(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】ユニット型建物の温度制御
(51)【国際特許分類】
E04B 1/348 20060101AFI20220624BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20220624BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20220624BHJP
F24D 3/14 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
E04B1/348 V
E04B1/76 100A
F24F5/00 Z
F24F5/00 K
F24D3/14
(21)【出願番号】P 2020506238
(86)(22)【出願日】2018-08-08
(86)【国際出願番号】 AU2018050829
(87)【国際公開番号】W WO2019028509
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-08-06
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517141524
【氏名又は名称】インテックス ホールディングス ピーティーワイ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィス,ロジャー
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-122656(JP,A)
【文献】特開2014-034848(JP,A)
【文献】特開2003-056068(JP,A)
【文献】特開2012-046897(JP,A)
【文献】特開2009-216323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
E04B 1/76
F24F 5/00
F24D 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱、小梁、及び梁を含む様々な構造要素を有する構造
、
前記構造に1つまたは複数の中空が含まれるように、支柱、小梁、及び梁の少なくともいくつかのそれぞれに形成された中空、
前記構造が1つまたは複数のパイプを含むように、1つまたは複数の中空の少なくともいくつかのそれぞれに収容されたパイプであって、1つまたは複数のパイプはその中に流体を運び、1つまたは複数のパイプの少なくともいくつかはユニット型建物の床の下に延びる、パイプ、
ベース部と前記床との間に空洞が確定されるように、ユニット型建物の前記床の下から離れて配置されたベース部であって、前記小梁が前記空洞内に配置され、1つまたは複数のパイプ内の流体は空洞内の空気の温度に影響を与える、ベース部、及び、
前記床に設けられた開口部であって、温度に影響を受けた前記空気が前記空洞からユニット型建物の内部に流れ込み、ユニット型建物の内部の温度に影響を与えることを可能にする開口部、を含む、ユニット型建物。
【請求項2】
水を加熱する少なくとも1つの太陽熱暖房要素を含み、加熱された水は次に前記
パイプを介して供給される、請求項1に記載のユニット型建物。
【請求項3】
前記
パイプによって搬送された流体を冷却する、冷却システムを含む、請求項1に記載のユニット型建物。
【請求項4】
前記パイプは並列型配列で配置される、請求項1に記載のユニット型建物。
【請求項5】
前記パイプが支柱及び梁を通して延びることによって、前記ユニット型建物の内部温度に影響を与える、請求項1に記載のユニット型建物。
【請求項6】
前記ベース部から地面に向かって下向きに延びる柱をさらに備え、前記柱は、前記基部を支持し、それにより、前記小梁が地面から間隔を空けて配置される、請求項1に記載のユニット型建物。
【請求項7】
前記開口部は、温度の影響を受けた前記空気が前記空洞からユニット型建物の中に流れ込むための格子を伴う、請求項1に記載のユニット型建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物を加熱するために太陽エネルギーを使用するために特有の適合を有する、ユニット型建物の温度管理に関する。
【背景技術】
【0002】
建物を加熱するためには、多くの方法がある。その1つは、逆サイクルエアコンディショナ、またはガスヒータを使用して加熱された周辺空気を、循環させることである。他の加熱タイプとして、個々の部屋に位置されたスペースヒータが挙げられ、熱は、ガス及び固形燃料を燃やすことによって、ならびにセントラルヒーティングを使用して流体を循環させることによって生成される。燃料は一般的に高価で、維持管理が必要であり、媒体の温度は全体的に高くて、後で周辺空気に確実に消散されるため、熱性能は費用に対して効率的ではない。
【0003】
別の難点は、建物を加熱することが、かなり大掛かりな基本的施設と、設置するための長い時間とを要すること、ならびに維持管理が高価であることである。加えて、ユニット型建物の場合、加熱システムは建物の建設後に設置する必要があり、それが上記の課題をさらに難しくする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の課題を軽減させるための加熱方法を提供すること、または少なくとも社会に有用な代替をもたらすことである。本発明の別の目的は、いくつかの場合において、太陽エネルギーを使用して、建物、特にユニット型建物を加熱することを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様において、本発明は、支柱、小梁、及び梁を含む、様々な構造要素を有する構造を有するユニット型建物を備える。これらの支柱、小梁、及び梁は、各々が特定の温度の流体を運ぶパイプを収容する、中空を有する。これらのパイプは、建物の床の下で小梁を通して延びる。小梁はベース部によって囲まれ、床とベース部との間の空気の温度に影響を与える空洞を画定する。
【0006】
好ましくは、この床は通気孔を含み、空気が空洞の内部からユニット型建物の内部の中に流れるのを可能にし、建物の温度制御をする。
【0007】
好ましくは、建物は、水を加熱する少なくとも1つの太陽加熱要素を含み、その加熱された水は次に流体搬送パイプを介して供給される。
【0008】
好ましくは、建物は、流体搬送パイプによって搬送された流体を冷却する、冷却システムを含む。
【0009】
好ましくは、これらのパイプは並列型配列で配置される。
【0010】
好ましくは、パイプが支柱及び梁を通して延びる場合、ユニット型建物の内部の温度にも影響を与える。
【0011】
上述の態様のうちの任意の1つは、任意の上述の他の態様の任意の特徴を含み、必要に応じて以下で説明する任意の実施形態の任意の特徴を含み得ることに留意されたい。
【0012】
本発明の好ましい特徴、実施形態、及び変形は、当業者が本発明を実施するための十分な情報を提供する、以下の「発明を実施するための形態」から認識され得る。「発明を実施するための形態」は、上記の「発明の概要」の範囲を限定するようには考慮されない。「発明を実施するための形態」は、以下の数枚の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による加熱システムを組み込んだユニット型建物を示す図である。
【
図2】建物における、より詳細なパイプの使用を例示する、
図1のセクションAの拡大図である。
【
図3】建物の壁及び天井におけるパイプの使用を例示する、建物の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の本発明の詳細な説明は、添付の図面を参照する。同じ参照番号は、可能なかぎり、図面及び以下の説明を通して同じ部分及び同様の部分を指すよう使用される。図面に示された特定の部分の寸法は、明確化または例示目的で、改変及び/または誇張され得る。
【0015】
図面を参照すると、壁12、及びユニット型建物の頂部にわたって延びて天井としても役立ち得る屋根14、ならびに床16を有するタイプの、ユニット型建物10が示される。これらは、従来技術において当業者には公知であるため、さらに詳細な説明は行わない。悪天候の間に、確実に十分な水が流れるよう、ある角度を屋根に付けることのみが要求される。
【0016】
小梁18は床16を支持し、小梁18自体は、地面に延びる柱20上で支持される。柱20は任意選択であってよく、基礎など他のものによって置き換えられ得るが、いくつかの場合において、柱20は地中を掘って延ばされ、コンクリートで固めることができる。少なくともいくつかの柱から延びる支柱22は、壁12と、別の建物標準によって求められる屋根14を支持するために支柱間に延びる梁24とを、支持することができる。屋根の傾斜は、適切な降雨を許容するよう選択され、図示しないが、雨どい及び雨水パイプは建物の一部であり、屋根の分離セクションは異なる方向に傾き得る。
【0017】
ユニット型建物を異なる居住区域に分割する内壁は、嵌め込み式とすることができ、通常は支柱22間に延びるか、またはいくつかの場合において、壁間に延びる。小梁、梁、及び支柱の形状は様々な形状から選択され得る一方で、それらの形状内に様々な供給設備を収容できるよう設計される。
【0018】
したがって好ましい実施形態において、それらはC型チャネルなど内部中空チャネルであるが、本発明をそれに限定することは意図しない。C型チャネルは、配管、電気ケーブル、インターネットケーブルなどの供給設備を収容するための空間を、提供する。この空間は、建物全体にわたって延びることができ、必要に応じて壁12を貫通して延びる。
【0019】
特にこの空間は、建物の周囲に流体、通常は水を循環させることができるパイプ26を収容する。
【0020】
壁及び床ヒータを提供することが知られているが、それらは、壁12内に空洞がある場合、暖かい空気をその空洞に導入することによって供給される。他の壁及び床ヒータとして電気ヒータを挙げることができ、それは、電源を切り替えるだけで壁の内側を加熱して、建物内部に熱を放射することによって熱を通過させる。
【0021】
太陽熱収集器28は屋根14上に位置され、パイプで収集器を通過させるか、または直接の太陽光吸収によって水を加熱する反射器30を使用することができる。次に水は、ポンプ(図示せず)を使用してパイプ26を通して循環される。パイプ26は、支柱22を下り、建物を通して梁の内側に延びて、熱を効果的に放散させる。建物の底部はベース部32を有し、それは空隙または空洞34を画定して、その内部には小梁18が位置される。空隙内の空気は、太陽光で加熱された流体を運ぶパイプ26によって加熱される。
【0022】
床16は開口部36を含み得る。通常、開口部36は格子を伴い、空隙34内の空気がユニット型建物の中に流れ込んで建物の内部を加熱するのを可能にする。
【0023】
パイプ26が支柱の中空内にも延び、梁の中空内にも延び得る場合、パイプ内の加熱された流体は、熱をパイプの周囲に与え、それによって建物の壁、天井、及び床を効果的に加熱する。それらは、建物の放射ヒータとなる。
【0024】
説明していない種々の弁が、太陽熱収集器から建物のそれぞれの部分への温かい流体の流れを制御するために使用され得る。パイプの量は、それらが加熱すると仮定する物理的体積によって変化し得る。近年、このような操作は、センサ及び制御可能弁によって、電子的に制御され得る。さらに、パイプは直列ではなく並列で配置され得る。
【0025】
効率を改善するために、図示しないが、太陽熱収集器が、加熱された流体を収納するタンクに接続され得る。流体量の増加に伴い、流体の温度は、パイプを通って流れる流体が熱すぎないよう、かつ建物に対する熱負荷を和らげるように加減され得る。
【0026】
壁及び床は、放射加熱を使用して効果的に熱を伝播させるのを可能にする、メタルスキンを備えた断熱材で構築され得る。その一方で、床の空隙、ならびに時として壁及び天井の空隙は、建物を加熱するための対流を可能にする。
【0027】
上記の説明は建物を加熱することに向けられているが、建物を冷却するために使用され得ることを理解されたい。この場合、太陽熱収集器は必要とされず、建物は大きい水タンクを使用するだけでよい。この水タンクは、例えば建物の横に埋められ、周囲の土によって冷却された流体を生じさせる。数メートル下の地中における土壌の温度でさえ、1年を通してほとんど一定に保たれることが、よく知られている。これを利用して、建物の温度を、1年を通して許容内のレベルに確実に保つことができる。
【0028】
読者は、温かい流体を含む基本的供給物の搬送を可能にする構造要素の使用が、ユニット型建物の加熱に影響を与えられることを理解されたい。任意の熱損失を遮断するのにも役立つよう、底部のベース部の追加によって小梁を隔離する。
【0029】
パイプに温かい流体を通過させることに重点をおいたが、同様に、パイプに冷たい流体を通過させて、建物の内部を冷却することも適切であり得る。この流体は、大きい熱容量の水タンクから来るか、または安定した一定の年間温度であり得る地下からポンプでくみ上げられるかの、いずれかである。
【0030】
窓、テーブル、椅子など、明示する必要のない他の特徴が図に示されている。それらは当業者には明白であり、いかなる詳細も説明する時間は必要としない。別の利点及び改善は、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明に対して非常に良好に成され得る。本発明を、最も実用的かつ好ましい実施形態であると思われるように示され、説明してきたが、本発明の範囲内でそこからの発展が成され得ることを理解されたい。それは、本明細書で開示した詳細に限定するのではなく、任意かつ全ての同等のデバイス及び装置を受け入れるよう、全ての特許請求の範囲に一致されることになる。本明細書を通した従来技術の任意の説明は、このような従来技術は広く知られているか、またはこの分野における共通の一般知識の一部を形成するので、認諾として考慮するべきではない。
【0031】
パイプは、ユニット型建物の周囲を蛇行するよう曲げられるか、または変形させることができる柔軟なプラスチックであり得る、と理解される。
【0032】
本明細書及び特許請求の範囲(もしあれば)において、「備えている(comprising)、及び「備える(comprise)」を含む派生語は、記載された整数の各々を含むが、1つまたは複数の別の整数の含有を排除するものではない。
【符号の説明】
【0033】
10 ユニット型建物
12 壁
14 屋根
16 床
18 小梁
20 柱
22 支柱
24 梁
26 パイプ
28 太陽熱収集器
30 反射器
32 ベース部
34 空隙
36 開口部