IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウィール.ミー アクティーゼルスカブの特許一覧

<>
  • 特許-家具又は機構用の安定化装置 図1
  • 特許-家具又は機構用の安定化装置 図2
  • 特許-家具又は機構用の安定化装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】家具又は機構用の安定化装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 91/16 20060101AFI20220624BHJP
【FI】
A47B91/16
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019526475
(86)(22)【出願日】2017-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2017079441
(87)【国際公開番号】W WO2018091584
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】16199301.9
(32)【優先日】2016-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516231257
【氏名又は名称】ウィール.ミー アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】ティメネス,アットレ
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0299689(US,A1)
【文献】国際公開第2015/118493(WO,A1)
【文献】中国実用新案第205267384(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0007756(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 91/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持面(14)上で家具又は機構(10)を安定化させるための前記家具又は前記機構(10)用の安定化装置(16)であって、前記安定化装置(16)は、前記家具または前記機構(10)に搭載されるか前記家具又は前記機構(10)内にあり、前記安定化装置(16)は、
端部、前記家具又は前記機構(10)を支持する前記支持面(14)に対向して配置されたピストン開口部(19)を有するハウジング(18)と、
前記ハウジング(18)内に移動可能に取り付けられると共に、少なくとも部分的に前記ピストン開口部(19)の外側に移動可能に取り付けられ、前記支持面(14)と接触可能なピストン要素(22)とを含み、当該ピストン要素(22)は、当該ピストン要素(22)の移動を作動させるためのモータ(31)に接続されており、且つ前記支持面(14)に面する前記端部に転動要素(23)を備え、
前記ピストン要素(22)の作動を制御するために前記モータ(31)に接続され、当該モータ(31)に信号を送信する制御ユニット(28)と、
線信号を受信する受信機を有し、前記無線信号は、人の声、リモコンからの無線信号、携帯電話からの無線信号を含み、前記受信機は、前記制御ユニット(28)に受信信号を送信するために前記制御ユニット(28)に接続されており、
前記モータ(31)への負荷を測定することができる少なくとも1つの第1のセンサ装置(27)と、を備え、前記少なくとも1つの第1のセンサ装置(27)は、前記制御ユニット(28)に信号を送信するために前記制御ユニット(28)に接続され、前記少なくとも1つの第1のセンサ装置(27)からの測定された負荷に基づいて、前記転動要素(23)が前記支持面(14)に接触したと示されたときに、前記ピストン要素(22)の前記移動が停止され、更に、
前記家具または前記機構(10)の第1の面(13)と、
前記ハウジング(18)内において、前記家具又は前記機構(10)の第1の面(13)の位置又は前記ピストン要素(22)の位置を記録することができる少なくとも1つの第2のセンサ装置(26)を有し、前記少なくとも1つの第2のセンサ装置(26)は、前記制御ユニット(28)に信号を送信するために前記制御ユニット(28)に接続される、安定化装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1のセンサ装置(27)は、前記モータ(31)にかかる負荷を測定する負荷測定装置であることを特徴とする、請求項1に記載の安定化装置。
【請求項3】
前記安定化装置(16)は、前記ハウジング(18)に対して所望の位置で前記ピストン要素(22)を係止する係止装置を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の安定化装置。
【請求項4】
前記モータ(31)は、電気モータであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の安定化装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1のセンサ装置(27)は、前記モータ(31)が消費している電流を測定するように構成されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の安定化装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の安定化装置(16)を備える家具又は機構(10)であって、前記家具又は前記機構(10)は、複数の安定化装置(16)を備え、前記複数の安定化装置(16)の前記制御ユニット(28)は、互いに信号を送信できるように相互接続されていることを特徴とする、家又は機構
【請求項7】
前記少なくとも1つの第2のセンサ装置(26)は、加速度計及び/又はジャイロ及び/又は磁力計を備えることを特徴とする、請求項に記載の家具又は機構
【請求項8】
求項6又は7に記載の家具又は機構(10)を安定化させる方法であって、
前記家具又は前記機構(10)を前記支持面(14)に配置するステップと
記家具又は前記機構(10)が不安定な場合、無線開始信号を前記受信に送信し、それによって前記制御ユニット(28)は、前記ピストン要素(22)が前記支持面(14)と接触するまで、前記安定化装置(16)の前記ハウジング(18)から前記ピストン要素(22)を移動させる前記モータ(31)を作動させるステップと、
前記少なくとも1つの第1のセンサ装置(27)が所定の負荷を超える前記モータ(31)の負荷を記録したときに、前記ピストン要素(22)の前記移動を停止させるステップと、を備える、家具又は機構を安定化させる方法。
【請求項9】
記ピストン要素(22)、前記家具又は前記機構(10)が安定したときに、前記ハウジング(18)に対するその位置で係止することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
請求項6又は7に記載の家具又は機構(10)を水平化させる方法であって、
前記家具又は前記機構(10)前記支持面(14)に配置するステップと、
前記受信に無線開始信号を送信して前記家具又は前記機構(10)を水平にし、それによって、前記制御ユニット(28)は、前記少なくとも1つの第2のセンサ装置(26)によって前記制御ユニット(28)に送信される信号に基づいて、前記家具又は前記機構(10)前記第1の面(13)が基準面と平行であるか否かをテストするステップと、を含み、
前記制御ユニット(28)が前記第1の面(13)が前記基準面と平行でないと判定した場合、前記家具又は前記機構(10)前記第1の面(13)が前記基準面と平行になるまで、前記安定化装置(16)の前記ピストン要素(22)を前記ハウジング(18)から出し入れ移動するステップと、を備える、家具又は機構を水平化させる方法。
【請求項11】
前記ハウジング(18)の内外に移動される前記ピストン要素(22)を、前記家具又は前記機構(10)の第1の面(13)が基準面と平行であるときに、前記ハウジング(18)に対するその位置で係止することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の安定化装置(16)の前記複数の制御ユニット(28)は相互に接続され、互いに無線信号を送信する、請求項6又は7に記載の家具又は機構
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具又は機構用の安定化装置、安定化装置を備える家具又は機構、及び家具又は機構を安定化(stabilizing)させる、及び水平化(levelling)させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家具、又はベッド、テーブル、洗濯機、医療機器、さまざまな種類の機械などのような装置が、床などの支持面に置かれている場合、ほとんどの場合、家具又は機構が安定していること、即ち家具又は機構が前後に揺れないことが望ましい。また、通常は水平面に対して家具又は機構を水平にできることが望ましいことが多い。1つの家具を安定させるか、又は水平にするための既知の方法は、多数の伸縮自在脚を家具に備えることである。具体的には、伸縮自在脚は、例えば、押し込むことができる弾性スタッドを備え、多数の所定位置で係止(ロック)することができる。この場合、弾性スタッドが押し込まれている間、伸縮自在脚は、スタッドが伸縮自在脚を収容する円筒形スリーブ要素中の相補的な穴に嵌合されて所望の位置で伸縮及び解放される。この解決法の問題点は、この過程で家具を持ち上げなければならないことであり、家具が重い場合には困難になる可能性があり、且つ、スタッドを配置するための正確な位置を見つけるのも困難であり、最適な位置が隣接する2つの穴の間にある時は、家具を完全に安定させる、或いは水平にさせるのが不可能になる。家具を安定化、又は水平化させるために一般的に使用される他の解決策は、ねじ込み及び外すことが可能なねじ要素を設けることである。この場合、支持部材が、支持面上にあるねじ要素の端部に取り付けられる。これも時間のかかる作業であり、家具が重いと操作するのが困難になる場合がある。
【0003】
先行技術文献は、米国特許出願公開第2009/299689号明細書、欧州特許出願公開第2522619号明細書、米国特許第5143386号明細書及び国際公開第2015/118493号を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、人が操作しやすい方法で家具又は機構を安定させる及び/又は水平にするために使用することができ、正確かつ迅速に家具又は機構を安定させる及び/又は水平にすることができる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的は、請求項1に規定されているような安定化装置、請求項8に規定されているような家具又は機構、請求項12に規定されているような家具又は機構を安定化させる方法及び請求項14に規定されているような家具又は機構を水平化させるための方法によって達成される。本発明のさらなる実施形態は、請求項2~7、9~11、13及び15に規定されている。
【0006】
支持面上の家具又は機構を安定化させる家具又は機構用の安定化装置を提供するものであって、安定化装置は、
一端にピストン開口部を有するハウジングと、
ハウジング内に移動可能に取り付けられると共に、少なくとも部分的にピストン開口部の外側に移動可能であって支持面に係合可能に取り付けられ、且つ、作動させるためのモータに接続されたピストン要素と、
ピストン要素の作動を制御するためにモータに信号的に接続された制御ユニットと、
モータへの負荷を測定することができる少なくとも1つの第1のセンサ装置と、を備え、少なくとも1つのセンサ装置は、ピストン要素の移動が少なくとも1つの第1のセンサからの入力に基づいて制御されるように制御装置に信号的に接続される。
【0007】
上述の安定化装置が家具又は機構に含まれる場合、安定化装置は、安定化ユニットの制御ユニットと無線で通信する送信装置、或いは典型的には標準的なリモコン、又は無線通信するアプリがインストールされている携帯電話の単一のボタンを押すことによって起動することができる。制御ユニットは、無線信号を受信してそれらを制御ユニットに伝達することができる受信装置を有するのが好ましい。更に、受信装置と制御装置とが別々に装置として設けられていてもよく、受信装置と制御装置とが互いに無線で、又は信号ケーブルを介して信号的に接続されていてもよい。更に、家具又は機構の安定化装置は、無線で又は信号ケーブルを介して信号的に接続されてもよい。
【0008】
少なくとも1つの第1のセンサ装置は、好ましくは、モータの負荷を測定する負荷測定装置、又はモータの負荷が変化していることを記録するために使用される任意の他の種類のセンサであってもよい。
【0009】
ピストンは安定化装置のハウジング内のシリンダ空間内で移動することが可能である。ピストンは、ピストンの端部に、支持面に面し、ハウジングのピストン開口部から外へ移動することができる転動要素を更に備えることができる。或いは、ピストン要素は転動要素を含まず、ピストン要素自体が支持面と接触されてもよい。この場合、ハウジングのピストン開口部から外へ移動させることができる支持要素はピストンの端部でピストンに取り付けられてもよい。この支持要素は、例えば、支持面への損傷を回避するために、ゴム材料又は他の任意の十分に柔らかい材料で作られてもよい。
【0010】
安定化装置は、ピストン要素をハウジングに対して所望の位置で係止する係止装置を更に備えてもよい。
【0011】
更に、安定化装置は無線信号を受信することができる受信装置を備えることができる。受信装置は、制御ユニットに信号的に接続されているのが好ましい。
【0012】
モータは、電気モータであるのが好ましく、少なくとも1つのセンサ装置は、モータが消費している電流を測定するようになっているのが好ましい。
【0013】
或いは、モータは、ガスモータ又は油圧モータであってもよく、少なくとも1つの第1のセンサ装置は、モータを駆動するガス又は油圧流体の圧力を測定する圧力測定装置であってもよい。
【0014】
安定化装置は、典型的には水平面又は垂直面である基準面に対する家具又は機構の第1の面の位置を感知することができる少なくとも1つの第2のセンサ装置を更に備えることができる。
【0015】
更に、上述のような少なくとも1つの安定化装置を備える家具又は機構も提供される場合、少なくとも1つの安定化装置は、家具又は機構の内部又は内部に取り付けられ、且つ、少なくとも1つの安定化装置のピストン要素は、家具又は機構が支持される支持面に面している。家具又は機構は、典型的にはテーブル、ベッド、キャビネット、机又は他の任意の形態の家具、又は洗濯機、冷蔵庫等のような家電品、又は作業場、病院、大学又は他の種類の研究及び/又は教育施設等のための機械又は機器、又は、典型的に横と縦を安定させる及び/又は水平にさせる必要がある他の任意の装置であってもよい。
【0016】
家具又は機構は、複数の安定化装置を備えることができ、複数の安定化装置の制御ユニットは、無線信号で信号的に接続されていることが好ましい。したがって、制御ユニットは、無線信号の送信機及び受信機を備えてもよい。
【0017】
家具又は機構の安定化の間、家具又は機構が不安定であるとき、即ち前後にゆれるとき、第1のセンサ装置は、安定化装置のそれぞれからピストン要素を押し出そうとするモータの負荷を記録(登録)する。家具又は機構がこの位置で支持面から持ち上げられているためにピストン要素を空気中に押し出すだけのモータの負荷は、当然ながら、支持面上に静止しているピストンを押し出そうとしている、すなわち家具又は機構を持ち上げようとしているモータにかかる負荷よりもはるかに小さい。したがって、制御ユニットは、支持面から持ち上げられるピストン要素を有する単一又は複数の安定化装置を決定し、これらのピストン要素が支持面に当たるまでこれらのピストン要素のみを駆動する。この場合、モータはピストン要素を更に押し出すために、支持面から家具又は機構を持ち上げるから、モータに加わる負荷は急速に上昇し始める。全てのピストンが支持面に搭載されている時点で、制御ユニットはモータを停止することができる。
【0018】
安定化装置、家具又は機構は、第1の面と少なくとも1つの第2のセンサ装置と、を含み、少なくとも1つの第2のセンサ装置は、ハウジング内の第1の面の位置又はピストン要素の位置を登録することができる。少なくとも1つの第2のセンサ装置は、加速度計及び/又はジャイロ及び/又は磁力計を含んでもよい。
【0019】
上述したような少なくとも1つの安定化装置を備える、上述したような家具又は機構を安定化させる方法であって、
家具又は機構を支持面に配置するステップと、
家具又は機構が不安定であるか否かをテストするステップを含み、家具又は機構が不安定な場合、
無線開始信号を、少なくとも1つの安定化装置に送信し、それによってピストン要素が支持面と接触するまで、安定化装置のハウジングからピストン要素を移動させるモータを作動させるステップと、
少なくとも1つの第1のセンサ装置が所定の負荷を超えるモータの負荷を記録したときに、ピストン要素の移動を停止させるステップと、を備える。
【0020】
そのハウジングの内外に移動される少なくとも1つのピストン要素は、家具又は機構が安定したときに、ハウジングに対するその位置に係止されてもよい。
【0021】
上述したような複数の安定化装置を備える、上述したような家具又は機構を水平化させる方法であって、
家具又は機構を支持面に配置するステップと、
少なくとも1つの安定化装置に無線開始信号を送信して家具又は機構を水平にし、それによって制御装置は、家具又は機構の第1の面が基準面と平行であるか否かをテストするステップと、を含み、第1の面が基準面と平行でない場合、
家具又は機構の第1の面が基準面と平行になるまで、少なくとも1つの安定化装置のピストン要素をそのハウジングから出し入れ移動するステップと、を備える。
【0022】
そのハウジングの内外に移動される少なくとも1つのピストン要素は、家具の第1の面又は装置の基準面と平行であるときに、ハウジングに対するその位置に係止されてもよい。基準面は典型的には水平面である。
【0023】
基準面は実際の面ではなく、むしろ望ましい基準面として言及されるべきである。この所望の基準面を定義する関連データを制御ユニットに記憶することができ、それによって家具又は機構の第1の面を家具又は機構の水平化の間に比較することができる基準面が存在する。典型的には、基準面は水平面であるので、家具又は機構の平面、第1の面が基準面と平行になるまで、即ち家具又は機構の第1の面が水平になるまで、家具の1つ又はいくつか又は全ての安定化装置又は装置を調整することができる。
【0024】
本発明の幾つかの非制限的な実施形態が以下で述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による安定化装置が設けられた家具又機構の断面を示す概略図である。
図2】転動体を有する安定化装置が設けられた家具又は機構の一部を簡略化された概略図であり、転動体は支持面と接触している。
図3】安定化装置が設けられた家具又は機構の一部を簡略化された概略図であり、ピストン要素が支持面と接触している。
【0026】
全ての図において、同一又は類似の技術的特徴には同一の参照符号が付されていることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1には、家具の凹部内に取り付けられた安定化装置16、又はこの例ではより大きい家具又は機構(図示せず)の脚部要素(leg element)である機構10が示されている。安定化装置は、家具又は機構の凹部の寸法及び形状に対応する寸法及び形状を有するハウジング18を備える。
【0028】
ハウジング18は円筒形状を備え、ハウジングの一端にピストン開口部19を有している。安定化装置16は、ピストン開口部19が家具又は機構10を支持する支持面14に面するように家具又は機構10の上又は中に取り付けられる。ピストン開口部19からハウジング18の内部へのシリンダ空間34が設けられており、このシリンダ空間34内には、シリンダ空間34に出し入れすることができるピストン要素22が設けられている。
【0029】
図1に示されるピストン要素22は、図に示されるように1つ以上の保持要素38を用いてピストン要素22内に保持される回転要素23を備える。転動体23は、転動体23と支持体39との間で自由に動くことができる複数の支持球40に当接している。ピストン要素22がハウジング18から十分に押し出されると、図に示すように、家具又は機構10が支持面14から持ち上げられるので、家具又は機構10は支持面14を横切って回転するように移動することができる。ピストン要素22がシリンダ空間34内に完全に引き込まれると、家具又は機構10は安定化装置16のフット要素42上に載る。
【0030】
ピストン要素22はアクチュエータ30に接続されており、当該アクチュエータ30がピストン要素22をシリンダ空間34に出し入れすることができるようにハウジング18の軸方向に移動可能に配置されている。アクチュエータ30は、モータ31に直接接続されてもよく、又は図1に示されるように、周知の方法でモータ31によって発生された運動をアクチュエータ30に伝達するアクチュエータ装置32を介してモータ31に接続されてもよい。アクチュエータ装置は、例えば、モータ31のシャフトの回転運動をアクチュエータ30の軸方向運動に伝達するための歯車要素を備えることができる。
【0031】
安定化装置16は、送信装置から無線信号を受信することができる受信装置を含む制御ユニット28を含んでいる。送信装置は、典型的には、命令又は指示を制御ユニット28に送信するためにインストールされたアプリを有するリモートコントロール又はスマートフォン又は類似装置を含んでいる。更に送信装置は、例えばスマートパッド又は同様の装置、コンピュータ機器又はジョイスティック装置でもよく、或いは、単に人の声を用いて、又は人体の1つ又は複数の特定の動作を用いて壁システムを起動及び制御する人であってもよい。必要ならば、制御ユニット28が無線信号を受信することを確実にするために、更に受信装置は、制御ユニットとは別に設けられてもよいが、制御ユニットに無線又は信号ケーブルで信号的に接続され、家具又は機構10の適切な位置に取り付けられてもよい。
【0032】
家具又は機構10は、複数の安定化装置16が設けられていることが多く、安定化装置は、制御ユニット28に加えて互いに通信するように構成されてもよい。その場合、更に、安定化装置16は、他の安定化装置16が受信することができる無線信号を送信することができる送信装置を備えている。
【0033】
更に、安定化装置は、モータ31の負荷を感知することができる少なくとも1つの第1のセンサ装置27を有している。好ましくは、モータ31は電気モータであり、少なくとも1つの第1のセンサ装置27は、モータ31が引き込む電流を測定することができるセンサ装置であることが好ましい。ピストン要素22が空気中に押し出されると、即ち、持ち上げるべき抵抗や重量が基本的にない場合、モータ31は非常に小さい電流を引き込む。ピストン要素22が支持面14に当たるとすぐに、ピストン要素22を更にシリンダ空間34から押し出すために、モータは家具又は機構10の重量を持ち上げなければならず、かなり大きな電流が引き込まれる。これが起こるとすぐに、制御ユニット28はピストン要素22の移動を停止し、家具又は機構10は安定される。家具又は機構10を安定させるために、2つ以上の安定化装置16のピストン要素22をシリンダ空間34から押し出さなければならない場合も、同じ原理が有効である。移動に対する抵抗が実質的にない限り、ピストン要素22は押し出されるが、安定化装置16のモータがより大きな電流を引き込み始めると、つまりピストン要素が支持面14に接触した時、その安定化装置のモータは、制御ユニット28によって停止される。全ての安定化装置のピストン要素22が支持面14と接触すると、家具又は機構10は、安定させることができる。
【0034】
更に、安定化装置16は、空間内の位置を感知することができる少なくとも1つの第2のセンサ装置26が設けられてもよい。少なくとも1つの第2のセンサ装置26が無線又は信号ケーブルを介して制御ユニット28と信号的に通信できる限り、少なくとも1つの第2のセンサ装置26を家具又は機構10自体、安定化装置16の外側に設けることもできる。
【0035】
安定化装置16のハウジングに対するピストン22の位置を感知する少なくとも1つの第2のセンサ装置26は、家具又は機構10の第1の面13を水平にするために使用することができる。もし所望であれば、第1の面13は例えば、テーブルの上、洗濯機又は他の種類の家具、装置又は水平にさせる必要な機器である。家具又は機構10の第1の面13を用いて安定化装置を較正することによって、制御ユニットは、第1の面13が水平になったとき、つまり水平面(horizontal plane)内にあるときに、ハウジング内のピストン要素の位置を知るように、家具又は機構10を水平にする必要があるたびに、ピストン要素22を同じ位置に移動させることができる。家具又は機構10が水平ではない支持面14上に配置される場合、家具又は機構には、制御ユニット28と信号的に通信を行い、基準面、典型的には水平面に対して、例えば家具の第1の面13又は機構10の位置を感知することができる1つ又は複数の第2のセンサ装置26を設けることができる。この場合、1つ、いくつか又は全ての安定化装置16のピストン要素22は水平化された第1の面13を得るのに必要な位置に移動することができる。少なくとも1つの第2のセンサ装置26は、家具の第1の面13又は基準面に対する機構10の位置決めする、加速度計及び/又はジャイロ及び/又は磁力計を備えてもよい。
【0036】
図2及び図3には、家具又は機構10に取り付けられた安定化装置16の2つの例が示されている。安定化装置16は非常に概略的に示されているだけであるが、それらは上述し図1に示した例と同様の方法で設計することができる。家具又は機構10は一部分のみを示しているが、いくつかの安定化装置16を備えることができる。
【0037】
図2及び図3に示す家具又は機構10は、安定化装置16を備えている。安定化装置16は、支持面14に面するピストン開口部19(図1参照)を有するシリンダ空間34を備えたハウジング18を有している。シリンダ空間34内には、シリンダ空間34の内外に移動可能なピストン要素22が設けられている。ピストン要素22は、例えば図1に関連して上述したものと同様の方法で、モータ、好ましくは電気モータを使用することによって移動される。
【0038】
図2に示す安定化装置16の実施形態は、支持面14に面するピストン要素の端部に転動要素23を備えている。図2に示されるように、ピストンがその外側位置まで動くと、転動要素は、家具又は機構10を、支持面14を横切って転動させることを可能にする。
【0039】
一方、図3に示す安定化装置16には、ピストン要素22の端部に転動要素が設けられていない。その代わりに、ピストン要素22自体が外へ移動して支持面14と接触する。ピストン要素22は、その端部にゴム要素又は似た要素を備え、支持面14に損傷が生じないようにすることができる。
【0040】
フット要素42が支持面14上に載り、家具が支持面14上に安全に載るように、図2及び図3に示す安定化装置のピストン要素22は、シリンダ空間34内に完全に移動することができる。
【0041】
安定化装置16は、図1に示す例に関連して説明したように、制御ユニット28と、第1のセンサ装置27と、第2のセンサ装置26とを更に備える。第1のセンサ装置27及び第2のセンサ装置26は両方とも制御ユニット28に信号的に接続されている。
【0042】
第1のセンサ装置27は、安定化装置16のモータ31にかかる負荷を測定できるタイプのものである。モータ31は電気で動くことが好ましく、その場合、第1のセンサ装置27は、上で詳述したように、モータが引き込む電流を測定することができるセンサ装置であり得る。典型的には、本発明の全ての実施形態の第1のセンサ装置27は、電流計を備えてもよい。
【0043】
第2のセンサ装置26は家具又は機構10の家具トップ部33を水平にし、それによって図2及び3に示す第1の面13を水平にするために使用される。第2のセンサ装置26は安定化装置16に含まれてもよく、家具又は機構10自体に設けられてもよい。本発明の全ての実施形態において、第2のセンサ装置26は、1つ以上の個別のセンサ、典型的には加速度計及び/又はジャイロ及び/又は磁力計を含んでいてもよい。家具10の安定化装置16の第2のセンサ装置26によって行われた測定に基づいて、制御ユニット28は家具又は機構10の第1の面13を水平にするためにどのピストン要素22を作動させる必要があるかを計算することができる。水平面に対する第1の面13の位置に関する連続的なフィードバックを制御ユニット28に提供するプロセス中に、制御ユニット28は種々の安定化装置16のピストン要素22の移動を連続的に調整することができ、第1の面13の水平化を迅速かつ正確に実行することができる。
【0044】
本発明は、非限定的な例を参照してここでは説明された。但し、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内にある修正及び変更をこの実施形態に対して行うことができることを理解するであろう。
図1
図2
図3