィルター、HEPAフィルター、ならびに感染防止用ラップ、保護具および/または機器用カバーなどが含まれる。トイレトレーニング用アクセサリーのいくつかの例には、トイレトレーニング用トイレインサートが含まれる。一時的な構造のいくつかの例にはポータポッティ、ベビープール、屋外席などが含まれる。
【0081】
いくつかの利点は、現在記載されている材料、方法、およびデバイスによって提供されている。特に、デバイス(すなわち、アッセイ/試験片/試験装置)は、水に分散または溶解可能である。最も頻繁には、デバイスは、生分解性である。所望のアッセイのいずれかに基づいたデバイスの製造および機能的な利用に必要とされる部品はより少なく、また材料はより少なく、これにより部品の統合化が可能になり、製造の複雑さが緩和される。
【0082】
上記の例は例示目的のためだけに含まれており、そして本開示の範囲を限定するものではない。上記のそれらの方法、システム、およびデバイスに対する多くの変形が可能である。上記の例に対する修正および変形は当業者には明らかであるので、本発明は添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定されることを意図している。
【0083】
当業者は、上述の実施形態に基づき本開示の方法、システムおよびデバイスのさらなる特徴および利点を理解するであろう。したがって本開示の方法、システムおよびデバイスは、添付の特許請求の範囲によって示されるものを除き、特に示されかつ記載されるものによって制限されるべきではない。
本明細書に引用された全ての刊行物および参考文献は、その全体が、および/またはそれらが本明細書に引用されている特定の理由のために、参照により本明細書に明確に組み込まれる。

本発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
結合剤および疎水性ナノ粒子コーティングを含む、水分散性および/または生分解性マトリックス材料。
[2]
前記マトリックス材料が、複数の繊維から構成され、前記複数の繊維の少なくとも1つが、前記結合剤および前記疎水性ナノ粒子コーティングでコーティングされている、上記[1]に記載のマトリックス材料。
[3]
前記マトリックス材料が、水分散性および/または生分解性マトリックス材料を含む、上記[1]に記載のマトリックス材料。
[4]
前記マトリックス材料が、複数層を含み、前記複数層の各層が、ステープルなし付着を使用して前記複数層の別の層に付着されている、上記[1]に記載のマトリックス材料。
[5]
前記結合剤が、デンプンを含む、上記[1]に記載のマトリックス材料。
[6]
前記疎水性ナノ粒子コーティングが、非フッ素化二酸化ケイ素を含む、上記[1]に記載のマトリックス材料。
[7]
前記結合剤が、デンプンを含み、前記疎水性ナノ粒子コーティングが、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、シリカナノコーティング、酸化マンガンポリスチレン、または酸化亜鉛ポリスチレンを含む、上記[4]に記載のマトリックス材料。
[8]
前記マトリックス材料が、液体が前記疎水性ナノ粒子コーティングを通過して前記マトリックス材料まで達することを可能にするように適合された穿孔を含む、上記[1]に記載のマトリックス材料。
[9]
前記マトリックス材料が、一時的な膜バッキングを含む、上記[1]に記載のマトリックス材料。
[10]
結合剤、疎水性ナノ粒子、および脱イオン水を含む、マトリックスコーティング溶液。
[11]
前記マトリックスが、水分散性および/または生分解性マトリックス材料を含む、上記[10]に記載のマトリックスコーティング溶液。
[12]
前記結合剤が、デンプンを含む、上記[10]に記載のマトリックスコーティング溶液。
[13]
前記疎水性ナノ粒子が、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、シリカナノコーティング、酸化マンガンポリスチレン、または酸化亜鉛ポリスチレンを含む、上記[10]に記載のマトリックスコーティング溶液。
[14]
前記結合剤が、デンプンを含み、前記疎水性ナノ粒子が、非フッ素化二酸化ケイ素を含む、上記[11]に記載のマトリックスコーティング溶液。
[15]
露出面を含み、前記露出面の接触角が90°より大きい、水分散性および/または生分解性マトリックス材料。
[16]
前記マトリックス材料が、複数層を含み、前記複数層の各層が、水に溶解する結合剤を用いて前記複数層の別の層に接着されている、上記[15]に記載のマトリックス材料。
[17]
前記接触角が、150°または約150°である、上記[15]に記載のマトリックス材料。
[18]
前記接触角が、90°~180°の間である、上記[15]に記載のマトリックス材料。
[19]
前記接触角が、90°~150°の間である、上記[15]に記載のマトリックス材料。
[20]
前記結合剤が、デンプンを含む、上記[16]に記載のマトリックス材料。
[21]
前記マトリックス材料が、1分超水に曝すと水中に分散する、上記[15]に記載のマトリックス材料。
[22]
フラッシ可能消費者製品を含む、上記[15]に記載のマトリックス材料。
[23]
前記消費者製品が、診断試薬、包装、使用説明書、廃棄物処理装置、製品型、容器、ハウジング、またはタブレットを含む、上記[22]に記載のマトリックス材料。
[24]
前記マトリックスが、水分散性および/または生分解性マトリックス材料を含む、上記[15]に記載のマトリックス材料。
[25]
前記マトリックス材料が、液体が前記疎水性ナノ粒子コーティングを通過して前記マトリックス材料まで達することを可能にするように適合された穿孔を含む、上記[15]に記載のマトリックス材料。
[26]
前記マトリックス材料が、一時的な膜バッキングを含む、上記[15]に記載のマトリックス材料。
[27]
硬質の水分散性および/または生分解性マトリックス材料を形成する方法であって、
前記水分散性および/または生分解性マトリックス材料と上記[8]の溶液を接触させて処理されたマトリックス材料を作成すること、ならびに前記処理されたマトリックス材料を乾燥させて硬質の水分散性および/または生分解性マトリックス材料を形成すること
を含む、方法。
[28]
前記接触が、前記マトリックス材料の浸水または噴霧、グラビアロール/シリンダー、または前記マトリックス材料のスロットコーティングを含む、上記[27]に記載の方法。
[29]
前記硬質の水分散性および/または生分解性マトリックス材料が露出面を含み、前記露出面の接触角が90°より大きい、上記[27]に記載の方法。
[30]
マトリックス材料の複数層を含有する硬質の水分散性および/または生分解性マトリックス材料を形成する方法であって、
前記複数層のそれぞれを互いに接触させること、ならびに前記複数層の1つまたは複数の層と上記[10]に記載の前記マトリックスコーティング溶液を接触させて処理された多層マトリックス材料を作成すること、ならびに前記処理された多層マトリックス材料を乾燥させて硬質の水分散性および/または生分解性マトリックス材料を形成すること
を含む、方法。
[31]
前記複数層の前記1つまたは複数の層を、前記溶液と接触させてから前記複数層のそれぞれを互いに接触させる、上記[30]に記載の方法。
[32]
前記複数層の前記1つまたは複数の層を、前記複数層のそれぞれを互いに接触させた後に前記溶液と接触させる、上記[30]に記載の方法。
[33]
前記硬質の水分散性マトリックス材料が露出面を含み、前記露出面の接触角が90°より大きい、上記[30]に記載の方法。
[34]
前記マトリックス材料が、不織マトリックス材料を含む、上記[1]から[9]および[15]から[26]のいずれかに記載のマトリックス材料。
[35]
前記マトリックス材料が、不織マトリックス材料を含む、上記[27]から[33]のいずれかに記載の方法。
図1
図2