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  • 特許-超音波溶接装置および溶接工程 図1
  • 特許-超音波溶接装置および溶接工程 図2
  • 特許-超音波溶接装置および溶接工程 図3
  • 特許-超音波溶接装置および溶接工程 図4
  • 特許-超音波溶接装置および溶接工程 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】超音波溶接装置および溶接工程
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20220624BHJP
   B23K 20/10 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
B29C65/08
B23K20/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019523184
(86)(22)【出願日】2017-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 ES2017070491
(87)【国際公開番号】W WO2018011446
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】201630962
(32)【優先日】2016-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】519015302
【氏名又は名称】ヴィラ ノリア,カルラス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラ ノリア,カルラス
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-121928(JP,A)
【文献】登録実用新案第3140503(JP,U)
【文献】特公昭48-044671(JP,B1)
【文献】特公昭48-017582(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00-65/82
B23K 20/00-20/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後部がブースター(12)に取り付けられているソノトロード(1)を備える超音波溶接装置であって、前記ブースター(12)は、さらに、コンバーター(13)に取り付けられ、前記コンバーター(13)は、ヘッド(2)にも取り付けられ、前記コンバーター(13)は、前記超音波溶接装置の移動を担う、アクチュエーター、ハンドラー、またはロボットアームの接続に適する、前記超音波溶接装置であって、
前記超音波溶接装置は、
前記ソノトロード(1)の周りに配置され、前記ソノトロード(1)と共に、環状室(4)を画する外部スリーブ(3)を備え、前記環状室(4)は、圧搾空気を前記ソノトロード(1)の周りに循環させるためのものであり、前記圧搾空気は、前記ヘッド(2)の圧搾空気注入口(21)に繋がる加圧室(23)から前記環状室(4)内に流入し、
前記外部スリーブ(3)は、前記ソノトロード(1)の先端(11)周辺での圧搾空気の出口および前記ソノトロード(1)周辺の冷却のための、刻み目を前端(31)に有し、
前記外部スリーブ(3)は、前記ヘッド(2)内に配置され、かつ次の前位置および後位置の間で軸方向運動をするように構成される後部(32)を有し、
前記前位置では、溶接する部品(P1、P2)に前記ソノトロード(1)が接近中、かつ前記溶接する部品に前記ソノトロード(1)の前記先端(11)が接触する前において、前記外部スリーブ(3)の前記前端(31)は、前記ソノトロード(1)の前記先端(11)に対して前方に突出し、前記外部スリーブ(3)の前記前端(31)は、溶接部近傍の周辺領域において、前記溶接する部品(P1、P2)に対して、圧縮手段(51)の作用によって、圧力を印可するプッシャーを構成し、
前記後位置は、溶接中において、前記ソノトロード(1)の前記先端(11)が、前記溶接する部品(P1、P2)に接触する位置によって規定され、前記後位置において、前記外部スリーブ(3)の前記前端(31)は、前記ソノトロード(1)の前記前端(11)と同一平面上あるいは近接する平面上に配置され、前記部品(P1、P2)が共に加圧された状態を保つ、超音波溶接装置。
【請求項2】
前記外部スリーブ(3)の前記後部(32)は、前記ヘッド(2)の加圧室(23)に収容され、かつ前記ヘッド(2)の前記圧搾空気注入口(21)がある穿孔筒形ブッシュ(6)を通して移動され、かつ前記外部スリーブ(3)の前記後部(32)は、刻み目のある後部(33)と、前記ヘッド(2)の前記加圧室(23)から、前記外部スリーブ(3)および前記ソノトロード(1)間の前記環状室(4)に向かう圧搾空気を通すための複数の放射状のボア(34)と、を有する、請求項1に記載の超音波溶接装置。
【請求項3】
前記穿孔筒形ブッシュ(6)は、前記ヘッド(2)の前記加圧室(23)内のペリフェラルシート(24)内に収容され、かつ、固定器具(7)によって前記ペリフェラルシート(24)に取り付けられている、請求項2に記載の超音波溶接装置。
【請求項4】
前記固定器具(7)は、スライド支援体(5)に対して作用し、前記スライド支援体(5)と前記ヘッド(2)の間からの圧搾空気の漏れを防止するシーリングガスケット(71)を有する、請求項3に記載の超音波溶接装置。
【請求項5】
前記外部スリーブ(3)中央の外部に取り付けられ、前記外部スリーブ(3)と共に、前記前位置と前記後位置との間で動くスライド支援体(5)と、前記ヘッド(2)上で作用し、前記前位置に前記スライド支援体(5)を保持するための圧縮手段(51)と、前記前位置にある前記スライド支援体(5)の前進を制限する機械止め部(22)とを有する、請求項1に記載の超音波溶接装置。
【請求項6】
請求項1に記載の超音波溶接装置を用いる溶接工程。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明品〕
ここで紹介する発明品は、プラスチック部品溶接用の超音波溶接装置です。本装置は、溶接作業を実施するために溶接部分本装置をかすハンドラー、アクチュエーターまたはロボットアームへの取り付けに適したソノトロード、ブースターおよびコンバーターで構成されており、これには固定ヘッドおよび冷却ヘッドが取り付けられています。
【0002】
この発明品の特徴として、部品間の不要な隙間を無くすため、溶接部分に近接する辺縁部で溶接する部品に正面から圧力を加えるための適切な手段を装置に装備たこと、さらに溶接部形成後、ソノトロードおよび溶接部を効率よく冷却することが挙げられます。
〔本発明品の用途分野〕
本発明品は、超音波によるプラスチックの溶接に適しています。
〔最新式〕
自動車産業などのいくつかの分野では、プラスチックを溶接するために、超音波が一般的に使用されています。接合部にはボアが一式あり、スタッドがボアを通る2つ目の部品に使用されます。両部品を重ね合わせてから、溶接します。溶接作業中は、中が空洞のプラスチックスタッドに対してソノトロードが軸方向に動き、これによりプラスチックが溶けて、圧縮され、スタッドヘッドが形成されたり、どちらかの部品が外れないように、1つ目の部品に固定されます。
【0003】
繰り返し設定をすることを条件とし、部分溶接されたソノトロードがいくつか取り付けられたカセット機器を使うと、複数の溶接を同時進行できます。
【0004】
溶接する部品の交換にはモデル変更および各モデル用装置の設定変更が必要となります。
【0005】
さらに柔軟な超音波溶接装置には、ロボットアームが装備されており、調節変更をするだけでモデルを変更できます。
【0006】
これら溶接装置の使用中は、以下2つの問題が一般的に発生します。
【0007】
1つ目は、ソノトロードと溶接部の効率的な冷却に関する問題。
【0008】
2つ目は、両部品間の不必要な隙間を無くすための、接合する部品の正しい位置決めに関する問題。
【0009】
1つ目のソノトロード冷却問題に関しては、いくつかの前例が挙げられます。
【0010】
特許US3438428には、振動工具を制御された温度に保つための方法が記載されています。これを実施するため、ソノトロードを手段として振動工具をプラスチック溶接に採用しています。前述した温度制御を実施するため、ソノトロードには、外部冷却水循環回路の注入口と排水口が接続されたコンジットが取り付けられています。
【0011】
特許US6691909は、超音波溶接中のソノトロード接着を低減する、超音波溶接における部品を扱う装置や方法が記載されています。US3438428でも似たような提案があるように、US6691909にも、ソノトロードの内部冷却システムに関する提案が記載されています。
【0012】
EP1000732には、樹脂固定用の成分の超音波溶接向けの装置および、溶接部冷却を目的とした空気注入のため、ソノトロードの一部と交わる通気道の形成に関する提案が説明されています。
【0013】
これら前例にはいくつか不利な点があります。それは、ソノトロード内部回路を通して空気を注入することで、溶かした素材内に気泡の発生や繊維の混入が見られ、その結果、溶接部に欠陥が生じる場合があることです。さらに、溶かした素材に使用されるソノトロードの前進により、溶けたプラスチック内部のボアが塞がり、ソノトロード内および先端部の出口での空気循環を悪くし、ソノトロードの温度が過度に上昇することから、空気注入は効果的ではありません。
【0014】
2つ目の問題である溶接する部品の位置決めに関しては、溶接装置とは別の外部ハンドラーを使用することで、溶接部から少し離れた距離で部品を固定できると知られていますが、
これは、特に溶接される部品間に例えばライニングなどの材料がある場合、溶接部で2つの部品が十分に固定されていなかった場合、部品が不安定となり、不必要な隙間や溝ができる原因となります。またこのような溶接は、メーカー側で受け付けられない場合もあります。
【0015】
申込者は、既知の問題を満足のいくようそして同時に解決できる超音波溶接装置やソノトロードの冷却、そして溶接部の部品間の隙間や溝を防ぐ正確な部品の位置決めに前例があることを知りません。
〔発明品の説明〕
発明品つまり、超音波溶接装置は、ハンドラーあるいはロボットアームへの取り付けに適したソノトロード、超音波コンバーターおよびブースターで構成されており、これには固定ヘッドおよび冷却ヘッドも取り付けられています。本装置の特徴として、特に、溶接部分に近接する辺縁部で溶接する部品への正面からの加圧、部品間の不要な隙間の除去、装置の外面によるソノトロードの効率的な冷却、溶接作業中に溶接部に注入する圧搾空気の回路確保などの、既知の問題を解決できることが挙げられます。
【0016】
この目的において、本発明によると、この装置はソノトロードの周りに配置され、ソノトロードと共に、環状室部を画する外部スリーブを有し、環状室部は、圧搾空気を循環させるためのものであり、ヘッドの内室を介して、圧搾空気の注入口に繋がり、外部スリーブは、圧搾空気の出口およびソノトロード周辺の冷却のための、前側管状刻み目開口を有する。
【0017】
前述の外部スリーブには、以下の間の軸方向運動が見込まれるユニットヘッドに取り付けられた後端部分があります。溶接する部品にソノトロードが接近中および溶接する部品にソノトロードの先端が接触する前に、溶接部付近において、溶接する部品に対し圧縮バネを用いて設定可能な圧力で加圧できるホールダーで構成される、ソノトロードの先端に対してスリーブの前端が前方に突出する前位置、および、スリーブの前端が溶接する部品を加圧しつつ溶接処理中のソノトロードの前進運動で決まった後位であって、スリーブの前端がソノトロード先端と同一平面上あるいは近接する平面上に位置しているこの後位置
【0018】
これらの特徴によって、溶接開始前および溶接処理中に溶接領域周辺で、スリーブが溶接する部品に調整可能な加圧ができ、部品の正しい位置が確保され、部品間の不要な隙間や溝をなくすことができます。
【0019】
前述した、ソノトロードで使用される中央のボアを通る出口の前例に反し、この発明品は、圧搾空気の出口が溶けたプラスチックによって塞がれるのを防止できるようスリーブの前方の穴が刻み目仕様になっていることから、溶接作業中であっても、ソノトロードの外部冷却に使用する圧搾空気が、環状室から循環し、スリーブの先端の穴から排出するようにできています。
【0020】
このような溶接作業の実施において圧搾された冷気は、さらに利点があります。それは、溶接後にソノトロードを取り外す際、圧搾空気が、溶接部で溶けたプラスチックを冷却し、溶けた素材を凝固させ、溶けた素材を引っ張ることなくソノトロードを取り外すことができることです。これにより、溶接を変形させたり弱まらせたりしてしまうことがなく、そのため溶けた素材が固まるまでの待機時間、または冷却時間など特定の時間を要せずに、ソノトロードを取り外すことが可能です。この効果により、ユニットごとのより高い処理能力が達成できる、つまり溶接を短い時間間隔で実施することができます。
【0021】
さらに、部品の加圧はソノトロード後進時においても有効で、圧搾空気で溶接部を冷却しつつ分離も防止します。
【0022】
装置の内部空洞を通る圧搾空気の循環のさらなる利点として、圧搾空気自体が、装置の空気旋回に従ってスリーブの半径方向に向かって自主的に循環し、これにより、極端な半径方向力があった場合のみに作用し、機械的摩擦による摩耗を最小限に抑えることができます。
〔図の説明〕
上記の説明の補足および、発明品の特徴の理解を促すため、本仕様書に図面を添付しています。これには以下の実例および制限のない性質が記載されています。
【0023】
図1は、本発明による超音波溶接装置の実施例の断面図で、前側からの未作動状態のスリーブの図となります。
【0024】
図2は、図1と似たような視点からのプッシングおよび冷却ヘッドの図で、超音波溶接要素が無い状態です。
【0025】
図3は、作業位置で、スリーブが後位置にある図1の超音波溶接装置の断面図です。
【0026】
図4および5は、2つのプラスチック素材の溶接処理の異なるフェーズにおける発明品の前方詳細図です。
〔発明品の理想的実装〕
図1と3で記載されている超音波溶接装置は、作業実施の実例で、ソノトロード(1)の後部がブースター(12)に取り付けられています。ブースター(12)は移動を担当するアクチュエーター、ハンドラーあるいはロボットアームへの接続に適したヘッド(2)が取り付けられたコンバーター(13)に取り付けられています。
【0027】
この装置はソノトロード(1)の周りにあり、ソノトロードと連動して空洞(23)からヘッド(2)で使用する入口(21)を通る圧搾空気の循環用環状室(4)を区切る外部スリーブ(3)を備えております。ソノトロード(1)の周辺先端(11)にある圧搾空気排気用およびソノトロード(1)の周辺冷却用の刻み目が外部スリーブ(3)の前端(31)にあます。
【0028】
外部スリーブ(3)には、図1で記載されている前位置および図3で記載されている後位置の間を動く軸方向運動が見込まれるヘッド(2)に取り付けられた、後方部分(32)があります。
【0029】
位置にあるスリーブ(3)の前方先端(31)は、ソノトロード(1)の先端方向に向かって前方に突出している一方、後位置にあるスリーブの前方(31)はソノトロード(1)の先端と同一平面上あるいは近接する平面上(11)に位置しています。
【0030】
装置には、スリーブ(3)中央の外部に取り付けられている支援体(5)があり、これはスリーブ(3)に応じてヘッド(2)の方向に前位置および位置間を動きます。
【0031】
この装置には、図1で記載されているように、支援体(5)に対して機能するらせん状のバネに見える圧縮バネ(51)およびヘッド(2)に固定され、前位置にある支援体(5)の前進を制限する機械的止め部(22)あります。
【0032】
外部スリーブ(3)の後方(32)には、ヘッド(2)の加圧室(23)があり、ここで、前述のヘッド(2)の側面にある圧搾空気注入口(21)がある穿孔筒形ブッシュ(6)を通して循環します。スリーブ(32)の後方には、刻み目のある後部(33)と、外部スリーブ(3)の前進に関わらず、外部スリーブ(3)およびソノトロード(1)間にある環状室(4)に向かうヘッド(2)の加圧室(23)からの圧搾空気を循環する放射状のボア(34)がいくつかあります。
【0033】
穿孔筒形ブッシュ(6)には、ヘッド(2)の加圧室(23)で使用されるペリフェラルシート (24)があり、支援体(5)とヘッド(2)の間からの圧搾空気漏れを防止する可動式支援体(5)に対して作動するガスケット(71)があるヘッド(2)に固定された、固定器具(7)によってこのペリフェラルシート(24)に固定されています。
【0034】
図4および5は、軸方向で運用中の装置の2つの位置および便利に重ね合わさった2つのプラスチック部品(P1、P2)を表しており、それぞれにスタッド(T)およびスタッド(T)が通るためのボア(O)が表記されています。
【0035】
図4で示されているように、ソノトロード(1)が溶接する部品(P1、P2)に接近中でソノトロード(1)の先端(11)が溶接する部品に接触する前は、スリーブ(3)が前方に突出し、先端部(31)が、圧縮バネ(51)を用いて加圧するプッシャーを作ります。溶接する部品(P1、P2)に対する圧力は設定可能です。溶接周辺部の適した位置で部品を固定し、部品間の隙間や溝を防止します。
【0036】
図5で示されているように、溶接時に軸方向に装置が前進している場合、ソノトロードの先端(11)は、スタッド(T)に接触します。またスリーブの先端(31)で溶接する部品(P1、P2)が固定され一緒にプレスされ、後位置に到達し、ソノトロード(1)の前進運動によって精密に測定されます。
【0037】
溶接中に、スリーブ(3)がソノトロード(1)に沿って後進すると、通常は前方に位置する圧縮バネ(51)の圧縮が引き起こされます。
【0038】
発明品の本質および発明品の理想的実装に関して十分に説明がされたら、記載された分野の素材、形、サイズおよび配置などが変更される場合があるという宣言を行うことを条件に、本書は以下で特許請求する発明の本質的な特性の変更を暗示しません。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、本発明による超音波溶接装置の実施例の断面図で、前側からの未作動状態のスリーブの図となります。
図2図2は、図1と似たような視点からのプッシングおよび冷却ヘッドの図で、超音波溶接要素が無い状態です。
図3図3は、作業位置で、スリーブが後位置にある図1の超音波溶接装置の断面図です。
図4図4は、2つのプラスチック素材の溶接処理の異なるフェーズにおける発明品の前方詳細図です。
図5図5は、2つのプラスチック素材の溶接処理の異なるフェーズにおける発明品の前方詳細図です。
図1
図2
図3
図4
図5