(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】弓的固定用候串
(51)【国際特許分類】
F41J 3/00 20060101AFI20220624BHJP
F41J 1/10 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
F41J3/00
F41J1/10
(21)【出願番号】P 2018110994
(22)【出願日】2018-06-11
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】506173927
【氏名又は名称】田部井 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100095245
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】横瀬 正夫
(72)【発明者】
【氏名】田部井 英明
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-105955(JP,A)
【文献】特開2014-224625(JP,A)
【文献】中国実用新案第205784882(CN,U)
【文献】特開昭63-213697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41J 3/00
F41J 1/00- 1/10
F41J 11/00-11/02
B41J 13/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弓的を安土に固定するための候串であって、互いに作動係合し長手方向一端部で的枠を挟んで互いに略平行に延在する長短一対の串と、前記長短一対の串が長手方向に相対移動した時に短串の長手方向他端部を長串に押し当てて長串から短串の長手方向他端部に法線力を印加させる第1手段と、長串又は短串に固定されて短串を支持し、長串と短串の長手方向相対移動を許容すると共に長串と短串とが含まれる平面に直交する軸線回りの短串の長串に対する相対回動を許容する第2手段とを備えることを特徴とする候串。
【請求項2】
第1手段は長串の長手方向中央部に形成され長手方向他端部へ向けて肉厚が増加する傾斜部を有し、短串は肉薄の長手方向一端部と、肉厚の長手方向他端部と、長手方向一端部と長手方向他端部とを結ぶ段差部とを有し、第2手段は長串長手方向一端部の傾斜部近傍に固定され短串の長手方向他端部が挿通される筒体又はリングを有し、短串は段差部が形成された側面を長串の傾斜部が形成された側面に対峙させた状態で前記筒体又はリングに挿通されることを特徴とする請求項1に記載の候串。
【請求項3】
第1手段は長串の長手方向中央部に形成され長手方向他端部へ向けて肉厚が増加する傾斜部を有し、短串は肉薄の長手方向一端部と、肉厚の長手方向他端部と、長手方向一端部と長手方向他端部とを結ぶ段差部とを有し、第2手段は短串の肉厚部に固定され長串の長手方向一端部が挿通される筒体又はリングを有し、長串は傾斜部が形成された側面を短串の段差部が形成された側面に対峙させた状態で前記筒体又はリングに挿通されることを特徴とする請求項1に記載の候串。
【請求項4】
長串は長手方向一端部と長手方向他端部とを有し、短串は肉薄の長手方向一端部と、肉厚の長手方向他端部と、長手方向一端部と長手方向他端部とを結ぶ段差部とを有し、第1手段は、短串の肉厚部に且つ段差部が形成された側面とは反対側の側面に形成され長手方向一端部へ向けて肉厚が増加する傾斜部を有し、第2手段は長串長手方向一端部の近傍に固定され短串の長手方向他端部が挿通される筒体又はリングを有し、短串は段差部が形成された側面を長串の側面に対峙させた状態で前記筒体又はリングに挿通される
ことを特徴とする請求項1に記載の候串。
【請求項5】
長串は長手方向一端部と長手方向他端部とを有し、短串は肉薄の長手方向一端部と、肉厚の長手方向中央部と、肉薄の長手方向他端部と、長手方向一端部と長手方向中央部とを結ぶ第1段差部と、長手方向中央部と長手方向他端部とを結ぶ第2段差部とを有し、第2段差部は第1段差部が形成された側面とは反対側の側面に形成され、第2手段は長串長手方向一端部の近傍に固定され短串の長手方向他端部及び中央部が挿通される筒体を有し、第1手段は筒体に形成された長串の長手方向他端部へ向けて長串に接近する傾斜部を有し、短串は第1段差部が形成された側面を長串の側面に対峙させ、第2段差部が形成された側面を筒体の傾斜部に対峙させた状態で筒体に挿通されることを特徴とする請求項1に記載の候串。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弓的を弓道場の安土に固定する際に使用する弓的固定用候串に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に示す薄肉短円筒状の的枠1に的紙2を貼り付けた弓的3を傾斜した設置場所4の安土5に固定するための候串であって、
図2に示す略平行に延在する長短一対の串6、7と、短串7の一端部7aと長串6の前記一端部7aに対峙する部位6aとの間に介挿されたスペーサ8と、短串7の一端部7aと長串6の前記一端部7aに対峙する部位6aとスペーサ8とに掛け渡されて巻き付けられた紐9とを備え、短串7の他端部7bと長串6の前記他端部7bに対峙する一端部6bとの間に所定の隙間Sが形成されたことを特徴とする候串10が、従来から使用されている。
弓的3を設置場所4の安土に固定する際には、隙間Sを押し広げつつ候串10の長串6と短串7との間に的枠1の周壁を押し込んで的枠1の端面をスペーサ8に当接させると共に長串6と短串7とで的枠1の周壁を挟持させ、次いで、的紙2を鉛直に延在させ且つ候串10の長串6の他端部6cを設置場所4の傾斜面に差し向け且つ的枠1周壁の候串10が挟持した部位を上方へ差し向けて弓的3を両手で保持し、長串6を傾斜した設置場所4の安土5に押し込み、的枠1の下部を部分的に安土5に押し込んで、弓的3を設置場所4の安土5に安定的に固定する。
弓的3を設置場所4の安土5に固定する際に、弓的3の高さ方向取付け位置を微調整すべく、長串6を傾斜した設置場所4の安土5に押し込んだまま弓的3を上下方向に僅かに移動させ、或いは的紙2の傾斜を微調整すべく、長串6を傾斜した設置場所4の安土5に押し込んだまま弓的3を上下方向に僅かに揺動させる場合がある。従来構造の候串10には、前述の弓的3の上下移動や上下揺動が繰り返されると、長短の串6、7の的枠1との係合部が経時劣化により塑性変形して隙間Sが増加し、長串6と短串7とで的枠1の周壁を挟持することができなくなるという問題があった。
上記課題を解決すべく、本出願人は特許文献1において、作動係合する長串と短串の間に楔部材を介在させ、楔部材を串の長手方向へ移動させて短串を回動させ短串端部を長串端部へ向けて付勢することを特徴とする弓的固定用候串を提案した。上記弓的固定用候串においては、弓的を設置場所の安土に固定する際の弓的の上下移動や上下揺動が繰り返されて短串と長串の的枠周壁との係合部が経時劣化により塑性変形したとしても、楔部材を更に移動させて短串端部を長串端部へ向けて更に付勢することにより、長串と短串とによる的枠周壁の挟持を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、楔部材を移動させるのに代えて、長串と短串とを長手方向へ相対移動させることにより、短串端部を長串端部へ向けて付勢することを特徴とする弓的固定用候串を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、弓的を安土に固定するための候串であって、互いに作動係合し長手方向一端部で的枠を挟んで互いに略平行に延在する長短一対の串と、前記長短一対の串が長手方向に相対移動した時に短串の長手方向他端部を長串に押し当てて長串から短串の長手方向他端部に法線力を印加させる第1手段と、長串又は短串に固定されて短串を支持し、長串と短串の長手方向相対移動を許容すると共に長串と短串とが含まれる平面に直交する軸線回りの短串の長串に対する相対回動を許容する第2手段とを備えることを特徴とする候串を提供する。
本発明に係る候串においては、短串は第2手段によって支持されて長串に作動係合している。第2手段は長串と短串の長手方向相対移動を許容するので、長短一対の串を長手方向に相対移動させると、第1手段により長串から短串の長手方向他端部に法線力が印加される。第2手段は長串と短串とが含まれる平面に直交する軸線回りの短串の回動を許容するので、第2手段による支持点を中心にして前記軸線回りに短串が回動し、短串の長手方向一端部が長串の長手方向一端部へ向けて付勢される。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、第1手段は長串の長手方向中央部に形成され長手方向他端部へ向けて肉厚が増加する傾斜部を有し、短串は肉薄の長手方向一端部と、肉厚の長手方向他端部と、長手方向一端部と長手方向他端部とを結ぶ段差部とを有し、第2手段は長串長手方向一端部の傾斜部近傍に固定され短串の長手方向他端部が挿通される筒体又はリングを有し、短串は段差部が形成された側面を長串の傾斜部が形成された側面に対峙させた状態で前記筒体又はリングに挿通される。
本発明の好ましい態様においては、第1手段は長串の長手方向中央部に形成され長手方向他端部へ向けて肉厚が増加する傾斜部を有し、短串は肉薄の長手方向一端部と、肉厚の長手方向他端部と、長手方向一端部と長手方向他端部とを結ぶ段差部とを有し、第2手段は短串の肉厚部に固定され長串の長手方向一端部が挿通される筒体又はリングを有し、長串は傾斜部が形成された側面を短串の段差部が形成された側面に対峙させた状態で前記筒体又はリングに挿通される。
上記構成によれば、長短一対の串を、他端部同士が接近する方向へ長手方向に相対移動させると、短串の他端部が長串の傾斜部に乗り上げ、傾斜部から法線力を印加される。短串は筒体又はリングによる支持点を中心にして回動し、短串の長手方向一端部が長串の長手方向一端部へ向けて付勢される。
【0007】
本発明の好ましい態様においては、長串は長手方向一端部と長手方向他端部とを有し、短串は肉薄の長手方向一端部と、肉厚の長手方向他端部と、長手方向一端部と長手方向他端部とを結ぶ段差部とを有し、第1手段は、短串の肉厚部に且つ段差部が形成された側面とは反対側の側面に形成され長手方向一端部へ向けて肉厚が増加する傾斜部を有し、第2手段は長串長手方向一端部の近傍に固定され短串の長手方向他端部が挿通される筒体又はリングを有し、短串は段差部が形成された側面を長串の側面に対峙させた状態で前記筒体又はリングに挿通される。
上記構成によれば、長短一対の串を、他端部同士が接近する方向へ長手方向に相対移動させると、筒体又はリングが短串の傾斜部に乗り上げ、短串の傾斜部が長串方向へ押され、ひいて短串の長手方向他端部の先端が長串に押しつけられて、長串から短串の長手方向他端部の先端に法線力が印加される。短串は筒体又はリングによる支持点を中心にして回動し、短串の長手方向一端部が長串の長手方向一端部へ向けて付勢される。
本発明の好ましい態様においては、長串は長手方向一端部と長手方向他端部とを有し、短串は肉薄の長手方向一端部と、肉厚の長手方向中央部と、肉薄の長手方向他端部と、長手方向一端部と長手方向中央部とを結ぶ第1段差部と、長手方向中央部と長手方向他端部とを結ぶ第2段差部とを有し、第2段差部は第1段差部が形成された側面とは反対側の側面に形成され、第2手段は長串長手方向一端部の近傍に固定され短串の長手方向他端部及び中央部が挿通される筒体を有し、第1手段は筒体に形成された長串の長手方向他端部へ向けて長串に接近する傾斜部を有し、短串は第1段差部が形成された側面を長串の側面に対峙させ、第2段差部が形成された側面を筒体の傾斜部に対峙させた状態で筒体に挿通される。
上記構成によれば、長短一対の串を、他端部同士が接近する方向へ長手方向に相対移動させると、短串の第2段差部が筒体の傾斜部に乗り上げ、短串の第2段差部が長串方向へ押され、ひいて短串の長手方向他端部の先端が長串に押しつけられて、長串から短串の長手方向他端部の先端に法線力が印加される。短串は筒体による支持点を中心にして回動し、短串の長手方向一端部が長串の長手方向一端部へ向けて付勢される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】弓的の構成と、設置要領とを示す図である。(a)は的枠の斜視図であり、(b)は的紙の正面図であり、(c)は的紙を的枠に取り付けて完成した弓的の斜視図であり、(d)は設置場所の安土に固定された弓的の側面図である。
【
図3】本発明の第1実施例に係る弓的固定用候串の構造図である。(a)は側面図であり、(b)は的枠に取り付けられる途上の状態の側面図であり、(c)は的枠に取り付けられた状態の側面図である。
【
図4】本発明の第2実施例に係る弓的固定用候串の構造図である。(a)は側面図であり、(b)は的枠に取り付けられる途上の状態の側面図であり、(c)は的枠に取り付けられた状態の側面図である。
【
図5】本発明の第3実施例に係る弓的固定用候串の構造図である。(a)は側面図であり、(b)は的枠に取り付けられる途上の状態の側面図であり、(c)は的枠に取り付けられた状態の側面図である。
【
図6】本発明の第4実施例に係る弓的固定用候串の構造図である。(a)は側面図であり、(b)は的枠に取り付けられる途上の状態の側面図であり、(c)は的枠に取り付けられた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1実施例に係る弓的固定用候串を説明する。
図3(a)に示すように、弓的固定用候串20は、略平行に延在する長短一対の串21、22と、長串21に固定された筒体23とを備えている。長串21の長手方向中央部に、長手方向一端部から長手方向他端部へ向けて肉厚が増加する傾斜部21aが形成されている。短串22は、肉薄の長手方向一端部22aと、肉厚の長手方向他端部22bと、長手方向一端部と長手方向他端部とを結ぶ段差部22cとを有している。筒体23は、長串21の長手方向一端部の傾斜部21a近傍に固定されている。短串22は、段差部22cが形成された側面を長串21の傾斜部21aが形成された側面に対峙させた状態で、筒体23に挿通されている。長手方向他端部22bの段差部22cが形成された側面とは反対側の側面が筒体23の内面に当接しており、短串22の長手方向他端部22bは長串21に隙間を隔てて対峙している。
【0010】
候串20の作動を説明する。
図3(b)に示すように、長串21の長手方向一端部21bと短串22の長手方向一端部22aの間の隙間を押し広げつつ当該隙間に的枠100の周壁を挿入し、周壁の端面を短串の段差部22cに当接させる。
図3(c)に示すように、長串21を的枠100に押し込んで、短串22を長串21の長手方向他端部の方向へ、長串21に対して相対移動させる。短串22の長手方向他端部22bの先端が長串21の傾斜部21aに乗り上げ、傾斜部21aから長手方向他端部22bの先端に法線力Fが印加される。この結果、短串22が、筒体23端部の支持点Sを中心にして、長串21と短串22とが含まれる平面に直交する軸線、即ち
図3(c)の紙面に直交する軸線、回りに
図3(c)で見て時計回りに回動し、短串22の長手方向一端部22aが長串21の長手方向一端部21bへ向けて付勢される。
候串20においては、弓的を設置場所の安土に固定する際の弓的の上下移動や上下揺動が繰り返されて長串21の長手方向一端部21bと短串22の長手方向一端部22aと的枠100の周壁との係合部が経時劣化により塑性変形したとしても、長串21を更に的枠100に押し込んで、短串22を支持点Sの回りに更に回動させ、短串22の長手方向一端部22aを長串21の長手方向一端部21bへ向けて更に付勢することにより、長串21と短串22とによる的枠100周壁の挟持を維持することができる。
【0011】
本発明の第2実施例に係る弓的固定用候串を説明する。
図4(a)に示すように、弓的固定用候串20’においては、短串22の肉厚の長手方向他端部22bに筒体23が固定されており、長串21の長手方向一端部21bが筒体23に挿通されている。長串21の傾斜部21aが形成された側面とは反対側の側面が筒体23の内面に当接している。上記を除き、第2実施例に係る候串20’’の構成は第1実施例に係る候串20の構成と同一である。
候串20’の作動は以下の通りである。
図4(b)に示すように、長串21の長手方向一端部21bと短串22の長手方向一端部22aの間の隙間を押し広げつつ当該隙間に的枠100の周壁を挿入し、周壁の端面を短串の段差部22cに当接させる。
図4(c)に示すように、長串21を的枠100に押し込んで、短串22を長串21の長手方向他端部の方向へ、長串21に対して相対移動させる。短串22の長手方向他端部22bの先端が長串21の傾斜部21aに乗り上げ、傾斜部21aから長手方向他端部22bの先端に法線力Fが印加される。この結果、短串22が、筒体23端部の支持点S’を中心にして、長串21と短串22とが含まれる平面に直交する軸線、即ち
図4(c)の紙面に直交する軸線、回りに
図4(c)で見て時計回りに回動し、短串22の長手方向一端部22aが長串21の長手方向一端部21bへ向けて付勢される。
【0012】
本発明の第3実施例に係る弓的固定用候串を説明する。
図5(a)に示すように、第3実施例に係る弓的固定用候串20”においては、長串21は傾斜部を有さない。短串22は、肉薄の長手方向一端部22aと、肉厚の長手方向他端部22bと、長手方向一端部と長手方向他端部とを結ぶ段差部と22cと、肉厚の長手方向他端部22bの段差部22cが形成された側面とは反対側の側面に形成され長手方向一端部22aへ向けて肉厚が増加する傾斜部22dとを有している。長串21の長手方向一端部21bの近傍に筒体23が固定されている。短串22は、段差部22cが形成された側面を長串21の側面に対峙させた状態で筒体23に挿通されている。短串22の長手方向他端部22bは長串21に隙間を隔てて対峙している。
候串20”の作動は以下の通りである。
図5(b)に示すように、長串21の長手方向一端部21bと短串22の長手方向一端部22aの間の隙間に的枠100の周壁を挿入し、周壁の端面を短串の段差部22cに当接させる。
図5(c)に示すように、長串21を的枠100に押し込んで、短串22を長串21の長手方向他端部の方向へ、長串21に対して相対移動させる。筒体23が短串22の傾斜部22dに乗り上げ、短串の傾斜部22dが長串21の方向へ押され、ひいて長手方向他端部22bの先端が長串21に押しつけられて、長串21から短串長手方向他端部22bの先端に法線力Fが印加される。短串22は筒体23端部の支持点S”を中心にして、長串21と短串22とが含まれる平面に直交する軸線、即ち
図5(c)の紙面に直交する軸線、回りに
図5(c)で見て時計回りに回動し、短串22の長手方向一端部22aが長串21の長手方向一端部21bへ向けて付勢される。
【0013】
本発明の第4実施例に係る弓的固定用候串を説明する。
図6(a)に示すように、第4実施例に係る弓的固定用候串20Aにおいては、長串21は傾斜部を有さない。短串22は、肉薄の長手方向一端部22aと、肉厚の長手方向中央部22eと、薄肉の長手方向他端部22fと、長手方向一端部と長手方向中央部とを結ぶ第1段差部と22gと、長手方向中央部と長手方向他端部とを結ぶ第2段差部22hとを有している。第2段差部22hは第1段差部22gが形成された側面とは反対側の側面に形成されている。長串21の長手方向一端部21bの近傍に筒体23が固定されている。筒体23には長串21の長手方向他端部へ向けて長串21に接近する傾斜部23aが形成されている。短串22は、第1段差部22gが形成された側面を長串21の側面に対峙させ、第2段差部22hが形成された側面を筒体23の傾斜部23aに対峙させた状態で筒体23に挿通されている。短串22の長手方向中央部22eと長手方向他端部22fは長串21に隙間を隔てて対峙している。
候串20Aの作動は以下の通りである。
図6(b)に示すように、長串21の長手方向一端部21bと短串22の長手方向一端部22aの間の隙間に的枠100の周壁を挿入し、周壁の端面を短串の第1段差部22gに当接させる。
図6(c)に示すように、長串21を的枠100に押し込んで、短串22を長串21の長手方向他端部の方向へ、長串21に対して相対移動させる。短串22の第2段差部22hが筒体23の傾斜部23aに乗り上げ、第2段差部22hが長串21の方向へ押され、ひいて長手方向他端部22fの先端が長串21に押しつけられて、長串21から短串長手方向他端部22fの先端に法線力Fが印加される。短串22は筒体23の支持点SAを中心にして、長串21と短串22とが含まれる平面に直交する軸線、即ち
図6(c)の紙面に直交する軸線、回りに
図6(c)で見て時計回りに回動し、短串22の長手方向一端部22aが長串21の長手方向一端部21bへ向けて付勢される。
【0014】
第1~第3実施例において、筒体23に代えてリングを使用しても良い。
第1実施例において、
図3(a)に示すように、短串長手方向他端部22bの先端部に抜け止め部材24を着脱可能に取り付けても良い。他の実施例でも同様である。
第1実施例において、端串の長手方向一端部22aを長手方向他端部22bに対して僅かに折り曲げ、或いは長手方向一端部22aを僅かに湾曲させて、長手方向一端部22aの先端を長串21に接近させても良い。短串が回動する際に長手方向一端部22aの先端部が的枠100周壁に強く当接し、的枠100周壁を強く挟持することがでる。他の実施例でも同様である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、弓的固定用候串に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0016】
1 的枠
2 的紙
3 弓的
4 弓的の設置場所
5 安土
6、21 長串
7、22 短串
8 スペーサ
S 隙間
20、20’、20”、20A 候串
21a 傾斜部
22c 段差部
22d 傾斜部
22g 第1段差部
22h 第2段差部
23 筒体
23a 傾斜部